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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】ペット用クレートの収容体
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/035 20060101AFI20230227BHJP
   B64D 11/00 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
A01K1/035 Z
B64D11/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019228925
(22)【出願日】2019-12-19
(65)【公開番号】P2021093990
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】510109213
【氏名又は名称】株式会社アディオ
(73)【特許権者】
【識別番号】519453489
【氏名又は名称】株式会社ニシムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098202
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信彦
(72)【発明者】
【氏名】大木田 尚照
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-333816(JP,A)
【文献】特開2011-103869(JP,A)
【文献】特開2006-346390(JP,A)
【文献】特開2007-118683(JP,A)
【文献】特開平11-253066(JP,A)
【文献】実開平02-049851(JP,U)
【文献】特表2016-533168(JP,A)
【文献】登録実用新案第3092683(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0230424(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/035
B64D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼索製の網からなるペット用クレートの収容体であって、
上部開口と側部と底部とを備えると共に長さと幅とを備えた形態をなし、
前記上部開口には、
前記上部開口を巡る向きに隣り合うリング部との間に間隔を開けて備えられた複数のリング部に通されて、前記上部開口を巡る周回部と、前記上部開口からの引き出し部とを備えた、前記上部開口の絞り用鋼索と、
前記上部開口における長さ方向に沿った一方縁部の中程となる位置に一端を止着させた第一ストラップと、
前記上部開口における長さ方向に沿った他方縁部の中程となる位置に一端を止着させた第二ストラップとが備えられており、
少なくとも前記第一ストラップの他端側に前記上部開口の他方縁部側に対する係合手段を備えさせてなる、ペット用クレートの収容体。
【請求項2】
前記上部開口に、前記係合手段の両側において前記上部開口の一方縁部と他方縁部とを閉じ合わせ可能とする追加係合手段を備えさせてなる、請求項1に記載のペット用クレートの収容体。
【請求項3】
前記絞り用鋼索の前記引き出し部に、前記引き出し部に沿ったスライド移動可能で且つ各移動終了位置において一定の摩擦力により前記引き出し部に留めつくスライダを備えてなる、請求項1又は請求項2に記載のペット用クレートの収容体。
【請求項4】
前記絞り用鋼索の前記引き出し部を、前記上部開口における幅方向に沿った縁部の一方から引き出させてなる、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のペット用クレートの収容体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、犬猫などのペットを航空機などで輸送するにあたり用いられるクレートを通気性を確保した状態で納める鋼索製の網からなる収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
ペットと共に旅行する場合、例えば航空機ではペットは客室ではなく、クレートに納められて航空機の貨物室におけるペット用のスペースにおいて輸送される。
【0003】
しかるに、こうした貨物室は暗く、また、各種の装置の駆動音や飛行に伴う風切り音が客室よりも大きく聞こえるため、輸送中のペットには大きなストレスがかかる。また、貨物室には搭乗員がいないため、輸送中はクレート内でペットが暴れクレートを壊して逃げ出すような事態が生じないようにする管理もできない。
