(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-22
(45)【発行日】2023-03-03
(54)【発明の名称】双方向空気抵抗ブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
B60T 1/16 20060101AFI20230224BHJP
B61H 11/06 20060101ALI20230224BHJP
B61D 49/00 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
B60T1/16
B61H11/06
B61D49/00 Z
(21)【出願番号】P 2022510858
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(86)【国際出願番号】 CN2020097076
(87)【国際公開番号】W WO2020239132
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】201910773588.7
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514222673
【氏名又は名称】中▲車▼青▲島▼四方▲車▼▲輛▼研究所有限公司
【氏名又は名称原語表記】CRRC QINGDAO SIFANG ROLLING STOCK RESEARCH INSTITUTE CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.231 Ruichang Road,Shibei District Qingdao,Shandong 266031 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王云▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼▲飛▼
(72)【発明者】
【氏名】尹崇宏
(72)【発明者】
【氏名】▲湯▼▲勁▼松
【審査官】山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106882169(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109131421(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109878473(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 1/16
B61H 11/06
B61D 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース(1)と、第1シリンダ(21)と、第2シリンダ(22)と、第1空気抵抗板(31)と、第2空気抵抗板(32)とを含む双方向空気抵抗ブレーキ装置であって、
第1空気抵抗板尾部(311)はベース(1)とヒンジ接続されており、前記第1空気抵抗板(31)は第1支持ロッド(51)を含み、前記第1支持ロッド
(51)の第1端は前記第1空気抵抗板中央部(312)にヒンジ接続され、
前記第1支持ロッド
(51)の第2端は前記第1シリンダ(21)と接続されており、
第2空気抵抗板尾部(321)はベース(1)とヒンジ接続され、前記第2空気抵抗板(32)は第2支持ロッド(52)を含み、前記第2支持ロッド
(52)の第1端は
第2空気抵抗板中央部(322)にヒンジ接続され、
前記第2支持ロッド
(52)の第2端は前記第2シリンダ(22)と接続されており、
前記第1空気抵抗板(31)と前記第2空気抵抗板(32)がほぼ鏡像対称に設置されており、
前記ベース(1)上には第1スライドレール(61)及び第2スライドレール(62)が設けられており、前記第1スライドレール(61)及び前記第2スライドレール(62)はほぼ鏡像対称に設置され、前記第1スライドレール(61)は列車の運行方向と平行であり、前記第2スライドレール(62)は
前記第1スライドレール(61)と平行であり、
前記第1スライドレール(61)には第1スライダ(611)及び第2スライダ(612)が設けられており、前記第1スライダ(611)は
前記第1スライドレール(61)と摺動接続され、前記第1スライダ(611)上には第1連結ロッド
(71)の第1端(711)がヒンジ接続され、前記第1連結ロッド
(71)の第2端(712)にはクロスロッド(75)の第1端(751)がヒンジ接続されており、前記第2スライダ(612)は
前記第1スライドレール(61)と摺動接続され、前記第2スライダ(612)上には第2連結ロッド
(72)の第1端(721)がヒンジ接続され、前記第2連結ロッド
(72)の第2端(722)には前記クロスロッド(75)の第1端(751)がヒンジ接続されており、
前記第2スライドレール(62)には第3スライダ(621)及び第4スライダ(622)が設けられており、前記第3スライダ(621)は
