(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】押出装置の診断トラブルシューティングシステム
(51)【国際特許分類】
B29C 48/92 20190101AFI20230224BHJP
G01M 99/00 20110101ALI20230224BHJP
B29C 48/96 20190101ALI20230224BHJP
【FI】
B29C48/92
G01M99/00 Z
B29C48/96
(21)【出願番号】P 2021513867
(86)(22)【出願日】2019-09-13
(86)【国際出願番号】 US2019051009
(87)【国際公開番号】W WO2020056253
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-05-12
(32)【優先日】2018-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513270394
【氏名又は名称】デービス-スタンダード, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアーノ ジョン ピー
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-031731(JP,A)
【文献】特開2003-311816(JP,A)
【文献】特開平08-142160(JP,A)
【文献】特開2009-131965(JP,A)
【文献】特開2002-178392(JP,A)
【文献】特開2018-039122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/00 - 48/96
G01M 13/00 - 13/045
G01M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断システム(100
、100’)を有する押出装置(140
、140’)であって、前記押出装置(140
、140’)は、
バレル(140B
、140B’)内で回転するように配置された押出機スクリュー(140A
、140A’)、前記バレル(140B
、140B’)を囲むシュラウドアセンブリ(141A、141B、141C
、141A’、141B’、141C’)、前記バレル(140B
、140B’)と
熱連通している少なくとも1つのヒータ(145A、145B、145C
、145A’、145B’、145C’)および少なくとも1つのクーラシステム(143A、143B、143C
、143A’、143B’、143C’)を備える温度制御システムを備える材料加工区画(140M
、140M’)と、
速度変動装置(152
、152’)と通信する駆動ユニット(154
、154’)を備える速度制御装置(150
、150’)であり、前記速度変動装置(152
、152’)は、前記押出機スクリュー(140A
、140A’)を回転させるために前記押出機スクリュー(140A
、140A’)に結合されている、速度制御装置(150
、150’)とを備え、
前記材料加工区画(140M
、140M)および前記速度制御装置(150
、150’)と通信している診断システム(100
、100’)であり、前記診断システム(100
、100’)は、
(a)前記材料加工区画(140M
、140M’)および前記速度制御装置(150
、150’)
と通信する第2のセンサシステム(120D、120D’)と通信する
第1のセンサシステム(120A、120B、120C
、120A’、120B’、120C’)と、
(b)前記
第1のセンサシステム
(120A、120B、120C、120A’、120B’、120C’)および
前記第2のセンサシステム(120D、120D’)ならびにコンピュータ(116
、116’)と通信するコンピュータプロセッサコントローラ(112
、112’)であって、前記コンピュータプロセッサコントローラ(112
、112’)は、少なくとも1つのアルゴリズムを利用し、前記材料加工区画(140M
、140M’)および前記速度制御装置(150)の性能を特徴付ける信号(133、134
、133、134)を生成するように前記コンピュータ(116
、116’)によって実行可能であるコンピュータ可読媒体(114
、114’)を備える、コンピュータプロセッサコントローラ(112
、112’)と、
(c)前記コントローラ(112、112’)と通信するデータ記憶デバイス(118、118’)であって、前記データ記憶デバイス(118、118’)は、性能情報の履歴を記憶するように構成されており、前記少なくとも1つのアルゴリズムは、現在の動作構成の前記性能情報と、前記性能情報の履歴との比較を生成するように構成されている比較モジュールを含む、データ記憶デバイス(118、118’)とを備え、
前記少なくとも1つのアルゴリズムは、前記現在の動作構成を使用して、前記現在の動作構成の前記性能情報と、前記性能情報の履歴との比較に基づいて、前記バレル(140B、140B’)、前記スクリュー(140A、140A’)、および前記速度制御装置(150、150’)のメンテナンス推奨を識別するように構成された予測モデルを含み、前記予測モデルは、前記スクリューの材料構成、動作条件、加工される材料、押出機出力および動作時間に基づいて前記スクリュー(140A、140A’)および前記バレル(140B、140B’)の残り寿命を計算するように構成されていることを特徴とする、
押出装置(140
、140’)。
【請求項2】
前記信号は、
(a)ヒータ導通診断データ、ヒータ抵抗診断データ、ソレノイド診断データ、スクリュー振動診断データ、バルブ診断データ、漏れデータ、流れ閉塞データ、熱電対診断データ、ブロワ診断データ、および冷却システム診断データのうちの少なくとも1つ
と、
(b)ギアボックス診断データ、モータ診断データ、ベアリング診断データ、モータおよびギアボックス振動診断データ、ベアリング診断データ、ならびに潤滑診断データのうちの少なくとも1つと、を含む、
請求項1に記載の押出装置。
【請求項3】
前記コントローラと通信するディスプレイ(130
、130’)をさらに備え、
前記ディスプレイは、アルゴリズムによって生成されるダッシュボードによって構成され、前記ディスプレイ(130、
130’)は、
前記ダッシュボード内の期待値からの偏差の形態の診断指標(133、134、
133’、134’)を提示するように構成されている、
請求項1に記載の押出装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのセンサシステム(120
、120’)が、ゾーンアンペア使用量の監視装置を更に備える、
請求項1に記載の押出装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのセンサシステム(120
、120’)は、前記速度制御装置(150
、150’)内の潤滑油量の充足性を監視するように構成され、潤滑油が不十分である状態が発生したときに警報をトリガする、
請求項1に記載の押出装置。
【請求項6】
