IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧 ▶ ローム アンド ハース カンパニーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】2成分溶媒ベースの接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/06 20060101AFI20230224BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20230224BHJP
   C08G 18/68 20060101ALI20230224BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20230224BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230224BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20230224BHJP
   B32B 15/095 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
C09J175/06
C09J11/06
C08G18/68
C08G18/00 B
B32B27/00 D
B32B27/40
B32B15/095
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021535233
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-08
(86)【国際出願番号】 CN2018122619
(87)【国際公開番号】W WO2020124543
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】シ、ルイ
(72)【発明者】
【氏名】チュー、ツァオホイ
(72)【発明者】
【氏名】チョン、カオピン
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-102387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
C08G 18/68
C08G 18/00
B32B 27/00
B32B 27/40
B32B 15/095
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2成分溶媒ベースの接着剤組成物であって、
(A)イソシアネート成分、
(B)ダイマー酸ポリエステルポリオール成分であって、
(i)ダイマー酸ポリエステルポリオール成分の総重量に基づく20重量%から60重量%のダイマー酸と、
(ii)ジカルボン酸と、
(iii)ポリオールとを含む反応混合物の反応生成物を含むダイマー酸ポリエステルポリオール成分、及び、
(C)溶媒、の反応生成物を含み、
100:5から100:35のポリオール:イソシアネートの重量比を有する、2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
【請求項2】
前記ジカルボン酸が、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、及びそれらの組合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
【請求項3】
前記ポリオールが、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、及びネオペンチルグリコール(NPG)、並びにそれらの組合わせからなる群から選択される、請求項1又は請求項2に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
【請求項4】
前記イソシアネートが多官能性イソシアネートである、請求項1~3のいずれか一項に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
【請求項5】
前記イソシアネート成分が2.2から5.0の平均NCO官能価を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
【請求項6】
ラミネートであって、
第1の基材と、
第2の基材と、
前記第1の基材と前記第2の基材との間の接着剤層であって、請求項1~のいずれか一項に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物から形成された接着剤層と、を含むラミネート。
【請求項7】
前記第1の基材が金属箔フィルムであり、前記第2の基材がポリエチレンフィルムであり、
ボイルインバッグ試験後の接着強度が4.0N/15mmから15N/15mmであり、
化学的エージング後の接着強度が2.0N/15mmから10N/15mmである、請求項に記載のラミネート。
【請求項8】
ボイルインバッグ試験後のヒートシール強度が35N/15mmから75N/15mmであり、
化学的エージング後のヒートシール強度が35N/mmから75N/15mmである、請求項に記載のラミネート。
【請求項9】
2成分溶媒ベースの接着剤組成物を形成する方法であって、
(i)ダイマー酸に由来する単位を20重量%から60重量%含むダイマー酸ポリエステルポリオール成分を得ること、
(ii)イソシアネート成分を得ること、及び、
(iii)前記ダイマー酸ポリエステルポリオール成分を前記イソシアネート成分と反応させて、2成分溶媒ベースの接着剤組成物を形成すること、を含み、
前記2成分溶媒ベースの接着剤組成物が100:5から100:35のポリオール:イソシアネートの重量比を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ラミネートは、従来、溶媒ベースの接着剤で形成されており、化学的エージングの後、及び/又は、ボイルインバッグ試験などの高温テストの後に接着性が低下する。これらのラミネートは、熱や化学物質にさらされた後の一定期間に十分な接着を必要とする食品包装などの多くのラミネート用途には適していない。接着が不十分な場合、ラミネート構造にバブリングや層間剥離などの欠陥が生じる。
【0002】
当技術分野は、熱及び/又は化学物質への曝露後に基材間に十分な接着性を示す溶媒ベースの接着剤の必要性を認識している。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、2成分溶媒ベースの接着剤組成物を提供する。2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、(A)イソシアネート成分、(B)ダイマー酸ポリエステルポリオール成分であって、(i)ダイマー酸ポリエステルポリオール成分の総重量に基づく20重量%から60重量%のダイマー酸と、(ii)ジカルボン酸と、(iii)ポリオールとを含む反応混合物の反応生成物を含むダイマー酸ポリエステルポリオール成分、及び、(C)溶媒、の反応生成物を含む。
【0004】
本開示はまた、2成分溶媒ベースの接着剤組成物を形成する方法を提供する。この方法は、(i)ダイマー酸ポリエステルポリオール成分の総重量に基づく20重量%から60重量%のダイマー酸に由来する単位を含むダイマー酸ポリエステルポリオール成分を得ること、(ii)イソシアネート成分を得ること、及び、(iii)ダイマー酸ポリエステルポリオール成分をイソシアネート成分と反応させて、2成分溶媒ベースの接着剤組成物を形成すること、を含む。
【0005】
定義
元素周期表への任意の参照は、CRC Press,Inc.,1990-1991によって出版されたものへの参照である。この表の或るグループの元素への参照は、グループに番号を付す新たな表記法によるものである。
【0006】
米国特許慣例の目的で、いかなる参照される特許、特許出願又は刊行物の内容も、特に、定義の開示(本開示に具体的に提供される任意の定義と矛盾しない程度において)及び当技術分野の一般的な知見に関して、それらの全体が参照により組み込まれる(又は、その米国版に相当するものが、参照によりそのように組み込まれる)。
【0007】
本明細書に開示される数値範囲は、下限値及び上限値を含む、下限値から上限値のすべての値を含む。明示的な値を含有する範囲(例えば、1、2、又は3~5、又は6、又は7の範囲)の場合、2つの明示的な値の間の部分範囲が含まれる(例えば、上記の範囲1~7には、部分範囲1~2、2~6、5~7、3~7、5~6など)。
【0008】
相反する記載がない限り、文脈から黙示的でない限り、又は当該技術分野で慣習的でない限り、すべての部及びパーセントは、重量に基づき、すべての試験方法は、本開示の出願日時点で最新のものである。
【0009】
「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、並びに組成物の材料から形成された反応生成物及び分解生成物を指す。
【0010】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、及びこれらの派生語は、任意の追加の成分、ステップ、又は手順が、本明細書で具体的に開示されているかに関わらず、それらの存在を除外するよう意図されない。疑義を回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を通じて特許請求されるすべての組成物は、反対の記載がない限り、ポリマーであろうとなかろうと、任意の追加の添加剤、アジュバント、又は化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、あらゆる続く記述の範囲からあらゆる他の成分、ステップ、又は手順を除く。「からなる」という用語は、具体的に描写又は列挙されていないあらゆる成分、ステップ、又は手順も除く。「又は」という用語は、特に明記しない限り、列挙されたメンバーを個別に、並びに任意の組合わせで指す。単数形の使用は、複数形の使用を含み、その逆も同じである。
【0011】
「ジカルボン酸」は、2つのカルボキシル(-COOH)基を含む化合物である。
【0012】
「イソシアネート」は、その構造に少なくとも1つのイソシアネート基を含有する化学物質である。イソシアネート基は、式:-N=C=Oで表される。2つ以上又は少なくとも2つのイソシアネート基を含むイソシアネートは、「ポリイソシアネート」又は「多官能イソシアネート」である。2つのイソシアネート基を有するイソシアネートはジイソシアネートであり、3つのイソシアネート基を有するイソシアネートはトリイソシアネートである、などなど。イソシアネートは、芳香族又は脂肪族であり得る。
【0013】
「ポリエステル」は、同じ原子の直鎖中に2つ以上のエステル結合を含む化合物である。
【0014】