前記第2スライドレール(62)と摺動接続され、前記第3スライダ(621)上には第3連結ロッド
(73)の第1端(731)がヒンジ接続され、前記第3連結ロッド
(73)の第2端(732)には
前記クロスロッド(75)の第2端(752)がヒンジ接続されており、前記第4スライダ(622)は
前記第2スライドレール(62)と摺動接続され、前記第4スライダ(622)上には第4連結ロッド
(74)の第1端(741)がヒンジ接続され、
前記第4連結ロッド
(74)の第2端(742)には前記クロスロッド(75)の第2端(752)がヒンジ接続されており、
前記第1連結ロッド(71)、第2連結ロッド(72)、
前記第3連結ロッド(73)及び
前記第4連結ロッド(74)上には、いずれも少なくとも1つの止めブロック(9)が設置されており、前記止めブロック(9)は盛り上がった突起であり、前記第1連結ロッド(71)及び前記第2連結ロッド(72)の止めブロックは
前記第2スライドレール(62)の方向に突起しており、前記第3連結ロッド(73)及び
前記第4連結ロッド(74)の止めブロックは
前記第1スライドレール(61)の方向に突起している、双方向空気抵抗ブレーキ装置。
【請求項2】
前記第1連結ロッド
(71)及び
前記第3連結ロッド
(73)の止めブロック(9)は
前記第1空気抵抗板(31)の上方に位置し、前記第2連結ロッド
(72)及び
前記第4連結ロッド
(74)の止めブロック(9)は
前記第2空気抵抗板(32)の上方に位置しており、前記第1空気抵抗板(31)は前記第1連結ロッド
(71)及び第2連結ロッド
(72)の止めブロック(9)と可動的に接触し、前記第2空気抵抗板(32)は前記第2連結ロッド
(72)及び
前記第4連結ロッド
(74)の止めブロック(9)と可動的に接触する、請求項1に記載の双方向空気抵抗ブレーキ装置。
【請求項3】
前記第1スライドレール(61)の中央部に第1リミットブロック(81)が設けられ、前記第2スライドレール(62)の中央部に第2リミットブロック(82)が設けられている、請求項1又は2に記載の双方向空気抵抗ブレーキ装置。
【請求項4】
前記クロスロッド(75)は
前記第1空気抵抗板(31)と
前記第2空気抵抗板(32)の間に位置しており、前記クロスロッド(75)の第1端(751)と前記第1連結ロッド(71)及び前記第2連結ロッド(72)は複合的なヒンジを構成しており、前記クロスロッド(75)の第2端(752)と前記第3連結ロッド(73)及び前記第4連結ロッド(74)が複合的なヒンジを構成している、請求項1又は2に記載の双方向空気抵抗ブレーキ装置。
【請求項5】
ベース(1)と、ベース(1)上に取り付けられた第1シリンダ(21)及び第2シリンダ(22)と、ベース(1)上にヒンジ接続された第1空気抵抗板(31)及び第2空気抵抗板(32)とを含む双方向空気抵抗ブレーキ装置であって、
前記第1空気抵抗板(31)は第1支持ロッド(51)を含み、前記第1支持ロッド
(51)の第1端は前記第1空気抵抗板
(31)上にヒンジ接続され、
前記第1支持ロッド
(51)の第2端は前記第1シリンダ(21)と接続され、
前記第1空気抵抗板(31)を押して開くことができ、
前記第2空気抵抗板(32)は第2支持ロッド(52)を含み、前記第2支持ロッド
(52)の第1端は前記第2空気抵抗板
(32)上にヒンジ接続され、
前記第2支持ロッド
(52)の第2端は前記第2シリンダ(22)と接続され、
前記第2空気抵抗板(32)を押して開くことができ、
前記ベース(1)上にはさらに第1スライドレール(61)及び第2スライドレール(62)が設けられており、両者は列車の運行方向とほぼ平行であり、
前記第1スライドレール(61)には、
前記第1スライドレール(61)とそれぞれ摺動接続された第1スライダ(611)及び第2スライダ(612)が設置されており、前記第1スライダ(611)上には第1連結ロッド
(71)の第1端(711)がヒンジ接続され、第1連結ロッド
(71)の第2端(712)はクロスロッド(75)の第1端(751)にヒンジ接続され、前記第2スライダ(612)上には第2連結ロッド
(72)の第1端(721)がヒンジ接続され、第2連結ロッド
(72)の第2端(722)は前記クロスロッド(75)の第1端(751)にヒンジ接続されており、
前記第2スライドレール(62)には、
前記第2スライドレール(62)とそれぞれ摺動接続された第3スライダ(621)及び第4スライダ(622)が設置されており、前記第3スライダ(621)上には第3連結ロッド
(73)の第1端(731)がヒンジ接続され、
前記第3連結ロッド
(73)の第2端(732)は
前記クロスロッド(75)の第2端(752)にヒンジ接続され、前記第4スライダ(622)上には第4連結ロッド
(74)の第1端(741)がヒンジ接続され、
前記第4連結ロッド
(74)の第2端(742)は前記クロスロッド(75)の第2端(752)にヒンジ接続されており、
前記第1連結ロッド(71)、第2連結ロッド(72)、
