IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エンプラスの特許一覧

特許7233198コンタクトユニット用フレーム及びソケット
<>
  • 特許-コンタクトユニット用フレーム及びソケット 図1
  • 特許-コンタクトユニット用フレーム及びソケット 図2A
  • 特許-コンタクトユニット用フレーム及びソケット 図2B
  • 特許-コンタクトユニット用フレーム及びソケット 図3
  • 特許-コンタクトユニット用フレーム及びソケット 図4
  • 特許-コンタクトユニット用フレーム及びソケット 図5
  • 特許-コンタクトユニット用フレーム及びソケット 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】コンタクトユニット用フレーム及びソケット
(51)【国際特許分類】
   H01R 33/76 20060101AFI20230227BHJP
【FI】
H01R33/76 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018209768
(22)【出願日】2018-11-07
(65)【公開番号】P2020077519
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上山 雄生
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-207184(JP,A)
【文献】特開2012-174617(JP,A)
【文献】特開平08-167679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトユニットの収容部を囲う前後左右の位置にそれぞれ前辺、後辺、左辺及び右辺を有する底板と、前記底板において前記収容部の外周よりも外側に位置する内周縁から第1方向に起立する内周板と、前記底板において前記内周板とは反対側の外周縁から前記第1方向に起立する外周板と、を備える金属枠と、
記底板上に配置される樹脂枠と、を備え
前記金属枠は、前記前辺、前記後辺、前記左辺及び前記右辺のそれぞれに、前記内周板及び前記外周板の少なくとも一方を備える
コンタクトユニット用フレーム。
【請求項2】
前記内周板は、前記前辺、前記後辺、前記左辺及び前記右辺のそれぞれに設けられている
請求項1に記載のコンタクトユニット用フレーム。
【請求項3】
前記樹脂枠は、前記内周板の先端及び前記外周板の先端よりも前記第1方向に突出している
請求項に記載のコンタクトユニット用フレーム。
【請求項4】
前記樹脂枠の樹脂は耐熱性樹脂である
請求項1~3の何れか一項に記載のコンタクトユニット用フレーム。
【請求項5】
前記金属枠は、第1金属枠と、第1金属枠上に配置される第2金属枠とを備えた
請求項1~4の何れか一項に記載のコンタクトユニット用フレーム。
【請求項6】
前記第1金属枠は、
第1底板と、
前記第1底板の前記内周縁の全周又は一部から前記第1方向に起立する第1内周板、及び、前記第1底板の前記外周縁の全周又は一部から前記第1方向に起立する第1外周板の少なくとも一方と、を備え、
前記第2金属枠は、
第2底板と、
前記第2底板の前記内周縁の全周又は一部から前記第1方向に起立する第2内周板、及び、前記第2底板の前記外周縁の全周又は一部から前記第1方向に起立する第2外周板の少なくとも一方と、を備え、
前記底板は、前記第1底板と、前記第2底板とにより構成され、
前記内周板は、前記第1内周板及び前記第2内周板の少なくとも一方により構成され、
前記外周板は、前記第1外周板及び前記第2外周板の少なくとも一方により構成された
求項5に記載のコンタクトユニット用フレーム。
【請求項7】
電気部品を収容する収容部を備えたコンタクトユニットと、
前記収容部を囲う請求項1~6の何れか一項に記載のコンタクトユニット用フレームとを備えた
ソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトユニット用フレーム及びソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されているように、ICパッケージ等の電気部品を検査する際、コンタクトユニットを有するソケットが用いられている。このコンタクトユニットは、電気部品を収容する収容部を備える。収容部は、フレームにより前後左右を囲われており、このフレームにより電気部品が収容部に案内される。従来、フレームは、金属インゴットから機械加工により削り出して製作されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-037722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機械加工では、加工対象物を精度良く加工できる反面、プレス加工などの他の大量生産を前提とした加工方法よりも加工工程が多い。このため、ソケットの製造時間の長時間化、ひいては、ソケットが発注されてから納品するまでのリードタイムの長期化を招いていた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するために創案されたものであり、品質を保持しつつ従来よりも短時間で製造できるようにしたコンタクトユニット用フレーム及びソケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題を解決するために、本発明のコンタクトユニット用フレームは、 コンタクトユニットの収容部を囲う前後左右の位置にそれぞれ前辺、後辺、左辺及び右辺を有する底板と、前記底板において前記収容部の外周よりも外側に位置する内周縁から第1方向に起立する内周板と、前記底板において前記内周板とは反対側の外周縁から前記第1方向に起立する外周板と、を備える金属枠と、記底板上に配置される樹脂枠と、を備え、前記金属枠は、前記前辺、前記後辺、前記左辺及び前記右辺のそれぞれに、前記内周板及び前記外周板の少なくとも一方を備える
【0007】
上記従来の課題を解決するために、本発明のソケットは、電気部品を収容する収容部を備えたコンタクトユニットと、前記コンタクトユニット用フレームとを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、品質を保持しつつ従来よりも短時間でコンタクトユニット用フレーム及びソケットを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態のコンタクトユニット用フレーム及びコンタクトユニットの構成を示す斜視図。
図2A】本発明の一実施形態のコンタクトユニット用フレーム,コンタクトユニット及びソケットの構成を示す断面図であり、図1の線A1-A1を通る鉛直断面を後方から視た図。
図2B】本発明の一実施形態のコンタクトユニット用フレーム,コンタクトユニット及びソケットの構成を示す断面図であり、図1の線A2-A2を通る鉛直断面を右側から視た図。
図3】本発明の一実施形態のコンタクトユニット用フレームの構成を示す斜視図。
図4】本発明の一実施形態のコンタクトユニット用フレームの分解斜視図。
図5】本発明の一実施形態のコンタクトユニット用フレームの変形例の構成を示す斜視図。
図6】本発明の一実施形態のコンタクトユニット用フレームの変形例の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係るコンタクトユニット用フレーム及びソケットついて、図面を参照しながら説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除するものではない。また、実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。さらに、実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0011】
以下の実施形態では、本発明のコンタクトユニット用フレーム及びソケットとして、ICパッケージのバーンイン試験に使用されるものを説明する。また、以下では、便宜的に、コンタクトピンは、後述のフローティングプレート5が上側に配置され、上側プレート3が下側に配置されているものとして説明を行う。但し、コンタクトピン及びソケットの配置がそのような配置に限られないことは言うまでもない。また、説明の便宜上、前後左右を各図面に示すように規定する。
【0012】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一要素は原則として同一の符号を付し、その説明を省略することもある。
【0013】
[1.構成]