「ポリエステルポリオール」は、ポリエステル及びポリオールである化合物である。好適なポリエステルポリオールの非限定的な例としては、ジオール、ポリオール(例えば、トリオール、テトラオール)、ジカルボン酸、ポリカルボン酸(例えば、トリカルボン酸、テトラカルボン酸)、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン、及びそれらの組合わせの重縮合物が挙げられる。ポリエステルポリオールはまた、遊離ポリカルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン酸無水物、又は低級アルコールに対応するポリカルボン酸エステルから誘導され得る。
【0015】
「ポリマー」は、同じ種類であるか異なる種類であるかに関わらず、モノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物である。したがって、ポリマーという総称は、「ホモポリマー」(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下で、1種類のモノマーのみから調製されたポリマーを指すために用いられる)、及び「インターポリマー」という用語を包含し、これはコポリマー(2つの異なる種類のモノマーから調製されたポリマーを指すのに用いられる)、ターポリマー(3つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを指すのに用いられる)、及び3つより多くの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを含む。微量の不純物、例えば、触媒残渣が、ポリマー中及び/又はポリマー内に組み込まれ得る。それはまた、すべての形態(例えば、ランダム、ブロックなど)のコポリマーも包含する。ポリマーは、しばしば、1つ以上の特定のモノマー「から作製されて」いること、特定のモノマー又はモノマーの種類「に基づいて」いること、特定のモノマー含有量「を含有して」いることなどが称されるが、この文脈において、「モノマー」という用語は、非重合種ではなく、特定のモノマーの重合レムナントを指していることが理解される。一般に、本明細書におけるポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づくものを指す。
【0016】
「ポリオール」は、複数のヒドロキシル(-OH)基を含有する有機化合物である。言い換えれば、ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシル基を含む。好適なポリオールの非限定的な例としては、ジオール(2つのヒドロキシル基を含有する)及びトリオール(3つのヒドロキシル基を含有する)が挙げられる。
【0017】
試験方法
酸価(又は酸性度指数)は、ASTM D1386/7に従って測定する。酸価は、成分又は組成物中に存在するカルボン酸の量の尺度である。酸価は、物質(例えば、エチレン系ポリマー又は分散剤)1グラム中に存在する遊離カルボン酸の中和に必要とされる水酸化カリウムのミリグラム数である。酸価の単位は、mg KOH/gである。
【0018】
ダイマー酸ポリエステルポリオールのダイマー酸含有量は、更新可能な含有量に基づいて、ASTMD6866に従って測定される。
【0019】
ヒドロキシル価(又は水酸基価値)は、成分又は組成物に存在するヒドロキシル基の数の尺度である。ヒドロキシル価は、1グラムの物質中のヒドロキシル基を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数である(mg KOH/g)。ヒドロキシル価は、DIN53240に従って決定される。
【0020】
イソシアネート基(NCO)の含有量(重量)は、ASTM D2572-97に従って測定される。
【0021】
重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)システムを使用して測定される。
【0022】
接着強度(90度T型剥離試験)
接着強度は、90度ハンドアシストT型剥離試験に従って測定される。ラミネートを、50℃のオーブンで2日間硬化した後、最初のT型剥離接着強度試験のために、「175mm×15mm」の帯状片にカットする(各帯状片の接着面積は「175mm×15mm」であった)。Instron5943ピールテスターは250mm/minのクロスヘッド速度に設定する。試験中、帯状片の尾部をわずかに指で引っ張って尾部が剥離方向に対して90度の方向に維持されていることを確かめる。平均接着強度(15ミリメートルあたりのニュートン(N/15mm))は、力対距離のプロファイルから決定される。3つのサンプルを試験し、平均の「接着強度」を報告する。
【0023】
接着強度は、化学的エージングとボイルインバッグ試験の後にも測定する。
【0024】
ヒートシール強度
ラミネートを、Brugger Companyから入手可能なHSG-Cヒートシール機で140℃のシール温度と300Nの圧力下で1秒間ヒートシールし、次いで、室温(23℃)に冷却し、「175mm×15mm」の帯状片にカットする(各帯状片のヒートシール領域は「175mm×15mm」であった)。
【0025】
Instron Corporationから入手可能なクロスヘッド速度250mm/minに設定された5940シリーズシングルカラムテーブルトップシステムを使用して、帯状片のヒートシール強度を測定する。3つのサンプルを試験し、平均「ヒートシール強度」を15ミリメートルあたりのニュートン(N/15mm)で報告する。
【0026】
ボイルインバッグ
8インチ(20.32cm)×12インチ(30.48cm)のラミネートを折り重ねて、20.32cm×15.24cmの構造を形成し、その構造は、第1の面及び第2の面を有する。したがって、第1の面及び第2の面はそれぞれ、同じラミネートから形成される。第1の面の第1基材(PEフィルム)は、第2の面の第1基材(PEフィルム)と接触している。上記構造は、1つの折り重なった縁部と3つの開放された縁部を含む4つの縁部を持つ。開放された縁部のうちの2つを、ヒートシールしてパウチ(小袋)を形成する。ヒートシールは、140℃で1秒間、300N/15mmの圧力で行う。それぞれの実施例から2~3個のパウチを作る。
【0027】
各パウチについて、残りの開放された縁部から180mLのスープ(豆油、ケチャップ、酢を1:1:1の混合比で混合したモートンスープ)を充填する。ヒートシールの失敗を防ぐために、ヒートシール領域にスープをはねかけないようにする。充填後、開放された縁部を、閉じたパウチ内に閉じ込められる空気が最小限になるような形でヒートシールする。閉じたパウチは、それぞれ、4つの閉じた縁部と、18.82cm×13.74cmの内部空間(スープで満たされている)を持つ。各ヒートシールの完全性を目視で検査して、シールに、試験中にパウチに漏れを生じさせる欠陥がないことを確認する。欠陥が疑われるパウチは廃棄して、交換する。
【0028】
ポットに2/3の水を入れ、沸騰させる。沸騰しているポットに蓋をして、水及び蒸気の損失を最小限にする。試験中、ポットを観察して沸騰を維持するのに十分な水が存在することを確認する。パウチを個別に沸騰したお湯に入れ、沸騰したお湯に30分間入れておく。次に、パウチを沸騰したお湯から取り出し、トンネリング、バブリング、ブリスター、層間剥離、及び/又は漏れがないか目視で検査する。
【0029】
パウチを切り開いてスープを空け、石鹸と水ですすぐ。ラミネートの1つ以上の帯状片(15mm×175mm)をパウチから切り取る(ヒートシール領域を除く)。ラミネートの接着強度を上記の90度T型剥離試験に従って測定する。ラミネートのヒートシール強度を上記のヒートシール強度試験に従って測定する。接着強度とヒートシール強度は、パウチからスープを空けた後できるだけ早く測定する。パウチの内部を欠陥がないか目視で検査する。
【0030】
化学的エージング
8インチ(20.32cm)×12インチ(30.48cm)のラミネートを折り重ねて、20.32cm×15.24cmの構造を形成し、その構造は、第1の面及び第2の面を有する。したがって、第1の面及び第2の面はそれぞれ、同じラミネートから形成される。第1の面の第1基材(PEフィルム)は、第2の面の第1基材(PEフィルム)と接触している。上記構造は、1つの折り重なった縁部と3つの開放された縁部を含む4つの縁部を持つ。開放された縁部のうちの2つを、ヒートシールしてパウチ(小袋)を形成する。ヒートシールは、140℃で1秒間、300N/15mmの圧力で行う。それぞれの実施例から2~3個のパウチを作る。
【0031】
各パウチに、残りの開放された縁部から180mLの柔軟仕上げ剤(Comfort(商標)Softener、Unilever(商標)から入手可能)を充填する。ヒートシールの失敗を防ぐために、ヒートシール領域に柔軟仕上げ剤をはねかけないようにする。充填後、開放された縁部を、閉じたパウチ内に閉じ込められる空気が最小限になるような形でヒートシールする。閉じたパウチは、それぞれ、4つの閉じた縁部と、18.82cm×13.74cmの内部空間(柔軟仕上げ剤が充填されている)を持つ。各ヒートシールの完全性を目視で検査して、シールに、試験中にパウチに漏れを生じさせる欠陥がないことを確認する。欠陥が疑われるパウチは廃棄して、交換する。
【0032】
柔軟仕上げ剤を充填したパウチを60℃のオーブンに1週間入れる。次に、パウチをオーブンから取り出し、室温まで冷却し、トンネリング、バブリング、ブリスター、層間剥離、及び/又は漏れがないか目視で検査する。
【0033】
パウチを切り開いて柔軟仕上げ剤を空け、水ですすぐ。ラミネートの1つ以上の帯状片(15mm×175mm)をパウチから切り取る(ヒートシール領域を除く)。ラミネートの接着強度を上記の90度T型剥離試験に従って測定する。ラミネートのヒートシール強度を上記のヒートシール強度試験に従って測定する。接着強度とヒートシール強度をパウチから柔軟仕上げ剤を空けた後、できるだけ早く測定する。パウチの内部を欠陥がないか目視で検査する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示は、2成分溶媒ベースの接着剤組成物を提供する。2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、(A)イソシアネート成分、(B)ダイマー酸ポリエステルポリオール成分であって、(i)ダイマー酸ポリエステルポリオール成分の総重量に基づく20重量%から60重量%のダイマー酸と、(ii)ジカルボン酸と、(iii)ポリオールとを含む反応混合物の反応生成物を含むダイマー酸ポリエステルポリオール成分、及び、(C)溶媒、の反応生成物を含む。
【0035】
A.イソシアネート成分
2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、(A)イソシアネート成分と、と、(B)ダイマー酸性ポリエステルポリオール成分と、(C)溶媒との反応生成物を含む。
【0036】
好適なイソシアネート成分の非限定的な例としては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、カルボジイミド修飾イソシアネート、ポリイソシアネート付加物、ポリイソシアネート三量体、及びそれらの組合わせが挙げられる。
