(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】生産情報管理方法、生産情報管理システム、及び、生産方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20230227BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2020077379
(22)【出願日】2020-04-24
【審査請求日】2021-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】598078746
【氏名又は名称】武州工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 英夫
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-293923(JP,A)
【文献】特開2000-210845(JP,A)
【文献】特開平9-50949(JP,A)
【文献】特開平8-264405(JP,A)
【文献】特開2000-66705(JP,A)
【文献】特開平10-328980(JP,A)
【文献】特開2002-196813(JP,A)
【文献】特開2006-48373(JP,A)
【文献】特開2006-18459(JP,A)
【文献】特開平10-80842(JP,A)
【文献】特開2000-135658(JP,A)
【文献】特開平2-53553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を加工して複数の製品を生産する生産工程に関する生産情報を管理する生産情報管理方法であって、
予め定められたイベントの発生時に当該イベントに関連する加工
である関連加工が施された被加工品が、予め定められた規格を満たすか否かを前記関連加工後に測定するステップと、
測定結果に対してタイムスタンプを付与するステップと、
前記測定結果と前記タイムスタンプとを含む測定結果ログを記憶部に記録するステップと、
前記製品を出荷用の1出荷ロットとしてロット化したときの当該1出荷ロットのロット情報に対してタイムスタンプを付与するステップと、
前記ロット情報と
当該ロット情報に対して付与された前記タイムスタンプとを含むロット化ログを前記記憶部に記録するステップと、
所定の前記製品の不良原因探索の際に、当該所定の前記製品が含まれる前記1出荷ロットの前記ロット情報に付与された前記タイムスタンプの日時から所定期間遡った日時までの期間内の前記タイムスタンプが付与された前記測定結果ログを抽出するステップと、
を備え
、
前記予め定められたイベントは、材料の変動、機械の変動、及び、加工者の変動を含む、
生産情報管理方法。
【請求項2】
請求項
1に記載の生産情報管理方法であって、
前記測定結果と前記ロット情報とを、当該測定結果及び当該ロット情報それぞれに付与された各タイムスタンプに基づいて、時系列順に出力するステップをさらに備える、
生産情報管理方法。
【請求項3】
材料を加工して複数の製品を生産する生産工程に関する生産情報を管理する生産情報管理システムであって、
予め定められたイベントの発生時に当該イベントに関連する加工
である関連加工が施された被加工品が、予め定められた規格を満たすか否かを前記関連加工後に測定する手段と、
測定結果に対してタイムスタンプを付与する手段と、
前記測定結果と前記タイムスタンプとを含む測定結果ログを記憶部に記録する手段と、
前記製品を出荷用の1出荷ロットとしてロット化したときの当該1出荷ロットのロット情報に対してタイムスタンプを付与する手段と、
前記ロット情報と
当該ロット情報に対して付与された前記タイムスタンプとを含むロット化ログを前記記憶部に記録する手段と、
所定の前記製品の不良原因探索の際に、当該所定の前記製品が含まれる前記1出荷ロットの前記ロット情報に付与された前記タイムスタンプの日時から所定期間遡った日時までの期間内の前記タイムスタンプが付与された前記測定結果ログを抽出する手段と、
を備え
、
前記予め定められたイベントは、材料の変動、機械の変動、及び、加工者の変動を含む、
生産情報管理システム。
【請求項4】
材料を加工する加工ステップと、
予め定められたイベントの発生時に当該イベントに関連する加工
である関連加工が施された被加工品が、予め定められた規格を満たすか否かを前記関連加工後に測定する測定ステップと、
前記測定
結果に対してタイムスタンプを付与する第1付与ステップと、
前記測定の結果と前記タイムスタンプとを含む測定結果ログを記憶部に記録する第1記録ステップと、
前記加工ステップにより生産された製品を出荷用の1出荷ロットとしてロット化するロット化ステップと、
前記1出荷ロットのロット情報にタイムスタンプを付与する第1付与ステップと、
前記ロット情報と
当該ロット情報に対して付与された前記タイムスタンプとを含むロット化ログを前記記憶部に記録する第2記録ステップと、
所定の前記製品の不良原因探索の際に、当該所定の前記製品が含まれる前記1出荷ロットの前記ロット情報に付与された前記タイムスタンプの日時から所定期間遡った日時までの期間内の前記タイムスタンプが付与された前記測定結果ログを抽出する抽出ステップと、
を備え
、
前記予め定められたイベントは、材料の変動、機械の変動、及び、加工者の変動を含む、
生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品の生産工程に関する生産情報を管理する生産情報管理方法及び生産情報管理システムと、材料を加工して製品を生産する生産方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばパイプ等の材料に対して、加工を行うことで製品を生産する生産方法では、複数の材料がロット化され、1ロットごとに各材料が加工されることで、製品の品質がロット単位で管理される。例えば、特許文献1では、製品ロットを構成する複数の製品の一部について抜き取り検査を行って、製品の品質をロット単位で管理している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の生産管理では、製品の出荷後に、出荷先で不良品の製品が発見された場合、その製品が、材料の加工段階でもともと不良品であったのか、出荷後に何等かの要因により不良品となってしまったのかを確認することが困難である。従って、従来は、出荷先で不良品の製品が発見された場合に、材料の加工段階で問題が無かったかを後から確認することが困難である。特許文献1でも、このようなことは考慮されていない。