本発明の一実施形態のコンタクトユニット用フレーム,コンタクトユニット及びソケットの構成をについて、図1図4を参照して説明する。図1はコンタクトユニット用フレーム及びコンタクトユニットの構成を示す斜視図である。図2A及び図2Bはコンタクトユニット用フレーム,コンタクトユニット及びソケットの構成を示す断面図であり、図2A図1の線A1-A1を通る鉛直断面を後方から視た図、図2B図1の線A2-A2を通る鉛直断面を右側から視た図である。図3はコンタクトユニット用フレームの構成を示す斜視図である。図4はコンタクトユニット用フレームの分解斜視図である。
【0014】
[1-1.コンタクトユニットの構成]
図1図4に示すように、コンタクトユニット1は、コンタクトユニット用フレーム(以下「フレーム」と称する)2と、上側プレート3と、上側プレート3の下面に固定される下側プレート4と、フローティングプレート5とを備えて構成される。フレーム2は、フローティングプレート5の前後左右を囲う。上側プレート3と下側プレート4とは、フローティングプレート5の下方に配置される。
【0015】
フローティングプレート5の上方には、本発明における電機部品としてのICパッケージ(図示略)が収容され、フローティングプレート5は本発明の収容部を構成する。フローティングプレート5の形状は、本実施形態では平面視で矩形である。また、フローティングプレート5は、複数のコイルスプリング5aを介して下方の上側プレート3に取り付けられており、フローティングプレート5は上側プレート3に対して進退可能となっている。
【0016】
ICパッケージには端子(例えば半田ボール)がマトリックス状に複数配設される。フローティングプレート5には、ICパッケージの複数の端子の配置にあわせて貫通孔(図示省略)がマトリックス状に複数配設されており、これらの貫通孔には、対応するICパッケージの端子が上方から入り込む。
【0017】
上側プレート3及び下側プレート4には、それぞれ、貫通孔(図示省略)が複数形成される。これらの貫通孔は、ICパッケージの端子やフローティングプレート5の貫通孔の配置にあわせてマトリックス状に配置される。上側プレート3と下側側プレート4とにおいて、上下に並ぶ貫通孔にはそれぞれコンタクトピン(図示省略)が挿通されている。またコンタクトピンの下部の接点には配線基板10の電極が接続されている。
【0018】
このようなコンタクトユニット1の構成により、ICパッケージを、コイルスプリング5aの付勢力に抗してフローティングプレート5ごとコンタクトピンに接触するまで押し込むと、ICパッケージと配線基板10とがコンタクトピンを介して電気的に接続される。
【0019】
[1-2.ICソケットの構成]
図2Aに示すように、本発明の一実施形態のICソケット100(ソケット)は、ベースプレート80と、上述のコンタクトユニット1と、カバー90とを備える。ベースプレート80の前後左右の中央には貫通口が形成されており、この貫通口にコンタクトユニット1が取り付けられる。カバー90は、ベースプレート80に上下に回転可能に取り付けられる。また、カバー90は、押圧機構(図示省略)を備える。
【0020】
このようなICソケット100の構成により、カバー90を閉じた状態で押圧機構を操作することで、上述したようにICパッケージの端子をコンタクトピンに押圧できるようになっている。
【0021】
[1-3.フレームの詳細]
フレーム2は、ICパッケージを内側のフローティングプレート5に案内し、図3及び図4に示すように、前辺、後辺、左辺及び右辺の4辺からなる枠形状をしている。フレーム2は、樹脂枠20Aと、金属枠20Bとを備える。金属枠20Bは、本実施形態では、第1金属枠21と、第2金属枠22とからなる。樹脂枠20A,第1金属枠21及び第2金属枠22は、何れも、概略、前辺、後辺、左辺及び右辺の4辺からなる枠形状をしている。
【0022】
樹脂枠20Aは、図1及び図2Aに示すように、樹脂枠本体20aと、樹脂ブロック20bとを備える。樹脂枠本体20aは、樹脂枠20Aから樹脂ブロック20bを除いた部分である。樹脂枠本体20aは、本実施形態では一体に形成されているが、例えば周方向に対して複数に分割されていてもよい。
【0023】
樹脂ブロック20bの形状は略直方体であり、摩耗等により経年的に損傷が進行しやすい箇所に配置される。詳しくは、樹脂ブロック20bは、その上面が樹脂枠本体20aの上面と面一となるように(又は略面一となるように)樹脂枠本体20aの上面に形成された凹所内に設けられる。本実施形態では、樹脂枠本体20aの前方左側の角部近傍及び後方右側の角部近傍の2箇所にそれぞれ配置されている。
【0024】
樹脂枠本体20aと樹脂ブロック20bとは、それぞれ、バーンイン試験時のソケットの到達温度(例えば170℃)で使用可能な耐熱性樹脂により形成される。耐熱性樹脂とは、具体的には、融点が170℃以上の樹脂のことである。
