(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】献立支援システム、献立支援具、献立支援プログラム、献立指導方法、食品提供方法、及び、食品製造方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/60 20180101AFI20230227BHJP
【FI】
G16H20/60
(21)【出願番号】P 2019142689
(22)【出願日】2019-08-02
【審査請求日】2021-11-26
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和元年度、国立研究開発法人科学技術振興機構研究成果展開事業 センター・オブ・イノベーションプログラム『さりげないセンシングと日常人間ドックで実現する自助と共助の社会創生拠点』委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000104113
【氏名又は名称】カゴメ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(72)【発明者】
【氏名】寳澤 篤
(72)【発明者】
【氏名】小暮 真奈
(72)【発明者】
【氏名】牛田 悠介
(72)【発明者】
【氏名】林 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】北田 千晶
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-067504(JP,A)
【文献】特開2008-084155(JP,A)
【文献】特開2002-366663(JP,A)
【文献】国際公開第2018/213737(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 20/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
献立支援システムを構成するのは、少なくとも、以下である:
献立支援具:それを構成するのは、少なくとも、次のとおり:
食品分布図:それが有するのは、ナトリウム含量軸及びカリウム含量軸であり、
そこに配置されるのは、二以上の食品、及び、Na‐K比識別子であり、かつ、
前記Na‐K比識別子で示されるのは、配置された各食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級であり、及び、
献立提示具:それで示されるのは、前記二以上の食品から選ばれる二以上の食品の組合せ、並びに、二以上の食品当該組合せにおけるNa‐K比の良否であり、
この良否の導出根拠は、前記二以上の食品それぞれのNa‐K比識別子、又は/並びに、ナトリウム含量及びカリウム含量である。
【請求項2】
献立支援具であって、それを構成するのは、少なくとも、以下である:
食品分布図:それが有するのは、ナトリウム含量軸及びカリウム含量軸であり、
そこに配置されるのは、二以上の食品、及び、Na‐K比識別子であり、かつ、
前記Na‐K比識別子で示されるのは、配置された各食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級である。
【請求項3】
請求項2の献立支援具であって、
前記食品分布図が有するのは、更に、次のとおり:
セル:それで示されるのは、ナトリウム含量の範囲及びカリウム含量の範囲であり、かつ、
そこに配置されるのは、前記二以上の食品のうち前記ナトリウム含量の範囲及び前記カリウム含量の範囲に含まれる食品であり、かつ、
そこに付されるのは、前記Na‐K比識別子である。
【請求項4】
請求項2又は3の献立支援具であって、
前記Na‐K比識別子の表示態様は、色である。
【請求項5】
請求項2乃至4の何れかの献立支援具であって、
それを用いて二以上の食品からなる献立を決定するに当たり、前記二以上の食品それぞれのNa‐K比識別子、又は/並びに、ナトリウム含量及びカリウム含量を
用いる。
【請求項6】
請求項2乃至5の何れかの献立支援具であって、それを構成するのは、更に、以下である
組合せ判定表:それで示されるのは、前記Na‐K比識別子の組合せ及び当該組合せのNa‐K比の良否である。
【請求項7】
請求項2乃至5の何れかの献立支援具であって、それを構成するのは、更に、以下である。
組合せ計算表:それで示されるのは、点数及び合計点数であり、
前記点数が付されるのは、前記Na‐K比識別子であり、
前記合計点数又はその範囲に付されるのは、Na‐K比の良否である。
【請求項8】
献立支援プログラムであって、それによってコンピュータをして実行させるのは、少なくとも、以下の処理である:
提示:ここで提示されるのは、食品分布図であり、
前記食品分布図が有するのは、ナトリウム含量軸及びカリウム含量軸であり、
前記食品分布図に配置されるのは、二以上の食品、及び、Na‐K比識別子であり、かつ、
前記Na‐K比識別子で示されるのは、配置された各食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級である。
【請求項9】
請求項8の献立支援プログラムであって、
前記食品分布図が有するのは、更に、次のとおり:
セル:それで示されるのは、ナトリウム含量の範囲及びカリウム含量の範囲であり、かつ、
そこに配置されるのは、前記二以上の食品のうち前記ナトリウム含量の範囲及び前記カリウム含量の範囲に含まれる食品であり、かつ、
そこに付されるのは、前記Na‐K比識別子である。
【請求項10】
請求項8又は9の献立支援プログラムであって、
前記Na‐K比識別子の表示態様は、色である。
【請求項11】
請求項8乃至9の何れかの献立支援プログラムであって、それによってコンピュータをして実行させるのは、更に、以下の処理である:
良否提示:ここで提示されるのは、前記二以上の食品の組合せの良否であり、その際に参照されるのは、(1)前記二以上の食品それぞれのNa‐K比識別子、
又は/並びに、(2)前記二以上の食品それぞれのナトリウム含量及びカリウム含量である。
【請求項12】
献立支援システムを構成するのは、少なくとも、以下である:
献立支援具:それを構成するのは、少なくとも、以下であり:
第1食品分布図:そこに配置されるのは、第1選択群の食品、及び、第1のNa‐K比識別子であり、かつ、前記第1のNa‐K比識別子で示されるのは、
前記第1選択群の食品それぞれのNa‐K比又はNa‐K比の等級であり、及び、
第2食品分布図:そこに配置されるのは、第2選択群の食品、及び、第2のNa‐K比識別子であり、かつ、前記第2のNa‐K比識別子で示されるのは、
前記第2選択群の食品それぞれのNa‐K比又はNa‐K比の等級であり、及び、
献立提示具:それで示されるのは、前記第1選択群の食品及び前記第2選択群の食品の組合せ、並びに、当該組合せにおけるNa‐K比の良否であり、
この良否の導出根拠は、(1)前記第1のNa‐K比識別子及び前記第2のNa‐K比識別子、又は/並びに、(2)前記第1選択群の食品及び前記第2選択群の食品
それぞれのナトリウム含量及びカリウム含量である。
【請求項13】
献立支援具であって、それを構成するのは、少なくとも、以下である:
第1食品分布図:そこに配置されるのは、第1選択群の食品、及び、第1のNa‐K比識別子であり、かつ、前記第1のNa‐K比識別子で示されるのは、
前記第1選択群の食品それぞれのNa‐K比又はNa‐K比の等級であり、及び、
第2食品分布図:そこに配置されるのは、第2選択群の食品、及び、第2のNa‐K比識別子であり、かつ、前記第2のNa‐K比識別子で示されるのは、
前記第2選択群の食品それぞれのNa‐K比又はNa‐K比の等級である。
【請求項14】
請求項13の献立支援具であって、
前記第1食品分布図が有するのは、ナトリウム含量軸及びカリウム含量軸、並びに、第1セルであり、
前記第1セルで示されるのは、ナトリウム含量の範囲及びカリウム含量の範囲であり、
前記第1セルに配置されるのは、前記第1選択群の食品のうち前記ナトリウム含量の範囲及び前記カリウム含量の範囲に含まれる食品であり、かつ、
前記第2食品分布図が有するのは、ナトリウム含量軸及びカリウム含量軸、並びに、第2セルであり、
前記第2セルで示されるのは、ナトリウム含量の範囲及びカリウム含量の範囲であり、
前記第2セルに配置されるのは、前記第2選択群の食品のうち前記ナトリウム含量の範囲及び前記カリウム含量の範囲に含まれる食品である。
【請求項15】
請求項14の献立支援具であって、
前記第1のNa‐K比識別子及び前記第2のNa‐K比識別子の表示態様は、色である。
【請求項16】
請求項14又は15の献立支援具であって、それを構成するのは、更に、以下である
組合せ判定表:それで示されるのは、前記第1のNa‐K比識別子及び前記第2のNa‐K比識別子の組合せ並びに当該組合せのNa‐K比の良否である。
【請求項17】
請求項14又は15の献立支援具であって、それを構成するのは、更に、以下である。
組合せ計算表:それで示されるのは、点数及び合計点数であり、前記点数が付されるのは、前記第1のNa‐K比識別子及び前記第2のNa‐K比識別子であり、
前記合計点数又はその範囲に付されるのは、Na‐K比の良否である。
【請求項18】
献立支援プログラムであって、それによってコンピュータをして実行させるのは、少なくとも、以下の処理である:
第1の食品提示:ここで提示されるのは、第1選択群の食品及び当該食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級であり、それによって選択されるのは、少なくとも1以上の食品(以下、「第1選択食品」という。)であり、
第2の食品提示:ここで提示されるのは、第2選択群の食品及び当該食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級であり、それによって選択されるのは、少なくとも1以上の食品(以下、「第2選択食品」という。)であり、
及び、
組合せ提示:ここで提示されるのは、前記第1選択食品及び前記第2選択食品の組合せの良否であり、その際に参照されるのは、(1)前記第1
選択群の食品のNa‐K
比又はNa‐K比の等級及び
前記第2
選択群の食品のNa‐K
比又はNa‐K比の等級、又は/並びに、(2)前記第1選択群の食品及び前記第2選択群の食品それぞれのナトリウム含量及びカリウム含量
である。
【請求項19】
請求項18の献立支援プログラムであって、
前記第1選択群の食品が配置されているのは、第1食品分布図であり、
前記第1食品分布図が有するのは、ナトリウム含量軸及びカリウム含量軸であり、これらの軸によって定まるのは、第1セルであり、
前記第1セルに配置されるのは、前記第1選択群の食品であり、かつ、
前記第1セルに付されるのは、第1のNa‐K比識別子であり、この第1のNa‐K比識別子で示されるのは、前記第1選択群の食品のNa‐K比又はその等級であり、かつ、
前記第2選択群の食品が配置されているのは、第2食品分布図であり、
前記第2食品分布図が有するのは、ナトリウム含量軸及びカリウム含量軸であり、これらの軸によって定まるのは、第2セルであり、
前記第2セルに配置されるのは、前記第2選択群の食品であり、かつ、
前記第2セルに付されるのは、第2のNa‐K比識別子であり、この第2のNa‐K比識別子で示されるのは、前記第2選択群の食品のNa‐K比又はその等級である。
【請求項20】
請求項19の献立支援プログラムであって、
前記第1のNa‐K比識別子及び前記第2のNa‐K比識別子の表示態様は、それぞれ、色である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に関係するのは、献立支援システム、献立支援具、献立支援プログラム、献立指導方法、食品提供方法、及び、食品製造方法である。
【背景技術】
【0002】
高血圧の予防及び改善の重要性は、広く認識されている。なぜなら、高血圧者の有病率は、高いからである。例示すると、高血圧は、脳卒中及び循環器疾患の危険因子の一つである。
【0003】
高血圧の予防及び改善で採用する代表的な方法は、食塩摂取量の制限(以下、「減塩」ということもある。)である。減塩を具現化する方法は、様々であり、例示すると、減塩食品や減塩指導などである。
【0004】
ところが、食塩の推奨摂取量及び日本人の食塩摂取量を比較すると、両者は未だに大きく乖離している。日本高血圧学会で推奨する1日当たり食塩摂取量は、6.0g未満である。これに対して、過去10年間で、日本人の1日当たりの食塩摂取量は、減少しているものの、9.2g(女性)から11.0g(男性)である。減塩が進まない要因は、様々であるが、例えば、味が薄くて、美味しさが感じられないため、満足感が得られない等の不満が生じるなどである。
【0005】
そこで、高血圧の予防及び改善で着目するのは、食塩(ナトリウム)摂取量に加えて、カリウム摂取量である。なぜなら、カリウムを摂取すると、ナトリウムを排出するからである。非特許文献1及び2で報告されているのは、尿中におけるカリウムに対するナトリウムの比(以下、「Na‐K比」という。)と収縮期血圧とが有意に相関する点である。ここで、尿中のNa‐K比に反映されるのは、食事のNa‐K比である。
【0006】
高血圧の予防に必要なのは、尿中のNa‐K比を改善(K優位)することである。前述のとおり、カリウムを摂取すると、ナトリウムが排出される。カリウムを多く含んでいるのは、主に野菜及び果物である。非特許文献3で示唆するのは、野菜又は果物の摂取量を減塩下で増やすと、尿中のNa‐K比が改善する点である。
【0007】
Na‐K比計測器の使用を考慮に入れて、本願発明者らが開発しているのは、より効果的な行動変容手法である。非特許文献4に開示されているのは、食事指導の一例である。この食事指導で用いるのは、Na‐K比計測器及びナックカウント表である。具体的には、被指導者に対して食事指導する際に、食事指導前における被指導者の尿中のNa‐K比を測定する。次に、ナックカウント表を参照して、Na‐K比の低い食品を選択すること、或いは、食品の組合せを意識することを指導する。そのような指導の下で食生活を続けた後、被指導者の尿中のNa‐K比を再度測定する。つまり、測定、食事指導及び再測定を通じて、食事指導の効果を実感させるものである。
【0008】
非特許文献4に示されるのは、ナックカウント表の一例である。この表の縦軸に示すのは、Na‐K比である。他方、横軸に示すのは、カリウム含有量である。ナックカウント表に配置されるのは、一又は複数の食品である。このナックカウント表で示されるのは、各食品のNa‐K比及びカリウム含有量である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】Park J et al., The Effect of the Sodium to Potassium Ratio on Hypertension Prevalence: A Propensity Score Matching Approach. Nutrients. 2016 8(8): 482.