【0005】
本発明は、出荷先で不良品の製品が発見された場合に、材料の加工段階で問題が無かったかを後から容易に確認できる生産情報管理方法、生産情報管理システム、及び、生産方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る生産情報管理方法は、材料を加工して複数の製品を生産する生産工程に関する生産情報を管理する生産情報管理方法であって、予め定められたイベントの発生時に当該イベントに関連する加工についての測定結果に対してタイムスタンプを付与するステップと、前記測定結果と前記タイムスタンプとを含む測定結果ログを記憶部に記録するステップと、前記製品を出荷用の1出荷ロットとしてロット化したときの当該1出荷ロットのロット情報に対してタイムスタンプを付与するステップと、前記ロット情報と前記タイムスタンプとを含むロット化ログを前記記憶部に記録するステップと、を備える。
【0007】
上記構成によれば、記憶部に記録された、測定結果に付与されたタイムスタンプとロット情報に付与されたタイムスタンプとにより、特定のロット化ログよりも過去一定期間の測定結果ログを特定できる。ここで、当該過去一定期間の測定結果ログそれぞれに含まれる測定結果が、所定の規格を満たしていれば、前記特定のロット化ログに対応する1出荷ロットについて、前記測定結果に対応する加工が、不良品を発生させている可能性は低い。このように、上記構成によれば、出荷先で不良品の製品が発見された場合に、材料の加工段階で問題が無かったか(例えば、材料の加工段階では問題が無かった又は問題があった可能性等)を後から容易に確認できる。上記加工についての測定結果は、上記イベントの発生後、当該イベントに関連する加工が行われた材料の特性を測定した測定結果、及び、加工方法(例えば、材料を加圧して加工するときの加圧の圧力)について測定した測定結果などを含む。
【0008】
前記予め定められたイベントは、材料の変動、機械の変動、及び、加工者の変動を含む、ようにしてもよい。
【0009】
上記3つの変動は、特に、加工後の材料の品質に影響を及ぼす。上記構成によれば、上記3つの変動後の測定結果を得ることができ、当該測定結果が所定の規格に合っていれば、1出荷ロットに不良品が含まれていない可能性が高くなる。これにより、製品を生産するための加工ステップでの加工については問題が無かったかの確認の精度が良くなる。
【0010】
前記測定結果と前記ロット情報とを、当該測定結果及び当該ロット情報それぞれに付与された各タイムスタンプに基づいて、時系列順に出力するステップをさらに備える、ようにしてもよい。
【0011】
上記構成によれば、測定結果とロット情報との関係を分かりやすく出力できる。
【0012】
本発明に係る生産情報管理システムは、材料を加工して複数の製品を生産する生産工程に関する生産情報を管理する生産情報管理システムであって、予め定められたイベントの発生時に当該イベントに関連する加工についての測定結果に対してタイムスタンプを付与する手段と、前記測定結果と前記タイムスタンプとを含む測定結果ログを記憶部に記録する手段と、前記製品を出荷用の1出荷ロットとしてロット化したときの当該1出荷ロットのロット情報に対してタイムスタンプを付与する手段と、前記ロット情報と前記タイムスタンプとを含むロット化ログを前記記憶部に記録する手段と、を備える。
【0013】
上記構成によれば、記憶部に記録された、測定結果に付与されたタイムスタンプとロット情報に付与されたタイムスタンプとにより、特定のロット化ログよりも過去一定期間の測定結果ログを特定できる。ここで、当該過去一定期間の測定結果ログそれぞれに含まれる測定結果が、所定の規格を満たしていれば、前記特定のロット化ログに対応する1出荷ロットについて、前記測定結果に対応する加工が、不良品を発生させている可能性は低い。このように、上記構成によれば、出荷先で不良品の製品が発見された場合に、材料の加工段階で問題が無かったか(例えば、材料の加工段階では問題が無かった又は問題があった可能性等)を後から容易に確認できる。上記加工についての測定結果は、上記イベントの発生後、当該イベントに関連する加工が行われた材料の特性を測定した測定結果、及び、加工方法(例えば、材料を加圧して加工するときの加圧の圧力)について測定した測定結果などを含む。
【0014】
本発明に係る生産方法は、材料を加工する加工ステップと、予め定められたイベントの発生時に当該イベントに関連する加工についての測定を行う測定ステップと、前記測定の結果にタイムスタンプを付与する第1付与ステップと、前記測定の結果と前記タイムスタンプとを含む測定結果ログを記憶部に記録する第1記録ステップと、前記加工ステップにより生産された製品を出荷用の1出荷ロットとしてロット化するロット化ステップと、前記1出荷ロットのロット情報にタイムスタンプを付与する第1付与ステップと、前記ロット情報と前記タイムスタンプとを含むロット化ログを前記記憶部に記録する第2記録ステップと、を備える。
【0015】
上記構成によれば、記憶部に記録された、測定結果に付与されたタイムスタンプとロット情報に付与されたタイムスタンプとにより、特定のロット化ログよりも過去一定期間の測定結果ログを特定できる。ここで、当該過去一定期間の測定結果ログそれぞれに含まれる測定結果が、所定の規格を満たしていれば、前記特定のロット化ログに対応する1出荷ロットについて、前記測定結果に対応する加工が、不良品を発生させている可能性は低い。このように、上記構成によれば、出荷先で不良品の製品が発見された場合に、材料の加工段階で問題が無かったか(例えば、材料の加工段階では問題が無かった又は問題があった可能性等)を後から容易に確認できる。上記加工についての測定の結果は、上記イベントの発生後、当該イベントに関連する加工が行われた材料の特性を測定した測定結果、及び、加工方法(例えば、材料を加圧して加工するときの加圧の圧力)について測定した測定結果などを含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、出荷先で不良品の製品が発見された場合に、材料の加工段階で問題が無かったかを後から容易に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る生産情報管理システム、及び、当該生産管情報管理システムが導入された工場の構成図である。