前記第3連結ロッド(73)及び
前記第4連結ロッド(74)にはいずれも少なくとも1つの止めブロック(9)が設置されており、前記第1連結ロッド
(71)及び
前記第3連結ロッド
(73)の止めブロック(9)は
前記第1空気抵抗板(31)の上方に位置し、前記第2連結ロッド
(72)及び
前記第4連結ロッド
(74)の止めブロック(9)は
前記第2空気抵抗板(32)の上方に位置している、
双方向空気抵抗ブレーキ装置。
【請求項6】
前記第1スライドレール(61)の中央部には第1リミットブロック(81)が設けられており、第1スライダ(611)及び第2スライダ(612)がそれぞれ第1リミットブロック(81)の両側に位置しており、前記第2スライドレール(62)の中央部には第2リミットブロック(82)が設けられており、第3スライダ(621)及び第4スライダ(622)がそれぞれ第2リミットブロック(82)の両側に位置している、請求項5に記載の双方向空気抵抗ブレーキ装置。
【請求項7】
軌道列車であって、ルーフに請求項5に記載の双方向空気抵抗ブレーキ装置が取り付けられている、軌道列車。
【請求項8】
前記双方向空気抵抗ブレーキ装置の第1シリンダ及び第2シリンダが軌道列車の回路システムと電気接続されている、請求項7に記載の軌道列車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年8月21日に中国特許局に提出された、出願番号201910773588.7、発明の名称「軌道列車の双方向空気抵抗ブレーキ装置」の中国特許出願の優先権を請求するものであり、その内容のすべては引用によって本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は、高速列車制動分野に関し、具体的には双方向空気抵抗ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
高速列車の速度が300km/h以上になると、列車の運動エネルギーは幾何級数的に大幅に増加し、粘着制動力では列車に対する高速制動を実現できなくなる。通常採用される摩擦制動方式は、熱疲労亀裂を生じやすく、車輪とブレーキディスクの耐用年数を低下させ、さらには車両が損壊したり、人が死亡したりする交通事故を引き起こす。そのため、空気抵抗ブレーキは、高速列車ブレーキの新しい方式となっている。空気抵抗ブレーキは、空気抵抗板を利用して空気抵抗を増やすことで制動力を生み出す。列車が高速で走行する場合、その周辺の空気は列車にその運動方向とは反対の作用力を与える。この時、流線型の列車の表面から外側に向かって空気抵抗板を開くと、空気抵抗を受けて、列車を直接減速させる制動力が形成される。空気抵抗は速度の二乗に比例し、速度が速くなるほど制動力が大きくなるため、高速制動時の空気抵抗ブレーキ方式は優れた特性を有している。
【0004】
特許文献1は、双方向制動空気抵抗板を提供しており、展開角度が相反する2枚の空気抵抗板を並列に設置することにより、2枚の空気抵抗板が回転軸の噛合によって2枚の空気抵抗板の同時起動及び終了を実現し、1枚の空気抵抗板が開かれると、もう1枚の空気抵抗板も開かれて、2枚の空気抵抗板が同時に空気抵抗制動力を提供する。該出願は、一方で提供できる空気抵抗制動力にかなり限りがあり、その一方で空気抵抗板は完全にそれ自身の剛性及び歯車間の抵抗力によって風力に抵抗しているので、歯車機構の歯の断裂を引き起こしやすく、安全上のリスクが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
本出願では、制動効率が高く、空気抵抗板の信頼性が高い空気抵抗ブレーキ装置を提供している。
【0007】
本出願の第1の実施形態では双方向空気抵抗ブレーキ装置(以下、ブレーキ装置と略称する)を提供しており、ベース、第1シリンダ、第2シリンダ、第1空気抵抗板及び第2空気抵抗板を含み、そのうち、
前記第1空気抵抗板尾部はベースとヒンジ接続され、第1空気抵抗板は第1支持ロッドを含み、第1支持ロッドの第1端は第1空気抵抗板のほぼ中央部にヒンジ接続され、その第2端は第1シリンダと接続されており、
前記第2空気抵抗板の尾部はベースとヒンジ接続され、第2空気抵抗板は第2支持ロッドを含み、第2支持ロッドの第1端は第2空気抵抗板のほぼ中央部にヒンジ接続され、その第2端は第2シリンダと接続されており
前記第1空気抵抗板と前記第2空気抵抗板は鏡像対称に設置することができる。
前記ベース上には第1スライドレール及び第2スライドレールが設けられ、第1スライドレールと第2スライドレールは鏡像対称に設置することができ、第1スライドレールは列車の運行方向とほぼ平行であり、第2スライドレールは第1スライドレールとほぼ平行であり、
前記第1スライドレール上には、第1スライドレールとそれぞれ摺動接続された第1スライダ及び第2スライダが設置されており、第1スライダ上には第1連結ロッドの第1端がヒンジ接続され、第1連結ロッドの第2端にはクロスロッドの第1端がヒンジ接続され、第2スライダ上には第2連結ロッドの第1端が接続され、第2連結ロッドの第2端にはクロスロッドの第1端がヒンジ接続されており、
