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特許7233216インフィルユニット及びスケルトンインフィル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】インフィルユニット及びスケルトンインフィル
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/04 20060101AFI20230227BHJP
【FI】
E04H1/04 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018246794
(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公開番号】P2020105847
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-12-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年10月10日、金沢工業大学COI中間成果報告会において公開
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 嵩之
(72)【発明者】
【氏名】宮田 昌信
(72)【発明者】
【氏名】岸邉 英伸
(72)【発明者】
【氏名】越智 寛
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-003259(JP,A)
【文献】特開2010-242478(JP,A)
【文献】実公昭51-008246(JP,Y1)
【文献】特開2018-105014(JP,A)
【文献】実開昭49-038010(JP,U)
【文献】実開昭58-173811(JP,U)
【文献】実開昭48-015713(JP,U)
【文献】特開2013-217183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/04
E04B 1/61
F16B 5/06,12/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の繊維強化プラスチック製のパネルがジョイント材を介して相互に接合され、閉合した多面体構造を形成しており、
前記ジョイント材は、
複数の被係合部を有する軸状の第一ジョイントと、
前記被係合部に係合される係合部と、前記パネルの端部が嵌まり込む嵌合溝とを有する軸状の第二ジョイントと、を備えていることを特徴とする、インフィルユニット。
【請求項2】
前記ジョイント材が、金属製もしくは繊維強化プラスチック製であることを特徴とする、請求項に記載のインフィルユニット。
【請求項3】
前記第一ジョイントの前記被係合部のうち、外部に露出している被係合部に係合して該被係合部を外部から視認不可とするカバー材を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のインフィルユニット。
【請求項4】
前記多面体構造を形成する一つの面には、前記ジョイント材を介してキャップ材が接合されており、
前記キャップ材は、繊維強化プラスチック製のキャップ枠と、該キャップ枠の内側に配設されている透光性パネルとを有することを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載のインフィルユニット。
【請求項5】
複数の柱と複数の梁が交互に格子状に接合されることにより複数の格子体が形成され、複数の該格子体が水平方向に並設されて一つの格子体ユニットを形成し、一つの該格子体ユニットもしくは積層する複数の該格子体ユニットからなる、スケルトン構造体と、
前記格子体ユニットに収容されている、請求項1乃至のいずれか一項に記載のインフィルユニットと、を有することを特徴とする、スケルトンインフィル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インフィルユニット及びスケルトンインフィルに関する。
【背景技術】
【0002】
持続可能な社会を実現するべく、スクラップアンドビルドによることなく、半永久的に使用できる建物の開発が要請されている。一方、別の観点では、建物の施工に当たり職人が減少している現在及び将来において、熟練度や専門知識を要することなく、誰でも施工することが可能であって、施工に要する期間が短い建物の開発が要請されている。
【0003】
上記様々な要請を充足可能な建物として、インフィル建物(住宅)や、スケルトン構造体にインフィルユニットが取り外し可能に設置されたスケルトンインフィル建物(住宅)が挙げられる。スケルトンインフィル住宅は、建物のスケルトン構造体(柱、梁等の構造躯体)とインフィル(住戸内の内装や設備等)とが分離された住宅であり、例えば、分譲マンション等の集合住宅に多用されている。スケルトン構造体とインフィルが分離されていることにより、ライフスタイルの変化に応じて間取りや設備などの内装を容易に改造できるため、長期的な有効利用を可能とした建物となる。
