(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】閲覧用PDF生成システム、閲覧用PDF生成方法及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 40/166 20200101AFI20230227BHJP
【FI】
G06F40/166
(21)【出願番号】P 2022084153
(22)【出願日】2022-05-23
【審査請求日】2022-06-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】397038266
【氏名又は名称】株式会社スカイコム
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】ラハマン エムディ エクラス
(72)【発明者】
【氏名】柴田 信彦
(72)【発明者】
【氏名】上野 恵梨
【審査官】木村 大吾
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0195593(US,A1)
【文献】特開2008-027074(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0220491(US,A1)
【文献】特開2003-308312(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0285332(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 40/00-40/58
G06F 16/00-16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウドサービスを提供するクラウドサーバ上で閲覧用PDFを生成するシステムであって、
PDFから、少なくとも、埋め込まれた別のエンベディッドPDFと、レンダリング用データと、を抽出する抽出手段と、
少なくとも、前記PDFと、前記エンベディッドPDFと、抽出した前記レンダリング用データと、をクラウドサーバに格納する格納手段と、
格納した前記PDFと、前記エンベディッドPDFと、前記レンダリング用データとに基づいてリンクを作成し、閲覧用PDFを生成する生成手段と、
生成した前記閲覧用PDFを提供する提供手段と、
を備え
、
前記レンダリング用データは、前記閲覧用PDFをレンダリングするためのデータであり、フォントデータまたはコーデックを含む閲覧用PDF生成システム。
【請求項2】
前記提供手段は、
前記PDFと前記エンベディッドPDFと前記レンダリング用データとの前記リンクを少なくとも参照する参照手段と、
端末の要求に応じて参照したリンク先から必要な情報を取得し、前記閲覧用PDFを前記端末に出力する出力手段と、
を備える請求項1に記載の閲覧用PDF生成システム。
【請求項3】
前記出力された閲覧用PDFを、前記端末の要求に応じて編集を行う編集手段と、
前記編集の内容に応じて、前記クラウドサーバに格納した前記PDFと前記エンベディッドPDFと前記レンダリング用データとを更新する更新手段と、
を備える請求項2に記載の閲覧用PDF生成システム。
【請求項4】
前記出力手段は、前記閲覧用PDFを出力する際に、前記エンベディッドPDFが更新されている場合には、前記端末の要求に応じて、更新前のエンベディッドPDFを表示するか更新後のエンベディッドPDFを表示するか切り替え可能な請求項3に記載の閲覧用PDF生成システム。
【請求項5】
前記編集手段は、編集時に前記レンダリング用データを変更する場合、前記端末にないレンダリング用データであっても、前記クラウドサーバ上のレンダリング用データを参照して利用することが可能な請求項3又は請求項4に記載の閲覧用PDF生成システム。
【請求項6】
クラウドサービスを提供するクラウドサーバ上で閲覧用PDFを生成する
システムが実行する閲覧用PDF生成方法において、
PDFから、少なくとも、埋め込まれた別のエンベディッドPDFと、レンダリング用データと、を抽出するステップと、
少なくとも、前記PDFと、前記エンベディッドPDFと、抽出した前記レンダリング用データと、をクラウドサーバに格納するステップと、
格納した前記PDFと、前記エンベディッドPDFと、前記レンダリング用データとに基づいてリンクを作成し、閲覧用PDFを生成するステップと、
生成した前記閲覧用PDFを提供するステップと、
を備え
、
前記レンダリング用データは、前記閲覧用PDFをレンダリングするためのデータであり、フォントデータまたはコーデックを含む閲覧用PDF生成方法。
【請求項7】
