(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】シート処理システム
(51)【国際特許分類】
B65H 33/12 20060101AFI20230227BHJP
B65H 5/02 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
B65H33/12
B65H5/02 M
(21)【出願番号】P 2019126649
(22)【出願日】2019-07-08
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100118625
【氏名又は名称】大畠 康
(72)【発明者】
【氏名】谷本 晋基
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 浩直
【審査官】児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-200788(JP,A)
【文献】特開2001-58475(JP,A)
【文献】特開昭61-211249(JP,A)
【文献】特開2013-216418(JP,A)
【文献】特開2018-52741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 5/00-5/42
B65H 5/02
5/06
5/22
29/12-29/24
29/32
31/00-31/40
35/00-35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを裁断することによって搬送直交方向において複数列で配列されたシート片を作成するシート加工装置と、
搬送直交方向に複数列で配列された前記シート片の間での、搬送直交方向における隙間が、搬送方向上流側よりも搬送方向下流側において大きくなるように、前記シート加工装置から供給された前記シート片を搬送する複数の離間搬送コンベアを有する離間搬送装置と、
前記離間搬送装置から供給された前記シート片を搬送方向に区分けをした状態で搬送する区分け搬送コンベアを有する区分け搬送装置と、
前記シート加工装置、前記離間搬送装置および前記区分け搬送装置での各種動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、所定枚数の前記シート片が供給されるまで前記区分け搬送コンベアの搬送動作を停止させ、所定枚数の前記シート片が供給されると前記区分け搬送コンベアの搬送動作を開始させることによって区分け動作を行うように、前記区分け搬送コンベアを制御することを特徴とする、シート処理システム。
【請求項2】
前記複数の離間搬送コンベアが、平面視で末広がりに直線状に延在することを特徴とする、請求項1に記載のシート処理システム。
【請求項3】
前記離間搬送コンベアが、離間搬送ベルトと、前記シート片を前記離間搬送ベルトの搬送面に押接させるように構成された押さえボールとを備えることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のシート処理システム。
【請求項4】
前記離間搬送コンベアの搬送方向の下流側には、前記離間搬送コンベアから引き渡された前記シート片を搬送方向に搬送する方向付け部材が、設けられていることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシート処理システム。
【請求項5】
前記シート加工装置が、前記シートに設けられたシート処理情報を読み取る読取装置を備え、
前記制御部は、前記シート処理情報に基づいて、前記区分け搬送コンベアの動作を制御することを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシート処理システム。
【請求項6】
前記シート処理情報は、前記離間搬送装置から供給される前記シート片が、既出のシート片とは異なる異種のシート片に切り替わることを知らせる異種シート片情報を含み、
前記制御部は、前記異種シート片情報に基づいて、前記既出のシート片と前記異種のシート片とを分類する分類動作を行うように、前記区分け搬送コンベアの動作を制御することを特徴とする、請求項5に記載のシート処理システム。
【請求項7】
前記シート処理情報は、前記離間搬送装置から供給される前記シート片が、既出のシート片と異なる異種のシート片を含む異種のシートに由来することを知らせる異種シート情報を含み、
前記制御部は、前記異種シート情報に基づいて、前記既出のシート片と前記異種のシート片とを分類する分類動作を行うように、前記区分け搬送コンベアの動作を制御することを特徴とする、請求項5に記載のシート処理システム。
【請求項8】
前記シート処理情報が、前記シート片の原型となる画像が形成された前記シートを作成するのに使用された画像形成手段に関する画像形成情報を含み、
前記制御部は、前記画像形成情報に基づいて前記シートの作成がこれまでとは異なる前記画像形成手段に切り替わったと判断すると、前記シート片の作成動作を中断するように、前記シート加工装置の動作を制御することを特徴とする、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載のシート処理システム。
【請求項9】
前記離間搬送装置から前記区分け搬送装置に供給される前記シート片の枚数を計数する計数部と、所望とする前記シート片の枚数を入力する入力部と、エラーを報知する報知部とを備え、
