(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】運動訓練補助具
(51)【国際特許分類】
A63B 71/06 20060101AFI20230224BHJP
A63B 69/36 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
A63B71/06 M
A63B71/06 T
A63B69/36 541P
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021112643
(22)【出願日】2021-07-07
(62)【分割の表示】P 2018563566の分割
【原出願日】2017-06-02
【審査請求日】2021-07-08
(32)【優先日】2016-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518423892
【氏名又は名称】ウエスト アンド ベルグ ホールディング アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ベルグ クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ウエステルベルグ マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ベリング ウルフ
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-121456(JP,A)
【文献】特開2006-320424(JP,A)
【文献】特開2009-273551(JP,A)
【文献】特開平09-047535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00-71/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体運動を実行または改善することを助ける、人物または動物に対する運動訓練補助具システムであって、前記システムは、
- 前記人物の身体の部分または前記人物によって使用される道具に容易に取り付け可能であるように構成された運動センサユニット(110)、
- 制御ユニット(120)、または制御ユニット(120)との通信を容易にするための通信手段、
- プロセッサ(105)、
- メモリ(118)、
- 前記人物の前記身体に取り付け可能であり、かつコマンドを受信した際に前記人物によって知覚可能な刺激を誘発できる刺激装置(102)、を含み、
前記運動センサユニット(110)は前記プロセッサ(105)に運動データを提供するように構成され、前記プロセッサは前記運動センサユニット(110)からの前記運動データに基づいて、前記運動センサユニット(110)の以後の3次元的位置を定めて追跡するように構成され、前記プロセッサ(105)は、前記プロセッサによって追跡された前記運動センサユニット(110)位置と、前記メモリ(118)に保存された基準運動トラックとを比較し、前記基準運動トラックに対する前記運動センサユニット位置に依存して、前記運動センサユニット(110)が前記基準運動トラックから特定のレベルの偏差に達したときに刺激を誘発するためのコマンドを前記刺激装置(102)に送るように構成され、
前記刺激装置(102)によって誘発される前記刺激は触覚刺激、電気刺激、光刺激、聴覚刺激、熱刺激、もしくは冷刺激、またはそれらの組み合わせの群より選択され、
前記特定のレベルの偏差としての許容偏差は、中心軸としての前記基準運動トラックによって作成される仮想チューブの半径であり、
前記プロセッサは、身体運動の正確な開始時間を決定するために運動開始識別子を探索するように構成さ
れ、
前記プロセッサが以後の運動を追跡して、運動が成功したときに、前記プロセッサが許容偏差を現在のものよりも小さい値に減少させることを可能にするように、前記プロセッサは、許容偏差を動的に変更するための方法を提供するように構成される、システム。
【請求項2】
前記刺激は電気刺激である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサはさらに、または代替的に、運動センサ姿勢角と基準角度とを比較するように構成される、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記電気刺激は、一部またはほとんどの人物によって痛いと知覚されるほど強く配置される、請求項2および請求項2に従属する請求項3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記刺激は、好ましくは50ミリ秒(ms)未満、またはより好ましくは20ms未満、または最も好ましくは10ms未満の遅延を有して誘発される、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は訓練補助具、すなわち人物または動物がその人物または動物のある活動をより良好に行うことを助けるデバイスの分野に関する。より具体的には、本発明は運動訓練補助具、すなわちユーザが行う運動に関するある種のフィードバックを提供するシステムまたはデバイスに関する。さらにより具体的には、本発明はたとえばゴルフスイングまたは槍投げの訓練補助具などのスポーツ動作訓練補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
