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特許7233172人体静電気制御装置及び人体静電気制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】人体静電気制御装置及び人体静電気制御システム
(51)【国際特許分類】
   H05F 3/04 20060101AFI20230227BHJP
   H01T 19/00 20060101ALI20230227BHJP
   H01T 23/00 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
H05F3/04 A
H01T19/00
H01T23/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018089706
(22)【出願日】2018-05-08
(65)【公開番号】P2019197616
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-04-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 龍太
(72)【発明者】
【氏名】川副 智行
(72)【発明者】
【氏名】加藤 康男
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-311796(JP,A)
【文献】特開2010-001666(JP,A)
【文献】特開2005-174672(JP,A)
【文献】米国特許第05484472(US,A)
【文献】特開2001-076892(JP,A)
【文献】特開2011-151039(JP,A)
【文献】特開2009-146676(JP,A)
【文献】特開2011-238392(JP,A)
【文献】特開2008-198401(JP,A)
【文献】米国特許第06419171(US,B1)
【文献】特開2015-015234(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106405257(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105877703(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107132881(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05F 1/00 ー 7/00
H01T 23/00
H01T 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の静電気を制御する人体静電気制御装置であって、
当該静電気制御装置は、人体に装着可能な構造を有すると共に、
イオンを発生するイオン発生部と、
当該静電気制御装置が人体に装着された状態において、前記イオン発生部が発生したイオンを人体に吐出するイオン吐出手段と、
前記イオン発生部におけるイオンの発生動作を制御する制御手段とを有し、
前記イオン発生部は、プラスイオンとマイナスイオンとを発生可能であり、
前記制御手段は、前記人体の表面電位として正の電位と負の電位が所定の周波数で交互に表れるように、前記イオン発生部におけるプラスイオンとマイナスイオンの発生を制御するモードを有することを特徴とする人体静電気制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の人体静電気制御装置であって、
前記制御手段は、前記モードと異なるモードにおいて、前記人体の表面電位が所定の電位に維持されるように前記イオン発生部にプラスイオンとマイナスイオンとを発生させることを特徴とする人体静電気制御装置。
【請求項3】
請求項1記載の人体静電気制御装置を備えた人体静電気制御システムであって、
当該人体静電気制御システムは、人体に装着可能な構造を有する帯電量計測装置を有し、
当該帯電量計測装置は、当該帯電量計測装置が人体に装着された状態において人体の表面電位を測定する測定手段を有し、
前記人体静電気制御装置のイオン発生部は、プラスイオンとマイナスイオンとを発生可能であり、
前記人体静電気制御装置の制御手段は、前記帯電量計測装置で測定された前記人体の表面電位に基づいて、前記人体の表面電位が所定の電位となるように、前記イオン発生部におけるプラスイオンとマイナスイオンの発生を制御することを特徴とする人体静電気制御システム。
【請求項4】