前記第2スライドレール上には、第2スライドレールとそれぞれ摺動接続された第3スライダ及び第4スライダが設置されており、第3スライダ上には第3連結ロッドの第1端がヒンジ接続され、第3連結ロッドの第2端にはクロスロッドの第2端がヒンジ接続され、第4スライダ上には第4連結ロッドの第1端がヒンジ接続され、第4連結ロッドの第2端にはクロスロッドの第2端がヒンジ接続されており、
前記第1連結ロッド、第2連結ロッド、第3連結ロッド及び第4連結ロッド上には、いずれも少なくとも1つの止めブロックが設置されており、前記止めブロックは盛り上がった突起であり、第1連結ロッド及び第2連結ロッドの止めブロックは第2スライドレールの方向に突起しており、第3連結ロッド及び第4連結ロッドの止めブロックは第1スライドレールの方向に突起していることも選択可能である。
【0008】
第1連結ロッドの少なくとも1つの止めブロックと第3連結ロッドの少なくとも1つの止めブロックが第1空気抵抗板の上方に位置し、第2連結ロッドの少なくとも1つの止めブロックと第4連結ロッドの少なくとも1つの止めブロックが第2空気抵抗板の上方に位置し、
第1空気抵抗板が第1連結ロッドの少なくとも1つの止めブロック及び第3連結ロッドの少なくとも1つの止めブロックと可動的に接触し、第2空気抵抗板が第2連結ロッドの少なくとも1つの止めブロック及び第4連結ロッドの少なくとも1つの止めブロックと可動的に接触することも選択可能である。
【0009】
前記第1連結ロッド、第2連結ロッド、第3連結ロッド及び第4連結ロッド上にはいずれも少なくとも1つの止めブロックが設置されており、そのうち、第1連結ロッドの少なくとも1つの止めブロックと第3連結ロッドの少なくとも1つの止めブロックが第1空気抵抗板の上方に位置し、第2連結ロッドの少なくとも1つの止めブロックと第4連結ロッドの少なくとも1つの止めブロックが第2空気抵抗板の上方に位置することも選択可能である。
【0010】
前記第1スライドレールの中央部に第1リミットブロックを設け、前記第2スライドレールの中央部に第2リミットブロックを設けることも選択可能である。第1スライダ及び第2スライダは、第1リミットブロックの両側にそれぞれ位置しており、第3スライダ及び第4スライダは第2リミットブロックの両側にそれぞれ位置している。
【0011】
前記クロスロッドが第1空気抵抗板と第2空気抵抗板との間に位置することも選択可能である。
【0012】
前記クロスロッドの第1端と前記第1連結ロッド及び前記第2連結ロッドが複合的なヒンジを構成し、前記クロスロッドの第2端と前記第3連結ロッド及び前記第4連結ロッドが複合的なヒンジを構成することも選択可能である。
【0013】
第1空気抵抗板が第1連結ロッド、クロスロッド及び第3連結ロッドの下方に位置し、第2空気抵抗板が第2連結ロッド、クロスロッド及び第4連結ロッドの下方に位置することも選択可能である。
【0014】
本出願の第2の実施形態ではもう1つの双方向空気抵抗ブレーキ装置を提供しており、ベースと、ベース上に取り付けられた第1シリンダ及び第2シリンダと、ベース上にヒンジ接続された第1空気抵抗板及び第2空気抵抗板とを含み、そのうち、
前記第1空気抵抗板は第1支持ロッドを含み、前記第1支持ロッドの第1端は前記第1空気抵抗板上にヒンジ接続され、第1支持ロッドの第2端が前記第1シリンダと接続されることで、第1空気抵抗板を押し動かして開き、
前記第2空気抵抗板は第2支持ロッドを含み、前記第2支持ロッドの第1端は前記第2空気抵抗板上にヒンジ接続され、第2支持ロッドの第2端が前記第2シリンダと接続されることで、第2空気抵抗板を押し動かして開き、
前記ベース上には第1スライドレール及び第2スライドレールがさらに設けられており、両者は列車の運行方向とほぼ平行であり、そのうち
前記第1スライドレールには、第1スライドレールと摺動接続された第1スライダ及び第2スライダがそれぞれ設置されており、そのうち、前記第1スライダ上には第1連結ロッドの第1端がヒンジ接続され、第1連結ロッドの第2端はクロスロッドの第1端にヒンジ接続され、前記第2スライダ上には第2連結ロッドの第1端がヒンジ接続され、第2連結ロッドの第2端は前記クロスロッドの第1端にヒンジ接続されており、
前記第2スライドレールには、第2スライドレールとそれぞれ摺動接続された第3スライダ及び第4スライダが設置されており、そのうち、前記第3スライダ上には第3連結ロッドの第1端がヒンジ接続され、第3連結ロッドの第2端はクロスロッドの第2端にヒンジ接続され、前記第4連結ロッド上には第4連結ロッドの第1端がヒンジ接続され、第4連結ロッドの第2端は前記クロスロッドの第2端にヒンジ接続されており、
前記第1連結ロッド、第2連結ロッド、第3連結ロッド及び第4連結ロッドにはいずれも少なくとも1つの止めブロックが設置されており、そのうち、前記第1連結ロッド及び第3連結ロッドの止めブロックは第1空気抵抗板の上方に位置し、前記第2連結ロッド及び第4連結ロッドの止めブロックは第2空気抵抗板の上方に位置している。
