(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】射出成形装置及び射出成形方法
(51)【国際特許分類】
B29C 44/00 20060101AFI20230227BHJP
B29C 44/06 20060101ALI20230227BHJP
B29C 44/10 20060101ALI20230227BHJP
B29C 44/58 20060101ALI20230227BHJP
B29C 45/16 20060101ALI20230227BHJP
B29C 45/26 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
B29C44/00 D
B29C44/06
B29C44/10
B29C44/58
B29C45/16
B29C45/26
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021092154
(22)【出願日】2021-06-01
【審査請求日】2021-06-01
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】506255902
【氏名又は名称】中原大學
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】陳 夏宗
(72)【発明者】
【氏名】張 詠翔
(72)【発明者】
【氏名】張 哲維
(72)【発明者】
【氏名】蔡 碧霖
【審査官】磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-139849(JP,A)
【文献】特開2010-012655(JP,A)
【文献】特開2008-307771(JP,A)
【文献】特開昭60-011321(JP,A)
【文献】特開2006-062359(JP,A)
【文献】特開平8-099332(JP,A)
【文献】特開2009-101595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 44/00-44/60;
45/00-45/84
67/20
C08J 9/00-9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のキャビティ及び第2のキャビティを提供するように適合された型ユニットと、
第1の材料を前記第1のキャビティ内に射出して第1の成形品を形成するように適合された射出ユニットであって、前記第2のキャビティは、前記第1の成形品を収容するように適合されており、前記射出ユニットは、第2の材料を前記第2のキャビティ内に射出して第2の成形品を形成するように適合されており、それにより、前記第2のキャビティ内で前記第1の成形品と前記第2の成形品とが組み合わされ、前記第2の材料は、発泡材料である、射出ユニットと、
前記第2のキャビティ内にガスを供給して、前記第2のキャビティ内の圧力を増加させるように適合された逆圧ユニットと、
を備え、
前記型ユニットは第1の金型及び第2の金型を備え、前記第1のキャビティと前記第2のキャビティは、それぞれ前記第1の金型と前記第2の金型によって提供される射出成形装置。
【請求項2】
前記第2の材料は軟質発泡材料を含む請求項1に記載の射出成形装置。
【請求項3】
前記第2の材料は液状シリコーンを含む請求項1に記載の射出成形装置。
【請求項4】
前記第1の材料は前記第2の材料と同じである請求項1に記載の射出成形装置。
【請求項5】
前記第1の材料は前記第2の材料とは異なる請求項1に記載の射出成形装置。
【請求項6】
前記逆圧ユニットは、前記第1のキャビティ内にガスを供給して前記第1のキャビティ内の圧力を増加させるように適合される請求項1に記載の射出成形装置。
【請求項7】
射出ユニットにより第1の材料を第1のキャビティ内に射出して第1の成形品を形成する工程と、
前記第1の成形品を第2のキャビティ内に収容する工程と、
前記射出ユニットにより前記第2のキャビティ内に第2の材料を射出して、第2の成形品を形成し、それにより前記第2のキャビティ内で前記第1の成形品と前記第2の成形品とが組み合わされ、前記第2の材料は発泡材料である工程と、
逆圧ユニットによって前記第2のキャビティ内にガスを供給して前記第2のキャビティ内の圧力を増加させる工程と、
を含み、
型ユニットが第1の金型及び第2の金型を備え、前記第1のキャビティと前記第2のキャビティは、それぞれ前記第1の金型と前記第2の金型によって提供される射出成形方法。