請求項1記載の人体静電気制御装置を備えた人体静電気制御システムであって、
前記人体静電気制御装置のイオン発生部は、プラスイオンとマイナスイオンとを発生可能であり、
当該人体静電気制御システムは、前記人体静電気制御装置と通信可能なモバイル端末を有し、
当該モバイル端末は、前記通信を介して、前記人体静電気制御装置の制御手段に、当該制御手段が行うイオン発生部におけるイオンの発生動作の制御内容を規定する制御パターンを設定するリモート設定手段を有することを特徴とする人体静電気制御システム。
【請求項5】
請求項4記載の人体静電気制御システムであって、
前記モバイル端末のリモート設定手段は、所定の気象要素の当該モバイル端末が位置する地点の現在の状況を表す情報を取得し、取得した情報が表す気象要素に応じて、前記人体静電気制御装置の制御手段に設定する制御パターンを変更することを特徴とする人体静電気制御システム。
【請求項6】
請求項4記載の人体静電気制御システムであって、
前記モバイル端末に、前記制御パターンを提供するサーバを有し、
前記モバイル端末のリモート設定手段は、前記サーバから提供された制御パターンを前記人体静電気制御装置の制御手段に設定し、
前記サーバは、所定の気象要素の前記モバイル端末が位置する地点の現在の状況を表す情報を取得し、取得した情報が表す気象要素に応じて、前記モバイル端末に提供する制御パターンを変更することを特徴とする人体静電気制御システム。
【請求項7】
請求項4、5、6のいずれか1項に記載の人体静電気制御システムであって、
前記モバイル端末のリモート設定手段が前記人体静電気制御装置の制御手段に設定する制御パターンは、前記人体の表面電位が所定の電位となるように、前記イオン発生部におけるプラスイオンとマイナスイオンの発生を制御する第1の制御パターンと、前記人体の表面電位として正の電位と負の電位が所定の周波数で交互に表れるように、前記イオン発生部におけるプラスイオンとマイナスイオンの発生を制御する第2の制御パターンとのいずれか一方を、少なくとも、含んでいることを特徴とする人体静電気制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の静電気を制御する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人体の静電気を制御する技術としては、イオン風を放出して人体を除電したり人体に付着した塵や花粉を除去する固定設置型の装置が知られている(たとえば、特許文献1、2)。
【0003】
また、本出願に関連する技術としては、表面電位センサを用いて静電気を測定する測定装置(たとえば、特許文献3)や、プラスイオンのイオン風とマイナスイオンのイオン風とを選択的に発生するイオン発生装置(たとえば、特許文献4、5)も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-307449号公報
【文献】特開2011-179733号公報
【文献】特開2007-47015号公報
【文献】特開2007-135934号公報
【文献】特開2006-207553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
人体の帯電状態を制御することにより、人体への塵や花粉の付着や人体の帯電を防止することができる。
そして、春夏における花粉症対策や冬における静電気対策などの観点から、人体の帯電状態は日常生活中において常時適切に制御できることが好ましい。
一方で、上述したイオン風を放出する固定設置型の装置では、当該装置が設置されている場所でしか人体の帯電状態を制御することができない。
そこで、本発明は、日常生活中にある人体の静電気を常時適切に制御することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、人体の静電気を制御する人体静電気制御装置として、当該静電気制御装置は、人体に装着可能な構造を有すると共に、イオンを発生するイオン発生部と、当該静電気制御装置が人体に装着された状態において、前記イオン発生部が発生したイオンを人体に吐出するイオン吐出手段と、前記イオン発生部におけるイオンの発生動作を制御する制御手段とを備えた人体静電気制御装置を提供する。
【0007】
ここで、このような人体静電気制御装置は、前記イオン発生部を、プラスイオンとマイナスイオンとを発生可能に構成し、前記制御手段において、前記人体の表面電位として正の電位と負の電位が所定の周波数で交互に表れるように、または、前記人体の表面電位が所定の電位に維持されるように前記イオン発生部にプラスイオンとマイナスイオンとを発生させるようにしてもよい。