【0004】
ここで、互いに直交するXYZ方向にそれぞれ延びる複数の第一梁、複数の第二梁、及び複数の柱によって六面開口の立方体または直方体形状の単位区画体を複数個形成したスケルトン構造体と、スケルトン構造体の単位区画体内に嵌め入れ可能なインフィルユニットとを備える建物が提案されている。インフィルユニットは、六面体のうちの五面が閉塞されている筒状体と、筒状体の開口端に装着されるキャップ体とにより形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-105014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のスケルトン構造体とインフィルユニットとを備える建物によれば、住空間の拡張や縮小を柔軟に行うことが可能になる。ところで、特許文献1に記載されるインフィルユニットは、六面体のうちの五面が一体に閉塞している筒状体を構成要素としていることから、筒状体の規模は比較的大きなものとなり、その搬送性に課題を有する。
【0007】
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、搬送性と組立て性に優れ、高強度なインフィルユニットと、このインフィルユニットを含むスケルトンインフィルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成すべく、本発明によるインフィルユニットの一態様は、
複数の繊維強化プラスチック製のパネルがジョイント材を介して相互に接合され、閉合した多面体構造を形成していることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、繊維強化プラスチック製のパネルがジョイント材を介して相互に接合されて多面体構造を形成していることにより、搬送の際は組立て前のパネルやジョイント材を搬送することにより、搬送性が良好になる。また、ジョイント材を介してパネル同士を接合する施工方法にて多面体構造を形成できることから、ビスや釘、ボンド等を使用することなく、誰でも簡単に、可及的に短い施工期間で多面体構造からなるインフィルユニットを施工することができる。さらに、繊維強化プラスチック製のパネルは比較的軽量で、しかも高強度な部材であることから、組立てに際しては例えば人力でも行うことができ、形成された多面体構造からなるインフィルユニットは高強度な構造体となる。
【0010】
また、本発明によるインフィルユニットの他の態様において、前記ジョイント材は、
複数の被係合部を有する軸状の第一ジョイントと、
前記被係合部に係合される係合部と、前記パネルの端部が嵌まり込む嵌合溝とを有する軸状の第二ジョイントと、を備えていることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、例えば、パネルの端部が嵌め込まれる第二ジョイント同士を第一ジョイントが係合することにより、組み付けが簡単でシンプルな構成であって、かつ接合強度の高いジョイント構造を有するインフィルユニットを形成することができる。ここで、被係合部は軸状の凹部であり、係合部はこの軸状の凹部と相補的な形状を有する軸状の凸部からなる形態や、その逆の形態などである。例えば、第一ジョイントが、正方形断面の四辺の中央位置にそれぞれ被係合部である凹部を有する軸状の部材であり、第二ジョイントが、この凹部に係合される係合部である凸部を有する軸状の部材である場合、第一ジョイントに組み付け時の方向性が存在しないことから、第一ジョイントの有する四つの凹部のいずれか一つもしくは複数に対して一つもしくは複数の第二ジョイントの有する凸部を係合させることができる。そのため、良好な施工性が享受される。
【0012】
また、本発明によるインフィルユニットの他の態様において、前記ジョイント材が、金属製もしくは繊維強化プラスチック製であることを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、ジョイント材が金属製もしくは繊維強化プラスチック製であることにより、繊維強化プラスチック製のパネルと相俟って、全体剛性の高い多面体構造からなるインフィルユニットを形成できる。また、第一ジョイントと第二ジョイントはいずれも軸状であり、かついずれも繊維強化プラスチック製もしくは金属製の部材であることから、例えば、パネルの端部が嵌め込まれている第二ジョイントの係合部に対して第一ジョイントの被係合部をスライドレールのようにスライドさせながら係合することにより、第一ジョイントと第二ジョイントのスムーズな係合を図ることができる。
【0014】
また、本発明によるインフィルユニットの他の態様は、前記第一ジョイントの前記被係合部のうち、外部に露出している被係合部に係合して該被係合部を外部から視認不可とするカバー材を有することを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、第一ジョイントのうち、外部に露出している被係合部にカバー材が係合されて外部から視認不可とされていることにより、被係合部が外部に露出することが抑止され、外観意匠性に優れたインフィルユニットを形成することができる。