閲覧用PDF生成システムと連携するコンピュータに、
PDFから、少なくとも、埋め込まれた別のエンベディッドPDFと、レンダリング用データと、を抽出するステップ、
少なくとも、前記PDFと、前記エンベディッドPDFと、抽出した前記レンダリング用データと、をクラウドサーバに格納するステップ、
格納した前記PDFと、前記エンベディッドPDFと、前記レンダリング用データとに基づいてリンクを作成し、閲覧用PDFを生成するステップ、
生成した前記閲覧用PDFを提供するステップ、
を実行させ
、
前記レンダリング用データは、前記閲覧用PDFをレンダリングするためのデータであり、フォントデータまたはコーデックを含むためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末の環境に依存せず、データサイズを抑えて本来のPDFを閲覧することが可能な閲覧用PDF生成システムを提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、環境によらないデータ形式として、PDF(Portable Document Format)データが、報告書、製品カタログ、電子マニュアル、資料等に利用されている。PDFは、PDFデータ内に別のPDFデータを埋め込むことが可能である(エンベディッドPDF)。しかし、PDFデータX内に別のPDFデータ(エンベディッドPDF)を埋め込んだ場合、エンベディッドPDFが更新されたとしても、同じエンベディッドPDFを埋め込んだ別のPDFデータYは更新されない。さらにPDFを端末で表示しようとした際に、フォントデータ等のレンダリング用データが端末側に不足している場合、本来の文書データを表示することができない。
【0003】
例えば、特許文献1では、文書情報のPDFファイルを作成する際に、文書情報の提供先に応じて文書情報に付与される複数の付与情報をそれぞれ音声データに変換し、付与情報それぞれの音声ファイルを作成し、作成した音声ファイルを当該PDFファイルに埋め込む技術が提供されている。
【0004】
また、特許文献2では、文書ファイルのファイルサイズを削減するために、特定コードデータをユニコードデータに変換し、ユニコードデータのフォントを指定する編集を行いユニコード編集済データを生成し、ユニコード編集済データにおいて使用されている文字のコードとフォントの組合せをその組合せが重複しないように抽出して全文字データを生成し、全文字データとして抽出された文字を、パーソナルコンピュータが保有するフォントデータによって処理可能な文字と、それ以外の文字とに分別し、それ以外の文字に対してはフォントの埋め込みを行う文字として設定し、その設定にしたがってユニコード編集済データを所定文書形式に変換し、文書ファイルを得る技術が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-242819号
【文献】特開2014-13523号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の技術では、PDFデータX内に別のPDFデータ(エンベディッドPDF)を埋め込んだ場合、PDFデータX内のエンベディッドPDFを更新した場合に、同じエンベディッドPDFを埋め込んだ別のPDFデータYは更新されない。また、PDFを様々な端末、様々な環境で表示しようとした場合、フォントデータ等のレンダリング用データが端末側にない場合があり、本来のPDFデータを表示することができない。さらに、端末側のデータサイズを削減することが望まれている。
【0007】
本発明は、端末の環境に依存せず、データサイズを抑えて本来のPDFを閲覧することが可能な閲覧用PDF生成システム、を提供する
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0009】
第1の特徴に係る発明は、
クラウドサービスを提供するクラウドサーバ上で閲覧用PDFを生成するシステムであって、
PDFから、少なくとも、埋め込まれた別のエンベディッドPDFと、レンダリング用データと、を抽出する抽出手段と、
少なくとも、前記PDFと、前記エンベディッドPDFと、抽出した前記レンダリング用データと、をクラウドサーバに格納する格納手段と、
格納した前記PDFと、前記エンベディッドPDFと、前記レンダリング用データとに基づいてリンクを作成し、閲覧用PDFを生成する生成手段と、
生成した前記閲覧用PDFを提供する提供手段と、
を備え、
前記レンダリング用データは、前記閲覧用PDFをレンダリングするためのデータであり、フォントデータまたはコーデックを含む閲覧用PDF生成システムを提供する。
【0010】