【0015】
前記第1スライドレールの中央部に第1リミットブロックを設け、第1スライダ及び第2スライダがそれぞれ第1リミットブロックの両側に位置し、前記第2スライドレールの中央部に第2リミットブロックを設け、第3スライダ及び第4スライダがそれぞれ第2リミットブロックの両側に位置することも選択可能である。
【0016】
本出願の第3の実施形態では、ルーフに前述のいずれかの技術手法に記載されている双方向空気抵抗ブレーキ装置が取り付けられた軌道列車を提供している。
【0017】
さらに、前記双方向空気抵抗ブレーキ装置の第1シリンダと第2シリンダは軌道列車の回路システムと電気接続されている。
【0018】
本出願の有益な点は次の通りである。
1.本出願の少なくとも1つの実施形態では、第1シリンダを設置して第1空気抵抗板を駆動し、第2シリンダを設置して第2空気抵抗板を駆動し、列車の運転方向の違いによって第1空気抵抗板または第2空気抵抗板を起動することにより、空気抵抗板の使用効率を高め、従来の双方向空気抵抗板において、2枚の空気抵抗板が同時に起動され、または同時に停止されるという問題を解決して、2枚の空気抵抗板が同時に起動されることを防止しているが、1枚の空気抵抗板が提供する空気抵抗制動力が低下している情況では、双方向空気抵抗ブレーキ装置が列車の運転方向に基づいて対応する空気抵抗板を起動することを実現し、装置全体の制動効率を高めている。
2.本出願の少なくとも1つの実施形態では、スライドレール、スライダ、連結ロッドなどの部材、及び相互接続関係の設定を通して、空気抵抗板に制動力を提供させると同時に、風が吹いても折れないようにして、装置全体の安全性を向上させている。
3.本出願の少なくとも1つの実施形態では、空気抵抗ブレーキを停止すると、シリンダの圧力が開放され、空気抵抗板は重力の作用により水平位置まで戻って車体の上方と貼り合わされ、かつスライダが連結ロッドの作用で初期位置まで戻るので、装置全体の自動終了を実現し、従来の空気抵抗ブレーキ装置の煩瑣な終了プロセスを解決している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】ある実施形態において第1空気抵抗板が開いている状態の図である。
【
図2】ある実施形態において第2空気抵抗板が開いている状態の図である。
【
図3】空気抵抗板が閉じている状態の斜視図である。
【
図4】空気抵抗板が閉じている状態の平面図である。
【
図5】空気抵抗板が閉じている状態の側面図である。
【
図6】第2空気抵抗板の動作状態の概略
図1である。
【
図7】第2空気抵抗板の動作状態の概略
図2である。
【符号の説明】
【0020】
1 ベース
21 第1シリンダ
22 第2シリンダ
31 第1空気抵抗板
311 第1空気抵抗板尾部
312 第1空気抵抗板中央部
32 第2空気抵抗板
321 第2空気抵抗板尾部
322 第2空気抵抗板中央部
41 第1ヒンジベース
42 第2ヒンジベース
51 第1支持ロッド
52 第2支持ロッド
61 第1スライドレール
611 第1スライダ
612 第2スライダ
62 第2スライドレール
621 第3スライダ
622 第4スライダ
71 第1連結ロッド
72 第2連結ロッド
73 第3連結ロッド
74 第4連結ロッド
75 クロスロッド
81 第1リミットブロック
82 第2リミットブロック
9 止めブロック
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、本出願の技術手法について具体的な実施形態と結び付けて詳細に説明するが、さらなる記述がない限り、1つの実施形態における素子、構造及び特徴は、他の実施形態に有益に結合させることができることを理解しておかなければならない。
【0022】
本出願の記述において、理解しておかなければならないのは、用語の「第1」、「第2」は目的を説明するためにのみ用いられるものであり、相対的な重要性を示したり、暗示したり、あるいは指している技術的特徴の数を暗に示したりするものと理解してはならないという点である。したがって、「第1」、「第2」と限定されている特徴は、明らかに、または暗に、1つまたはそれ以上の該特徴を含むことができる。
【0023】
本出願の記述において、説明しておかなければならないのは、別途明確な規定及び限定がない限り、用語の「連結」、「接続」は広義に理解しなければならないという点である。例えば、固定接続でもよいし、着脱可能な接続でもよいし、一体式の接続でもよい。また、直接的な連結でもよいし、中間媒体を介しての間接的な連結でもよいし、2つの素子内部の連通でもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記の用語の本出願における具体的な意味を理解することができる。
【0024】
前記の実施形態は、本出願の好適な実施形態について述べているにすぎず、本出願の範囲を限定するものではなく、本出願の設計の主旨を逸脱しないことを前提に、当業者によって行われる本出願の技術手法に対する様々な変形及び改良は、すべて本出願の請求項によって確定される保護範囲内に含まれなければならない。