前記制御部は、前記計数部によって計数された前記シート片の枚数が、前記入力部から入力された前記シート片の枚数に満たないとき、枚数不足に関するエラーを報知するように、前記報知部の動作を制御することを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のシート処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、区分け機能を有するシート処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、シート片が搬送方向に部分的に重なった一群のシート片をコンベアで搬送し、コンベアの動作タイミングを制御することによって、一群のシート片を区分けすることを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているシート処理システムでは、一群のシート片が搬送方向において離間しながら直列に搬送されるため、搬送の作業効率を向上させることが望まれている。シート片の部分的な重なりによって一群のシート片が形成されているので、一群のシート片の列が搬送方向に長くなる。隣り合った一群のシート片同士の間隔を短くすると、一方の一群のシート片と他方の一群との間で、シート片の混入が発生する恐れがあるため、区分けの作業を注意深く行うことが必要になる。また、搬送方向に長くなっている一群のシート片をひとかたまりに揃え直す作業が必要になるので、区分けの作業効率を向上させることが望まれている。
【0005】
したがって、この発明の解決すべき技術的課題は、搬送および区分けの作業効率を向上させるシート処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するために、この発明によれば、以下のシート処理システムが提供される。
【0007】
すなわち、この発明に係るシート処理システムは、
シートを裁断することによって搬送直交方向において複数列で配列されたシート片を作成するシート加工装置と、
搬送直交方向に複数列で配列された前記シート片の間での、搬送直交方向における隙間が、搬送方向上流側よりも搬送方向下流側において大きくなるように、前記シート加工装置から供給された前記シート片を搬送する複数の離間搬送コンベアを有する離間搬送装置と、
前記離間搬送装置から供給された前記シート片を搬送方向に区分けをした状態で搬送する区分け搬送コンベアを有する区分け搬送装置と、
前記シート加工装置、前記離間搬送装置および前記区分け搬送装置での各種動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、所定枚数の前記シート片が供給されるまで前記区分け搬送コンベアの搬送動作を停止させ、所定枚数の前記シート片が供給されると前記区分け搬送コンベアの搬送動作を開始させることによって区分け動作を行うように、前記区分け搬送コンベアを制御することを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、離間搬送装置によって複数列のシート片が搬送直交方向に離間して搬送されるとともに、区分け搬送装置によって所定枚数のシート片が積み重なった一群のシート片に区分けされるので、搬送および区分けの作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明の一実施形態に係るシート処理システムの全体構成を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図1に示したシート処理システムの上面図である。
【
図3】
図1に示したシート処理システムにおけるシート加工装置の斜視図である。
【
図4】
図1に示したシート処理システムにおける離間搬送装置の斜視図である。
【
図6】
図5に示した離間搬送装置を、搬送方向(X-Z断面)で切り取った断面図である。
【
図7】
図1に示したシート処理システムにおける区分け搬送装置の斜視図である。
【
図8】
図7に示した区分け搬送装置の上面図である。
【
図9】
図8に示した区分け搬送装置を、搬送方向(X-Z断面)で切り取った断面図である。
【
図10】
図7に示した区分け搬送装置での区分けおよび分類を説明する模式図である。
【
図11】
図1に示したシート処理システムでのセンサ配置を模式的に示す図である。
【
図12】
図1に示したシート処理システムのブロック図である。
【
図13】
図1に示したシート処理システムでのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、シート処理システム1を説明する。説明の都合上、シート8の搬送方向Fの下流側を、「前方」又は単に「下流側」と呼んでいる。シート8の搬送方向Fの上流側を、「後方」又は単に「上流側」と呼んでいる。シートの搬送路を挟んだ上下を、「上側」又は「下側」と呼んでいる。また、搬送直交方向(搬送方向Fと直交する水平方向)を「左右方向」と呼び、搬送方向の上流側から見た状態で「右側」および「左側」を規定している。なお、各図には、便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を示している。また、この発明では、シート8は、紙製シートはもちろん、樹脂製シートも含む。
【0011】
(シート処理システムの全体構成)
図1は、この発明の一実施形態に係るシート処理システム1の全体構成を模式的に示す斜視図である。
図2は、
図1に示したシート処理システム1の上面図である。このシート処理システム1は、シート加工装置2と、離間搬送装置4と、区分け搬送装置6とを備える。シート8は、搬送方向Fに沿って、シート加工装置2から、離間搬送装置4を経由して、区分け搬送装置6に搬送される。図示しない画像形成手段によって、シート片9の原型となる画像91が、シート8に形成されている。
【0012】
図12に示すように、シート処理システム1は、シート加工装置2、離間搬送装置4および区分け搬送装置6における各種動作を制御する制御部10(CPU:中央演算処理装置)を備える。制御部10には、ROM(リードオンリーメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、EEPROM(電気的に消去書き込み可能なメモリ)などの各種メモリが接続されている。制御部10には、ボタンやスイッチなどの入力部やディスプレイなどの表示部を有する操作表示部11、音や光でエラーの発生を報知する報知部12が接続されている。操作表示部11は、作業者が枚数などのデータを入力するための入力部として働く。制御部10には、吸着搬送用モータ、昇降用モータ、スリッタ用モータ、カット用モータ、メインモータ、離間搬送用モータおよび区分け搬送用モータなどの各種モータが接続されている。制御部10には、シート有無検出センサT1、シート検出センサT2、カット位置検出センサT3、計数センサ(計数部)T4、満杯検出センサT5およびカメラ(読取装置)30などの各種センサが接続されている。なお、シート加工装置2、離間搬送装置4および区分け搬送装置6を個々に制御するための制御部を、各装置2,4,6に個別に設ける構成にすることもできる。