【0004】
こうしたことから、通気性を確保した状態でクレートを納めることが可能で、かつ、ペットがクレート内で暴れてクレートが壊されるようなことが生じても、ペットの外部への逃走を抑止可能な装置の提供が求められるところであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、ペットを航空機などで輸送するにあたり用いられるクレートを、通気性を確保した状態で、かつ、クレートが破損した場合でもペットの外部への逃走を抑止可能な態様で納めることができると共に、クレートの収容作業も容易且つ適切になすことが可能な収容体を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、ペット用クレートの収容体を、鋼索製の網からなるペット用クレートの収容体であって、
上部開口と側部と底部とを備えると共に長さと幅とを備えた形態をなし、
前記上部開口には、
前記上部開口を巡る向きに隣り合うリング部との間に間隔を開けて備えられた複数のリング部に通されて、前記上部開口を巡る周回部と、前記上部開口からの引き出し部とを備えた、前記上部開口の絞り用鋼索と、
前記上部開口における長さ方向に沿った一方縁部の中程となる位置に一端を止着させた第一ストラップと、
前記上部開口における長さ方向に沿った他方縁部の中程となる位置に一端を止着させた第二ストラップとが備えられており、
少なくとも前記第一ストラップの他端側に前記上部開口の他方縁部側に対する係合手段を備えさせてなる、ものとした。
【0007】
かかる収容体は長さを持つことから、大きさを異ならせる複数種類のクレートをそれぞれ、収用体内に収容可能である。前記第一のストラップと第二のストラップとを同時に把持して上方に引っ張ることで収容体の側部を底部上に置かれたクレートの周囲に立ち上げることができる。次いで、第一ストラップの係合手段を上部開口における長さ方向に沿った他方縁部に係合させることで、収容体の上部開口をその長さ方向の中程の位置において第一ストラップの長さまで狭めることができる。次いで、絞り用鋼索の引き出し部を引っ張ることで絞り用鋼索の周回部の全長を短くして収容体の上部開口を全体に絞ることができる。これにより、収容体の側部がクレートの上面から側面に亘ってクレートを覆い、クレートの全体を収容体によって覆うことができる。
【0008】
前記上部開口に、前記係合手段の両側において前記上部開口の一方縁部と他方縁部とを閉じ合わせ可能とする追加係合手段を備えさせておくことが、この発明の態様の一つとされる。
【0009】
また、前記絞り用鋼索の前記引き出し部に、前記引き出し部に沿ったスライド移動可能で且つ各移動終了位置において一定の摩擦力により前記引き出し部に留めつくスライダを備えさせておくことが、この発明の態様の一つとされる。
【0010】
また、前記絞り用鋼索の前記引き出し部を、前記上部開口における幅方向に沿った縁部の一方から引き出させるようにすることが、この発明の態様の一つとされる。
【発明の効果】
【0011】
この発明にかかる収納体には、ペットを航空機などで輸送するにあたり用いられるクレートを、通気性を確保した状態で、かつ、クレートが破損した場合でもペットの外部への逃走を抑止可能な態様で納めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、この発明の一実施の形態にかかる収納体の斜視構成図である。
図2図2は、図1におけるA部の拡大斜視図である。
図3図3は、図1におけるB部の拡大斜視図である。
図4図4は、図1におけるC部の拡大斜視図である。
図5図5は、図1におけるD部の拡大斜視図である。
図6図6は、前記収納体の平面構成図である。
図7図7は、前記収納体の底部上にクレートを置いた状態を示した斜視構成図である。
図8図8は、図7の状態から前記収納体の側部を立ち上げた状態を示した斜視構成図である。
図9図9は、図8の状態から第一ストラップの係合手段を前記収納体の上部開口における長さ方向に沿った他方縁部側に係合させた様子を示した斜視構成図である。
図10図10は、図9の状態から前記収納体の上部開口における長さ方向に沿った他方縁部に追加係合手段を係合させた様子を示した斜視構成図である。
図11図11は、図10の状態から絞り用鋼索を引き絞った様子を示した側面構成図である。