【文献】Tabara Y et al., Descriptive epidemiology of spot urine sodium-to-potassium ratio clarified close relationship with blood pressure level: the Nagahama study. J Hypertens. 2015 33(12):2407-13.
【文献】森桂子ら著「ナトカリ計を用いた食習慣改善の取り組み」(心身科学第10巻第1号,35-43頁,2019年)
【文献】桑原和代ら著「職域におけるナトカリ計を用いた効果的な保健指導手法の開発」(立石科学技術振興財団女性研究成果集第26号,1-5頁,2017年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、食事指導し易くし、或いは、献立(食品を組み合わせること)をし易くすることである。前述のナックカウント表の欠点は、食事指導し難い点である。具体的には、次のとおりである。
【0011】
第1に、当該ナックカウント表の一方の軸で示されるのは、Na‐K比である。このNa‐K比は、慣用されていない。慣用されている指標は、食塩量であり、具体的には、ナトリウム含量である。それ故、当該ナックカウント表での問題点は、各食品のナトリウム含量の高低が把握し難いこと、各食品間のナトリウム含量の差が把握し難いこと、及び、各自の好みにより追加する調味料(例えば、醤油や食塩など)使用時における各食品のナトリウム含量の高低の変化が把握し難いこと等である(以下、これらを「第1の観点」という。)。
【0012】
第2に、当該ナックカウント表では、異なる分類の食品が混載されている。それ故、当該ナックカウント表での問題点は、同じ分類の食品(例えば、主食や主菜など)のNa‐K比を比較し難いこと、特定の分類の食品(例えば、主食や主菜など)のNa‐K比の悪さを気付き難いこと、及び、複数の食品を組合せ(献立)ることによってNa‐K比をうまく整えることができたのかが判り難いこと等である(以下、これらを「第2の観点」という。)。
【課題を解決するための手段】
【0013】
<第1の観点>
第1の観点から、本願発明者が鋭意検討して見出したのは、ナトリウム含量軸及びカリウム含量軸を採用することで、各食品のナトリウム含量及びカリウム含量又は/並びにNa‐K比を視覚的に把握し易くすることである。この観点から、本発明を定義すると、以下のとおりである。
【0014】
<献立支援システム及び献立支援具>
献立支援システムを構成するのは、少なくとも、献立支援具、及び、献立提示具である。当該献立支援具を構成するのは、少なくとも、食品分布図である。この食品分布図が有するのは、ナトリウム含量軸及びカリウム含量軸である。当該食品分布図に配置されるのは、二以上の食品、及び、Na‐K比識別子である。当該献立提示具で示されるのは、当該二以上の食品から選ばれる二以上の食品の組合せ、並びに、当該組合せにおけるNa‐K比の良否である。この良否の導出根拠は、前記二以上の食品それぞれのNa‐K比識別子、又は/並びに、ナトリウム含量及びカリウム含量である。
【0015】
この発明における各用語を定義すると、次のとおりである。
「食品」とは、食品自体又はそれを表す文字、記号、画像、若しくは、その他の表示をいう。
「ナトリウム含量軸」とは、基準線であって、それで示されるのがナトリウム(Na)含量であるものをいう。「ナトリウム含量軸」に直交するのは、「カリウム含量軸」である。
「カリウム含量軸」とは、基準線であって、それで示されるのがカリウム(K)含量であるものをいう。「カリウム含量軸」に直交するのは、「ナトリウム含量軸」である。
「Na‐K比識別子」とは、識別子であって、それで示されるのがNa‐K比又はNa‐K比の等級である。具体的には、Na‐K比識別子で示されるのは、食品分布図に配置された各食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級である。「識別子」を例示すると、文字(列)、数字(列)、色、等高線、これらの組合せなどである。
「Na‐K比」とは、カリウム含量に対するナトリウム含量(の値)をいい、具体的には、各食品の所定単位当たり(例えば、「食品一食当たり」や「食品の任意の重さ当たり」など)のカリウム含量に対するナトリウム含量(の値)である。例えば、一食当たりのカリウム含量が400mgであり、一食当たりのナトリウム含量が500mgであれば、Na‐K比は、1.25(=500mg/400mg)である。Na‐K比の高低を判定する際の基準値は、1.0(一食当たりのカリウム含量一食当たりのナトリウム含量)である。
「Na‐K比の等級」とは、Na‐K比の区分けをいい、具体的には、各食品一食当たりのNa‐K比の区分けである。「Na‐K比の等級」を例示すると、基準のNa‐K比に対する任意のNa‐K比の相対的位置(高、中、低)、Na‐K比に対する評価(不可、可、優)などである。
「Na‐K比の良否」とは、Na‐K比が良好であるか否かをいう。例えば、食品(Na‐K比>1)の数及び食品(Na‐K比<1又はNa‐K比≒1)の数を比較して、前者が後者より少なければ、Na‐K比が良好(例えば、「大変よくできました。」)である。他方、前者が後者より多ければ、Na‐K比が不良(例えば、「頑張りましょう。」)である(以下、そのような判定方法を「等級判定法」ともいう。)。なぜなら、ナトリウム含量が過剰だからである。そのような良否判定をより正確にするのであれば、この判定で用いるNa‐K比は、各食品のカリウム含量の合計値に対する各食品のナトリウム含量の合計値(=各食品のカリウム含量の合計値/各食品のナトリウム含量)、又は、各食品のNa‐K比の合計値である。このようにして得られたNa‐K比及び基準のNa‐K比(=1)が比較され、良否が判定される(以下、そのような判定方法を「Na‐K比判定法」ともいう。)。
「Na‐K比識別子、又は/並びに、ナトリウム含量及びカリウム含量」とは、「Na‐K比識別子」のみ、「ナトリウム含量及びカリウム含量」のみ、又は、「Na‐K比識別子並びにナトリウム含量及びカリウム含量」をいう。
【0016】
<献立支援プログラム>
献立支援プログラムによってコンピュータをして実行させる処理は、少なくとも、食品提示である。当該提示において、当該コンピュータで提示されるのは、食品分布図である。この食品分布図が有するのは、ナトリウム含量軸及びカリウム含量軸である。当該食品分布図に配置されるのは、二以上の食品、及び、Na‐K比識別子である。各用語の定義は、前述のとおりである。
【0017】
<献立指導方法>
献立指導方法を構成する工程は、少なくとも、食品提示、及び、指導である。当該食品提示において、人に提示されるのは、複数の食品及び当該各食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級である。それによって、人が選択するのは、少なくとも1以上の食品である。当該指導において、人が指導されるのは、食品の組合せ方である。その際に、人が参照するのは、選択された食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級である。各用語の定義は、前述のとおりである。
【0018】
<食品提供方法>
食品提供方法を構成する工程は、少なくとも、食品選択、及び、提供である。当該食品選択において、人が選択するのは、少なくとも1以上の食品である。その際に、人が参照するのは、選択された食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級である。当該提供において、人が提供するのは、選択された食品の組合せである。この組合せにおいて、選択された食品うちの一方のNa‐K比又はNa‐K比の等級が相対的に高ければ、選択された食品うちの他方の食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級は相対的に低い。他方、選択された食品うちの一方のNa‐K比又はNa‐K比の等級が相対的に低ければ、選択された食品うちの他方のNa‐K比又はNa‐K比の等級は相対的に高い。この場合において、前述の等級判定法又はNa‐K比判定法が採用されてもよい。各用語の定義は、前述のとおりである。
【0019】
<食品製造方法>
食品製造方法を構成する工程は、少なくとも、食品選択、及び、容器詰めである。当該食品選択の説明は、前述のとおりである。当該容器詰めにおいて、人又は装置によって容器詰めされるのは、選択された食品の組合せである。この組合せにおいて、選択された食品うちの一方のNa‐K比又はNa‐K比の等級が相対的に高ければ、選択された食品うちの他方の食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級は相対的に低い。他方、選択された食品うちの一方のNa‐K比又はNa‐K比の等級が相対的に低ければ、選択された食品うちの他方のNa‐K比又はNa‐K比の等級は相対的に高い。この場合において、前述の等級判定法又はNa‐K比判定法が採用されてもよい。各用語の定義は、前述のとおりである。
【0020】
<第2の観点>
第2の観点から、本願発明者が鋭意検討して見出したのは、食品群(例えば、主食及び主菜並びに副菜等)を分けて、献立に含まれる各食品一食当たりのカリウム含量に対するナトリウム含量(以下、「Na‐K比」という。)を把握し易くすることである。この観点から、本発明を定義すると、以下のとおりである。
【0021】
<献立支援システム及び献立支援具>
献立支援システムを構成するのは、少なくとも、献立支援具、及び、献立提示具である。当該献立支援具を構成するのは、少なくとも、第1食品分布図、及び、第2食品分布図である。当該第1食品分布図に配置されるのは、第1選択群の食品、及び、第1のNa‐K比識別子である。当該第1のNa‐K比識別子で示されるのは、当該第1選択群の食品それぞれのNa‐K比又はNa‐K比の等級である。当該第2食品分布図に配置されるのは、第2選択群の食品、及び、第2のNa‐K比識別子である。当該第2のNa‐K比識別子で示されるのは、前記第2選択群の食品それぞれのNa‐K比又はNa‐K比の等級である。当該献立提示具で示されるのは、当該第1選択群の食品及び当該第2選択群の食品の組合せ、並びに、当該組合せにおけるNa‐K比の良否である。この良否の導出根拠は、(1)前記第1のNa‐K比識別子及び前記第2のNa‐K比識別子、又は/並びに、(2)前記第1選択群の食品及び前記第2選択群の食品それぞれのナトリウム含量及びカリウム含量であるこの場合において、前述の等級判定法又はNa‐K比判定法が採用されてもよい。
【0022】
この発明における各用語を定義すると、次のとおりである。ここで定義されない用語は、第1の観点での定義を引用する。
「第1選択群の食品」とは、食品であって、「第2選択群の食品」とは異なるものをいう。例えば、「第1選択群の食品」に主に含まれるのが主食及び主菜であれば、「第2選択群の食品」に主に含まれるのは、副菜やデザートなどである。また、「第1選択群の食品」に主に含まれるのが高カロリー食(揚げ物や炭水化物など)であれば、「第1選択群の食品」に主に含まれるのは、低カロリー食(野菜や豆腐など)である。
「(1)前記第1のNa‐K比識別子及び前記第2のNa‐K比識別子、又は/並びに、(2)前記第1選択群の食品及び前記第2選択群の食品それぞれのナトリウム含量及びカリウム含量である」とは、「(1)前記第1のNa‐K比識別子及び前記第2のNa‐K比識別子」のみ、「(2)前記第1選択群の食品及び前記第2選択群の食品それぞれのナトリウム含量及びカリウム含量である」のみ、又は、(1)前記第1のNa‐K比識別子及び前記第2のNa‐K比識別子」並びに「(2)前記第1選択群の食品及び前記第2選択群の食品それぞれのナトリウム含量及びカリウム含量である」をいう。
【0023】
<献立支援プログラム>
献立支援プログラムによってコンピュータをして実行させるのは、少なくとも、第1の食品提示、第2の食品提示、及び、組合せ提示である。当該第1の食品提示において、当該コンピュータで提示されるのは、第1選択群の食品及び当該食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級である。この提示によって、人が選択するのは、少なくとも1以上の食品(当該プログラムにおいて、以下、「第1選択食品」という。)である。当該第2の食品提示において、当該コンピュータで提示されるのは、第2選択群の食品及び当該食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級である。当該提示によって、人が選択するのは、少なくとも1以上の食品(当該プログラムにおいて、以下、「第2選択食品」という。)である。当該組合せ提示において、当該コンピュータで提示されるのは、当該第1選択食品及び当該第2選択食品の組合せの良否である。その際に、当該コンピュータで参照されるのは、当該第1選択食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級、及び当該第2選択食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級である。この場合において、前述の等級判定法又はNa‐K比判定法が採用されてもよい。