【0013】
(シート加工装置)
図3は、
図1に示したシート処理システム1におけるシート加工装置2の斜視図である。
【0014】
図3に示すように、シート加工装置2は、ベース21と、第1筐体22と、載置台23と、吸着コンベア25と、加工処理部とを有する。第1筐体22は、ベース21の上に設けられ、載置台23、吸着コンベア25および加工処理部は、第1筐体22に設けられている。
【0015】
載置台23は、第1筐体22の上流側(搬送方向Fの上流側)に設けられ、昇降用モータによって昇降動作を行う。載置台23の上には、シート8が載置される。載置台23上のシート8は、シート規制部24によって位置決めされる。図示しない画像形成手段によって、シート片9の原型となる画像91が、シート8に形成されている。画像91が形成されたシート8を所定の位置で裁断することにより、シート片9が得られる。シート片9の原型となる画像91は、シート8において、例えば、シート8の搬送直交方向に3列で、搬送方向に7行で形成されており、一枚のシート8から、トータルで21枚のシート片9が得られる。シート片9は、例えば、名刺や診察券や会員券やテレフォンカードやプリペイドカードや磁気カードやバーコード付きカードやハガキ(ポストカード)やグリーティングカードなどの各種カードである。
【0016】
画像91が形成されたシート8は、吸着コンベア25によって加工処理部に搬送される。吸着コンベア25は、吸引ファン、搬送ベルト及びベルトローラを備える。吸着コンベア25は、載置台23に積載された複数のシート8から最上位のシート8を、分離ファンの送風によって分離したあと、吸着しながら搬送する。
【0017】
吸着コンベア25の下流側(搬送方向Fの下流側)には、読取装置としてのカメラ30が配設されている。カメラ30は、例えば、シート8の前端隅部に印刷された位置マークの画像を読み取って、シート8の搬送方向F及び搬送直交方向の加工の基準位置を検出する。なお、当該基準位置の検出は、カメラ30とは別に設けられるCCDカメラで読み取るようにすることもできる。また、カメラ30は、操作表示部11による各種シート処理情報の手入力とは別に、シート処理情報に関する画像を自動的に読み取って、シート8やシート片9の枚数を入力する行う入力部として構成することもできる。具体的には、カメラ30は、シート8の前部に印刷されたバーコードなどの画像を読み取ってシート8やシート片9に対して施されるべき加工寸法や作成したいシート片9の枚数やシート片9を識別する情報などの各種のシート処理情報を取得する。そして、制御部10は、取得されたシート処理情報に基づいて、区分け搬送コンベア65の動作を制御する。当該構成によれば、手入力する手間を省くことができるとともに入力ミスを減らすことができるので、区分け搬送コンベア65を確実に動作させることができる。
【0018】
シート処理情報は、シート8に対する加工内容(スリット加工の位置やカット加工の位置)に関するシート加工情報を含む。シート処理情報は、後述するように一群のシート片Gとしてシート片9を区分けする際の区分け枚数に関するシート片区分け情報を含む。シート処理情報は、離間搬送装置4から供給されるシート片9が、既出のシート片Kとは異なる異種のシート片9に切り替わることを知らせる異種シート片情報を含む。シート処理情報は、離間搬送装置4から供給されるシート片9が、既出のシート片Kと異なる異種のシート片9を含む異種のシート8に由来することを知らせる異種シート情報を含む。シート処理情報は、シート片9の原型となる画像91が形成されたシート8を作成するのに使用された画像形成手段(プリンタなどの各種印刷装置)に関する画像形成情報を含む。
【0019】
加工処理部は、上下一対の複数の搬送ローラ27,28,29と、シート8を裁断加工する裁断部(
図11に図示)とを備える。搬送ローラ27,28,29は、搬送方向Fに間隔をおいて配置され、メインモータに連結された搬送駆動部によって駆動される。
【0020】
裁断部は、スリット加工部32と、カット加工部34とにより構成される。スリット加工部32およびカット加工部34は、搬送方向Fにユニットを並べて配置することによって構成されている。スリット加工部32には、上下の回転式切断刃が、搬送直交方向に少なくとも1組配置され、シート8を搬送直交方向において2列以上に裁断できるようになっている。回転式切断刃は、搬送直交方向に移動可能に設置され、搬送されるシート8の所定位置でスリット加工を行う。シート8を搬送直交方向に何列でスリット加工するかに応じて、スリット加工に用いる回転式切断刃の搬送直交方向における数を増減できるようになっている。なお、この実施形態では、回転式切断刃は搬送直交方向に間隔を置いて6組配置されている。スリッタ用モータの駆動力で、回転式切断刃を回転させることにより、搬送方向Fに沿ったスリット加工が行われる。スリット加工部32の下流側には、カット加工部34が配設されている。カット加工部34は、搬送直交方向に延び、相対向する一対の裁断刃を備える。例えば、上側可動刃が下側固定刃に対して接触/離間の動作を行うことにより、搬送直交方向でのカット加工が行われる。上側可動刃は、カット用モータで駆動される。
【0021】
(離間搬送装置)
図4は、
図1に示したシート処理システム1における離間搬送装置4の斜視図である。
図5は、
図4に示した離間搬送装置4の上面図である。
図6は、
図5に示した離間搬送装置4を、搬送方向(X-Z断面)で切り取った断面図である。
【0022】
図4から
図6に示すように、離間搬送装置4は、シート加工装置2の第1筐体22の下流側に設けられた第2筐体42と、第2筐体42に設けられた離間搬送コンベア45とを有する。
【0023】
離間搬送コンベア45は、搬送直交方向において複数列で、例えば、搬送直交方向において3列で、配置されている。離間搬送コンベア45は、搬送直交方向に複数列で配列されたシート片9の間での、搬送直交方向における隙間が、搬送方向の上流側よりも下流側において大きくなるように、構成されている。
