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特許7233099環状膨出部を有するパイプ部材の製造方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】環状膨出部を有するパイプ部材の製造方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 39/08 20060101AFI20230227BHJP
   B21D 22/02 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
B21D39/08 Z
B21D22/02 F
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019179198
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021053669
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】517428182
【氏名又は名称】株式会社佐藤製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100078190
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 三千雄
(74)【代理人】
【識別番号】100115174
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 正博
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 太加夫
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-132460(JP,A)
【文献】特開2007-152384(JP,A)
【文献】特開平02-241613(JP,A)
【文献】米国特許第3866457(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 39/08
B21D 22/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直管状のパイプ素材のプレス加工により、軸方向の一方の端部側部位に位置する第一の環状膨出部と、軸方向の他方の端部側部位に位置する第二の環状膨出部と、軸方向の中間部位に位置する第三の環状膨出部とを有するパイプ部材を製造する方法にして、
メインクランプ型の型内に第一のサブクランプ型を、更に該第一のサブクランプ型の型内に第二のサブクランプ型を、それぞれ、独立して軸方向に移動可能に且つ同軸的に配置する一方、それら第一及び第二のサブクランプ型を貫通して、該メインクランプ型の型内に達するパイプ収容孔を設けると共に、該第一のサブクランプ型を軸方向に押し込む第一のパンチ型と、前記パイプ素材及び前記第二のサブクランプ型を軸方向に押し込む第二のパンチ型とを具備せしめてなる成形装置を準備する工程と、
前記パイプ素材を該成形装置の前記パイプ収容孔内に配置して、クランプしてなる状態において、前記第一のパンチ型にて、前記第一のサブクランプ型を軸方向に押圧して、かかるパイプ素材に軸方向の押圧変形作用を加えることにより、前記メインクランプ型と前記第一のサブクランプ型との間で、該パイプ素材の管壁部位を径方向外方に膨出せしめて、前記第一の環状膨出部を形成する工程と、
前記第二のパンチ型にて、前記パイプ素材を軸方向に押圧変形せしめて、該第二のパンチ型を前記第二のサブクランプ型に当接せしめ、更に該第二のサブクランプ型が前記第一のサブクランプ型に当接するように、該第二のサブクランプ型を軸方向に押し込んで、該パイプ素材に軸方向の押圧変形作用を加えることにより、それら第二のパンチ型と第二のサブクランプ型との間及び第二のサブクランプ型と第一のサブクランプ型との間で、それぞれ、該パイプ素材の管壁部位を径方向外方に膨出せしめて、前記第二の環状膨出部及び前記第三の環状膨出部をそれぞれ形成する工程とを、
含むことを特徴とする環状膨出部を有するパイプ部材の製造方法。
【請求項2】
直管状のパイプ素材のプレス加工により、軸方向の一方の端部側部位に位置する第一の環状膨出部と、軸方向の他方の端部側部位に位置する第二の環状膨出部と、軸方向の中間部位に位置する第三の環状膨出部とを有するパイプ部材を成形するための装置にして、
a)一方の型端面に開口する第一のクランプ型収容孔を有すると共に、該第一のクランプ型収容孔の底部に、前記パイプ素材の一方の端部側の部位が挿入されて、保持される保持孔が形成されてなるメインクランプ型と;該メインクランプ型の第一のクランプ型収容孔内に摺動可能に収容され、筒内が第二のクランプ型収容孔とされた有底筒体からなり、該メインクランプ型の前記一方の型端面側に所定距離突出・移動するように付勢されて、該第一のクランプ型収容孔の底面との間に所定の間隙が形成せしめられる第一のサブクランプ型と;該第一のサブクランプ型の前記第二のクランプ型収容孔内に摺動可能に収容され、該第二のクランプ型収容孔の底部から所定距離突出・移動するように付勢されて、かかる第二のクランプ型収容孔の底面との間に所定の間隙が形成せしめられる第二のサブクランプ型と;かかる第二のサブクランプ型を貫通し、更に前記第一のサブクランプ型の第二のクランプ型収容孔の底部を貫通して、前記メインクランプ型の第一のクランプ型収容孔の底部の保持孔に達し、該保持孔と一体とされた、前記パイプ素材が該第二のサブクランプ型の突出・移動方向における前端面から所定長さ突出した状態において収容されるパイプ収容孔と;前記メインクランプ型と前記第一のサブクランプ型との間及び該第一のサブクランプ型と前記第二のサブクランプ型との間にそれぞれ設けられて、前記パイプ素材の管壁部位の径方向外方への膨出をそれぞれ許容する第一及び第三の環状膨出部成形部とを有するクランプ型と、
