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特許7232845(6S、15S)-3,8,13,18-テトラアザイコサン-6,15-ジオールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】(6S、15S)-3,8,13,18-テトラアザイコサン-6,15-ジオールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 213/02 20060101AFI20230224BHJP
   C07C 215/18 20060101ALI20230224BHJP
   C07C 213/08 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
C07C213/02
C07C215/18
C07C213/08
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020562088
(86)(22)【出願日】2019-01-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 US2019015581
(87)【国際公開番号】W WO2019152373
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2022-01-18
(31)【優先権主張番号】62/623,641
(32)【優先日】2018-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520278859
【氏名又は名称】パンベラ セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャンカー、ピー.サシャイ
(72)【発明者】
【氏名】ライ ユー、サンカッパ
(72)【発明者】
【氏名】ベンガートラガーバン、ムラリ
(72)【発明者】
【氏名】ベンガテサン、セルバム
(72)【発明者】
【氏名】パティル、ラフール
(72)【発明者】
【氏名】バーラスクマール、パダバラシャンデュ
【審査官】神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06160022(US,A)
【文献】米国特許第05962533(US,A)
【文献】特開平07-324071(JP,A)
【文献】特開2010-095453(JP,A)
【文献】特開2011-084586(JP,A)
【文献】特表平08-512279(JP,A)
【文献】特開平03-005420(JP,A)
【文献】特開昭63-222149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 213/02-213/08
C07C 215/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物1またはその塩の生成方法であって、
【化1】

(a)各PGがアミノ保護基である、式(I)の化合物
【化2】

を、Xが脱離基である、式(II)の化合物
【化3】

と反応させ、それにより式(III)の化合物
【化4】

を生成する工程、
(b)前記式(III)の化合物を還元剤と反応させ、それにより式(IV)の化合物
【化5】

を生成する工程、
(c)前記式(IV)の化合物をアセチル化剤と反応させ、それにより式(V)の化合物
【化6】

を生成する工程、
(d)前記式(V)の化合物を還元剤と反応させ、それにより式(VI)の化合物
【化7】

を生成する工程、
および
(e)前記式(VI)の化合物を脱保護し―場合により酸の存在下で―、それにより化合物1またはその塩を生成する工程
を含む方法。
【請求項2】
PGがベンジルまたは置換ベンジルである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
PGが、ベンジル、4-メトキシベンジルまたは3,4-ジメトキシベンジルである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
PGがベンジルである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程(e)において、前記式(VI)の化合物が水素化分解により脱保護される、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
1,4-ジアミノブタンをベンズアルデヒドと還元条件下で反応させ、それにより前記式(I)の化合物を生成する工程をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
工程(b)の前記還元剤が水素化アルミニウムリチウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アセチル化剤が無水酢酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程(d)の前記還元剤が水素化アルミニウムリチウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
PGがベンジルであり、工程(b)の前記還元剤および工程(d)の前記還元剤の両方が、水素化アルミニウムリチウムであり、前記アセチル化剤が無水酢酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
工程(a)が塩基の存在下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記塩基が、KCO、NaHCOまたはジイソプロピルエチルアミンである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
工程(a)が極性有機溶媒中で行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒が、エタノール、N、N-ジメチルホルムアミド、またはアセトンである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
工程(a)が重炭酸ナトリウムのエタノール溶液中で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
工程(b)の前記還元剤が、水素化アルミニウムリチウムまたはラネーニッケルおよびアンモニアである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
工程(b)がテトラヒドロフランまたはメタノール性アンモニア中で行われる、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年1月30日に提出された米国仮出願第62/623,641号の利益を主張する。上記出願の教示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
化合物(6S、15S)-3,8,13,18-テトラアザイコサン-6,15-ジオールを以下に示す。
【化1】

この化合物は、膵臓外分泌腺の切除、ならびに膵炎および他の膵臓の疾患および障害の治療において有用である(例えば、US6,160,022およびWO2017/062704を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、以前に開示された方法よりも簡単で効率的な(6S、15S)-3,8,13,18-テトラアザイコサン-6,15-ジオールの合成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、本発明は、(6S、15S)-3,8,13,18-テトラアザイコサン-6,15-ジオール(化合物1)を生成する方法に関し、
(a)各PGがアミノ保護基である、式(I)の化合物
【化2】