図5に示すように、3つの離間搬送コンベア45は、搬送方向の上流側から下流側にかけて、平面視で末広がりに直線状に延在するように構成されている。当該構成によれば、離間搬送コンベア45を簡易に構成できるとともに、シート片9を最短距離で搬送できる。具体的には、中央の離間搬送コンベア45は、搬送方向Fに沿って直線状に延在し、両サイドの離間搬送コンベア45は、搬送直交方向の外側に向けて広がるように搬送方向Fに対して角度を持って直線状に延在している。
【0024】
各離間搬送コンベア45は、一対の離間搬送ローラ45a,45aと、離間搬送ベルト45bと、複数個の押さえボール46と、ボール保持部47と、ボール規制部48とを有する。離間搬送ローラ45aは、離間搬送用モータによって駆動される。離間搬送ベルト45bは、無端のベルトであり、搬送方向Fに離間して対向配置された一対の離間搬送ローラ45a,45aのそれぞれに掛け渡されている。離間搬送ベルト45bの上面は、シート加工装置2から供給されたシート片9を搬送する搬送面を構成する。
【0025】
押さえボール46は、ボール保持部47に形成された収容穴に収容されている。押さえボール46は、例えば、離間搬送ベルト45bの進行方向に沿って5行で、搬送直交方向に2列で配置されている。押さえボール46の上部および下部は、ボール保持部47から突出するように構成されている。押さえボール46の上部は、押さえボール46が所定距離以上持ち上がらないように、ボール規制部48で規制されている。押さえボール46の下面は、搬送面に接している。押さえボール46は、例えば、金属などの比較的密度のある材料からなる球体が好ましいが、処理されるシート8の種類によっては、樹脂などの比較的密度の低い材料からなる球体を用いてもよい。押さえボール46は、その自重によって搬送中のシート片9を搬送面に押接させる働きを有する。
【0026】
シート加工装置2からは、搬送方向Fに搬送されるシート片9が供給される。中央の離間搬送コンベア45の搬送方向Fは、シート加工装置2の搬送方向Fと実質的に同じであるので、シート片9の搬送に影響を及ぼすことがほとんど無い。これに対して、両サイドの離間搬送コンベア45は、搬送方向Fに対して斜めに(或る離間角度を持って)延在しているので、搬送方向Fの上流側および下流側においてシート片9の搬送に影響を及ぼす。すなわち、搬送方向Fに対して斜めに延在する両サイドの離間搬送コンベア45の配置は、シート加工装置2から離間搬送コンベア45への受け渡しのときと、離間搬送コンベア45から区分け搬送装置6への受け渡しのときに影響を及ぼす。具体的には、搬送方向Fに対して角度を持った斜めの搬送力が、受け渡しされるシート片9に働く。
【0027】
押さえボール46は、転動しながら、搬送中のシート片9を搬送面として働く離間搬送ベルト45bに押さえつけることによってシート片9の搬送を安定化させる働きを有する。搬送方向Fに対する離間角度が大きく変化する上流側ボール46aでは、2つの押さえボール46,46が搬送直交方向に沿って並んで離間配置されている。当該構成によれば、2つの押さえボール46,46からなる上流側ボール46aによって、搬送方向Fに搬送されるシート片9の前端が、搬送直交方向に延びる前端延在方向を保持しながら離間搬送コンベア45に受け渡しされ、シート片9は、搬送方向Fに沿った搬送姿勢を保持しながら、搬送方向Fに対して斜めに搬送される。搬送方向Fに対する離間角度が大きく変化する下流側ボール46bでも、2つの押さえボール46,46が搬送直交方向に沿って並んで離間配置されている。当該構成によれば、2つの押さえボール46,46からなる下流側ボール46bによって、搬送方向Fに対して斜めに搬送されるシート片9の前端が、搬送直交方向に延びる前端延在方向を保持しながら引き渡しローラ51に受け渡しされ、シート片9は、搬送方向Fに沿った搬送姿勢を保持しながら区分け搬送装置6に搬送される。すなわち、2つの押さえボール46,46からなる上流側ボール46aおよび下流側ボール46bによって、シート片9は、搬送方向Fに沿った搬送姿勢を保持しながら、シート加工装置2から離間搬送装置4を介して区分け搬送装置6に搬送される。上流側ボール46aおよび下流側ボール46b以外の3組の押さえボールも、2つの押さえボール46,46が搬送直交方向において並んで離間配置されているが、当該3組の押さえボールでは、1つの押さえボール46を配置する構成にすることもできる。
【0028】
各離間搬送コンベア45の下流側には、2種類の方向付け部材51a,52が設けられている。具体的には、下流側ボール46bの搬送方向Fの下流側には、離間搬送装置4から排出されるシート片9を斜め下向きに方向付けるための引き渡し上ローラ51aと方向付けガイド52とが設けられている。
【0029】
引き渡しローラ51は、引き渡し上ローラ51aおよび引き渡し下ローラ51bを備える。引き渡し上ローラ51aは、斜め下向き(搬送方向F)への方向付け部材として働き、引き渡し下ローラ51bと対をなす。引き渡しローラ51は、搬送方向Fに沿った搬送姿勢を保持しながら離間搬送装置4から排出されたシート片9を挟持する。上ローラ51aは、引き渡し下ローラ51bよりも下流側で当接している。引き渡し上ローラ51aおよび引き渡し下ローラ51bによる搬送面が、斜め下向きに(搬送方向Fに)なっている。当該構成によれば、離間搬送装置4から排出されたシート片9を斜め下向きに(搬送方向Fに)方向付けて、シート片9を区分け搬送装置6に安定的に供給できる。
【0030】
斜め下向きへの方向付け部材として働く方向付けガイド52は、下流側に向けて斜め下向きに延在する棒状体または板状体である。方向付けガイド52は、或る角度範囲内で回動自在であるように軸支されている。当該構成によれば、離間搬送装置4から排出されたシート片9を斜め下向きに方向付けて、シート片9を区分け搬送装置6に安定的に供給できる。
【0031】
(区分け搬送装置)
図7は、
図1に示したシート処理システム1における区分け搬送装置6の斜視図である。
図8は、
図7に示した区分け搬送装置6の上面図である。
図9は、
図8に示した区分け搬送装置6を、搬送方向(X-Z断面)で切り取った断面図である。
【0032】
図1、および、
図7から