b)前記第一のサブクランプ型における第二のクランプ型収容孔の開口部側端部の端面に当接して押圧し、該第一のサブクランプ型を前記メインクランプ型の前記第一のクランプ型収容孔内に押し込むことにより、前記第一の環状膨出部成形部内に、該パイプ素材の管壁部位を径方向外方に膨出せしめて、前記第一の環状膨出部を形成する第一のパンチ型と、
c)前記第二のサブクランプ型から突出している前記パイプ素材の端部に当接して、その軸方向に押圧し、更に、該第二のサブクランプ型の突出・移動方向における前端面に当接して押圧せしめて、該第二のサブクランプ型を前記第一のサブクランプ型の第二のクランプ型収容孔内に押し込むことにより、前記第三の環状膨出部成形部内に、前記パイプ素材の管壁部位を径方向外方に膨出せしめて、前記第三の環状膨出部を形成する第二のパンチ型と、
d)該第二のパンチ型と前記第二のサブクランプ型との間に設けられて、該第二のパンチ型による前記パイプ素材の軸方向の押圧操作によって、かかるパイプ素材の管壁部位を径方向外方に膨出せしめて、前記第二の環状膨出部を、前記第三の環状膨出部の形成に先立って、形成する第二の環状膨出部成形部とを、
備えたことを特徴とする環状膨出部を有するパイプ部材の成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状膨出部を有するパイプ部材の製造方法及び装置に係り、特に、3つの環状膨出部を有するパイプ部材を、生産性良く製造し得る方法と、そのための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両配管用や各種の装置、機器等に用いられているパイプに対して、ゴムホースや樹脂ホース等のホース類を接続すべく、パイプの先端部には、所定の距離を隔てて複数の環状膨出部、所謂スプール部乃至はバルジ部が突出形成されている。それら複数の環状膨出部に跨がるように、ホース類を差し込んでなる状態において、その環状膨出部間に位置するホース部位をクランプ金具にて締め付けることにより、ホース類とパイプとの接続部分のシール性が有利に確保され得ると共に、パイプからのホースの抜け落ちが良好に防止され得ることとなるからである。
【0003】
そして、そのような複数の環状膨出部を有利に形成するために、特公平1-38571号公報や特開2007-152384号公報等においては、上下にそれぞれ分割された固定金型と可動金型とを用い、それら固定金型と可動金型との間に形成されたパイプ収容孔内に、加工されるべきパイプを収容して、クランプした状態において、スライド金型をパイプの端部に押し当てて、軸方向に押し込むようにプレスすることにより、固定金型と可動金型との間及び可動金型とスライド金型との間にそれぞれ設けられた成形凹所内に、かかるパイプの管壁部位を変形させて、収容せしめることにより、軸方向に所定の距離を隔てて位置する、2つの環状膨出部が形成されてなるパイプを得るようにした装置が、明らかにされている。
【0004】
しかしながら、それら公報に開示の装置は、パイプの一方の端部側の部位に所定距離を隔てて2つの環状膨出部を形成し得るに過ぎないものであって、それら2つの環状膨出部に加えて、更に、パイプの他方の端部側の部位にも環状膨出部を形成して、合計3つの環状膨出部が形成されてなるパイプを製造し得るものではなく、また、そこでは、そのような3つの環状膨出部を有するパイプを製造し得る技術については、何等明らかにされていない。
【0005】
特に、車両用モータオイルクーラー、EGRクーラー、角形エンジンオイルクーラー、ウォーター&ウォーマークーラー等の熱交換器の本体に対して、冷却液等の液体を流通せしめるホースを接続するに際しては、接続部材としての金属製のパイプを用い、その一方の端部側に、ホースを接続するための2つの環状膨出部が設けられる一方、他方の端部側には、熱交換器本体等の液出入口に対するろう付けのための環状膨出部が、更に設けられることとなるのであるが、それら3つの環状膨出部を有するパイプを生産性良く製造し得る有効な手法については、未だ、提案されていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特公平1-38571号公報