【0037】
「芳香族イソシアネート」は、1つ以上の芳香族環を含むイソシアネートである。好適な芳香族ポリイソシアネートの非限定的な例としては、4,4’-MDI、2,4’-MDI、及び2,2’-MDIなどのメチレンジフェニルジポリイソシアネート(MDI)の異性体;カルボジイミド修飾MDI若しくはアロファネート修飾MDIなどの修飾MDI;2,4-TDIや2,6-TDIなどのトルエン-ジポリイソシアネート(TDI)の異性体;1,5-NDIなどのナフタレンジ-ジポリイソシアネート(NDI)の異性体;1,3-PDIや1,4-PDIなどのフェニレンジポリイソシアネート(PDI)の異性体;並びにそれらの組合わせが挙げられる。
【0038】
「脂肪族イソシアネート」は、イソシアネート基(-NCO)が芳香環に直接結合していないイソシアネートである。一実施形態では、脂肪族イソシアネートは、芳香環を欠いているか、又は芳香環を含まない。脂肪族イソシアネートには、化学鎖が環構造になっている脂環式イソシアネートが含まれる。一実施形態では、脂肪族イソシアネートは、直鎖状アルキレン基、分岐鎖状アルキレン基、又は環状アルキレン基の中に、3個、又は4個、又は5個、又は6から7個、又は8、10、12個、又は13個、又は14個、又は15個、又は16個の炭素原子を含む。好適な脂肪族及び脂環式イソシアネートとしては、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、エチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロピルシクロヘキサンジイソシアネート、メチルジエチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロパンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート、4-イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート(TIN)などのノナントリイソシアネート、デカンジイソシアネート及びデカントリイソシアネート、ウンデカンジイソシアネート及びウンデカントリイソシアネート、ドデカンジイソシアネート及びドデカントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H12MDI)、2-メチルペンタンジイソシアネート(MPDI)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、それらの異性体、二量体、及び/又は三量体、並びに、それらの組合わせが挙げられる。
【0039】
追加の好適なイソシアネートの非限定的な例としては、4-メチル-シクロヘキサン1,3-ジイソシアネート、2-ブチル-2-エチルペンタメチレンジイソシアネート、3(4)-イソシアナトメチル-1-メチルシクロヘキシルイソシアナート、2-イソシアナトプロピルシクロヘキシルイソシアナート、2,4’-メチレンビス(シクロヘキシル)ジイソシアネート、1,4-ジイソシアナト-4-メチル-ペンタン、及びそれらの組合わせが挙げられる。
【0040】
一実施形態では、イソシアネートは、イソシアネートとポリオールとのオリゴマー反応生成物であるオリゴマーイソシアネートである。
【0041】
「ポリイソシアネート付加物」は、過剰量のジイソシアネートと、低分子量のグリコール及び分子量が400g/モル未満のポリオール(例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,2-ジヒドロキシプロパン、及びそれらの組合わせ)との反応生成物である。好適なポリイソシアネート付加物の非限定的な例は、トルエンジイソシアネート(TDI)、2,2’-オキシジエタノール、及びプロピリデネトリメタノールのオリゴマー反応生成物である(前記オリゴマーイソシアネートは、CAS53317-61-6で入手可能)。
【0042】
「ポリイソシアネートタイマー」は、触媒の存在下でジイソシアネートを三量体化することによって調製される反応生成物である。ポリイソシアネート三量体の非限定的な例は、2,4-TDI三量体である(前記ポリイソシアネート三量体は、CAS26603-40-7で利用可能)。
【0043】
一実施形態では、イソシアネートは多官能性イソシアネートである。別の実施形態では、多官能性イソシアネートは、ジイソシアネート、トリイソシアネート、及びそれらの組合わせから選択される。追加的な実施形態では、多官能性イソシアネートは、ジイソシアネートである。
【0044】
一実施形態では、イソシアネートは、少なくとも2つのイソシアネート基、又は少なくとも3つのイソシアネート基を有する多官能性イソシアネートである。
【0045】
一実施形態では、イソシアネートは、2.2から5.0の平均イソシアネート(NCO)官能価を有する多官能性イソシアネートである。
【0046】
イソシアネート成分は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0047】
B.ダイマー酸ポリエステルポリオール成分
2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、(A)イソシアネート成分と、(B)ダイマー酸性ポリエステルポリオール成分と、(C)溶媒との反応生成物を含む。ダイマー酸ポリエステルポリオール成分(本明細書では「DAPP成分」と呼ぶ)は、(i)DAPP成分の総重量に基づく20重量%から60重量%のダイマー酸、(ii)ジカルボン酸、及び(iii)ポリオールを含む反応混合物の反応生成物を含む。
【0048】
ダイマー酸
DAPP成分は、(i)DAPP成分の総重量に基づく20重量%から60重量%のダイマー酸と、(ii)ジカルボン酸と、(iii)ポリオールとを含む反応混合物の反応生成物を含む。
【0049】
「ダイマー酸」とは、2から4個のエチレン性二重結合と14から22個の炭素原子を有する脂肪酸(以下「不飽和脂肪酸A」という)と、1から4個のエチレン性二重結合及び14から22個の炭素原子を有する脂肪酸(以下、「不飽和脂肪酸B」という)とを二量体化反応において二重結合上で反応させることによって得られるジカルボン酸化合物である。一実施形態では、不飽和脂肪酸Aは、2個のエチレン性二重結合と14から22個の炭素原子を有し、不飽和脂肪酸Bは、1個又は2個のエチレン性二重結合と14から22個の炭素原子を有する。好適な不飽和脂肪酸Aの非限定的な例としては、テトラデカジエン酸、ヘキサデカジエン酸、オクタデカジエン酸(リノール酸など)、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、オクタデカトリエン酸(リノレン酸など)、エイコサテトラエン酸(アラキドン酸など)、及びそれらの組合わせが挙げられる。好適な不飽和脂肪酸Bの非限定的な例としては、上記の例、並びに、テトラデセン酸(ツズ酸、フィセテル酸、ミリストレイン酸)、ヘキサデセン酸(パルミトール酸など)、オクタデセン酸(オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸など)、エイコセン酸(ガドレイン酸など)、及びドコセン酸(エルシン酸、セトレイン酸、及びブラシジン酸など)、及びそれらの組合わせが挙げられる。
【0050】
得られるダイマー酸は、結合部位又は二重結合の異性化によって構造が異なるダイマー酸の混合物である。好適なダイマー酸構造の非限定的な例は、以下の構造(A)である。
【化1】
【0051】
一実施形態では、ダイマー酸は、C36ダイマー酸である。追加的な実施形態では、C36ダイマー酸は、構造(A)を有する。
【0052】
一実施形態では、得られたダイマー酸は、0重量%から2重量%、又は4重量%、又は6重量%のモノマー酸、及び/又は、0重量%から2重量%、又は4重量%、又は6重量%の三量体酸の重合度以上の重合度を有する高分子酸を含む。
【0053】
一実施形態では、ダイマー酸は不飽和である。「不飽和ダイマー酸」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む。構造(A)は不飽和ダイマー酸です。好適なダイマー酸の非限定的な例は、Aturex Groupから入手可能なATUREX(商標)1001(CAS61788-89-4)である。
【0054】
一実施形態では、ダイマー酸は、150mg KOH/g、又は160mg KOH/g、又は170mg KOH/g、又は180mg KOH/g、又は190mg KOH/g、又は194mg KOH/gから200mg KOH/g、又は210mg KOH/g、又は220mg KOH/g、又は230mg KOH/g、又は240mg KOH/g、又は250mg KOH/gの酸価を有する。別の実施形態では、ダイマー酸は、150mg KOH/gから250mg KOH/g、又は180mg KOH/gから220mg KOH/g、又は190mg KOH/gから200mg KOH/gの酸価を有する。
【0055】
一実施形態では、ダイマー酸は構造(A)を有し、150mg KOH/gから250mg KOH/g、又は180mg KOH/gから220mg KOH/g、又は190mg KOH/gから200mg KOH/gの酸価を有する。追加的な実施形態では、ダイマー酸は、Aturex Gorpから入手可能なATUREX(商標)1001(CAS61788-89-4)である。
【0056】
ダイマー酸は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0057】
ジカルボン酸
DAPP成分は、(i)ダイマー酸と、(ii)ジカルボン酸と、(iii)ポリオールとを含む反応混合物の反応生成物を含む。
【0058】
上記(ii)ジカルボン酸はダイマー酸ではない。換言すれば、上記(ii)ジカルボン酸は、反応混合物中の上記(i)ダイマー酸とは構造的に異なり、及び/又は、組成的に異なる。
【0059】
好適なジカルボン酸の非限定的な例としては、脂肪酸、芳香族酸、及びそれらの組合わせが挙げられる。好適な芳香族ジカルボン酸の非限定的な例としては、フタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸が挙げられる。好適な脂肪族ジカルボン酸の好適な非限定的な例としては、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マロン酸、スベリン酸、2-メチルコハク酸、3,3-ジエチルグルタル酸、2,2-ジメチルコハク酸、及びトリメリット酸が挙げられる。本明細書で使用される場合、「酸」という用語は、当該酸の任意の無水物をも含む。アジピン酸又はイソフタル酸などの飽和脂肪族及び/又は芳香族酸も好適である。
【0060】
一実施形態では、ジカルボン酸は、4個、又は5個、又は6から7個、又は8個、又は9個、又は10個の炭素原子を有する。別の実施形態では、ジカルボン酸は、4から10個の炭素原子、又は6から8個の炭素原子を有する。追加的な実施形態では、ジカルボン酸は、8個の炭素原子を有する。