図9に示すように、区分け搬送装置6は、ベース61と、第3筐体62と、複数の区分け搬送コンベア65とを備える。図示した例では、搬送方向Fに沿って延びる区分け搬送コンベア65が3つ設けられている。すなわち、区分け搬送装置6には、3レーンの区分け搬送路が設けられている。
【0033】
各区分け搬送コンベア65は、搬送直交方向に間隔を置いて配置された一対の区分け搬送ベルト66,66と、複数の仕切り体67とを有する。一対の区分け搬送ベルト66,66は、シート片9が区分け可能となる寸法で、搬送直交方向において間隔を置いて配置されている。隣り合う区分け搬送路の間、および、区分け搬送路の搬送直交方向における左右の外側には、それぞれ、レーンスペース68が設けられている。レーンスペース68の搬送直交方向での寸法は、シート片9を搬送直交方向において容易に把持できるように構成されている。
【0034】
一対の区分け搬送ベルト66,66は、無端のベルトであり、搬送方向Fに間隔を置いて配置された一対の区分け搬送ローラ64によって駆動される。区分け搬送ローラ64は、区分け搬送用モータによって駆動される。区分け搬送ベルト66の上面には、複数の仕切り体67が立設されている。仕切り体67は、搬送方向Fに沿って間隔を置いて配置されている。仕切り体67によって、区分け搬送ベルト66,66が作動したときに区分け搬送ベルト66,66に載置された一群のシート片Gが崩れて隣の一群のシート片Gと混ざることを防止できる。隣り合う2つの仕切り体67,67によって、区画Dが形成されている。制御部10によって、以下の区分け動作が行われる。区分け動作では、シート片区分け情報に基づいて、一群のシート片Gを形成するために所定枚数のシート片9が供給されるまで、一対の区分け搬送ベルト66,66の搬送動作が一時停止している。所定枚数のシート片9の供給が完了すると、一対の区分け搬送ベルト66,66は、或る仕切り体67から次の仕切り体67までの距離分、すなわち区画Dに相当する距離の分、搬送される。したがって、区分け動作とは、一群のシート片Gを仕切り体67,67で形成される区画Dに載置して、隣り合う一群のシート片G同士を区別することを意味している。
【0035】
仕切り体67同士の搬送方向Fでの間隔、すなわち区画距離は、例えば、シート片9の搬送方向Fでの幅に少なくとも10mmを加えた寸法であり、好ましくは、シート片9の搬送方向Fでの幅に20mmを加えた寸法である。当該構成によれば、一群のシート片Gを区画Dから取り出す際、搬送方向Fでの一群のシート片Gの把持が容易になる。
【0036】
各区分け搬送コンベア65の上流側には、搬送直交方向に離間した一対の整列ガイド71,71が設けられている。整列ガイド71は、搬送方向Fに沿って延びるとともに上方に延びる板状体である。一対の整列ガイド71,71の搬送直交方向での間隔は、シート片9を搬送直交方向において揃えて位置決めできるように構成されている。当該構成によれば、シート片9が搬送直交方向に揃えられる。また、離間搬送装置4から供給されたシート片9が一対の整列ガイド71,71の間にスムーズに受け入れられるように、整列ガイド71の上部は、上方に向けて末広がりに傾斜している。
【0037】
各区分け搬送コンベア65の上流側には、突出支持部63が設けられている。突出支持部63は、一対の区分け搬送ベルト66,66の上面(すなわち搬送面)よりも突出している。離間搬送装置4から供給されたシート片9は、突出支持部63の上に載置されるとともに突出支持部63によって支持される。区分け搬送ベルト66,66が搬送方向Fに動くと、区画を構成する仕切り体67,67のうちの後方の仕切り体67がシート片9の後端に当接することによって、シート片9が搬送方向Fに揃えられる。区分け搬送ベルト66,66が搬送方向Fにさらに移動すると、突出支持部63で支持されていたシート片9が、区分け搬送ベルト66,66の上面で支持されるようになる。したがって、シート片9は、その後端が仕切り体67に当接して搬送方向Fに揃えられた状態で、区分け搬送ベルト66,66によって搬送される。
【0038】
シート片9は、区分け搬送コンベア65において搬送直交方向および搬送方向Fに揃えられているので、区分け搬送装置6における区分けの作業効率が向上する。
【0039】
(区分け搬送装置での区分けおよび分類)
図10は、
図7に示した区分け搬送装置6での区分けおよび分類を説明する模式図である。
【0040】
図10に示すように、離間搬送装置4から供給された一群のシート片Gは、区分け搬送コンベア65の区画Dに区分けされている。すなわち、制御部10は、区分け動作として、区分け搬送コンベア65の上流側で所定枚数のシート片9を受け入れるまで区分け搬送コンベア65の搬送動作を一時停止したあと、区画Dに相当する搬送長さ(区分け搬送長さ)で区分け搬送コンベア65を搬送するように制御する。一群のシート片Gは、少なくとも1枚のシート片9から構成される。区画Dは、4つの仕切り体67,67,67,67によって、すなわち搬送方向Fに並んだ2つの仕切り体67,67と搬送直交方向に並んだ2つの仕切り体67,67とによって、形成されている。レーンスペース68によって、各区分け搬送コンベア65で搬送される一群のシート片Gは、搬送直交方向において離間している。
【0041】
図10において、一群のシート片Gが、搬送方向Fに沿って3つの区画Dにそれぞれ区分けして搬送されている。区分けされた3つの一群のシート片Gは、一連のシート片Aを構成する。一連のシート片Aは、所望とするトータル枚数からなる、シート片9の集合体である。一連のシート片Aの上流側には、予備用シート片Bが設けられている。予備用シート片Bは、一連のシート片Aを構成するシート片9と同じものから構成されており、一連のシート片Aにおいて何らかの不具合があったときの代替物として使用される。したがって、予備用シート片Bは、一連のシート片Aの一部分であり、一連のシート片Aの付属物とみることができる。
【0042】
離間搬送装置4から供給されるシート片9が、既出のシート片とは異なる異種のシート片に切り替わることがある。