【0016】
また、本発明によるインフィルユニットの他の態様において、前記多面体構造を形成する一つの面には、前記ジョイント材を介してキャップ材が接合されており、
前記キャップ材は、繊維強化プラスチック製のキャップ枠と、該キャップ枠の内側に配設されている透光性パネルとを有することを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、多面体構造を形成する一つの面において透光性パネルを有するキャップ材が接合されていることにより、インフィル内への十分な採光を図ることができる。
【0018】
また、本発明によるスケルトンインフィルの一態様は、
複数の柱と複数の梁が交互に格子状に接合されることにより複数の格子体が形成され、複数の該格子体が水平方向に並設されて一つの格子体ユニットを形成し、一つの該格子体ユニットもしくは積層する複数の該格子体ユニットからなる、スケルトン構造体と、
前記格子体ユニットに収容されている前記インフィルユニットと、を有することを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、高剛性のインフィルユニットがスケルトン構造体の格子体の内部に配設されていることにより、スケルトン構造体を高強度に補強することなく、全体として高剛性なスケルトンインフィルを形成することができる。例えば、梁と柱が相互に接合されることにより立方体もしくは直方体の格子体が形成され、スケルトン構造体は、この格子体を複数備えた構造を有しているが、スケルトン構造体にインフィルユニットが配設されることにより全体として剛性の高い構造体が形成される。そのため、スケルトン構造体を構成する格子体の構面内にブレース等を配設して格子体を補強することは不要となる。複数の格子体が水平方向に並設されて一つの格子体ユニットが形成されてなる一階(平屋)のスケルトン構造体においては、一つの格子体ユニットの各格子体にインフィルユニットが配設されることにより、複数のインフィルユニットが配設された平屋の集合住宅等を形成できる。また、複数の格子体ユニットが積層されてなるスケルトン構造体においては、複数階の集合住宅等を形成できる。
【発明の効果】
【0020】
以上の説明から理解できるように、本発明のインフィルユニット及びスケルトンインフィルによれば、搬送性と組立て性に優れ、高強度なインフィルユニットと、このインフィルユニットを含むスケルトンインフィルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係るインフィルユニットの一例の分解斜視図である。
図2図1のII部を分解して拡大した図であって、ジョイント材の一例を詳細に示す斜視図である。
図3】実施形態に係るインフィルユニットの一例の斜視図である。
図4】ジョイント材に取付けられるカバー材の一例の斜視図である。
図5】ジョイント材にカバー材が取り付けられている状態のインフィルユニットの一例の斜視図である。
図6】実施形態に係るスケルトンインフィルの一例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施形態に係るインフィルユニットとスケルトンインフィルの一例について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0023】
[実施形態に係るインフィルユニット]
はじめに、図1乃至図3を参照して、実施形態に係るインフィルユニットの一例について説明する。ここで、図1は、実施形態に係るインフィルユニットの一例の分解斜視図であり、図2は、図1のII部を分解して拡大した図であって、ジョイント材の一例を詳細に示す斜視図である。また、図3は、実施形態に係るインフィルユニットの一例の斜視図である。
【0024】
インフィルユニット10は、複数の繊維強化プラスチック製のパネル1,8と、キャップ材7とが、複数のジョイント材4を介して相互に接合され、閉合した多面体構造(図示例は六面体構造)を形成している。パネル1,8等を形成する繊維強化プラスチック(FRP:Fiber-Reinforced Plastics)には、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:carbon fiber reinforced plastic)、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP:glass fiber reinforced plastic)、セルロースナノファイバー等を含むFRPなどが含まれる。
【0025】
パネル1は平面視長方形の四つの側面を形成し、四つの側面により形成される中空の四角柱体の一端には、ドア8aを備えた平面視略正方形のパネル8がジョイント材4を介して接合される。
【0026】
一方、キャップ材7は、繊維強化プラスチック製のキャップ枠5と、キャップ枠5の内側に配設されている、ガラスや透光性を有する樹脂等から形成される透光性パネル6とを有し、四つの側面により形成される中空の四角柱体の他端において、ジョイント材4を介して取り付けられるようになっている。