前記診断システムは、前記駆動ユニットへの電流が不十分であるときに警報を生成するように構成されている、
請求項1に記載の押出装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのセンサシステム(120
、120’)が、オイルフィルタ差圧センサを更に備える、
請求項1に記載の押出装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのセンサシステム(120
、120’)が、前記押出装置(
140
、140’)の動きを検出する運動センサを更に備える、
請求項1に記載の押出装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのセンサシステム(120
、120’)が、前記押出装置(140
、140’)から押し出されている製品の寸法を測定するように構成されたセンサを更に備える、
請求項1に記載の押出装置。
【請求項10】
前記コントローラは、前記材料加工区画(140M
、140M’)および前記速度制御装置(150
、150’)のうちの少なくとも1つと通信し、制御するための制御信号発生器(160
、160’)を備える、
請求項1に記載の押出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、押出装置の診断トラブルシューティングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
押出デバイスは、材料を溶融、混合、および成形して所望の形状にするために使用される。典型的な押出デバイスは、温度制御された円筒形のバレル内に同軸に収容された回転スクリューを含む。スクリューはバレル内で回転し、プラスチックなどの押出材料を駆動してバレルに通す。押出材料は、バレルの端にあるダイまたは開口を通して押し出される。スクリューの回転速度は、典型的には、適切な温度において押し出された材料の所定の流れが得られるように、コントローラを介して制御される。
【0003】
押出材料の温度は通常、バレル内で制御されて、所望の特性を有し、ダイを通して押し出されるための適切な一貫性を有する製品を達成する。例えば、バレル内の温度は、ヒータ(例えば、電子コイルヒータ)およびクーラ(例えば、水または空気循環熱交換器)を使用して制御される。
【0004】
コントローラは、バレルの長さに沿った様々な位置において押出装置のバレル内およびその周囲に位置付けられた温度センサから信号を受信する。コントローラは、所与の熱交換ゾーンの温度が、その熱交換ゾーンの温度設定点に対して低すぎるか、または、高すぎるかを判定する。差がある場合、コントローラは、適切なヒータまたはクーラに、特定のゾーンの熱を増大または低減するようにシグナリングする。
【0005】
従来技術の押出システムは、Christianoらの米国特許第9,266,274号明細書およびChristianoらの米国特許第9,782,922号明細書に開示されている。
図1を参照すると、これらの押出システムは特に、押出装置40のバレルと熱連通している複数のヒータを備えた
複数のヒータ-クーラシステム
43を具体的に開示している。
図1に示されるように、ヒータ-クーラシステム43の各々は、それに接続されたブロワ57を備えた吸気ポート55を含む。図2に示すように、押出装置40は、複数のヒータ45、46、47を含む。
【0006】
図3には、例えば、1つのシュラウドアセンブリ51が示されている。しかしながら、押出装置40は、互いに隣接し、図1に示されるヒータ-クーラシステム43の各々に対応する複数のシュラウドアセンブリ51を含む。図3に示すように、シュラウドアセンブリ51の各々は、吸気ポート55と、吸気ポート55に接続されたブロワ57
(図1参照)を備えた排気ポート56とを有する。
図1に示されるブロワ57は、空気を空洞に送達する。シュラウドアセンブリ51の各々の一部分は、可動フラップ58Fを有する排気ポート56を含む。図1に示すブロワ57の動作は、
図3に示すように空洞内の圧力を増加させ、フラップ58Fを開く。
図1に示されるブロワ57が停止されると、図3に示されるフラップ58Fは、閉位置において空洞をシールする。
【0007】
前述の従来技術の押出システムは、予期しないダウンタイムを引き起こし、生産性および収益性の低下をもたらす構成要素の故障を経験する。押出システムの構成要素の故障は、これらに限定されないが、ベアリングの摩耗によるモータおよびギアボックスの故障、押出装置および下流の構成要素のヒータの故障、加工の問題を引き起こすスクリューおよびバレルの過度の摩耗、ならびに、電気構成要素の故障(モータ駆動制御システムなど)を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第9,266,274号明細書
【文献】米国特許第9,782,922号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
中国実用新案登録第202021800号明細書は、断熱層、電磁誘導コイル、および温度測定要素を含む、プラスチック押出デバイスのための空冷電磁加熱デバイスを開示している。
【0010】
CN10279500は、ホース押出機、ホースフリーザ、鋼線巻き取り機、およびそのトラクタ、ならびに他の関連機器を含む、巻線ホースリンケージ製造方法およびそのデバイスの製造方法を開示している。
【0011】
特開昭61-241124号公報は、プラスチック材料の溶融過程を有する押出機、射出成形機、および吹込成形機等のプラスチック成形機、ならびに、プールおよび溶融ゾーンにおける輸送と混合の自動診断を行う制御システムを開示している。
【0012】
特開昭63-31731号公報は、溶融プラスチック材料を成形する押出機などの、押出成形機、射出成形機および吹込成形機の制御方法を開示している。
【0013】
米国再発行特許第31,903号明細書は、バレルを取り囲み、押出機バレルと熱交換するための熱交換要素を提供するシェルを含むシステムにおける押出機バレルの動作温度の制御を開示している。
【0014】
国際公開第01/58667号パンフレットは、実際のスクリュー速度を決定するための手段を含み、複数のスクリュー速度を記憶するための手段を有する押出機バレルのための押出機温度コントローラを開示している。
【0015】
米国特許出願公開第2018/0180516号明細書は、振動を生成するリアルタイム診断装置および複数のセンサが装置に設置されているか、または装置の近くに取り付けられている静止装置のための方法を開示している。
【0016】
米国特許第4,784,595号明細書は、熱可塑性材料を押し出すための装置を開示しており、押出機スクリュー、および、供給開口部を備えた押出機ハウジングを備えた押出機と、供給デバイスと、可変速度モータを備えた駆動装置と、質量温度の調整装置カスケードとを備える。
【0017】
欧州公開特許第2 975 480号明細書は、産業用監視システムにおいて第1の機器の選択の指示を受信するためのシステムおよび方法を開示している。システムおよび方法はまた、第1のセンサに対応するプロットにおいて関心のある第1の特徴を決定することを含む。さらに、システムおよび方法は、関心のある第1の特徴を、第2のプロットにおける対応する関心のある第2の特徴と照合することを含む。さらに、システムおよび方法は、関心のある第1の特徴および対応する関心のある第2の特徴に少なくとも部分的に基づいて、第1のプロットを第2のプロットと重ね合わせることを含む。