【0025】
このような耐熱性樹脂としては、具体的には、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、半芳香族ポリアミド(PA9T、PA9T、PAMXD6など)、脂肪族ポリアミド(PA46など)、ポリアリレート(PAR)、液晶ポリマー(LCP)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド(PAI)、および熱可塑性ポリイミド(TPI)などのスーパーエンジニアプラスチック、並びに、ポリアミド(PA6、PA66など)、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール(POM)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、および超高分子量ポリエチレン(UHDPE)などのエンジニアリングプラスチックなどが挙げられる。これらの中でも、PEI、PES、PEEK、LCPが好ましい。
【0026】
図4に示すように、第1金属枠21は、底板21c(第1底板)と、起立板21a(第1内周板)と、起立板21b(第1外周板)とを備えて構成される。底板21cは、前辺、後辺、左辺及び右辺の4辺からなる。
【0027】
起立板21aは、底板21cの内周縁、すなわちフローティングプレート5(図1参照)側の周縁に起立する。詳しくは、起立板21aは、底板21cの全周、すなわち前辺、後辺、左辺及び右辺の4辺のそれぞれに設けられている。
【0028】
起立板21bは、底板21cの外周縁、すなわち当該内周縁と反対側の周縁に上方(第1方向)に向けて起立する。詳しくは、起立板21bは、底板21cにおいて、左辺及び右辺のそれぞれに設けられ、前辺及び後辺には何れにも設けられていない。
【0029】
これらの底板21c,起立板21a及び起立板21bは一体に形成されている。本実施形態では、1枚のプレート材を例えばプレス加工により折り曲げることで第1金属枠21が上述した形状に形成されている。
【0030】
第2金属枠22は、底板22c(第2底板)と、起立板22a(第2内周板)と、起立板22b(第2外周板)とを備えて構成される。底板22cは、前辺、後辺、左辺及び右辺の4辺からなる。
【0031】
起立板22aは、底板22cの内周縁、すなわちフローティングプレート5(図1参照)側の周縁に起立する。詳しくは、起立板22aは、底板22cにおいて、左辺及び右辺のそれぞれに設けられ、前辺及び後辺には何れにも設けられていない。
【0032】
起立板22bは、底板22cの外周縁、すなわち当該内周縁と反対側の周縁に起立する。詳しくは、起立板22bは、底板22cの全周、すなわち前辺、後辺、左辺及び右辺の4辺のそれぞれに設けられている。
【0033】
これらの底板22c,起立板22a及び起立板22bは一体に形成されている。本実施形態では、1枚のプレート材をプレス加工により折り曲げることで上述した形状に第2金属枠22が形成されている。
【0034】
各起立板21a,21b,22a,22bの高さ(縦寸法)は、同じ高さ寸法で設計されている。
【0035】
そして、第1金属枠21の底板21cの下面を、第2金属枠22の底板22cの上面に重ね合わせるようにして、第1金属枠21と第2金属枠22とを組み付けることで、金属枠20Bが構成される。
【0036】
このような形状の第1金属枠21と第2金属枠22とを組み付けることにより、金属枠20Bでは、4辺すなわち全周において、内周側及び外周側に起立板が設けられることとなる。具体的には、金属枠20Bでは、前辺及び後辺の各々には、内周側に起立板21aが、外周側に起立板22bが設けられ、左辺及び右辺の各々には、内周側に起立板21a,22aが重合状態で、外周側に起立板21b,22bが重合状態で設けられる。すなわち、金属枠20Bでは、前辺及び後辺に各々ついては、内周側及び外周側の各起立板は一枚の板材により形成され、右辺及び左辺に各々ついては、内周側及び外周側の各起立板は、重ね合わされた二枚の板材により形成される。なお、金属枠20Bから内周側の起立板を省略してもよい。
【0037】
金属枠20Bの起立板は、この起立板を構成する板材の枚数が多いほど、高い強度となり、当該枚数が少ないほど、合計の板厚が薄くなり、ひいてはフレーム2の前後,左右又は高さの寸法を小さくすることができる。
【0038】
