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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】手摺装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 17/02 20060101AFI20230227BHJP
【FI】
A47K17/02 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018152157
(22)【出願日】2018-08-12
(65)【公開番号】P2020025742
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】599117255
【氏名又は名称】株式会社 シコク
(74)【代理人】
【識別番号】100144509
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 洋三
(72)【発明者】
【氏名】古瀬 圭一朗
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-043238(JP,A)
【文献】特開2010-005077(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106388687(CN,A)
【文献】特開2004-329535(JP,A)
【文献】特開2010-201019(JP,A)
【文献】特開平10-014824(JP,A)
【文献】特開2008-092972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00-17/02
E03D 11/00-13/00
A47K 11/00-11/12
E04F 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座式トイレの前部近傍に設置される設置基台の左右方向の両端側に、該設置基台から立設された支柱と該支柱の上端において上記着座式トイレの前後方向へ延出するように取り付けられた側部肘掛を備えた肘付手摺ユニットを取り付ける一方、
上記各側部肘掛の前端には、上下方向に回動自在で且つ略水平の回動位置では上記設置基台の左右方向において所定間隔をもって対向し上記着座式トイレの直前方に横設状態で位置保持される前部肘掛がそれぞれ設けられ、
上記肘付手摺ユニットが上記設置基台の上記着座式トイレに近い側の縁部寄りに設置される一方、上記着座式トイレから遠い側に縁部には、上記設置基台に立設された支柱の上側に手摺体を取り付けて成る補助手摺ユニットが設置されており、
上記肘付手摺ユニットは、上記設置基台に対する取付け位置が該設置基台の左右方向において変更可能に構成されていることを特徴とする手摺装置。
【請求項2】
着座式トイレの前部近傍に設置される設置基台の左右方向の両端側に、該設置基台から立設された支柱と該支柱の上端において上記着座式トイレの前後方向へ延出するように取り付けられた側部肘掛を備えた肘付手摺ユニットを取り付ける一方、
上記各側部肘掛の前端には、上下方向に回動自在で且つ略水平の回動位置では上記設置基台の左右方向において所定間隔をもって対向し上記着座式トイレの直前方に横設状態で位置保持される前部肘掛がそれぞれ設けられ、
上記肘付手摺ユニットが上記設置基台の上記着座式トイレに近い側の縁部寄りに設置される一方、上記着座式トイレから遠い側に縁部には、上記設置基台に立設された支柱の上端側に手摺体を取り付けて成る補助手摺ユニットが設置されており、
上記補助手摺ユニットは、上記設置基台に対する取付け位置が該設置基台の左右方向において変更可能に構成されていることを特徴とする手摺装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、上記着座式トイレがポータブルトイレであることを特徴とする手摺装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2において、上記着座式トイレが洋式トイレであることを特徴とする手摺装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ポータブルトイレとか洋式トイレ等の着座式トイレに付設される手摺装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1~2に示されるように、通常、ポータブルトイレにおいては、トイレ使用者の姿勢保持とか姿勢支援等の観点から、トイレ本体部の左右両側に肘掛が備えられている。