第1の特徴に係る発明によれば、クラウドサービスを提供するクラウドサーバ上で閲覧用PDFを生成する閲覧用PDF生成システムにおいて、PDFから、少なくとも、埋め込まれた別のエンベディッドPDFと、レンダリング用データと、を抽出する抽出手段と、少なくとも、前記PDFと、前記エンベディッドPDFと、抽出した前記レンダリング用データと、をクラウドサーバに格納する格納手段と、格納した前記PDFと、前記エンベディッドPDFと、前記レンダリング用データとに基づいてリンクを作成し、閲覧用PDFを生成する生成手段と、生成した前記閲覧用PDFを提供する提供手段と、を備え、前記レンダリング用データは、前記閲覧用PDFをレンダリングするためのデータであり、フォントデータまたはコーデックを含む。
【0011】
第1の特徴に係る発明は、閲覧用PDF生成システムのカテゴリであるが、閲覧用PDF生成方法、及びプログラムであっても同様の作用、効果を奏する。
【0012】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明である閲覧用PDF生成システムであって、
前記提供手段は、
前記PDFと前記エンベディッドPDFと前記レンダリング用データとの前記リンクを少なくとも参照する参照手段と、
端末の要求に応じて参照したリンク先から必要な情報を取得し、前記閲覧用PDFを前記端末に出力する出力手段と、
を備える閲覧用PDF生成システムを提供する。
【0013】
第2の特徴に係る発明によれば、第1の特徴に係る発明である閲覧用PDF生成システムにおいて、前記提供手段は、前記PDFと前記エンベディッドPDFと前記レンダリング用データとの前記リンクを少なくとも参照する参照手段と、端末の要求に応じて参照したリンク先から必要な情報を取得し、前記閲覧用PDFを前記端末に出力する出力手段と、を備える。
【0014】
第3の特徴に係る発明は、第2の特徴に係る発明である閲覧用PDF生成システムであって、
前記出力された閲覧用PDFを、前記端末の要求に応じて編集を行う編集手段と、
前記編集の内容に応じて、前記クラウドサーバに格納した前記PDFと前記エンベディッドPDFと前記レンダリング用データとを更新する更新手段と、
を備える閲覧用PDF生成システムを提供する。
【0015】
第3の特徴に係る発明によれば、第2の特徴に係る発明である閲覧用PDF生成システムにおいて、前記出力された閲覧用PDFを、前記端末の要求に応じて編集を行う編集手段と、前記編集の内容に応じて、前記クラウドサーバに格納した前記PDFと前記エンベディッドPDFと前記レンダリング用データとを更新する更新手段と、を備える。
【0016】
第4の特徴に係る発明は、第3の特徴に係る発明である閲覧用PDF生成システムであって、
前記出力手段は、前記閲覧用PDFを出力する際に、前記エンベディッドPDFが更新されている場合には、前記端末の要求に応じて、更新前のエンベディッドPDFを表示するか更新後のエンベディッドPDFを表示するか切り替え可能な閲覧用PDF生成システムを提供する。
【0017】
第4の特徴に係る発明によれば、第3の特徴に係る発明である閲覧用PDF生成システムにおいて、前記出力手段は、前記閲覧用PDFを出力する際に、前記エンベディッドPDFが更新されている場合には、前記端末の要求に応じて、更新前のエンベディッドPDFを表示するか更新後のエンベディッドPDFを表示するか切り替え可能とする。
【0018】
第5の特徴に係る発明は、第3の特徴又は第4の特徴のいずれかに係る発明である閲覧用PDF生成システムであって、
前記編集手段は、編集時に前記レンダリング用データを変更する場合、前記端末にないレンダリング用データであっても、前記クラウドサーバ上のレンダリング用データを参照して利用することが可能な閲覧用PDF生成システムを提供する。
【0019】
第5の特徴に係る発明によれば、第3の特徴又は第4の特徴のいずれかに係る発明である閲覧用PDF生成システムにおいて、前記編集手段は、編集時に前記レンダリング用データを変更する場合、前記端末にないレンダリング用データであっても、前記クラウドサーバ上のレンダリング用データを参照して利用することが可能とする。
【0020】
第6の特徴に係る発明は、
クラウドサービスを提供するクラウドサーバ上で閲覧用PDFを生成するシステムが実行する閲覧用PDF生成方法において、
PDFから、少なくとも、埋め込まれた別のエンベディッドPDFと、レンダリング用データと、を抽出するステップと、
少なくとも、前記PDFと、前記エンベディッドPDFと、抽出した前記レンダリング用データと、をクラウドサーバに格納するステップと、
格納した前記PDFと、前記エンベディッドPDFと、前記レンダリング用データとに基づいてリンクを作成し、閲覧用PDFを生成するステップと、