【0018】
スペイン公開特許第2532750号明細書は、製造データ、および、製造段階の各製造サイクルを評価するための専門家モデルを生成し、そのようなツールを組み込んだ製造機械に必要な自律制御動作を順序付ける学習段階における各サイクルの結果の専門家評価の取得および記憶が可能な製造ツールに恒久的に設置されたインテリジェントモジュール(コンピュータなど)を使用する方法に関する。
【0019】
米国特許出願公開第2016/0236392号明細書は、連続自動動作中に検出される測定値に従って、事前設定された成形状態の適切性を診断することができる成形状態診断デバイスに関する。
【0020】
したがって、前述の問題に対処するために、構成要素の故障を識別する、押出装置の診断トラブルシューティングシステムが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本明細書には、診断システムを含む押出装置が開示されている。押出装置は、バレル内で回転するように配置された押出機スクリューを含む材料加工区画を含む。シュラウドアセンブリがバレルを囲んでいる。押出装置は、バレルと熱伝導的に連通している1つまたは複数のヒータおよび1つまたは複数のクーラシステムを有する温度制御システムを含む。押出装置は、速度変動装置と通信する駆動ユニットを有する速度制御装置を含む。速度変動装置は、バレル内で押出機スクリューを回転させるために押出機スクリューに結合されている。押出装置は、材料加工区画および/または速度制御装置と通信している診断システムを含む。診断システムは、(a)材料加工区画および/または速度制御装置と通信する1つまたは複数のセンサシステムと、(b)センサシステムおよびコンピュータと通信するコンピュータプロセッサコントローラとを含む。コンピュータプロセッサコントローラは、1つまたは複数のアルゴリズムを利用し、材料加工区画および/または速度制御装置の性能を特徴付ける信号を生成するようにコンピュータによって実行可能であるコンピュータ可読媒体を含む。
【0022】
一実施形態では、信号は、ヒータ導通診断データ、ヒータ抵抗診断データ、ソレノイド診断データ、スクリュー振動診断データ、バルブ診断データ、漏れデータ、流れ閉塞データ、熱電対診断データ、ブロワ診断データ、および/または冷却システム診断データを含む。
【0023】
一実施形態では、信号は、ギアボックス診断データ、モータ診断データ、ベアリング診断データ、モータおよびギアボックス振動診断データ、ベアリング診断データ、ならびに/または潤滑診断データを含む。
【0024】
一実施形態では、アルゴリズムは、押出装置の部分の残りの寿命を識別するように構成された予測モデルを含む。
【0025】
一実施形態では、押出装置は、コントローラと通信しているデータ記憶デバイスを含む。データ記憶デバイスは、性能情報の履歴を記憶するように構成されている。アルゴリズムは、現在の動作構成の性能情報を履歴と比較し、予測寿命メッセージおよび/またはメンテナンス推奨を生成するように構成された比較モジュールを含む。
【0026】
一実施形態では、ディスプレイが、コントローラと通信しており、ディスプレイは診断指標を提示するように構成される。
【0027】
一実施形態では、センサシステムは、押出装置によって消費される電流を監視するためのセンサを含む。
【0028】
一実施形態では、センサシステムは、速度制御装置内の潤滑油量の充足性を監視するように構成され、潤滑油が不十分である状態が発生したときに警報をトリガする。
【0029】
一実施形態では、診断システムは、駆動ユニットへの電流が不十分であるときに警報を生成する。
【0030】
一実施形態では、センサシステムは、オイルフィルタ差圧センサを含む。
【0031】
一実施形態では、センサシステムは、押出装置の動きを検出する運動センサを含む。
【0032】
一実施形態では、センサシステムは、押出装置から押し出された製品の寸法を測定するセンサを含む。
【0033】
一実施形態では、コントローラは、材料加工区画および/または速度制御装置と通信し、制御するように構成された制御信号発生器を含む。
【0034】
本明細書には、押出装置の診断システムが開示されている。診断システムは、コンピュータプロセッサコントローラ、コンピュータ、および1つまたは複数のセンサシステムを含む。コンピュータプロセッサコントローラは、コンピュータと通信し、1つまたは複数のアルゴリズムを利用するコンピュータ可読媒体を含む。コンピュータはアルゴリズムを実行して、押出装置の性能部分または全体の診断指標を生成する。センサシステムは、コントローラと通信し、コントローラに信号を送信する。センサシステムは、押出装置の温度制御システムおよび/または速度制御装置と通信する。診断指標は、温度制御システムおよび/または速度制御装置に関する性能情報を含む。
【0035】
一実施形態では、温度制御システムに関する性能情報は、ヒータ導通診断データ、ヒータ抵抗診断データ、ソレノイド診断データ、スクリュー振動診断データ、バルブ診断データ、漏れデータ、流れ閉塞データ、熱電対診断データ、ブロワ診断データ、および/または冷却システム診断データを含む。
【0036】
一実施形態では、速度制御装置に関する性能情報は、ギアボックス診断データ、モータ診断データ、ベアリング診断データ、モータおよびギアボックス振動診断データ、ベアリング診断データ、ならびに潤滑診断データを含む。
【0037】
一実施形態では、アルゴリズムは、押出装置の部分の残りの寿命を識別するように構成された予測モデルである。
【0038】
一実施形態では、診断システムは、コントローラと通信しているデータ記憶デバイスを含む。データ記憶デバイスは性能情報の履歴を記憶し、アルゴリズムは、予測寿命メッセージおよびメンテナンス推奨を生成するために、現在の動作構成の性能情報を履歴と比較する比較モジュールを含む。
【0039】
一実施形態では、診断システムは、コントローラと通信しているディスプレイを含む。ディスプレイは診断指標を提示する。
【0040】
一実施形態では、コントローラは、バレル温度制御システムおよび/または速度制御システムと通信し、制御する制御信号発生器を含む。
【0041】
一実施形態では、制御信号発生器は、アルゴリズムに基づいて制御信号を生成する。
【0042】
一実施形態では、センサシステムは、押出装置によって消費される電流を測定するための監視装置を含む。
【0043】
一実施形態では、センサシステムは、速度制御装置内の潤滑油量の充足性を監視するように構成され、潤滑油が不十分である状態が発生したときに警報をトリガする。
【0044】
一実施形態では、診断システムは、駆動ユニットへの電流が不十分であるときに警報を生成する。
【0045】
一実施形態では、センサシステムは、オイルフィルタ差圧センサを含む。
【0046】
一実施形態では、センサシステムは、押出装置の動きを検出する運動センサを含む。
【0047】