図10において、既出のシート片Kが供給されたあと、異種のシート片9からなる一連のシート片Aが供給される場合を考える。この場合、既出のシート片Kと、異種の一連のシート片Aとを分類するために、既出のシート片Kと異種の一連のシート片Aとの間に、分類区画Cが設けられる。分類区画Cとして、例えば、1つの区画Dが割り当てられる。分類区画Cを設けるための分類動作は、異種シート片情報に基づいて行われる。すなわち、制御部10は、分類動作として、区分け搬送コンベア65の上流側で所定枚数の既出のシート片Kを受け入れるまで区分け搬送コンベア65を一時停止したあと、所定枚数の既出のシート片Kの受け入れが完了すると所定の搬送長さ(分類搬送長さ)で区分け搬送コンベア65を搬送するように制御する。分類搬送長さは、区画Dに相当する通常の搬送長さに分類区画Cに相当する搬送長さを加算した搬送長さであり、例えば、2つ分の区画Dに相当する搬送長さである。なお、分類搬送長さは、3つ分以上の区画Dに相当する搬送長さにして、分類区画Cを搬送方向Fにより長くすることもできる。
【0043】
当該構成によれば、既出のシート片Kと異種の一連のシート片Aとの間に設けられた分類区画Cによって、既出のシート片Kと異種の一連のシート片Aとを確実に区別できる。
【0044】
また、離間搬送装置4から供給されるシート片9が、既出のシート片Kと異なる異種のシート片を含む異種のシート8に由来することがある。
図10において、既出のシート片Kが供給されたあと、異種のシート8に由来した異種のシート片9からなる一連のシート片Aが供給される場合を考える。この場合、既出のシート片Kと、異種のシート8に由来した異種の一連のシート片Aとを分類するために、既出のシート片Kと、異種のシート8に由来した異種の一連のシート片Aとの間に、分類区画Cが設けられる。分類区画Cとして、例えば、1つの区画Dが割り当てられる。分類区画Cを設けるための分類動作は、異種シート情報に基づいて行われる。すなわち、制御部10は、分類動作として、区分け搬送コンベア65の上流側で所定枚数の既出のシート片Kを受け入れるまで区分け搬送コンベア65を一時停止したあと、所定枚数の既出のシート片Kの受け入れが完了すると所定の搬送長さ(分類搬送長さ)で区分け搬送コンベア65を搬送するように制御する。分類搬送長さは、区画Dに相当する通常の搬送長さに分類区画Cに相当する搬送長さを加算した搬送長さであり、例えば、2つ分の区画Dに相当する搬送長さである。なお、分類搬送長さは、3つ分以上の区画Dに相当する搬送長さにして、分類区画Cを搬送方向Fにより長くすることもできる。
【0045】
当該構成によれば、既出のシート片Kと、異種のシート8に由来した異種の一連のシート片Aとの間に設けられた分類区画Cによって、既出のシート片Kと、異種のシート8に由来した異種の一連のシート片Aとを確実に区別できる。
【0046】
(センサの配置)
図11は、
図1に示したシート処理システム1でのセンサ配置を模式的に示す図である。
【0047】
図11に示すように、例えば、シート有無検出センサT1、カメラ30、シート検出センサT2、カット位置検出センサT3、計数センサT4および満杯検出センサT5が、搬送方向Fに沿って順に配置されている。
【0048】
シート有無検出センサT1は、シート加工装置2の載置台23に設けられて、載置台23におけるシート8の有無を検出する。シート有無検出センサT1は、例えば、発光素子と受光素子とを有する透過型フォトセンサである。カメラ30は、吸着コンベア25と搬送ローラ27との間に配置されて、シート8の位置情報やシート処理情報の画像を上方から撮影する。シート検出センサT2は、カメラ30と搬送ローラ27との間に配置されて、発光素子および受光素子を有する透過型フォトセンサであり、スリット加工部32に搬送される前のシート8の前端を検出する。
【0049】
カット位置検出センサT3は、スリット加工部32と搬送ローラ28との間に配置されて、発光素子および受光素子を有する透過型フォトセンサであり、カット加工部34に搬送される前のシート8の前端を検出する。計数センサT4は、離間搬送コンベア45と引き渡しローラ51との間に配置されて、発光素子および受光素子を有する透過型フォトセンサであり、区分け搬送装置6に供給されるシート片9の枚数を計数する。制御部10は、計数センサT4によって所定の枚数のシート片9が区分け搬送コンベア65の区画Dに供給されたことが検出されると、区分け搬送コンベア65を駆動して、区分け動作を行うように制御する。満杯検出センサT5は、区分け搬送コンベア65の下流側に配置されて、発光素子および受光素子を有する透過型フォトセンサであり、一群のシート片Gの回収もれの有無を検出する。
【0050】
(シート処理システムでの処理動作)
図13は、
図1に示したシート処理システム1でのフローチャートである。シート処理システム1での各種処理動作は、制御部10によって制御される。
【0051】
図13に示すように、ステップS1において、シート処理システム1での処理動作が開始する。ステップS2において、シート加工装置2において、シート8の供給動作が開始する。ステップS3において、シート検出センサT2によってシート8の前端が検出されたか否かが判断される。シート8の前端が検出される(ステップS3のYES)と、カメラ30によって、シート8におけるシート処理情報が撮影される(ステップS4)。
【0052】
ステップS5において、シート8が、既出のシート片Kと異なる異種のシート片9を含むか否かが判断される。異種のシート片9を含む(ステップS5のYES)ならば、ステップS20に進む。ステップ20で一時停止したあと、ステップS21において、シート片9の処理枚数が、一連のシート片Aを構成するのに必要となるシート片9のトータル枚数として入力された入力枚数以上になっているか否かが判断される。シート片9の処理枚数が、入力枚数よりも少なければ(ステップS21のNO)、ステップ25において枚数不足に関するエラーを報知して停止することにより、処理動作を終了する(ステップS26)。シート片9の処理枚数が、入力枚数に達していたら(ステップS21のYES)、ステップS22に進む。ステップS22では、分類動作のために区分け搬送コンベア65を搬送する。そのあと、ステップS13に進んで、シート8の裁断加工が行われる。
【0053】