【0061】
一実施形態では、ジカルボン酸は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、及びそれらの組合わせから選択される。追加的な実施形態では、ジカルボン酸は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びそれらの組合わせから選択される。別の実施形態では、ジカルボン酸はフタル酸である。
【0062】
ジカルボン酸は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0063】
ポリオール
DAPP成分は、(i)ダイマー酸と、(ii)ジカルボン酸と、(iii)ポリオールとを含む反応混合物の反応生成物を含む。
【0064】
好適なポリオールの非限定的な例としては、ジオール(2つのヒドロキシル基を含む)、トリオール(3つのヒドロキシル基を含む)、及びそれらの組合わせが挙げられる。一実施形態では、ポリオールは、ジオール及びトリオールを含む。
【0065】
好適なジオールの非限定的な例としては、2-メチル-1,3-プロパンジオール(MPG)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(MPD)、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、及びネオペンチルグリコール(NPG)が挙げられる。
【0066】
好適なトリオールの非限定的な例は、トリメチロールプロパン(TMP)である。
【0067】
一実施形態では、ポリオールは、2-メチル-1,3-プロパンジオール(MPG)、トリメチロールプロパン(TMP)、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、及びネオペンチルグリコール(NPG)、並びにそれらの組合わせから選択される。
【0068】
一実施形態では、ポリオールは、96.0重量%、又は98.0重量%、又は98.4重量%から98.7重量%又は99.0重量%のジオールと、逆数のトリオール、又は反応混合物中のポリオールの総重量に基づく1.0重量%、又は1.3重量%から1.6重量%、又は2.0重量%、又は4.0重量%のトリオールとを含む。
【0069】
一実施形態では、ポリオールは、98.0重量%、又は98.4重量%から98.7重量%、又は99.0重量%のMPGと、逆数のTMP、又は反応混合物中のポリオールの総重量に基づく1.0重量%、又は1.3重量%から1.6重量%、又は2.0重量%のTMPとを含む。
【0070】
一実施形態では、ポリオールは、0.010:1、又は0.013:1から0.016:1、又は0.020:1、又は0.040:1のトリオール:ジオール重量比でトリオール及びジオールを含む。別の実施形態では、ポリオールは、0.010:1から0.040:1、又は0.010:1から0.020:1、又は0.013:1から0.016:1のトリオール:ジオール重量比でトリオール及びジオールを含む。
【0071】
一実施形態では、ポリオールは、ポリエチレングリコール(ポリエーテルグリコールとしても知られている)などのポリアルキレングリコールを除外する。
【0072】
ポリオールは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0073】
任意選択の反応混合物添加剤
一実施形態では、DAPP成分は、(i)20重量%から60重量%のダイマー酸と、(ii)ジカルボン酸と、(iii)ポリオールと、(iv)任意の添加剤とを含む反応混合物の反応生成物を含む。
【0074】
好適な任意の添加剤の非限定的な例としては、接着促進剤、鎖延長剤、触媒、及びそれらの組合わせが挙げられる。
【0075】
好適な接着促進剤の非限定的な例としては、アミノシラン、エポキシシラン、リン酸エステル、エポキシ樹脂、及びそれらの組合わせが挙げられる。
【0076】
好適な鎖延長剤の非限定的な例としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、及びそれらの組合わせが挙げられる。
【0077】
好適な触媒の非限定的な例としては、チタン酸テトラ-n-ブチル、硫酸亜鉛、有機スズ触媒、及びそれらの組合わせが挙げられる。
【0078】
一実施形態では、上記反応混合物は鎖延長剤を除外する。
【0079】
任意選択の添加剤は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0080】
反応混合物
DAPP成分は、(i)DAPP成分の総重量に基づく20重量%から60重量%のダイマー酸と、(ii)ジカルボン酸と、(iii)ポリオールと、(iv)任意で添加剤とを含む反応混合物の反応生成物を含む。
【0081】
一実施形態では、反応混合物は、反応混合物の総重量に基づく20重量%、又は25重量%、又は30重量%、又は35重量%、又は40重量%、又は41重量%から52重量%、又は55重量%、又は60重量%のダイマー酸を含む。別の実施形態では、反応混合物は、反応混合物の総重量に基づく20重量%から60重量%、又は20重量%から50重量%、又は30重量%から60重量%、又は40重量%から55重量%、又は41重量%から52重量%のダイマー酸を含む。
【0082】
一実施形態では、反応混合物は、反応混合物の総重量に基づく、10重量%、又は15重量%から25重量%、又は30重量%、又は35重量%、又は40重量%、又は45重量%、又は50重量%のジカルボン酸を含む。一実施形態では、反応混合物は、反応混合物の総重量に基づく10重量%から50重量%、又は10重量%から40重量%、又は10重量%から25重量%のジカルボン酸を含む。
【0083】
一実施形態では、反応混合物は、反応混合物の総重量に基づく15重量%、又は20重量%から35重量%、又は40重量%、又は45重量%、又は50重量%のポリオールを含む。一実施形態では、反応混合物は、反応混合物の総重量に基づく15重量%から50重量%、又は15重量%から40重量%、又は15重量%から35重量%のポリオールを含む。
【0084】
一実施形態では、反応混合物は、反応混合物の総重量に基づく15重量%、又は20重量%から35重量%、又は40重量%、又は49重量%のジオールと、0.1重量%、又は0.5重量%から1.0重量%、又は2.0重量%、又は5.0重量%のトリオールとを含む。
【0085】
一実施形態では、反応混合物は、反応混合物の総重量に基づいて、(i)DAPP成分の総重量に基づく20重量%から60重量%、又は20重量%から50重量%、又は30重量%から60重量%、又は40重量%から55重量%、又は41重量%から52重量%のダイマー酸と、(ii)10重量%から50重量%、又は10重量%から40重量%、又は10重量%から25重量%のジカルボン酸と、(iii)15重量%から50重量%、又は15重量%から40重量%、又は15重量%から35重量%のポリオールと、(iv)任意選択で、0重量%又は0.001重量%から0.1重量%の触媒(チタン酸テトラn-ブチルなど)とを含むか、又はこれらから本質的に成るか、若しくはこれらから成る。
【0086】
前述の反応混合物を含む、本明細書に開示される成分、混合物、組成物、及び層の各々の成分の合計が、それぞれの成分、混合物、組成物、及び層の総重量に基づいて、100重量パーセント(重量%)になることが理解される。
【0087】
反応混合物を反応させて、ダイマー酸性ポリエステルポリオール(「DAPP」)を含む反応生成物を形成する。DAPPは、反応混合物の重縮合反応生成物です。重縮合反応では、ダイマー酸とジカルボン酸のカルボキシル基がポリオールのヒドロキシル基と反応する。一実施形態では、反応混合物は、チタン酸テトラ-n-ブチルなどの触媒を含む。DAPP反応生成物は、ダイマー酸に由来する単位を持つヒドロキシル末端ポリエステルである。
【0088】
一実施形態では、DAPP成分は、DAPP成分の総重量に基づく20重量%、又は25重量%、又は30重量%、又は35重量%、又は40重量%、又は41重量%から52重量%、又は55重量%、又は60重量%のダイマー酸を含む。別の実施形態では、DAPP成分は、DAPP成分の総重量に基づく20重量%から60重量%、又は20重量%から50重量%、又は30重量%から60重量%、又は40重量%から55重量%、又は41重量%から52重量%のダイマー酸を含む。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、DAPP成分が60重量%を超えるダイマー酸を含むと、ラミネート用途に適さない(i)非相溶性、(ii)重量平均分子量(Mw)及び/又は(iii)粘度を示すと考えられる。その一方で、イソシアネート成分と20重量%未満のダイマー酸を含むDAPP成分との反応生成物である2成分接着剤組成物から形成された接着剤層を有するラミネートは、ボイルインバッグ試験の後に好適な接着性を示さない。
【0089】
一実施形態では、DAPPは、5000g/mol、又は10000g/mol、又は20000g/molから30000g/mol、又は40000g/mol、又は50000g/molの重量平均分子量(Mw)を有する。
【0090】
一実施形態では、DAPPは、0mg KOH/g又は0.01mg KOH/gから5.0mg KOH/g未満までの酸価を有する。
【0091】
一実施形態では、DAPPは、5mg KOH/g、又は10mg KOH/g、又は13mg KOH/g、又は13.5mg KOH/gから14mg KOH/g、又は15mg KOH/g、又は20mg KOH/gのヒドロキシル価を有する。別の実施形態では、DAPPは、5mg KOH/gから20mg KOH/g、又は10mg KOH/gから15mg KOH/g、又は13.5mg KOH/gから15mg KOH/gのヒドロキシル価を有する。
【0092】
一実施形態では、DAPPは、以下の特性、すなわち、(i)DAPP成分の総重量に基づく20重量%から60重量%、又は20重量%から50重量%、又は30重量%から60重量%、又は、40重量%から55重量%、又は41重量%から52重量%のダイマー酸、及び/又は、(ii)5000g/mol、又は10000g/mol、又は20000g/molから30000g/mol、又は40000g/mol、又は50000g/molの重量平均分子量(Mw)を持つ、及び/又は、(iii)0mg KOH/g又は0.01mg KOH/gから5.0mg KOH/g未満の酸価を持つ、及び/又は、(iv)5mg KOH/gから20mg KOH/g、又は10mg KOH/gから15mg KOH/g、又は13.5mg KOH/gから15mg KOH/gのヒドロキシル価、のうちの1つ、又はいくつか、又はすべてを有する。
【0093】
一実施形態では、DAPPは、DAPP成分の総重量に基づく20重量%から60重量%、又は20重量%から50重量%、又は30重量%から60重量%、又は40重量%から55重量%、又は41重量%52重量%のダイマー酸を有し、加えて、DAPPは、0mg KOH/gから5.0mg KOH/g未満の酸価を有する。