一実施形態では、センサシステムは、バレルから押し出される製品の寸法を測定する。
【0048】
一実施形態では、診断システムは、複数のヒータおよび/またはクーラに結合されたバレルを含む押出装置に対して使用される。供給ホッパがバレルに材料を供給する。スクリューがバレル内で回転的に支持され、速度変動装置がスクリューに結合されている。駆動ユニットが、速度変動装置に結合されている。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】従来技術のシングルバレル押出機の斜視図である。
【
図2】従来技術の押出機のバレルと熱連通している3つのヒータの斜視図である。
【
図3】従来技術のヒータ-クーラシステムの一部の図である。
【
図4A】本開示による空冷押出システムの診断トラブルシューティングシステムの概略図である。
【
図4B】本開示による液冷押出システムの診断トラブルシューティングシステムの概略図である。
【
図5】本開示によるヒータシステム診断ダッシュボードを示す図である。
【
図6A】4つのゾーンにおいて
図5のダッシュボードによって記録された温度応答を経時的に示す折れ線グラフである。
【
図6B】本開示による温度センサのステータスを含む診断ダッシュボードを示す図である。
【
図7】本開示によるブロワの診断ダッシュボードを示す図である。
【
図8】本開示によるギアボックスアセンブリの診断ダッシュボードを示す図である。
【
図9】本開示によるベアリング測定値を含む診断ダッシュボードを示す図である。
【
図10】ステータスインジケータとともに
図9の診断ダッシュボードによって記録されるベアリング測定値を示すヒストグラムである。
【
図11】本開示によるギアボックスアセンブリの診断ダッシュボードを示す図である。
【
図12】
図11の診断ダッシュボードに提示された測定値を評価する診断ダッシュボードを示している。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図4Aに最もよく示されるように、診断システム100は、押出装置140の制御部に統合されている。診断システム100は、押出装置
140の構成要素が適切に機能していることを確認し、異常な動作を識別し、異常な動作を診断し、異常な動作を修復するための措置を提案する。診断システム100は、本明細書において説明されるような4つのセンサシステム120A、120B、120C、120Dを有して示されている。
センサシステム120A、120B、および120Cは、図4Aでは、要素番号120を有する括弧によって集合的に参照されている。センサシステム120A、120B、120C、120Dは、温度センサ(例えば、熱電対)、振動センサ、液位センサ、気流センサ、押し出された材料の厚さを測定するための厚さ計センサ、電流センサ、速度センサ、化学分析センサ(例えば、速度制御装置内の油の状態をテストするための)、電気抵抗センサ、漏れ検出センサ、ノイズ監視センサ、圧力センサ、変位センサ、および電気的導通センサを含む。診断システムは、アルゴリズムを適用して、押出装置140の性能を決定し、例えば、押出
装置140の構成要素が許容可能な設計限界内で動作しているか否かを決定する。診断システム100は、4つのセンサシステム120A、120B、120C、120Dを有して示されているが、本発明は、4つより多いまたは少ないセンサシステムが使用されてもよいため、この点に関して限定されない。
【0051】
図4Aに示されるように、押出
装置140は、バレル140B(例えば、中空円筒形容器)内で回転するように配置された押出機スクリュー140Aを含む材料加工区画140Mを含む。押出機スクリュー140Aは、ベアリング140Xおよび140Yによってバレル140B内で支持されている。バレル140Bおよび
押出機スクリュー140Aは、3つのゾーン、すなわち、(1)供給ゾーン149F、(2)圧縮ゾーン149C、および(3)計量ゾーン149Mに分かれて指定されている。ホッパ144が、供給ゾーン149Fのバレル140Bの開口部においてバレル140Bに取り付けられて、ポリマーなどの押し出される材料をバレル140Bに供給する。押し出される材料は、ホッパ144を介して供給ゾーン149Fに供給され、材料は、
押出機スクリュー140Aの回転によって、矢印Fの方向において供給ゾーン149Fから圧縮ゾーン149Cへとバレル140Bを通じて推し進められ、計量ゾーン149Mに至る。材料は、
押出機スクリュー140Aの回転によって、計量ゾーン149Mからダイ140Dに押し出される。押出システム140
の材料加工区画140Mは、6つのゾーン
、すなわち、149F1、149F2、149C1、149C2、149M1および149M2が示されている
図5、
図6B、および
図7に示されるように、4つ以上のゾーンを有してもよい。
【0052】
図4Aに示されるように、3つのシュラウドアセンブリ141A、141B、および141Cがバレル140Bを取り囲み、シュラウドアセンブリ141A、141B、および141Cの各々は、それぞれのシュラウドアセンブリ141A、141Bおよび141Cとバレル140Bの外面との間に位置する空洞149A、149Bおよび149Cを画定する。シュラウドアセンブリ141A、141B、および141Cの各々は、それぞれ入口155A、155Bおよび155C、ならびに出口156A、156Bおよび156Cを有する。バレル140Bは、各々がそれぞれの入口155A、155Bおよび155Cならびに出口156A、156Bおよび156Cを有する3つのシュラウドアセンブリ141A、141Bおよび141Cを有して示されているが、バレル140Bは各々が1つまたは複数のそれぞれの入口および出口を有する3つより多いまたは少ないシュラウドアセンブリを有して構成されてもよいため、本発明は、この点に関して限定されない。
【0053】
図4Aに示されるように、温度制御システム142は、バレル140Bの温度を制御し、これは、
押出機スクリュー140Aおよびバレル140Bに含まれる押し出される材料(例えば、ポリマー)の温度に影響を与える。温度制御システム142は、互いに独立して制御することができる3つのヒータ145A、145Bおよび145C(例えば、電気抵抗ヒータ)を有して示されている。温度制御システム142は、3つのクーラシステム143A、143B、および143Cを有して示されている。クーラシステム143A、143Bおよび143Cならびにヒータ145A、145Bおよび145Cは、バレル140Bと熱連通している。クーラシステム143A、143B、および143Cの各々はそれぞれ、入口155A、155
B、および155Cにそれぞれ接続され、流体連通しているブロワ157A、157B、および157Cを有する。温度制御システム142は、3つのヒータ145A、145Bおよび145Cならびに3つのクーラシステム143A、143Bおよび143Cを有するものとして示され、説明されているが、温度制御システム142は、3つより多いまたは少ないヒータおよびクーラシステムを有してもよいため、本発明は、この点に関して限定されない。クーラシステム143A、143Bおよび143Cは、それぞれのブロワ157A、157Bまたは157Cを有すると説明されているが、