【0003】
また、洋式トイレには、肘掛は標準仕様としては備えられておらず、そのため特許文献3~4に示すように、洋式トイレの両側部に跨るようにして別体構成の手摺装置を配置することが試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-61184号公報
【文献】特開2016-202225号公報
【文献】特開2003-275147号公報
【文献】特開2004-313734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、ポータブルトイレに設けられた肘掛は、ポータブルトイレの可搬性、操作性等を考慮して、トイレ本体部に比して小形であり、肘掛機能を十分に達成するとは言えないものであった。このため、この当初設置の肘掛けの機能を補完すべく、十分な大きさをもった側部肘掛を備えることが望まれる場合がある。
【0006】
また、ポータブルトイレの便座に着座しての用便時には、使用者の前面側に横設状態で前部肘掛が備えられていれば使用者はこれに肘を預けて前傾した安楽姿勢で用を足すことができることから、係る前部肘掛の付設も要請されるところである。
【0007】
しかし、この大形の側部肘掛とか前部肘掛は、これをポータブルトイレに一体的に
組み込むと該ポータブルトイレの可搬性、操作性が損なわれるため、好ましい対応と
は言えない。
【0008】
そこで考えられるのが、側部肘掛とか前部肘掛等を備えた手摺装置を、必要に応じて、ポータブルトイレに付設できれば好適である。
一方、洋式トイレにおいても、大形の手摺装置を固定的に設置するのではなく、必要に応じて、後付で手摺装置を設置できれば好適である。
【0009】
そこで、本願発明は、ポータブルトイレとか洋式トイレのような着座式トイレに対して、必要に応じて付設できるようにした手摺装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
【0011】
本願の第1の発明に係る手摺装置では、着座式トイレの前部近傍に設置される設置基台の左右方向の両端側に、該設置基台から立設された支柱と該支柱の上端において上記着座式トイレの前後方向へ延出するように取り付けられた側部肘掛を備えた肘付手摺ユニットを取り付ける一方、上記各側部肘掛の前端には、上下方向に回動自在で且つ略水平の回動位置では上記設置基台の左右方向において所定間隔をもって対向し上記着座式トイレの直前方に横設状態で位置保持される前部肘掛がそれぞれ設けられ、上記肘付手摺ユニットが上記設置基台の上記着座式トイレに近い側の縁部寄りに設置される一方、上記着座式トイレから遠い側に縁部には、上記設置基台に立設された支柱の上側に手摺体を取り付けて成る補助手摺ユニットが設置されており、上記肘付手摺ユニットは、上記設置基台に対する取付け位置が該設置基台の左右方向において変更可能に構成されていることを特徴としている。
【0012】
本願の第2の発明に係る手摺装置では、着座式トイレの前部近傍に設置される設置基台の左右方向の両端側に、該設置基台から立設された支柱と該支柱の上端において上記着座式トイレの前後方向へ延出するように取り付けられた側部肘掛を備えた肘付手摺ユニットを取り付ける一方、上記各側部肘掛の前端には、上下方向に回動自在で且つ略水平の回動位置では上記設置基台の左右方向において所定間隔をもって対向し上記着座式トイレの直前方に横設状態で位置保持される前部肘掛がそれぞれ設けられ、上記肘付手摺ユニットが上記設置基台の上記着座式トイレに近い側の縁部寄りに設置される一方、上記着座式トイレから遠い側に縁部には、上記設置基台に立設された支柱の上側に手摺体を取り付けて成る補助手摺ユニットが設置されており、上記補助手摺ユニットは、上記設置基台に対する取付け位置が該設置基台の左右方向において変更可能に構成されていることを特徴としている。
【0013】
本願の第3の発明では、上記第1又は第2の発明に係る手摺装置において、上記着座式トイレがポータブルトイレであることを特徴としている。
【0014】