を、Xが脱離基である、式(II)の化合物
【化3】

と反応させ、それにより式(III)の化合物
【化4】

を生成する工程、
(b)式(III)の化合物を還元剤と反応させ、それにより式(IV)の化合物
【化5】

を生成する工程、
(c)式(IV)の化合物をアセチル化剤と反応させ、それにより式(V)の化合物
【化6】

を生成する工程、
(d)式(V)の化合物を還元剤と反応させ、それにより式(VI)の化合物
【化7】

を生成する工程、
および
(e)式(VI)の化合物を脱保護―場合により酸の存在下で―し、それにより化合物1またはその塩を生成する工程
を含む。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は、化合物1を生成するための改善された方法を提供する。特に、本発明の方法は、先行技術の方法よりも単純であり、工程が少なく、許容できる純度、例えば許容できる鏡像異性純度で化合物1を提供する。
【0006】
一実施形態では、本発明の方法は、上記の工程(a)~(e)を含む。特定の実施形態では、方法は、1,4-ブタンジアミン
【化8】

のアミノ基を保護して、工程(a)の式Iの化合物を生成する工程をさらに含む。アミノ基は、当技術分野で公知の方法および保護基を使用して保護することができる(参照により本明細書に組み入れられる、Green、TW and Wuts、PGM、Protective Groups in Organic Synthesis、New York:John Wiley and Sons、1999、Chapter 7を参照)。好ましくは、保護基は、ベンジルまたは置換ベンジル、例えば、4-メトキシベンジル、3,4-ジメトキシベンジルまたは2-ヒドロキシベンジルである。一実施形態では、1,4-ブタンジアミンは、塩化ベンジルまたは置換塩化ベンジルとの反応によって保護される。別の実施形態では、1,4-ブタンジアミンは、ベンズアルデヒドまたは置換ベンズアルデヒドの還元的アミノ化を介して保護される。特に、1,4-ブタンジアミンをベンズアルデヒドまたは置換ベンズアルデヒドと反応させて中間体イミンを形成し、その後、PGがベンジルまたは置換ベンジルである、式Iの化合物に還元することができる。例えば、1,4-ブタンジアミンは、適切な溶媒中でベンズアルデヒドまたは置換ベンズアルデヒドと反応させ、次いで、メタノールなどのプロトン性溶媒中の炭素上のパラジウムで処理することができる。好ましい実施形態では、1,4-ブタンジアミンは、以下の反応に従って保護される。
【化9】
【0007】
工程(a)~(e)を、以下でより詳細に説明する。
【0008】
工程(a)
工程(a)は、式(II)の化合物に対する、式(I)の化合物の保護されたアミノ基の求核攻撃を含む。式(II)の化合物において、Xは、限定されないが、塩素、臭素、ヨウ素、メシラート、ベンゼンスルホナート、トシラートおよびトリフラートなどの、当技術分野で知られている任意の適切な脱離基であり得る。好ましくは、Xは、塩素または臭素などのハロゲンである。より好ましくは、Xは塩素である。
【0009】
反応は、好ましくは、少なくとも化学量論量の式(II)の化合物、すなわち、式(I)の化合物に対して少なくとも2/1モル比の式(II)の化合物で行われる。特定の実施形態では、超過量の式(II)の化合物が使用される。特定の実施形態では、反応は、式(II)の化合物と式(I)の化合物とのモル比、2/1超、例えば2/1~5/1、好ましくは約3/1~約5/1で実施される。
【0010】
工程(a)は、極性有機溶媒中で、場合により塩基の存在下で行われる。適切な溶媒には、アセトン、N、N-ジメチルホルムアミド(DMF)、エタノールおよびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。適切な塩基には、NaHCO、KCOおよびジイソプロピルエチルアミンが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、(i)溶媒はエタノールであり、塩基はNaHCOである、(ii)溶媒はDMFであり、塩基はNaHCOであり、場合により溶液はNaIをさらに含む、(iii)溶媒はエタノールであり、塩基はジイソプロピルエチルアミンである、または(iv)溶媒はDMFであり、塩基はKCOである。特に好ましい実施形態では、溶媒はエタノールであり、塩基はNaHCOである。
【0011】
工程(a)は、当業者によって決定され得るように、許容可能な期間で生成物を提供する任意の温度で行うことができる。特定の実施形態では、反応は、室温(25℃)以上、例えば、25℃~120℃、30℃~110℃、40℃~100℃、50℃~90℃、または60℃~85℃の温度で行われる。特定の実施形態では、反応は75℃~90℃で行われる。好ましい実施形態では、PGはベンジルであり、Xはクロロであり、溶媒はエタノールであり、塩基はNaHCOであり、反応は約70℃~約90℃の温度で行われる。
【0012】
工程(b)
工程(b)は、式(III)の化合物のニトリル基を還元して、式(IV)の化合物の第一級アミノ基を形成することを含む。適切な還元剤は、当該技術分野で既知である(参照により本明細書に組み込まれる、Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH:New York、1989、pp 437-438を参照)。この工程で使用できる還元剤の例には、LiAlH、BH.MeS、NaOEt、H/触媒、CoCl触媒の存在下でのアルコール溶媒中のNaBH4、NaBH/ラネーニッケル、およびメタノール性アンモニア/ラネーニッケルが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、還元剤はLiAlHである。