【0094】
上記反応混合物は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0095】
任意選択のDAPP成分添加剤
一実施形態では、DAPP成分は、DAPP及び任意の添加剤を含む。
【0096】
好適な任意の添加剤の非限定的な例は、ポリオールである。ポリオールは、任意選択のポリオールがDAPPとは異なるという条件で、本明細書に開示される任意のポリオールであり得る。ポリオールは、DAPPと組成的にかつ/又は物理的に異なる場合がある。
【0097】
一実施形態では、任意の添加剤は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、又はそれらの組合わせであるポリオールである。好適なポリエーテルポリオールの非限定的な例としては、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、及びそれらの組合わせが挙げられる。
【0098】
DAPPは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0099】
DAPP成分は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0100】
C.溶媒
2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、(A)イソシアネート成分と、(B)DAPP成分と、(C)溶媒との反応生成物を含む。
【0101】
「溶媒」は、25℃で液体であり、その中で接着剤組成物中の他の各成分が溶解及び/又は分散される連続的な媒体を提供することができる化合物である。
【0102】
好適な溶媒の非限定的な例としては、炭化水素溶媒、極性溶媒、及びそれらの組合わせが挙げられる。
【0103】
「炭化水素溶媒」は、水素及び炭素原子のみを含み、分枝鎖状又は非分枝鎖状、飽和又は不飽和、環式、多環式又は非環式の種、及びそれらの組合わせを含む。一実施形態では、炭化水素溶媒は、芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、及びそれらの組合わせから選択される。
【0104】
「芳香族炭化水素」は、1つ以上のベンゼン環を含有する炭化水素である。芳香族炭化水素溶媒の非限定的な例としては、トルエン及びキシレンが挙げられる。一実施形態では、炭化水素溶媒は、トルエンである芳香族炭化水素溶媒である。
【0105】
「脂肪族炭化水素」は、アルカン、アルケン、アルキン、又はアルカン、アルケン若しくはアルキンの誘導体である炭化水素である。脂肪族炭化水素溶媒の非限定的な例としては、ヘキセン、シクロヘキサン及びメチルシクロヘキサン(MCH)が挙げられる。一実施形態では、炭化水素溶媒は、メチルシクロヘキサン(MCH)を含む脂肪族炭化水素溶媒である。
【0106】
「極性溶媒」は、もう一方の物質(溶質)を溶解して、分子レベル又はイオンレベルで均一に分散した混合物(溶液)を形成することができる物質であり、電荷が一致する非極性分子とは対照的に、正電荷と負電荷が恒久的に分離されている分子で構成される溶媒である。極性溶媒の非限定的な例としては、アルコール、ケトン及びエステルが挙げられる。一実施形態では、極性溶媒はケトンである。好適なケトンの非限定的な例としては、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノンが挙げられる。
【0107】
一実施形態では、極性溶媒はエステルである。好適なエステルの非限定的な例としては、酢酸ブチル及び酢酸エチルが挙げられる。
【0108】
一実施形態では、溶媒は、酢酸エチル、メチルエチルケトン、及びそれらの組合わせから選択される。
【0109】
上記溶媒は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0110】
D.2成分溶媒ベースの接着剤組成物
2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、(A)イソシアネート成分と、(B)(i)20重量%から60重量%のダイマー酸と、(ii)ジカルボン酸と、(iii)ポリオールとを含む反応混合物の反応生成物を含むDAPP成分と、(C)溶媒との反応生成物を含む。
【0111】
2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、(A)イソシアネート成分と、(B)DAPP成分と、(C)溶媒とを、イソシアネート成分の-NCO基をDAPP成分のヒドロキシル基と反応させるのに適した条件下で混合することによって形成される。一実施形態では、(A)イソシアネート成分と、(B)DAPP成分と、(C)溶媒とを合わせ、15℃から45℃の温度で10分から30分の期間混合する。一実施形態では、(A)イソシアネート成分と(B)DAPP成分は、(C)溶媒に完全に溶解しているか、又は実質的に溶解している。
【0112】
(C)溶媒は、(A)イソシアネート成分及び/又は(B)DAPP成分と事前に混合してもよい。
【0113】
一実施形態では、(C)溶媒は、(A)イソシアネート成分と事前に混合される。換言すると、イソシアネート成分は、DAPP成分と接触する前に溶媒と混合される。
【0114】
一実施形態では、(C)溶媒は、(B)DAPP成分と事前に混合される。換言すると、DAPP成分は、イソシアネート成分と接触する前に溶媒と混合される。一実施形態では、(C)溶媒は(B)DAPP成分と予備混合され、当該予備混合物は、25重量%、又は50重量%、又は70重量%、又は75重量%から80重量%、又は90重量%の固形分を有する。別の実施形態では、(C)溶媒は(B)DAPP成分と予備混合され、当該予備混合物は、溶媒とDAPP成分の総重量に基づく25重量%から90重量%、又は50重量%から90重量%、又は50重量%から80重量%、又は70重量%から80重量%の固形分を有する。
【0115】
一実施形態では、2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、(B)DAPP成分と、(A)イソシアネート成分とを、乾燥重量に基づくポリオール:イソシアネート重量比100:5、又は100:10、又は100:12から100:13、又は100:14、又は100:15、又は100:20、又は100:35で含む。別の実施形態では、2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、(B)DAPP成分と、(A)イソシアネート成分とを、ポリオール:イソシアネート重量比100:5から100:35、又は100:10から100:20、又は100:10から100:15、又は100:12から100:13で含む。
【0116】
一実施形態では、2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、2成分溶媒ベースの接着剤組成物の総重量に基づく10重量%又は20重量%又は30重量%又は40重量%又は50重量%から60重量%又は70重量%又は75重量%の溶媒を含む。
【0117】
一実施形態では、2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、以下のものの反応生成物を含み、又は本質的にそれから成り、又はそれから成る。
(A)多官能性イソシアネートを含むイソシアネート成分。
(B)以下を含む反応混合物の反応生成物を含み、又は本質的にそれから成り、又はそれから成るダイマー酸ポリエステルポリオール成分。(i)20重量%から60重量%、又は20重量%から50重量%、又は30重量%から60重量%、又は40重量%から55重量%、又は41重量%から52重量%のダイマー酸であって、以下の特性の1つ、又は一部、又はすべてを有するダイマー酸。(1)150mg KOH/gから250mg KOH/g、又は180mg KOH/gから220mg KOH/g、又は190mg KOH/gから200mg KOH/gの酸価、及び/又は、(2)構造(A)、及び/又は、(3)C36ダイマー酸であること。(ii)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アゼラ酸、セバシン酸、アジピン酸、及びそれらの組合わせから選択される、10重量%から50重量%、又は10重量%から40重量%、又は10重量%から25重量%のジカルボン酸。(iii)15重量%から50重量%、又は15重量%から40重量%、又は15重量%から35重量%のポリオールであって、以下を含み、又は本質的にこれらから成り、又はこれらから成るポリオール。(1)反応混合物中のポリオールの総重量に基づく96.0重量%、又は98.0重量%、又は98.4重量%から98.7重量%、又は99.0重量%のジオール。(2)反応混合物中のポリオールの総重量に基づく1.0重量%又は1.3重量%から1.6重量%又は2.0重量%又は4.0重量%のトリオール。
ここで、DAPP成分は、以下の特性のうちの1つ、又はいくつか、又はすべてを有する。(i)DAPPコンポーネントの総重量に基づく20重量%から60重量%、又は20重量%から50重量%、又は30重量%から60重量%、又は40重量%から55重量%、又は41重量%から52重量%のダイマー酸を含むこと、及び/又は、(ii)5000g/mol、又は10000g/mol、又は20000g/molから30000g/mol、又は40000g/mol、又は50000g/molの重量平均分子量(Mw)、及び/又は、(iii)0mg KOH/g、又は0.01mg KOH/gから5.0mg KOH/g未満の酸価。
(C)溶媒。
(D)任意選択で、添加剤。
ここで、2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、100:5から100:35、又は100:10から100:20、又は100:10から100:15、又は100:12から100:13のポリオール:イソシアネート重量比を有する。
【0118】
上記2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、本明細書に開示される2つ以上の一実施形態を含み得る。
【0119】
E.ラミネート
本開示は、ラミネートを提供する。ラミネートは、第1の基材と第2の基材を含み、第1の基材と第2の基材との間に接着剤層を含む。接着剤層は、2成分溶媒ベースの接着剤組成物から形成される。
【0120】
2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、本明細書に開示される任意の2成分溶媒ベースの接着剤組成物であり得る。
【0121】
第1の基材と第2の基材
ラミネートは、第1の基材と第2の基材を含む。
【0122】
第1の基材及び第2の基材は、同じであっても異なっていてもよい。一実施形態では、第1の基材及び第2の基材は、同一の組成及び同一の構造を有するという点で同じである。
【0123】
一実施形態では、第1の基材及び第2の基材は、互いに組成的にかつ/又は構造的に異なる。