本願の第4の発明では、上記第1又は第2の発明に係る手摺装置において、上記着座式トイレが洋式トイレであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本願発明では次のような効果が得られる。
【0016】
(a)本願の第1の発明
(a―1)本願の第1の発明に係る手摺装置によれば、着座式トイレの前部近傍に設置される設置基台の左右方向の一端側又は両端側に、該設置基台から立設された支柱と該支柱の上端において上記着座式トイレの前後方向へ延出するように取り付けられた側部肘掛を備えた肘付手摺ユニットを取り付けて構成したので、この手摺装置を必要に応じて着座式トイレの前部近傍に付設すれば、トイレ使用時における使用者の姿勢保持等の要請に的確に対応することができ、延いては該手摺装置による使用者に対する支援効果が促進される。
【0017】
(a―2)また、この発明では、上記側部肘掛の前端に、上下方向に回動自在で且つ略水平の回動位置では上記着座式トイレの前方側への横設状態で位置保持される前部肘掛を設けているので、使用者の用便時の姿勢保持が容易となり、特に高齢者等の体力的弱者にとってその効果は顕著となる。
【0018】
(a―3)さらに、この発明では、上記肘付手摺ユニットを上記設置基台の上記着座式トイレに近い側の縁部寄りに設置する一方、上記着座式トイレから遠い側に縁部には、上記設置基台に立設された支柱の上端側に手摺体を取り付けて成る補助手摺ユニットを設置したので、トイレの使用者は、用便時には便座に着座した姿勢で上記着座肘付手摺ユニットを使用することで安楽姿勢を保持することができ、またトイレへの進入及び退出時には上記補助手摺ユニットを使用することで安全に移動することができる。
【0019】
(a―4)また、この発明では、上記肘付手摺ユニットの上記設置基台に対する取付け位置が該設置基台の左右方向において変更可能とされているので、例えば、トイレ使用者の体格とか使用上の好み等に応じて上記肘付手摺ユニットの取付け位置を変更することで、トイレ使用者に対する支援効果がさらに向上する。
【0020】
(b)本願の第2の発明
(b-1)本願の第2の発明に係る手摺装置によれば、着座式トイレの前部近傍に設置される設置基台の左右方向の一端側又は両端側に、該設置基台から立設された支柱と該支柱の上端において上記着座式トイレの前後方向へ延出するように取り付けられた側部肘掛を備えた肘付手摺ユニットを取り付けて構成したので、この手摺装置を必要に応じて着座式トイレの前部近傍に付設すれば、トイレ使用時における使用者の姿勢保持等の要請に的確に対応することができ、延いては該手摺装置による使用者に対する支援効果が促進される。
【0021】
(b―2)また、この発明では、上記側部肘掛の前端に、上下方向に回動自在で且つ略水平の回動位置では上記着座式トイレの前方側への横設状態で位置保持される前部肘掛を設けているので、使用者の用便時の姿勢保持が容易となり、特に高齢者等の体力的弱者にとってその効果は顕著となる。
【0022】
(b―3)さらに、この発明では、上記肘付手摺ユニットを上記設置基台の上記着座式トイレに近い側の縁部寄りに設置する一方、上記着座式トイレから遠い側に縁部には、上記設置基台に立設された支柱の上端側に手摺体を取り付けて成る補助手摺ユニットを設置したので、トイレの使用者は、用便時には便座に着座した姿勢で上記着座肘付手摺ユニットを使用することで安楽姿勢を保持することができ、またトイレへの進入及び退出時には上記補助手摺ユニットを使用することで安全に移動することができる。
【0023】
(b―4)また、この発明では、上記補助手摺ユニットの上記設置基台に対する取付け位置が該設置基台の左右方向において変更可能とされているので、例えば、トイレ使用者の体格とかトイレへの進入・退出経路の状況等に応じて上記肘付手摺ユニットの取付け位置を変更することで、トイレ使用者に対する支援効果がさらに向上する。
【0024】
(c)本願の第3の発明
本願の第3の発明に係る手摺装置によれば、上記(a)又は(b)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、手摺装置が、設置場所の変更が想定されるポータブルトイレに付設されるので、このポータブルトイレの設置場所が変更される場合には、上記手摺装置はその可搬性によって上記ポータブルトイレに対して常に適正な位置に設置することができ、該手摺装置の支援機能が維持される。
【0025】
(f)本願の第4の発明