【請求項8】
前記第2の材料が軟質発泡材料を含む請求項
7に記載の射出成形方法。
【請求項9】
前記第2の材料が液状シリコーンを含む請求項
7に記載の射出成形方法。
【請求項10】
前記第1の材料は前記第2の材料と同じである請求項
7に記載の射出成形方法。
【請求項11】
前記第1の材料は前記第2の材料とは異なる請求項
7に記載の射出成形方法。
【請求項12】
前記逆圧ユニットにより前記第1のキャビティ内にガスを供給して、前記第1のキャビティ内の圧力を増加させることをさらに含む請求項
7に記載の射出成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、成形装置及び成形方法に関し、詳細には射出成形装置及び射出成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形における新しい技術として、マイクロセルラー(microcellular)射出成形は、製品の重量及び消費される材料の量を低減することができ、製品により良好な機械的及び温度特性を与える。発泡体の均一性を良好に制御することが、満足のいく歩留りを達成するための鍵であるため、一般に、材料の発泡を抑制及び均一化するために逆圧技術が使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
マイクロセルラー(microcellular)射出成形技術を使用してより厚みの大きい製品を製造する場合、製品表面からより遠い製品材料は逆圧の影響を受けにくく、発泡体が不均一に形成される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、より厚みの大きい発泡材料の製品のための均一な発泡体を形成することができる射出成形装置及び射出成形方法を提供する。
【0005】
本開示の射出成形装置は、型ユニットと、射出ユニットと、逆圧ユニットとを含む。型ユニットは、第1のキャビティ及び第2のキャビティを提供するように適合される。射出ユニットは、第1の材料を第1のキャビティ内に射出して第1の成形品を形成するように適合される。第2のキャビティは、第1の成形品を収容するように適合される。射出ユニットは、第2のキャビティ内に第2の材料を射出して第2の成形品を形成するように適合され、それにより、第2のキャビティ内で第1の成形品と第2の成形品とを組み合わせる。第2の材料は、発泡材料である。また、逆圧ユニットは、第2のキャビティ内にガスを供給して第2のキャビティ内の圧力を増加させるように適合される。
【0006】
本開示の一実施形態では、第2の材料は、軟質発泡材料を含む。
【0007】
本開示の一実施形態では、第2の材料は液状シリコーンを含む。
【0008】
本開示の一実施形態では、第1の材料は第2の材料と同じである。
【0009】
本開示の一実施形態では、第1の材料は第2の材料とは異なる。
【0010】
本開示の一実施形態では、逆圧ユニットは、第1のキャビティ内にガスを供給して、第1のキャビティ内の圧力を増加させるように適合される。
【0011】
本開示の一実施形態では、型ユニットは、第1の金型及び第2の金型を含む。第1の金型は第1のキャビティを有し、第2の金型は第2のキャビティを有する。
【0012】
本開示の一実施形態では、型ユニットは、第1の部分及び第2の部分を含む。第1の部分は、第1の凹部を有し、第2の部分は、第1の部分に対して回転するように適合された第2の凹部を有する。第2の凹部が第1の部分によって覆われ、第1の凹部と位置ずれするように、第2の部分が第1の部分に対して回転する場合、第2の凹部は第1のキャビティを形成する。そして、第2の凹部が第1の凹部と位置合わせされるように第2の部分が第1の部分に対して回転する場合、第1の凹部及び第2の凹部は共に第2のキャビティを形成する。
【0013】
本発明の射出成形方法は、第1の材料を射出ユニットにより第1のキャビティ内に射出して第1の成形品を形成するステップと、第1の成形品を第2のキャビティに収容するステップと、射出ユニットにより第2のキャビティ内に第2の材料を射出して、第2の成形品を形成するステップであって、それにより、第2のキャビティ内で第1の成形品と第2の成形品とが組み合わされ、第2の材料は、発泡材料である、第2の成形品を形成するステップと、第2のキャビティ内の圧力を増加させるために、逆圧ユニットによって第2のキャビティ内にガスを供給するステップと、を含む。