こうした運動訓練補助具の一例は、特許文献1から公知である。特許文献1は、反復運動フィードバックシステムに、たとえばゴルフスイングなどの反復運動シーケンスの態様をモニタするためのさまざまなセンサおよびデバイスが提供されることを開示している。モニタされる態様は、ユーザによって動かされる物体の運動特性、ユーザの位置特性、およびユーザの運動特性を含み得る。モニタされる態様のデータを受信するためのデータ処理システムは、たとえばグラフィカルディスプレイデバイスまたはスピーカなどのフィードバック出力デバイスに提供されるフィードバックデータを提供することによって、ユーザに反復運動シーケンスに関するフィードバックを提供する。1つの特定の実施形態においては、ユーザのパフォーマンスが前のパフォーマンスのテンプレートと比較されて、その差異に関するフィードバックが提供される。
【0003】
別の先行技術文書は特許文献2であり、これはいかにして特定の身体運動を一貫した方式で行うかを人物に教えるための方法および装置を開示しており、それは実際の身体運動の1つまたはそれ以上のパラメータを電子的に測定するステップと、その1つまたはそれ以上の測定パラメータを目標身体運動の対応するパラメータと比較するステップと、その1つまたはそれ以上の測定パラメータおよび対応する目標パラメータの一致の程度に基づいて、ユーザに知覚可能なフィードバックを提供するステップとに基づく。特定の実施形態において、フィードバックは可聴である。より具体的には、フィードバックは、特定の身体運動(たとえばゴルフスイングなど)に特に好適な特定の特徴(たとえばリズムなど)を有する音楽の旋律である。フィードバックは、実際の身体運動と目標身体運動との差異に比例して音楽の旋律の音程を電子的に狂わせる形であってもよい。
【0004】
特許文献3には、たとえばゴルファーなどの運動選手の人間工学的運動を教えるためのさらなる先行技術のシステムおよび方法が開示されている。このシステムは、好ましいゴルフスイングを実行するゴルファーの連続画像を捕捉するためのビデオカメラと、ゴルファーがビデオ画像の空間的領域を定めることを可能にする閾値決定システムとを含む。もしその空間的領域が侵入されれば、アラームが発動することによってフィードバックが提供されるため、ゴルファーは次に試みる運動の技術を変更してもよい。たとえばゴルファーは、もしスイングの際にクラブが平面から外れればティー除去システムがボールを消すように、その領域を決定してもよい。この方式で、ゴルファーはクラブが平面上に留まったときだけボールを打つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2003024544号
【文献】米国特許第6778866号
【文献】国際公開第200518759号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
たとえばゴルフスイング、フィギュアスケートのジャンプ、または円盤投げなどの複雑な運動を改善しようとする人物または動物はしばしば、その動作の不完全な部分を補正すること、および/またはこれらの不完全な部分をより効果的なものに置き換えることに問題を有することを発明者らは認識した。加えてその人物のコーチも、たとえビデオ録画機器などの進歩した訓練補助具を備えていても、その人物が彼または彼女の運動を改善することを助けることを困難および/または時間がかかることと感じることがある。訓練補助具は、ユーザが意識下の分析的な心から離れた学習をもたらす潜在意識レベルにおいても新たな動作パターンを学習することを可能にする。このことは、新たな動作パターンをプレッシャー下でも持続可能にする。
【0007】
バイオフィードバック
第1の態様によれば、これらの欠点を解決するデバイスを提供するために、本発明は、身体動作を実行または改善することを所望する人物または動物に、前記動作に関するバイオフィードバックを提供するためのシステムを提供する。
このシステムは、
- 人物もしくは動物の身体の部分または前記人物もしくは動物によって使用される道具に容易に取り付け可能であるように構成されたセンサユニット、
- 制御ユニット、または制御ユニットとの通信を容易にする通信手段、
- プロセッサ、
- メモリ、
- 人物または動物の身体に取り付け可能であり、かつ人物または動物によって知覚可能な刺激を誘発できる刺激ユニット、を含み、
センサユニットには、
-- プロセッサに運動データを提供できる1つまたはそれ以上のセンサが提供され、プロセッサはセンサユニットの以後の3次元的位置を追跡するように構成され、このセンサユニットにはさらに
-- プロセッサが制御ユニットと通信することを可能にする通信手段が提供され、
プロセッサは、追跡されたセンサユニット位置と、予め定められた基準トラックとを比較し、基準トラックに対するセンサユニット位置に依存して、センサユニットが基準トラックから最大許容偏差よりも大きく外れたときに、直ちに第1の刺激または第1の信号を誘発するためのコマンドを刺激ユニットに送ることによって運動を監視するように構成され、
刺激ユニットによって誘発される刺激は電気刺激である。
【0008】
さらに付加的に、プロセッサは好ましくは、少なくとも以下の2つの代替的モードに設定され得るように構成される。
- 基準トラックを、閾値距離または最大許容偏差距離とともに定め得る閾値設定モード、
- 上述のとおりに運動が監視される監視モード。
【0009】
第2の態様によれば、身体運動を改善するために運動センサユニットを提供された人物または動物に対する訓練補助具のための方法が提供され、この方法は、
- 運動センサユニットデータを受信するステップ、
- センサユニットデータに基づいてセンサユニットの現在位置を定めるステップ、
- 定められたセンサユニットの現在の運動位置値と、予め定められた所望の運動の対応する位置値とを比較するステップ、
- 現在の運動および予め定められた所望の運動の位置値の不一致のレベルに基づいて刺激を発行するステップを含み、