本願の第4の発明に係る手摺装置によれば、上記(a)又は(b)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、手摺装置が、固定的に設置される洋式トイレに付設されるが、この場合、該手摺装置の上記設置基台を上記洋式トイレの前部形状に沿わせて切欠き成形することで、該手摺装置を上記洋式トイレの前部近傍の所要位置に設置することができ、該手摺装置の支援機能が維持される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本願発明の第1の実施形態に係る手摺装置の全体を示す斜視図である。
図2図1に示した手摺装置の正面図である。
図3図1に示した手摺装置の一の形態変更を示す斜視図である。
図4図1に示した手摺装置の他の形態変更を示す斜視図である。
図5】本願発明の第2の実施形態に係る手摺装置の全体を示す斜視図である。
図6図5に示した手摺装置の正面図である。
図7】本願発明の第3の実施形態に係る手摺装置の全体を示す斜視図である。
図8図7に示した手摺装置の正面図である。
図9】本願発明の第4の実施形態に係る手摺装置の全体を示す斜視図である。
図10図9に示した手摺装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
A:第1の実施形態
図1及び図2には、本願発明の第1の実施形態に係る手摺装置Z1を示している。
【0028】
「手摺装置Z1の構成」
上記手摺装置Z1は、着座式トイレであるポータブルトイレ20に対して、必要に応じて付設されるものであって、長矩形の平面形体をもつ設置基台1の長辺側の縁部の左右両側に、肘付手摺ユニット2をそれぞれ取り付けて構成される。
【0029】
また、上記肘付手摺ユニット2は、上記設置基台1に立設固定され且つ長さ(高さ)調整が可能とされた支柱5と、該支柱5の上端において上記設置基台1の短辺方向に向けて延出するように取り付けられた側部肘掛6と、該側部肘掛6の先端部に取付けられた前部肘掛7を備えて構成される。
【0030】
なお、上記前部肘掛7は、上記側部肘掛6の先端部を回動中心として上記設置基台1の長辺に平行な面に沿って、上記側部肘掛6の先端部から略鉛直上方に延出する跳上位置と、該先端部から略水平に延出する横設位置の間で回動可能とされ、且つ横設位置においてはそれ以上に下方へ回動するのが規制されてその横設位置が保持されるようになっている。
【0031】
また、上記肘付手摺ユニット2は、上述のように上記設置基台1の左右両端側に離間して対向配置されるものであり、そのためこの左右一対の肘付手摺ユニット2においては上記前部肘掛7の横設位置での延出方向が対向するように制作される。したがって、これら一対の肘付手摺ユニット2の各前部肘掛7が共に横設位置に設定された状態(図1図2の図示状態)では、左右の前部肘掛7が所定間隔をもて対向し、ポータブルトイレ20の直前方に横設状態で配置されることになる。
【0032】
さらに、上記設置基台1には、その四隅部分のそれぞれに、左右方向に所定間隔で並んだ5個のボルト孔が前後2列に設けられて一つのボルト孔群を構成している。このボルト孔群は支柱固定部となるものであって、ここでは、上記設置基台1の一方の長辺側の左右両側に位置するボルト孔群を第1支柱固定部14、第2支柱固定部15とし、また他方の長辺側の左右両側に位置するボルト孔群を第3支柱固定部16、第4支柱固定部17としている。
【0033】
したがって、上記一対の肘付手摺ユニット2は、その各支柱5を上記第1支柱固定部14と第2支柱固定部15にそれぞれ固定するか(図1の状態)、上記第2支柱固定部15と第4支柱固定部17に固定するかによって、該設置基台1に対する前後方向の取付け位置を変更できるので、付設されるポータブルトイレ20との相対関係等に応じて取付け位置を変更すれば良い。
【0034】
さらに左右一対の肘付手摺ユニット2は、各支柱固定部14~17におけるボルト孔群のボルト孔を選択して使用することで、該一対の肘付手摺ユニット2の対向間隔を増減調整することができる。この対向間隔の調整は、手摺装置Z1の付設されるポータブルトイレ20の幅寸法との関係において行われ、これによって該ポータブルトイレ20と上記手摺装置Z1との横方向(幅方向)の間隔が調整される。
【0035】
「手摺装置Z1の設置」