【
図3】(A)は、イベント情報の構成例を示す図である。(B)は、ロット情報の構成例を示す図である。
【
図4】イベント発生ログ、測定結果ログ、及び、ロット化ログの構成例を示す図である。
【
図5】
図1の第1コンピュータ~第3コンピュータにより実行されるイベント発生ログ等生成処理のフローチャートである。
【
図6】
図1の第4コンピュータにより実行されるロット化ログ生成処理のフローチャートである。
【
図7】
図1のサーバコンピュータが記憶するイベント発生ログ、測定結果ログ、及び、ロット化ログの構成例を示す図である。
【
図8】ロット化ログ等を検索するときの検索コンピュータ及びサーバコンピュータにより実行される処理のフローチャートである。
【
図9】ロット番号をキーとした検索結果として検索コンピュータに表示されるログの内容の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施の形態に係る生産情報管理システム、生産情報管理方法、及び、生産方法を、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、生産情報管理システム10は、工場Kに導入され、後述のイベント発生ログ等の各ログを生産情報として管理する。以下では、工場Kを説明してから、生産情報管理システム10について説明する。
【0019】
(工場K)
工場Kは、第1加工場21、第2加工場22、第3加工場23、及び、製品管理場24を備えている。第1加工場21は、曲げ装置31を備えており、第2加工場22は、切断装置32を備えている。第3加工場23は、プレス装置33を備えており、製品管理場24は、製品保管庫34を備えている。
【0020】
工場Kでは、材料となるパイプから切り出されたパイプP1を材料とし、当該パイプP1が第1加工場21~第3加工場23の各装置31~33により順次加工され、最終的にパイプ製品P4が生産される。パイプ製品P4は、製品保管庫34に保管され、在庫管理される。
【0021】
第1加工場21では、加工者41が曲げ装置31によりパイプP1を曲げ加工する。曲げ加工された後のパイプのことを、パイプP2ともいう。パイプP2は、第2加工場22に搬送される。第2加工場22では、加工者42が切断装置32によりパイプP2のうち余計な部分を切断する。切断加工された後のパイプのことを、パイプP3ともいう。
【0022】
パイプP3は、第3加工場23に搬送される。第3加工場23では、加工者43がプレス装置33によりパイプP3をプレス加工する。プレス加工後のパイプは、パイプ製品P4である。
【0023】
上記パイプP1~P3、及び、パイプ製品P4を総称して、パイプPということもある。第1加工場21~第3加工場23では、例えば、複数個のパイプPごとに加工が行われ、パイプ製品P4が大量生産される。なお、パイプP1~P3は、パイプ製品P4の材料といえる。パイプ製品P4は、第3加工場23で加工された後のパイプでもあり、加工後の材料ともいえる。
【0024】
第1加工場21~第3加工場23での各加工を経て生産された複数のパイプ製品P4は、製品管理場24の製品保管庫34で保管され、パイプ製品P4の在庫数が在庫管理者44により管理される。在庫管理者44は、顧客である注文者の注文に応じて、当該注文で指定された数のパイプ製品P4を取り出し、一ロットとして、注文者に出荷する。このようにして、保管庫34で保管された複数のパイプ製品P4のうち、注文により指定された数のパイプ製品P4が、当該パイプ製品P4を出荷するときに一ロットとしてロット化され、注文者に出荷される。なお、この出荷用のロットを、出荷ロットともいう。
【0025】
工場Kでは、予め定められたイベントが発生したとき、加工場21~23での各加工のうち当該イベントに関連する加工がなされた後のパイプPの特性が測定される。このイベントは、定期的に又は不定期で発生する事象のうちから選択されたものを含む。イベント及び当該イベントにより行われるパイプPの特性の測定は、パイプPの品質を保証するためのものを含む。このような品質の保証のため、イベントは、パイプPの品質に影響を与え得るイベントと、予め定められた定期的に到来するイベントと、を含む。パイプPの特性が測定される前記イベントに関連する加工は、各イベントに対応して予め定められており、例えば、前記イベントの発生によってパイプPの品質に影響が生じ得る加工(例えば、後述の3M変動等の発生により影響を受ける加工等)を含む。測定されるパイプPの特性は、ここでは、パイプPの寸法、特に、測定が行われる加工場での加工により変化する部分の寸法である。例えば、加工場21で測定が行われる場合には、パイプP2における曲げられた部分の長さや曲げ角度等が測定される。例えば、加工場22で測定が行われる場合には、パイプP3の切断面の寸法及び全長等が測定される。例えば、加工場23で測定が行われる場合には、パイプ製品P4のプレス部分の寸法、プレス後の厚さ等が測定される。
【0026】
上記イベントの種類としては、
図2に示すように、「材料(Material)の変動」と、「機械(Machine)の変動」と、「加工者(Man)の変動」と、「所定時刻の到来」と、がある。材料の変動、機械の変動、及び、加工者の変動との3つの変動は、3M変動とも呼ばれる。3つの変動のうちのいずれかが生じた場合に、上記3M変動が発生したことになる。
【0027】
「材料の変動」は、パイプPの原料の変更である。材料の変動は、第1加工場21~第3加工場23のいずれにおける加工にも影響が及ぶ。このため、これら変更が発生した場合には、当該変更後に、第1加工場21~第3加工場23それぞれで加工されたあとのパイプPの特性が測定される。
【0028】
「機械の変動」は、曲げ装置31、切断装置32、及び、プレス装置33のいずれかの加工装置を同じ加工が可能な新しい装置に変更すること(加工装置の全部変更)、これら加工装置の部品を変更すること(加工装置の一部変更)、及び、これら加工装置の設定を変更することのいずれかである。機械の変動があったときには、変動後の装置によって加工された後のパイプPの特性が測定される。例えば、曲げ装置31として新しい曲げ装置が導入されたときには、当該新しい曲げ装置31で曲げ加工された後のパイプP2の特性が加工者41により測定される。
【0029】
