IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 興友科技股▲分▼有限公司の特許一覧

特許7233135生体インピーダンス技術によって局部または全身の骨密度を測定する方法
<>
  • 特許-生体インピーダンス技術によって局部または全身の骨密度を測定する方法 図1
  • 特許-生体インピーダンス技術によって局部または全身の骨密度を測定する方法 図2
  • 特許-生体インピーダンス技術によって局部または全身の骨密度を測定する方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】生体インピーダンス技術によって局部または全身の骨密度を測定する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0537 20210101AFI20230227BHJP
【FI】
A61B5/0537 100
A61B5/0537 ZDM
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022028849
(22)【出願日】2022-02-28
(65)【公開番号】P2022135989
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2022-02-28
(31)【優先権主張番号】110107862
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】522077421
【氏名又は名称】興友科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】謝 坤昌
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-065679(JP,A)
【文献】特開2005-080976(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0023915(KR,A)
【文献】特開2006-026209(JP,A)
【文献】特開2002-238904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/053-5/0538
A61B 10/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体インピーダンス測定装置によって、
定対象の抵抗およびリアクタンスを測定し、前記測定対象の身長を記録するステップ(a)と、
(式1) BMD=a+bR/H+dXc/H
前記符号a、b、dはDXA法によって算出された数百人の前記測定対象の局部または全身の骨密度の平均値であって「0」を含まない重み係数であり、
前記符号Hは前記測定対象の前記身長であり、前記符号Rは前記測定対象の前記抵抗であり、前記符号Xcは前記測定対象の前記リアクタンスであり
前記生体インピーダンス測定装置により、
記測定対象の局部または全身の骨密度を前記式1によって算出するステップ(b)と、を含むことを特徴とする生体インピーダンス技術によって局部または全身の骨密度を測定する方法。
【請求項2】
前記ステップ(a)において、前記生体インピーダンス測定装置によって前記測定対象の前記抵抗および前記リアクタンスを測定する際、前記生体インピーダンス測定装置は複数の電極グループによって前記測定対象の手と足、両手または両足に接触して測定回路を生成し、
複数の前記電極グループはそれぞれ検出電極および電流電極を有し、前記検出電極および前記電流電極は相互に1cmから10cmの距離を置くことを特徴とする請求項1に記載の生体インピーダンス技術によって局部または全身の骨密度を測定する方法。
【請求項3】
前記ステップ(a)において、前記測定対象は仰向けになるか、立ったまま、座ったままの状態で前記生体インピーダンス測定装置によって測定されることを特徴とする請求項1に記載の生体インピーダンス技術によって局部または全身の骨密度を測定する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨密度評価技術に関し、詳しくは生体インピーダンス技術によって局部または全身の骨密度を測定する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多くの骨密度測定方法は骨格および軟部組織における電離放射線の吸収率の差から骨密度を測定する方式を採用する。特に二重エネルギーX線吸収測定法(dual energy X-ray absorptiometry,DXA)に基づいてミネラル量(g/cm2)を測定し、骨密度(bone mineral density,BMD)を評価する方式が最も応用される。
【0003】
BMD測定によく応用されるDXAは一回ごとの測定に数十分もかかり、測定費用が高いだけでなく、設置場所が病院またはそれに関連する専門機構に制限されるため、家庭健康管理には適用できない。言い換えれば、DXA法に基づいて骨密度を測定する方式はコストが高いだけでなく、使用条件が制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は生体インピーダンス技術によって局部または全身の骨密度を評価する方法を提供することによって先行技術よりコストの削減、測定時間の短縮および使用上の利便性の向上を実現させることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、生体インピーダンス技術によって局部または全身の骨密度を評価する方法はステップ(a)およびステップ(b)を含む。
【0006】
ステップ(a)は生体インピーダンス測定装置によって測定対象の抵抗(resistance,R)およびリアクタンス(reactance,Xc)を測定し、測定対象の身長を記録する。
【0007】
(式1)
BMD=a+bR/H+dXc/H
