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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】再使用可能な超音波メス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/32 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
A61B17/32 510
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021576457
(86)(22)【出願日】2020-04-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-12
(86)【国際出願番号】 CN2020084408
(87)【国際公開番号】W WO2021027302
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2021-12-21
(31)【優先権主張番号】201910752035.3
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521549246
【氏名又は名称】以諾康医療科技(蘇州)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼柯
(72)【発明者】
【氏名】袁小▲鶴▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼振中
(72)【発明者】
【氏名】▲顔▼忠余
(72)【発明者】
【氏名】▲駱▼威
【審査官】永石 哲也
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108969058(CN,A)
【文献】特表2009-538710(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109009330(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108354652(CN,A)
【文献】国際公開第2019/010258(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104783868(CN,A)
【文献】国際公開第2011/100321(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルアセンブリと、その遠位端に延設され、超音波の力学的エネルギーを伝達するために用いられる超音波メスホルダ(4)とを含む再使用可能な超音波メスであって、
前記超音波メスホルダ(4)の外に套管アセンブリ(1)が套設されており、前記套管アセンブリ(1)は第1及び第2の迅速接続機構により前記ハンドルアセンブリに取り外し可能に接続され、
前記套管アセンブリ(1)は互いに嵌着された内套管アセンブリと外套管アセンブリを含み、前記内套管アセンブリは、内套管(3)及びその近位端に固定された内套管ベース(7)を含み、前記外套管アセンブリは、外套管(2)及びその近位端に固定された外套管ベース(6)を含み、
前記内套管(3)は、前記超音波メスホルダ(4)と外套管(2)との間に位置し、且つ軸方向に沿って一定の距離を移動することにより、可動クランプ(20)を開閉し、可動クランプ(20)を前記超音波メスホルダの最も遠い末端に接触させたり離間させたりすることができ、
前記内套管アセンブリ及び外套管アセンブリは周方向において固定されており、
前記外套管ベース(6)は、第1の迅速接続機構を介して前記ハンドルアセンブリの遠位端に設けられたメス回転輪(8)と軸方向において固定され、
前記内套管ベース(7)は、第2の迅速接続機構を介して前記ハンドルアセンブリ内に設けられた、駆動機構の一部としてのばね座(9)と軸方向において固定され、
前記第1の迅速接続機構は、前記外套管ベース(6)の近位端の外周面上に設けられた第1のボス(6b)と、前記メス回転輪(8)内に軸方向において設けられたL字形溝(8a)とを含み、両者(6b,8a)は互いに嵌合するものであり、
前記第2の迅速接続機構は、前記内套管ベース(7)の近位端の外周面上に設けられた第2のボス(7a)と、前記ばね座(9)上に軸方向において設けられたL字形掛け具(9a)とを含み、両者(7a,9a)は互いに嵌合するものであり、