【文献】特開2007-152384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここにおいて、本発明は、かくの如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、目的とする3つの環状膨出部を有するパイプ部材を、生産性良く且つ工業的に有利に製造し得る方法、並びにそのための装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、本発明にあっては、先ず、前記した課題を解決すべく、直管状のパイプ素材のプレス加工により、軸方向の一方の端部側部位に位置する第一の環状膨出部と、軸方向の他方の端部側部位に位置する第二の環状膨出部と、軸方向の中間部位に位置する第三の環状膨出部とを有するパイプ部材を製造する方法にして、(1)メインクランプ型の型内に第一のサブクランプ型を、更に該第一のサブクランプ型の型内に第二のサブクランプ型を、それぞれ、独立して軸方向に移動可能に且つ同軸的に配置する一方、それら第一及び第二のサブクランプ型を貫通して、該メインクランプ型の型内に達するパイプ収容孔を設けると共に、該第一のサブクランプ型を軸方向に押し込む第一のパンチ型と、前記パイプ素材及び前記第二のサブクランプ型を軸方向に押し込む第二のパンチ型とを具備せしめてなる成形装置を準備する工程と、(2)前記パイプ素材を該成形装置の前記パイプ収容孔内に配置して、クランプしてなる状態において、前記第一のパンチ型にて、前記第一のサブクランプ型を軸方向に押圧して、かかるパイプ素材に軸方向の押圧変形作用を加えることにより、前記メインクランプ型と前記第一のサブクランプ型との間で、該パイプ素材の管壁部位を径方向外方に膨出せしめて、前記第一の環状膨出部を形成する工程と、(3)前記第二のパンチ型にて、前記パイプ素材を軸方向に押圧変形せしめて、該第二のパンチ型を前記第二のサブクランプ型に当接せしめ、更に該第二のサブクランプ型が前記第一のサブクランプ型に当接するように、該第二のサブクランプ型を軸方向に押し込んで、該パイプ素材に軸方向の押圧変形作用を加えることにより、それら第二のパンチ型と第二のサブクランプ型との間及び第二のサブクランプ型と第一のサブクランプ型との間で、それぞれ、該パイプ素材の管壁部位を径方向外方に膨出せしめて、前記第二の環状膨出部及び前記第三の環状膨出部をそれぞれ形成する工程とを、含むことを特徴とする環状膨出部を有するパイプ部材の製造方法を、その要旨とするものである。
【0009】
また、本発明にあっては、上記した環状膨出部を有するパイプ部材の製造方法に有利に用いられる成形装置として、直管状のパイプ素材のプレス加工により、軸方向の一方の端部側部位に位置する第一の環状膨出部と、軸方向の他方の端部側部位に位置する第二の環状膨出部と、軸方向の中間部位に位置する第三の環状膨出部とを有するパイプ部材を成形するための装置にして、a)一方の型端面に開口する第一のクランプ型収容孔を有すると共に、該第一のクランプ型収容孔の底部に、前記パイプ素材の一方の端部側の部位が挿入されて、保持される保持孔が形成されてなるメインクランプ型と;該メインクランプ型の第一のクランプ型収容孔内に摺動可能に収容され、筒内が第二のクランプ型収容孔とされた有底筒体からなり、該メインクランプ型の前記一方の型端面側に所定距離突出・移動するように付勢されて、該第一のクランプ型収容孔の底面との間に所定の間隙が形成せしめられる第一のサブクランプ型と;該第一のサブクランプ型の前記第二のクランプ型収容孔内に摺動可能に収容され、該第二のクランプ型収容孔の底部から所定距離突出・移動するように付勢されて、かかる第二のクランプ型収容孔の底面との間に所定の間隙が形成せしめられる第二のサブクランプ型と;かかる第二のサブクランプ型を貫通し、更に前記第一のサブクランプ型の第二のクランプ型収容孔の底部を貫通して、前記メインクランプ型の第一のクランプ型収容孔の底部の保持孔に達し、該保持孔と一体とされた、前記パイプ素材が該第二のサブクランプ型の突出・移動方向における前端面から所定長さ突出した状態において収容されるパイプ収容孔と;前記メインクランプ型と前記第一のサブクランプ型との間及び該第一のサブクランプ型と前記第二のサブクランプ型との間にそれぞれ設けられて、前記パイプ素材の管壁部位の径方向外方への膨出をそれぞれ許容する第一及び第三の環状膨出部成形部とを有するクランプ型と、b)前記第一のサブクランプ型における第二のクランプ型収容孔の開口部側端部の端面に当接して押圧し、該第一のサブクランプ型を前記メインクランプ型の前記第一のクランプ型収容孔内に押し込むことにより、前記第一の環状膨出部成形部内に、該パイプ素材の管壁部位を径方向外方に膨出せしめて、前記第一の環状膨出部を形成する第一のパンチ型と、c)前記第二のサブクランプ型から突出している前記パイプ素材の端部に当接して、その軸方向に押圧し、更に、該第二のサブクランプ型の突出・移動方向における前端面に当接して押圧せしめて、該第二のサブクランプ型を前記第一のサブクランプ型の第二のクランプ型収容孔内に押し込むことにより、前記第三の環状膨出部成形部内に、前記パイプ素材の管壁部位を径方向外方に膨出せしめて、前記第三の環状膨出部を形成する第二のパンチ型と、d)該第二のパンチ型と前記第二のサブクランプ型との間に設けられて、該第二のパンチ型による前記パイプ素材の軸方向の押圧操作によって、かかるパイプ素材の管壁部位を径方向外方に膨出せしめて、前記第二の環状膨出部を、前記第三の環状膨出部の形成に先立って、形成する第二の環状膨出部成形部とを、備えたことを特徴とする環状膨出部を有するパイプ部材の成形装置を、その要旨とするものである。
【発明の効果】
【0010】