図12図12は、収納体の底部の外側にガード体を付設させた構成例を示した側面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1図11に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかるペット用クレートCrの収容体1は、鋼索製の網からなり、犬猫などのペットを航空機などで輸送するにあたり用いられるクレートCrを通気性を確保した状態で納めるものである。
【0014】
かかる収容体1は、上部開口5と側部6と底部7とを備えると共に長さと幅とを備えた形態となっている。
【0015】
図示の例では、収容体1は、同じ向きに鋼索2の長さ方向が揃うようにして配された複数の鋼索2における隣り合う鋼索2を、前記長さ方向において隣り合う止着部4との間に間隔を開けて複数箇所で前記止着部4によって止着させることで形成された網3から構成されている(図4参照)。かかる鋼索2は、典型的には、太さ1.5mm前後のものであって、複数の金属製の素線をよって一体化させた複数のワイヤをさらによって一体化させたものから構成する。かかる鋼索2の表面には、合成樹脂の被覆を施すようにすることが、好ましい。図示の例では、かかる止着部4は、内部に二本の鋼索2を通してカシメられた金属製のスリーブ4aによって構成されている。
【0016】
そして、図示の例では、このように構成される網3によって、舟形状の収容体1を形成させている。
【0017】
収容体1の底部7を構成する鋼索2は、収容体1の長さ方向xに沿うように配されており(図6参照)、隣り合う鋼索2同士を前記のように止着させて形成される網目3aは収容体1の幅方向yに拡大可能となっている。
【0018】
収容体1の側部6は、前記収容体1の底部7を取り囲むように形成されている。このように底部7を取り囲む側部6によって上部開口5が形成されている。収容体1の側部6を構成する鋼索2は、収容体1の長さ方向xに沿った側部6ではこの長さ方向xに鋼索2の長さ方向を沿わせ、収容体1の幅方向yに沿った側部6ではこの幅方向yに鋼索2の長さ方向を沿わせるようにして配されている。収容体1の側部6では上下に隣り合う鋼索2同士が前記のように止着されて網目3aが形成されており、収容体1の側部6では網目3aは上下方向zに拡大可能となっている。
【0019】
また、前記上部開口5には、この上部開口5の絞り用鋼索8と、第一ストラップ9及び第二ストラップ10とが備えられている。
【0020】
絞り用鋼索8は、前記上部開口5を巡る向きに隣り合うリング部11との間に間隔を開けて備えられた複数のリング部11に通されて、前記上部開口5を巡る周回部8bと、前記上部開口5からの引き出し部8aとを備えた構成となっている。
【0021】
図示の例では、前記リング部11は、前記側部6を構成する鋼索2のうち、もっとも上側に位置される鋼索2aに対し、この鋼索2をの長さ方向において隣り合うループ部11aとの間に間隔を開けて複数のループ部11aを形成させることで前記上部開口5に設けられている。このループ部11aは、一本の鋼索2の一部によってループが作られるように鋼索2を曲げると共に、このループが維持されるようにループの基部となる隣り合う鋼索2を前記スリーブ4aに一緒に通しこのスリーブ4aをカシメて前記止着部4を形成させることで構成されている(図2参照)。
【0022】
絞り用鋼索8は、一本の鋼索2から構成される。絞り用鋼索8は、複数のリング部11の一つから外部に引き出される引き出し部8aと、前記複数のリング部11に通されて前記上部開口5を巡る周回部8bとを備えている。
【0023】
図示の例では、前記絞り用鋼索8の前記引き出し部8aは、前記上部開口5における幅方向yに沿った縁部5aの一方(図示の例では図1における右側の縁部5a)から外部に引き出されている。
【0024】
絞り用鋼索8の周回部8bの全長を短くすればするほど、つまり、引き出し部8aの全長を長くすればするほど、上部開口5は絞られる。
【0025】
図示の例では、前記絞り用鋼索8の前記引き出し部8aには、前記引き出し部8aに沿ったスライド移動可能で且つ各移動終了位置において一定の摩擦力により前記引き出し部8aに留めつくスライダ8cが備えられている。これにより、この実施の形態にあっては、後述のように収納体の底部7上にクレートCrを位置させ(図7)、これに続いて収容体1の側部6を立ち上げ(図8)た後、後述の係合手段12及び追加係合手段12’によって上部開口5における長さ方向に沿った一方縁部5bと他方縁部5cとをクレートCr上で閉じ合わせた状態(図10)から、絞り用鋼索8の引き出し部8aを引っ張ることで絞り用鋼索8の周回部8bの全長を短くして収容体1の上部開口5を絞ると共に収容体1の側部6ができるだけクレートCrに密着するようにクレートCrを納めた収容体1の形を整えることができる(図11)。そして、このように収容体1の上部開口5を絞った状態を、前記スライダ8cが前記上部開口5からの引き出し部8aの引き出し基部に位置される位置までスライド移動させることで、安定的に維持することができる(図11)。