本実施形態では、フレーム2の設置スペースの左右方向には余裕があるため、左右の起立板を二枚の板材により形成して高い強度としている。一方、当該設置スペースの前後方向には余裕がないため、前後の起立板を一枚の板材により形成してフレーム2の前後方向の寸法を抑制している。なお、起立板21a,22a,21b,22bには、カバー90による押圧時に樹脂枠20Aを介して力が作用する。
【0039】
そして、この金属枠20Bの底面(すなわち第1金属枠21の底板21cの上面)に、樹脂枠20Aの底面を重ね合わせるようにして、樹脂枠20Aと金属枠20Bとを組み付けることで、フレーム2が構成される。第1金属枠21と樹脂枠20Aとが組み付けられたものを第2金属枠22に組み付けるようにしてもよい。要するに、最終的に、金属枠20Bの底面,内周側の起立板及び外周側の各起立板の相互間に樹脂枠20Aが配置されればよい。
【0040】
また、図1図2A及び図2Bに示すように、樹脂枠20Aは、金属枠20Bの起立板21a,21b,22a,22bの各先端よりも上方に突出するように、その高さ寸法が設定されている。
【0041】
また、フレーム2には、フレーム2を構成する樹脂枠20A,第1金属枠21及び第2金属枠22を相互に連結するための複数のボルトBが螺合されている。樹脂枠20A,第1金属枠21及び第2金属枠22の各々に設けられ、上下に並ぶ貫通孔H1,H2,H3は一組となって一本のボルトBを通す。また、このボルトBは、その先端が上側プレート3に設けられた貫通孔H4に僅かに入り込み、フレーム2と上側プレート3とを適正な位置関係とする。
【0042】
貫通孔H2はプレス加工により第1金属枠21に形成され、貫通孔H3はプレス加工により第2金属枠22に形成される。このため、孔径の寸法精度や位置精度が、機械加工により形成する場合に比べて低く、製品ごとのばらつきも大きい。このような精度の低さを吸収できるよう、各貫通孔H2,H3は、ボルトBの径よりも大きな孔とされている。
【0043】
一方、樹脂枠20Aは、金型のような成型型を使用して形成されるので、樹脂枠20Aの貫通孔H1は、機械加工と同程度の高い位置精度で樹脂枠20Aに形成され、製品ごとの位置のばらつきも少ない。また、貫通孔H1は、内周面にネジが形成されている。
【0044】
ボルトBによるフレーム2と上側プレート3との接続位置は、樹脂枠20Aの貫通孔H1により規定されるようになり、当該接続位置が適切な位置に保持される。
【0045】
[2.作用効果]
本発明の一実施形態によれば以下のような作用効果が得られる。
【0046】
(1)フレーム2は、金属枠20Bと、金属枠20Bの底板21c,22c,内周側の起立板21a,22a及び外周側の起立板21b,22bの相互間に保持された樹脂枠20Aと、により構成される。したがって、フレーム2及びICソケット100を、品質(例えば、フレームの強度、貫通孔の位置精度など)を保持しつつ従来よりも短時間で製造できる。
【0047】
この理由は次の通りである。金属枠20Bを構成する第1金属枠21及び第2金属枠22は、底板21c,22cと、起立板21a,21b,22a,22bにより構成される。これにより、第1金属枠21及び第2金属枠22を一枚の金属板をプレス加工することで速やかに製造できる。また、樹脂枠20Aは樹脂成型により速やかに製造できる。そして、フレーム2の強度は金属枠20Bにより確保でき、フレーム2の他部品との接続に必要なボルトBを挿通用の貫通孔の位置精度は樹脂枠20Aにより確保できる。したがって、上述したように、本発明の一実施形態によればフレーム2及びICソケット100を、従来のように金属インゴットから削り出してフレームを製造する場合に対し、品質を保持しつつ短時間で製造できる。
【0048】
(2)横断面が略U形状の金属枠20Bの内方に、ブロック状の樹脂枠20Aを入れ込んでフレーム2を構成とすることで、単に複数の板材を積層してフレーム2を構成する場合に比べて、フレーム2を構成する部品の点数を少なくできる。
【0049】
(3)金属枠20Bを第1金属枠21及び第2金属枠22により構成することで、金属枠20Bの起立板を、第1金属枠21と第2金属枠との2枚の起立板を重合させて構成することで高い強度を得ることができる。その一方、フレーム2の配置スペースが、例えば前後について制限されるような場合、金属枠20Bの前後の起立板ついては第1金属枠21及び第2金属枠22の何れか一方により構成することが可能となり、フレーム2の前後の寸法を短くできる。
【0050】