【0027】
平面視長方形のパネル1の四つの端面は、両面が若干切断されて一般部よりも厚みの薄い凸状の端部1aを有しており、この凸状の端部1aが第二ジョイント3の有する嵌合溝3cに嵌め込まれるようになっている。
【0028】
図2に詳細に示すように、ジョイント材4は、第一ジョイント2と第二ジョイント3を有する。第一ジョイント2は、軸状で断面が略正方形(隅角部が面取りされている)の本体2aと、本体2aの四つの端面の中央位置に開設されている被係合部2b(係合凹部)とを有する。
【0029】
一方、第二ジョイント3は、軸状で断面形状が略コの字状の本体3aと、第一ジョイント2の被係合部2bに係合する係合部3b(係合凸部)と、パネル1の端部1aが嵌まり込む嵌合溝3cとを有する。
【0030】
第一ジョイント2の被係合部2b、第二ジョイント3の係合部3bはともに軸状を呈しており、相互に係合した際に係脱しないように細幅の首部と首部よりも大径の円形部が連続する相補的な断面形状を有している。図2に示すように、係合部3bの一端を被係合部2bの一端にX方向に嵌め込み、スライドさせるスライドレール式の係合によりジョイント材4が形成される。尚、相補的な形状の被係合部2bと係合部3bは、図示例の首部と円形部の連続した断面形状以外の断面形状を有していてもよい。
【0031】
一部のパネル1の端部1aは第二ジョイント3の嵌合溝3cに嵌め込まれ、他の一部のパネル1の端部1aは第二ジョイント3の嵌合溝3cに嵌め込まれるとともに、係合部3bが第一ジョイント2の被係合部2bに係合される。そして、一方のパネル1側の被係合部2bに対して他方のパネル1側の係合部3bが係合することにより、四つの側面により形成される中空の四角柱体が形成される。さらに、六面体の四つの隅角部には第一ジョイント2が鉛直方向に立設した姿勢で配設されており、この第一ジョイント2の有する一つの被係合部2bに対して、四つの側面により形成される中空の四角柱体の有する係合部3bが係合されるようになっている。
【0032】
図1に戻り、キャップ材7は、キャップ枠5と、キャップ枠5の内側に配設されている透光性パネル6とを有し、キャップ枠5の内側(中空の四角柱体側の側面)には、第二ジョイント3の嵌合溝3cが嵌まり込む突起枠5aが設けられている。この突起枠5aの四辺に対して四つの第二ジョイント3が取り付けられている。
【0033】
中空の四角柱体の開口側の両端には、図1に示すように、四つの第一ジョイント2が矩形枠状に配設されている。キャップ枠5の四辺に取り付けられている四つの第二ジョイント3の係合部3bが、矩形枠状の四つの第一ジョイント2のうちの対応する第一ジョイント2の被係合部2bに係合されることにより、キャップ材7が中空の四角柱体に取り付けられる。また、平面視略正方形のパネル8の内側(中空の四角柱体側の側面)にも、キャップ枠5の突起枠5aと同様な突起枠(図示せず)が設けられており、この突起枠に対して第二ジョイント3の嵌合溝3cが嵌まり込んでいる(図示せず)。そして、キャップ材7と同様に、パネル8を中空の四角柱体の端部に取り付けることができる。
【0034】
このようにして、図3に示すように、複数の繊維強化プラスチック製のパネル1,8とキャップ材7が、複数のジョイント材4を介して相互に接合されてなるインフィルユニット10が構成される。尚、図示例において、インフィルユニット10の長手方向の長さはLである。
【0035】
ここで、第一ジョイント2と第二ジョイント3は、アルミニウムやスチール等の金属製、もしくはパネル1,8と同様に炭素繊維強化プラスチック製の部材である。特に、第一ジョイント2と第二ジョイント3がいずれも炭素繊維強化プラスチック製の場合には、パネル1,8及びキャップ枠5と合わせて、インフィルユニット10のほぼ全体が炭素繊維強化プラスチック製となることから、極めて高強度な閉合する多面体構造となる。
【0036】
また、図示するインフィルユニット10は、ビスや釘、ボンド等を使用することなく、ジョイント材4を介して比較的軽量なパネル1,8等を接合することにより施工できる。第一ジョイント2の有する軸状の被係合部2bと第二ジョイント3の有する軸状の係合部3bを、スライドレール式に係合して多面体構造を形成することから、横材勝ちの取り合いや縦材勝ちの取り合いを勘案して、係合する順序に留意する必要はあるものの、施工に際して熟練度や専門知識は不要であり、誰でも比較的容易に施工することが可能になる。そのため、可及的に短い施工期間でインフィルユニット10を施工することができる。
【0037】
また、インフィルユニット10は、パネル1,8等とジョイント材4を個別に現地に搬送し、現地にて組み立てることにより施工できることから、搬送性と組立て性に優れている。尚、例えば図3に示す長さLのインフィルユニット10が長手方向に二基以上連接してなるインフィルユニットであってもよい。この場合、長手方向に延びる四つの隅角部には全長に亘る(例えば、二基が連接する場合は長さ2Lの)ジョイント材4が設けられ、中折れしない構造とされるのが好ましい。
【0038】