【0008】
また、前記課題達成のために、このような人体静電気制御装置を備えた人体静電気制御システムも提供する。ここで、この人体静電気制御システムは、人体に装着可能な構造を有する帯電量計測装置を備えており、当該帯電量計測装置は、当該帯電量計測装置が人体に装着された状態において人体の表面電位を測定する測定手段を備えている。また、前記人体静電気制御装置のイオン発生部は、プラスイオンとマイナスイオンとを発生可能に構成されており、前記人体静電気制御装置の制御手段は、前記帯電量計測装置で測定された前記人体の表面電位に基づいて、前記人体の表面電位が所定の電位となるように、前記イオン発生部におけるプラスイオンとマイナスイオンの発生を制御する。
【0009】
ここで、このような人体静電気制御システムは、前記人体静電気制御装置の制御手段において、前記帯電量計測装置で測定された前記人体の表面電位に基づいて、前記人体の表面電位として正の電位と負の電位が所定の周波数で交互に表れるように、前記イオン発生部におけるプラスイオンとマイナスイオンの発生を制御するように構成してもよい。
【0010】
また、本発明は、前記課題達成のために、このような人体静電気制御装置と、前記人体静電気制御装置と無線通信可能なモバイル端末とを備えた人体静電気制御システムも提供する。ここで、前記人体静電気制御装置のイオン発生部は、プラスイオンとマイナスイオンとを発生可能であり、前記モバイル端末は、前記無線通信を介して、前記人体静電気制御装置の制御手段に、当該制御手段が行うイオン発生部におけるイオンの発生動作の制御内容を規定する制御パターンを設定するリモート設定手段を備えている。
【0011】
また、このような人体静電気制御システムは、前記モバイル端末のリモート設定手段において、所定の気象要素の当該モバイル端末が位置する地点の現在の状況を表す情報を取得し、取得した情報が表す気象要素に応じて、前記人体静電気制御装置の制御手段に設定する制御パターンを変更するようにしてもよい。
【0012】
または、このような人体静電気制御システムに、前記モバイル端末に、前記制御パターンを提供するサーバを設け、前記モバイル端末のリモート設定手段において、前記サーバから提供された制御パターンを前記人体静電気制御装置の制御手段に設定するようにしてもよい。ただし、前記サーバは、所定の気象要素の前記モバイル端末が位置する地点の現在の状況を表す情報を取得し、取得した情報が表す気象要素に応じて、前記モバイル端末に提供する制御パターンを変更する。
【0013】
ここで、以上の人体静電気制御システムにおいて、前記モバイル端末のリモート設定手段が前記人体静電気制御装置の制御手段に設定する制御パターンは、前記人体の表面電位が所定の電位となるように、前記イオン発生部におけるプラスイオンとマイナスイオンの発生を制御する第1の制御パターンと、前記人体の表面電位として正の電位と負の電位が所定の周波数で交互に表れるように、前記イオン発生部におけるプラスイオンとマイナスイオンの発生を制御する第2の制御パターンとのいずれか一方を、少なくとも含むものとしてもよい。
【0014】
以上のような人体静電気制御装置や人体静電気制御システムによれば、人体に装着した人体静電気制御装置によって、日常生活中にある人体の静電気を常時に制御できるようになる。
【0015】
また、以上のようなモバイル端末を備えた人体静電気制御システムによれば、花粉の飛散状況や微小粒子状物質の飛散状況や気温や湿度といった気象要素の状況に応じた制御パターンなどの、そのときどきの人体の環境に応じた適切な制御パターンで、人体の静電気を適切に制御できるようになる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、日常生活中にある人体の静電気を常時適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る人体静電気制御システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係るユーザシステムの構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る静電気制御装置の構成例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る帯電量検出装置の構成例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る制御パターンを示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る制御パターンデータベースの内容を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る制御パターン設定処理と制御パターン提供処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る人体静電気制御システムの構成を示す。