図4Bに示されるように、各クーラシステム143A、143Bおよび143Cは、複数のブロワ、ポンプおよび適切なバルブを有する冷却剤(例えば、水)の閉ループフロー回路を利用する液体ベースの冷却システム、またはそれらの組み合わせを利用してもよいため、本発明は、この点に関して限定されない。
【0054】
図4Aに示されるように、押出
装置140は、速度変動装置152(例えば、ギアボックス)と通信する駆動ユニット154(例えば、モータ、タービンなど)を有する速度制御装置150を含む。速度変動装置152は、バレル140B内で押出機スクリュー140Aを回転させるために押出機スクリュー140Aに結合されている。
【0055】
図4Aに示されるように、診断システム100のコンピュータプロセッサコントローラ112は、コンピュータ116と通信する。コンピュータプロセッサコントローラ112は、コンピュータ116によって実行可能な1つまたは複数のアルゴリズムを利用するコンピュータ可読媒体114を有する。センサシステム120A、120B、120C、120Dは、押出
装置140の性能を示すパラメータを測定し、このデータをコンピュータプロセッサコントローラ112に送信する。コンピュータ116は、アルゴリズムを実行して、センサシステム120A、120B、120C、120Dによって測定されたデータを解釈し、診断指標133、134を生成して、押出
装置140の一部および全体の性能を評価し、押出
装置140の
異常な動作に対する修復を提案する。センサシステム120A、120B、120C、120Dは、押出
装置140の個々の構成要素の性能を示すパラメータを測定する。制御信号発生器160が、押出
装置140の温度制御システム142および速度制御装置150と通信する。一実施形態では、制御信号発生器160は、アルゴリズムを使用して、ヒータ145A、145Bおよび145C、ブロワ157A、157Bおよび157Cの動作を調整し、ならびに、駆動ユニット154の速度を調整するなど、速度制御装置150への調整を介して
押出機スクリュー140Aの回転速度を調整する制御信号を生成する。一実施形態では、センサシステム120A、120B、120C、120Dは、押出
装置140の性能を示すパラメータを監視する。例えば、センサシステム120A、120Bおよび/または120Cは、押出
装置140の各ゾーン(すなわち、供給ゾーン149F、圧縮ゾーン149Cおよび計量ゾーン149M)のアンペア使用量(例えば、電流消費)を測定する。センサシステム120A、120Bおよび/または120Cは、ヒータ145A、145Bおよび145Cの各々、ならびに
ブロワ157A、157Bおよび157Cの各々のアンペア使用量を測定するように構成される。一実施形態では、診断システム100は、アルゴリズムを使用して、
センサシステム120A、120B、120C、120Dの測定値を解釈し、動作条件を、許容可能でありかつ設計限界内にある、設計限界から逸脱している、および、設計限界外にある、ならびに、メンテナンスが必要であるとして識別し、押出装置140の異常な動作を修正するための修復を提案する。
【0056】
診断指標133、134は、温度制御システム142および速度制御装置150の性能など、押出装置140の性能を示すパラメータを処理および分析するように構成されたアルゴリズムを使用して、コンピュータ可読媒体114によって生成される。温度制御システム142に関する性能情報は、限定ではないが、ヒータ導通診断データ、ヒータ抵抗診断データ、ソレノイド診断データ、スクリュー振動診断データ、バルブ診断データ、漏れデータ、流れ閉塞データ、熱電対診断データ、ブロワ診断データ、および冷却システム診断データを含む。速度制御装置150に関する性能情報は、限定ではないが、ギアボックス診断データ、モータ診断データ、ベアリング診断データ、モータおよびギアボックス振動診断データ、ベアリング診断データ、オイルフィルタ差圧データ、ならびに潤滑診断データを含む。一実施形態では、性能情報は、押出装置140自体の動きの監視を含む。一実施形態では、性能情報は、押出装置140によって加工されてダイ140Dを出ている間および/またはその後に押し出されている材料166を測定する計測システムからの寸法を含む。
【0057】
図4Aに示される実施形態では、データ記憶デバイス118はまた、コンピュータプロセッサコントローラ112と通信している。データ記憶デバイス118は、上記の性能情報の履歴を記憶するように構成されており、アルゴリズムは、予測寿命メッセージおよびメンテナンス推奨を生成するために、現在の動作構成の性能情報を、データ記憶デバイス118に記憶されている履歴と比較するように構成されている比較モジュールを含む。アルゴリズムは、押出装置140の部分の残りの寿命を識別するように構成された予測モデルを含む。診断チェックは、限定ではないが、モータ寿命、モータドライブ制御装置寿命、ギアボックスオイル寿命、押出機スクリュー寿命、押出機バレル寿命、押出機ヒータ寿命、押出機クーラ寿命、ライン構成要素ベアリング寿命、ライン構成要素ヒータ寿命、ライン構成要素クーラ寿命、ライン構成要素モータおよびドライブ寿命、ならびに測定システム構成要素寿命(放射源)を含む。診断チェックはまた、センサの読み値および性能データを履歴参照値と比較するようにも構成されている。
図4Bに示される診断システム100’は、図4Aに示される診断システム100と同様に構成され、図4Aを参照して本明細書に記載されるデータ記憶デバイス118と同様に機能するデータ記憶デバイス118’を有する。
【0058】
図4Aを参照すると、診断システム100は、コンピュータプロセッサコントローラ112と通信して診断指標133、134を提示するディスプレイ130(例えば、ビデオまたはコンピュータ画面、携帯電話デバイスなど)を含む。ディスプレイ130は、是正措置を講じる必要があるときにオペレータに警告するアラートをダッシュボードにグラフィックで表示する。アラートは、押出
装置140の動作全体を通じて例えば、(1)ダッシュボードが、押出装置140の構成要素のステータスをヒューマンマシンインターフェース(「HMI」)に表示する機械レベル、(2)警報が工場イントラネットシステム上でデータを送信することにより、必要なメンテナンスを工場サーバシステムに警告する工場レベル、および/または(3)情報が、企業全体にわたって通信するためにインターネット(またはクラウド)を介して外部ネットワークを使用して通信される企業レベルなど、組織のいくつかのレベルにおいて通信される。診断システム100は、企業レベルで送信されたアラートに基づいて、遠隔位置から操作されるように構成される。
図4Bに示される診断システム100’は、図4Aに示され、本明細書に記載されるディスプレイ130と同様に構成されたディスプレイ130’を有する。
【0059】
図5は、押出装置140および速度制御装置150の表133および概略
図134を含むヒータシステム診断ダッシュボード200の形態の指標133、134を示している。ダッシュボード200は、機械、工場、および/または企業レベルで表示される。押出装置140の