このように、本発明に従う、環状膨出部を有するパイプ部材の製造方法、及びそのための装置によれば、メインクランプ型の型内に、第一のサブクランプ型と第二のサブクランプ型とを、それぞれ、独立して軸方向に移動可能に且つ同軸的に配置してなる状態において、パイプ素材をクランプして、第一及び第二のパンチ型を用いて、順次、かかるパイプ素材を軸方向に押圧変形させることにより、メインクランプ型と第一のサブクランプ型との間、第一のサブクランプ型と第二のサブクランプ型との間、更には第二のサブクランプ型と第二のパンチ型との間で、それぞれ、パイプ素材の管壁部位を径方向外方に膨出せしめて、第一、第三及び第二の環状膨出部をそれぞれ形成せしめるものであるところから、それら3つの環状膨出部の形成が、生産性良く且つ工業的に有利に実現され得ることとなったのであり、以て、工程の短縮が効果的に実現され、ひいては製品コストの低減にも有利に寄与し得ることとなったのである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の対象とする、環状膨出部を有するパイプ部材の一例を示す説明図であって、(a)は、その正面説明図であり、(b)は、(a)におけるA-A断面説明図である。
図2】本発明に従って、パイプ素材から、第一の環状膨出部、更には、第二及び第三の環状膨出部を順次形成する工程を示す説明図である。
図3】本発明に従う、環状膨出部を有するパイプ部材の成形装置におけるクランプ型の一例を示す正面説明図である。
図4図3に示されるクランプ型における下型と、本発明に従う成形装置を構成する2つのパンチ型とを組み合わせてなる形態を示す平面説明図である。
図5図3に示される成形装置における下型についての説明図であって、(a)は、その右側面説明図であり、(b)は、図3におけるB-B断面説明図であり、(c)及び(d)は、それぞれ、(b)におけるC-C断面及びD-D断面説明図である。
図6】本発明に従う、環状膨出部を有するパイプ部材の製造方法における第一の環状膨出部を形成するまでの工程を示す下型の平面形態説明図(パイプ素材のみ断面形態にて示されている)であって、(a)は、成形装置におけるクランプ型の下型にパイプ素材をセットした状態を示す平面説明図であり、(b)は、第一のパンチ型にて第一のサブクランプ型を押圧して、パイプ素材に第一の環状膨出部を形成してなる形態を示す平面説明図である。
図7図6に示される工程に続く、本発明に従う環状膨出部を有するパイプ部材の製造方法の残余の工程を示す下型の平面形態説明図(パイプ素材のみ断面形態にて示されている)であって、(a)は、第一のパンチ型に代えて、第二のパンチ型を、クランプ型に対して対向配置せしめてなる形態を示す平面説明図であり、(b)は、第二のパンチ型にて第二のサブクランプ型とパイプ素材を押圧して、第二及び第三の環状膨出部をそれぞれ形成してなる形態を示す平面説明図であり、(c)は、第二のパンチ型を後退させて、クランプ型より切り離してなる形態を示す平面説明図である。
図8】本発明に従う環状膨出部を有するパイプ部材の成形装置における付勢手段の他の一例を示す説明図であって、(a)は、下型の平面形態説明図であり、(b)は、(a)における下型の正面形態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る、環状膨出部を有するパイプ部材の製造方法、及びそこで用いられる成形装置についての構成を、更に具体的に明らかにするために、本発明の代表的な実施の形態に基づいて、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0013】
先ず、図1には、本発明において対象とされる、3つの環状膨出部を有するパイプ部材の一例が示されている。そこにおいて、パイプ部材2は、鉄やアルミニウム、銅等の金属材質からなるものであって、その軸方向の一方の端部側の部位に位置するように、管壁部位が径方向外方に膨出せしめられてなる形態において、第一の環状膨出部4が形成されており、また、軸方向の他方の端部側部位に位置するように第二の環状膨出部6が、更には軸方向の中間部位に位置するように第三の環状膨出部8が、それぞれ、第一の環状膨出部4と同様に、管壁部位が径方向外方に膨出せしめられてなる形態において、形成されている。なお、このようなパイプ部材2は、接続部材として、例えば、熱交換器における液出入口とホースとの接続に用いられるものであって、かかるパイプ部材2の第一の環状膨出部4側において、熱交換器の液出入口に対して、ろう付け固定せしめられる一方、第二及び第三の環状膨出部6,8に跨がるように、所定のホースが外嵌せしめられて、クランプ金具等を用いて緊締されることによって、ホースが確実に接続せしめられ得るようになっている。
【0014】
そして、上述の如き3つの環状膨出部4,6,8を有するパイプ部材2は、本発明に従って、図2に示される如くして製造されることとなるのである。即ち、所定の金属材質からなる直管状のパイプ素材10を用いて、それを所定の成形型にクランプした状態において、軸方向に押圧するプレス加工を実施することにより、かかる成形型に設けられた第一の環状膨出部成形部内に、パイプ素材10の管壁部位を径方向外方に膨出せしめて、成形することにより、先ず、第一の環状膨出部4が形成される。次いで、かかるパイプ素材10の端部を更に押圧するプレス加工を実施することにより、第二及び第三の環状膨出部成形部において、それぞれ、パイプ素材10の管壁部位を径方向外方に膨出せしめて、第二の環状膨出部6及び第三の環状膨出部8が形成されるようにすることによって、目的とする3つの環状膨出部4,6,8を有するパイプ部材2が製造されるのである。