前記第1のボス(6b)の前記L字形溝(8a)における軸方向移動距離は、前記第2のボス(7a)の前記L字形掛け具(9a)における軸方向移動距離以上である、
ことを特徴とする再使用可能な超音波メス。
【請求項2】
前記外套管ベース(6)の内周面上に第1の平面(6c)が設けられ、前記内套管ベース(7)の外周面上に第2の平面(7b)が設けられ、前記外套管ベース(6)は前記内套管ベース(7)の外周に套設され、且つ前記第1の平面(6c)と第2の平面(7b)が相互に作用して前記内套管アセンブリと外套管アセンブリの周方向回転が制限される、ことを特徴とする請求項1に記載の再使用可能な超音波メス。
【請求項3】
前記メス回転輪(8)は雌ネジを含み、雄ネジを有する套管取り付けノブ(5)がそれに螺着され、前記套管取り付けノブ(5)の近位端の端面は前記外套管ベース(6)を常に付勢し、それを前記套管取り付けノブ(5)と前記メス回転輪(8)との間に固定させる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の再使用可能な超音波メス。
【請求項4】
前記外套管ベース(6)の遠位端の端面は階段式平面(6a)であり、前記套管取り付けノブ(5)の近位端のボス(5a)と係合する、ことを特徴とする請求項3に記載の再使用可能な超音波メス。
【請求項5】
前記内套管(3)と内套管ベース(7)は、インサート成形プロセス又は接着剤による接着を用いて実現される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の再使用可能な超音波メス。
【請求項6】
前記外套管(2)と外套管ベース(6)は、インサート成形プロセス又は接着剤による接着を用いて実現される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の再使用可能な超音波メス。
【請求項7】
前記ハンドルアセンブリ及び超音波メスホルダ(4)はそれぞれ耐高温材料を用いて作られている、ことを特徴とする請求項1に記載の再使用可能な超音波メス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療器具分野に関し、特に超音波メスに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波メスとは、圧電変換器(エネルギー発生器により電気エネルギーを圧電変換器に伝達し、圧電変換器により電気エネルギーを超音波の力学的エネルギーに変換する)により得られた超音波振動をさらに増幅し、増幅された超音波振動をメスの先端により軟組織の切断と凝固に用いる器具である。臨床でこのような器具を用いると、より低い温度及びより少ない出血の場合で病巣切除を実現することができ、最小限の組織側方への熱損傷を確保することができる。低侵襲外科手術の普及に伴い、超音波メスは既に通常の手術器具となっている。
【0003】
一般的に、超音波メスは、トランスデューサーと、ハンドルと、ハンドルの遠位端に設けられたメスホルダアセンブリとを含む。従来の超音波メスのメスホルダアセンブリは超音波メスホルダ、内套管及び外套管を有し、内套管は当該メスホルダと外套管との間に位置し、且つ軸方向に沿って一定の距離を移動することにより、可動クランプを開閉し、可動クランプをメスホルダの最も遠い末端に接触させたり離間させたりし、目標生体組織の挟持及び切断を実現することができる。
【0004】
しかし、このような超音波メスには、ハンドルハウジングとメスホルダアセンブリが取り外し不可能な構造であり、取り外すと回復できないという欠点がある。メスホルダアセンブリの構造からみると、内管及び外管は、メス刃部位、すなわち手術部位で開放している。メスホルダが静止している時、手術部位の液体組織は毛細管の作用で、管端部の開口からメス内部、すなわち内管と外管との間、内管とメスホルダとの間の隙間に浸透することになり、メスホルダが振動している時、メスホルダにおけるシリカゲル支持リングはメスホルダと同じ周波数で振動するピストンとなり、液体組織をメスホルダ本体と内管との間の隙間に強力に吸入することになる。廃棄した超音波メスを解体した後、メスホルダ本体全体や、内管外壁のメス刃に近い側には、いずれも凝固状態の脂肪のようなもの及び血液のかさぶたが観察され、特にメスホルダ本体全体上に、かさぶた現象がより甚だしい。1回、さらに複数回の手術が完了した後、超音波メスの構造及び性能は完全なままであるが、メス内部を徹底的に洗浄及び消毒することはできない。そのため、基準に従って、上記超音波メスは使い捨て手術器具としてしか使用できず、手術が完了した後、すぐに捨てるべきであるが、その価格が高いため、経済的な利益をむさぼるためには、使用済みの超音波メスを徹底的に洗浄及び消毒することなく、次の患者に再使用することで、必然的に交差感染のリスクを増加させる、という医者としての(悪)徳性による巨大なリスクが隠れている。