上記手摺装置Z1は、必要に応じて次述のポータブルトイレ20に付設される。このポータブルトイレ20は、椅子型形体とされ、その本体部21の上面側の左右両側にはそれぞれ肘掛部22が一体的に備えられている。
【0036】
そして、上記手摺装置Z1は、上記ポータブルトイレ20の前部近傍に、上記左右一対の肘付手摺ユニット2の間に上記ポータブルトイレ20の前部を進入させた状態で設置される。この場合、上記一対の肘付手摺ユニット2の前後方向の取付位置と左右方向の取付位置、及び上記支柱5の高さ調整は、上記ポータブルトイレ20の幅寸法、奥行き寸法及び上記肘掛部22の高さに応じて、予め位置調整及び高さ調整が行われており、この実施形態の場合には、上記ポータブルトイレ20の前端が上記設置基台1の前端近くに位置し、また上記側部肘掛6は上記ポータブルトイレ20の肘掛部22と略同一高さとなっている。
【0037】
なお、この実施形態の場合には、上記手摺装置Z1の一対の肘付手摺ユニット2を上記設置基台1の第3支柱固定部16と第4支柱固定部17に固定しているため、上記ポータブルトイレ20は上記設置基台1上に略乗り上げた状態となっているが、他の実施形態では、例えば上記一対の肘付手摺ユニット2を上記設置基台1の第1支柱固定部14と第2支柱固定部15に固定すれば、上記ポータブルトイレ20の前方側に上記設置基台1の大部分を露出させることができる。
【0038】
このように上記ポータブルトイレ20に上記手摺装置Z1を付設すれば、上記ポータブルトイレ20の使用者は、上記手摺装置Z1の左右の側部肘掛6を掴んでより安全に上記ポータブルトイレ20の座面に座ったり、該座面から立ち上がったりできるとともに、着座状態においては安楽姿勢を維持できる。また、座面に座っての用便時には、上体を若干前倒しにして前方に横設配置された上記前部肘掛7に肘をついて体重の一部を預けることで、排便し易い体勢をとることができ、用便時におけるトイレ使用者の負担軽減が図れる。
【0039】
なお、上記ポータブルトイレ20へのトイレ使用者の進入及び退出時には、上記各肘付手摺ユニット2の前部肘掛7は共に跳上位置に位置決めされ、トイレ使用者の移動スペースを確保する。また、上記肘付手摺ユニット2は、この実施形態のように上記設置基台1の左右両側に設けるのではなく、左右何れか一方側のみに設けることも可能である。
【0040】
B:第2の実施形態
図3及び図4には、本願発明の第2の実施形態に係る手摺装置Z2を示している。なお、以下においては、第1の実施形態の手摺装置Z1における部材と同じ部材については、同じ符号を付してその説明を援用し、ここでの説明を省略する。
【0041】
「手摺装置Z2の構成」
上記手摺装置Z2は、着座式トイレであるポータブルトイレ20に対して、必要に応じて付設されるものであって、長矩形の平面形体をもつ設置基台1の一方の長辺側の縁部の左右両側に肘付手摺ユニット2をそれぞれ取り付けるとともに、他方の長辺側の縁部には補助手摺ユニット3を取り付けて構成される。
【0042】
即ち、この実施形態の手摺装置Z2は、上記第1の実施形態に係る上記手摺装置Z1に、上記補助手摺ユニット3を追加した構成となっている。したがって、以下においては、上記手摺装置Z1と共通する事項についてはその説明をできるだけ省略して第1の実施形態における説明を援用し、ここでは上記補助手摺ユニット3を含む新規な構成を中心に説明する。
【0043】
上記補助手摺ユニット3は、上記設置基台1にボルト締結によって立設固定され且つ長さ(高さ)調整が可能とされた支柱10と、該支柱10の上端側に取付けられた手摺体11を備えて構成される。なお、上記手摺体11は、上下方向に長軸をもつ縦環状体であって、その一方の長辺部の下端が上記支柱10の上端に連結されることで、他方の長辺部が側方へ偏移した形状とされ、主としてこの偏移部分が把持部として機能する。
【0044】
また、上記手摺体11の下端部には、反偏移側へ延出する小杆状の連結杆12が設けられている。この連結杆12は、上記補助手摺ユニット3が上記設置基台1の上記第3支柱固定部16又は第4支柱固定部17に選択的に固定されたとき、同じ側にある第1支柱固定部14又は第2支柱固定部15に固定された上記肘付手摺ユニット2の支柱5に突設した連結杆8と連結されることで(図5図6参照)、その固定強度が確保される。即ち、この補助手摺ユニット3は、上記各肘付手摺ユニット2よりも前方側にあって且つその高さも高いことから、主としてトイレ使用者がポータブルトイレ20の座面に着座したり、これから離座するときに把持し且つ側方へ比較的大きな力が掛けられる部分であるため、上記支柱10を上記肘付手摺ユニット2の支柱5に連結してその固定強度を確保したものである。