【0124】
「基材」に言及する以下の説明は、個別的にかつ/又は集合的に、第1の基材及び第2の基材を指すことが理解される。
【0125】
好適な基材の非限定的な例はフィルムである。フィルムは、単層フィルム又は多層フィルムであってもよい。多層フィルムは、2つの層、又は3つ以上の層を含む。例えば、多層フィルムは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又はそれ以上の層を有し得る。一実施形態では、多層フィルムは、2つの層のみ、又は3つの層のみを含む。
【0126】
一実施形態では、フィルムは、1つの層のみを備えた単層フィルムである。
【0127】
一実施形態では、フィルムは、エチレン系ポリマー(PE)、プロピレン系ポリマー(PP)、ポリアミド(ナイロンなど)、ポリエステル、エチレンビニルアルコール(EVOH)コポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレンビニルアクリレート(EVA)コポリマー、エチレンメチルアクリレートコポリマー、エチレンエチルアクリレートコポリマー、エチレンブチルアクリレートコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンメタクリル酸コポリマー、エチレンアクリル酸のイオノマー、メタクリル酸のイオノマー、無水マレイン酸グラフト化エチレン系ポリマー、ポリ乳酸(PLA)、ポリスチレン、金属箔、セルロース、セロファン、不織布、及びそれらの組合わせから選択される成分を含有する層を含む。好適な金属箔の非限定的な例は、アルミニウム箔である。多層フィルムの各層は、同じ成分から形成することができ、又は異なる成分から形成することができる。
【0128】
一実施形態では、フィルムは、金属箔を含有する層を含む。
【0129】
一実施形態では、フィルムは、エチレン系ポリマー層である単一の層を有する単層フィルムである。追加的な実施形態では、フィルムは、ポリエチレン層である単一の層を有する単層フィルムである。
【0130】
基材、さらにフィルムは、2つの対向する表面を持つ切れ目のない構造である。
【0131】
一実施形態では、基材は、5μm、又は10μm、又は12μm、又は15μm、又は20μm、又は21μmから23μm、又は24μm、又は25μm、又は30μm、又は35μm、又は40μm、又は45μm、又は50μm、又は100μm、又は150μm、又は200μm、又は250μm、又は300μm、又は350μm、又は400μm、又は450μm、又は500μm、の厚さを有する。
【0132】
一実施形態では、基材は、紙や木材などのセルロース系の基材を除外する。
【0133】
一実施形態では、第1の基材が金属箔層である層を有するフィルムであり、第2の基材がPE層である単一の層を有する単層フィルムである。
【0134】
フィルムは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0135】
第1の基材は、本明細書で開示される2以上の実施形態を含み得る。
【0136】
第2の基材は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0137】
2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、例えば、Nordmeccanica Labo Combi 400ラミネーターを用いて、第1の基材と第2の基材との間に塗布される。
【0138】
好適な塗布方法の非限定的な例としては、ブラッシング、注入(pouring)、噴霧、コーティング、圧延、散布、及び注入(injecting)が挙げられる。
【0139】
一実施形態では、2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、3.0グラム/平方メートル(g/m)、又は3.5g/m、又は4.0gグラム/mから4.5gグラム/m、又は5.0グラム/mの乾燥重量に基づくコート重量で第1の基材と第2の基材との間に塗布される。別の実施形態では、2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、3.0g/mから5.0g/m、又は4.0g/mから4.5g/mのコート重量で、第1の基材と第2の基材との間に塗布される。
【0140】
一実施形態では、2成分溶媒ベースの接着剤組成物を第1の基材上に均一に塗布し、溶媒が蒸発して接着剤層を形成し、次いで当該接着剤層を第2の基材に接触させる。「均一な塗布」は、基材の表面全体にわたって連続的(断続的ではない)であって、基材の表面全体にわたって同じ又は実質的に同じ厚さの組成物の層である。換言すれば、基材に均一に塗布された組成物は、基材表面に直接接触し、当該組成物は、基材表面と同一の外延を有する。
【0141】
2成分溶媒ベースの接着剤組成物と第1の基材は、互いに直接接触している。本明細書で使用される場合、「直接接触している」という用語は、基材が2成分溶媒ベースの接着剤組成物又は接着剤層のすぐ近隣に位置し、基材と2成分溶媒ベースの接着剤組成物又は接着剤層との間に、介在層又は介在構造体がない層構成のことである。2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、第1の基材の表面に直接接触する。第1の基材及び2成分溶媒ベースの接着剤組成物を含む構造は、以下の構造(B)を有する。
第1の基材/2成分溶媒ベースの接着剤組成物 構造(B)
【0142】
一実施形態では、構造(B)を乾燥させて、第1の基材と直接接触する接着剤層を形成する。一実施形態では、構造(B)は、2成分溶媒ベースの接着剤組成物から溶媒のすべて又は実質的にすべてを蒸発させるのに十分な温度でオーブンに通すことによって乾燥される。次に、接着剤層を第2の基材と接触させてラミネートを形成する。ラミネートは以下の構造(C)を有する。
第1の基材/接着剤層/第2の基材 構造(C)
【0143】
一実施形態では、接着剤層と第2の基材は互いに直接接触する。接着剤層は、第2の基材の表面に直接接触する。
【0144】
構造(B)の接着剤層は、2成分溶媒ベースの接着剤組成物を硬化又は乾燥することによって形成される。2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、(A)イソシアネート成分と(B)DAPP成分を(C)溶媒の存在下で混合及び反応させることによって形成される。
【0145】
一実施形態では、2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、光開始剤の非存在下で、又は実質的に非存在下で硬化される。
【0146】
一実施形態では、2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、水の非存在下で、又は実質的に非存在下で硬化される。
【0147】
ラミネートは、接着剤層と直接接触している第1の基材と、接着剤層と直接接触している第2の基材とを含む。
【0148】
ラミネートは、基材と接着剤層を交互に含む。ラミネートは、少なくとも合計で3つの層を含み、すべての層は、基材及び接着剤層を含む。一実施形態では、ラミネートは、合計で3から4、又は5、又は6、又は7、又は8、又は9、又は10の層を含む。
【0149】
一実施形態では、第1の基材は、金属箔層である層を有するフィルムであり、第2の基材は、PE層である単一の層を有する単層フィルムであり、ラミネートは、5N/15mm、又は9N/15mm、又は10N/15mmから11N/15mm、又は12N/15mm、又は15N/15mmの初期接着強度を有する。追加的な実施形態では、ラミネートは、10N/15mmから15N/15mm、又は10N/15mmから12N/15mmの初期接着強度を有する。別の実施形態では、ラミネートは、5N/15mmを超える、又は9N/15mmを超える、又は10N/15mmを超える初期接着強度を有する。
【0150】
一実施形態では、第1の基材は、金属箔層である層を有するフィルムであり、第2の基材は、PE層である単一の層を有する単層フィルムであり、ラミネートは、ボイルインバッグ試験後に4.0N/15mm、又は5.0N/15mm、又は6.0N/15mmから8.0N/15mm、又は9.0N/15mm、又は10N/15mm、又は15N/15mmの接着強度を有する。追加的な実施形態では、ラミネートは、ボイルインバッグ試験後に、4.0N/15mmから15N/15mm、又は5.0N/15mmから10N/15mm、又は6.0N/15mmから8.0N/15mmの接着強度を有する。別の実施形態では、ラミネートは、ボイルインバッグ試験後に、4N/15mmを超える、又は5N/15mmを超える、又は6N/15mmを超える接着強度を有する。
【0151】
一実施形態では、第1の基材は、金属箔層である層を有するフィルムであり、第2の基材は、PE層である単一の層を有する単層フィルムであり、ラミネートは、ボイルインバッグ試験後に、少なくとも50%、又は少なくとも55%、又は少なくとも60%、又は少なくとも65%、又は少なくとも68%の接着強度を保持する。別の実施形態では、ラミネートは、ボイルインバッグ試験後に、50%から100%、又は60%から100%、又は65%から100%の接着強度を保持する。
【0152】
一実施形態では、第1の基材は、金属箔層である層を有するフィルムであり、第2の基材は、PE層である単一の層を有する単層フィルムであり、ラミネートは、化学的エージング後に、2.0N/15mm、又は2.5N/15mm、又は3.0N/15mm、又は3.5N/15mmから4.0N/15mm、又は5.0N/15mm、又は7.0N/15mm、又は10N/15mmの接着強度を有する。追加的な実施形態では、ラミネートは、化学的エージング後に、2.0N/15mmから10N/15mm、又は3.0N/15mmから10N/15mm、又は3.0N/15mmから5.0N/15mmの接着強度を有する。別の実施形態では、ラミネートは、化学的エージング後に、2N/15mmを超える、又は3N/15mmを超える、又は3.5N/15mmを超える接着強度を有する。
【0153】
一実施形態では、第1の基材は、金属箔層である層を有するフィルムであり、第2の基材は、PE層である単一の層を有する単層フィルムであり、ラミネートは、化学的エージング後に、少なくとも25%、又は少なくとも30%、又は少なくとも35%の接着強度を保持する。別の実施形態では、ラミネートは、化学的エージング後に、25%から100%、又は30%から100%、又は35%から100%の接着強度を保持する。
【0154】
一実施形態では、第1の基材は、金属箔層である層を有するフィルムであり、第2の基材は、PE層である単一の層を有する単層フィルムであり、ラミネートは、30N/15mm、又は40N/15mm、又は45N/15mm、又は50N/15mmから60N/15mm、又は70N/15mm、又は75N/15mm、又は100N/15mmの初期ヒートシール強度を有する。追加的な実施形態では、ラミネートは、30N/15mmから100N/15mm、又は40N/15mmから75N/15mm、又は45N/15mmから75N/15mmの初期ヒートシール強度を有する。別の実施形態では、ラミネートは、30N/15mmを超える、又は40N/15mmを超える、又は50N/15mmを超える初期ヒートシール強度を有する。