【0015】
具体的には、そのようなパイプ部材2の製造に際しては、先ず、メインクランプ型の型内に第一のサブクランプ型を、更に該第一のサブクランプ型の型内に第二のサブクランプ型を、それぞれ、独立して軸方向に移動可能に、且つ同軸的に配置する一方、それら第一及び第二のサブクランプ型を貫通して、該メインクランプ型の型内に達するパイプ収容孔を設けると共に、該第一のサブクランプ型を軸方向に押し込む第一のパンチ型と、前記パイプ素材及び前記第二のサブクランプ型を軸方向に押し込む第二のパンチ型とを具備せしめてなる成形装置が準備され、この成形装置のパイプ収容孔内にパイプ素材10を配置して、クランプしてなる状態において、第一のパンチ型にて、第一のサブクランプ型をパイプ素材10の軸方向に押圧して、かかるパイプ素材10に軸方向の押圧変形作用を加えることにより、メインクランプ型と第一のサブクランプ型との間で、パイプ素材10の管壁部位を径方向外方に膨出せしめて、第一の環状膨出部4が形成されるのである。
【0016】
次いで、第二のパンチ型を用いて、パイプ素材10を軸方向に押圧変形せしめて、第二のパンチ型を第二のサブクランプ型に当接せしめ、更に第二のサブクランプ型が第一のサブクランプ型に当接するように、第二のサブクランプ型を軸方向に押し込んで、パイプ素材10に軸方向の押圧変形作用を加えることにより、それら第二のパンチ型と第二のサブクランプ型との間、及び第二のサブクランプ型と第一のサブクランプ型との間で、順次、かかるパイプ素材10の異なる管壁部位を、それぞれ径方向外方に膨出せしめて、第二の環状膨出部6と第三の環状膨出部8とが、順次、形成せしめられるようにすることにより、目的とする3つの環状膨出部4,6,8を有するパイプ部材2が、製造されることとなる。
【0017】
ところで、図3乃至図5には、上述の如き3つの環状膨出部4,6,8を有するパイプ部材2の製造に好適に用いられる成形装置の一例が、示されている。そこにおいて、成形装置におけるクランプ型12は、図3から明らかな如く、半割形状を呈する、同一構造の対称的な上型12Uと下型12Lとから構成されており、それら上型12Uと下型12Lとの型合わせによって、それらの間に形成されるパイプ収容孔14(14U+14L)内に、パイプ素材10を収容せしめて、クランプし得るようになっている。そして、かかるクランプ型12は、それぞれ同軸的に配された、メインクランプ型16と、このメインクランプ型16内に軸方向に所定距離移動可能に収容された第一のサブクランプ型18と、更に、この第一のサブクランプ型18の型内に軸方向に所定距離移動可能に収容された第二のサブクランプ型20とを備えている。なお、それら型成分は、半体形状において、それぞれ、上型12Uと下型12Lとを構成するようになっているところから、それら上型12Uや下型12Lにおいて、その構成型成分には、それぞれ、数字の後に「U」又は「L」を付けて、表示することとする。従って、数字と「U」又は「L」の組合せにて示される型成分は、その半体形状を示すものとして、理解されるべきものである。
【0018】
このように、上型12Uと下型12Lとは同様な構造を有するものであるところから、下型12Lの説明をもって、上型12Uの説明に代えることとして、以下においては、下型12Lについて説明することとする。
【0019】
先ず、下型12Lにおいて、その外郭を構成するメインクランプ型16Lは、図3乃至図5より明らかな如く、一方の型端面に開口する矩形の第一のクランプ型収容孔22Lを有すると共に、この第一のクランプ型収容孔22Lの底部(図4における上側の端部)に、パイプ素材10の一方の端部側の部位が挿入されて保持される保持孔24Lが、形成されてなる構造とされている。また、かかるメインクランプ型16Lの第一のクランプ型収容孔22L内に摺動可能に収容され、筒内が矩形の断面形状を呈する第二のクランプ型収容孔26Lとされた有底の矩形筒体からなる第一のサブクランプ型18Lが設けられており、更に、かかる第一のサブクランプ型18Lの第二のクランプ型収容孔26L内には、全体として矩形形状を呈する第二のサブクランプ型20Lが、摺動可能に収容、配置せしめられている。なお、それら第一のサブクランプ型18Lや第二のサブクランプ型20Lの浮き上がりを阻止するために、図3図4、更には図5(c)及び(d)から明らかな如く、それら第一及び第二のサブクランプ型18L,20Lの両側部を押さえる規制片28L,30Lが、それぞれ、メインクランプ型16L及び第一のサブクランプ型18Lにボルト固定せしめられている。
【0020】