【0045】
また、上記補助手摺ユニット3は、上記設置基台1の上記第3支柱固定部16又は第4支柱固定部17に固定される場合、さらにこれら各支柱固定部16,17内で使用するボルト孔を選択することで、左右方向における位置調整を行うことができる。なお、上記補助手摺ユニット3を上記設置基台1の第3支柱固定部16と第4支柱固定部17の何れに固定するかは、例えば、トイレ使用者の体格とかトイレへの進入・退出経路の状況等に応じて任意に決定される。
【0046】
以上のように構成された上記手摺装置Z2を上記ポータブルトイレ20の前部近傍に付設すれば、該ポータブルトイレ20の使用者は、上記手摺装置Z2の左右の側部肘掛6を掴んでより安全に上記ポータブルトイレ20の座面に座ったり、該座面から立ち上がったりできるとともに、着座時においては安楽姿勢を維持できる。また、座面に座っての用便時には、上体を若干前倒しにして前方の横設配置された上記前部肘掛7に肘をついて体重の一部を預けることで、排便し易い体勢をとることができ、用便時におけるトイレ使用者の負担軽減が図れる。さらに、トイレ使用者が前方から上ポータブルトイレ20側へ進入してその座面に着座する場合とか、該座面から離座
して前方側へ退出する場合には、上記補助手摺ユニット3の手摺体11を把持しなが
ら移動することで移動上の安全性が担保される。
【0047】
C:第3の実施形態
図7及び図8には、本願発明の第3の実施形態に係る手摺装置Z3を示している。なお、以下においては、第1及び第2の実施形態の手摺装置Z1、Z2における部材と同じ部材については、同じ符号を付してその説明を援用し、ここでの説明を省略する。
【0048】
上記手摺装置Z3は、着座式トイレであるポータブルトイレ20に対して、必要に応じて付設されるものであって、その基本構成は上記第2の実施形態における上記手摺装置Z2から、上記前部肘掛7を取り除いたものとなっている。したがって、基本的に上記手摺装置Z2におけると同様の作用効果が得られるため、第2の実施形態における該当説明を援用するものとし、ここでの重ねての説明は省略する。
【0049】
ただし、この実施形態の手摺装置Z3においては、上記各手摺装置Z1、Z2に備えられていた上記前部肘掛7が備えられていないことから、上記ポータブルトイレ20の前方側のスペースに余裕ができ、その分だけ上記ポータブルトイレ20の座面の着座動作、あるいは該座面からの離座動作が容易となり、特にトイレ使用者の体格が大きいような場合には好適である。
【0050】
D:第4の実施形態
図9及び図10には、本願発明の第4の実施形態に係る手摺装置Z4を示している。この実施形態の手摺装置Z4は、これが上記各実施形態のようなポータブルトイレ20ではなく、床面に固定配置される洋式トイレ30である点を除けば、全て上記第3の実施形態に係る上記手摺装置Z3と同じ構成とされている。
【0051】
したがって、ここでは、基本的に上記第1~第3の実施形態に係る上記各手摺装置
Z1~手摺装置Z3の該当説明を援用し、ここでの重ねての説明を省略する。
【0052】
しかし、この実施形態では上記手摺装置Z4を上記洋式トイレ30に付設したことで、図9に示すように、上記設置基台1の一部を切り欠いてこの切欠き部分を上記洋式トイレ30の本体部31の前面に対応させることで、該洋式トイレ30への付設が可能となる。そして、このように上記手摺装置Z4を洋式トイレ30に付設したことで、一般に肘掛が備えられていない洋式トイレ30において、上記手摺装置Z4の上記側部肘掛6を使用することで、便座への着座状態での安楽姿勢の保持が促進される。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本願発明に係る手摺装置は、主として介護分野において利用されるものである。
【符号の説明】
【0054】
1 ・・設置基台
2 ・・肘付手摺ユニット
3 ・・補助手摺ユニット
5 ・・支柱
6 ・・側部肘掛
7 ・・前部肘掛
10 ・・支柱
11 ・・手摺体
20 ・・ポータブルトイレ
30 ・・洋式トイレ
Z1~Z4 ・・・手摺装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10