生成した前記閲覧用PDFを提供するステップと、
を備え、
前記レンダリング用データは、前記閲覧用PDFをレンダリングするためのデータであり、フォントデータまたはコーデックを含む閲覧用PDF生成方法を提供する。
【0021】
第7の特徴に係る発明は、
閲覧用PDF生成システムと連携するコンピュータに、
PDFから、少なくとも、埋め込まれた別のエンベディッドPDFと、レンダリング用データと、を抽出するステップ、
少なくとも、前記PDFと、前記エンベディッドPDFと、抽出した前記レンダリング用データと、をクラウドサーバに格納するステップ、
格納した前記PDFと、前記エンベディッドPDFと、前記レンダリング用データとに基づいてリンクを作成し、閲覧用PDFを生成するステップ、
生成した前記閲覧用PDFを提供するステップ、
を実行させ、
前記レンダリング用データは、前記閲覧用PDFをレンダリングするためのデータであり、フォントデータまたはコーデックを含むためのコンピュータ読み取り可能なプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、PDFを端末で表示しようとした際に、フォントデータ等のレンダリング用データが端末側にない場合であっても、本来の文書データを表示することが可能な端末の環境に依存せず、全体的なデータサイズを抑えて(クラウドサーバ側にのみ保存することで、個々の端末には保存しないことでデータサイズを抑えて)本来のPDFを閲覧することが可能な閲覧用PDF生成システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】閲覧用PDF生成システム1の概要を説明する図である。
【
図2】閲覧用PDF生成システム1の機能構成を示す図である。
【
図3】閲覧用PDF生成システム1が実行する閲覧用PDF生成処理を示すフローチャート図である。
【
図4】閲覧用PDF生成システム1が閲覧用PDF表示処理を行う場合の機能構成を示す図である。
【
図5】閲覧用PDF生成システム1が実行する閲覧用PDF表示処理を示すフローチャート図である。
【
図6】閲覧用PDF生成システム1が閲覧用PDF編集処理を行う場合の機能構成を示す図である。
【
図7】閲覧用PDF生成システム1が実行する閲覧用PDF編集処理を示すフローチャート図である。
【
図8】エンベディッドPDFが更新されている場合に、どのバージョンの閲覧をするかユーザ2に選択させるためのユーザ端末200の表示画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。
【0025】
[基本概念/基本構成]
図1は、閲覧用PDF生成システム1の概要を説明するための図である。閲覧用PDF生成システム1は、クラウドサービスを提供するクラウドサーバ上で閲覧用PDFを生成するシステムである。本発明において、PDFとは、Portable Document Format形式のデータファイルであるものとする。また、エンベディッドPDFとは、PDFデータ内に埋め込まれた、別のPDFデータを指すものとする。閲覧用PDF生成システム1は、閲覧用PDF生成システム1を制御するクラウドサーバ100と、PDFを作成及び閲覧するユーザ2のユーザ端末200と、を少なくとも含むシステムである。
図1には図示していないが、クラウドサーバ100とユーザ端末200とは、ネットワーク3を介して通信可能であるものとする。また、ユーザ2とユーザ端末200とは、複数存在してもよいものとする。
図1では、ユーザ2Aとそのユーザ端末200A、ユーザ2Bとそのユーザ端末200Bを図示している。クラウドサーバ100は、クラウドコンピュータを指すものであり、1台のコンピュータではなく、複数のコンピュータで実現されてもよい。本明細書におけるクラウドコンピュータとは、ある特定の機能を果たす際に、任意のコンピュータをスケーラブルに用いるものや、あるシステムを実現するために複数の機能構成を含み、その機能を自由に組み合わせて用いるものの何れであってもよい。ユーザ2は、クラウドサービスに参加しているものとする。
【0026】
まず、クラウドサーバ100の抽出部101は、PDFから、少なくとも、埋め込まれた別のエンベディッドPDFと、レンダリング用データと、を抽出する(ステップS01)。PDFは、クラウドサーバ100にすでに保存されているものでもよいし、ユーザ2Aからユーザ端末200Aを介して取得したものであってもよい。ユーザ端末200Aから取得する場合、ユーザ2A自身が作成したものであってもよいし、ユーザ2Aが他の人物等から取得したものであってもよい。また、PDFにはエンベディッドPDFを含んでもよい。ここで、エンベディッドPDFとは、PDFデータ内に埋め込まれた、別のPDFデータのことである。エンベディッドPDFが存在しない場合には抽出する必要はない。また、ここで、レンダリング用データとは、フォントデータやコーデック等のレンダリングに必要なデータを指すものとする。エンベディッドPDFからも、レンダリング用データを抽出する。