【0014】
本開示の一実施形態では、第2の材料は、軟質発泡材料を含む。
【0015】
本開示の一実施形態では、第2の材料は液状シリコーンを含む。
【0016】
本開示の一実施形態では、第1の材料は第2の材料と同じである。
【0017】
本開示の一実施形態では、第1の材料は第2の材料とは異なる。
本開示の一実施形態では、射出成形方法は、逆圧ユニットを使用して第1のキャビティ内にガスを供給して、第1のキャビティ内の圧力を増加させることをさらに含む。
【発明の効果】
【0018】
上記に基づいて、本開示は、第1の成形品及び第2の成形品を連続的に製造するために2段階射出成形工程を適合させ、それにより、第1の成形品及び第2の成形品が積層された様式で組み合わされて、厚みの大きい製品を形成することができる。成形品が、発泡材料から製造される場合には、成形品が製品の一部を構成するに過ぎず、厚みが小さいため、逆圧によって内部材料の発泡を抑制しやすく、発泡体が均一に形成される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の一実施形態による射出成形装置の概略図である。
【0020】
【0021】
【
図3A】射出ユニットによって
図2の型ユニットに材料を射出する工程を示す。
【
図3B】射出ユニットによって
図2の型ユニットに材料を射出する工程を示す。
【
図3C】射出ユニットによって
図2の型ユニットに材料を射出する工程を示す。
【0022】
【
図4】本開示の一実施形態による射出成形方法のフローチャートである。
【0023】
【
図5】本開示の別の実施形態による型ユニットの概略図である。
【0024】
【
図6A】射出ユニットによって
図5の型ユニットに材料を射出する工程を示す。
【
図6B】射出ユニットによって
図5の型ユニットに材料を射出する工程を示す。
【
図6C】射出ユニットによって
図5の型ユニットに材料を射出する工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本開示の一実施形態による射出成形装置の概略図である。
図1では、本実施形態の射出成形装置100は、型ユニット110と、射出ユニット120と、逆圧ユニット130とを含む。射出ユニット120は、型ユニット110内に材料を射出し、逆圧ユニット130は、型ユニット110に逆圧を加えるように適合される。
【0026】
図2は、
図1の型ユニットの概略図である。
図3A~
図3Cは、射出ユニットによって
図2の型ユニットに材料を射出する工程を示す。型ユニット110は、
図2に示すように、第1のキャビティ110a及び第2のキャビティ110bを提供するように適合される。射出ユニット120は、
図3Aに示すように、第1の材料を第1のキャビティ110aに射出して第1の成形品B1を形成するように適合される。第2のキャビティ110bは、
図3Bに示すように、第1の成形品B1を収容するように適合される。射出ユニット120は、
図3Cに示すように、第2のキャビティ110b内に第2の材料を射出して第2の成形品B2を形成するように適合され、それにより、第2のキャビティ110b内で第1の成形品B1と第2の成形品B2とを互いに組み合わせることができる。
【0027】
第1の材料及び第2の材料は、例えば同じであってもよく、軟質発泡材料または液状シリコーンを含んでもよい。逆圧ユニット130(
図1に示すように)は、材料を均一に発泡することができるように、第1のキャビティ110a及び第2のキャビティ110bにガスを供給して、第1のキャビティ110a及び第2のキャビティ110b内の圧力を増加させるように適合される。他の実施形態では、第1の材料はまた、第2の材料と異なっていてもよく、第1の材料はまた、非発泡材料であってもよいが、本開示はこれに限定されない。第1の材料が非発泡材料である場合、逆圧ユニット130は、第1のキャビティ110aに逆圧を加えなくてもよい。対応する射出成形方法の工程は、図面と併せて以下に説明される。
【0028】
図4は、本開示の一実施形態による射出成形方法のフローチャートである。
図4では、まず、
図3Aに示すように、第1の材料が、射出ユニット120によって第1のキャビティ110aに射出されて、第1の成形品B1を形成する(ステップS1)。次に、
図3Bに示すように、第1の成形品B1が、第2のキャビティ110bによって収容される(ステップS2)。