【0026】
図示の例では、かかるスライダ8cは、ゴム状弾性を備えた板状体8dであって、前記絞り用鋼索8の引き出し部8aを通過させる二つの穴8eを備えた形態となっている。図示の例では、スライダ8cの一面側から前記穴8eの一方に引き出し部8aを構成する鋼索2が通されてスライダ8cの他面側に引き出された後、前記穴8eの他方に通されて再びスライダ8cの一面側に引き出されるようにして、引き出し部8aにスライダ8cを備え付けさせている。
【0027】
第一ストラップ9は、前記上部開口5における長さ方向に沿った一方縁部5bの中程となる位置に一端9aを止着させている。図示の例では、第一ストラップ9は、前記側部6を構成する鋼索2に一端9aを結びつけられた帯状体(テープ)から構成されている。図示の例では、第一ストラップ9は、その一端9aと他端9bとでそれぞれ折り返されて両者間にループを形成する態様となっている。
【0028】
また、第二ストラップ10は、前記上部開口5における長さ方向に沿った他方縁部5cの中程となる位置に一端10aを止着させている。図示の例では、第二ストラップ10も、前記側部6を構成する鋼索2に一端10aを結びつけられた帯状体(テープ)から構成されている。図示の例では、第二ストラップ10も、その一端10aと他端10bとでそれぞれ折り返されて両者間にループを形成する態様となっている。
【0029】
また、図示の例では、前記第一ストラップ9の他端9a側に前記上部開口5の他方縁部5c側に対する係合手段12が備えられている。かかる係合手段12は、第一ストラップ9の他端9a側を、前記上部開口5の他方縁部5c側に取り外し可能に留め付ける構造を備えたものであれば良い。図示の例では、かかる係合手段12をカラビナ12aとしている。図示の例では、かかるカラビナ12aは、フック状体12bの基部に一端を軸支させた閉塞体12dの自由端12eが付勢によりフック状体12bのフック端にフック状体12bの内側から押し当たる構成となっている。かかるカラビナ12aの閉塞体12dを付勢に抗して押し込み前記フック端と前記基部との間の導入部12cを開放させたフック状体12bにこの導入部12cを通じて前記上部開口5の他方縁部5cを構成する鋼索2を導入することでカラビナ12aをかかる他方縁部5cに取り外し可能に係合させることができる。第一ストラップ9は、この第一ストラップ9に通されたリング14を介して、その他端側にかかるカラビナ12aを備えた構成となっている。
【0030】
図示の例では、前記第二ストラップ10の他端側にも前記係合手段12としてのカラビナ12aが前記第一ストラップ9と同じように備えられている。
【0031】
また、この実施の形態にあっては、前記上部開口5に、前記係合手段12の両側において前記上部開口5の一方縁部5bと他方縁部5cとを閉じ合わせ可能とする追加係合手段12’が備えられている。図示の例では、かかる追加係合手段12’もカラビナ12aとなっている。図示の例では、前記上部開口5における長さ方向に沿った一方縁部5bを構成する鋼索2に、第一ストラップ9の一端の止着位置を挟んだ両側においてそれぞれ、この鋼索2が通されたリング14を介してカラビナ12aが備え付けられている。
【0032】
以上に説明した収容体1によるクレートCrの収容は以下の手順で行われる。
(1)収容体1の底部7上にクレートCrを置く(図7)。収容体1は長さを持つことから、大きさを異ならせる複数種類のクレートCrをそれぞれ、収用体内に収容可能である。
(2)次いで、第一ストラップ9と第二ストラップ10とを同時に把持して上方に引っ張る(図8)。収容体1を構成する網3は前記のように網目3aを上下方向に拡大可能であるので、これにより収容体1の側部6を前記のように底部7上に置かれたクレートCrの周囲に立ち上げることができる。
(3)次いで、第一ストラップ9の係合手段12を上部開口5における長さ方向に沿った他方縁部5cに係合させる(図9)。前記のように立ち上げられた収容体1の側部6にはこれを構成する網3の網目3aをもとの大きさに戻そうとする弾性的な力により下方に向けた力が作用されるが、第一ストラップ9の係合手段12を前記のように係合させることで、収容体1の上部開口5をその長さ方向の中程の位置において第一ストラップ9の長さまで狭めることができる。図示の例では、このとき、第二ストラップ10の係合手段12を上部開口5における長さ方向に沿った一方縁部5bに係合させることも可能となっている。