図1の例では、PDFから、エンベディッドPDF(File X)と、レンダリング用データとしてフォントデータ(Font A)、コーデック(Codec A)を抽出した例を図示している。また、エンベディッドPDF(File X)からも、レンダリング用データとしてフォントデータ(Font B)、コーデック(Codec B)を抽出している。エンベディッドPDF(File X)に、更にエンベディッドPDFを含む場合には、そのレンダリング用データも抽出する。
【0027】
次に、クラウドサーバ100の格納部102は、少なくとも、前記PDFと、前記エンベディッドPDFと、抽出した前記レンダリング用データと、をクラウドサーバ100に格納する(ステップS02)。前記PDFにエンベディッドPDFが含まれない場合には、格納する必要はない。
【0028】
次に、クラウドサーバ100の生成部103は、格納した前記PDFと、前記エンベディッドPDFと、前記レンダリング用データとに基づいてリンクを作成し、閲覧用PDFを生成する(ステップS03)。ここで作成するリンクは、クラウドサーバ100に格納したPDF、エンベディッドPDF、レンダリング用データにアクセスするためのものである。
【0029】
最後に、クラウドサーバ100の提供部104は、ユーザ2Bにユーザ端末200Bを介して、生成した前記閲覧用PDFを提供する(ステップS04)。ユーザ端末200Bに閲覧用PDFを表示させるための方法として、閲覧用PDF生成システム1はWEBビューアを備えてもよい。WEBビューアは、格納した前記PDFと前記エンベディッドPDFと前記レンダリング用データとのリンクを参照して、参照したリンク先から必要な情報を取得することにより、閲覧用PDFをユーザ端末200Bに出力するものとする。
【0030】
図1の例では、ユーザ端末200AにはFont Aが含まれていて、ユーザ端末200BにFont Aが含まれていない場合にも、閲覧用PDFのレンダリング用データを参照することで、ユーザ端末200Bでも正しいPDFを表示することが可能である。また、その際に、ユーザ端末200BにFont Aをインストールする必要もない。閲覧用PDFにも、Font Aをデータとして埋め込んでいるわけでなく、リンク情報のみであるため、余分なデータの送受信を行わずに済む。また、フォントデータ等のレンダリング用データをクラウドサーバ側にのみ保存し、個々のユーザ端末200には保存しないことで、ユーザ端末200側のデータサイズを抑えることが可能である。
【0031】
このように、本発明によれば、ユーザ端末200の環境に依存せず、本来のPDFを閲覧することが可能な閲覧用PDF生成システムを提供することが可能である。これにより、ユーザ端末200側のデータサイズを抑えることが出来る、不要なレンダリング用データをユーザ端末200に追加する必要がないという利点を得ることができる。
【0032】
[機能構成]
図2に基づいて、閲覧用PDF生成システム1の機能構成について説明する。閲覧用PDF生成システム1は、クラウドサーバ100と、このクラウドサーバ100とネットワーク3を介して通信可能に接続されたユーザ端末200と、を備える。クラウドサーバ100は、実在する装置に限らず、仮想的な装置であってもよい。
【0033】
クラウドサーバ100は、閲覧用PDF生成システム1を提供する管理者により管理されるサーバ機能を有するコンピュータやパーソナルコンピュータ等であり、上述したユーザ端末200と、インターネット等のネットワーク3を介してデータ通信可能に接続されており、必要なデータの送受信や各種処理を実行する。
【0034】
クラウドサーバ100は、クラウドコンピュータを指すものであり、1台のコンピュータではなく、複数のコンピュータで実現されてもよい。本明細書におけるクラウドコンピュータとは、ある特定の機能を果たす際に、任意のコンピュータをスケーラブルに用いるものや、あるシステムを実現するために複数の機能構成を含み、その機能を自由に組み合わせて用いるものの何れであってもよい。ユーザ2は、クラウドサービスに参加しているものとする。
【0035】