図示するように、人体静電気制御システムは、個々のユーザが使用するユーザシステム1と、インターネット等のWAN2上に配置された支援システム3とを備えている。
また、ユーザシステム1は、スマートフォンやスマートウオッチなどのユーザによって携帯されるモバイル端末11と静電気制御装置12と帯電量検出装置13とを備えており、モバイル端末11と静電気制御装置12、静電気制御装置12と帯電量検出装置13はそれぞれ近距離無線通信で通信を行うことができる。
【0019】
また、支援システム3は、制御パターンサーバ31と制御パターンデータベース32とを備えている。
そして、各ユーザシステム1のモバイル端末11は移動通信やWi-Fi等の無線通信を介して、支援システム3の制御パターンサーバ31と通信することができる。
次に、図2にユーザシステム1の構成の詳細を示す。
図示するように、ユーザシステム1のモバイル端末11は、移動通信や無線通信を行う無線通信装置111、表示装置112、入力装置113、現在位置の算定を行うGPS受信器などのGNSS受信器114、音声入出力装置や記憶装置などの周辺デバイス115、静電気制御装置12とBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を行うための近距離無線通信装置116、リモート制御アプリケーション117を備えている。また、図示は省略したが、モバイル端末11は、移動通信や無線通信を介した電話を行うための電話アプリケーションやWebブラウザアプリケーションやメールアプリケーションなどの他のアプリケーションも備えている。
【0020】
次に、ユーザシステム1の静電気制御装置12は、モバイル端末11とBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を行うための近距離無線通信装置121、帯電量検出装置13と近距離無線通信を行うための近距離無線通信装置122、コロナ放電等によりプラスプラズマのイオンを発生するプラスイオン発生部123、コロナ放電等によりマイナスプラズマのイオンを発生するマイナスイオン発生部124、イオンを人体に吐出するイオン吐出部125、各部を制御する制御部126を備えている。なお、マイナスイオン発生部124、イオンを人体に吐出するイオン吐出部125は、その構成が部分的に共用化されているものであってもよい。たとえば、マイナスイオン発生部124、イオンを人体に吐出するイオン吐出部125を、コロナ放電によりイオンを発生するものとした場合には、プラスイオン発生部123とマイナスイオン発生部124とで電極を共用化し、同じ電極を用いてイオンを発生するようにしてもよい。
【0021】
次に、ユーザシステム1の帯電量検出装置13は、静電気制御装置12と近距離無線通信を行うための近距離無線通信装置131、人体の静電気を測定する表面電位センサなどの静電気測定部132、コントローラ133を備えている。
【0022】
ここで、静電気制御装置12は人体に装着される装置である。より具体的には、静電気制御装置12は、図3a1に示すようなペンダント状に首から吊り下げられる装置であってもよいし、図3a2に示すようなポケットに収容可能な装置であってもよいし、図3a3に示すような首掛け型の装置であってもよいし、図3a4に示すようなリストバンド側の装置であってもよい。
【0023】
そして、静電気制御装置12は、プラズマイオン発生部123やマイナスイオン発生部124で発生したイオンのイオン風を、図3bに示すようにイオン吐出部125から人体に向けて吐出する。なお、図3a1、a2に示すように、静電気制御装置12が人体表面から少し距離をおいて配置されるように構成した場合には、図3bに示すように、イオン吐出部125に、イオン風を人体に向けて送風する送風機1251を設けることが好ましい。なお、図3a3、a4に示すように、静電気制御装置12を人体表面に密着して配置されるように構成した場合には、必ずしも、イオン吐出部125に送風機1251を設ける必要はなく、イオン吐出部125を単なる空洞の風路としてもよい。
【0024】