発行される刺激は電気刺激である。
【0010】
回転角、センサ方向ベクトル
第3の態様によれば、身体動作を実行または改善することを所望する人物または動物に、前記動作に関するバイオフィードバックを提供するためのシステムおよび方法が提供され、
- 人物もしくは動物の身体の部分または前記人物もしくは動物によって使用される道具に容易に取り付け可能であるように構成されたセンサユニット、
- ハンドヘルドであってもよい制御ユニット、
- プロセッサ、
- メモリ、
- 人物または動物の身体に取り付け可能であり、かつ人物または動物によって知覚可能な刺激を誘発できる刺激ユニットであり、
センサユニットには、
-- プロセッサに運動データを提供できる1つまたはそれ以上のセンサが提供され、プロセッサは運動センサユニットの以後の3次元的位置と、前記センサユニットの姿勢角とを追跡するように構成され、このセンサユニットにはさらに
-- プロセッサが制御ユニットと通信することを可能にする通信手段が提供され、
プロセッサは、追跡されたセンサユニット位置および/またはセンサユニットの方向ベクトルと、予め定められた基準トラックおよび/または予め定められた方向偏差円錐とをそれぞれ比較して、基準トラックに対するセンサユニット位置に依存し、かつ/または予め定められた円錐に対するセンサユニット方向に依存して、センサユニットが基準トラックから最大許容偏差よりも大きく外れ、かつ/またはセンサユニットが予め設定された限界の外側の運動姿勢(空間における指向性の方向、ピッチ/ヨー/ロール)を取ったときに、直ちに第1の刺激または第1の信号を誘発するためのコマンドを刺激ユニットに送るように構成され、
プロセッサは、少なくとも以下の2つの代替的モードの1つに設定され得るように構成されてもよい。
- 閾値設定モード、ここでは基準トラックを、閾値距離または最大許容偏差距離とともに定めることができ、かつ/または運動中の運動センサユニットの方向ベクトルの方向偏差の限界を指定する。
- 監視モード、ここではプロセッサが、追跡されたセンサユニット位置および/またはセンサユニットの方向ベクトルと、基準トラックおよび/または予め定められた方向偏差円錐とをそれぞれ比較して、基準トラックに対するセンサユニット位置に依存し、かつ/または予め定められた円錐に対するセンサユニット方向に依存して、センサユニットが基準トラックから最大許容偏差よりも大きく外れ、かつ/またはセンサユニットが予め定められた限界の外側の運動姿勢(空間における方向、ピッチ/ヨー/ロール)を取ったときに、直ちに第1の刺激または第1の信号を誘発するためのコマンドを刺激ユニットに送り、
刺激ユニットによって誘発される刺激は電気刺激であってもよい。
【0011】
本発明の上述およびその他の利点および目的が得られる方式が容易に理解されるように、添付の図面に示されるその特定の実施形態を参照して、簡単に上述した本発明のより具体的な説明を行う。
【0012】
これらの図面は本発明の典型的な実施形態のみを示すものであるため、本発明の範囲を限定するとはみなされないことを理解した上で、添付の図面を用いることによって本発明を付加的な特定性および詳細とともに記載および説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1a】本発明の一実施形態によるバイオフィードバックデバイスを示すブロック図である。
【
図1b】本発明の別の実施形態によるバイオフィードバックデバイスを示すブロック図である。
【
図2a】身体運動に対して人物にバイオフィードバックを提供するための方法を示すフローチャートである。
【
図2b】身体運動に対して人物にバイオフィードバックを提供するための別の方法を示すフローチャートである。
【
図3a】クラブをスイングするゴルファーを示す斜視図である。
【
図3b】取り付けられたデバイスを有する運動選手の身体を示す斜視図である。
【
図4a】ゴルフスイングの上から見たときの、クラブおよび手首の連続的な位置を、許容偏差のチューブと重ね合わせて示す概略図である。
【
図4b】許容偏差の仮想チューブの詳細を示す図である。
【
図4c】運動のいくつかのサンプル点を、各点の方向ベクトルおよびその方向ベクトルに対する限界円錐/セクタとともに示す図である。
【
図4d】基準方向を有する運動センサユニットを示す概略斜視図である。
【
図4f】運動開始シーケンスを用いて整列され得る
図4eの基準フレームを示す図である。
【
図5】姿勢方向ベクトルを用いて、身体運動に対して人物にバイオフィードバックを提供するための方法を示すフローチャートである。
【
図6】姿勢方向ベクトルを用いて、身体運動に対して人物にバイオフィードバックを提供するための別の方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
定義
本発明の目的のために、かつ以下の文において、以下の用語は下に説明される意味で用いられる。
【0015】
「運動」:「運動」という用語は、ユーザによって行われる複合性または単純性の任意の身体動作であると理解され、それは彼もしくは彼女の四肢の1つもしくはそれ以上、または胴体、または重心の動きであってもよい。曖昧さの可能性は、用語が用いられる状況によって解決されるべきである。運動の例は、一部または完全な走り高跳び、棒高跳び、ハンマー投げ、槍投げ、体操、振り付けの動き、チアリーディングの動き、野球のバッティング、野球のピッチング、ゴルフスイング、パッティングストローク、または馬のジャンプを含むが、それらに限定されない。さまざまな実施形態において、運動は回転動作も含む。
【0016】