【0024】
<献立指導方法>
献立指導方法を構成する工程は、少なくとも、第1の食品提示、第2の食品提示、及び、指導である。当該第1の食品提示において、人に提示されるのは、第1選択群の食品及び当該食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級である。それによって、人が選択するのは、少なくとも1以上の食品(当該方法において、以下、「第1選択食品」という。)である。当該第2の食品提示において、人に提示されるのは、第2選択群の食品及び当該食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級である。それによって、人が選択するのは、少なくとも1以上の食品(当該方法において、以下、「第2選択食品」という。)である。当該指導において、人が指導されるのは、当該第1選択食品及び前記第2選択食品の組合せ方である。その際に、人が参照するのは、当該第1選択食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級、及び当該第2の選択食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級である。この場合において、前述の等級判定法又はNa‐K比判定法が採用されてもよい。各用語の定義は、前述のとおりである。
【0025】
<食品提供方法>
食品提供方法を構成する工程は、少なくとも、第1の食品選択、第2の食品選択、及び、提供である。当該第1の食品選択において、人が選択するのは、第1選択群中の少なくとも1以上の食品(当該方法において、以下、「第1選択食品」という。)である。その際に、人が参照するのは、当該第1選択食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級である。当該第2の食品選択において、人が選択するのは、第2選択群中の少なくとも1以上の食品(当該方法において、以下、「第2選択食品」という。)である。その際に、人が参照するのは、当該第2選択食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級及び第1選択食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級である。当該提供において、人が提供するのは、当該第1選択食品及び当該第2選択食品の組合せである。この組合せにおいて、当該第1選択食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級が相対的に高ければ、当該第2選択食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級は相対的に低い。他方、当該第1選択食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級が相対的に低ければ、当該第2選択食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級は相対的に高い。この場合において、前述の等級判定法又はNa‐K比判定法が採用されてもよい。各用語の定義は、前述のとおりである。
【0026】
<食品製造方法>
食品製造方法を構成する工程は、少なくとも、第1の食品選択、第2の食品選択、及び、容器詰めである。当該第1の食品選択及び当該第2の食品選択の説明は、前述のとおりである。当該容器詰めにおいて、人又は装置によって容器詰めされるのは、当該第1選択食品及び前記第2の選択食品の組合せである。この組合せにおいて、当該第1選択食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級が相対的に高ければ、当該第2選択食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級は相対的に低い。他方、当該第1選択食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級が相対的に低ければ、当該第2選択食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級は相対的に高い。この場合において、前述の等級判定法又はNa‐K比判定法が採用されてもよい。各用語の定義は、前述のとおりである。
【発明の効果】
【0027】
本発明で可能にするのは、食事指導し易くし、或いは、献立し易くすることである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】ここで示されるのは、献立支援システムの構成である。
【
図2】ここで示されるのは、献立支援具の構成である。
【
図3】ここで示されるのは、食品分布図の詳細構成である。
【
図4】ここで示されるのは、食品分布図の使用例である。
【
図5】ここで示されるのは、第1食品分布図の詳細構成である。
【
図6】ここで示されるのは、第2食品分布図の詳細構成である。
【
図7】ここで示されるのは、組合せ判定表の構成である。
【
図8】ここで示されるのは、組合せ判定表の変形例の構成である。
【
図9】ここで示されるのは、献立支援プログラムでの処理の流れである。
【
図10】ここで示されるのは、献立指導方法の流れである。
【
図11】ここで示されるのは、食品提供方法の流れである。
【
図12】ここで示されるのは、食品製造方法の流れである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
献立支援システムを構成するのは、少なくとも、献立支援具、及び、献立提示具である。当該献立支援具を構成するのは、少なくとも、食品分布図である。この食品分布図が有するのは、ナトリウム含量軸及びカリウム含量軸である。当該食品分布図に配置されるのは、二以上の食品、及び、Na‐K比識別子である。
【0030】
ここでいうNa‐K比識別子とは、識別子であって、それで示されるのがNa‐K比又はNa‐K比の等級である。具体的には、Na‐K比識別子で示されるのは、食品分布図に配置された各食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級である。「識別子」を例示すると、文字(列)、数字(列)、色、等高線、これらの組合せなどである。これら識別子を用いて上述の等級判断法やNa-K比判断法を行うことができる。
【0031】
また、本発明に係る食品分布図に二以上の食品を掲載するに当たっては、例えば食品名を記載した図形(例えば四角、丸、楕円等)や食品のイラストを該当する等級のところに掲載する等すればよい。また、図形中に食品名を記載したものや食品のイラストを用いる場合、その図形やイラスト中にその食品のナトリウム含量、カリウム含量、Na-K比なども併せて記載してもよい。また、食品分布図の表示をコンピュータの画面上で行う場合、食品のイラストにカーソルを合わせるとその食品のナトリウム含量、カリウム含量、Na-K比などが表示されるようにしてもよい。選択のし易さを考えると食品のイラストを用いて食品分布図を作製することが望ましい。なお、このことは本発明において用いられる食品分布図中に2以上の食品を掲載する場合に全て適用し得る。
【0032】
当該献立提示具で示されるのは、当該二以上の食品から選ばれる二以上の食品の組合せ(献立)、並びに、当該組合せにおけるNa‐K比が良好(若しくは大変よくできました。)か否かである。例えば、組合せにおいて、各Na‐K比識別子の内の等級で示されるNa‐K比が1よりも大きい食品の数とNa‐K比が1以下の食品の数とを比較して、前者の数が後者の数よりも多ければ、当該組合せにおけるNa‐K比は、多くの場合、ナトリウムが多いあるいはカリウムが少ない可能性大(若しくは頑張りましょう)である。なぜなら、ナトリウム含量が過剰だからである。他方、前者の数が後者の数よりも少なければ、当該組合せにおけるNa‐K比は、多くの場合、良好(若しくは大変よくできました。)である。このような判断方法を本明細書では「等級判断法」と略記する場合がある。
【0033】
この適否の精度をより高くしようとするのであれば、この適否の算出根拠を、当該二以上の食品の組み合わせにおけるNa-K比又は当該食品当該組み合わせにおける各食品のナトリウム含量とカリウム含量のそれぞれの合計値から算出されるNa-K比とすればよい。このような判断方法を本明細書では「Na‐K比判断法」と略記する場合がある。
【0034】
また、献立支援具又は献立提示具には更に組合せ判定表、組合せ計算表(詳細は下記で説明する。)などが含まれていてもよい。なお、下記に示す献立支援プログラム、献立指導方法、食品提供方法、食品製造方法などの発明においても更に組合せ判定表、組合せ計算表などを組み合わせ用いてよいことは言うまでもない。
【0035】
<組合せ判定表>
組合せ判定表は、選択された二以上の食品のそれぞれの識別子の組合せや当該二以上の食品の組み合わせにおけるNa-K比又は当該食品当該組み合わせにおける各食品のナトリウム含量とカリウム含量のそれぞれの合計値から算出されるNa-K比に基づいた当該組合せのNa‐K比の適否を示すものである。例えば、1品目の識別子及び2品目の識別子の組み合わせがそれぞれ「黄色」及び「黄色」或いは「黄色」並びに「緑色」であれば、組合せのNa‐K比は、「良好(若しくは大変よくできました。)」である。他方、1品目の識別子及び2品目の識別子がそれぞれ「橙色」及び「橙色」であれば、組合せのNa‐K比は、「ナトリウムが多いあるいはカリウムが少ない可能性大(若しくは頑張りましょう)」である。
【0036】
そのような判定を省いて、以下のような判定も採用される。例えば、「緑色」の食品の数及びその他の色の食品の数を比較して、前者が後者よりも多ければ、Na‐K比は、「良好(若しくは大変よくできました。)」である。他方、前者が後者よりも少なければ、Na‐K比は、「ナトリウムが多いあるいはカリウムが少ない可能性大(若しくは頑張りましょう)」である。
【0037】
<組合せ計算表>
組合せ判定表は、組合せ判定表に代えて、或いはそれと併せて使用されるものである。組合せ計算表で示されるのは、点数及び合計点数である。当該点数が付されるのは、一つ目の食品の識別子及び2つ目の食品の識別子である。例えば、識別子識別子が色である場合、「緑色」が「1点」であり、「黄色」が「0点」であり、「橙色」が「-1点」であり、かつ、「赤色」が「-2点」である。合計点数又はその範囲に付されるのは、Na‐K比の適否である。食品の組合せにおいて、合計点数が「-1点」以下であれば、Na‐K比は、「良好(若しくは大変よくできました。)」である。他方、合計点数が「1点」以上であれば、Na‐K比は、「ナトリウムが多いあるいはカリウムが少ない可能性大(若しくは頑張りましょう)」である。
【0038】
なお、組み合わせ計算表は、選択された食品の組み合わせにおける各食品のNa-K比又は当該食品当該組み合わせにおける各食品のナトリウム含量とカリウム含量のそれぞれの合計値から算出されるNa-K比に基づいて算出してもよい。例えば選択された食品の「Na-K比が0.5未満」であれば「2点」であり、「Na-K比が1未満0.5以上」であれば「1点」であり、「Na-K比が1付近」であれば「0点」であり、「Na-K比が1を越えて1.5未満」であれば「-1点」であり、「Na-K比が1.5以上」であれば「-2点」である。合計点数又はその範囲に付されるのは、Na‐K比の適否である。食品の組合せにおいて、合計点数が「-1点」以下であれば、Na‐K比は、「良好(若しくは大変よくできました。)」である。他方、合計点数が「1点」以上であれば、Na‐K比は、「ナトリウムが多いあるいはカリウムが少ない可能性大(若しくは頑張りましょう)」である。
【0039】
献立支援プログラムによってコンピュータをして実行させる処理は、少なくとも、提示並びに適否の表示である。当該提示において、当該コンピュータで提示されるのは、食品分布図である。この食品分布図が有するのは、ナトリウム含量軸及びカリウム含量軸である。当該食品分布図に配置されるのは、二以上の食品、及び、Na‐K比識別子である。適否の表示において、表示されるのは、少なくとも、選択された2以上の食品の各Na‐K比識別子の内の等級を用いる等級判断法或いは選択された2以上の食品の各Na‐K比識別子で示される各食品のNa-K比又は/及び各食品中のナトリウム含量合計値とカリウム含量合計値とそれから求められる2以上の食品の組み合わせ(献立)全体のNa-K比に基づいたNa‐K比判断法によるその献立の適否である。
【0040】