「加工者の変動」は、加工者41~43のいずれかが、他の加工者に変更されることである。例えば、第2加工場22の加工者42が他の加工者に交代したとき、当該他の加工者42が切断装置32を操作して加工した後のパイプP3の特性が当該加工者42により測定される。
【0030】
「所定時刻の到来」としては、ここでは、朝の始業開始時刻の到来、昼休み後の作業再開時刻の到来がある。所定時刻が到来したときには、第1加工場21~第3加工場23それぞれで、当該所定時刻の到来後に加工されたあとのパイプPについて測定が行われる。「所定時刻の到来」は、パイプPの品質を定期的に保証するために設けられている。
【0031】
なお、上記のパイプPを測定した測定結果が、予め定められた規格に合致しない場合、そのパイプPは、不良品のパイプPとして取り除かれる。第1加工場21~第3加工場23それぞれでは、関連するイベントの発生後、最初に加工した後のパイプPの特性が測定され、測定結果が規格を満たさない場合、そのパイプPが取り除かれる。その後、2番目に加工した後のパイプPの特性が測定され、測定結果が規格を満たさない場合、そのパイプPも取り除かれる。このように、パイプPの特性の測定は、その測定結果が規格を満たすまで、順次加工される複数のパイプPについて順次行われる。当該測定は、測定結果が規格を満たすパイプPが所定数に達するまで行われてもよい。測定結果が規格を満たしているパイプPは、取り除かれずに、測定終了後に加工されたパイプPとともに、後工程に進む。
【0032】
(生産情報管理システム10)
図1に示すように、生産情報管理システム10は、第1加工場21~第3加工場23、及び、製品管理場24にそれぞれ配置された第1コンピュータ11~第4コンピュータ14を備える。生産情報管理システム10は、さらに、検索用コンピュータ15と、サーバコンピュータ16と、を備える。コンピュータ11~15と、サーバコンピュータ16と、は、LAN(Local Area Network)等の工場K内のネットワークを介して通信可能となっている。
【0033】
コンピュータ11~15それぞれは、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ等からなる。コンピュータ11~15それぞれは、プログラム及び各種データを記憶する記憶装置と、記憶装置に記憶されたプログラムを実行し、各種データを用いて後述の処理を実行するプロセッサと、プロセッサのメインメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)と、を備える。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)等からなる。さらに、コンピュータ11~15は、各種画面を表示する表示装置と、タッチセンサ等の入力装置と、を備える。サーバコンピュータ16も同様に、記憶装置、プロセッサ、RAM、表示装置、及び、入力装置を備える。
【0034】
第1加工場21での加工に関連するイベントが発生した場合、第1コンピュータ11には、当該イベントに関する情報であるイベント情報と、当該イベントを契機とするパイプP2の特性の測定により得られた測定結果と、が入力される。イベント情報は、詳細は後述するが、イベントの種類及び内容を特定する情報である。測定結果は、測定対象、測定方法、測定結果の値等を含む。第1コンピュータ11は、所定の入力画面を表示して、イベント情報及び測定結果の入力を受け付ける。第1コンピュータ11は、入力されたイベント情報及び測定結果それぞれに、タイムスタンプを付与して、イベント発生ログ及び測定結果ログを生成する。イベント発生ログ及び測定結果ログの詳細は後述する。第1コンピュータ11は、生成した各ログをサーバコンピュータ16に送信する。
【0035】
上記と同様に、第2加工場22(又は第3加工場23)での加工に関連するイベントが発生した場合、第2コンピュータ12(又は第3コンピュータ13)には、当該イベントのイベント情報とパイプP3(又はパイプ製品P4)の特性の測定結果とが加工者42(又は加工者43)により入力される。第2コンピュータ12(又は第3コンピュータ13)は、入力されたイベント情報及び測定結果それぞれに、タイムスタンプを付与して、イベント発生ログ及び測定結果ログを生成する。第2コンピュータ12(又は第3コンピュータ13)は、生成した各ログをサーバコンピュータ16に送信する。
【0036】
製品管理場24において、パイプ製品P4が出荷のために一ロット化された場合、第4コンピュータ14には、ロット化された1出荷ロットに関する情報であるロット情報が入力される。ロット情報の詳細は後述する。第4コンピュータ14は、所定の入力画面を表示して、ロット情報の入力を受け付ける。第4コンピュータ14は、入力を受け付けたロット情報にタイムスタンプを付与して、ロット化ログを生成する。ロット化ログの詳細は後述する。第4コンピュータ14は、生成したロット化ログをサーバコンピュータ16に送信する。
【0037】
サーバコンピュータ16は、コンピュータ11~15から送信される、イベント発生ログ、測定結果ログ、及び、ロット化ログを、受信順に記憶していく。これにより、サーバコンピュータ16には、イベント発生ログ、測定結果ログ、及び、ロット化ログが蓄積される。
【0038】
検索用コンピュータ15は、工場Kの従業員等により操作され、サーバコンピュータ16にアクセスする。検索用コンピュータ15は、サーバコンピュータ16が記憶する各ログを検索可能に構成されており、検索結果を出力する。
【0039】
(イベント情報)
第1コンピュータ11~第3コンピュータ13に入力されるイベント情報は、イベントの内容を示す情報であり、
図3(A)に示すように、イベントの種類と、イベントの詳細情報と、を含んで構成されている。イベントの詳細情報は、イベントの内容の情報であり、イベントの種類が3M変動のいずれかである場合には、変動後の状態を特定する情報を含む。
【0040】
イベントの種類が「材料の変動」である場合、イベントの詳細情報は、当該「材料の変動」により変更された後のパイプの原料が何であるかを示す情報を含む。
【0041】