「運動表現」:「運動表現」とは、通常は運動の数学的表現のことである。運動表現は、線形および回転の運動位置、運動速度、および運動加速度の表現を含んでもよい。たとえば、運動はユーザの身体の上の予め定められた点の現在位置によって表されてもよいし、運動は(運動)トラックによって表されてもよい。以下を参照。
【0017】
「位置」:本明細書において用いられる「位置」という用語は、近くの基準点に対するセンサユニットまたは小さい物体の物理的局地位置であると理解され、好適な座標系を用いて表される。典型的に、本発明の状況において、位置は基準点から0~5メートル以内の大きさである。
【0018】
「望ましくない運動」:「望ましくない運動」という用語は、ユーザおよび/または彼もしくは彼女のコーチの観点から見て望ましくないか、または望ましくない特徴を含む運動を示すために用いられる。
【0019】
「身体運動トラッカー」:本明細書において用いられる「身体運動トラッカー」という用語は、処理されたセンサデータに基づいて、ユーザの身体の1つまたはそれ以上の予め定められた点を時間とともに追跡できる、デバイスもしくはシステムまたは実行されるときのコンピュータコードを示す。
【0020】
「追跡」:「追跡」という用語は、運動中のユーザの身体の上の1つまたはそれ以上の予め定められた点の連続的な位置を収集および保存(記録)する活動であると理解される。
【0021】
「運動トラック」:「運動トラック」という用語は、追跡活動の結果を意味し、すなわち開始点または開始時間から始まって終了点または終了時間に終わる時間にわたる予め定められた身体点の保存された連続的位置の総量を意味する。
【0022】
「基準運動トラック」:「基準運動トラック」とは、運動の運動表示を比較し得るモデルを作成するために使用可能な所望の運動トラックのことである。
【0023】
「回転角」または「回転の角度」:2次元空間における「回転角」は、ある物体が固定点の周りを回転した角度の量の測定値である。3次元空間における回転は、3座標軸に関する回転角を用いて測定されて示される。
【0024】
「予め定められた身体点」:「予め定められた身体点」という用語は、前記点の追跡を容易にするための手段、たとえばセンサユニットなどを提供されたユーザの身体の上の点を意味する。
【0025】
「姿勢」:本発明の状況において「姿勢」という用語は、空間における物体の向き(姿勢、角度位置)を示すために用いられる。姿勢はピッチ、ヨーおよびロール角によって表されてもよいし、代替的には姿勢ベクトルまたは軸と、そのベクトルまたは軸の周りの回転角、すなわち軸-角度の表現によって表されてもよい。オイラーの回転定理を参照。
【0026】
「運動センサユニット」:「運動センサユニット」は、好適な参照システムにおいて、ユーザの運動中のセンサの姿勢および3次元位置または同じ位置における変化を定めることを可能にする、たとえば加速度情報などの運動情報を配信できる、ユーザの身体に取り付け可能なユニットであると理解される。センサユニットは、ユーザの運動を妨げないように十分に小型かつ軽量であることが想定される。
【0027】
「制御ユニット」:本発明の状況において「制御ユニット」とは、デバイスを動作させるためのマンマシンインタフェースを含むユニットのことであり、それは通常、プロセッサおよび/または運動センサユニットと通信するためのワイヤレス通信手段も含む。
【0028】
「サンプル」:本発明の状況において「サンプル」という用語は、時間の特定の瞬間における運動センサユニットの算出された状態を示すために用いられ、これは運動センサユニットからの運動センサデータに基づき、かつ参照フレームすなわち座標系に基づいてプロセッサが算出した、線形および/または回転の運動位置、運動速度、および運動加速度の表現を含んでもよい。サンプルにはサンプル番号および/またはサンプル時間が付随する。
【0029】
「プロセッサ」:本発明の状況において「プロセッサ」という用語は、他に何も明示的に述べられていないときは、1つまたはそれ以上の論理的または物理的プロセッサを含むかどうかにかかわらず、プロセッサシステムを示すために用いられる。
【0030】
「メモリ」:本発明の状況において「メモリ」という用語は、他に何も明示的に述べられていないときは、1つまたはそれ以上の論理的または物理的メモリを含むかどうかにかかわらず、メモリシステムを示すために用いられる。
【0031】
「刺激装置」:本発明の状況において刺激装置という用語は、人物または動物の身体に取り付け可能であって、コマンドを受信した際にその人物または動物が知覚可能な刺激を誘発できるデバイスを示すために用いられる。
【0032】
図1aは、本発明の実施形態による訓練補助具システムのブロック図を示す。この訓練補助具システムは、運動センサデータを提供するための運動センサユニット110を含む。運動センサユニット110は、人物の身体の部分または前記人物によって使用される道具に容易に取り付け可能であるように構成される。運動センサユニット110は、たとえばブレスレットまたは絆創膏などの形であってもよいし、道具に取り付けられてもよい。運動センサユニット110は、運動センサデータを処理するように構成されたプロセッサ105に接続される。
【0033】
このシステムは、プロセッサ105との容易な通信のために、
図1bのハンドヘルド制御ユニット120を含んでもよい。プロセッサは、データの保存のためのメモリ118に接続される。さらに、このシステムは、人物によって知覚可能な刺激を誘発できる刺激装置102を含む。刺激装置102は、好ましくは人物の身体に取り付け可能である。好ましくは刺激装置102と、プロセッサ105と、メモリ118と、運動センサユニットとはすべて同じ物理的ユニットに配置または統合されてもよい。
【0034】