【0005】
これに鑑みて、中国特許CN201410023651.2、CN201810130712.3、CN201810871843.7、及びCN201811114966.2はいくつかの交換可能なメスホルダアセンブリを設計したが、これらのアセンブリには、構造が比較的複雑で、製造コストが比較的高く、組み立てにくく、例えばメスホルダの外周に設けられた套管アセンブリのベースは金属部材を用いることで、内外套管の設置を実現するために拡管、スピニングなどのプロセスを用いる必要があり、加工効率が低く、コストが高止まりするものや、反転を防止する機能がないので、超音波振動時に微小な変位が発生して手術の精度に影響を及ぼす可能性があるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】中国特許CN201410023651.2
【文献】中国特許CN201810130712.3
【文献】中国特許CN201810871843.7
【文献】中国特許CN201811114966.2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題を解決するために、再使用可能な超音波メスを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の技術的問題を解決するために、本発明の技術的解決手段は以下の通りである。
再使用可能な超音波メスは、ハンドルアセンブリと、その遠位端に延設され、超音波の力学的エネルギーを伝達するために用いられる超音波メスホルダとを含み、前記超音波メスホルダの外に套管アセンブリが套設され、前記套管アセンブリは迅速接続機構により前記ハンドルアセンブリに取り外し可能に接続される。
【0009】
好ましくは、前記套管アセンブリは互いに嵌着された内套管アセンブリと外套管アセンブリを含み、前記内套管アセンブリは内套管及びその近位端に固定された内套管ベースを含み、前記外套管アセンブリは外套管及びその近位端に固定された外套管ベースを含み、前記内套管は当該超音波メスホルダと外套管との間に位置し、且つ軸方向に沿って一定の距離を移動することにより、可動クランプを開閉し、可動クランプをメスホルダの最も遠い末端に接触させたり離間させたりすることができ、前記内套管アセンブリ及び外套管アセンブリは周方向において固定され、前記外套管ベースは第1の迅速接続機構を介して前記ハンドルアセンブリの遠位端に設けられたメス回転輪と軸方向において固定されるとともに、前記内套管ベースは第2の迅速接続機構を介して前記ハンドルアセンブリ内に設けられた、駆動機構の一部としてのスプリングシートと軸方向において固定される。
【0010】
好ましくは、前記第1の迅速接続機構は前記外套管ベースの近位端の外周面上に設けられた第1のボスと、前記メス回転輪内に軸方向において設けられたL字形溝とを含み、両者は互いに嵌合する。
好ましくは、前記第2の迅速接続機構は前記内套管ベースの近位端の外周面上に設けられた第2のボスと、前記スプリングシート上に軸方向において設けられたL字形掛け具とを含み、両者は互いに嵌合する。
【0011】
好ましくは、前記第1のボスの前記L字形溝における軸方向移動距離は前記第2のボスの前記L字形掛け具における軸方向移動距離の以上である。
【0012】
好ましくは、前記外套管ベースの内周面上に第1の平面が設けられ、前記内套管ベースの外周面上に第2の平面が設けられ、前記外套管ベースは前記内套管ベースの外周に套設され、且つ前記第1の平面と第2の平面が相互に作用して前記内ステップアセンブリと外套管アセンブリの周方向回転が制限される。
【0013】
好ましくは、前記メス回転輪は雌ネジを含み、雄ネジを有する套管取り付けノブがそれに螺着され、前記套管取り付けノブの近位端の端面は前記外套管ベースに常に付勢し、それを前記套管取り付けノブと前記メス回転輪との間に固定させる。
【0014】