次に、帯電量検出装置13は、人体に密着するように人体に装着される。また、帯電量検出装置13は接地され、静電気測定部132は、接地電位を基準として人体の表面電位を測定する。
【0025】
より具体的には、たとえば、帯電量検出装置13を、図4に示すように、ユーザの足にベルトなどに装着される装置とし、帯電量検出装置13の接地線を導電性とした靴の靴底に接続することにより、帯電量検出装置13の人体への密着と接地を実現する。
【0026】
このような構成において、静電気制御装置12の制御部126は、プラスイオン発生部123とマイナスイオン発生部124を制御し、人体に吐出するイオンの極性や量を制御することにより、人体の静電気を制御する。
【0027】
ここで、制御部126は、3つのモードで人体の静電気の制御を行うことができる。
第1のモードは、図5aに示すように、人体の表面電位Vtが0になるようにイオンを発生するモードである。この第1のモードにおいて、制御部126は、近距離無線を介して帯電量検出装置13のコントローラ133から静電気測定部132で測定した人体の表面電位を取得し、静電気測定部132で測定される人体の表面電位が0になるように、人体に吐出するイオンの極性や量をフィードバック制御する。
【0028】
ここで、このような第1のモードは冬季や乾燥期における、人体の静電気防止を行うのに適している。
次に、第2のモードでは、図5bに示すように、制御部126は、近距離無線を介して帯電量検出装置13のコントローラ133から静電気測定部132で測定した人体の表面電位を取得し、静電気測定部132で測定される人体の表面電位が人体の表面電位Vtが正または負の一定電位となるように、人体に吐出するイオンの極性や量をフィードバック制御する。ここで、一定電位とする電位は、制御パラメータとして、近距離無線を介してモバイル端末11から設定される。
【0029】
ただし、第2のモードでは、フィードバック制御を行わずに、人体の表面電位Vtが制御パラメータが示す一定電位となることが見込まれる極性や量に人体に吐出するイオンを制御するようにしてもよい。すなわち、たとえば、図5bの縦軸を正負のイオンの発生量として、図5bに示すように、発生する正または負のイオンが一定になるように制御してもよい。
【0030】
ここで、人体の表面電位Vtと同極性に帯電した塵や粒子は人体表面と反発して人体から除去されるので、第2のモードは、一方の極性に帯電した塵や粒子を人体から除去したり、正に帯電することの多い花粉を人体から除去するのに適している。
【0031】
次に、第3のモードでは、図5cに示すように、制御部126は、近距離無線を介して帯電量検出装置13のコントローラ133から静電気測定部132で測定した人体の表面電位を取得し、静電気測定部132で測定される人体の表面電位Vtが正負の間を交流的に変動するように、人体に吐出するイオンの極性や量をフィードバック制御する。ここで、人体の表面電位Vtの変動の振幅、中心電位、周波数は、制御パラメータとして、近距離無線を介してモバイル端末11から設定される。
【0032】
ただし、第3のモードでは、フィードバック制御を行わずに、人体の表面電位Vtが制御パラメータが示す振幅、中心電位、周波数で変動することが見込まれる極性や量に人体に吐出するイオンを制御するようにしてもよい。すなわち、たとえば、図5cの縦軸を正負のイオンの発生量として、図5cに示すように正負のイオンが交互に発生するよう制御してもよい。
なお、第3のモードでは、正負のイオンを交互に発生することにより、人体の表面電位Vtが正負の間を交流的に変動するようにしてもよいし、正負のイオンを同時に発生しつつ、各イオンの発生量を、正負のイオンの発生量が交互に増減するように制御することにより人体の表面電位Vtが正負の間を交流的に変動するようにしてもよい。
【0033】
第3のモードは、人体表面に付着した正に帯電した花粉や塵や粒子と、負に帯電した花粉や塵や粒子との双方を交互に人体表面と反発させて人体から剥離させて、人体表面から除去するのに適している。なお、例えば、人体の表面電位Vtを一方の極性に制御している期間中は、逆極性に帯電した花粉や塵や粒子が人体表面に引き寄せられるが、この引き寄せられた花粉や塵や粒子は、人体の表面電位Vtが逆極性となったときに、人体表面と反発して人体から剥離し風などより人体から離れていくことが期待できる。
【0034】
また、第3の周波数を充分に大きく設定することにより、人体の表面電位Vtを一方の極性に制御している期間中であっても、逆極性に帯電した花粉や塵や粒子が人体表面に吸着する前に極性が切り替わり、人体表面への帯電した花粉や塵や粒子などの付着を防止できることが期待できる。