イベントの種類が「機械の変動」である場合、イベントの詳細情報は、当該「機械の変動」により変更された後の加工装置の情報を含む。「機械の変動」として、加工装置が入れ替えられた場合には、前記加工装置の情報は、入れ替えの旨の情報と、入れ替え後の加工装置を特定する型番等の情報と、を含む。「機械の変動」として、加工装置の部品が交換された場合には、前記加工装置の情報は、交換の旨の情報と、交換された部品つまり加工装置に新たに使用された部品の部品名や型番等の情報と、を含む。「機械の変動」として、加工装置の設定が変更された場合には、前記加工装置の情報は、設定変更の旨の情報と、変更後の設定値の情報と、を含む。
【0042】
イベントの種類が「加工者の変動」である場合、イベントの詳細情報は、当該「加工者の変動」により変更された後の新たな加工者の情報を含む。当該加工者の情報は、例えば、新たな加工者のID等からなる。
【0043】
イベントの種類が「所定時刻の到来」である場合、イベントの詳細情報は、当該所定時刻が、朝の始業開始時刻と昼休み後の作業再開時刻とのいずれであるかを特定する情報を含む。「所定時刻の到来」での、パイプPの特性の測定は、パイプPの品質を保証するための定期的な測定である。
【0044】
(ロット情報)
ロット情報は、
図3(B)に示すように、出荷ロットの内容を示す情報であり、出荷ロットを識別するためのロット番号、当該出荷ロットの出荷先、及び、当該出荷ロットを構成するパイプ製品P4の個数の各情報を含む。
【0045】
(イベント発生ログ、測定結果ログ、及び、ロット化ログ)
イベント発生ログ、測定結果ログ、及び、ロット化ログの各ログは、その基本的なデータ構造のフォーマットが共通化されている。各ログは、
図4に示すように、基本ログと詳細ログとのペアから構成されている。イベント発生ログは、イベント情報と当該イベント情報に付与されたタイムスタンプを含む。測定結果ログは、パイプPの測定結果と当該測定結果に付与されたタイムスタンプを含む。ロット化ログは、ロット情報と当該ロット情報に付与されたタイムスタンプを含む。なお、以下の説明では、イベント発生ログ、測定結果ログ、及び、ロット化ログの各ログを、総称して全体ログともいう。
【0046】
基本ログは、互いに対応付けられた、「基本ログID」と「タイムスタンプ」と「兄ログ特定情報」と「場所」と「ログ種別」とを含む。詳細ログは、互いに対応付けられた、「詳細ログID」と「基本ログ特定情報」と「内容情報」とを含む。
【0047】
基本ログが含む「基本ログID」は、当該基本ログを識別する識別情報である。基本ログIDとしては、ここでは「A00001」等が設定される。「タイムスタンプ」は、イベント情報、測定結果、又は、ロット情報に付与されたタイムスタンプである。タイムスタンプとしては、「2019/2/2 14:00」等の年月日及び時間が設定される。「兄ログ特定情報」は、当該基本ログを含む全体ログの兄となる全体ログを特定する。前記の兄となる全体ログは、測定結果ログに対するイベント発生ログとなる。従って、イベント発生ログ及びロット化ログでは、兄ログ特定情報はブランクとなる。測定結果ログでは、兄ログ特定情報として、兄となるログの基本ログID(例えば、「A00003」の基本ログIDを有する基本ログにおける「A00001」)が設定される。
【0048】
基本ログが含む「場所」は、全体ログの生成の契機となる、イベントが発生した場所、測定が行われた場所、又は、ロット化が行われた場所である。従って、前記の「場所」として、イベント発生ログ及び測定結果ログでは、第1加工場21~第3加工場23のいずれかが数値(「1」~「3」)により設定され、ロット化ログでは、製品管理場24が数値(数値「4」)により設定される。
【0049】
基本ログが含む「ログ種別」は、当該「ログ種別」を含む全体ログが、イベント情報を含むイベント発生ログ、測定結果を含む測定結果ログ、及び、ロット情報を含むロット化ログのいずれであるかを示す。イベント発生ログが含む「ログ種別」としては、イベント情報に含まれるイベントの種類が数値(「1」~「4」)により設定される。測定結果ログ及びロット化ログが含む「ログ種別」としては、「測定結果ログ」、「ロット化ログ」が数値(「5」、「6」)により設定される。
【0050】
詳細ログの「詳細ログID」は、当該詳細ログを識別する識別情報である。詳細ログIDとしては、ここでは「A00002」等が設定される。「基本ログ特定情報」は、当該詳細ログとペアになる基本ログを当該基本ログの基本ログIDで特定する。例えば、詳細ログの「基本ログ特定情報」が「A00001」であれば、当該詳細ログとペアになる基本ログは、当該「A00001」の「基本ログID」を有する基本ログとなる。この「基本ログ特定情報」により、基本ログと詳細ログとは互いに対応付けられる。さらに、詳細ログの「内容情報」は、全体ログの内容を示し、当該「内容情報」には、イベント情報のイベント詳細情報、測定結果、又は、ロット情報が設定される。
【0051】
「基本ログID」及び「詳細ログID」は、後述のように、コンピュータ11~14それぞれにより、全体ログを生成するたびに個別に生成される。各IDは、全体ログを生成するたびにインクリメントされる数値等からなる。各IDの先頭を、全体ログを生成するコンピュータ11~14それぞれで固有の文字とするとよい。例えば、第1コンピュータ11に生成された全体ログについては、各IDの先頭を「A」とする。同様に、コンピュータ12~14それぞれについて、「B」~「D」を設定する。これにより、コンピュータ11~14それぞれにより個別に生成される各IDの個別性が担保される。
【0052】
(イベント発生ログ等生成処理)
第1コンピュータ11~第3コンピュータ13それぞれは、
図5に示すイベント発生ログ等生成処理を実行することにより、上記イベント情報及び当該イベントに関連した加工後のパイプPを測定して得られた測定結果の入力の受け付け、イベント発生ログ及び測定結果ログの生成等を行う。以下、第1コンピュータ11がイベント発生ログ等生成処理を実行する場合について説明するが、第2コンピュータ12及び第3コンピュータ13がイベント発生ログ等生成処理を実行する場合の説明も以下の説明に準じる。
【0053】
第1コンピュータ11は、当該第1コンピュータ11のプロセッサがプログラムを実行することによりイベント発生ログ等生成処理を行う。第1コンピュータ11は、例えば、第1加工者41が当該第1コンピュータ11の入力装置を介してイベント情報の受付を指示する操作を入力したことを契機として、イベント発生ログ等生成処理を開始する。
【0054】