【0008】
ステップ(b)は測定対象の局部または全身の骨密度を式1によって算出する。式1において、符号a、b、dは重み係数(weighting coefficients)である。符号Hは測定対象の身長である。符号Rは測定対象の抵抗である。符号Xcは測定対象のリアクタンスである。
【0009】
上述をまとめてみると、本発明による生体インピーダンス技術によって局部または全身の骨密度を評価する方法は測定対象の抵抗、リアクタンスおよび身長を生体インピーダンス測定装置によって検知し、続いて式1に基づいて骨密度を算出することであるため、先行技術と比べてコストの削減、測定時間の短縮および使用上の利便性の向上を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態を示すプロセスである。
図2】本発明の一実施形態を示す模式図である。
図3】本発明の一実施形態のGLM regression analysis表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の技術特徴を図面に基づいて説明する。
【0012】
(一実施形態)
図1から図3に示すように、本発明の一実施形態による生体インピーダンス技術によって局部または全身の骨密度を評価する方法はステップ(a)およびステップ(b)を含む。
【0013】
ステップ(a)は生体インピーダンス測定装置20によって測定対象の抵抗およびリアクタンスを測定し、測定対象の身長を記録する。
【0014】
本実施形態において、測定対象の身長は身長計で測った後、生体インピーダンス測定装置20に書き込んだものである。身長計の精度は0.5cmであるが、これに限定されない。精度が0.5cmの身長計で測った測定対象の身長は比較的正確であるため、評価結果の正確性を向上させることができる。別の実施形態は本人から提供した測定対象の身長などの情報を有線または無線方式によって生体インピーダンス測定装置20に伝送することができる。つまり、生体インピーダンス測定装置20の選択肢および生体インピーダンス測定装置20で測定対象の身長を記録する方式は本実施形態に限定されない。
【0015】
図2に示すように、本実施形態において、生体インピーダンス測定装置20によって測定対象の抵抗およびリアクタンスを測定する際、評価の誤差を減少させるために測定対象を仰向けにさせたうえで測定対象の抵抗およびリアクタンスを測定する。生体インピーダンス測定装置20は複数の電極グループ21を有する。本実施形態において、生体インピーダンス測定装置20は二つの電極グループ21を有する。二つの電極グループ21は測定対象の右手および左手に別々に接触して測定回路を生成し、それぞれ検出電極23および電流電極25を有する。検出電極23および電流電極25は相互に5センチの距離を置く。上述した構造特徴により、生体インピーダンス測定装置20は評価の正確性を向上させることができる。別の実施形態は測定対象を立たせたうえで測定対象の抵抗およびリアクタンスを生体インピーダンス測定装置20で測定することができる。このとき測定対象の両手、両足、右手―左脚、左手―右脚または左手―左脚などは複数の電極グループ21に接触する。電極グループ21の数は測定モジュールに応じて二つ以上であってもよい。検出電極23および電流電極25の間隔は1から5センチまたは5から10センチであってもよい。つまり、電極グループ21の数および測定対象の抵抗およびリアクタンスを生体インピーダンス測定装置20で測定する方式は本実施形態に限定されない。
【0016】
本実施形態は生体インピーダンス測定装置20によって測定対象の全身(BMDtotal)、腰椎(BMDLS)および右上肢(BMDright arm)の三つの部位の骨密度を測定する。別の実施形態は実際のニーズに応じて測定対象の測定部位を決め、かつ測定対象の測定部位を増減させることができる。
【0017】
(式1)
BMD=a+bR/H+dXc/H
【0018】
ステップ(b)は測定対象の局部または全身の骨密度を式1によって算出する。式1において、符号a、b、dは重み係数である。符号Hは測定対象の身長である。符号Rは測定対象の抵抗である。符号Xcは測定対象のリアクタンスである。
【0019】
本実施形態において、重み係数a、b、cはDXA法によって算出された数百人の測定対象の全身、腰椎および右上肢の三つの部位の骨密度平均値である。別の実施形態において、重み係数a、b、cは定量的コンピュータ断層撮影(quantitative computed tomography)、定量的超音波検査装置または周知のX線検査装置などの装置によって算出される。また別の実施形態は実際のニーズに応じて測定対象の測定部位を決め、かつ測定対象の測定部位を増減させることができる。つまり、測定対象を測定する装置および測定部位は本実施形態に限定されない。
【0020】
図3に示すように、一般化線形モデル回帰分析(GLM regression analysis)に対応する重み係数および相関関係に基づいて本実施形態の測定結果は、測定対象のR/HおよびXc/Hの数値と、DXA法で検知した測定対象の全身、腰椎および右上肢における数値とが正の相関関係であることを表示する。
【0021】
上述をまとめてみると、本発明による生体インピーダンス技術によって局部または全身の骨密度を評価する方法は測定対象の身長、抵抗およびリアクタンスを生体インピーダンス測定装置によって検出し、式1(BMD=a+bR/H+dXc/H)に基づいて骨密度を算出することであるため、先行技術と比べてコストの削減、測定時間の短縮および使用上の利便性の向上を実現させることができる。
【符号の説明】
【0022】
10:生体インピーダンス技術によって局部または全身の骨密度を評価する方法
20:生体インピーダンス測定装置
21:電極グループ、
23:検出電極
25:電流電極
a、b、d:重み係数
H:測定対象の身長
R:測定対象の抵抗
Xc:測定対象のリアクタンス
図1
図2
図3