また、第3の周波数を適切に設定することにより、蚊などの虫が人体の皮膚に取り付くことを防止できることも期待できる。
そして、静電気制御装置12の制御部126は、以上の3つのモードのうちの、近距離無線を介してモバイル端末11から設定されたモードで、モバイル端末11から設定された制御パラメータを用いて人体の静電気を制御する。
【0035】
次に、支援システム3の制御パターンデータベース32には、図6に示すように、地域や季節や各種の所定の気象要素等の、ユーザの環境の各属性の状況の各組み合わせに対して、制御パターンが登録されている。ここで、本実施形態では、所定の気象要素として、天気、気温、湿度、花粉飛散量、黄砂飛散量、微小粒子状物質飛散量等を用いる。
【0036】
そして、制御パターンは、当該制御パラメータが登録されている各属性の状況の組み合わせの環境下にあるユーザに対して、静電気制御装置12の制御部126が人体の静電気の制御に用いることが適切なモードと制御パラメータを規定しているものである。
【0037】
たとえば、晴れ、低気温、低湿度、花粉飛散量と黄砂飛散量と微小粒子状物質飛散量が少のときは、人体に付着する有害物質が少ない一方で、人体に静電気が発生しやすくなるので、晴れ、低気温、低湿度、花粉飛散量と黄砂飛散量と微小粒子状物質飛散量が少を含む属性の状況の組み合わせに対しては、静電気の防止に適した第1のモードを規定する制御パターンが登録されている。
【0038】
また、たとえば、花粉飛散量が少、黄砂飛散量が少、微小粒子状物質飛散量が多のときには、微小粒子状物質の人体からの除去を集中的に行うことが望ましいので、花粉飛散量が少、黄砂飛散量が少、微小粒子状物質飛散量が多を含む属性の状況の組み合わせに対しては、微小粒子状物質の除去に適した第3のモードと、微小粒子状物質の除去に適した振幅、中心電位、周波数の制御パラメータを規定する制御パターンが登録されている。
【0039】
さて、このような制御パターンは、ユーザシステム1のモバイル端末11のリモート制御アプリケーション117が行う図7aの制御パターン設定処理と、支援システム3の制御パターンサーバ31が行う図7bの制御パターン設定処理によって、静電気制御装置12の制御部126に設定される。
【0040】
すなわち、図7aに示すように、モバイル端末11のリモート制御アプリケーション117は、制御パターン設定処理において、予め定めた制御パターン取得タイミングの到来を待つ(ステップ702)。
【0041】
ここで、制御パターン取得タイミングは、たとえば、1日あたり1回または複数回の定時のタイミングと、ユーザが入力装置113を介して制御パターン取得を指示されたタイミングの一方、または、双方とする。
【0042】
そして、制御パターン取得タイミングが到来したならば、GNSS受信器114を用いて現在位置を算定し(ステップ704)、無線通信を介して、支援システム3の制御パターンサーバ31に、算定した現在位置を含めた制御パターン要求を送信する(ステップ706)。
【0043】
そして、制御パターン要求の応答として制御パターンサーバ31から制御パターンを受信したならば(ステップ708)、受信した制御パターンが規定するモードと制御パラメータを近距離無線通信を介して静電気制御装置12の制御部126に設定する(ステップ710)。
【0044】
そして、ステップ702に戻って、次回の制御パターン取得タイミングの到来を待つ。
ここで、上述のように、静電気制御装置12の制御部126は、このようにしてモバイル端末11から設定されたモードで、モバイル端末11から設定された制御パラメータを用いて人体の静電気を制御する。
【0045】
一方、図7bに示すように、支援システム3の制御パターンサーバ31は制御パターン設定処理において、モバイル端末11から制御パターン要求を受信したならば(ステップ752)、制御パターン要求に含まれる現在位置が示す地域、現在の季節、現在位置が示す地域の天気、気温、湿度、花粉飛散量、黄砂飛散量、微小粒子状物質飛散量等の状況を、ユーザの環境の各属性の状況として取得する(ステップ754)。
【0046】
ここで、天気、気温、湿度、花粉飛散量、黄砂飛散量、微小粒子状物質飛散の各気象要素の状況の取得は、たとえば、制御パターン要求に含まれる現在位置が示す地域のこれら気象要素の状況の情報を、別途設けられている気象情報を提供する気象情報サーバから取得すること等により行う。または、制御パターンサーバ31に各地域のこれら気象要素の状況の情報を格納して随時更新するようにすると共に、格納している情報中から制御パターン要求に含まれる現在位置が示す地域のこれら気象要素の状況の情報を取得するようにしてもよい。