【0155】
一実施形態では、第1の基材は、金属箔層である層を有するフィルムであり、第2の基材は、PE層である単一の層を有する単層フィルムであり、ラミネートは、ボイルインバッグ試験後に、35N/15mm、又は40N/15mm、又は45N/15mm、又は50N/15mmから55N/15mm、又は60N/15mm、又は65N/15mm、又は70N/15mm、又は75N/15mmのヒートシール強度を有する。追加的な実施形態では、ラミネートは、ボイルインバッグ試験後に、35N/15mmから75N/15mm、又は40N/15mmから75N/15mm、又は50N/15mmから75N/15mmのヒートシール強度を有する。別の実施形態では、ラミネートは、ボイルインバッグ試験後に、35N/15mmを超える、又は40N/15mmを超える、又は50N/15mmを超えるヒートシール強度を有する。
【0156】
一実施形態では、第1の基材は、金属箔層である層を有するフィルムであり、第2の基材は、PE層である単一の層を有する単層フィルムであり、ラミネートは、ボイルインバッグ試験後に、少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも100%のヒートシール強度を保持する。
【0157】
一実施形態では、第1の基材は、金属箔層である層を有するフィルムであり、第2の基材は、PE層である単一の層を有する単層フィルムであり、ラミネートは、化学的エージング後に、35N/15mm、又は40N/15mm、又は41N/15mmから45N/15mm、又は50N/15mm、又は60N/15mm、又は70N/15mm、又は75N/15mmのヒートシール強度を有する。追加的な実施形態では、ラミネートは、化学的エージング後に、35N/15mmから75N/15mm、又は40N/15mmから75N/15mmのヒートシール強度を有する。別の実施形態では、ラミネートは、化学的エージング後に、35N/mmを超える、又は40N/15mmを超えるヒートシール強度を有する。
【0158】
一実施形態では、第1の基材は、金属箔層である層を有するフィルムであり、第2の基材は、PE層である単一の層を有する単層フィルムであり、ラミネートは、化学的エージング後に、少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも82%のヒートシール強度を保持する。別の実施形態では、ラミネートは、化学的エージング後に、75%から100%、又は80%から100%、又は82%から100%のヒートシール強度を保持する。
【0159】
一実施形態では、第1の基材は、金属箔層である層を有するフィルムである。第2の基材は、PE層である単一の層を有する単層フィルムであり、ラミネートは、ボイルインバッグ試験後に気泡を生じない。
【0160】
一実施形態では、第1の基材は、金属箔層である層を有するフィルムであり、第2の基材は、PE層である単一の層を有する単層フィルムであり、ラミネートは、化学的エージング後に剥離しない。
【0161】
一実施形態では、第1の基材は、金属箔層である層を有するフィルムであり、第2の基材は、PE層である単一の層を有する単層フィルムであり、ラミネートは、(A)ボイルインバッグ試験後に、4.0N/15mmから15N/15mm、又は5.0N/15mmから10N/15mm、又は6.0N/15mmから8.0N/15mmの接着強度を有し、(B)化学的エージング後に、2.0N/15mmから10N/15mm、又は3.0N/15mmから10N/15mm、又は3.0N/15mmから5.0N/15mmの接着強度を有する。
【0162】
一実施形態では、第1の基材は、金属箔層である層を有するフィルムであり、第2の基材は、PE層である単一の層を有する単層フィルムであり、ラミネートは、(A)ボイルインバッグ試験後に、35N/15mmから75N/15mm、又は40N/15mmから75N/15mm、又は50N/15mmから75N/15mmのヒートシール強度を有し、(B)化学的エージング後に、35N/mmから75N/15mm、又は40N/15mmから75N/15mmのヒートシール強度を有する。
【0163】
一実施形態では、ラミネートは、以下を含み、又は本質的にそれらから成り、又はそれらから成る。
金属箔層である層を有するフィルムである第1の基材。
PE層である単一の層を有する単層フィルムである第2の基材。
第1の基材と第2の基材との間の接着剤層であって、以下のものの反応生成物を含む、又は本質的にそれからなる、又はそれからなる2成分溶媒ベースの接着剤組成物から形成される接着剤層。
(A)多官能性イソシアネートを含むイソシアネート成分。
(B)以下を含む反応混合物の反応生成物を含み、又は本質的にそれから成り、又はそれから成るダイマー酸性ポリエステルポリオール成分。(i)20重量%から60重量%、又は20重量%から50重量%、又は30重量%から60重量%、又は40重量%から55重量%、又は41重量%から52重量%のダイマー酸であって、以下の特性の1つ、又は一部、又はすべてを有するダイマー酸。(1)150mg KOH/gから250mg KOH/g、又は180mg KOH/gから220mg KOH/g、又は190mg KOH/gから200mg KOH/gの酸価、及び/又は、(2)構造(A)、及び/又は、(3)C36ダイマー酸であること。(ii)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アゼラ酸、セバシン酸、アジピン酸、及びそれらの組合わせから選択される、10重量%から50重量%、又は10重量%から40重量%、又は10重量%から25重量%のジカルボン酸。(iii)15重量%から50重量%、又は15重量%から40重量%、又は15重量%から35重量%のポリオールであって、以下を含み、又は本質的にこれらから成り、又はこれらから成るポリオール。(1)反応混合物中のポリオールの総重量に基づく96.0重量%又は98.0重量%又は98.4重量%から98.7重量%又は99.0重量%のジオール。(2)反応混合物中のポリオールの総重量に基づく1.0重量%又は1.3重量%から1.6重量%又は2.0重量%又は4.0重量%のトリオール。
ここで、DAPP成分は、DAPPの総重量に基づく20重量%から60重量%、又は20重量%から50重量%、又は30重量%から60重量%、又は40重量%から55重量%、又は41重量%から52重量%のダイマー酸に由来する単位を含み、DAPPは次の特性の一方又は両方を有する。(i)5000g/mol、又は10000g/mol、又は20000g/molから30000g/mol、又は40000g/mol、又は50000g/molの重量平均分子量(Mw)、及び/又は、(ii)0mg KOH/g又は0.01mg KOH/gから5.0mg KOH/g未満の酸価。
(C)溶媒。
(D)任意選択で、添加剤。
ここで、2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、100:10から100:15、又は100:12から100:13のポリオール:イソシアネートの重量比を有する。
ここで、ラミネートは、以下の特性の1つ、いくつか、又はすべてを有する。(A)10N/15mmから15N/15mm、又は10N/15mmから12N/15mmの初期接着強度、及び/又は、(B)4.0N/15mmから15N/15mm、又は5.0N/15mmから10N/15mm、又は6.0N/15mmから8.0N/15mmのボイルインバッグ試験後の接着強度、及び/又は、(C)50%から100%、又は60%から100%、又は65%から100%のボイルインバッグ試験後の接着強度の保持、及び/又は、(D)2.0N/15mmから10N/15mm、又は3.0N/15mmから10N/15mm、又は3.0N/15mmから5.0N/15mmの化学的エージング後の接着強度、及び/又は、(E)25%から100%、又は30%から100%、又は35%から100%の化学的エージング後の接着強度の保持、及び/又は、(F)30N/15mmから100N/15mm、又は40N/15mmから75N/15mm、又は45N/15mmから75N/15mmの初期ヒートシール強度、及び/又は、(G)35N/15mmから75N/15mm、又は40N/15mmから75N/15mm、又は50N/15mm~75N/15mmの後のヒートシール強度、及び/又は、(H)少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも100%のボイルインバッグ試験後のヒートシール強度の保持、及び/又は、(I)35N/15mmから75N/15mm、又は40N/15mmから75N/15mmの化学的エージング後のヒートシール強度、及び/又は、(J)75%から100%、又は80%から100%、又は82%から100%の化学的エージング後のヒートシール強度の保持、及び/又は、(K)ボイルインバッグ試験後にラミネートが気泡を生じない、及び/又は、(L)ラミネートが化学的エージング後に剥離しない。
【0164】
上記ラミネートは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0165】
F.2成分溶媒ベースの接着剤組成物を形成する方法
本開示はまた、2成分溶媒ベースの接着剤組成物を形成する方法を提供する。
【0166】
一実施形態では、この方法は、(i)DAPP成分の総重量に基づく20重量%から60重量%のダイマー酸に由来する単位を含むDAPP成分を得ること、(ii)イソシアネート成分を得ること、及び、(iii)DAPP成分をイソシアネート成分と反応させて、2成分溶媒ベースの接着剤組成物を形成すること、を含む。
【0167】
DAPP成分、イソシアネート成分、及び2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、本明細書に開示される任意のそれぞれのDAPP成分、イソシアネート成分、及び2成分溶媒ベースの接着剤組成物であり得る。
【0168】
一実施形態では、上記プロセスは、(a)20重量%から60重量%のダイマー酸、ジカルボン酸、及びポリオールを含む反応混合物を得ること、及び、(b)当該反応混合物を重縮合してダイマー酸ポリエステルポリオール成分を形成すること、によってDAPP成分を形成することを含む。
【0169】
(C)溶媒は、(A)イソシアネート成分及び/又は(B)DAPP成分と事前に混合してもよい。
【0170】
上記方法は、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0171】
本開示はまた、ラミネートを含む物品を提供する。好適な物品の非限定的な例としては、パッケージ、バッグ、及びパウチが挙げられる。
【0172】
一実施形態では、ラミネートは食料品と接触する。「食料品」は食用の食品である。