献立指導方法を構成する工程は、少なくとも、提示、適否の提示及び指導である。当該提示において、当該コンピュータで提示されるのは、食品分布図である。この食品分布図が有するのは、ナトリウム含量軸及びカリウム含量軸である。当該食品分布図に配置されるのは、二以上の食品、及び、Na‐K比識別子である。適否の提示において、適否の判断は上述の等級判断法又はNa-K比判断法によってなされる。当該指導において、人が指導されるのは、当該選択食品の組合せ方、要すれば更にどのような食品や料理にナトリウムおよびカリウムが多いor少ないのかについての理解を求めることである。その際に、人が参照するのは、当該食品分布図中の食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級、及び当該第2の選択食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級である。
【0041】
これら献立支援プログラムや献立指導方法において食品分布図の表示をコンピュータの画面上で行う場合、食品分布図から選択された2以上の食品からなる献立の適否を判断するのを助けるために、献立のイラストを食品分布図の該当する等級のところに表示させるようにしてもよい。このようにすると、例えばNa-K比が高いラーメンにほうれん草、もやし等の野菜をトッピングするとNa-K比が1に近づいていくことが目視で確認できるようになるため、献立支援や献立指導が容易に行えるようになる。
【0042】
食品提供方法を構成する工程は、少なくとも、選択及び提供である。当該選択において、人が選択するのは、食品分布図中の少なくとも2以上の食品である。その際に、人が参照するのは、当該選択食品のナトリウム含量、カリウム含量、Na‐K比又はNa‐K比の等級であり、上述した等級判断法やNa-K比判断法である。当該提供において、人が提供するのは、当該選択食品の組合せである。この組合せにおいて、2以上の当該選択食品の組み合わせにおいて、1の選択食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級が相対的に高ければ、他の選択食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級は相対的に低くなるように組み合わせて提供される。
【0043】
食品製造方法を構成する工程は、少なくとも、選択及び容器詰めである。当該選択においては、食品分布図中の少なくとも2以上の食品を選択する。その際に、人が参照するのは、当該選択食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級である。当該容器詰めにおいて、人又は装置によって容器詰めされるのは、当該選択食品の組合せである。この組合せにおいて、当該選択食品の1つのNa‐K比又はNa‐K比の等級が相対的に高ければ、当該選択食品の他の食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級は相対的に低くなるように選択される。
【0044】
なお、上述の各方法やプログラムにおいては、食品分布図の数は特に限定していないが、食品分布図の数は、1つでも良いし、必要に応じて2以上でもよい。
【0045】
これらの本発明における各用語を参考として定義すると、次のとおりである。
【0046】
「ナトリウム含量軸」とは、基準線であって、それで示されるのがナトリウム(Na)含量であるものをいう。
【0047】
「カリウム含量軸」とは、基準線であって、それで示されるのがカリウム(K)含量であるものをいう。
【0048】
「Na‐K比識別子」とは、識別子であって、それで示されるのがNa‐K比又はNa‐K比の等級である。具体的には、Na‐K比識別子で示されるのは、食品分布図に配置された各食品のNa‐K比又はNa‐K比の等級である。「識別子」を例示すると、文字(列)、数字(列)、色、等高線、これらの組合せなどである。これら識別子を用いて上述の等級判断法を行うことができる。
【0049】
「Na‐K比」とは、カリウム含量に対するナトリウム含量(の値)をいい、具体的には、各食品一食当たりのカリウム含量に対するナトリウム含量(の値)である。この値を決めるにあたり参考となるのは、「外食・コンビニ・惣菜のカロリーガイド」(女子栄養大学出版部 2017年)や「毎日の食事のカロリーガイド第3版」(女子栄養大学出版部 2018年)などである。例えば、各食品一食当たりのカリウム含量が400mgであり、一食当たりのナトリウム含量が500mgであれば、Na‐K比は、1.25(=500mg/400mg)である。Na‐K比の高低を判定する際の基準値は、1.0(一食当たりのカリウム含量一食当たりのナトリウム含量)である。
【0050】
「Na‐K比の等級」とは、Na‐K比の区分けをいい、具体的には、各食品一食当たりのNa‐K比の区分けである。「Na‐K比の等級」を例示すると、基準のNa‐K比に対する任意のNa‐K比の相対的位置(高、中、低)、Na‐K比に対する評価(不可、可、優)などである。以下に図面を用いて本発明を実施するための形態を更に説明する。
【0051】
<献立支援システム>
図1で示されるのは、献立支援システム10の構成である。献立支援システム10を構成するのは、献立支援具100、及び、献立提示具200である。すなわち、献立支援具100を使うことで、献立中のNa‐K比が改善される。また、献立提示具200を使うことで、適正なNa‐K比の献立が把握される。
【0052】
献立支援システム10を追加的に構成するのは、測定器300である。測定器300を使うことで、被支援者の支援前後のNa‐K比が把握される。つまり、Na‐K比の改善が確認されると、それが動機付け(インセンティブ)となり、適正なNa‐K比の献立が継続的に摂食される。
【0053】
<献立支援具>
図2で示されるのは、献立支援具100の構成である。本実施の形態において、献立支援具100を構成するのは、食品分布
図110である。献立支援具100を追加的に構成するのは、組合せ判定表120又は組合せ計算表130である。献立支援具100を具現化する方法は、不問であり、例えば、紙、フィルム、電磁的装置(コンピュータ、ディスプレイやスピーカ等)等である。献立支援具100の各構成要素を詳説すると、次のとおりである。
【0054】
<食品分布図>
図3で示されるのは、食品分布図の構成である。食品分布
図110に含まれているのは、ナトリウム含量軸110a、カリウム含量軸110b、食品110c、Na‐K比識別子110d、Na‐K比の等級110e、及び、セル110fである。
【0055】
<ナトリウム含量軸及びカリウム含量軸>
食品分布
図110が有するのは、ナトリウム含量軸110a及びカリウム含量軸110bである。本実施の形態では、ナトリウム含量軸110aが縦軸であり、カリウム含量軸110bが横軸であるが、その逆でもよい。
【0056】
ナトリウム含量軸110a及びカリウム含量軸110bを採用することで、各食品の位置付けが視覚的に把握し易くなる。具体的には、各食品のナトリウム含量の高低及びカリウム含量の高低が把握し易いこと、各食品間のナトリウム含量の差及びカリウム含量の差が把握し易いこと、調味料(例えば、醤油や食塩など)使用時における各食品のナトリウム含量の高低の変化が把握し易いこと等である。
【0057】
ナトリウム含量軸110aが示すのは、食品の所定単位当たりのナトリウム含量である。ここで、「所定単位当たり」を例示すると、食品一食当たり、食品の任意の重さあたり(例えば、100g)等である。本実施の形態では、食品一食当たりのナトリウム含量を採用することで、献立の際、食品のナトリウム含量を大まかに理解することができる。
【0058】
本実施の形態では、カリウム含量軸110bが示すのは、食品の所定単位当たりのカリウム含量である。その他の説明は、ナトリウム含量軸110aの説明に同旨である。
【0059】
<食品>
食品分布
図110に配置されるのは、食品110cである。本実施の形態では、食品110cの意味は、食品自体のみならず、それを表す文字、記号、画像、若しくは、その他の表示をいう。
【0060】
食品110cの表示態様は、様々であるが、例示すると、名称、写真、イラストなどである。本実施の形態で採用するのは、食品アイコンである。食品アイコンとは、絵柄(イラスト)であって、食品の外観的特徴を表すものをいう。もちろん、食品110cの表示態様は、これに限定されない。例えば、図形(例えば、四角、丸、楕円等)に食品名を記載したものでもよい。当該食品アイコン及び当該図形において、食品110cのナトリウム含量、カリウム含量、及びNa‐K比が併せて記載されてもよい。
【0061】
食品110cを配置するにあたり、その基準となるのは、食品110cの所定単位当たりのナトリウム含量及びカリウム含量である。食品110cを配置するにあたり、調味料の有無は、適宜決定すればよい。例えば、冷奴(冷たい豆腐)を配置するにあたり、醤油をかけた冷奴及び醤油をかけていない冷奴の双方が配置されてもよい。
【0062】
当該ナトリウム含量及びカリウム含量を求める方法は、様々である。例えば、公知の刊行物(例えば、前述の「外食・コンビニ・惣菜のカロリーガイド」(女子栄養大学出版部2017年)や「毎日の食事のカロリーガイド第3版」(女子栄養大学出版部2018年)など)を引用してもよい。また、実際に食品を測定してもよい。特に、本発明を具現化するのがコンピュータであれば、記憶装置(例えば、メモリやディスク等)に記憶されるのは、当該公知刊行物のデータ若しくは測定データ又はそれらを纏めたデータベースである。なお、食品のナトリウム含量とカリウム含量は、例えば、各食品を製造する際に使われる食材に含まれるナトリウム、カリウムの含量から求めてもよい。
【0063】
配置される食品は、適宜決定される。なぜなら、食品分布
図110の表示領域が限られているからである。とりわけ、表示領域が限られるのは、食品分布
図110を非電磁的に表示する場合(例えば、紙や樹脂シート等)である。この場合、食品を無限定に配置すると、食品分布
図110の視認性が悪化する。他方、食品分布
図110を電磁的に表示する場合(例えば、コンピュータのディスプレイ)、全ての食品が配置される。配置された食品の判別や選択を容易にするには、例えば検索機能等を活用すればよい。
【0064】
配置される食品を決定する基準は、様々である。すなわち、対象者の属性(例えば、年齢、家族構成、居住地等)が異なれば、配置される食品も異なる。このようにすることで、献立支援がより細やかになる。例えば、本実施の形態で、食品分布
図110に反映されているのは、対象者が高齢であり、かつ、その居住地域が東北地方である点である。もちろん、対象者の属性以外が決定基準でもよい。例えば、飲食店では、配置される食品は、当該飲食店のメニューの一部又は全部である。
【0065】
<Na‐K比識別子>
食品分布
図110に配置されているのは、Na‐K比識別子110dである。Na‐K比識別子110dで示されるのは、食品110cそれぞれのNa‐K比の等級110eである。Na‐K比識別子110dで示されるのは、Na‐K比の等級110eに限らず、例えば、Na‐K比自体でもよい。
【0066】
<食品それぞれのNa‐K比の等級>
前述のとおり、Na‐K比の等級とは、Na‐K比の区分けをいう。
図3において、食品110cそれぞれのNa‐K比の等級110eで採用するのは、4つの等級である。4つの等級を構成するのは、「低い」、「中くらい」、「高い」、及び、「かなり高い」である。「低い」が示すのは、「一食当たりのカリウム含量>ナトリウム含量」である。「中くらい」が示すのは、「一食当たりのカリウム含量≒ナトリウム含量」である。「高い」が示すのは、「一食当たりのカリウム含量<ナトリウム含量」である。「かなり高い」が示すのは、「一食当たりのカリウム含量<<ナトリウム含量」である。
【0067】
<Na‐K比識別子の表示態様>
本実施の形態において、Na‐K比識別子110dの表示態様は、色である。Na‐K比識別子110dを表現するのは、4色であり、具体的には、緑色、黄色、橙色、及び赤色である。
図3の表示態様は、その制約上、グレースケールであるが、「緑色」を表しているのが2番目の濃さ部分である。「黄色」を表しているのが4番目の濃さ(最も薄い)部分である。「橙色」を表しているのが3番目の濃さ部分である。「赤色」を表しているのが1番目の濃さ(最も濃い)部分である。緑色が示すのは、Na‐K比の等級「低い」である。黄色が示すのは、Na‐K比の等級「中くらい」である。橙色が示すのは、Na‐K比の等級「高い」である。赤色が示すのは、Na‐K比の等級「かなり高い」である。これらの色は、段階的に変化している。すなわち、Na‐K比が最も高ければ、赤色を呈する。他方、Na‐K比が最も低ければ、緑色を呈する。Na‐K比が両者の中間であれば、赤色と緑色との中間色である黄色を呈する。例えば、Na‐K比が1を超えると、赤味が強くなる。Na‐K比が1付近であれば、黄色を呈する。Na‐K比が1を下回ると、緑味が強くなる。また、黒及び白の二値を採用する場合、Na‐K比が最も高ければ、グレーの中でも黒色に近い色を呈する。他方、Na‐K比が最も低ければ、白色を呈する。Na‐K比が両者の中間であれば、黒色と白色との中間色(灰色)を呈する。例えば、Na‐K比が高いほど、黒味が強くなる。他方、Na‐K比が低いほど、白味が強くなる。