温度制御システム142の各ゾーンまたはバレルゾーン149F1、149F2、149C1、149C2、149M1、149M2の電気的および機械的システムチェック、ヒータ導通、ヒータ抵抗、熱電対、ならびに冷却サブシステムステータス(例えばソレノイド、ブロワ、バルブなど)に基づいて、診断システム100
(例えば、図4A参照)は、
図6B、
図7および
図8に関して本明細書に記載されるように、指標133、134を緑色、黄色、および/または赤色のインジケータとして表示する。診断システム100は、ヒータの起動時に各ヒータ145A、145B、145Cの電気的導通および抵抗を測定し、アルゴリズムは、測定された電気的導通および抵抗を、
例えば図4Aに示すデータ記憶デバイス118に記憶された参照値と比較する。いくつかの実施形態では、導通および抵抗の測定値は、メンテナンスのためにダッシュボード上で表にされている。診断システム100は、アルゴリズムを利用して、各ヒータ145A、145B、145Cの開回路状態および抵抗率を検出し、測定された開回路状態および抵抗率が予測値と矛盾する場合、診断システム100は、警報を生成および開始し、是正措置を提案する。
【0060】
図4Aに示すセンサシステム120A、120B、120C、120Dは、押出装置140の様々な構成要素を操作し、期待される応答をチェックすることによって、正しい性能についてチェックされる。例えば、ヒータ145A、145Bおよび145Cは、温度を上昇させるように操作され、センサシステム120A、120Bおよび120C(例えば、温度センサ)の応答は、示された温度上昇を検証するためにチェックされる。
【0061】
図4Aを参照すると、押出装置140が指定された温度に到達し、定常状態条件において制御しており、押出システム14
0が材料を実行する前に(すなわち、
押出機スクリュー140Aが静止している)、アルゴリズムは、クーラシステム143A、143B、143Cを動作状態にし、または、動作状態にさせ(
例えば、ブロワ157A、157B、157Cを操作する)、アルゴリズムは、診断システム100に、センサシステム120A、120B、および120Cの応答を検査させる。
ゾーンの温度が参照値に従って低下しない場合、アルゴリズムは、ブロワ157A、158B、157Cをチェックし、冷却剤通路および空洞149A、149B、149Cの閉塞をチェックし、問題を修正するようにオペレータに通知する信号を生成する。
【0062】
図4Aを参照すると、診断システム100はまた、ブロワ157A、157B、157Cをチェックするためにパルス応答を開始する。動作温度において、アルゴリズムは、診断システム100に、各ブロワをパルスさせ、ブロワ157A、157B、157Cの応答を示す信号を生成する。ブロワ157A、157B、157Cが機能していない場合、アルゴリズムは、導通をチェックし、ブロワの流路が制限されているか否かをチェックし、ブレーカをチェックし、ブロワファンを検査し、および/または駆動ユニット154を交換するようにオペレータに警告する信号を生成する。
【0063】
図6Aに示されるように、診断指標133は、それぞれ各ゾーン149F、149C、および149Mについて、時間の関数としての温度のプロット301、302、および303を表示するグラフ300を含む。
【0064】
図6Bに示されるようなダッシュボード400は、指標133、134を、色分けシステムによる各ゾーン149F1、149F2、149C1、149C2、149M1、および149M2内の時間の関数としての温度変化のステータス(例えば、温度上昇または減少)を示す表133を伴う押出装置140
の材料加工区画140Mおよび速度制御装置150の概略
図134として表示する。ゾーン149F1、149F2、149C1、および149M2について、1分あたりの度数単位の温度上昇は、
図6Bに黒い円周の
白い円によって示されている緑色の点によって、許容可能な設計範囲内にあるとして示される。ゾーン149M1について、1分あたりの度数単位の温度上昇は、
図6Bに黒い円周で斜線入りの円によって示されている黄色の点によって、設計範囲の限界にあるかまたは逸脱しようとているものとして示される。ゾーン149C2について、1分あたりの度数単位の温度上昇は、
図6Bに黒一色の円として示されている赤色の点によって、設計範囲外であるとして示されている。アルゴリズムは、異常な温度または温度の上昇率を検出、診断、および報告するためのロジックを含む。センサシステム120A、120B、120C、120Dが異常な温度、例えば2000°Fを超える温度を検出した場合、アルゴリズムは、温度センサの破損の可能性を示し、センサシステム120A、120B、120C、120Dのうちの1つまたは複数における温度センサの交換が必要であることを推奨する警報を生成する。センサシステム120A、120B、120C、120Dが異常な温度、例えば周囲温度(例えば、華氏80度)を検出した場合、アルゴリズムは電気的導通をチェックする措置を生成し、温度センサ内の電気的短絡の可能性を示し、センサシステム120A、120B、120C、120Dの1つまたは複数における温度センサの交換を推奨する警報を生成する。
【0065】
アルゴリズムは、ヒータ145A、145B、145Cの電気的導通、アンペア負荷(例えば、電流消費)および抵抗率のチェックを引き起こし、導通、アンペア負荷および抵抗率が設計範囲内にあるか否かを判定する。アルゴリズムは、ヒータ145A、145B、145Cの動作状態(例えば、設計範囲内または設計範囲外)を示している。導通、アンペア負荷および抵抗率が確認され、加熱速度が参照値よりも大きい場合、アルゴリズムはヒータ145A、145B、および145Cの状態をオペレータに報告する。オペレータへのこの報告は、機械レベル、工場内のイントラネット、およびインターネットクラウドを介した企業プライズレベルで行われるように構成されている。
【0066】
図4Bに示すように、診断システム100’は、本明細書において説明されるような4つのセンサシステム120A’、120B’、120C’、120D’を有して示されている。センサシステム120A’、120B’、および120C’は、図4Bでは、要素番号120’を有する括弧によって集合的に参照されている。センサシステム120A、120B、120C、120Dは、温度センサ(例えば、熱電対)、振動センサ、液位センサ、気流センサ、押し出された材料の厚さを測定するための厚さ計センサ、電流センサ、速度センサ、化学分析センサ(例えば、速度制御装置内の油の状態をテストするための)、電気抵抗センサ、漏れ検出センサ、ノイズ監視センサ、圧力センサ、変位センサ、および電気的導通センサを含む。
診断システムは、アルゴリズムを適用して、押出装置140’の性能を決定し、例えば、押出装置140の構成要素が許容可能な設計限界内で動作しているか否かを決定する。
【0067】