異種のシート片9を含まない(ステップS5のNO)ならば、ステップS10に進む。ステップS10では、区分け搬送装置6で区分けされている一群のシート片Gが、所定枚数になっているか否かが判断される。一群のシート片Gが所定枚数になっている(ステップS10のYES)と、ステップ11で区分け搬送コンベア65の搬送動作を一時停止したあと、ステップS12において、区分け動作のために区分け搬送コンベア65を搬送する。そのあと、ステップS13に進んで、シート8の裁断加工が行われる。
【0054】
一群のシート片Gが所定枚数になっていない(ステップS10のNO)ならば、ステップS13において、シート8の裁断加工が行われる。
【0055】
シート8の裁断加工によって得られたシート片9は、離間搬送装置4を経て、区分け搬送装置6に排出される(ステップS14)とともに、区分け搬送装置6に排出されるシート片9の枚数が、計数センサT4によってカウントされる(ステップS15)。
【0056】
ステップS16において、シート有無検出センサT1によって、シート8が、載置台23にあるか否かが判断される。シート8が、載置台23に載置されている(ステップS16のYES)ならば、ステップS2に戻って、シート8の供給動作が開始される。
【0057】
シート8が、載置台23に載置されていない(ステップS16のNO)ならば、ステップS17に進む。ステップ17では、シート片9の処理枚数が、一連のシート片Aを構成するのに必要となるシート片9のトータル枚数として入力された入力枚数以上になっているか否かが判断される。
【0058】
シート片9の処理枚数が、入力枚数よりも少なければ(ステップS21のNO)、ステップ31において枚数不足に関するエラーを報知して停止することにより、処理動作を終了する(ステップS32)。シート片9の処理枚数が、入力枚数に達していたら(ステップS17のYES)、処理動作を終了する(ステップS18)。
【0059】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、上記実施形態で記載した内容を適宜に組み合わせたものを、この発明の一実施形態としてもよい。また、上記実施形態に示した具体的な数字は、この発明の理解を容易にするための単なる例示であって、この発明を限定するものではない。
【0060】
シート処理情報が、シート片9の原型となる画像91が形成されたシート8を作成するのに使用された画像形成手段に関する画像形成情報を含み、制御部10は、画像形成情報に基づいてシート8の作成がこれまでとは異なる画像形成手段に切り替わったと判断すると、シート片9の作成動作を中断するように、シート加工装置2の動作を制御することができる。画像形成手段が切り替わることによってシート片9に裁断するときに位置ずれなどの不具合が発生することがあるが、当該構成によれば、シート加工装置2の動作を中断して位置ずれの有無を確認できるので、無駄になるシート片9を減らすことができる。
【0061】
シート処理システム1は、離間搬送装置4から区分け搬送装置6に供給されるシート片9の枚数を計数する計数部T4と、所望とするシート片9の枚数を入力する入力部11,30と、エラーを報知する報知部12とを備える。
図13のフローチャートに示すように、制御部10は、計数部T4によって計数されたシート片9の枚数が、入力部11,30から入力されたシート片9の枚数に満たないとき、枚数不足に関するエラーを報知するように、報知部12の動作を制御する。当該報知動作は、区分け動作のときと分類動作のときに行われる。上記構成によれば、枚数不足に関するエラーが報知されるので、枚数不足に対する適切な対応が可能になる。
【0062】
上記実施形態では、離間搬送装置4において、中央の離間搬送コンベア45が搬送方向Fに沿って直線状に延在し、両サイド(右側および左側)の離間搬送コンベア45が搬送直交方向の外側に向けて広がるように搬送方向Fに対して角度をもって直線状に延在するように構成されている。例えば、右側の離間搬送コンベア45が搬送方向Fに沿って直線状に延在し、中央および左側の離間搬送コンベア45が搬送直交方向の外側に向けて広がるように搬送方向Fに対して角度(或る離間角度)をもって直線状に延在するように構成することもできる。この場合、左側の離間搬送コンベア45における搬送方向Fに対する離間角度が、中央の離間搬送コンベア45における搬送方向Fに対する離間角度よりも大きくなるように構成される。あるいは、中央および左側の離間搬送コンベア45における搬送方向Fに対する各離間角度を同じにするとともに、左側の離間搬送コンベア45による搬送距離に左側の引き渡しローラ51による搬送距離を加算した左側のトータル離間搬送距離が、中央の離間搬送コンベア45による搬送距離に中央の引き渡しローラ51による搬送距離を加算した中央のトータル離間搬送距離よりも長くなるように構成される。
【0063】
上記実施形態では、シート8が搬送直交方向に3列で裁断されたシート片9を搬送するために、離間搬送装置4および区分け搬送装置6は、搬送直交方向において、シート片9の列数と同数(3列)の搬送コンベア(離間搬送コンベア45および区分け搬送コンベア65)を備えるように構成されている。離間搬送装置4および区分け搬送装置6は、搬送直交方向におけるシート片9の列数よりも多くの搬送コンベア(離間搬送コンベア45および区分け搬送コンベア65)を備えるように構成してもよい。また、搬送直交方向におけるシート片9の裁断数は、上記実施形態での3つに限られず、2以上であればよい。
【0064】
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
【0065】
この発明の一態様に係るシート処理システム1は、
シート8を裁断することによって搬送直交方向において複数列で配列されたシート片9を作成するシート加工装置2と、
搬送直交方向に複数列で配列された前記シート片9の間での、搬送直交方向における隙間が、搬送方向上流側よりも搬送方向下流側において大きくなるように、前記シート加工装置2から供給された前記シート片9を搬送する複数の離間搬送コンベア45を有する離間搬送装置4と、
前記離間搬送装置4から供給された前記シート片9を搬送方向に区分けをした状態で搬送する区分け搬送コンベア65を有する区分け搬送装置6と、
前記シート加工装置2、前記離間搬送装置4および前記区分け搬送装置6での各種動作を制御する制御部10とを備え、