図3bは、取り付けられたデバイスを有する運動選手の身体350の斜視図を示す。運動センサユニットを有するブレスレット372が運動選手の手首352に取り付けられることが示されている。刺激装置ユニット374が運動選手の身体の僧帽筋領域に取り付けられることが示されている。
【0035】
運動センサユニット110には、接続されたプロセッサ105に運動データを提供できる1つまたはそれ以上のセンサが提供され、プロセッサ105は運動センサユニット110の以後の3次元的位置を追跡するように構成される。センサユニットは、たとえばプロセッサが外部基準を必要とせずに運動センサユニットの位置および速度データを算出することを可能にする加速度計データを提供するMEMSユニットなどの小型のユニットであってもよい。商業的に入手可能なユニットは、インベンセンス(INVENSENSE)、サンノゼ(San Jose)、カリフォルニア(California)の半導体運動トラッカーデバイスMPU-9250である。このシステムはさらに、プロセッサ105が制御ユニット120と通信することを可能にする、たとえばBluetooth(登録商標)またはWIFIなどのワイヤレス通信手段を含んでもよい。
【0036】
モード
さまざまな実施形態において、制御ユニットは、システムを閾値設定モードおよび監視モードの2つのモードのうちの一方に設定するために用いられ得る。
- 閾値設定モードにおいては、第1の3次元トラックが許容偏差とも呼ばれる閾値とともに定められてもよく、この許容偏差は中心軸としての基準運動トラックによって作成される仮想チューブの半径である。このモードにおいて、姿勢偏差パラメータも設定され得る。さらにこのシステムは、制御ユニットをインターネットに接続して基準運動トラックおよび許容偏差をインポートできるように構成される。加えて制御ユニットは、許容偏差のパラメータの調整を容易にするように構成される。許容偏差の典型的なパラメータは、許容チューブの半径(
図4bを参照)と、許容姿勢角の円錐および/または姿勢角間隔によって表される許容姿勢偏差角(単数または複数)(
図4cを参照)とを含んでもよい。さまざまな実施形態において、望ましいトラックおよび/または望ましい姿勢角は、工場出荷時の設定として予め定められてもよく、この設定は、練習(訓練)される運動によってたとえば指先から地面までの距離、および腕の長さなどの特定の身体測定値の入力によって調整されてもよい。
【0037】
監視モードにおいて、プロセッサは、センサユニット位置か、またはセンサユニット位置およびセンサユニット姿勢の両方を基準値と比較するように構成される。位置に関しては、実際の動作が仮想チューブの内側にある限り、その運動は満足できるものとみなされ、刺激は誘発されないだろう。よって、基準の動きに対する運動センサユニット110の動きに依存して、運動センサユニットが許容偏差距離よりも遠くに離れたとき、および/または姿勢が角度円錐の外側に逸脱したときに、プロセッサは直ちに第1の刺激を誘発するためのコマンドを刺激ユニットに送るべきである。
【0038】
さまざまな実施形態において、プロセッサは予め定められた運動との比較のみを達成するように構成されており、任意の閾値または基準運動モードを設定できるようには構成されていない。
【0039】
刺激のタイプ
刺激装置102は、好ましくは不快な刺激を提供するように構成される。この刺激は触覚刺激、電気刺激、光刺激、聴覚刺激、熱刺激、もしくは冷刺激、またはそれらの組み合わせであってもよい。ユーザの要求によっては、運動学習を最大化するように刺激が選択され得る。好ましくは、刺激ユニットによって誘発される刺激は電気刺激である。さらにより好ましくは、刺激ユニットは、ほとんどの人が痛いと知覚するような大きさの電気刺激を誘発できるように構成される。刺激ユニットは、こうした刺激を伝えることができるように構成される。刺激の大きさは調整可能である。
【0040】
刺激ユニットは、非常に短い遅延、好ましくは50ミリ秒(ms:milliseconds)未満、またはより好ましくは20ms未満、または最も好ましくは10ms未満の遅延を有して刺激を伝えるように構成される。
【0041】
正しい位置を訓練するための方法
ここで
図2aを参照すると、身体運動を改善するために運動センサユニット110を提供された人物または動物に対する訓練補助具のための方法が提供され、この方法は、
- 運動センサユニット110データを受信するステップ215、
- センサユニットデータに基づいてセンサユニットの現在位置を定めるステップ220、
- 定められたセンサユニットの現在の運動位置値と、予め定められた所望の運動の対応する位置値とを比較するステップ225、
- 予め定められた閾値に鑑みて、現在の運動および予め定められた所望の運動の位置値の不一致のレベルに基づいて刺激を発行するステップ230、を含み、
発行される刺激は電気刺激であってもよい。
【0042】
ここで
図2bを参照すると、この方法は図示されるとおりの付加的なステップを含んでもよい。身体運動に対して人物にバイオフィードバックを提供するための別の方法のフローチャートが示されており、この方法は、
- センサユニットの位置、速度および姿勢に対する内部運動レジスタを始動するステップ(306)、以下の段落も参照、
- 運動センサからのデータを受信するステップ307、
- 受信したデータに運動開始判定基準を適用するステップ315、以下を参照、
- 運動が開始したかどうかを判定するステップ320、
- ステップ320の判定に基づいてデバイスを較正するステップ325、以下を参照、
- 基準運動トラックが利用可能かどうかを判定するステップ330、
- 進行中の現在の運動トラックを基準運動トラックと比較するステップ335、
- 現在の運動トラックが基準運動トラックから予め定められた程度よりも大きく逸脱しているかどうかを判定し、もしそうであればこのことを示すステップ340、