【0068】
本実施の形態では、Na‐K比識別子110dの表示態様が色であるが、これに限らず、例えば、文字(列)、数字(列)、色、等高線やそれらの組み合わせ等でもよい。つまり、Na‐K比識別子に求められるのは、ユーザに対してNa‐K比又はその等級を容易に把握させることである。
【0069】
本実施の形態では、Na‐K比の等級が4段階「低い」、「中くらい」、「高い」及び「かなり高い」であるが、これに限らない。例えば、5段階「非常に低い」、「低い」、「同等」、「高い」及び「非常に高い」でもよい。もちろん、Na‐K比の等級が増減すれば、Na‐K比の識別子(例えば、色)の数も増減する。以上のとおり、Na‐K比の等級がきめ細かくなるほど、食品の組合せ方もきめ細かくなる。
【0070】
<セル>
食品分布
図110が有するのは、セル110fである。セル110fで示されるのは、ナトリウム含量の範囲及びカリウム含量の範囲である。セル110fに配置されるのは、食品110cのうち、その成分値が当該ナトリウム含量の範囲及びカリウム含量の範囲に含まれるものである。セル110fの形状は、不問である。
【0071】
本実施の形態では、食品分布
図110を区切り方は、マトリクス状(行列状)である。すなわち、セル110fを形成しているのは、ナトリウム含量軸110a(縦軸)及びカリウム含量軸110b(横軸)に平行な直線である。
【0072】
ナトリウム含量軸110aの区切りは、上から順に、食品一食当たりのナトリウム含量が0以上50未満、50以上100mg未満、100以上250mg未満、250以上500mg未満、500以上1000mg未満等である。これらの区切りは、適宜変更してもよい。もっとも、区切りが細かすぎると、食品分布
図110の視認性が悪くなる。
【0073】
カリウム含量軸110bの区切り方に合わせるのは、ナトリウム含量軸110aの区切り方であり、本実施の形態では、左から順に、食品一食当たりのナトリウム含量が0以上50未満、50以上100mg未満、100以上250mg未満、250以上500mg未満、500以上1000mg未満等である。その他の説明は、ナトリウム含量軸110aの区切りの説明に同旨である。
【0074】
食品分布
図110の区切り方がマトリクス状(行列状)であるので、セル110fのそれぞれにおけるナトリウム含量及びカリウム含量の優劣を直観的に把握できる。例えば、左上から右下の行列対角線上に配置されるのは、ナトリウム含量及びカリウム含量が同等(Na‐K比≒1)、或いは、大差のない食品である。左下に向かうに従い、ナトリウム優位(Na‐K比>1)の食品が配置される。他方、右上に向かうに従い、カリウム優位(Na‐K比<1)な食品が配置される。
【0075】
本実施の形態では、何れの食品も配置されているは、前述のマトリクス内であるが、これに限らない。例えば、食品のうちその一食当たりのナトリウム含量又はカリウム含量が極めて高いものを配置するのは、前述のマトリクス外でもよい。また、セル110fのうちナトリウム含量又はカリウム含量が極めて高い食品が配置されるものと、他のセルとは、分離されてもよい。そのようにすることで、食品分布
図110のうちナトリウム含量又はカリウム含量の変化が大きい箇所が直観的に把握される。
【0076】
<セルとNa‐K比識別子との関係>
セル110fに付されているのは、Na‐K比識別子110dである。本実施の形態では、セル110fを等級分けして、Na‐K比が「低い」、「中くらい」、「高い」、及び、「かなり高い」とする。セル110fの等級が「低い」であれば、このセルに付されるのは、Na‐K比識別子110dのうち「緑色」である。セル110fの等級が「中くらい」(カリウム優位)であれば、このセルに付されるのは、Na‐K比識別子110dのうち「黄」である。セル110fの等級が「高い」であれば、このセルに付されるのは、Na‐K比識別子110dのうち「橙色」である。セル110fの等級が「かなり高い」であれば、このセルに付されるのは、Na‐K比識別子110dのうち「赤色」である。以上のとおり、セル110fが着色されることで、Na‐K比が直観的に把握し易くなる。
【0077】
本実施の形態では、セル110fに付されているNa‐K比識別子110dの表示態様が色であるが、これに限らない。例えば、セル110fに付されているNa‐K比識別子110dの表示態様は、数値でもよい。具体的には、Na‐K比が略1であれば、数値はセロである。Na‐K比が1未満であれば、数値は正(プラス)の数である。Na‐K比が1より大きければ、数値は負(マイナス)の数である。また、カリウム優位なセルのNa‐K比(<1)の逆数とナトリウム優位なセルのNa‐K比(>1)とがほぼ同じであれば、両セルに付される数値の絶対値は、同じである。より具体的には、セル(M,N)のNa‐K比が0.8(=40/50)であり、セル(N,M)のNa‐K比が1.25(=50/40)である場合、セル(M,N)に付される数値は、“+a”(a>0)であり、セル(N,M)に付される数値は、“-a”(a>0)である。つまり、カリウム優位なセルのNa‐K比(<1)の逆数とナトリウム優位なセルのNa‐K比(>1)とがほぼ同じであれば、両セルに付される数値の和は、ゼロ“0”である。このようにすることで、高Na‐K比の食品を選択しても、低Na‐K比の食品を選択することで、献立におけるNa‐K比の調整が容易になる。また、セルに付された数値又は点数は、重み付けされても良い。そのような重み付けの根拠の一つは、医学的なデータである。
【0078】
<献立支援システムにおける食品分布図の使用方法>
図4で示されるのは、食品分布
図110の使用例である。この例において、ユーザが検討するのは、ご飯A、餃子B、及び味噌汁Cの組合せ(当初の献立)である。
【0079】
先ず、食品分布
図110から把握されるのは、次のとおりである。ご飯Aは、カリウム優位(Na‐K比<1)の食品である。なぜなら、ご飯Aのセルの色は、薄い黄緑色だからである。餃子Bは、ナトリウム優位(Na‐K比>1)の食品である。なぜなら、餃子Bのセルの色は、橙色だからである。味噌汁Cは、ナトリウム優位(Na‐K比>1)の食品である。味噌汁Cのセルの色は、橙色だからである。このように、食品のセルの色を見れば、当該食品のNa‐K比が直観的に把握できる。
【0080】
次いで、当初の献立のNa‐K比の良否を把握する。当初の献立について、そのセルの色の内訳は、前述によれば、薄い黄緑色が1つ、橙色が2つである。そのような色の組合せから把握されるのは、当初の献立がナトリウム優位であることである。言い換えれば、当初の献立のNa‐K比は、不良である。
【0081】
次いで、当初の献立を見直す。その目的は、Na‐K比の改善である。Na‐K比が改善されることで、高血圧が防げる。当初の献立を見直す際の視点は、(1)ナトリウム含量及びカリウム含量が略同等であること、又は、(2)カリウムが優位であることである。例えば、カリウム優位(Na‐K比<1)を示すのは、緑色のセルである。緑色のセルを見渡すと、野菜ジュースDが配置されている。仮に、当初の献立に追加するものを野菜ジュースDとすると(見直し後の献立)、セルの色の内訳は、緑色が1つ、薄い黄緑色が1つ、橙色が2つである。この色の内訳が示すのは、見直し後の献立がカリウム優位であることである。言い換えれば、見直し後の献立のNa‐K比は、適正である。このように、セルの色を参考にすることで、献立の見直しが容易になる。
【0082】
セルの色が数値化されると、献立におけるNa‐K比の良否の判断がより簡単になる。例えば、前述の使用例において、黄色(Na‐K比≒1)が0点、薄い黄緑色が-1点、橙色が+2点、緑色が-4点とすれば、見直し後の献立における数値の内訳は、ご飯(-1点)、餃子(+2点)、味噌汁(+2点)、野菜ジュース(-4点)である。これらの数値の和は、-1点(=-1点+2点+2点-4点)である。この和は、0点より小さい。つまり、見直し後の献立のNa‐K比は、カリウム優位である。
【0083】
献立におけるNa‐K比の良否を判断する主体は、不問であり、例えば、人でもコンピュータでもよい。また、献立の良好、不良の判断は献立中の各食品のNa-K比に基づいて行ってもよい。
【0084】
Na‐K比の良否をコンピュータが判断する場合、ディスプレイに表示されるのは、選択中の食品の組合せ(現時点の献立)におけるNa‐K比の良否である。選択中の食品が変わると、Na‐K比の良否も更新される。Na‐K比の良否の表現態様は、不問であるが、例えば、数値の合計点、コメント、アニメーション等である。とりわけ、アニメーションを採用する場合、ユーザに対して楽しく献立させられる。例えば、ある食品の組み合わせ(献立)を選択すると、インジケータ・バーが伸縮するようにしてもよい。インジケータ・バーの停止位置が緑色側であれば、献立のNa‐K比は、カリウム優位であるり、他方、インジケータ・バーの停止位置が赤色側であれば、献立のNa‐K比は、ナトリウム優位である、ということが容易に理解できる。他の例としては、ある食品の組み合わせ(献立)を選択すると、キャラクタの顔又は色が変化するようにしてもよい。キャラクタの顔が笑顔又は色が緑色であれば、献立のNa‐K比は、カリウム優位であり、他方、キャラクタの顔が泣き顔又は色が赤色であれば、献立のNa‐K比は、ナトリウム優位である、ということが容易に理解し得る。
【0085】
<食品分布図の効果>
以上によれば、食品分布
図110が奏する効果は、次のとおりである。第1に、献立にあたり、食べたい食品のほかに、カリウムが優位な食品を選択しやすいので、Na‐K比の良好な食生活をストレスなく続けられる。第2に、Na‐K比の等級が示されるので、各食品のNa‐K比を把握し易い。例えば、複数の食品を組み合せる場合、Na‐K比の動きを直観的に把握できる。
【0086】
食品分布図に更に組み合わせ判定表や組み合わせ計算表を組み合わせて用いてもよい、この組み合わせ判定表や組み合わせ計算表の詳細については後述する。
【0087】
<食品分布図の変形例>
食品分布
図110は、分割されてもよい。なぜなら、食品分布
図110が一葉の場合、その視認性が芳しくないからである。本変形例では、食品分布
図110を構成するのは、第1食品分布
図111及び第2食品分布
図112である。これらの詳細は、以下のとおりである。
【0088】
<第1食品分布図>
図5で示されるのは、第1食品分布
図111の構成である。第1食品分布
図111に含まれているのは、ナトリウム含量軸111a、カリウム含量軸111b、第1選択群の食品111c、第1のNa‐K比識別子111d、Na‐K比の等級111e、及び、第1セル111fである。以下の説明では、前述のナトリウム含量軸110a、カリウム含量軸110b、食品110c、Na‐K比識別子110d、Na‐K比の等級110e、及び、セル110fの説明と重複するものを省略することもある。
【0089】
<ナトリウム含量軸及びカリウム含量軸>
第1食品分布
図111が有するのは、ナトリウム含量軸111a及びカリウム含量軸111bである。これら2軸を採用することで、各食品の位置付けが視覚的に把握し易くなる。
【0090】
<第1選択群の食品>
第1食品分布
図111に配置されるのは、第1選択群の食品111cである。第1選択群の食品111cとは、食品であって、後述する第2選択群の食品とは異なるものをいう。選択群の区分に影響する要素は、様々であるが、例示すると、食文化、カロリー、食品そのものの印象、被支援者の年代等である。本実施の形態において、第1選択群の食品111cは、メイン食品である。メイン食品に主に含まれるのは、主食及び主菜である。ここで、主食とは、食品であって、その主たる栄養素が炭水化物であるものをいう。主食を例示すると、ごはん、パン、麺類、これらの加工品(丼物、サンドウィッチ等)等である。また、主菜とは、食品であって、その主たる栄養素がタンパク質であるものをいう。主菜を例示すると、肉、魚、卵、これらの加工品(ハンバーグ、ウインナーやソーセージなど)である。もっとも、これらの分類は、原則にすぎない。例えば、本実施の形態では、豆類由来の食品(例えば、豆腐や納豆等)は、メイン食品ではない。豆腐由来の食品の扱いは、後述するサブ食品である。もちろん、豆類由来の食品は、メイン食品でもよい。また、被支援者の年代が異なれば、被支援者の食の好みも異なる。それ故、第1食品分布
図111のうち被支援者の年代に対応するものを使用することで、献立支援がより細やかになる。
【0091】
<第1のNa‐K比識別子>
第1食品分布
図111に配置されているのは、第1のNa‐K比識別子111dである。第1のNa‐K比識別子111dで示されるのは、第1選択群の食品111cそれぞれのNa‐K比の等級111eである。第1のNa‐K比識別子111dで示されるのは、Na‐K比の等級111eに限らず、例えば、Na‐K比自体でもよい。