好ましくは、前記外套管ベースの遠位端の端面は階段式平面であり、前記套管取り付けノブの近位端のボスと係合する。
【0015】
好ましくは、前記内套管と内套管ベースはインサート成形プロセス又は接着剤による接着を用いて実現される。
【0016】
好ましくは、前記外套管と外套管ベースはインサート成形プロセス又は接着剤による接着を用いて実現される。
【0017】
好ましくは、前記ハンドルアセンブリ及び超音波メスホルダはそれぞれ耐高温材料を用いて製造される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の有益な効果は主に以下のとおりである。即ち、取り付けを確実にし、着脱しやすく、洗浄及び消毒が容易であるという利点を有し、消耗品としての套管アセンブリが速やかに交換され、他の部分が再使用可能であり、洗浄及び高温蒸気滅菌を含む様々な方式による滅菌が可能であり、手術の消耗品のコストを大幅に低減させ、患者の負担を軽減させ、超音波メスの使用中の交差感染のリスクも低減させる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の超音波メスの立体構造概略図である。
図2】本発明の超音波メスの套管アセンブリの分解概略図である。
図3】本発明の超音波メスにおける套管アセンブリとハンドルとの間の接続を示すための部分断面図である。
図4】本発明の超音波メスの套管アセンブリとハンドルとの間の接続構造の分解概略図である。
図5】本発明の超音波メスの内套管アセンブリの構造概略図である。
図6】本発明の超音波メスの外套管アセンブリの構造概略図である。
図7】本発明の超音波メスの套管アセンブリの全体構造概略図である。
図8】本発明の超音波メスの外套管ベースの立体構造概略図である。
図9】本発明の超音波メスの外套管ベースを別の方向から見る立体構造概略図である。
図10】本発明の超音波メスの内套管ベースの立体構造概略図である。
図11】本発明の超音波メスのメス回転輪の立体構造概略図である。
図12】本発明の超音波メスのメス回転輪の断面図である。
図13】本発明の超音波メスの套管取り付けノブと外套管ベースの取り付け概略図である。
図14a】本発明の超音波メスの套管アセンブリとハンドルとの間の接続概略図である。
図14b】本発明の超音波メスの套管アセンブリとハンドルとの間の接続概略図である。
図14c】本発明の超音波メスの套管アセンブリとハンドルとの間の接続概略図である。
図14d】本発明の超音波メスの套管アセンブリとハンドルとの間の接続概略図である。
図15a】本発明の超音波メスの内套管ベースとスプリングシートとの間の接続概略図である。
図15b】本発明の超音波メスの内套管ベースとスプリングシートとの間の接続概略図である。
図15c】本発明の超音波メスの内套管ベースとスプリングシートとの間の接続概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に示す具体的な実施形態に合わせて本発明について詳細に説明する。しかし、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、当業者がこれらの実施形態に基づいて行った構造、方法、又は機能上の変換はいずれも本発明の保護範囲内に含まれる。
【0021】
解決手段の説明において、用語の「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」などが指示した方位又は位置関係は図面に基づいて示される方位又は位置関係であり、説明の便宜及び説明の簡略化のためのものに過ぎず、示される装置又は素子は必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作されることを指示又は暗示するものではないため、本発明を限定するものとして理解できないことを説明(理解)すべきである。また、用語の「第1」、「第2」、「第3」は説明のためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は暗示するものとして理解してはいけない。また、解決手段の説明において、操作者を基準にして、操作者に近づく方法を「近位端」(基端)とし、操作者から離れる方向を「遠位端」(先端)とする。
【0022】