- 運動が完了したかどうかを判定し、もしそうであればメモリにセーブするステップ342、
- ユーザの入力に基づき、運動トラックを基準運動トラックとしてセーブするかどうかを判定するステップ344、を含む。
【0043】
正しい姿勢角を訓練するための方法
ここで
図5および
図6を参照すると、身体運動を改善するために運動センサユニット110を提供された人物または動物に対する訓練補助具のための方法がさらに提供され、この方法は
- 運動センサユニット110データを受信するステップ515、
- センサユニットデータに基づいてセンサユニットの現在の姿勢を定めるステップ520、
- 定められたセンサユニットの現在の運動姿勢値と、予め定められた所望の運動の対応する姿勢値とを比較するステップ525、
- 各姿勢角に対して1つの予め定められた閾値の3つ組(triplet)か、またはたとえば
図4cに示すとおり、現在位置に頂点を有して姿勢ベクトルの方向に広くなる、姿勢ベクトル461~464に対する許容円錐481~484と、第3の姿勢角のインジケータ476に対して許容される第3の姿勢角のセクタ471との組み合わせの形の予め定められた閾値に鑑みて、現在の運動および予め定められた所望の運動の姿勢値の不一致のレベルに基づいて刺激を発行するステップ530、を含み、発行される刺激は電気刺激であってもよい。
【0044】
正しい姿勢角を訓練するための方法は、身体運動に対して人物にバイオフィードバックを提供するための別の方法のフローチャートを示す
図6に示されるとおりの付加的なステップを含んでもよく、この方法は、
- センサユニットの位置、速度および姿勢に対する内部運動レジスタを始動するステップ606、
- 運動センサからのデータを受信するステップ607、
- 受信したデータに運動開始判定基準を適用するステップ615、以下を参照、
- 運動が開始したかどうかを判定するステップ620、
- ステップ620の判定に基づいてデバイスを較正するステップ625、これも以下を参照、
- 所望の姿勢角を含む基準運動トラックが利用可能かどうかを判定するステップ630、
- 現在の姿勢角を基準運動トラックの角度と比較するステップ635、
- 現在の姿勢角が基準運動トラックの姿勢角から望まれるよりも大きく逸脱しているかどうか(円錐の外側かどうか)を判定し、もしそうであればこのことを示すステップ640、
- 運動が完了したかどうかを判定し、もしそうであれば運動トラックをメモリにセーブするステップ642、
- ユーザの入力に基づき、姿勢角を有する運動トラックを基準運動トラックとしてセーブするかどうかを判定するステップ644、を含む。
【0045】
始動
好ましくはプロセッサは、運動センサユニットの運動状態を表す値を保持する運動レジスタをリセットするための始動手順を行うように構成され、その値は運動センサユニットに対する位置座標(x,y,z)と、x、y、z方向の速度値と、姿勢角すなわちx、y、z座標軸の周りの回転角とを含んでもよい。初期座標系は、将来の参照を提供するために、始動時点における運動センサユニットの方向に設定される。上述のすべての運動状態をリセットするために、外部信号か、運動センサもしくはプロセッサユニット上のボタンを押すことか、および/またはセンサユニットをたとえば1~10cmおよび少なくとも1sなどの予め定められた制限内に予め定められた時間だけ静置することによって、こうした始動が行われてもよい。
【0046】
運動開始の識別
図4eは、2つの異なる基準フレーム/座標系の概略図を示す。
図4fは、整列され得る
図4eの基準フレームを示す。
【0047】
プロセッサは好ましくは運動開始識別子、すなわち短い運動トラック部分(491)を探索するように構成される。プロセッサは、短い運動トラック部分(491)を整列させて仮想運動開始チューブ494内に適合させるように構成される。その後、この仮想運動開始チューブ494を用いて、第1の原点551を有する基準運動基準フレームに第2の原点552を有する現在の基準フレームを整列させる。
【0048】
別の運動開始識別子は、運動が開始されたことおよびその方向を信号伝達する、予め定められた運動の到達速度であってもよい。開始シーケンスの方向は、好ましくは運動センサユニットの運動の到達速度の予め定められた絶対値における速度ベクトルの方向として定められる。次いで、この方向を用いて基準運動トラックと現在の運動とを整列し、このプロセスは較正と呼ばれる。
【0049】
仮想チューブおよび許容偏差
センサユニットの現在位置と、予め定められた所望の運動の対応する位置値との比較は、好ましくは定められたセンサユニットの現在位置と、所望の運動の連続的な位置値を表す所望のトラックの最も近い部分とを比較するステップを含み、ここで偏差は、現在位置に最も近い所望のトラックの部分のタイムスタンプにかかわらず、現在位置と所望のトラックとの算出距離として定められる。
【0050】
図3aは、クラブ355をスイングするゴルファー350の斜視図を示す。
図3bは、取り付けられたデバイスを有する運動選手の身体の斜視図を示す。モデルとして、現在の運動に対する許容空間を、所望のトラックに対応する中心軸または中心曲線と、最大許容偏差に等しい半径とを有する仮想チューブとして考えることが有利であろう。
【0051】
ゴルフスイングに対して示されたこうした仮想チューブの例が
図4a、
図4b、および
図4cに見出される。チューブの中心軸はゴルファー350の手首352の運動に従う。