【0013】
工程(b)は、適切な有機溶媒、例えば、限定されないがテトラヒドロフランなどの極性有機溶媒中で行われる。一実施形態では、反応物質は、室温未満の温度、例えば、約-10℃~約15℃、好ましくは約-5℃~10℃、より好ましくは約0℃~約5℃で混合される。この実施形態では、次いで、反応混合物は、好ましくは、約20℃~約35℃、約20℃~約30℃、または約25℃~約30℃に温められる。
【0014】
工程(c)
工程(c)は、式(IV)の化合物の第一級アミノ基およびヒドロキシル基のアセチル化を含む。アセチル化剤は、当技術分野で知られている任意の適切なアセチル化剤であり得る。好ましいアセチル化剤には、塩化アセチルおよび無水酢酸が含まれる。
【0015】
工程(c)は、極性有機溶媒などの適切な有機溶媒中で、場合により塩基の存在下で行われる。適切な溶媒には、ジクロロメタンが含まれるが、これに限定されない。適切な塩基には、トリエチルアミンが含まれるが、これに限定されない。一実施形態では、反応物質は、室温未満の温度、例えば、約-10℃~約15℃、好ましくは約-5℃~10℃、より好ましくは約0℃~約5℃で混合される。この実施形態では、次いで、反応混合物は、好ましくは、約20℃~約35℃、約20℃~約30℃、または約25℃~約30℃に温められる。
【0016】
工程(d)
工程(d)は、式(V)の化合物のアセトアミド基を還元、およびヒドロキシル基を脱アセチル化して、式(VI)の化合物を生成することを含む。この反応は、当技術分野で知られている適切な還元剤を用いて行われる(参照により本明細書に組み込まれる、Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH:New York、1989、pp 432-433を参照)。この工程で使用できる還元剤の例には、LiAlH、H/触媒、NaBH、ボラン、1-プロパノール中のナトリウム、トリクロロシランおよびジメチルアミノボロハイドライドが含まれる。好ましくは、還元剤はLiAlHである。
【0017】
工程(d)は、極性有機溶媒などの適切な有機溶媒中で行われる。適切な溶媒には、テトラヒドロフランが含まれるが、これに限定されない。一実施形態では、反応物質は、室温未満の温度、例えば、約-10℃~約15℃、好ましくは約-5℃~10℃、より好ましくは約0℃~約5℃で混合される。この実施形態では、次いで、反応混合物を好ましくは最初に約20℃~約35℃、約20℃~約30℃または約25℃~約30℃に温める。好ましくは、反応混合物をその後さらに約40℃~約70℃、約45℃~約65℃、約50℃~約60℃、または約55℃~約60℃の温度に温める。
【0018】
工程(e)
工程(e)は、式(VI)の化合物を脱保護して、化合物1またはその塩を生成することである。脱保護反応は、当技術分野で知られているように使用される保護基に従って選択される(Green、TW and Wuts、PGM、Protective Groups in Organic Synthesis、New York:John Wiley and Sons、1999、Chapter7を参照)。例えば、保護基がベンジルまたは置換ベンジルである場合、式(VI)の化合物は、水素化により、例えば、Hガスおよび触媒を使用して脱保護することができ、適切な触媒は、限定されないが、炭素上のパラジウム(Pd/C)を含む。工程(e)は、場合により、HClなどの酸の存在下で行われる。この実施形態では、工程(e)の生成物は、化合物1の塩である。
【0019】
工程(e)は、適切な有機溶媒、例えば、好ましくはプロトン性有機溶媒などの極性有機溶媒中で行われる。適切な溶媒には、メタノールまたはエタノールなどのC~Cアルコールが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、溶媒はエタノールである。
【0020】
工程(e)の生成物が化合物1である特定の実施形態では、本発明の方法は、工程(f)、すなわち化合物1の酸付加塩の調製をさらに含む。塩は、化合物1を適切な酸と、好ましく酸対化合物1のモル比約4/1以上で反応させて、所望の塩を生成することによって生成できる。好ましい実施形態では、化合物1を、HCl対化合物1のモル比約4/1で反応させて、化合物1の四塩酸塩を生成する。
【0021】
本発明の方法の特に好ましい実施形態では、PGはベンジルであり、Xは塩素であり、工程(b)および(d)の還元剤はLiAlHであり、工程(c)のアセチル化剤は無水酢酸である。工程(e)において、式(VI)の化合物は、好ましくは、Pd/Cの存在下、場合によりHClの存在下で、Hにより脱保護される。
【0022】
本明細書に記載の方法は、式(II)の化合物をその鏡像異性体、例えば、(R)-4-クロロ-3-ヒドロキシブタンニトリルで置き換えることにより、(6R、15R)-3,8,13,18-テトラアザイコサン-6,15-ジオールの生成にも使用できることを理解されたい。これにより、各キラル中心の配置が反転した式(III)、(IV)、(V)、および(VI)の化合物、すなわち、上記の構造の鏡像異性体および下記の例に記載される中間体が得られる。
【実施例
【0023】
(6S、15S)-3,8,13,18-テトラアザイコサン-6,15-ジオール四塩酸塩を以下に記載するように調製した。
【0024】
工程1:N、N-ジベンジルブタン-1,4-ジアミン(化合物2)の合成
【化10】