また、図4図5から明らかなように、メインクランプ型16Lの第一のクランプ型収容孔22Lの底部と、第一のサブクランプ型18Lの第二のクランプ型収容孔26Lの底部との間に、第一のコイルバネ32Lが配設されており、この第一のコイルバネ32Lの付勢力によって、第一のサブクランプ型18Lを構成する有底筒体の開口部側端部が、メインクランプ型16Lの一方の型端面(図4において下側の端面)から、所定長さ突出せしめられている。そして、それによって、第一のサブクランプ型18Lの底部の外側面とメインクランプ型16Lの第一のクランプ型収容孔22Lの底面との間に、所定の第一の間隙34Lが形成されているのである。加えて、第一のサブクランプ型18Lの第二のクランプ型収容孔26Lの底面と、それに対向する第二のサブクランプ型20Lの内側面との間にも、第二のコイルバネ36Lが配設されて、第一のサブクランプ型18Lのメインクランプ型16Lから突出せしめられる部位の端面から更に所定長さ突出するように付勢されており、これによって、第一のサブクランプ型18Lの第二のクランプ型収容孔26Lの底面とそれに対向する第二のサブクランプ型20Lの内側面との間に、所定の第二の間隙38Lが形成せしめられている。なお、それら第一のサブクランプ型18L及び第二のサブクランプ型20Lの突出量は、図5(b)に示される如く、メインクランプ型16Lの端面に固定された第一のストッパ40Lと、第一のサブクランプ型18Lの型端面に固定された第二のストッパ42Lにて、それぞれ、規制され得るようになっている。
【0021】
さらに、図4図5より明らかな如く、第二のサブクランプ型20Lを貫通して、更に第一のサブクランプ型18Lの底部を貫通するように、それら第二のサブクランプ型20L及び第一のサブクランプ型18Lの上面に、半円形の孔が設けられて、メインクランプ型16Lの前記保持孔24Lに達し、かかる保持孔24Lと一体となる、パイプ収容孔14Lが設けられており、このパイプ収容孔14L内に、パイプ素材10が、第二のサブクランプ型20Lの突出・移動側部位の端面から更に所定長さ突出した状態において、収容せしめられ得るようになっている。
【0022】
そして、上述の如く、メインクランプ型16Lの第一のクランプ型収容孔22L内に、第一のサブクランプ型18Lを収容すると共に、更に、第一のサブクランプ型18Lの第二のクランプ型収容孔26L内に、第二のサブクランプ型20Lを収容してなる形態のクランプ型12において、メインクランプ型16Lと第一のサブクランプ型18Lとの間及び第一のサブクランプ型18Lと第二のサブクランプ型20Lとの間に、それぞれ、第一及び第三の環状膨出部成形部44L,46Lが設けられて、パイプ素材10の管壁部位の径方向外方への膨出を、それぞれ、許容し得るようになっている。なお、ここでは、それら第一及び第三の環状膨出部成形部44L,46Lは、それぞれ、第一のサブクランプ型18Lのパイプ収容孔14Lの出口側部位(第一の間隙34L側部位)及び第二のサブクランプ型20Lのパイプ収容孔14Lの出口側部位(第二の間隙38L側部位)に設けられた、パイプ収容孔14Lよりも大径の窪みによって構成されており、それら窪みの大きさにより、形成される第一及び第三の環状膨出部4,8のそれぞれの大きさが規定されるようになっている。
【0023】
また、図4に示される如く、第一のパンチ型50と第二のパンチ型52とが、メインクランプ型16Lにおける第一のサブクランプ型18Lや第二のサブクランプ型20Lの配設された側の型端面に対向位置せしめられ得るように、配設されている。そして、これら2つのパンチ型50,52にて、パイプ素材10や第一のサブクランプ型18L、第二のサブクランプ型20Lを、それらの型に作用せしめられている付勢力に抗して、押し込んで、パイプ素材10をプレス変形させることにより、目的とする第一乃至第三の環状膨出部4,6,8が、それぞれ、形成されるようになっているのである。具体的には、第一のパンチ型50においては、その両側の押圧部50a,50aが、第二のサブクランプ型20Lの横幅よりも大なる間隙を有するように設けられて、それら2つの押圧部50a,50aが、第一のサブクランプ型18Lの型端面に当接せしめられ、かかる第一のサブクランプ型18Lのみが第一のコイルバネ32Lの付勢力に抗して、メインクランプ型16Lの第一のクランプ型収容孔22L内に押し込まれ得るようになっている。なお、それら押圧部50a,50aの間の間隙は、第一のサブクランプ型18Lから突出する第二のサブクランプ型20Lの突出部位が収容され、更に第二のサブクランプ型20Lから突出せしめられるパイプ素材10の突出部位が収容される大きさの収容空間50bとされている。そして、パイプ素材10の突出端面が、収容空間50bの底面に当接されてなる形態において、第一のパンチ型50の押圧部50a、50aにて第一のサブクランプ型18Lを押し込み操作することによって、パイプ素材10が、その軸方向に押圧プレスされて、メインクランプ型16Lと第一のサブクランプ型18Lとの間に形成される第一の環状膨出部形成部44L内に、パイプ素材10の管壁部位を径方向外方に膨出せしめることによって、第一の環状膨出部4が形成されるようになっている。
【0024】
さらに、第二のパンチ型52は、第一のパンチ型50に代わって、メインクランプ型16Lに対向配置せしめられ得るようになっており、パイプ素材10の突出端面に当接して、その軸方向に押圧力が作用せしめられるようになっていると共に、かかるメインクランプ型16Lの第一のクランプ型収容孔22L内に収容された第一のサブクランプ型18Lの第二のクランプ型収容孔26L内に収容された第二のサブクランプ型20Lの突出端面に当接して、第二のサブクランプ型20Lを、第二のコイルバネ36Lの付勢力に抗して、第一のサブクランプ型18Lの第二のクランプ型収容孔26L内に押し込み得るようになっている。