イベント発生ログ等生成処理の開始後、第1コンピュータ11は、当該第1コンピュータ11の表示装置に、イベント情報の入力画面を表示して、イベント情報の入力受付を開始する(ステップS101)。その後、第1コンピュータ11は、イベント情報が入力装置を介して入力されたかを判別する(ステップS102)。第1コンピュータ11は、イベント情報が未入力の場合(ステップS102;No)、再度ステップS102を実行する。このようにして、第1コンピュータ11は、イベント情報を受け付けるまで待機する。
【0055】
第1コンピュータ11は、イベント情報が入力された場合(ステップS102;Yes)、第1コンピュータ11に搭載されたRTC(Real Time Clock)等を参照して、当該イベント情報に対して現在時刻のタイムスタンプを付与する(ステップS103)。このタイムスタンプは、イベント情報が入力された日時を示し、イベントが発生したタイミングを表す。
【0056】
その後、第1コンピュータ11は、入力されたイベント情報、及び、当該イベント情報に付与したタイムスタンプを含むイベント発生ログを生成する(ステップS104)。例えば、第1コンピュータ11は、入力されたイベント情報のうちイベントの種類を、イベント発生ログを構成する基本ログの「ログ種別」に設定し、イベントの詳細情報を、詳細ログの「内容情報」に設定する。さらに、第1コンピュータ11は、イベント情報に付与したタイムスタンプを、基本ログの「タイムスタンプ」に設定する。さらに、第1コンピュータ11は、「基本ログID」及び「詳細ログID」を生成する。第1コンピュータ11は、「基本ログ特定情報」として前記生成した基本ログIDを設定する。第1コンピュータ11は、第1加工場21に配置されており、基本ログの「場所」として、第1加工場21を表す数値である「1」を設定する。このように、「場所」には、イベント発生ログ等生成処理を実行するコンピュータが設置された加工場又は製品管理場の数値が設定される。以上のようにして、第1コンピュータ11は、イベント発生ログを生成する。
【0057】
ステップS104のあと、第1コンピュータ11は、ステップS104で生成したイベント発生ログをサーバコンピュータ16に送信する(ステップS105)。サーバコンピュータ16は、イベント発生ログを受信した場合に、当該イベント発生ログを当該サーバコンピュータ16の記憶装置に記録する。
【0058】
ステップS105のあと、第1コンピュータ11は、当該第1コンピュータ11の表示装置に、上記測定結果の入力画面を表示して、測定結果の入力受付を開始する(ステップS106)。その後、第1コンピュータ11は、測定結果が入力装置を介して入力されたかを判別する(ステップS107)。第1コンピュータ11は、測定結果が未入力の場合(ステップS107;No)、再度ステップS107を実行する。このようにして、第1コンピュータ11は、測定結果を受け付けるまで待機する。
【0059】
第1コンピュータ11は、測定結果が入力された場合(ステップS107;Yes)、第1コンピュータ11に搭載されたRTC等を参照して、当該測定結果に対して現在時刻のタイムスタンプを付与する(ステップS108)。このタイムスタンプは、測定結果が入力された日時を示し、測定が行われたタイミングを表す。
【0060】
その後、第1コンピュータ11は、入力された測定結果、及び、当該測定結果に付与したタイムスタンプを含む測定結果ログを生成する(ステップS109)。例えば、第1コンピュータ11は、測定結果ログに割り当てられた数値である「5」を、測定結果ログを構成する基本ログの「ログ種別」に設定する。第1コンピュータ11は、前記入力された測定結果を、詳細ログの「内容情報」に設定する。さらに、第1コンピュータ11は、測定結果に付与したタイムスタンプを、基本ログの「タイムスタンプ」に設定する。さらに、第1コンピュータ11は、「基本ログID」及び「詳細ログID」を生成する。さらに、第1コンピュータ11は、「兄ログ特定情報」に、ステップS104で生成した測定結果ログの「基本ログID」の値を設定する。さらに、第1コンピュータ11は、「基本ログ特定情報」として前記生成した基本ログIDを設定する。さらに、第1コンピュータ11は、基本ログの「場所」として、第1加工場21を表す数値である「1」を設定する。以上のようにして、第1コンピュータ11は、測定結果ログを生成する。
【0061】
ステップS109のあと、第1コンピュータ11は、ステップS109で生成した測定結果ログをサーバコンピュータ16に送信する(ステップS110)。サーバコンピュータ16は、測定結果ログを受信した場合に、当該測定結果ログを当該サーバコンピュータ16の記憶装置に記録する。なお、測定結果ログは、「兄ログ特定情報」により、イベント発生ログに対応付けられる。
【0062】
(ロット化ログ生成処理)
第4コンピュータ14は、
図6に示すロット化ログ生成処理を実行することにより、上記ロット情報の入力の受け付け、ロット化ログの生成等を行う。第4コンピュータ14は、当該第4コンピュータ14のプロセッサがプログラムを実行することによりロット化ログ生成処理を行う。第4コンピュータ14は、例えば、在庫管理者44が当該第4コンピュータ14の入力装置を介してロット情報の受付を指示する操作を入力したことを契機として、ロット化ログ生成処理を開始する。
【0063】
イベント発生ログ等生成処理の開始後、第4コンピュータ14は、当該第4コンピュータ14の表示装置に、ロット情報の入力画面を表示して、ロット情報の入力受付を開始する(ステップS201)。その後、第4コンピュータ14は、ロット情報が入力装置を介して入力されたかを判別する(ステップS202)。第4コンピュータ14は、ロット情報が未入力の場合(ステップS202;No)、再度ステップS202を実行する。このようにして、第4コンピュータ14は、ロット情報の入力を受け付けるまで待機する。
【0064】
第4コンピュータ14は、ロット情報が入力された場合(ステップS202;Yes)、第4コンピュータ14に搭載されたRTC等を参照して、当該ロット情報に対して現在時刻のタイムスタンプを付与する(ステップS203)。このタイムスタンプは、ロット情報が入力された日時を示し、ロット化が行われたタイミングを表す。
【0065】