1,4-ジアミノブタン(25g、0.284mol、1eq)のジクロロメタン(250ml)溶液に、硫酸ナトリウム(120.8g、0.851mol、3eq)を25-30℃で加え、得られた混合物を25~30℃で10分間撹拌した。反応混合物を10~15℃に冷却し、ベンズアルデヒド(63.2g、0.596mol、2.1eq)を10~15℃で加えた。反応混合物を10~15℃で2~3時間維持した。反応の完了をTLC/HPLCで監視し、反応が完了したと見なされたら、反応塊をセライト床で濾過し、濾液を45~50℃で減圧濃縮した。濃縮された濾液を、45~50℃でメタノール(50ml)と共蒸留した。得られた残留物をメタノール(250ml)に溶解し、10%Pd/C(2.5g、10%w/w)を25~30℃で加えた。反応混合物を、25~30℃で12.0時間、5.0Kgcm-2圧力の水素化オートクレーブ内で保持した。反応の進行をTLC/HPLCで監視した。反応が完了したと見なされたら、反応混合物をセライト床で濾過し、濾液を45~50℃で減圧濃縮した。得られた残留物を酢酸エチル(250mL)に溶解し、窒素注入口、滴下漏斗、サーモウェル、およびメカニカルスターラーを備えた丸底フラスコに、25~30℃で移した。酢酸(40.5ml)を滴下漏斗から滴下し、pHを2.5~3.0未満に調整した。反応塊を25~30℃で15分間撹拌し、固体を濾別し、酢酸エチル(50ml)で洗浄し、25~30℃で2時間乾燥した。次に、固体を水(250ml)に溶解し、水酸化ナトリウム(10%溶液、300mL)で塩基性化して、pHを12~12.5に調整し、酢酸エチル(500ml2)で抽出した。酢酸エチル層を45~50℃で加圧濃縮し、生成物(55g、72.5%収率)を粘着性液体として得た。
【数1】
【0025】
工程2:(3S、3’S)-4,4’-(ブタン-1,4-ジイルビス(ベンジルアザンジイル))ビス(3-ヒドロキシブタンニトリル)(化合物3)の合成
【化11】