前記制御部10は、所定枚数の前記シート片9が供給されるまで前記区分け搬送コンベア65の搬送動作を停止させ、所定枚数の前記シート片9が供給されると前記区分け搬送コンベア65の搬送動作を開始させることによって区分け動作を行うように、前記区分け搬送コンベア65を制御することを特徴とする。
【0066】
上記構成によれば、離間搬送装置4によって複数列のシート片9が搬送直交方向に離間して搬送されるとともに、区分け搬送装置6によって所定枚数のシート片9が積み重なった一群のシート片Gに区分けされるので、搬送および区分けの作業効率が向上する。
【0067】
また、一実施形態のシート処理システム1では、
前記複数の離間搬送コンベア45が、平面視で末広がりに直線状に延在する。
【0068】
上記構成によれば、離間搬送コンベア45を簡易に構成できるとともに、シート片9を最短距離で搬送できる。
【0069】
また、一実施形態のシート処理システム1では、
前記離間搬送コンベア45が、離間搬送ベルト45bと、前記シート片9を前記離間搬送ベルト45bの搬送面に押接させるように構成された押さえボール46とを備える。
【0070】
上記構成によれば、押さえボール46の転動しながら、搬送中のシート片9を搬送面として働く離間搬送ベルト45bに押さえつけることによってシート片9の搬送を安定化させる。
【0071】
また、一実施形態のシート処理システム1では、
前記離間搬送コンベア45の搬送方向の下流側には、前記離間搬送コンベア45から引き渡された前記シート片9を搬送方向Fに搬送する方向付け部材51a,52が、設けられている。
【0072】
上記構成によれば、離間搬送装置4から排出されたシート片9を搬送方向Fに方向付けて、シート片9を区分け搬送装置6に安定的に供給できる。
【0073】
また、一実施形態のシート処理システム1では、
前記シート加工装置2が、前記シート8に設けられたシート処理情報を読み取る読取装置30を備え、
前記制御部10は、前記シート処理情報に基づいて、前記区分け搬送コンベア65の動作を制御する。
【0074】
上記構成によれば、手入力する手間を省くことができるとともに入力ミスを減らすことができるので、区分け搬送コンベア65を確実に動作させることができる。
【0075】
また、一実施形態のシート処理システム1では、
前記シート処理情報は、前記離間搬送装置4から供給される前記シート片9が、既出のシート片Kとは異なる異種のシート片9に切り替わることを知らせる異種シート片情報を含み、
前記制御部10は、前記異種シート片情報に基づいて、前記既出のシート片Kと前記異種のシート片9とを分類する分類動作を行うように、前記区分け搬送コンベア65の動作を制御する。
【0076】
上記構成によれば、分類動作によって、既出のシート片Kと異種のシート片9とを確実に区別できる。
【0077】
また、一実施形態のシート処理システム1では、
前記シート処理情報は、前記離間搬送装置4から供給される前記シート片9が、既出のシート片Kと異なる異種のシート片9を含む異種のシート8に由来することを知らせる異種シート情報を含み、
前記制御部10は、前記異種シート情報に基づいて、前記既出のシート片Kと前記異種のシート片9とを分類する分類動作を行うように、前記区分け搬送コンベア65の動作を制御する。
【0078】
上記構成によれば、既出のシート片Kと、異種のシート8に由来した異種の一連のシート片Aとの間に設けられた分類区画Cによって、既出のシート片Kと、異種のシート8に由来した異種の一連のシート片Aとを確実に区別できる。
【0079】
また、一実施形態のシート処理システム1では、
前記シート処理情報が、前記シート片9の原型となる画像91が形成された前記シート8を作成するのに使用された画像形成手段に関する画像形成情報を含み、
前記制御部10は、前記画像形成情報に基づいて前記シート8の作成がこれまでとは異なる前記画像形成手段に切り替わったと判断すると、前記シート片9の作成動作を中断するように、前記シート加工装置2の動作を制御する。
【0080】
画像形成手段が切り替わることによってシート片9に裁断するときに位置ずれなどの不具合が発生することがあるが、上記構成によれば、シート加工装置2の動作を中断して位置ずれの有無を確認できるので、無駄になるシート片9を減らすことができる。
【0081】
また、一実施形態のシート処理システム1では、
前記離間搬送装置4から前記区分け搬送装置6に供給された前記シート片9の枚数を計数する計数部T4と、所望とする前記シート片9の枚数を入力する入力部11,30と、エラーを報知する報知部12とを備え、
前記制御部10は、前記計数部T4によって計数された前記シート片9の枚数が、前記入力部11,30から入力された前記シート片9の枚数に満たないとき、枚数不足に関するエラーを報知するように、前記報知部12の動作を制御する。
【0082】
上記構成によれば、枚数不足に関するエラーが報知されるので、枚数不足に対する適切な対応が可能になる。
【符号の説明】
【0083】
1…シート処理システム
2…シート加工装置
4…離間搬送装置
6…区分け搬送装置
8…シート
9…シート片
10…制御部
11…操作表示部(入力部)
12…報知部
21…ベース
22…第1筐体
23…載置台
24…シート規制部
25…吸着コンベア
27,28,29…搬送ローラ
30…カメラ(読取装置、入力部)
32…スリット加工部(裁断部)
34…カット加工部(裁断部)
42…第2筐体
45…離間搬送コンベア
45a…離間搬送ローラ
45b…離間搬送ベルト
46…押さえボール
46a…上流側ボール
46b…下流側ボール
47…ボール保持部
48…ボール規制部
51…引き渡しローラ
51a…引き渡し上ローラ(方向付け部材)
51b…引き渡し下ローラ
52…方向付けガイド(方向付け部材)
62…第3筐体
63…突出支持部
64…区分け搬送ローラ
65…区分け搬送コンベア
66…区分け搬送ベルト
67…仕切り体
68…レーンスペース
71…整列ガイド
91…画像
A…一連のシート片(異質のシート片)
B…予備用シート片
C…分類区画
D…区画
G…一群のシート片
K…既出のシート片
T1…シート有無検出センサ
T2…シート検出センサ
T3…カット位置検出センサ
T4…計数センサ(計数部)
T5…満杯検出センサ