クラウドサーバ100は、制御部(非図示)として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部(非図示)として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイス、例えば、IEEE802.11に準拠したWi―Fi(Wireless―Fidelity)対応デバイス等を備える。また、クラウドサーバ100は、記憶部(非図示)として、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等によるデータのストレージ部を備える。ストレージ部はネットワーク通信可能な外部に存在してもよい。また、クラウドサーバ100は、処理部(非図示)として、各種処理を実行する各種デバイス等を備える。
【0036】
クラウドサーバ100において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部、記憶部、処理部と協働して、抽出部101、格納部102、生成部103、提供部104を実現する。
【0037】
ユーザ端末200は、ユーザ2の所持するコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等の電子デバイスであり、上述したクラウドサーバ100と、ネットワーク3を介してデータ通信可能に接続されている。ユーザ端末200は1台である必要はなく、複数台あってもよい。
【0038】
ユーザ端末200は、端末制御部(非図示)として、上述したクラウドサーバ100における制御部と同様に、CPU、GPU、RAM、ROM等を備える。ユーザ端末200は、通信部(非図示)として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイスを備える。また、ユーザ端末200は、入出力部(非図示)として、データや画像や音声等を入出力する入出力デバイス等を備える。また、ユーザ端末200は、記憶部(非図示)として、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等によるデータのストレージ部を備える。また、ユーザ端末200は、処理部(非図示)として、各種処理を実行する各種デバイス等を備える。
【0039】
[閲覧用PDF生成処理]
図3に基づいて、クラウドサーバ100が実行する閲覧用PDF生成処理について説明する。
図3は、閲覧用PDF生成システム1が実行する閲覧用PDF生成処理を示すフローチャート図である。上述した各部が実行する処理について、本処理にあわせて説明する。
【0040】
まず、クラウドサーバ100の抽出部101は、PDFから、少なくとも、埋め込まれた別のエンベディッドPDFと、レンダリング用データと、を抽出する(ステップS301)。PDFは、クラウドサーバ100にすでに保存されているものでもよいし、ユーザ2からユーザ端末200を介して取得したものであってもよい。ユーザ端末200から取得する場合、PDFはユーザ2自身が作成したものであってもよいし、ユーザ2が他の人物等から取得したものであってもよい。また、PDFにはエンベディッドPDFを含んでもよい。エンベディッドPDFが存在しない場合には抽出する必要はない。また、ここで、レンダリング用データとは、フォントデータやコーデック等のレンダリングに必要なデータを指すものとする。エンベディッドPDFからも、レンダリング用データを抽出する。抽出したエンベディッドPDFに、更にエンベディッドPDFを含む場合には、そのレンダリング用データも抽出する。
【0041】
次に、クラウドサーバ100の格納部102は、少なくとも、前記PDFと、前記エンベディッドPDFと、抽出した前記レンダリング用データと、をクラウドサーバ100に格納する(ステップS302)。前記PDFにエンベディッドPDFが含まれない場合には、格納する必要はない。
【0042】
次に、クラウドサーバ100の生成部103は、格納した前記PDFと、前記エンベディッドPDFと、前記レンダリング用データとに基づいてリンクを作成し、閲覧用PDFを生成する(ステップS303)。ここで作成するリンクは、クラウドサーバ100に格納したPDF、エンベディッドPDF、レンダリング用データにアクセスするためのものである。
【0043】
最後に、クラウドサーバ100の提供部104は、ユーザ2にユーザ端末200を介して、生成した前記閲覧用PDFを提供する(ステップS304)。ユーザ端末200に閲覧用PDFを表示させるための方法として、閲覧用PDF生成システム1はWEBビューアを備えてもよい。WEBビューアは、格納した前記PDFと前記エンベディッドPDFと前記レンダリング用データとのリンクを参照して、参照したリンク先から必要な情報を取得することにより、閲覧用PDFをユーザ端末200に出力するものとする。
【0044】