図3Cに示すように、第2の材料が、射出ユニット120によって第2のキャビティ110b内に射出されて、第2の成形品B2が形成され、それにより、第2のキャビティ110b内で第1の成形品B1と第2の成形品B2とが組み合わされ、ここでは、第2の材料は発泡材料である(ステップS3)。逆圧ユニット130によって、第2のキャビティ110b内にガスが供給されて、第2のキャビティ110b内の圧力を上昇させる(ステップS4)。
【0029】
上述したように、本実施形態では、第1の成形品B1及び第2の成形品B2を2段階射出成形工程を用いて連続的に製造することにより、第1の成形品B1及び第2の成形品B2が積層された様式で組み合わされて、共に厚みの大きい製品を形成する。成形品が、発泡材料から製造される場合には、成形品が製品の一部を構成するに過ぎず、厚みが小さいため、逆圧によって内部材料の発泡を抑制しやすく、発泡体が均一に形成される。言い換えれば、本実施形態は、逆圧技術を2段階積層射出成形技術と組み合わせて、2つの技術を互いに相反させ、それにより、厚みの大きい発泡製品が射出成形工程中に良好な発泡均一性を有する。これは、2段階積層射出成形技術を採用せずに、逆圧技術のみを用いた工程や、逆圧技術を採用せずに、2段階積層射出成形技術のみを用いたプロセスでは達成できない効果である。
【0030】
具体的には、
図2では、本実施形態の型ユニット110は、第1の金型112及び第2の金型114を含む。第1の金型112は第1のキャビティ110aを有し、第2の金型114は第2のキャビティ110bを有する。言い換えると、第1のキャビティ110a及び第2のキャビティ110bは、それぞれ2つの金型(第1の金型112及び第2の金型114)によって設けられている。しかしながら、本開示は、型ユニット110の形式に限定されず、その例示的な例を図面と併せて以下に説明する。
【0031】
図5は、本開示の別の実施形態による型ユニットの概略図である。
図6A~
図6Cは、射出ユニットによって
図5の型ユニットに材料を射出する工程を示す。
図5の実施形態と
図2の実施形態との違いを以下に説明する。
図5の型ユニット110Aは、第1の部分112A及び第2の部分114Aを含む。第1の部分112Aは第1の凹部110cを有し、第2の部分114Aは第1の部分112Aに対して回転軸Aに沿って回転するように適合された第2の凹部110dを有する。
図5に示すように、第2の凹部110dが第1の部分112Aによって覆われ、第1の凹部110cと位置ずれするように、第2の部分114Aが第1の部分112Aに対して回転する場合、第2の凹部110dは第1のキャビティを構成する。このとき、射出ユニット120は、
図6Aに示すように、第1の材料を第1のキャビティに射出して第1の成形品B1を形成することが好適である。
図6Bに示すように、第2の凹部110dが第1の凹部110cと位置合わせされるように、第2の部分114Aが第1の部分112Aに対して回転する場合、第1の凹部110c及び第2の凹部110dは共に第2のキャビティを形成する。このとき、第1の成形品B1は第2のキャビティ内に位置しており、射出ユニット120は、
図6Cに示すように、第2の材料を第2のキャビティ内に射出して第2の成形品B2を形成することが好適であり、それにより、第2のキャビティ110b内で第1の成形品B1と第2の成形品B2とが組み合わされる。
【0032】
要約すると、本開示は、第1の成形品及び第2の成形品を連続的に製造するために2段階射出成形工程を適合させ、それにより、第1の成形品及び第2の成形品が積層された様式で組み合わされて、厚みの大きい製品を形成する。成形品が、発泡材料から製造される場合には、成形品が製品の一部を構成するに過ぎず、厚みが小さいため、逆圧によって内部材料の発泡を抑制しやすく、発泡体が均一に形成される。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本開示の射出成形装置及び射出成形方法は、射出成形に関連するあらゆる産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
100 射出成形装置
110 型ユニット
110a 第1のキャビティ
110b 第2のキャビティ
110c 第1の凹部
110d 第2の凹部
112 第1の金型
114 第2の金型
112A 第1の部分
114A 第2の部分
120 射出ユニット
130 逆圧ユニット
A 回転軸
B1 第1の成形品
B2 第2の成形品
S1~S4 ステップ