(4)プレス加工は機械加工に比べて加工後の寸法精度が低い。このため、第1金属枠21及び第2金属枠22を一枚の板材をプレス加工した場合、起立板21a,21b,22a,22bの高さが設計上の高さから大きく外れたり、互いに不揃いとなったりする可能性がある。その一方、樹脂枠20Aは金型のような成形型を使用して高い寸法精度で製造できる。そこで、樹脂枠20Aを、当該プレス加工の寸法精度にかかわらず起立板21a,21b,22a,22bよりも高くなるように設計しておくことで、フレーム2の高さが樹脂枠20Aにより規定されるようになり、フレーム2の高さ寸法を適切に維持できる。
【0051】
(5)樹脂枠20Aを耐熱性樹脂により構成することで、高温下で行われるバーンイン試験にフレーム2を使用できる。
【0052】
[3.変形例]
(1)フレームの構成は前記実施形態の構成に限定されない。以下、図5及び図6を参照してフレームの変形例の構成を説明する。図5はフレームの構成を示す斜視図である。図6はフレームの分解斜視図である。
【0053】
図5及び図6に示すように、フレーム2Aは、樹脂枠25Aと、金属枠25Bとを備える。金属枠25Bは、第1金属枠26と、第2金属枠27とからなる。樹脂枠25A,第1金属枠26及び第2金属枠27は、何れも、前辺、後辺、左辺及び右辺の4辺からなる枠形状をしている。
【0054】
樹脂枠25Aは、前記実施形態の樹脂枠20Aと異なり、単一の部材として構成される。
【0055】
第1金属枠26は、底板26c(第1底板)と、起立板26a(第1内周板)と、起立板26b(第1外周板)とを備えて構成される。底板26cは、前辺、後辺、左辺及び右辺の4辺からなる。
【0056】
起立板26aは、底板26cの内周縁の周縁に起立する。起立板26bは、底板26cの外周縁、すなわち当該内周縁と反対側の周縁に起立する。起立板26aと起立板26bとは、何れも、底板26cの全周、すなわち前辺、後辺、左辺及び右辺の4辺のそれぞれに設けられている。
【0057】
第2金属枠27は、底板27c(第2底板)と、起立板27a(第2内周板)と、起立板27b(第2外周板)とを備えて構成される。底板27cは、前辺、後辺、左辺及び右辺の4辺からなる。
【0058】
起立板27aは、底板27cの内周縁の周縁に起立する。起立板27bは、底板27cの外周縁、すなわち当該内周縁と反対側の周縁に起立する。起立板27aと起立板27bとは、何れも、底板27cの全周、すなわち前辺、後辺、左辺及び右辺の4辺のそれぞれに設けられている。
【0059】
第2金属枠27の内方に第1金属枠26を入れ込むことでフレーム2Aが構成される。これにより、金属枠25Bの内周側の各辺及び外周側の各辺の起立壁が、起立壁26a,27aからなる二重壁又は起立壁26b,27bからなる二重壁により構成される。このように、フレーム2Aは、金属枠25Bの起立壁が全て二重壁である点で、前記実施形態のフレーム2と異なる。
【0060】
この他の構成は、前記実施形態と同様なので説明を省略する。
【0061】
(2)前記実施形態では、金属枠20Bを、第1金属枠21と第2金属枠22との2つの枠体より構成したが、金属枠20Bを1つの枠体又は3つ以上の枠体により構成してもよい。
【0062】
(3)前記実施形態では、本発明のフレーム及びソケットを、ICパッケージの検査用に適用したが、本発明のフレーム及びソケットは、これに限られるものではなく、他の電気部品の検査用又はその他の種々の用途に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、コンタクトユニット用フレーム及びソケットとして好適に利用される。
【符号の説明】
【0064】
1 コンタクトユニット
2,2A コンタクトユニット用フレーム
3 上側プレート
4 下側プレート
5 フローティングプレート
5a コイルスプリング
10 配線基板
20A,25A 樹脂枠
20a 樹脂枠本体
20b 樹脂ブロック
20B,25B 金属枠
21,26 第1金属枠
21a,26a 起立板(第1内周板)
21b,26b 起立板(第1外周板)
21c,26c 底板(第1底板)
22,27 第2金属枠
22a,27a 起立板(第2内周板)
22b,27b 起立板(第2外周板)
22c,27c 底板(第2底板)
80 ベースプレート
90 カバー
100 ICソケット(ソケット)
B ボルト
H1,H2,H3,H4 貫通孔
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6