【0025】
図1~5に示すように、本出願の第1の実施形態では、ベース1と、ベース1上に取り付けることができる第1シリンダ21及び第2シリンダ22を含む軌道列車の双方向空気抵抗ブレーキ装置(以下、ブレーキ装置と略称する)を提供しており、前記ブレーキ装置は第1空気抵抗板31及び第2空気抵抗板32をさらに含み、そのうち、
前記第1空気抵抗板尾部311とベース1は第1ヒンジベース41を介してヒンジ接続され、前記第1空気抵抗板31は第1支持ロッド51を含み、第1支持ロッド51の第1端は概ね第1空気抵抗板中央部312にヒンジ接続され、その第2端は第1シリンダ21の伸縮ロッドとヒンジ接続されており、第1シリンダの伸縮ロッドによって第1支持ロッドを押し動かすことで、第1空気抵抗板を開閉する。
【0026】
前記第2空気抵抗板尾部321とベース1は第2ヒンジベース42を介してヒンジ接続され、前記第2空気抵抗板32は第2支持ロッド52を含み、第2支持ロッド52の第1端は概ね第2空気抵抗板中央部322にヒンジ接続され、その第2端は第2シリンダ22の伸縮ロッドとヒンジ接続されており、第2シリンダの伸縮ロッドによって第2支持ロッドを押し動かすことで、第2空気抵抗板を開閉する。
前記第1空気抵抗板31と前記第2空気抵抗板32は鏡像対称に設置することができる。
【0027】
第1シリンダ21は第1支持ロッド51によって第1空気抵抗板31を駆動して開閉することができ、第2シリンダ22は第2支持ロッド52によって第2空気抵抗板32を駆動して開閉することができるので、列車の運転方向の違いにより、第1空気抵抗板31または第2空気抵抗板32を個別に駆動することができる。
図6及び
図7を例に挙げると、風が矢印の示す方向から吹いてきた場合、第2シリンダ22が伸縮ロッドを駆動して回収し、第2支持ロッド52が第2空気抵抗板32を押して上昇させて開く。第2空気抵抗板尾部321は第2ヒンジベース42とヒンジ接続されているので、第2空気抵抗板32が第2ヒンジベース42を回転中心として回転運動し、第2シリンダ22がストロークの限界に達すると、第2空気抵抗板32はベース1と一定の夾角を形成して、列車の制動のために制動力を提供する。第1空気抵抗板の運動原理は第2空気抵抗板と類似するので(
図1の通り)、ここでは贅言しない。
【0028】
図1~4に示すように、本出願では、ベース1に第1スライドレール61及び第2スライドレール62をさらに設置し、2本をほぼ平行に設置し、スライドレールがいずれも列車の運行方向とほぼ平行を保ち、前記第1スライドレール61の中央部に第1リミットブロック81を設け、前記第2スライドレール62の中央部に第2リミットブロック82を設けることも選択可能である。
【0029】
図3に示すように、前記第1スライドレール61上には第1スライダ611及び第2スライダ612が設置されている。前記第1スライダ611は第1スライドレール61と摺動接続されており、前記第1スライダ611上には第1連結ロッドの第1端711がヒンジ接続され、第1連結ロッドの第2端712にはクロスロッドの第1端751がヒンジ接続されている。前記第2スライダ612は第1スライドレール61と摺動接続されており、前記第2スライダ612上には第2連結ロッドの第1端721がヒンジ接続され、第2連結ロッドの第2端722にはクロスロッドの第1端751がヒンジ接続され、第1連結ロッド71と第2連結ロッド72が共同でクロスロッドの第1端751にヒンジ接続されている。第1スライダ611及び第2スライダ612は、それぞれ第1リミットブロック81の両側に位置しており、それにより第1リミットブロック81がスライダの過度のスライドを制限し、第1空気抵抗板を開くための位置規制を行うことができる。
【0030】
前記第2スライドレール62上には第2スライドレール62と摺動接続された第3スライダ621及び第4スライダ622が設置されており、前記第3スライダ621上には第3連結ロッドの第1端731がヒンジ接続され、第3連結ロッドの第2端732にはクロスロッドの第2端751がヒンジ接続されている。前記第4スライダ622は第2スライドレール62と摺動接続されており、前記第4スライダ622上には第4連結ロッドの第1端741がヒンジ接続され、第4連結ロッドの第2端742にはクロスロッドの第2端752がヒンジ接続されており、第3連結ロッド73と第4連結ロッド74が共同でクロスロッドの第2端752にヒンジ接続されている。第3スライダ621及び第4スライダ622は、それぞれ第2リミットブロック82の両側に位置しており、それにより第2リミットブロック82がスライダの過度のスライドを制限し、第2空気抵抗板を開くための位置規制を行うことができる。
【0031】