図4Bに示されるように、診断システム100のコンピュータプロセッサコントローラ112’は、コンピュータ116’と通信する。コンピュータプロセッサコントローラ112’は、コンピュータ116’によって実行可能な1つまたは複数のアルゴリズムを利用するコンピュータ可読媒体114’を有する。センサシステム120A’、120B’、120C’、120D’は、押出装置140’の性能を示すパラメータを測定し、このデータをコンピュータプロセッサコントローラ112’に送信する。コンピュータ116’は、アルゴリズムを実行して、センサシステム120A’、120B’、120C’、120D’によって測定されたデータを解釈し、診断指標133’、134’を生成して、押出装置140’の一部および全体の性能を評価し、押出装置140’の異常な動作に対する修復を提案する。センサシステム120A’、120B’、120C’、120D’は、押出装置140’の個々の構成要素の性能を示すパラメータを測定する。制御信号発生器160’が、押出装置140’の温度制御システム142’および速度制御装置150’と通信する。
【0068】
図4Bに示すように、バレル140B’および押出機スクリュー140A’は、3つのゾーン、すなわち、(1)供給ゾーン149F’、(2)圧縮ゾーン149C’、および(3)計量ゾーン149M’に分かれて指定されている。ホッパ144’が、供給ゾーン149F’のバレル140B’の開口部においてバレル140B’に取り付けられて、ポリマーなどの押し出される材料をバレル140B’に、矢印Fの方向においてバレル140B’を通じて供給する。押出装置140’は、バレル140B’を取り囲む3つのシュラウドアセンブリ141A’、141B’、および141C’を含み、シュラウドアセンブリ141A’、141B’、および141C’の各々は、それぞれのシュラウドアセンブリ141A’、141B’および141C’とバレル140B’の外面との間に位置する空洞149A’、149B’および149C’を画定する。押出機スクリュー140A’は、ベアリング140X’および140Y’によって回転可能に支持されている。押し出される材料166’は、ダイ140D’においてそのバレル140Bを出る。押出
装置140
’は、
液体冷却剤を循環させる3つの液体ベースのクーラシステム143A’、143B’および143C’を有する温度制御システム142’を利用する。液体ベースのクーラシステム143A’は、循環ポンプP1と、
配管155’および入口155A’を介して空洞149A’と流体連通しているポンプ排出ライン166D’とを有する閉ループシステムである。バルブ・アクチュエータアセンブリV1(例えば、ソレノイドバルブまたはスロットルバルブ)が、排出ライン166D’内に配置されている。戻りライン166R’が、出口156A’を介して空洞149A’と流体連通している。戻りライン166R’は、例えば、熱交換器166H’の管側など、
配管156’を介して熱交換器166H’と流体連通している。熱交換器166H’に熱除去媒体(空気など)が通されて、そこを流れる冷却剤の温度が下げられる。バルブ・アクチュエータアセンブリV2およびV3(例えば、ソレノイドバルブ、遮断バルブ、またはシャットオフバルブ)が、それぞれ熱交換器166H’の上流および下流に配置される。熱交換器166H’は、ポンプ166Pへの入口と流体連通している。液体ベースのクーラシステム143B’および143C’は、
例えばポンプP1、バルブV1、V2、およびV3、それぞれの空洞149B’および140C’ならびにそれぞれの入口155B’および155C’、それぞれの出口156B’および156C’、ならびにそれぞれの配管155’および156’を介して、液体ベースのクーラシステム143A’と同様に構成されている。
【0069】
図4Bに示されるように、押出装置140’は、速度変動装置152’(例えば、ギアボックス)と通信する駆動ユニット154’(例えば、モータ、タービンなど)を有する速度制御装置150’を含む。速度変動装置152’は、バレル140B’内で押出機スクリュー140A’を回転させるために押出機スクリュー140A’に結合されている。
【0070】
図4Bを参照すると、診断システム100
’は、アルゴリズムを利用して、ヒータ145A’、145B’および145C’が所定の動作温度に達したのを受けて、例えば、バルブV1、V2およびV3のアクチュエータに対してパルスチェック(例えば、電気パルス)を開始することによって、バルブ・アクチュエータアセンブリV1、V2、およびV3のチェックを実施する。経時的な温度上昇が予想よりも低い場合、温度が設定値に到達しない場合、またはバルブV1、V2、および/もしくはV3の無負荷状態中に高い需要がある場合、アルゴリズムは、バルブV1、V2、V3のうちの1つまたは複数に漏れがあり、したがってバレル140Bが意図せず冷却されていることを識別する。パルスチェックに応答がない場合、アルゴリズムは、バルブV1、V2、V3の1つもしくは複数が閉じているか、または、冷却通路に閉塞があり、冷却が不十分である可能性があることを識別する。定常状態動作において、材料を加工する前に(スクリュー速度がゼロであるときに)、アルゴリズムが、アンペア負荷(例えば、電流消費)ならびに/またはヒータ145A、145B、および145Cへの需要が参照値よりも大きいと判定した場合、アルゴリズムは、バルブV1、V2、およびV2のうちの1つまたは複数に漏れがある可能性があることを示し、バルブV1、V2、およびV3の動作の診断チェックを開始する。
【0071】
図4Bを参照すると、押出装置140
’が指定された温度に到達し、定常状態条件において制御しており、押出システム
140’が材料を実行する前に(すなわち、
押出機スクリュー140A
’が静止している)、アルゴリズムは、クーラシステム143A
’、143B
’、143C
’を動作状態にし、または、動作状態にさせ(例え
ば、バルブV1、V2およびV3を開き、ポンプ166P’を作動させる)、アルゴリズムは、診断システム100に、センサシステム120A、120B、および120Cの応答を検査させる。ゾーンの温度が参照値に従って低下しない場合、アルゴリズム
は、バルブV1、V2、V3およびポンプ166P’をチェックし、冷却剤通路および空洞149A、149B、149Cの閉塞をチェックし、バルブV1、V2、もしくはV3の不注意な開閉などの問題を修正し、または流れの閉塞および/もしくは妨害を受けている構成要素(例えば、バルブV1、V2、V3)を交換するようにオペレータに通知する信号を生成する。
【0072】
図7は、押出装置140の概略
図134を、押出装置140のステータスを示す表133とともに含むダッシュボード500として、指標133、134を示している。ダッシュボード500は、ヒータ(例えば、ヒータ145A、145B、145C)の電気的導通および電気的抵抗のチェック、センサシステム120A、120B、120Cのチェック、および
図4Aに示すクーラシステム143A、143B、143Cのチェックに基づいてアルゴリズムによって生成される。ダッシュボードは、
ヒータ導通およびヒータ抵抗(例えば、図4Aに示されるヒータ145A、145B、145C
のステータス)、熱電対データ(例えば、図4Aに示す、材料加工区画140Mのセンサシステム120A、120B、120C
、および速度制御装置150のセンサシステム120Dに関する情報)および冷却サブシステムデータ(図4Aに示されるクーラシステム143A、143B、143C
のステータス)を色分けシステムによって示す表133とともに、押出装置140の概略
図134を含む。設計範囲内の許容値は、