【0173】
ここで、限定ではなく例には、本開示のいくつかの実施形態を、次の実施例で詳細に説明する。
【実施例
【0174】
実施例で使用される材料を、以下の表1に示す。
【表1】
【0175】
A.ダイマー酸ポリエステルポリオール成分の調製
表2の成分を攪拌機とガラス凝縮器を備えたケトルに入れ、反応混合物が液体になるまでケトルを100℃に加熱することによって、ダイマー酸ポリエステルポリオール(DAPP)成分の実施例1~2及び比較例3をそれぞれ調製する。表2に示されている量は、グラム(g)単位である。反応混合物が液体の状態になったら、攪拌機をオンにし、ケトル内の温度とガラス凝縮器の温度を監視しながら反応混合物を混合して、ガラス凝縮器の最高温度が100℃と103℃の間にあることを確認する。反応混合物の温度が220℃に上昇し、ガラス凝縮器の最高温度が100℃未満に低下したら、空間が30分以内に25~30mmHgの圧力に達するようにゆっくりと減圧を開始する。25~30mmHgの真空圧が維持され、反応混合物の酸価を25~30分ごとに測定する。反応混合物の酸価が25mg KOH/g未満になるまで、TYZOR(商標)TBT(触媒)を反応混合物に徐々に加える。次に、真空圧を10mmHg未満に下げ、反応混合物の酸価が5mg KOH/g未満になってヒドロキシル価は目標のヒドロキシル価に達するまで、追加のTYZOR(商標)TBT(触媒)を少なくとも1時間かけて徐々に追加する。次に、反応生成物(ダイマー酸ポリエステルポリオール)を60℃に冷却し、酢酸エチル(溶媒)を反応生成物に添加して、75重量%の固形分量を得る。
【表2】
【0176】
B.2成分溶媒ベースの接着剤組成物の形成
2成分溶媒ベースの接着剤組成物は、(A)共反応物F(溶媒ベースのポリイソシアネート組成物)を(B)DAPP成分の実施例B1~B2、DAPP成分の比較例B3、ADCOTE(商標)545S(ダイマー酸なしで形成されたポリエステルポリオール成分)及びADCOTE(商標)563EA(ダイマー酸なしで形成されたポリエステルポリオール成分)のうちの1つと、均一な混合物が得られて2成分溶媒ベースの接着剤組成物を形成するまで、ケトル内で室温(23℃)で混合することによって調整する。各実施例及び比較例の接着剤組成物の成分を表3に示す。
【0177】
C.ラミネートの形成
厚さ60μmの単層フィルムであるポリエチレン(PE)フィルムを用意する。
【0178】
金属箔フィルムを用意する。金属箔フィルムは厚さ20μmの単層フィルムである。金属箔フィルムは、ADCOTE(商標)545S:共反応物F(重量比100:11)(溶媒ベースの2成分ポリウレタン接着剤、The Dow Chemical Companyから市販)を使用して、PETフィルムで事前にラミネートし、以下の構造(I)を有する金属箔プレラミネートを形成する。PETフィルム/ADCOTE(商標)545S:共反応物Fの接着剤層/金属箔フィルム 構造(I)。
【0179】
接着剤組成物の実施例及び比較例を、Nordmeccanica SDC Labo Combi400ラミネーターにロードする。ラミネーターのニップ温度を40℃に維持し、オーブンの各ゾーンの温度を60℃/70℃/80℃に設定し、ラミネーターを100メートル毎分(m/min)の速度で操作する。接着剤組成物を、接着剤組成物の乾燥重量に基づく4.0~4.5グラム/平方メートル(g/m)のコート重量で金属箔プレラミネートに塗布して、以下の構造(II)を形成する。
金属箔プレラミネート/接着剤組成物 構造(II)。
【0180】
構造(II)では、接着剤組成物は、金属箔プレラミネート(構造(I)を有する)の金属箔フィルム層の表面に直接接触する。
【0181】
次に、構造(II)を50℃の温度のオーブンで2日間硬化させて、すべての溶媒又は実質的にすべての溶媒を蒸発させ、接着剤層を形成する。PEフィルムを接着剤層に接触させて 構造(III)を有するラミネートを形成する。
金属箔プレラミネート/接着剤層/PEフィルム 構造(III)
【0182】
各ラミネートの実施例及び比較例の特性を、以下の表3に示す。
【0183】
D.結果
比較例4及び比較例5は、それぞれ、(A)イソシアネート成分(共反応物F)と、(B)ダイマー酸で形成されないポリエステルポリオール成分(それぞれADCOTE(商標)545S及びADCOTE(商標)563EA)とから形成される接着剤層を含む。比較例4と比較例5のラミネート構造は、それぞれ、以下を示す。(i)ボイルインバッグ試験後のバブリング。(ii)化学的エージング後の層間剥離。(iii)ボイルインバッグ試験後の接着強度が4.0N/15mm未満(それぞれ、3.1N/15mm及び1.24N/15mm)。(iv)化学的エージング後の接着強度が2.0N/15mm未満の(それぞれ、0.68N/15mm及び0.42N/15mm)。(v)ボイルインバッグテスト後のヒートシール強度が35N/15mm未満の(それぞれ、30.2N/15mm及び21.2N/15mm)。(vi)化学的エージング後のヒートシール強度が35N/mm未満(それぞれ、32.34N/15mm及び27.2N/15mm)。このように、比較例4及び比較例5は、それぞれ、ボイルインバッグ試験後及び化学的エージング後に不十分な接着強度及びヒートシール強度を示す。
【表3】
【0184】
比較例3は、(A)イソシアネート成分(共反応物F)と、(B)20重量%未満のダイマー酸(19重量%)を含む反応混合物で調製したダイマー酸ポリエステルポリオール成分(DAPP成分の比較例B3)とから形成された接着剤層を含む。比較例3のラミネート構造は、ボイルインバッグ試験後にバブリングを示し、化学的エージング後に層間剥離を示す。さらに、比較例3のラミネート構造は、(i)ボイルインバッグ試験後の接着強度が4.0N/15mm未満(3.9N/15mm)であり、化学的エージング後の接着強度が(ii)2.0N/15mm未満(1.06N/15mm)であることを示している。このように、比較例4及び比較例5は、それぞれ、ボイルインバッグ試験後及び化学的エージング後に不十分な接着強度を示す。
【0185】
実施例1及び実施例2は、それぞれ、(A)イソシアネート成分(共反応物F)と、(B)20~60重量%のダイマー酸(それぞれ、36重量%及び46重量%)を含む反応混合物で調製したダイマー酸ポリエステルポリオール成分(DAPP成分の実施例B1及びB2)とから形成される接着剤層を含む。実施例1及び実施例2のラミネート構造は、それぞれ、ボイルインバッグ試験後に良好な外観(すなわち、バブリングなし)を示し、加えて、化学的エージング後に良好な外観(すなわち、層間剥離なし)を示す。さらに、実施例1及び実施例2のラミネート構造は、それぞれ、(i)ボイルインバッグ試験後に、少なくとも4.0N/15mm(それぞれ、7.88N/15mm及び6.98N/15mm)の接着強度を示し、(ii)化学的エージング後に、少なくとも2.0N/15mm(それぞれ、3.76N/15mm及び3.98N/15mm)の接着強度を示し、(iii)ボイルインバッグ試験後に、少なくとも35N/15mm(それぞれ、50.12N/15mm及び51.25N/15mm)のヒートシール強度を示し、(iv)化学的エージング後に、少なくとも35N/mm(それぞれ42.44N/15mm及び41.2N/15mm)のヒートシール強度を示す。このように、実施例1及び実施例2は、それぞれ、ボイルインバッグ試験後及び化学的エージング後に十分な接着強度及びヒートシール強度を示す。
【0186】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態及び例示に限定されるものではなく、実施形態の一部及び異なる実施形態の要素の組合わせを含むこれらの実施形態の変形態様を以下の特許請求の範囲に入るように含むことが、明確に意図されている。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
2成分溶媒ベースの接着剤組成物であって、
(A)イソシアネート成分、
(B)ダイマー酸ポリエステルポリオール成分であって、
(i)ダイマー酸ポリエステルポリオール成分の総重量に基づく20重量%から60重量%のダイマー酸と、
(ii)ジカルボン酸と、
(iii)ポリオールとを含む反応混合物の反応生成物を含むダイマー酸ポリエステルポリオール成分、及び、
(C)溶媒、の反応生成物を含む2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
項2.
前記ジカルボン酸が、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、及びそれらの組合わせからなる群から選択される、項1に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
項3.
前記ポリオールが、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、及びネオペンチルグリコール(NPG)、並びにそれらの組合わせからなる群から選択される、項1又は項2に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
項4.
前記イソシアネートが多官能性イソシアネートである、項1~3のいずれか一項に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
項5.
前記イソシアネート成分が2.2から5.0の平均NCO官能価を有する、項1~4のいずれか一項に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
項6.
100:5から100:35のポリオール:イソシアネートの重量比を有する、項1~5のいずれか一項に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物。
項7.
ラミネートであって、
第1の基材と、
第2の基材と、
前記第1の基材と前記第2の基材との間の接着剤層であって、項1~6のいずれか一項に記載の2成分溶媒ベースの接着剤組成物から形成された接着剤層と、を含むラミネート。
項8.
前記第1の基材が金属箔フィルムであり、前記第2の基材がポリエチレンフィルムであり、
ボイルインバッグ試験後の接着強度が4.0N/15mmから15N/15mmであり、
化学的エージング後の接着強度が2.0N/15mmから10N/15mmである、項7に記載のラミネート。
項9.
ボイルインバッグ試験後のヒートシール強度が35N/15mmから75N/15mmであり、
化学的エージング後のヒートシール強度が35N/mmから75N/15mmである、項8に記載のラミネート。
項10.
2成分溶媒ベースの接着剤組成物を形成する方法であって、
(i)ダイマー酸に由来する単位を20重量%から60重量%含むダイマー酸ポリエステルポリオール成分を得ること、
(ii)イソシアネート成分を得ること、及び、
(iii)前記ダイマー酸ポリエステルポリオール成分を前記イソシアネート成分と反応させて、2成分溶媒ベースの接着剤組成物を形成すること、を含む方法。