【0092】
<第1選択群の食品それぞれのNa‐K比の等級>
前述のとおり、Na‐K比の等級とは、Na‐K比の区分けをいう。第1選択群の食品111cそれぞれのNa‐K比の等級111eで採用するのは、4つの等級である。4つの等級を構成するのは、「低い」、「中くらい」、「高い」、及び、「かなり高い」である。「低い」が示すのは、「一食当たりのカリウム含量>ナトリウム含量」である。「中くらい」が示すのは、「一食当たりのカリウム含量≒ナトリウム含量」である。「高い」が示すのは、「一食当たりのカリウム含量<ナトリウム含量」である。「かなり高い」が示すのは、「一食当たりのカリウム含量<<ナトリウム含量」である。
【0093】
<第1のNa‐K比識別子の表示態様>
本実施の形態において、第1のNa‐K比識別子111dの表示態様は、色である。第1のNa‐K比識別子111dを表現するのは、4色であり、具体的には、緑色、黄色、橙色、及び赤色である。
図5の表示態様は、その制約上、グレースケールであるが、「緑色」を表しているのが2番目の濃さ部分である。「黄色」を表しているのが4番目の濃さ(最も薄い)部分である。「橙色」を表しているのが3番目の濃さ部分である。「赤色」を表しているのが1番目の濃さ(最も濃い)部分である。緑色が示すのは、Na‐K比の等級「低い」である。黄色が示すのは、Na‐K比の等級「中くらい」である。橙色が示すのは、Na‐K比の等級「高い」である。赤色が示すのは、Na‐K比の等級「かなり高い」である。これらの色は、段階的に変化している。すなわち、Na‐K比が最も高ければ、赤色を呈する。他方、Na‐K比が最も低ければ、緑色を呈する。Na‐K比が両者の中間であれば、赤色と緑色との中間色である黄色を呈する。例えば、Na‐K比が1を超えると、赤味が強くなる。Na‐K比が1付近であれば、黄色を呈する。Na‐K比が1を下回ると、緑味が強くなる。また、黒及び白の二値を採用する場合、Na‐K比が最も高ければ、グレーの中でも黒色に近い色を呈する。他方、Na‐K比が最も低ければ、白色を呈する。Na‐K比が両者の中間であれば、黒色と白色との中間色(灰色)を呈する。例えば、Na‐K比が高いほど、黒味が強くなる。他方、Na‐K比が低いほど、白味が強くなる。第1のNa‐K比識別子111dの表示態様は、色に限らず、例えば、等高線、吹き出し内の数値などでもよい。
【0094】
<第1セル>
第1食品分布
図111が有するのは、第1セル111fである。第1セル111fで示されるのは、ナトリウム含量の範囲及びカリウム含量の範囲である。第1セル111fに配置されるのは、第1選択群の食品111cのうち、その成分値が当該ナトリウム含量の範囲及びカリウム含量の範囲に含まれるものである。本実施の形態では、第1セル111fを形成しているのは、ナトリウム含量軸111a及びカリウム含量軸111bに平行な直線である。つまり、第1食品分布
図111の形状は、マトリクスである。もっとも、第1セル111fの形状は、不問である。
【0095】
<第2食品分布図>
図6で示されるのは、第2食品分布
図112の構成である。第2食品分布
図112に含まれているのは、ナトリウム含量軸112a、カリウム含量軸112b、第2選択群の食品112c、第2のNa‐K比識別子112d、Na‐K比の等級112e、及び、第2セル112fである。
【0096】
<ナトリウム含量軸及びカリウム含量軸>
第2食品分布
図112が有するのは、ナトリウム含量軸112a及びカリウム含量軸112bである。その他の説明は、前述のナトリウム含量軸111a及びカリウム含量軸111bの説明に同旨である。
【0097】
<第2選択群の食品>
第2食品分布
図112に配置されるのは、第2選択群の食品112cである。第2選択群の食品112cとは、食品であって、前述した第1選択群の食品とは異なるものをいう。本実施の形態において、第2選択群の食品112cは、サブ食品である。サブ食品に主に含まれるのは、主食及び主菜以外のものである。「主食及び主菜以外のもの」を例示すると、副菜、牛乳・乳製品、果物、汁物、ジュースなどである。ここで、副菜とは、食品であって、その主たる栄養素がビタミン、無機質又は食物繊維であるものをいう。副菜を例示すると、野菜、きのこ、いも類、これらの加工品(おひたし、サラダ等)等である。本実施の形態では、豆類由来の食品(例えば、豆腐や納豆等)は、サブ食品である。その他の説明は、前述の第1選択群の食品111cの説明に同旨である。
【0098】
本実施の形態では、第1食品群の食品に主に含まれるのが主食及び主菜であり、第2食品群の食品に主に含まれるのが副菜であるが、各選択群の決め方は、任意である。例えば、各選択群を決めるにあたり、食事指導のし易さを考慮する。また、本実施の形態では、食品群の区分数が2区分であるが、区分数は2以上であればよい。以上の観点は、後述する献立支援プログラム及び各種方法の説明においても、同旨である。
【0099】
<第2のNa‐K比識別子>
第2食品分布
図112に配置されているのは、第2のNa‐K比識別子112dである。第2のNa‐K比識別子112dで示されるのは、第2選択群の食品112cそれぞれのNa‐K比の等級112eである。その他の説明は、前述の第1食品分布
図111の説明に同旨である。
【0100】
<第2選択群の食品それぞれのNa‐K比の等級>
前述のとおり、Na‐K比の等級とは、Na‐K比の区分けをいう。第2選択群の食品112cそれぞれのNa‐K比の等級112eで採用するのは、4つの等級である。その他の説明は、前述のNa‐K比の等級111eの説明に同旨である。
【0101】
<第2のNa‐K比識別子の表示態様>
本実施の形態において、第2のNa‐K比識別子112dの表示態様は、色である。その他の説明は、前述した第1のNa‐K比識別子111dの表示態様の説明に同旨である。
【0102】
<第2セル>
第2食品分布
図112が有するのは、第2セル112fである。第2セル112fで示されるのは、ナトリウム含量の範囲及びカリウム含量の範囲である。第2セル112fに配置されるのは、第2選択群の食品112cのうち、その成分値が当該ナトリウム含量の範囲及びカリウム含量の範囲に含まれるものである。その他の説明は、前述した第2セル111fの説明に同旨である。
【0103】
<食品分布図の応用例>
本実施の形態において、食品分布
図110で採用されている指標は、ナトリウム含量、カリウム含量、及び、Na‐K比(又はその等級)であるが、これらに限らない。食品分布
図110に追加しうる指標は、様々であり、例示すると、カロリー、糖質量などである。これらの指標を採用する理由は、カロリーが肥満の原因であること、糖質量が血糖値上昇の原因であることである。このような指標を追加することで、ナトリウム及びカリウムのバランスのみならず、カロリーや糖質量などをも考慮して、健康的な食生活を促すことができる。
【0104】
<組合せ判定表>
図7で示されるのは、組合せ判定表120の構成である。本実施の形態において、組合せ判定表120で示されるのは、Na‐K比識別子110fの組合せ並びに当該組合せのNa‐K比の良否である。例えば、1品目のNa‐K比識別子及び2品目のNa‐K比識別子、並びに、3品目のNa‐K比識別子及び4品目のNa‐K比識別子がそれぞれ「黄色」及び「黄色」並びに「黄色」並びに「緑色」であれば、組合せのNa‐K比は、「良好」或いは「大変よくできました。」である。他方、1品目のNa‐K比識別子及び2品目のNa‐K比識別子がそれぞれ「橙色」及び「橙色」であれば、組合せのNa‐K比は、「不良」である。
【0105】
そのような判定を省いて、以下のような判定も採用される。例えば、「緑色」の食品の数及びその他の色の食品の数を比較して、前者が後者よりも多ければ、Na‐K比は、「良好」或いは「大変よくできました。」である。他方、前者が後者よりも少なければ、Na‐K比は、「不良」、「ナトリウムが多い、或いは、カリウムが少ない。」、或いは、「頑張りましょう。」である。
【0106】
<組合せ判定表の変形例>
図8で示されるのは、組合せ判定表120の変形例の構成である。本実施の形態において、組合せ判定表120で示されるのは、第1のNa‐K比識別子111d及び第2識別子112fの組合せ並びに当該組合せのNa‐K比の良否である。例えば、第1選択群の1品目の識別子及び2品目の識別子、並びに、第2選択群の1品目の識別子及び2品目の識別子がそれぞれ「黄色」及び「黄色」並びに「黄色」並びに「緑色」であれば、組合せのNa‐K比は、「良好」或いは「大変よくできました。」である。他方、第1選択群の1品目の識別子及び第2選択群の1品目の識別子がそれぞれ「橙色」及び「橙色」であれば、組合せのNa‐K比は、「不良」である。
【0107】
なお、上述した組み合わせ判定表の使用例は食品分布図を2枚使用した場合の例であるが、使用する食品分布図が1枚又は3枚以上であっても、上述した使用例に準じて適宜作製したり、使用したりすればよい。このことは、以下に述べる各種システムや方法においても同様である。
【0108】
<組合せ計算表>
組合せ判定表120に代えて、或いはそれと併せて使用されるのは、組合せ計算表130である。組合せ計算表130で示されるのは、点数及び合計点数である。当該点数が付されるのは、Na‐K比識別子110fである。例えば、Na‐K比識別子110fが色である場合、「緑色」が「1点」であり、「黄色」が「0点」であり、「橙色」が「-1点」であり、かつ、「赤色」が「-2点」である。合計点数又はその範囲に付されるのは、Na‐K比の良否である。食品の組合せにおいて、合計点数が「-1点」以下であれば、Na‐K比は、「良好」或いは「大変よくできました。」である。他方、合計点数が「1点」以上であれば、Na‐K比は、「不良」、「ナトリウムが多い、或いは、カリウムが少ない。」、或いは、「頑張りましょう。」である。もちろん、Na‐K比識別子110fを構成するのが第1のNa‐K比識別子111f及び第2のNa‐K比識別子112fである場合も同様であることは言うまでもない。
【0109】
なお、組み合わせ計算表は、選択された食品の組み合わせにおける各食品のNa‐K比又は当該食品当該組み合わせにおける各食品のナトリウム含量とカリウム含量のそれぞれの合計値から算出されるNa‐K比に基づいて算出してもよい。例えば、各食品の、ナトリウム含量、カリウム含量を設定し、選択された複数の食品のナトリウム含量合計とカリウム含量合計から算出されたNa‐K比に基づき「Na‐K比が0.5未満」であれば「2点」であり、「Na‐K比が1未満0.5以上」であれば「1点」であり、「Na‐K比が1付近」であれば「0点」であり、「Na‐K比が1を越えて1.5未満」であれば「-1点」であり、「Na‐K比が1.5以上」であれば「-2点」である。合計点数又はその範囲に付されるのは、Na‐K比の良否である。食品の組合せにおいて、合計点数が「1点」以上であれば、Na‐K比は、「良好」或いは「大変よくできました。」である。他方、合計点数が「-1点」以下であれば、Na‐K比は、「不良」、「ナトリウムが多い、或いは、カリウムが少ない。」、或いは、「頑張りましょう。」である。
【0110】
なお、上述した組み合わせ計算表の使用例は食品分布図を2枚使用した場合の例であるが、使用する食品分布図が1枚又は3枚以上であっても、上述した使用例に準じて適宜作製したり、使用したりすればよい。このことは、以下に述べる各種システムや方法においても同様である。
【0111】
<献立提示具>
献立提示具200で示されるのは、第1選択群の食品及び第2選択群の食品の組合せである。具体的には、第1選択群の食品及び第2選択群の食品からそれぞれ1食品以上を選択すると、その組合せの良否を表示する。この良否の判定に用いられるのは、組み合わせ判定表120又は組み合わせ計算表130である。この組合せを決めるのに参照するのは、第1選択群の食品のNa‐K比又はその等級及び第2選択群の食品のNa‐K比又はその等級である。例えば、組合せるにあたり、第1選択群の食品のNa‐K比又はその等級が相対的に高ければ、第2選択群の食品のNa‐K比又はその等級は相対的に低くすればよい。これと異なる観点として、組合せるにあたり、Na‐K比又はその等級が相対的に低い食品の数は、Na‐K比又はその等級が相対的に高い食品の数と同じ又はそれよりも多いようにする。
【0112】
以上において、献立提示具200を具現化する方法は、不問であり、例えば、紙、フィルム、電磁的装置(コンピュータ、ディスプレイやスピーカ等)等である。食品の組合せ方を示す態様は、不問であり、例えば、点字、音、画像、振動等である。
【0113】
<測定器>
測定器300で測定されるのは、尿中のNa‐K比である。尿中のNa‐K比が反映しているのは、体内のNa‐K比である。つまり、尿中のNa‐K比を測定する目的は、体内のNa‐K比の把握である。測定器300は、市販されており、例示すると、「オムロンナトカリ計HEU‐001F」(オムロン ヘルスケア株式会社製)等である。
【0114】
<献立支援プログラム>