ここで、ステップS304で閲覧用PDFを提供するユーザ端末200にはレンダリング用のデータであるフォントデータやコーデック等が、含まれていても含まれていなくても、リンク先の閲覧用PDFのレンダリング用データを参照することで、正しいPDFを表示することが可能である。また、閲覧用PDFにも、フォントデータやコーデック等をデータとして埋め込んでいるわけでなく、リンク情報のみであるため、余分なデータの送受信を行わずに済む。また、フォントデータ等のレンダリング用データをクラウドサーバ側にのみ保存し、個々のユーザ端末200には保存しないことで、ユーザ端末200側のデータサイズを抑えることが可能である。
【0045】
以上が、閲覧用PDF生成処理である。
【0046】
このような閲覧用PDF生成システム1によれば、ユーザ端末200の環境に依存せず、本来のPDFを閲覧することが可能な閲覧用PDF生成システムを提供することが可能である。これにより、ユーザ端末200側のデータサイズを抑えることが出来、かつ、不要なレンダリング用データをユーザ端末200に追加する必要がないという利点を得ることができる。
【0047】
[閲覧用PDF表示処理]
図4は、閲覧用PDF生成システム1が閲覧用PDF表示処理を行う場合の機能構成を示す図である。クラウドサーバ100は、
図2の構成に加えて、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部、記憶部、処理部と協働して、参照部105、出力部106を実現する。
【0048】
図5は、閲覧用PDF生成システム1が実行する閲覧用PDF表示処理を示すフローチャート図である。
図5のフローチャートは、
図3のフローチャートのステップS304において、閲覧用PDFをユーザ端末200に表示する場合に実行されるものとする。
【0049】
ユーザ端末200に閲覧用PDFを表示する閲覧用PDF表示処理を行う場合、クラウドサーバ100の参照部105は、ステップS303で生成したPDFとエンベディッドPDFとレンダリング用データのリンクを参照する(ステップS501)。
【0050】
その後、クラウドサーバ100の出力部106は、ユーザ端末200閲覧用PDF表示要求に応じて、ステップS501で参照したリンク先から必要な情報を取得し、閲覧用PDFをユーザ端末200に出力する(ステップS502)。ここでの出力とは、ユーザ端末200の入出力部を介して、ディスプレイや液晶等の出力デバイスへの表示を行うことである。又は、スピーカーやイヤホン等の出力デバイスに対して音声による読み上げ等の出力を行ってもよい。
【0051】
以上が、閲覧用PDF表示処理である。
【0052】
このように閲覧用PDF生成システム1の閲覧用PDF表示処理によれば、参照したリンク先から必要な情報を取得することで、ユーザ端末200の環境に依存せず、本来のPDFを閲覧することが可能である。
【0053】
[閲覧用PDF編集処理]
図6は、閲覧用PDF生成システム1が閲覧用PDF編集処理を行う場合の機能構成を示す図である。クラウドサーバ100は、
図4の構成に加えて、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部、記憶部、処理部と協働して、編集部107、更新部108を実現する。
【0054】
図7は、閲覧用PDF生成システム1が実行する閲覧用PDF編集処理を示すフローチャート図である。
図7のフローチャートは、
図5のフローチャートのステップS502の後、ユーザ2がユーザ端末200から、閲覧用PDFの編集を行おうとした場合の処理である。
【0055】
クラウドサーバ100の編集部107は、まず、ユーザ端末200から閲覧用PDFに対する編集要求があるかどうかを確認する(ステップS701)。編集要求がある場合には、ステップS702に進み、編集要求がない場合には、閲覧用PDF編集処理を終了する。
【0056】
閲覧用PDF編集要求がある場合、クラウドサーバ100の編集部107は、ユーザ端末200からの閲覧用PDFに対する編集要求に基づき閲覧用PDFを編集する(ステップS702)。ここでの編集とは、文字列の変更、画像や動画の挿入、フォントの変更、エンベディッドPDFの追加や削除に加えて、エンベディッドPDFに対する文字列の変更、画像や動画の挿入、フォントの変更、エンベディッドPDFの追加や削除等であるものとする。
【0057】
最後に、クラウドサーバ100の更新部108は、ステップS702の編集の内容に応じて、クラウドサーバ100に格納した前記PDFと前記エンベディッドPDFと前記レンダリング用データとを更新する(ステップS703)。ここで、クラウドサーバ100に格納したデータを更新する際に、どのユーザ2によりどのような編集を行ったかの履歴を、あわせて保存してもよい。
【0058】
以上が、閲覧用PDF編集処理である。