図7に黒い円周の白い円によって示されている緑色の点によって示されており、設計範囲値の限界にあるかまたは逸脱しようとている値は、
図7に黒い円周で斜線入りの円によって示されている黄色の点によって示されており、設計範囲外の値は、
図7に黒一色の円として示されている赤色の点によって示されている。
【0073】
図8に示されるように、アルゴリズムは、
図4Aを参照して示し、説明されている診断システム100に、押出
装置140の機械的および電気的構成要素を監視させて、ベアリング、モータ、および電気的サブシステムデバイスの性能を測定させる。アルゴリズムは、測定された性能パラメータを履歴値と比較するか、予測モデルに基づいて解釈して、動作条件および動作時間の関数としての構成要素(ベアリングなど)の寿命を推定する。アルゴリズムは以下の式を利用する。
ベアリング寿命=f(動作条件,動作時間)
【0074】
図8は、
図4Aを参照して示し、説明されている診断システム100によって作成されるダッシュボード600として、指標133、134を示している。ダッシュボード600は、断面図において示される速度制御装置150の概略
図134と、高速、中速、低速スラストベアリングのステータス
ならびにオイルおよびオイルフィルタの寿命を含む速度変動装置152の構成要素のステータスを含む表133とを含む。オイルフィルタおよびオイル寿命は、履歴データまたは他の分析に基づくアルゴリズムによって予測される。
【0075】
図4Aを参照して示し、説明されている診断システム100は、振動センサを利用して、押出
装置140の速度制御装置150内のベアリングの性能ステータスを測定する。
図9に示されるように、指標133、134は、速度制御装置150の
速度変動装置152の断面画像134とともに、振動センサの測定値の表133を示すダッシュボード700の形で示されている。
図9に示す表133は、速度制御装置150からの動作中の振動測定値を示している。
図4Aに示すセンサシステム120Dは、速度制御装置150の振動レベルを測定し、その値を機械、工場、および/または企業レベルで記憶する。値は、
図4Aを参照して示し、説明されている診断システム100によって追跡され、アルゴリズムは、測定値を、履歴値、ならびに、動作条件および動作時間に基づいて他のアルゴリズムから生成される予測値と比較する。
【0076】
図10に示されるように、指標133は、
図4Aを参照して示し、説明されている診断システム100によって生成されるヒストグラム形式でプロットされた履歴データを示すグラフ800の形式で示されている。左軸またはy軸は色分けされており、許容範囲801の
第1の色(例えば、緑色)、警告範囲802の
第2の色(例えば、黄色)、緊急警報範囲803の
第3の色(例えば、赤色)を示している。ベアリングが緊急警報範囲803にある場合、
図4Aを参照して示し、説明されている診断システム100は、ベアリングの交換804または改修805の措置をとる必要があることをオペレータに警告する信号を生成する。
【0077】
図11に示されるように、指標133は、アルゴリズムによって生成されるダッシュボード900の形態である。ダッシュボード900は、速度制御装置150内の油温および圧力901、902、駆動ユニット154(
図4A参照)内の温度903(例えば、様々なモータ巻線およびヒートシンクの温度)、駆動ユニット154の
経過または残り寿命904、ならびに、駆動ユニット154および速度変動装置152を含む速度制御装置152
(図4A参照)の動作時間906および始動回数905を表示する。各値は、データ記憶デバイス118
(図4A参照)に記憶され、アルゴリズムによって参照値と比較される。データは、アルゴリズム内で、速度制御装置150の寿命を推定するために使用され、故障が発生する前に構成要素を交換するための警報を送信する。
【0078】
図12に示されるように、指標133は、アルゴリズムによって生成されるダッシュボード1000の形態で図示されている。ダッシュボード1000は、期待値と比較した、駆動ユニット154において測定された温度(例えば、様々なモータ巻線およびヒートシンクの温度1001)の期待値の偏差、期待値と比較した、駆動ユニット154において測定された温度1002の偏差、期待値と比較した、速度変動装置152(例えば、ギアボックス)内で測定された温度1003、1004、および速度変動装置152における圧力1005の偏差を表示する、
材料加工区画140Mを含む押出装置140および速度制御装置150の概略
上面図を含む。診断システム100のアルゴリズムは、不十分なモータアンペア数が検出されたとき、または他の機械的もしくは電気的システムが適切に機能していないときに警報を生成する。
【0079】
押出機スクリュー140Aおよびバレル140Bの摩耗もまた、診断システム100によって評価される。一実施形態では、アルゴリズムは、以下の式を使用してスクリューの寿命を計算する。
%スクリュー寿命=f(構造材料,動作条件,加工されている材料,動作時間)
【0080】
別の実施形態では、アルゴリズムは、履歴参照値を使用してスクリュー摩耗を計算する。アルゴリズムは、押出機スクリュー140Aが摩耗するにつれて、押出装置140の出力(例えば、lb/hr-rpm)が所与の回転速度において減少することを認識し、その出力を、押出システム140が新しかったときの参照値と比較する。アルゴリズムは、出力が定期的に測定され、データ記憶デバイス118に記憶され、参照値と比較されるようにする。出力は、機械、工場、および/または企業レベルにおいて診断システムによって通信される。診断システム100は、押出機スクリュー140Aのメンテナンスまたは交換が必要であるときを示す警報をオペレータに送信するように構成される。
【0081】
一実施形態では、アルゴリズムは、以下の式を使用してバレル140Bの寿命を計算する。
%バレル寿命=f(構造材料,動作条件,材料加工,動作時間)
【0082】
別の実施形態では、バレル140Bの摩耗は、履歴値を使用してアルゴリズムによって評価される。アルゴリズムは、バレル140Bが摩耗するにつれて、押出装置140の出力が所与の回転速度において減少することを認識する。アルゴリズムは、出力が定期的に測定され、データ記憶デバイス118に記憶され、参照値と比較されるようにする。出力は、機械、工場、および/または企業レベルにおいて診断システムによって通信される。診断システム100は、バレル140Bのメンテナンスまたは交換が必要であるときを示す警報をオペレータに送信するように構成される。
【0083】
一実施形態では、診断システムは、センサシステム120Dに、速度変動装置152内の潤滑油の存在(例えば、液位)および/または品質を監視させる。コンピュータプロセッサコントローラ112は、センサシステム120Dの測定値を解釈し、ステータスをオペレータに示す。一実施形態では、診断システム100は、潤滑油の不十分な存在を示すために、機械、工場、および/または企業レベルにおいて警報を生成する。
【0084】
本発明は、その特定の実施形態を参照して開示および説明されてきたが、他の変形および修正を行うことができ、以下の特許請求の範囲が本発明の真の範囲内の変形および修正をカバーすることが意図されることに留意されたい。