その後、第4コンピュータ14は、入力されたロット情報、及び、当該ロット情報に付与したタイムスタンプを含むロット化ログを生成する(ステップS204)。例えば、第4コンピュータ14は、入力されたロット情報を、ロット化ログを構成している詳細ログの「内容情報」に設定する。さらに、第4コンピュータ14は、該ロット情報に付与したタイムスタンプを、基本ログの「タイムスタンプ」に設定する。さらに、第4コンピュータ14は、「基本ログID」及び「詳細ログID」を生成する。第4コンピュータ14は、「基本ログ特定情報」として前記生成した基本ログIDを設定する。第4コンピュータ14は、製品管理場24に配置されており、基本ログの「場所」として、製品管理場24を表す数値である「4」を設定する。以上のようにして、第4コンピュータ14は、ロット化ログを生成する。
【0066】
ステップS204のあと、第4コンピュータ14は、ステップS204で生成したロット化ログをサーバコンピュータ16に送信する(ステップS205)。サーバコンピュータ16は、ロット化ログを受信した場合に、当該ロット化ログを当該サーバコンピュータ16の記憶装置に記録する。
【0067】
(サーバコンピュータ16に記憶される各ログ)
図1のサーバコンピュータ16は、コンピュータ11~14から送信されるイベント発生ログ、測定結果ログ、及び、ロット化ログの各ログを、その記憶装置に順次記憶していく。これにより、サーバコンピュータ16に、各ログが蓄積されていく。
図8に、サーバコンピュータ16に蓄積された各ログの一例を示す。
図8では、第1加工場21における「機械の変動」、第2加工場22における「機械の変動」、加工場21~23全てにおける「作業再開時刻の到来」、及び、製品管理場24における「一ロット化」が順に発生し、これらに関する各ログがサーバコンピュータ16に蓄積されている。具体的に、第1加工場21における「機械の変動」に係るログとして、「A0011」(基本IDログ。以下同じ)のイベント発生ログ、及び、「A0013」の測定結果ログがサーバコンピュータ16に記録されている。第2加工場22における「機械の変動」に係るログとして、「B0009」のイベント発生ログ、及び、「B0011」の測定結果ログがサーバコンピュータ16に記録されている。「所定時刻の到来」に係るログとして、「A0015」、「B0013」、「C0003」のイベント発生ログ、及び、「A0017」、「B0015」、「C0005」の測定結果ログがサーバコンピュータ16に記録されている。一ロット化されたときのロット化ログとして、「D0001」のロット化ログがサーバコンピュータ16に記録されている。
【0068】
(ログの検索等)
出荷済みの出荷ロットのパイプ製品P4に不良品が混ざっていると、当該出荷ロットの注文者である出荷先から工場Kにその旨の連絡が入る。この場合、工場Kの従業員等は、検索用コンピュータ15に、前記出荷ロットのロット番号を検索キーとして入力する。ロット番号は、例えば、出荷先の情報とともに、工場Kにより控えられているものとする。
【0069】
検索用コンピュータ15は、上記ロット番号の入力を契機として、サーバコンピュータ16とともに
図9の処理を行う。まず、検索用コンピュータ15は、入力されたロット番号をサーバコンピュータ16に送信する(ステップS301)。サーバコンピュータ16は、検索用コンピュータ15からロット番号を受信すると、サーバコンピュータ16が記憶する各ログから、このロット番号を有するロット化ログと、当該ロット化ログの「タイムスタンプ」の日時から所定期間遡った日時までの期間内のタイムスタンプを有するイベント発生ログ及び測定結果ログと、を抽出する(ステップS302)。前記所定期間は、前記ロット化ログのタイムスタンプの日時から所定期間遡った日時が、1出荷ロットを構成する全パイプ製品P4のうち、最初に生産されたパイプ製品P4の材料であるパイプP1が加工場21で加工される前の日時となる長さの時間である。所定期間は、予め設定されている。当該所定期間は、検索用コンピュータ15に、工場Kの従業員等により、前記ロット番号とともに入力されてもよい。この場合、検索用コンピュータ15は、ロット番号と前記所定期間とをサーバコンピュータ16に送信し、サーバコンピュータ16は、送信された所定期間に基づいて前記の検索を行う。
【0070】
サーバコンピュータ16は、ステップS302で抽出した、ロット化ログ、イベント発生ログ、及び、測定結果ログを、検索結果として、検索用コンピュータ15に送信する(ステップS303)。検索用コンピュータ15は、検索結果として送信された、ロット化ログ、イベント発生ログ、及び、測定結果ログを受信し、これらログの内容を出力する(ステップS304)。
【0071】
ステップS304において、検索用コンピュータ15は、例えば、
図9の一覧を表示する。当該一覧の一行が1つのログの内容を表している。
図9における「日時」の欄には、各ログの「タイムスタンプ」の日時が表示される。「場所」の欄には、各ログの「場所」の数値により示される場所(第1加工場21等)が表示される。「種別」の欄には、そのログの生成の契機を示すイベント等を特定する種別であって、各ログの「ログ種別」の数値に対応する種別が表示される。ログ種別の数値が「1」であれば「材料の変動」の文字列が表示され、「2」であれば「機械の変動」の文字列が表示され、「3」であれば「加工者の変動」の文字列が表示され、「4」であれば「所定時刻の到来」の文字列が表示され、「5」であれば「測定」の文字列が表示され、「6」であれば「ロット化」の文字列が表示される。「内容」の欄には、ログの内容、つまり、各ログの内容情報が表示される。なお、
図10の一覧では、イベント発生ログの内容と測定結果ログの内容とが一組となって隣り合って表示されている。この一組は、兄ログ特定情報により特定される。
【0072】
(効果等)
図9の一覧における全ての「測定結果」が所定規格を満たす場合、
図9の各イベントが発生したにも関わらず、測定結果が正常であることになり、上記不良品が混ざった1出荷ロットを構成する各パイプ製品P4の材料に対する第1加工場21~第3加工場23での加工については、問題無かった可能性が高いことになる(この場合、問題が無かったともいえる)。このように、この実施の形態では、出荷先で不良品のパイプ製品P4が発見された場合に、パイプ製品P4を生産するための加工段階で問題が無かったかを後から容易に確認できる。なお、この実施の形態では、測定したパイプPの特性が所定規格を満たさない場合、そのパイプPは不良品として取り除かれる。従って、上記「測定結果」は、基本的に前記所定規格を満たすことになる。従って、この実施の形態では、