各スライドレールの両端に、対応するスライダが滑落してスライドレールから離れることを規制するための位置規制部材をそれぞれ設置することで、各スライダを対応する中間のリミットブロックと端の位置規制部材との間で動かすこともできるという点も理解しておかなければならない。列車上の取付空間に相応の便宜が提供される場合は、列車の構造の一部にリミットブロックの役割を与えることもでき、これをスライダの落下規制に用いることで、スライドレール上に位置規制部材を余分に設置する必要がなくなる。本実施形態では、列車構造を位置規制部材と見なすことで、スライドレール上に位置規制部材を設けていない。
【0032】
第1連結ロッド71、第2連結ロッド72、第3連結ロッド73及び第4連結ロッド74上には、いずれも少なくとも1つの止めブロック9が設置されている。本実施形態では、各連結ロッド上に止めブロックが3つある情況を示している。前記止めブロック9は盛り上がった突起でよく、第1連結ロッド71及び第2連結ロッド72の止めブロックは第2スライドレール62の方向に突起しており、第3連結ロッド73及び第4連結ロッド74の止めブロックは第1スライドレール61の方向に突起している。前記止めブロック9は第1空気抵抗板31及び第2空気抵抗板32の上方に位置しており、前記止めブロックは第1空気抵抗板11と可動的に接触し、前記止めブロックは第2空気抵抗板21と可動的に接触する。具体的には、
図3及び
図4に示すように、第1連結ロッド71上の少なくとも1つの止めブロック9と第3連結ロッド73上の少なくとも1つの止めブロック9は、いずれも第1空気抵抗板31の上方に位置し、第2連結ロッド72上の少なくとも1つの止めブロック9と第4連結ロッド74上の少なくとも1つの止めブロック9は、いずれも第2空気抵抗板32の上方に位置し、空気抵抗板の過度の開放を制限することができる。止めブロックの形状は本実施形態中の突起に限定されるわけではなく、空気抵抗板の上方に位置し、空気抵抗板の過度の開放を阻止できるその他の構造も本出願の保護範囲にあり、例えば、前記止めブロックは、第1連結ロッドと第3連結ロッドの間に位置する接続板またはロープ、及び第2連結ロッドと第4連結ロッドの間に位置する接続板またはロープなどの構造として設置されるが、この限りではないという点も理解しておかなければならない。
【0033】
引き続き、第2空気抵抗板32が上昇して開くことを例として、
図6と
図7を結び付けて考えると、第2空気抵抗板が第2シリンダ22からの駆動力を受けた場合、第2支持ロッド52が第2空気抵抗板32の上昇を推進し、第2空気抵抗板尾部321が第2ヒンジベース42とヒンジ接続されているため、第2空気抵抗板32が第2ヒンジベース42を回転中心として回転運動する。止めブロック9は第2空気抵抗板32の上方に位置し、かつ止めブロックの突起の一部が第2空気抵抗板32の回転経路を遮っているため、第2空気抵抗板32が止めブロック9の設けられた第2連結ロッド72及び第4連結ロッド74を押し上げる。第2連結ロッド72が第1連結ロッド71とともにクロスロッドの第1端751にヒンジ接続され、第4連結ロッド74が第3連結ロッド73とともにクロスロッドの第2端752にヒンジ接続されているので、第2連結ロッド72が第1連結ロッド71を第1スライドレール61の中心位置に近付くよう動かし、第4連結ロッド74が第3連結ロッド73を第2スライドレール62の中心位置に近付くよう動かし、それと同時に、第1連結ロッド71が第1スライダ611を摺動させ、第3連結ロッド73が第3スライダ621を摺動させる。また、スライドレール61、62上に位置するリミットブロック81、82は、第1スライダ611及び第3スライダ621の過度のスライドを制限する。第1空気抵抗板31は第1シリンダ21の駆動力を受けないので、第1空気抵抗板31に変化は生じず、引き続き水平の終了状態を維持する。
【0034】
図4に示すように、前記クロスロッド75は第1空気抵抗板31と第2空気抵抗板32との間に位置している。クロスロッドの第1端751と第1連結ロッド71及び第2連結ロッド72が複合ヒンジを構成し、クロスロッドの第2端752と第3連結ロッド73及び第4連結ロッド74が複合ヒンジを構成しており、第1連結ロッド71、第2連結ロッド72、第3連結ロッド73、第4連結ロッド74及びクロスロッド75が1つの保護フレームを構成し、第1空気抵抗板31と第2空気抵抗板32を保護しており、第1空気抵抗板31と第2空気抵抗板32を常に止めブロック9の下方に限定しており、また、第1スライドレール61と第2スライドレール62の中間には、それぞれリミットブロック81、82が設置されており、第1スライダ611が第1連結ロッド71の引張力を受けると、第1スライドレール61の第1リミットブロック81までスライドして停止し、第3スライダ621が第3連結ロッド73の引張力を受けると、第2スライドレール62の第2リミットブロック82までスライドして停止する。或いは、第1空気抵抗板31が開いている場合には、
図1に示すように、第2スライダ612が第2連結ロッド72の引張力を受けると、第1スライドレール61の第1リミットブロック81までスライドして停止し、第4スライダ622が第4連結ロッド74の引張力を受けると、第2スライドレール62の第2リミットブロック82までスライドして停止し、第1空気抵抗板31、第2空気抵抗板32、及び駆動力を提供する第1シリンダ21及び第2シリンダ22を有効に保護する。