図9で示されるのは、献立支援プログラムでの処理の流れである。献立支援プログラムによってコンピュータをして実行させるのは、食品提示(S1)、及び、組合せ提示(S2)である。ここで、コンピュータを主に構成するのは、プロセッサ、各種メモリ、及び入出力(I/O)である。各ステップを詳説すると、以下のとおりである。
【0115】
<食品提示(S1)>
コンピュータで提示されるのは、少なくとも2以上の食品のNa‐K比又はその等級である。これらの値を記憶しているのは、メモリである。食品のNa‐K比又はその等級が提示されると、ユーザが選択するのは、少なくとも2以上の食品である。選択された食品の詳細は、前述のとおりである。また、食品が配置されているのは、前述の食品分布
図110である。食品分布
図110の詳細は、前述のとおりである。以上において、メモリに記憶できるのは、複数の食品分布図であり、例えば、一人暮らし用の食品分布図や家族用の食品分布図などである。このようにすることで、被支援者の選択の幅が拡がる。
【0116】
<組合せの提示(S2)>
コンピュータで提示されるのは、選択された食品の組合せ方の良否であり、その際に参照されるのは、選択された食品のNa‐K比又はその等級である。これらの値を記憶しているのは、当該メモリである。例えば、「緑色」の食品の数及びその他の色の食品の数を比較して、前者が後者よりも多ければ、組合せ方におけるNa‐K比は、「良好」或いは「大変よくできました。」である。他方、前者が後者よりも少なければ、組合せ方におけるNa‐K比は、「不良」、「ナトリウムが多い、或いは、カリウムが少ない。」、或いは、「頑張りましょう。」である。
【0117】
なお、この組み合わせの提示を行うにあたっては、上述した組み合わせ判定表や組み合わせ計算表を参照した結果を表示させるようにしてもよい。
【0118】
<食品提示の変形例>
食品提示(S1)は、細分化されてもよい。すなわち、第1の食品提示が実行されてから、第2の食品提示が実行される。これらの処理の具体的な説明は、以下のとおりである。
【0119】
当該第1の食品提示において、コンピュータで提示されるのは、第1選択群の食品のNa‐K比又はその等級である。これらの値を記憶しているのは、メモリである。第1選択群の食品のNa‐K比又はその等級が提示されると、ユーザが選択するのは、少なくとも1以上の食品(以下、「第1選択食品」という。)である。第1選択群の食品の詳細は、前述のとおりである。また、当該第1選択群の食品が配置されているのは、前述の第1食品分布図である。この分布図の詳細は、前述のとおりである。以上において、メモリに記憶できるのは、複数の第1食品分布図であり、例えば、一人暮らし用の第1食品分布図や家族用の第1食品分布図などである。このようにすることで、被支援者の選択の幅が拡がる。
【0120】
当該第2の食品提示において、コンピュータで提示されるのは、第2選択群の食品のNa‐K比又はその等級である。これらの値を記憶しているのは、当該メモリである。第2選択群の食品のNa‐K比又はその等級が提示されると、ユーザが選択するのは、少なくとも1以上の食品(以下、「第2選択食品」という。)である。当該第2選択群の食品の詳細は、前述のとおりである。また、当該第2選択群の食品が配置されているのは、前述の第2食品分布図である。この分布図の詳細は、前述のとおりである。以上において、メモリに記憶できるのは、複数の第2食品分布図であり、例えば、一人暮らし用の第2食品分布図や家族用の第2食品分布図などである。このようにすることで、被支援者の選択の幅が拡がる。
【0121】
これらの変形例を踏まえて、前述の組合せの提示(S2)において、コンピュータで提示されるのは、当該第1選択食品及び当該第2選択食品の組合せ方の良否であり、その際に参照されるのは、当該第1選択食品のNa‐K比又はその等級、及び当該第2の選択食品のNa‐K比又はその等級である。これらの値を記憶しているのは、当該メモリである。例えば、「緑色」の食品の数及びその他の色の食品の数を比較して、前者が後者よりも多ければ、組合せ方におけるNa‐K比は、「良好」或いは「大変よくできました。」である。他方、前者が後者よりも少なければ、組合せ方におけるNa‐K比は、「不良」、「ナトリウムが多い、或いは、カリウムが少ない。」、或いは、「頑張りましょう。」である。
【0122】
<表示される食品分布図の変形例>
食品分布図は、設定変更(カスタマイズ)される。そのために、記憶装置に記憶されるのは、図形データ、及び、食品データベースである。図形データで定義されるのは、図(例えば、食品分布図の枠など)の座標及び方向並びに色である。食品データベースで定義される属性値は、少なくとも、食品(例えば、食品名や食品の画像など)、ナトリウム含量、及びカリウム含量の対応関係である。Na‐K比は、予め記憶されていても、都度演算されても良い。他方、Na‐K比の等級を演算するのであれば、Na‐K比とNa‐K比の等級との対応関係(テーブル)を予め備える。食品データベースで定義される属性値は、前述のものに加えて、居住地域、生活スタイル、年齢等でもよい。以上によれば、ユーザの選択(食品種別、等級の表示色、等級の表現、含量スケール、居住地域、生活スタイル、年齢など)を入力すると、それに対応する食品分布図が提示される。前述のとおり、等級は、変更しうるものの、その際に尊重すべきは、医療機関で検討結果である。この点は、組合せの良否の判定基準を変更する場合も同じである。
【0123】
<食品選択方法の変形例>
食品分布図に配置される食品は、選択可能である。複数の食品を選択すると(例えば、カーソルポインタ等を用いる。)、ディスプレイに表示されるのは、選択された各食品のNa‐K比若しくはその等級、又は、選択された各食品の組合せ(献立)のNa‐K比の良否である。これらの情報が表示されると、選択した食品が削除され、或いは、新たな食品が追加的に選択される。そのような操作が繰り返されることで、献立のNa‐K比が良好(Na‐K比≒1又はNa‐K比<1)になる。この場合において、カーソルポイント及び食品(例えば、食品アイコン)が重なった時点で(選択を実行しなくても)、当該食品のナトリウム含量、カリウム含量、又は、Na‐K比が表示されてもよい。
【0124】
<献立指導方法>
図10で示されるのは、献立指導方法の流れである。献立指導方法を構成するのは、食品提示(S11)、及び、指導(S13)である。当該方法において、指導者が使用しうるのは、献立支援具100である。その説明は、前述のとおりである。これらの工程(S11乃至S12)を詳説すると、次のとおりである。
【0125】
<食品提示(S11)>被指導者に提示されるのは、少なくとも2以上の食品のNa‐K比又はその等級である。それによって、被指導者が選択するのは、少なくとも2以上の食品である。選択される食品の詳細は、前述のとおりである。当該ステップにおいて、指導者が使用しうるのは、食品分布
図110である。食品分布
図110の説明は、前述のとおりである。
【0126】
<指導(S12)>
被指導者が指導されるのは、当該選択された食品の組合せ方である。被指導者が指導される際に参照されるのは、選択された食品のNa‐K比又はその等級である。例えば、食品分布
図110が使用される場合、ある食品が選択され、そのNa‐K比識別子が「赤色」であれば、指導内容は、他の食品のうちそのNa‐K比識別子が「緑色」のものを選択することである。これと異なる観点として、組合せ方において、Na‐K比又はその等級が相対的に低い食品の数とNa‐K比又はその等級が相対的に高い食品の数とを比較して、前者が後者と同じ又はそれよりも多ければ、指導内容は、例えば、組合せが「良好」或いは「大変よくできました。」である旨である。他方、前者が後者よりも少なければ、指導内容は、例えば、組合せが「不良」、「ナトリウムが多い、或いは、カリウムが少ない。」、或いは、「頑張りましょう。」である旨であり。より具体的な指導内容は、Na‐K比又はその等級が相対的に低い食品の数を増やす旨、更に、どのような食品や料理にナトリウムおよびカリウムが多いのか、少ないのかについての理解を求めることである。例えば、食品分布
図110が使用される場合、組合せにおいて、「緑色」の食品の数と「赤色」又は「橙色」食品の数とを比較して、前者が後者よりも少なければ、指導内容は、組合せが「不良」、「ナトリウムが多い、或いは、カリウムが少ない。」、或いは、「頑張りましょう。」である旨であり、より具体的な指導内容は、「緑色」の食品の数を増やす旨である。
【0127】
仮に、1回の食事において、献立のNa‐K比が良好ではなくても、複数回の食事を通じて、献立のNa‐K比が良好であればよい。例えば、朝食の献立のNa‐K比、昼食の献立のNa‐K比、夕食の献立のNa‐K比を総合し、1日でのNa‐K比の良否を判定してもよい。すなわち、昼食のNa‐K比が高くても、朝食及び夕食のNa‐K比が低ければ、一日全体で、Na‐K比が良好となる。このようにすることで、対人的な付き合いなどで、1回の食事でのNa‐K比が良好ではなくても、一日全体で、Na‐K比が調整され良好になる。被指導者に提示されるのは、特定期間(例えば、1日、1週間、1月など)の全献立のNa‐K比でもよい。これで可能になるのは、一食だけではなく、長期にわたって、Na‐K比が安定した食生活をおくれているかを判断することである。また、Na‐K比を考慮した献立を楽しみながら続けられる。
【0128】
なお、指導を行うにあたっては、上述した組み合わせ判定表や組み合わせ計算表を活用してもよい。このことは以下の例でも同様である。
【0129】
<食品提示の変形例>
食品提示(S11)は、細分化されてもよい。すなわち、第1の食品提示が実行されてから、第2の食品提示が実行される。これらの工程の具体的な説明は、以下のとおりである。
【0130】
当該第1の食品提示において、被指導者に提示されるのは、第1選択群の食品のNa‐K比又はその等級である。それによって、被指導者が選択するのは、少なくとも1以上の食品(以下、「第1選択食品」という。)である。第1選択群の食品の詳細は、前述のとおりである。当該ステップにおいて、指導者が使用しうるのは、第1食品分布
図111である。第1食品分布
図111の説明は、前述のとおりである。
【0131】
当該第2の食品提示において、被指導者に提示されるのは、第2選択群の食品のNa‐K比又はその等級である。それによって、被指導者が選択するのは、少なくとも1以上の食品(以下、「第2選択食品」という。)である。当該第2選択群の食品の詳細は、前述のとおりである。当該ステップにおいて、指導者が使用しうるのは、第2食品分布
図112である。第2食品分布
図112の説明は、前述のとおりである。
【0132】
これらの変形例を踏まえて、前述の指導(S12)において、被指導者が指導されるのは、当該第1選択食品及び当該第2選択食品の組合せ方である。被指導者が指導される際に参照されるのは、当該第1選択食品のNa‐K比又はその等級、及び当該第2の選択食品のNa‐K比又はその等級である。例えば、第1食品分布
図111及び第2食品分布
図112が使用される場合、第1選択群の食品が選択され、その識別子が「赤色」であれば、指導内容は、例えば第2選択群の食品のうち、その識別子が「緑色」のものを選択することである。これと異なる観点として、組合せ方において、Na‐K比又はその等級が相対的に低い食品の数とNa‐K比又はその等級が相対的に高い食品の数とを比較して、前者が後者と同じ又はそれよりも多ければ、指導内容は、例えば、組合せが「良好」或いは「大変よくできました。」である旨である。他方、前者が後者よりも少なければ、指導内容は、例えば、組合せが「不良」、「ナトリウムが多い、或いは、カリウムが少ない。」、或いは、「頑張りましょう。」である旨であり、より具体的な指導内容は、Na‐K比又はその等級が相対的に低い食品の数を増やす旨である。更には、どのような食品や料理にナトリウムおよびカリウムが多いのか、少ないのかについての理解を求めることである。例えば、第1食品分布
図111及び第2食品分布
図112が使用される場合、組合せにおいて、「緑色」の食品の数と「赤色」又は「橙色」食品の数とを比較して、前者が後者よりも少なければ、指導内容は、組合せが「不良」、「ナトリウムが多い、或いは、カリウムが少ない。」、或いは、「頑張りましょう。」である旨であり、より具体的な指導内容は、「緑色」の食品の数を増やす旨である。
【0133】
仮に、1回の食事において、献立のNa‐K比が良好ではなくても、複数回の食事を通じて、献立のNa‐K比が良好であればよい。例えば、朝食の献立のNa‐K比、昼食の献立のNa‐K比、夕食の献立のNa‐K比を総合し、1日でのNa‐K比の良否を判定してもよい。すなわち、昼食のNa‐K比が高くても、朝食及び夕食のNa‐K比が低ければ、一日全体で、Na‐K比が良好となる。このようにすることで、対人的な付き合いなどで、1回の食事でのNa‐K比が良好ではなくても、一日全体で、Na‐K比が調整され良好になる。被指導者に提示されるのは、特定期間(例えば、1日、1週間、1月など)の全献立のNa‐K比でもよい。これで可能になるのは、一食だけではなく、長期にわたって、Na‐K比が安定した食生活をおくれているかを判断することである。また、Na‐K比を考慮した献立を楽しみながら続けられる。