【0025】
具体的には、かかる第二のパンチ型52において、その第二のサブクランプ型20Lの押し込み面には、第二のサブクランプ型20Lから突出するパイプ素材10の突出長さよりも浅い深さを有する、内壁面が外方に向かって拡大するテーパ形状とされたテーパ孔52aが設けられており、このテーパ孔52a内に、パイプ素材10の突出部位を収容して、その突出端面をテーパ孔52aの底面に当接せしめてなる状態において、第二のパンチ型52による押し込みを行うことによって、パイプ素材10は、先ず、第二のパンチ型52のテーパ孔52aの形状に従って、その押圧側端部において径方向外方に膨出変形されることとなり、これにより、第二の環状膨出部6が形成されることとなる。次いで、第二のパンチ型52が第二のサブクランプ型20Lに当接して、更に第二のサブクランプ型20Lが押圧されると、第二の間隙38L内に位置するパイプ素材10部位がプレス変形されて、第二のサブクランプ型20Lのパイプ収容孔14L出口部位に設けられた第三の環状膨出部成形部46Lに、その管壁部位が径方向外方に膨出せしめられ、第三の環状膨出部8が形成されるようになるのである。従って、ここでは、第二のパンチ型52に設けられたテーパ孔52aのテーパ形状によって、パイプ素材10が外方に膨出変形し得る窪みが形成されて、それが、第二の環状膨出部成形部54を構成している。
【0026】
なお、上述の如きクランプ型12と、第一のパンチ型50と、第二のパンチ型52とを用いて、パイプ素材10に、3つの環状膨出部4,6,8を形成するに際しては、先ず、図6(a)に示されるように、所定の金属材質からなるパイプ素材10が、メインクランプ型16の保持孔24に至るように、第二のサブクランプ型20及び第一のサブクランプ型18を貫通して、延びるパイプ収容孔14内に、配置されることとなる。そして、第二のサブクランプ型20の型端面から第二の環状膨出部6の形成代に相当する長さにおいて、パイプ素材10を外方に突出せしめてなる形態において、上型12Uと下型12Lとが型合わせされて、クランプ型12内に、パイプ素材10がクランプせしめられる。その後、第一のパンチ型50が、その収容空間50b内に、第二のサブクランプ型20の突出部と、それよりも更に突出するパイプ素材10の突出部位とを収容してなる形態において、前進せしめられて、両側の押圧部50a,50aが、第二のサブクランプ型20の両側に位置する第一のサブクランプ型18の型端面にのみ、当接せしめられるようにされるのである。
【0027】
次いで、パイプ素材10は、図6(b)に示されるように、第一のパンチ型50の前進によって、第一のサブクランプ型18と第二のサブクランプ型20によるクランプ状態下において、メインクランプ型16の第一のクランプ型収容孔22の底面に、第一のサブクランプ型18が、第一のコイルバネ32の付勢力に抗して押圧せしめられることにより、メインクランプ型16と第一のサブクランプ型18との間に形成される第一の環状膨出部形成部44の空間内に膨出するように、その管壁部位が径方向外方に変形せしめられることとなり、以て、第一の環状膨出部4が形成されるのである。なお、その際、第二のサブクランプ型20には、第一のパンチ型50による押圧力は作用することがないところから、第三の環状膨出部形成部46におけるパイプ素材10の管壁部位の径方向外方への膨出は惹起されるようなことはない。
【0028】
その後、第一のパンチ型50は、後退せしめられて、第一のサブクランプ型18に対する押し込み作用が解除されることとなるが、そのような押し込み作用が解除されても、第一及び第二のサブクランプ型18,20のクランプ力やパイプ素材10とパイプ収容孔14内面との間の摩擦力によって、第一のサブクランプ型18の押し込み状態は保持されることとなるのであり、そしてその状態において、第一のパンチ型50に代わって配置された第二のパンチ型52による、パイプ素材10と第二のサブクランプ型20の軸方向への押し込み操作が開始される。即ち、図7(a)に示されるように、第一のパンチ型50に代わって配置された第二のパンチ型52が、そのテーパ孔52a内にパイプ素材10の突出端部が嵌入されてなる状態において、前進せしめられ、更に、第二のパンチ型52の前面が第二のサブクランプ型20の突出端面に当接せしめられて、パイプ素材10が、その軸方向に押し込められると、図7(b)に示される如く、第二のパンチ型52と第二のサブクランプ型20との間及び第二のサブクランプ型20と第一のサブクランプ型18との間にそれぞれ形成された第二及び第三の環状膨出部成形部54及び46内に、パイプ素材10の管壁部位が径方向外方に膨出して、入り込むことにより、目的とする第二及び第三の環状膨出部6,8が、順次形成されるようになるのである。その後、第二のパンチ型52が、図7(c)に示される如く、後退せしめられて、クランプ型12から取り外されることにより、パイプ素材10に対して、その軸方向に所定の間隔を隔てて第一乃至第三の環状膨出部4,6,8が形成されてなる形態の、目的とするパイプ部材2が、上型12Uと下型12Lとの型開きによって取り出され得ることとなるのである。
【0029】