【0035】
本実施例のもう1つの目的は、ルーフに軌道列車の双方向空気抵抗ブレーキ装置が取り付けられた軌道列車を提供することにある。
前記軌道列車の双方向空気抵抗ブレーキ装置の第1シリンダ21及び第2シリンダ22は、それぞれ軌道列車の回路システムと電気接続され、第1シリンダ及び第2シリンダの伸縮を制御する。
本実施例をより明確に説明するために、
図6及び
図7を参照する。図中の矢印は風が来る方向である。以下では、本実施例における軌道列車の双方向空気抵抗ブレーキ装置の動作原理について具体的に説明する。
【0036】
列車の走行時、風は第1空気抵抗板31の方向から吹いて来る。列車の運転手は列車の回路システムを制御することによって第2シリンダ22を起動させ、第2シリンダ22が動力を提供して伸縮ロッドを引き戻す。伸縮ロッドが引き戻されると、それとヒンジ接続されている第2支持ロッド52が第2空気抵抗板32を押し上げ、第2空気抵抗板尾部321がベース1上の第2ヒンジベース42とヒンジ接続されているので、第2空気抵抗板32が第2ヒンジベース42を回転中心として回転運動し、第2空気抵抗板32が回転すると、第2空気抵抗板32上方の第2連結ロッド72を阻止している止めブロック9と第4連結ロッド74の止めブロック9が第2空気抵抗板32によって押し上げられる。但し、第2連結ロッド72とヒンジ接続されている第2スライダ612と、第4連結ロッド74とヒンジ接続されている第4スライダ622が左右摺動の推力を受けないので、摺動は発生しない。この時、クロスロッド75が第2連結ロッド72及び第4連結ロッド74によって引き起こされ、また第1連結ロッド71と第3連結ロッド73もクロスロッド75とヒンジ接続されているので、第1連結ロッド71及び第3連結ロッド73がスライドレール61、62の中間に設置されたリミットブロック81、82の所まで引っ張られる。第1連結ロッド71及び第3連結ロッド73の止めブロック8は第1空気抵抗板31の上方に設置されているので、第1空気抵抗板31に回転運動させることはない。この時、
図2に示すように、空気抵抗ブレーキ装置の第2空気抵抗板32の起動が完了する。第1空気抵抗板31の起動は第2空気抵抗板32と類似しており(
図1の通り)、風の来る方向が異なるだけなので、ここでは贅言しない。
【0037】
列車が制動を停止し、列車の運転手が列車回路システムを制御して空気抵抗ブレーキ装置を終了させると、列車回路システムが第2シリンダ22を制御して伸縮ロッドを伸ばす。この時、第2空気抵抗板32は回転の推力を失い、風からの抵抗力も受けないため、クロスロッド75の重さと第2シリンダ22による伸縮ロッドの伸長作用により下降運動を行い、クロスロッド75は、それとヒンジ接続された第1連結ロッド71及び第3連結ロッド73を水平位置まで戻すと同時に、第1スライダ611と第3スライダ621を初期位置まで戻し、かつ第2連結ロッド72と第4連結ロッド74を水平位置まで戻す。これで、第2空気抵抗板32は水平位置に戻り、
図3及び
図4に示すように、双方向空気抵抗ブレーキ装置の終了が完了する。
【0038】
上記の実施例は、従来技術と比較して少なくとも以下の利点を有している。
1.本出願では、列車の運転方向の違いによって第1空気抵抗板または第2空気抵抗板を起動することにより、空気抵抗板の使用効率を高め、従来の双方向空気抵抗板において、2枚の空気抵抗板が同時に起動され、または同時に停止されるという問題を解決して、2枚の空気抵抗板が同時に起動されることを防止しているが、1枚の空気抵抗板が提供する空気抵抗制動力が低下している情況では、双方向空気抵抗ブレーキ装置が列車の運転方向に基づいて対応する空気抵抗板を起動することを実現し、装置全体の制動効率を高めている。
2.本出願では、スライドレール、スライダ、連結ロッド構造及び止めブロックなどの構造を設置しており、止めブロックは空気抵抗板を押さえて止めることができ、第1空気抵抗板または第2空気抵抗板がシリンダの駆動力を受けると、空気抵抗板が自身の上を押さえている止めブロックを押し上げて連結ロッドを動かし、連結ロッドが、ヒンジ接続されているスライダをレール上で摺動させ、かつスライドレールの中間にリミットブロックを設置し、リミットブロックと止めブロックが共同で作用して、空気抵抗板が制動力を提供しつつ風によって折れることがないことを保証でき、装置全体の安全性を向上させている。
3.本出願では、空気抵抗制動を停止すると、シリンダの圧力が解放され、空気抵抗板は重力の作用により水平位置まで戻って車体の上方と貼り合わされ、かつスライダが連結ロッドの作用で初期位置まで戻るので、装置全体の自動終了を実現し、従来の空気抵抗ブレーキ装置の煩瑣な終了プロセスを解決している。
上で述べているのは本出願の好適な実施例にすぎず、本出願を限定するものではなく、当業者にとって、本出願は様々な変更及び変化を有することができる。本出願の主旨及び原則内で行われる変更、同等の置換及び改良は、すべて本出願の保護範囲内に含まれるものとする。