、N-ジベンジルブタン-1,4-ジアミン(90g、0.335mol、1eq)のエタノール(900ml)溶液に、重炭酸ナトリウム(70.3g、0.836mol、2.5eq)および(S)-4-クロロ-3-ヒドロキシブタンニトリル(88.2g、0.738mol、2.2eq)を25~30℃で、窒素雰囲気下で加えた。反応混合物を24~28時間、80~85℃に加熱した。反応をTLC/HPLCで監視した。出発物質(N、N-ジベンジルブタン-1,4-ジアミン)は消耗されなかったため、2ロット目の重炭酸ナトリウム(28.1g、0.335mol、1.0eq)および(S)-4-クロロ-3-ヒドロキシブタンニトリル(44.1g、0.034mol、1.1eq)を80-85°Cで加え、16-18時間維持した。反応をTLC/HPLCで監視した。出発物質(N、N-ジベンジルブタン-1,4-ジアミン)は消耗されなかったため、3ロット目の重炭酸ナトリウム(28.1g、0.335mol、1.0eq)および(S)-4-クロロ-3-ヒドロキシブタンニトリル(44.1g、0.034mol、1.1eq)を80-85°Cで加え、16-18時間保持した。反応をTLC/HPLCで監視し、反応が完了したと見なされたら、反応塊をセライト床で濾過した。濾液を45~50℃で減圧濃縮した後、25~30℃で水(1800ml)を加えた。反応混合物をジクロロメタン(1800ml2)で抽出した。有機層を濃縮し、石油エーテル中の40~60%酢酸エチルで溶出する60~120シリカゲルを使用したカラムクロマトグラフィーで精製した。純粋な画分を収集し、45~50℃で減圧濃縮し、生成物(65g、44.6%収率)を粘着性液体として得た。
【数2】
【0026】
工程3:(2S、2’S)-1,1’-(ブタン-1,4-ジイルビス(ベンジルアザンジイル))ビス(4-アミノブタン-2-オール)(化合物4)の合成
【化12】

(3S、3’S)-4,4’-(ブタン-1,4-ジイルビス(ベンジルアザンジイル))ビス(3-ヒドロキシブタンニトリル)(20g、0.046mol、1eq)のテトラヒドロフラン(400ml)溶液に、3ロットの水素化リチウムアルミニウム(10.5g、0.276mol、6eq)を0-5℃で加え、反応塊を25-30℃に温めた。反応をTLC/HPLCで監視し、反応が完了したと見なされたら、反応塊を0~5℃に冷却し、テトラヒドロフラン:水(400ml)で急冷した。反応塊を25~30℃に温め、10分間撹拌した。次に硫酸ナトリウム(20g)を加え、反応塊を10分間撹拌した。反応塊をセライト床で濾過し、酢酸エチル(200ml)で洗浄した。有機層を分離し、45~50℃で減圧濃縮した。得られた粗材料を、(メタノール中の10~20%アンモニア水)で溶出する230~400シリカゲルを使用したカラムクロマトグラフィーで精製した。純粋な画分を収集し、45~50℃で減圧濃縮し、生成物(10g、収率49.09%)を粘着性液体として得た。
【数3】
【0027】
工程4:(6S、15S)-8,13-ジベンジル-2,19-ジオキソ-3,8,13,18-テトラアザイコサン-6,15-ジイルジアセタート(化合物5)の合成
【化13】

(2S、2’S)-1,1’-(ブタン-1,4-ジイルビス(ベンジルアザンジイル))ビス(4-アミノブタン-2-オール)(11g、0.034mol、1eq)の無水ジクロロメタン(220ml)溶液に、トリエチルアミン(20.8ml、0.149mol、6eq)を0~5℃でゆっくりと加えた。反応塊を同じ温度で20分間撹拌し、無水酢酸(110ml)を0~5℃で加えた。反応塊を25~30℃で18時間撹拌した。反応をTLC/HPLCで監視し、完了したと見なされたら、反応塊を45~50℃で減圧濃縮した。得られた残留物を、メタノール中の5%で溶出する60~120シリカゲルを使用したカラムクロマトグラフィーにかけた。純粋な画分を収集し、45~50℃で減圧濃縮し、生成物(8g、収率52.7%)を粘着性液体として得た。
【数4】
【0028】
工程5:(6S、15S)-8,13-ジベンジル-3,8,13,18-テトラアザイコサン-6,15-ジオール(化合物6)の合成
【化14】