図9の一覧により、パイプ製品P4を生産するための加工ステップでの加工については問題が無いことを保証することもできる。なお、何等かの要因により、測定結果が所定の規格を満たさない場合は、パイプ製品P4を生産するための加工ステップでの加工について問題があった可能性が高いと判断できる。
【0073】
(実施の形態のまとめ)
上述のように、この実施の形態では、生産情報管理システム10のコンピュータ11~13が、上記測定結果の入力を受け付け、当該測定結果にタイムスタンプを付与し、測定結果及び当該測定結果に付与したタイムスタンプを含む測定結果ログを生成する。そして、コンピュータ11~13は、生成した測定結果ログを、サーバコンピュータ16に送信し、当該サーバコンピュータ16(記憶部)に記録する。さらに、第4コンピュータ14が、上記ロット情報の入力を受け付け、当該ロット情報にタイムスタンプを付与し、ロット情報及び当該ロット情報に付与したタイムスタンプを含むロット化ログを生成する。そして、第4コンピュータ14は、生成したロット化ログを、サーバコンピュータ16に送信し、当該サーバコンピュータ16(記憶部)に記録する。これにより、サーバコンピュータ16に記録された測定結果ログのタイムスタンプとロット化ログのタイムスタンプとにより、特定のロット化ログよりも過去一定期間の測定結果ログを特定できる。ここで、当該過去一定期間の測定結果ログそれぞれに含まれる測定結果が、所定の規格を満たしていれば、前記特定のロット化ログに対応する1出荷ロットについて、第1加工場21~第3加工場23での加工の段階で、不良品が発生していない可能性が高い。このように、上記構成によれば、出荷先で不良品の製品が発見された場合に、製品を生産するための加工ステップでの加工については問題が無かったかを後から容易に確認できる。
【0074】
また、この実施の形態では、イベントが、材料の変動、機械の変動、及び、加工者の変動を含む。上記3つの変動は、特に、加工後の材料の品質に影響を及ぼす。上記構成によれば、上記3つの変動後の測定結果を得ることができ、当該測定結果が所定の規格に合っていれば、1出荷ロットに不良品が含まれていない可能性が高くなる。これにより、第1加工場21~第3加工場23での加工については問題が無かったかの確認の精度が良くなる。
【0075】
また、この実施の形態では、測定結果とロット情報とを、当該測定結果に付与されたタイムスタンプと当該ロット情報に付与されたタイムスタンプとに基づいて、時系列順に出力するので、測定結果とロット情報との関係を分かりやすく出力できる。
【0076】
また、この実施の形態では、生産情報管理システム10のコンピュータ11~13が、上記イベント情報の入力を受け付け、当該イベント情報に対してタイムスタンプ付与する。そして、コンピュータ11~13は、イベント情報と当該イベント情報に付与したタイムスタンプとを含むイベント発生ログを生成する。コンピュータ11~13は、生成したイベント発生ログを、サーバコンピュータ16に送信し、当該サーバコンピュータ16(記憶部)に記録する。そして、一のイベントの発生により記憶部に記録されるイベント発生ログと測定結果ログとは、兄ログ特定情報により、互いに対応付けられてサーバコンピュータ16に記録される。これにより、イベントと、当該イベントを契機とする測定結果と、を対応付けることができ、測定結果とともにイベントも容易に特定できる。
【0077】
さらに、この実施の形態では、イベント情報ログ、測定結果ログ、及び、ロット化ログの各ログを、各ログ共通して、ログの種別を特定する基本ログと、イベント、計測結果又はロット化の具体的内容を規定する詳細ログと、により構成することにより、各ログの取り扱いが容易となっている。
【0078】
(変形例)
上記実施の形態については、各種変更できる。例えば、上記イベントは、任意であり、パイプPの品質を保証するのに必要なイベントとして、例えば、工場Kとパイプ製品P4の出荷先とにより、取り決められてもよい(例えば、定期的に又は不定期で発生する事象のうちから選択される)。上記イベントの他の例としては、加工者の離席又は復帰等である。また、パイプ製品の代わりに他の製品を生産してもよい。当該他の製品は、例えば、合成樹脂等による成形品、複数の部品からなる装置等であってもよい。この場合、上記「材料の変動」は、成形品の原料である合成樹脂の変更等を含む。なお、生産される製品は、1個1個にシリアル番号等が付されない大量生産品であるとよい。上記実施の形態の各ログの記録等は、このような大量生産品の生産について適用すると効果的である(通常、製品1つ1つが管理されないため)。さらに、加工は、少なくとも一回行われればよい。加工は、部品の組み立て、洗浄等を含む。洗浄も、加工対象の表面のごみを除去する点から、加工対象の状態を変化させるからである。上記測定は、加工後の材料における不純物の含有量、加工後の材料である装置が正常に動作するか等の特性を測定するものであってもよい。上記測定は、発生したイベントに関連する加工についての測定であればよく、当該加工後の材料の特性の測定の他、イベント発生後の加工方法の測定であってもよい。加工方法の測定としては、例えば、発生したイベントが機械の変動であって、変動後の機械による加工(例えば、加圧、曲げ、切断等)により材料に加わる力や機械の動作速度(例えば、材料としてのワークを加工する刃物の回転速度等)の測定等がある。サーバコンピュータ16は、コンピュータ11~14からの各ログを、「タイムスタンプ」をソートキーとして、時系列順にソート可能に記憶するとよい。これにより、各ログを時系列順に並べることができ、ロット化、イベントの発生、測定結果を、時系列順に把握できる。生産情報管理システム10のハードウェア構成は、任意である。例えば、サーバコンピュータ16と検索用コンピュータ15は、1のコンピュータにより構成されてもよい。コンピュータ11~15のうちの2つ以上のコンピュータを1つのコンピュータで構成してもよい。生産情報管理システム10は、1以上のコンピュータを含んで構成されればよい。
【符号の説明】
【0079】
10 生産情報管理システム、11 第1コンピュータ、12 第2コンピュータ、13 第3コンピュータ、14 第4コンピュータ、15 検索用コンピュータ、16 サーバコンピュータ、21 第1加工場、22 第2加工場、23 第3加工場、24 製品管理場、31 曲げ装置、32 切断装置、33 プレス装置、34 在庫保管庫、41~43 加工者、44 在庫管理者、K 工場、P,P1~P3 パイプ、P4 パイプ製品。