(4)次いで、追加係合手段12’によって第一ストラップ9の両側において収容体1の上部開口5をクレートCr上で閉じ合わせる(図10)。これにより、収容体1の上部開口5を第一ストラップ9の両側において追加係合手段12’の長さまで狭めることができる。図示の例では、追加係合手段12’は上部開口5に直接的に取り付けられたカラビナ12aであり、第一ストラップ9より全長が小さいので、この追加係合手段12’の係合によって収容体1の上部開口5は第一ストラップ9の両側においてより狭められる。このように追加係合手段12’を係合さた後は、第一ストラップ9の係合手段12の係合を一旦解き、この第一ストラップ9の係合手段12を収容体1の上部開口5における長さ方向に沿った他方縁部5c側のより底部7に近い側で前記網3を構成する鋼索2に係合させることで、この第一ストラップ9によって収容体1の長さ方向の中程の位置で上部開口5をより狭めるようにすることができ、この中程の位置でクレートCrに収容体1をより密着させることができる。
(5)次いで、絞り用鋼索8の引き出し部8aを引っ張ることで絞り用鋼索8の周回部8bの全長を短くして収容体1の上部開口5を全体に絞る(図11)。これにより、収容体1の側部6がクレートCrの上面から側面に亘ってクレートCrを覆い、クレートCrは収容体1によってその全体を覆われる。このように収容体1の上部開口5を絞った状態は、前記スライダ8cを前記上部開口5からの引き出し部8aの引き出し基部に位置される位置までスライド移動させることで、安定的に維持される。絞り用鋼索8の引き出し部8aは収容体1の上部開口5における幅方向に沿った縁部5aの一方から引き出されていることから、かかる絞り作業はスムースに行える。
【0033】
このように収容体1によってクレートCrを覆うと、収容体1の幅側では底部7が持ち上がりクレートCrの側面との間に隙間を開けて位置される状態となる(図11)。図11の右側から引き出されている絞り用鋼索8の引き出し部8aを図11の左側において持ち上げられた底部7の持ち上げ箇所7aの網目3aに通して上方に引き出した後、図11の右側において持ち上げられた底部7の持ち上げ箇所7aの網目3aに通して上方に引き出し、さらに、この引き出し部8aを左側に引っ張ることで左右の持ち上げ箇所7aをそれぞれクレートCrの側面に近づけ収容体1の形を整えることができる。図示の例では、前記絞り用鋼索8の引き出し部8aにもカラビナ12aが付設されており、前記のように収容体1の形を整えた状態からこのカラビナ12aを図11の左側において収容体1を構成する前記網3の適当な箇所に係合させることでこの状態も安定的に維持することができる。左右の底部7の持ち上げ箇所7aを構成する前記網3の網目3aの一部を大きくさせておくことで、これを持ち手として収容体1に納めたクレートCrを手作業で運び易くすることが可能となる。
【0034】
かかる収容体1は、鋼索2製の網3からなることから、前記のようにクレートCrを納めるた状態において、通気性を確保できると共に、ペットがクレートCr内で暴れてクレートCrが壊されるようなことが生じても、ペットの外部への逃走を確実に抑止することができる。
【0035】
収容体1のクレートCrの収容状態は、絞り用鋼索8のスライダ8cを絞り用鋼索8の端末側に移動させて絞り用鋼索8の周回部8bの全長を長くするようにして上部開口5を拡げた後、前記係合手段12及び追加係合手段12’の係合を解くことで容易に解除できる。前記係合手段12及び追加係合手段12’の係合を解くと、収容体1の側部6は前記網3の網目3aを狭めることから下方に移動し、クレートCrの収容状態は速やかに解除される。
【0036】
なお、収容体1の底部7の外面のうち、図12のようにクレートCrを収容したときにクレートCrの底部7下に位置される部分に、図12に想像線で示すようなこの部分の全体又は一部を覆う構造を持った、典型的には合成樹脂製で上下方向を厚さ側としたガード体13を付設してクレートCrの収容状態において収容体1の底部7が航空機の貨物室の床面などに直接触れることがないようにしてあっても良い。
【0037】
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施態様を含むものである。
【符号の説明】
【0038】
x 長さ方向
Cr クレート
1 収容体
2 鋼索
3 網
5 上部開口
5b 一方縁部
5c 他方縁部
6 側部
7 底部
8 絞り用鋼索
8a 引き出し部
8b 周回部
9 第一ストラップ
10 第二ストラップ
12 係合手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12