【0059】
このように閲覧用PDF生成システム1の閲覧用PDF編集処理によれば、閲覧用PDFを参照したユーザ2により、もとのPDFデータを編集することが可能となる。また、その際に編集の履歴をクラウドサーバ100に保存することで、どのユーザ2がどのような編集を行ったかの履歴を確認することが可能となる。
【0060】
[エンベディッドPDF表示切替処理]
図8は、エンベディッドPDFが更新されている場合に、どのバージョンの閲覧をするかユーザ2に選択させるためのユーザ端末200の表示画面の一例である。閲覧用PDFに含まれるエンベディッドPDFが更新されている場合に、表示するエンベディッドPDFの選択を可能とする。
【0061】
図8では、ユーザ端末200の入出力部に、「閲覧しようとしているPDFに埋め込まれたエンベディッドPDFは、ユーザによって更新されています。どのバージョンを表示しますか?」というメッセージ801を表示する例を示している。選択肢としてラジオボタン802で、「ユーザXが作成時に埋め込んだエンベディッドPDF」と「ユーザYが2022/4/4 10:45:22に更新したエンベディッドPDF」と「ユーザXが2022/4/21 17:23:41に更新したエンベディッドPDF」とを示し、「ユーザYが2022/4/4 10:45:22に更新したエンベディッドPDF」が選択された状態である。ここで、表示ボタン803を選択することで、「ユーザYが2022/4/4 10:45:22に更新したエンベディッドPDF」を含む閲覧用PDFを、ユーザ端末200に表示するものとする。エンベディッドPDFの更新履歴は、編集の履歴を保存したクラウドサーバ100から取得するものとする。また、ここでは、閲覧用PDFに含まれるエンベディッドPDFが更新されている場合に、表示するエンベディッドPDFの選択を可能とする例を示したが、変更部分を比較のために並べて表示したり、変更部分を順番にすべて表示したりすることも可能である。
【0062】
以上が、エンベディッドPDF表示切替処理である。
【0063】
このように閲覧用PDF生成システム1のエンベディッドPDF表示切替処理によれば、表示するエンベディッドPDFを選択することが可能となり、よりユーザの利便性の高い閲覧用PDF生成システムを提供することができる。
【0064】
図8では、閲覧用PDFに含まれるエンベディッドPDFが更新されている場合に、表示するエンベディッドPDFの選択を可能とする例を示したが、閲覧用PDFに含まれるエンベディッドPDFが更新されている場合だけでなく、閲覧用PDF編集処理を行った場合に、編集の履歴に基づいて、表示する閲覧用PDFを選択可能としたり、変更部分を比較のために並べて表示したり、変更部分を順番にすべて表示したりする機能としてもよい。
【0065】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、コンピュータからネットワーク経由で提供される(SaaS:ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形態やクラウドサービスで提供されてよい。また、プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記録装置又は外部記録装置に転送し記録して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記録装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記録装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0067】
1 閲覧用PDF生成システム
2 ユーザ
3 ネットワーク
100 クラウドサーバ
101 抽出部
102 格納部
103 生成部
104 提供部
105 参照部
106 出力部
107 編集部
108 更新部
200 ユーザ端末
【要約】
【課題】端末の環境に依存せず、データサイズを抑えて本来のPDFを閲覧することが可能な閲覧用PDF生成システムを提供する。
【解決手段】クラウドサーバ上で閲覧用PDFを生成する閲覧用PDF生成システム1に、PDFから、少なくとも、埋め込まれた別のエンベディッドPDFと、レンダリング用データと、を抽出する抽出部101と、少なくとも、PDFと、エンベディッドPDFと、抽出したレンダリング用データと、をクラウドサーバに格納する格納部102と、格納したPDFと、エンベディッドPDFと、レンダリング用データとに基づいてリンクを作成し、閲覧用PDFを生成する生成部103と、生成した閲覧用PDFを提供する提供部104と、を備える。
【選択図】
図1