【0134】
<高血圧者向けの献立指導方法>
献立指導方法の一実施例は、高血圧者に対する献立指導方法である。なぜなら、前述のとおり、高血圧の予防及び改善に必要なのは、体内のNa‐K比を改善(K優位)することだからである。この実施例を詳説すると、次のとおりである。
【0135】
先ず、被指導者の尿を測定し、尿中のNa‐K比を求める。前述したように、被指導者体内のNa‐K比を測定するにあたり、簡易的に用いられているのは、尿中のNa‐K比である。この尿中のNa‐K比を測定する手段は、測定器300である。オムロンナトカリ計HEU‐001F(オムロン ヘルスケア株式会社製)を用いた検証から考えられるのは、尿中のNa‐K比が3未満であれば、健康な生活を送れる点、他方、尿中のNa‐K比が3以上であり、その状態が長く続くと、高血圧のリスクが高まる点である。
【0136】
次に、被指導者(特に、高血圧者)の尿中のNa‐K比及び食品分布
図110を示して、被指導者に対して食事指導をする。この食事指導で被指導者に理解を促すのは、どのような食品及び料理にナトリウム及びカリウムが多いのか、或いは少ないのか、である。とりわけ、尿中のNa‐K比の高い被指導者に対して指導するのは、カリウム優位の献立である。
【0137】
そのような食事指導の後、所定期間、被指導者が継続するのは、カリウム優位の献立である。その際、被指導者が用いるのは、食品分布
図110である。
【0138】
所定期間が経過した後、被指導者の尿中のNa‐K比を再び測定する。食事指導前後の尿中のNa‐K比の値により、被指導者に対して食事指導の効果を体感させる。そのような効果の実感は、食品分布
図110による献立を継続する動機づけとなる。
【0139】
従来の食事指導の殆どは、被指導者に対してその意に沿わない食事を強いる。具体的には、「Na‐K比の高い食品を控えよ」、「Na‐K比の低い食品を摂取せよ」というものである。食べたいものが食べられないのでは、結果として、食事改善が長続きしない。
【0140】
これに対して、この献立支援方法は、被指導者に対してその意を汲んだ食事を促す。具体的には、食品分布図を用いて、主食、主菜、その他の食品の組合せ(献立)全体でNa‐K比を調整する。数品の食品を足すことで、食べたいものが食べられるので、結果として、食事改善が長続きする。
【0141】
<食品提供方法>
図11で示されるのは、食品提供方法の流れである。食品提供方法を構成するのは、食品選択(S21)、及び、提供(S22)である。当該方法において、提供者又は被提供者が使用しうるのは、献立支援具100である。その説明は、前述のとおりである。これらの工程(S21乃至22)を詳説すると、次のとおりである。
【0142】
<食品選択(S21)>
提供者又は被提供者が選択するのは、少なくとも2以上の食品であり、その際に参照するのは、選択された食品のNa‐K比又はその等級である。食品の詳細は、前述のとおりである。当該ステップにおいて、提供者又は被提供者が使用しうるのは、食品分布
図110である。食品分布
図110の説明は、前述のとおりである。
【0143】
<提供(S22)>
提供者が提供するのは、選択された食品の組合せである。具体的には、選択された食品の一方のNa‐K比又はその等級が相対的に高ければ、他方の食品のNa‐K比又はその等級は相対的に低いものを選択して提供する。例えば、一方の食品がNa‐K比の等級が「高い」もの(例えば、おにぎり等)であれば、選択される他方の食品は、Na‐K比の等級が「中くらい」又は「低い」もの(例えば、バナナや野菜ジュース等)である。これに対して、選択された食品の一方のNa‐K比又はその等級が相対的に低ければ、他方の食品のNa‐K比又はその等級は相対的に高いものでもよい。例えば、一方の食品がNa‐K比の等級が「低い」もの(例えば、白飯など)であれば、選択される他方の食品は、Na‐K比の等級が「中くらい」又は「高い」もの(例えば、餃子等)でもよい。これと異なる観点として、組合せにおいて、Na‐K比又はその等級が相対的に低い食品の数は、Na‐K比又はその等級が相対的に高い食品の数と同じ又はそれよりも多い。例えば、Na‐K比の等級が「低い」食品の数は、Na‐K比の等級が「高い」または「かなり高い」食品の数と同じ又はそれよりも多いようにすればよい。
【0144】
食品の組み合わせを選択するにあたっては、上述した組み合わせ判定表や組み合わせ計算表を参照してもよい。このことは以下の例においても同様である。
【0145】
<食品選択の変形例>
食品選択(S21)は、細分化されてもよい。すなわち、第1の食品選択が実行されてから、第2の食品選択が実行される。これらの処理の具体的な説明は、以下のとおりである。
【0146】
当該第1の食品選択において、提供者又は被提供者が選択するのは、第1選択群中の少なくとも1以上の食品(以下、「第1選択食品」という。)であり、その際に参照するのは、第1選択食品のNa‐K比又はその等級である。第1選択群の食品の詳細は、前述のとおりである。当該ステップにおいて、提供者又は被提供者が使用しうるのは、第1食品分布
図111である。第1食品分布
図111の説明は、前述のとおりである。
【0147】
当該第2の食品選択において、提供者又は被提供者が選択するのは、第2選択群中の少なくとも1以上の食品(以下、「第2の選択食品」という。)であり、その際に参照するのは、第2の選択食品のNa‐K比又はその等級及び第1選択食品のNa‐K比又はその等級である。第2選択群の食品の詳細は、前述のとおりである。当該ステップにおいて、提供者又は被提供者が使用しうるのは、第2食品分布
図112である。第2食品分布
図112の説明は、前述のとおりである。
【0148】
これらの変形例を踏まえて、前述の提供(S22)において、提供者が提供するのは、当該第1選択食品及び当該第2の選択食品の組合せである。具体的には、当該第1選択食品のNa‐K比又はその等級が相対的に高ければ、当該第2選択食品のNa‐K比又はその等級は相対的に低いものを選択して提供する。例えば、主菜のNa‐K比の等級が「高い」もの(例えば、おにぎり等)であれば、組み合わせる副菜は、そのNa‐K比の等級が「中くらい」又は「低い」もの(例えば、ポテトサラダや野菜ジュース等)である。他方、当該第1選択食品のNa‐K比又はその等級が相対的に低ければ、当該第2選択食品のNa‐K比又はその等級は相対的に高いものでもよい。例えば、主菜のNa‐K比の等級が「低い」もの(例えば、白飯など)であれば、組み合わせる副菜は、そのNa‐K比の等級が「中くらい」又は「高い」もの(例えば、味噌汁など)でもよい。これと異なる観点として、組合せにおいて、Na‐K比又はその等級が相対的に低い食品の数は、Na‐K比又はその等級が相対的に高い食品の数と同じ又はそれよりも多い。例えば、Na‐K比の等級が「低い」食品の数は、Na‐K比の等級が「高い」または「かなり高い」食品の数と同じ又はそれよりも多いようにすればよい。
【0149】
<食品製造方法>
図12で示されるのは、食品製造方法の流れである。食品製造方法を構成するのは、食品選択(S31)、及び、容器詰め(S32)である。当該方法において、製造者が使用しうるのは、献立支援具100である。その説明は、前述のとおりである。これらの工程(S31乃至S32)を詳説すると、次のとおりである。
【0150】
<食品選択(S31)>
製造者が選択するのは、少なくとも2以上の食品であり、その際に参照するのは、選択された食品のNa‐K比又はその等級である。当該ステップにおいて、製造者が使用しうるのは、食品分布
図110である。食品分布
図110の説明は、前述のとおりである。
【0151】
<容器詰め(S32)>
製造者が容器詰めするのは、選択された食品の組合せである。具体的には、一方の食品のNa‐K比又はその等級が相対的に高ければ、他方の食品のNa‐K比又はその等級は相対的に低いものを選択して容器詰めする。例えば、容器詰めされる一方の食品がNa‐K比の等級が「高い」もの(例えば、おにぎり等)であれば、容器詰めされる他方の食品は、Na‐K比の等級が「中くらい」又は「低い」もの(例えば、バナナや野菜ジュース等)である。他方、一方の食品のNa‐K比又はその等級が相対的に低ければ、他方の食品のNa‐K比又はその等級は相対的に高いものを選択して容器詰めしてもよい。例えば、容器詰めされる一方の食品がNa‐K比の等級が「低い」もの(例えば、白飯など)であれば、容器詰めされる他方の食品は、Na‐K比の等級が「中くらい」又は「高い」もの(例えば、餃子等)でもよい。これと異なる観点として、容器詰めされる食品の組合せにおいて、Na‐K比又はその等級が相対的に低い食品の数は、Na‐K比又はその等級が相対的に高い食品の数と同じ又はそれよりも多くしてもよい。例えば、Na‐K比の等級が「低い」食品の数は、Na‐K比の等級が「高い」または「かなり高い」食品の数と同じ又はそれよりも多くしてもよい。
【0152】
食品の組み合わせを選択するにあたっては、上述した組み合わせ判定表や組み合わせ計算表を参照してもよい。このことは以下の例においても同様である。
【0153】
<食品選択の変形例>
食品選択(S31)は、細分化されてもよい。すなわち、第1の食品選択が実行されてから、第2の食品選択が実行される。これらの処理の具体的な説明は、以下のとおりである。
【0154】
当該第1の食品選択において、製造者が選択するのは、第1選択群中の少なくとも1以上の食品(以下、「第1選択食品」という。)であり、その際に参照するのは、第1選択食品のNa‐K比又はその等級である。当該ステップにおいて、製造者が使用しうるのは、第1食品分布
図111である。第1食品分布
図111の説明は、前述のとおりである。
【0155】
当該第2の食品選択において、製造者が選択するのは、第2選択群中の少なくとも1以上の食品(以下、「第2の選択食品」という。)であり、その際に参照するのは、第2の選択食品のNa‐K比又はその等級及び第1選択食品のNa‐K比又はその等級である。当該ステップにおいて、製造者が使用しうるのは、第2食品分布
図112である。第2食品分布
図112の説明は、前述のとおりである。
【0156】
これらの変形例を踏まえて、前述の提供(S22)において、製造者が容器詰めするのは、当該第1選択食品及び当該第2の選択食品の組合せである。具体的には、当該第1選択食品のNa‐K比又はその等級が相対的に高ければ、当該第2選択食品のNa‐K比又はその等級は相対的に低いものを選択して容器詰めする。例えば、主菜のNa‐K比の等級が「高い」であれば(例えば、おにぎり等)、容器詰めされる副菜は、そのNa‐K比の等級が「中くらい」又は「低い」もの(例えば、バナナや野菜ジュース等)である。他方、当該第1選択食品のNa‐K比又はその等級が相対的に低ければ、当該第2選択食品のNa‐K比又はその等級は相対的に高いものを選択して容器詰めしてもよい。例えば、主菜のNa‐K比の等級が「低い」であれば(例えば、白飯など)、容器詰めされる副菜は、そのNa‐K比の等級が「中くらい」又は「高い」のもの(例えば、味噌汁など)でもよい。これと異なる観点として、容器詰めされる食品の組合せにおいて、Na‐K比又はその等級が相対的に低い食品の数は、Na‐K比又はその等級が相対的に高い食品の数と同じ又はそれよりも多くしてもよい。例えば、Na‐K比の等級が「低い」食品の数は、Na‐K比の等級が「高い」または「かなり高い」食品の数と同じ又はそれよりも多くしてもよい。
【0157】
<本実施の形態の効果>
そのような構成で奏される効果は、以下のとおりである。第1に、同一食品群の食品を一つの表とすることで、主食及び主菜間のNa‐K比又はその等級を比較し、副菜やデザートなどの間のNa‐K比又はその等級を比較するのが容易である。例えば、白米のNa‐K比及びハンバーグのNa‐K比を比較するのが容易である。それ故、上述した各種システムや方法において食品の組み合わせ(献立)を容易に選択できるようになる。第2に、第1選択群の食品、第2選択群の食品を別の表とすることで、異なる食品群の食品間のNa‐K比の傾向を把握するのが容易である。例えば、主菜のNa‐K比及び副菜のNa‐K比を比較すると、後者のNa‐K比が優れているものが多いことが容易に把握される。第3に、食品の良好な組合せ方の指導が容易である。例えば、主菜のNa‐K比が芳しくなくても、Na‐K比が良好な副菜の摂取を促せる。それ故、上述した各種システムや方法において食品の組み合わせ(献立)を容易に選択できるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明が有用な分野は、食事指導や健康指導等である。
【符号の説明】
【0159】
10 献立支援システム
100 献立支援具
110 食品分布図
111 第1食品分布図
112 第2食品分布図
120 組合せ判定表
130 組合せ計算表
200 献立提示具
300 測定器