このようにして、3つの環状膨出部4,6,8を有するパイプ部材2を製造するようにすれば、クランプ型12にパイプ素材10をクランプせしめてなる状態において、第一のパンチ型50による押圧プレス操作と、第二のパンチ型52による押圧・プレス操作とを順次実施するだけで、3つの環状膨出部4,6,8を有するパイプ部材2が、簡単に且つ容易に形成され得て、その作業性が有利に高められ得ることとなったのであり、以て、生産性の向上にも大きく寄与し得ることとなったのである。しかも、第一の環状膨出部4の形成と、第二、第三の環状膨出部6,8の形成とが、別個に行われることとなるところから、それら3つの環状膨出部4,6,8を同時に形成する場合の如く、クランプ型の動きによって個々の環状膨出部4,6,8の形状にバラツキが惹起されるようなことがなく、第一乃至第三の環状膨出部成形部44,46,54に対応した形状の環状膨出部として、有利に形成することが可能となるのである。
【0030】
以上、本発明の代表的な実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
【0031】
例えば、図3図5に例示のクランプ型12においては、第一のサブクランプ型18や第二のサブクランプ型20の付勢のために、コイルバネ32,36が用いられているが、これに代えて、図8(a)及び(b)に示される如く、メインクランプ型16内に配設された第一及び第二のエアシリンダ60,62にて突き出し作動せしめられる第一及び第二のピストン64,66にて、第一のサブクランプ型18及び第二のサブクランプ型20に対して、それぞれ、所定の付勢力を作用せしめるようにすることも可能である。特に、このようなエアシリンダ60,62による付勢力を利用することにより、第一乃至第三の環状膨出部4,6,8を形成した後、クランプ型12を構成する上型12Uと下型12Lの型開きを行うに先立って、第一及び第二のエアシリンダ60,62による付勢力を解除せしめるようにすれば、それら上型12Uと下型12Lとの型開きに際して、第一のサブクランプ型18や第二のサブクランプ型20が付勢状態に基づいて不意に移動することによって、パイプ部材2が損傷を受ける恐れがなくなる等の利点を享受することが出来ることとなる。
【0032】
また、例示の実施形態では、第二のサブクランプ型20及び第一のサブクランプ型18が、それぞれ、第一のサブクランプ型18の型端面及びメインクランプ型16の型端面から突出せしめられてなる構造が採用されており、本発明にあっては、そのような構造が第一及び第二のパンチ型50,52による押し込み操作を容易に行い得る上において、好適に採用され得るところであるが、そのような突出形態は、必ずしも必要とされるものではなく、第一及び第二のパンチ型50,52による押し込み操作が可能となる各種の形態が、適宜に採用されることとなる。
【0033】
さらに、第一乃至第三の環状膨出部4,6,8を形成するための第一乃至第三の環状膨出部成形部44,46,54が、それぞれ、窪み形態において、第一のサブクランプ型18、第二のサブクランプ型20、第二のパンチ型52の側においてのみ設けられているが、それに代えて、他方の部材側、即ち、メインクランプ型16のクランプ孔24開口部周り、第一のサブクランプ型18のパイプ収容孔14の内側開口部周り、第二のサブクランプ型20のパイプ収容孔14の突出部側開口部周りに設けることも可能であり、更には、それら両者に設けた窪みによって、目的とする第一乃至第三の環状膨出部成形部44,46,54を構成することも可能である。
【0034】
加えて、パイプ素材10の一方の端部に形成される第一の環状膨出部4の配設位置は、メインクランプ型16における保持孔24の長さ(深さ)によって、規定されるものであるところから、例示の如く、パイプ素材10の端部近傍のみならず、端部からある程度中心部側に変位した位置に設けられるようにすることも可能であり、更には、第二の環状膨出部6と第三の環状膨出部8との間の距離や、第三の環状膨出部8と第一の環状膨出部4との間の距離にあっても、それぞれ、第二のサブクランプ型20のパイプ収容孔14の延びる方向における長さや、第一のサブクランプ型18の底部の厚さによって、適宜に規定され得るものである。
【0035】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において、実施され得るものであり、そしてそのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることが、理解されるべきである。
【符号の説明】
【0036】
2 パイプ部材 4,6,8 環状膨出部
10 パイプ素材 12 クランプ型
12U 上型 12L 下型
14 パイプ収容孔 16 メインクランプ型
18 第一のサブクランプ型 20 第二のサブクランプ型
22 第一のクランプ収容孔 24 保持孔
26 第二のクランプ型収容孔 28,30 規制片
32 第一のコイルバネ 34 第一の間隙
36 第二のコイルバネ 38 第二の間隙
40 第一のストッパ 42 第二のストッパ
44 第一の環状膨出部成形部 46 第三の環状膨出部成形部
50 第一のパンチ型 50a 押圧部
50b 収容空間 52 第二のパンチ型
52a テーパ孔 54 第二の環状膨出部成形部
60 第一のエアシリンダ 62 第二のエアシリンダ
64 第一のピストン 66 第二のピストン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8