図4aには基準トラックからの偏差がないスイングが示されており、すなわちその運動は完全に許容運動のチューブ359の中心にある。参照文字「A」は開始位置を示し、「B」は上記の「運動開始の識別」節で説明した動きの検出を示す。文字「C」は、最大許容偏差が他の部分よりも小さく設定されている基準運動の部分を示す。文字「D」はバックスイングの頂部、ダウンスイングの開始を示す。ここで降りるときの「A」はボールを打つことを示し、「E」は許容運動のチューブの終端を示す。チューブの終端を通過することは、その運動が期待通りに完了し、フィードバックを与える必要がないことを示す。ここで、たとえば楽しい音色などの「肯定的」フィードバックが与えられてもよい。
【0052】
図4bは、許容偏差の仮想チューブの詳細を示す。基準トラック410は、円431~433の許容半径とともにチューブを定める。現在のトラック420の現在の運動422が、点425に示されるように許容されるより大きく逸脱したとき、刺激フィードバックが与えられる。
【0053】
仮想チューブの変動半径
プロセッサは、仮想チューブの半径すなわち最大許容偏差が基準時間からの時間の関数であるか、または基準トラックに沿った開始点からの距離の関数であるように構成されてもよい。動きの特定の通路が特定の許容偏差に割り当てられてもよい。加えて、基準トラックの各点に対して最大許容偏差が任意に設定されてもよい。
【0054】
動的適応閾値
プロセッサはさらに、許容偏差を動的に変更するための方法を提供するように構成されてもよく、すなわちプロセッサは以後の運動を追跡して、否定的フィードバックが発行されなかった運動が何度か行われたとき、すなわち運動が成功したときに、プロセッサは許容偏差を現在のものよりも小さい値に減少させて、その人物が運動をさらに微調整することを可能にしてもよい。
【0055】
角度円錐-回転角偏差。
図4cは、運動のいくつかのサンプル点451~454を、各点の姿勢ベクトル461~464ならびに姿勢ベクトル461~464に対する限界円錐481~484および限界セクタとともに示す。プロセッサ105は、各姿勢角に対して1つの予め定められた閾値の3つ組か、またはたとえば
図4cに示すとおり、現在位置に頂点を有して姿勢ベクトルの方向に広くなる、姿勢ベクトル461~464に対する許容円錐481~484と、許容される第3の姿勢角のセクタ471~474との組み合わせの形の予め定められた閾値に鑑みて、現在の運動(運動センサユニット)および予め定められた所望の運動の姿勢値の不一致のレベルに基づくように構成されてもよい。
【0056】
複数のセンサユニット
このシステムには2つ以上のセンサユニットが提供されてもよく、プロセッサは2つまたはそれ以上のセンサおよびそれらの位置関係を取り扱うように構成されてもよい。このことによって、2つ以上の身体の部分の同時または逐次の調査が可能になってもよい。たとえば、1つのセンサを腕に取り付け、別のセンサを腰に取り付ければ、腕の運動および腰の運動の両方およびそれらの関係を調査することができるはずである。
【0057】
たとえば、ゴルフというスポーツにおける一般的な誤りは、腰の代わりにクラブまたは腕でダウンスイングを開始することである。こうした誤りは、タイミングの失敗またはときにはシーケンスの失敗と呼ばれる。こうしたタイミングの失敗またはシーケンスの失敗は、異なる身体部分および/または道具に接続する2つまたはそれ以上のセンサユニットを有するように構成されたデバイスの補助によって補正できるはずであり、すなわちゴルフスイングにおいては1つのセンサが左手首に、別のセンサが左腰に接続されてもよい。次いで、正しいダウンスイングシーケンスを開始するための動作シーケンスの比較が行われてもよい。
なお、本発明の実施の態様は、つぎのとおりである。
[1]
身体運動を実行または改善することを助ける、人物または動物に対する運動訓練補助具システムであって、前記システムは、
- 前記人物の身体の部分または前記人物によって使用される道具に容易に取り付け可能であるように構成された運動センサユニット(110)、
- 制御ユニット(120)、または制御ユニット(120)との通信を容易にするための通信手段、
- プロセッサ(105)、
- メモリ(118)、
- 前記人物の前記身体に取り付け可能であり、かつコマンドを受信した際に前記人物によって知覚可能な刺激を誘発できる刺激装置(102)、を含み、
前記運動センサユニット(110)は前記プロセッサ(105)に運動データを提供するように構成され、前記プロセッサは前記運動センサユニット(110)からの前記運動データに基づいて、前記運動センサユニット(110)の以後の3次元的位置を定めて追跡するように構成され、前記プロセッサ(105)は、前記プロセッサによって追跡された前記運動センサユニット(110)位置と、前記メモリ(118)に保存された基準トラックとを比較し、前記基準トラックに対する前記運動センサユニット位置に依存して、前記運動センサユニット(110)が前記基準トラックから特定のレベルの偏差に達したときに刺激を誘発するためのコマンドを前記刺激装置(102)に送るように構成され、
前記刺激装置(102)によって誘発される前記刺激は触覚刺激、電気刺激、光刺激、聴覚刺激、熱刺激、もしくは冷刺激、またはそれらの組み合わせの群より選択される、システム。
[2]
前記刺激は電気刺激である、[1]に記載のシステム。
[3]
前記プロセッサはさらに、または代替的に、運動センサ姿勢角と基準角度とを比較するように構成される、[1]または[2]に記載のシステム。
[4]
前記電気刺激は、一部またはほとんどの人物によって痛いと知覚されるほど強く配置される、[2]および[2]に従属する[3]のいずれか一項に記載のシステム。
[5]
前記刺激は、好ましくは50ミリ秒(ms)未満、またはより好ましくは20ms未満、または最も好ましくは10ms未満の遅延を有して誘発される、[1]~[4]のいずれか一項に記載のシステム。
[6]
身体運動を改善するために運動センサユニットを提供された人物に対する訓練補助具のための方法であって、前記方法は、