図1から図3に示すように、本発明は、ハンドルアセンブリと、その遠位端(先端)に延設され、超音波の力学的エネルギーを伝達するために用いられる超音波メスホルダ4とを含む再使用可能な超音波メスを開示する。従来技術とほぼ類似して、本発明のハンドルアセンブリは、ハウジング12と、ハウジング12内に設けられたパワータッチモジュール11であって、超音波エネルギー出力の制御に用いられるパワータッチモジュール11と、前記ハウジング12上に枢設された引き金16及び手動ボタン17とを含む。前記引き金16は伝動構造部材14、15を介して力をスプリングアセンブリ10に伝達し、前記手動ボタン17はパワータッチモジュールをトリガするために用いられる。前記ハウジング12内には、前記伝動構造部材14、15をリセットするためのリセットスプリング13をさらに含む。当該ハンドルアセンブリの具体的な構造及び動作原理は従来技術とほぼ同じであるため、ここで詳細は再度説明しない。
【0023】
前記超音波メスホルダ4の外に套管アセンブリ1が套設され、前記套管アセンブリ1は迅速接続機構により前記ハンドルアセンブリに取り外し可能に接続される。具体的には、前記套管アセンブリ1は互いに嵌着された内套管アセンブリと外套管アセンブリを含み、前記内套管アセンブリは内套管3及びその近位端(基端)に固定された内套管ベース7を含み、前記外套管アセンブリは外套管2及びその近位端(基端)に固定された外套管ベース6を含み、前記内套管3は当該超音波メスホルダ4と外套管2との間に位置し、且つ軸方向に沿って一定の距離を移動することにより、可動クランプ20を開閉し、可動クランプ20をメスホルダの最も遠い末端に接触させたり離間させたりすることができる。
【0024】
図5~12に示すように、本発明における前記套管アセンブリ1とハンドルアセンブリとの間に、第1の迅速接続機構及び第2の迅速接続機構を含む迅速接続機構がある。前記外套管ベース6は第1の迅速接続機構を介して前記ハンドルアセンブリの遠位端に設けられたメス回転輪8と軸方向において固定されるとともに、前記内套管ベース7は第2の迅速接続機構を介して前記ハンドルアセンブリ内に設けられた、駆動機構の一部としてのスプリングシート9と軸方向において固定される。前記第1の迅速接続機構は、前記外套管ベース6の近位端(基端)の外周面上に設けられた第1のボス6bと、前記メス回転輪8内に軸方向において設けられたL字形溝8aとを含み、両者は互いに嵌合する。前記第2の迅速接続機構は、前記内套管ベース7の近位端(基端)の外周面上に設けられた第2のボス7aと、前記スプリングシート9上に軸方向において設けられたL字形掛け具9a(図15参照)とを含み、両者は互いに嵌合する。
【0025】
一般的に、前記第1のボス6bの前記L字形溝8aにおける軸方向移動距離は前記第2のボス7aの前記L字形掛け具9aにおける軸方向移動距離に等しく、このように、両者はちょうど嵌合できる。実際には、前記第1のボス6bの前記L字形溝8aにおける軸方向移動距離は、前記第2のボス7aの前記L字形掛け具9aにおける軸方向移動距離よりわずかに大きく、このように、外套管ベース6の第1のボス6bはまずL字形溝8a内に滑り込み、軸方向移動案内の役割を果たすことができ、当該技術的解決手段において、第1のボス6bと第2のボス7aがそれぞれL字形溝8aとL字形掛け具9aの水平折り端部まで同時に軸方向において移動することを保証するだけでよい。
【0026】
前記外套管ベース6の内周面上に第1の平面6cが設けられ、前記内套管ベース7の外周面上に第2の平面7bが設けられ、前記外套管ベース6は前記内套管ベース7の外周に套設され、且つ前記第1の平面6cと第2の平面7bが相互に作用して前記内套管アセンブリと外套管アセンブリの周方向回転が制限され、すなわち両者間に相対的回転が発生することはない。
【0027】
前記メス回転輪8は雌ネジを含み、雄ネジを有する套管取り付けノブ5がそれに螺着され、前記套管取り付けノブ5の近位端の端面は前記外套管ベース6に常に付勢し、それを前記套管取り付けノブ5と前記メス回転輪8との間に固定させる。さらに、前記外套管ベース6の遠位端の端面は階段式平面6aであり、前記套管取り付けノブ5の近位端のボス5aと係合する。
【0028】
図4図13図14a~図14d、図15a~図15cに合わせて(を参照して)、本発明の超音波メスの套管アセンブリを取り外すプロセスを具体的に説明する。
【0029】
使い捨て套管アセンブリを取り付ける時、外套管ベース6の第1のボス6bをメス回転輪8のL字形溝8aに合わせ、図14aの矢印方向においてメス回転輪8内に滑り込ませ、外套管ベース6の第1のボス6b及びメス回転輪8のL字形溝8aは案内作用を有するため、内套管ベース7の第2のボス7aもスプリングシート9のL字形掛け具9aに同時に合わせるようになる。