((6S、15S)-8,13-ジベンジル-2,19-ジオキソ-3,8,13,18-テトラアザイコサン-6,15-ジイルジアセタート)(6g、0.009mol、1eq)のTHF(40ml)溶液に、水素化アルミニウムリチウムをロットごとに(3.7g、0.098mol、10eq)0~5℃で加えた。反応塊を25~30℃に温め、その後55~60℃で3時間保持した。反応をTLC/HPLCで監視し、完了したと見なされたら、反応塊を水:テトラヒドロフラン混合物(30ml)で急冷した。硫酸ナトリウム(20g)を反応塊に加え、10分間撹拌した。反応塊をセライト床で濾過し、酢酸エチル(200ml)および飽和塩化ナトリウム溶液(48ml)で洗浄し、有機層を45~50℃で濃縮した。得られた粗材料を酸および塩基抽出プロセスにより精製した。粗材料をジクロロメタン(60ml)に溶解し、1.5N塩酸(24ml)を加えた。混合物を25~30℃で15分間撹拌し、水層を分離した。水層を10%重炭酸ナトリウムでpH8~9に塩基性化した。水層をメチルtert-ブチルエーテル(36ml2)で洗浄した。次に水層を酢酸エチル(36ml2)で洗浄し、最後にジクロロメタン(60ml2)で抽出した。次に、組合わせた有機層を水(30ml)で洗浄した。有機層を45~50℃で減圧濃縮し、生成物(3g、収率61.0%)を粘着性液体として得た。
【数5】
【0029】
工程6:(6S、15S)-3,8,13,18-テトラアザイコサン-6,15-ジオール四塩酸塩の合成
HClの1,4-ジオキサン(4M、35ml)溶液に、[(6S、15S)-8,13-ジベンジル-3,8,13,18-テトラアザイコサン-6,15-ジオール)](3.5g、0.007mol、1.0eq)を25-30℃で加え、得られた混合物を25-30℃で1時間撹拌した。反応混合物を50~55℃で減圧濃縮した。得られた固体をエタノール(80ml)および水(42ml)に溶解した。溶液を水素化装置に移し、Pd/C(水分50%、3.5g)を加えた。反応混合物を、25~30℃で18時間、5Kgcm-2の水素圧で維持した。反応をH NMR/HPLCで監視した。反応が完了したと見なされたら、反応塊をセライト床で濾過し、水:エタノール(1:1、35ml)で洗浄し、次に濃HCl(7ml)を加えた。混合物を25~30℃で30分間撹拌し、次に45~50℃で減圧濃縮し、エタノール(35ml)でストリッピングした。得られた残留物を、メタノール20%のジクロロメタン溶液と共に25~30℃で1時間撹拌した。得られた固体を濾過し、75~80℃で1時間還流しながら5%エタノール水溶液(35ml)で処理した。反応塊を25~30℃に冷却し、さらに0~5℃に冷却し、0~5℃で2時間維持し、濾過し、得られた固体を水性エタノール精製にかけた。白色の固体をさらに50~55℃で5時間乾燥させて、生成物(700mg、収率31.3%)を得た。
【数6】
【0030】
本明細書で言及される特許および科学文献は、当業者が利用できる知識を確立する。本明細書に引用されるすべての米国特許および公開または未公開の米国特許出願は、参照により組み込まれている。本明細書に引用されるすべての公開外国特許および特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に引用される他のすべての公開参考文献、文書、原稿、および科学文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
本発明は、その好ましい実施形態を参照して詳細に示され説明されてきたが、添付の特許請求の範囲に含まれる本発明の範囲から逸脱することなく、形態および細部に様々な変更を加えることができることが当業者によって理解される。また、本明細書に記載の実施形態は相互に排他的ではなく、様々な実施形態からの特徴は、本発明に従って全体的または部分的に組み合わせることができることも理解されたい。