【0047】
そして、次に、取得したユーザの環境の各属性の状況が示す、ユーザの環境の各属性の状況の組み合わせに対して制御パターンデータベース32に登録されている制御パターンを取得し(ステップ756)、取得した制御パターンを、制御パターン要求の発行元のモバイル端末11に送信する(ステップ758)。
【0048】
そして、ステップ752に戻って、次回の制御パターン要求の受信を待つ。
以上、静電気制御装置12の制御部126への制御パターンの設定動作について説明した。
次に、モバイル端末11のリモート制御アプリケーション117が行う監視処理について説明する。
リモート制御アプリケーション117は、監視処理において、静電気制御装置12の制御部126から、制御部126が帯電量検出装置13から取得している人体の表面電位を、近距離無線通信を介して取得し、常時またはユーザ操作に応じて表示装置112に表示する。また、リモート制御アプリケーション117は、監視処理において、取得した人体の表面電位が異常値を示したならば、ユーザの注意を喚起する警告音などのアラートを出力する処理なども行う。
【0049】
また、モバイル端末11のリモート制御アプリケーション117は、この他に、ユーザからモードの切替操作を受け付けて、静電気制御装置12の制御部126に設定するモードを切り替える処理や、所定の設定受付画面を表示して、ユーザから制御パターンの変更操作を受け付けて、静電気制御装置12の制御部126に設定する制御パターンを変更する処理なども行う。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明した。
ところで、以上の実施形態は、支援システム3を設けずに、支援システム3の機能を、個々のモバイル端末11に設けるようにしてもよい。
また、以上の実施形態では、静電気制御装置12をコロナ放電により発生したイオンの吐出により人体の静電気を制御するものとしたが、静電気制御装置12は、たとえば、摩擦帯電や剥離帯電などの他の方式により生成した静電気を人体に印加するものとしてもよい。
【0051】
また、以上の実施形態では、帯電量検出装置13を接地したが、接地電位を用いことなく人体表面の静電気の状態を検出できる静電気測定部132を用いる場合には、帯電量検出装置13の接地は行わなくてもよい。
また、以上の実施形態では、モバイル端末11と静電気制御装置12とが近距離無線通信を行うものとしたが、これは、他の無線通信や有線通信によってモバイル端末11と静電気制御装置12とで通信を行うものとしてもよい。
【0052】
また、以上の実施形態では、静電気制御装置12と帯電量検出装置13とが近距離無線通信を行うものとしたが、これは、他の無線通信や有線通信によって静電気制御装置12と帯電量検出装置13とで通信を行うものとしてもよい。
また、以上の実施形態は、モバイル端末11を設けずに、モバイル端末11の機能を静電気制御装置12に設けるようにしてもよい。
また、以上の実施形態は、モバイル端末11と支援システム3を設けずに、静電気制御装置12において、ユーザ操作を受け付けて制御パターンを設定するものとしたり、静電気制御装置12において固定の制御パターンを用いるものとしてもよい。
【0053】
以上のように本実施形態によれば、人体に装着した静電気制御装置12によって、日常生活中にある人体の静電気を常時に制御できるようになる。
また、本実施形態によれば、花粉の飛散状況や微小粒子状物質の飛散状況や気温や湿度といった気象要素の状況に応じた制御パターンなどの、そのときどきの人体の環境に応じた適切な制御パターンで、人体の静電気を適切に制御できるようになる。
【符号の説明】
【0054】
1…ユーザシステム、2…WAN、3…支援システム、11…モバイル端末、12…静電気制御装置、13…帯電量検出装置、31…制御パターンサーバ、32…制御パターンデータベース、111…無線通信装置、112…表示装置、113…入力装置、114…GNSS受信器、115…周辺デバイス、116…近距離無線通信装置、117…リモート制御アプリケーション、121…近距離無線通信装置、122…近距離無線通信装置、123…プラスイオン発生部、124…マイナスイオン発生部、125…イオン吐出部、126…制御部、131…近距離無線通信装置、132…静電気測定部、133…コントローラ、1251…送風機。
図1
図2
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図5
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図7