【0030】
使い捨て套管アセンブリをメス回転輪8の底部まで円滑に滑らせると、図14bに示す矢印方向において套管アセンブリを回転させ、内套管ベース7とスプリングシート9との接続及び外套管ベース6とメス回転輪8との接続を実現する。この時の套管アセンブリは、所定位置まで回転していない、又は矢印の逆方向に回転するおそれがあるため、本発明において追加された套管取り付けノブ5は外套管を正確な位置に取り付け、反転を防止することができ、図14cに示す方向においてメス回転輪8を(に)ねじ込み、締め付けると、套管アセンブリの組み立てが完了する。
【0031】
反転防止の具体的な原理は以下のとおりである。使い捨て套管アセンブリを組み立てる時、外套管ベース6には一部の階段式平面6aがあるため、套管取り付けノブ5を図12図13)に示す方向において回転させると、套管取り付けノブ5の端部ボス5aは当該階段式平面6aに接触するとともに、当該平面6aに一定の力を加えることで、外套管ベース6は一定のねじり力を受けることになる。このねじり力は2つの役割を果たす。まず、所定位置まで回転していない套管アセンブリをメス回転輪8のL字形溝8aの横方向の溝末端まで回転させることができ、このように、套管アセンブリの取り付け位置の正確さを保証することができ、次に、このねじり力は緩み止めと反転防止の効果を果たす。当然のことながら、階段式平面6aは円滑に移行する傾斜端面であってもよく、すなわち外套管ベース6の遠位端の端面が高度差を有するだけでよい。
【0032】
本発明では、使い捨て套管アセンブリを組み立てる時、内套管ベース7とスプリングシート9との具体的な接続プロセスは以下のとおりである。図15a~15cの矢印方向において内套管ベース7の第2のボス7aをスプリングシート9のL字形掛け具9aに沿って滑り込ませ、底部まで滑らせると、図15bの矢印方向において回転させて、第2のボス7aがL字形掛け具の横方向溝内に係止され、前記内套管ベース7とスプリングシート9との間は軸方向の相対的移動を行うことができず、このように、内套管ベース7とスプリングシート9との接続が実現される。
【0033】
本発明では、第1のボス6bと第2のボス7aの数を具体的に要求しない。当業者であれば、1つでも、2つでも、2つ以上でもよいことを知るべきである。前記内套管3と内套管ベース7、前記外套管2と外套管ベース6は、接続構造を作製するために、いずれもインサート成形プロセス(Insert Molding)又は接着剤による接着を用いて実現される。一般的に、套管アセンブリは端部接続構造がフレアプロセスを用いて作製されることで、寸法が不安定になり、製造中の廃棄率も高くなる。本発明ではインサート成形プロセス又は接着剤による接着を用いると、製品の廃棄率を低減させることができるだけでなく、またより複雑な構造を作って機能を実現することができる。
【0034】
本発明に記載のハンドルアセンブリ及び超音波メスホルダ4はそれぞれ耐高温材料(PPA、PEIなどの耐高温プラスチック、チタン合金、ステンレス鋼などなどの耐高温金属)を用いて製造され、洗浄及び高温蒸気滅菌が可能である。本発明は着脱しやすく、使用者は非常に短い時間内に套管アセンブリと再使用可能な部分の着脱を実現することができ、病院で使用しやすい。
【0035】
以上は本発明の好ましい実施形態に過ぎず、上記好ましい実施形態は本発明を限定するものとして見なされるべきではなく、本発明の保護範囲は特許請求の範囲に限定される範囲を基準とすべきであることを指摘しておく。当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、いくつかの改善及び修飾を行うことができ、これらの改善及び修飾も本発明の保護範囲として見なされるべきである。
【符号の説明】
【0036】
1 套管アセンブリ
2 外套管
6 外套管ベース,6b 第1のボス,6c 第1の平面
3 内套管
7 内套管ベース,7a 第2のボス,7b 第2の平面
4 超音波メスホルダ
5 套管取り付けノブ,5a 端部ボス
8 メス回転輪,8a L字形溝
9 スプリングシート(ばね座),9a L字形掛け具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14a
図14b
図14c
図14d
図15a
図15b
図15c