- 運動センサユニットデータを受信するステップ(215)、
- センサユニットデータに基づいて前記センサユニットの現在位置を定めるステップ(220)、
- 定められた(220)前記センサユニットの現在の運動位置値と、予め定められた所望の運動の対応する位置値とを比較するステップ(225)、
- 前記現在の運動および前記予め定められた所望の運動の前記位置値の不一致のレベルに基づいて刺激を発行するステップ(230)、を含む、方法。
[7]
定められた前記センサユニットの前記現在の運動位置値と、予め定められた所望の運動の前記対応する位置値とを前記比較するステップは、定められた前記センサユニットの前記現在位置と、前記所望の運動の連続的な位置値を表す基準運動とを比較するステップを含み、前記現在位置と前記所望のトラックとの算出距離として偏差が定められ、前記基準運動トラックの終端に達する前に前記偏差が予め定められた最大許容偏差よりも大きくなったときにのみ刺激が発行される、[6]に記載の方法。
[8]
身体運動を実行または改善することを助ける、人物または動物に対する運動訓練補助具システムであって、前記システムは、
- 前記人物の身体の部分または前記人物によって使用される道具に容易に取り付け可能であるように構成された運動センサユニット(110)、
- 制御ユニット(120)、または制御ユニット(120)との通信を容易にするための通信手段、
- プロセッサ(105)、
- メモリ(118)、
- 前記人物の前記身体に取り付け可能であり、かつコマンドを受信した際に前記人物によって知覚可能な刺激を誘発できる刺激装置(102)、を含み、
前記運動センサユニット(110)は前記プロセッサ(105)に運動データを提供するように構成され、前記プロセッサは前記運動センサユニット(110)からの前記運動データに基づいて、前記運動センサユニット(110)の以後の姿勢角を定めて追跡するように構成され、前記プロセッサ(105)は、前記運動が続く際に前記運動センサユニット(110)姿勢角と、所望の運動を表す前記メモリ(118)内の基準姿勢角とを比較し、一致または不一致の程度に依存して、前記運動センサユニット(110)が前記基準運動姿勢角から特定のレベルの偏差に達したときに刺激を誘発するためのコマンドを前記刺激装置(102)に送るように構成され、
前記刺激装置(102)によって誘発される前記刺激は触覚刺激、電気刺激、光刺激、聴覚刺激、熱刺激、もしくは冷刺激、またはそれらの組み合わせの群より選択される、システム。
[9]
身体運動を実行または改善することを助ける、人物または動物に対する運動訓練補助具システムであって、前記システムは、
- 前記人物の身体の部分または前記人物によって使用される道具に容易に取り付け可能であるように構成された運動センサユニット(110)、
- 制御ユニット(120)、または制御ユニット(120)との通信を容易にするための通信手段、
- プロセッサ(105)、
- メモリ(118)、
- 前記人物の前記身体に取り付け可能であり、かつコマンドを受信した際に前記人物によって知覚可能な刺激を誘発できる刺激装置(102)、を含み、
前記運動センサユニット(110)は前記プロセッサ(105)に運動データを提供するように構成され、前記プロセッサは前記運動センサユニット(110)からの前記運動データに基づいて、前記運動センサユニット(110)の以後の運動パラメータを定めて追跡するように構成され、前記プロセッサ(105)は、前記運動が続く際に前記運動センサユニット(110)運動パラメータと、所望の運動を表す前記メモリ(118)内の基準運動パラメータとを比較し、一致または不一致の程度に依存して、前記運動センサユニット(110)が前記基準運動パラメータ(単数または複数)から特定のレベルの偏差に達したときに刺激を誘発するためのコマンドを前記刺激装置(102)に送るように構成され、
前記刺激装置(102)によって誘発される前記刺激は触覚刺激、電気刺激、光刺激、聴覚刺激、熱刺激、もしくは冷刺激、またはそれらの組み合わせの群より選択される、システム。
【符号の説明】
【0058】
101 身体運動捕捉デバイス
105 プロセッサ
110 運動センサユニット
118 メモリ
120 制御ユニット
205~230
図2aのフローチャートのブロック
305~344
図2bのフローチャートのブロック
350 ゴルファーの身体
352 手首
355 ゴルフクラブ
357 ゴルフクラブヘッド
359 許容運動の(仮想)チューブ
360 ゴルフクラブヘッドのトラック(バックスイング)
362 ゴルフクラブヘッドのトラック(ダウンスイング)
370 身体
371 センサユニットの取り付けの代替的または付加的な部位
372 運動センサユニットを有するブレスレット
374 取り付けられた刺激装置ユニット
376~378 センサユニットおよび/または刺激装置の取り付けのさらなる代替的または付加的な部位
410 基準運動トラック
420 現在の運動トラック
422 現在位置
425 限界を逸脱する事象
431 仮想チューブの限界円
432 仮想チューブの限界円
433 仮想チューブの限界円
441 仮想チューブ
443 基準トラック
451~456 位置
461~465 姿勢ベクトル
471~474 許容される(第3の)姿勢角のセクタ
476 第3の姿勢角
481~484 許容角度の円錐
491 運動開始シーケンス
551 原点
552 別の原点
505~530
図5のフローチャートのブロック
605~644
図6のフローチャートのブロック
A. 開始位置
B. 動作の検出、開始チューブの終端
C. 制限された通路の例
D. バックスイングの頂部、ダウンスイングの開始
A. ボールを打つこと
E. 許容運動のチューブの終端