インフィルユニット10を単独で使用する場合、平屋の家屋や仮設住宅等として使用することができる。また、インフィルユニット10は地盤にアンカー材(図示せず)等により固定されるのが好ましい。さらに、インフィルユニット10が自走式の移動装置(電気式の回転シャフトと車輪)を備えていてもよい。
【0039】
また、パネル1には、採光用の窓等の開口部が設けられてもよく、パネル1やキャップ枠5には、電気配線等を収容する各種配管がそれらの内部に埋設されているのが好ましい。
【0040】
図3において、インフィルユニット10を外観すると、相互に接合されるパネル1,8等の隅角部にある第一ジョイント2において、外部に露出している被係合部2bが視認できる。そこで、このように外部に露出している被係合部2bを外部から視認不可とするべく、図4に示すカバー材9を適用するのが好ましい。
【0041】
カバー材9は、断面視略L字状を有する軸状の部材であり、L字状を形成する二面においてそれぞれ、長手方向に延出する係合凸部9bを有している。ここで、カバー材9も、パネル1,8と同素材である繊維強化プラスチック製とすることができ、その他、アルミニウムやスチール等の金属製であってもよい。
【0042】
図3に示す隅角部にある第一ジョイント2において、外部に露出している被係合部2bに対して、カバー材9の有する各係合凸部9bを係合させることにより、図5に示すように、外部に露出している被係合部2bにカバー材9が係合されて外部から視認不可とされる。このことにより、被係合部2bが外部に露出することが抑止され、外観意匠性に優れたインフィルユニット10を形成することができる。
【0043】
[実施形態に係るスケルトンインフィル]
次に、図6を参照して、実施形態に係るスケルトンインフィルの一例について説明する。ここで、図6は、実施形態に係るスケルトンインフィルの一例の斜視図である。
【0044】
スケルトンインフィル30は、積層する複数の格子体ユニット18からなるスケルトン構造体20と、格子体ユニット18に収容されている複数のインフィルユニット10とを有する。
【0045】
格子体ユニット18は、xy平面、yz平面、及びxz平面内において形成される複数の格子体15が水平方向に並設されることにより構成されており、各格子体15は、柱11と梁12が相互に接合されることにより形成されている。柱11と梁12は、H形鋼等の形鋼材からなり、相互にボルト接合や溶接接合により形成されてもよいし、例えばプレキャストの鉄筋コンクリート製であってもよい。
【0046】
図示例において、一つの格子体15は立方体状のスケルトン構造を呈しており、格子体ユニット18は、平面視において三行三列の計九つの格子体15が相互に接合されることにより形成されている。さらに、図示例のスケルトン構造体20は、二つの格子体ユニット18が積層することにより、計十八個の格子体15が相互に接合されることにより形成されている。尚、格子体ユニット18は、図示例以外の数の格子体15により形成されてもよく、スケルトン構造体20は、一つの格子体ユニット18から形成されてもよいし、三つ以上の格子体ユニット18の積層体であってもよい。
【0047】
ここで、インフィルユニット10の長さLは、二つの格子体15の長さと略同程度の長さを有しており、キャップ材7が格子体15の端部に係止されている。図示例では、紙面の前面の六個の格子体15のうち、左側の二個の格子体15にそれぞれインフィルユニット10が配設されている。また、紙面右側の六個の格子体15のうち、左側の二個の格子体15にそれぞれインフィルユニット10が配設されている。また、紙面の右後面の六個の格子体15のうち、左側の二個の格子体15にそれぞれインフィルユニット10が配設されている。さらに、紙面の左後面の六個の格子体15のうち、左側の二個の格子体15にそれぞれインフィルユニット10が配設されている。
【0048】
このように各インフィルユニット10を配設することにより、各インフィルユニット10が他のインフィルユニット10と干渉することなく、計八基のインフィルユニット10をスケルトン構造体20に配設できる。そして、図示例の構成において、中央にはインフィルユニット10が存在しない上下方向に延出する空間ESが形成される。一方、下段の格子体ユニット18は、複数の柱11にて支持されており、一階はピロティPを形成している。このピロティPと中央の空間ESは連通している。
【0049】
例えば、空間ESをエレベータシャフトとして適用し、インフィルユニット10の居住者がピロティPからエレベータシャフトES内のエレベータ(図示せず)を利用して各住戸にアクセスすることができる。また、空間ESに階段を設けてもよいし、ピロティPを電気自動車等の車両の乗り入れ場とし、空間ESに車両用リフト(図示せず)を取り付け、車両用リフトを昇降して車両を各住戸にアクセスさせた後、乗員が各住戸に出入りできるようにしてもよい。
【0050】
既述するように、インフィルユニット10を単体で使用する場合には、インフィルユニット10を仮設住宅等として使用できる。また、複数のインフィルユニット10をスケルトン構造体20に配設してスケルトンインフィル30として使用する場合には、マンション等の集合住宅、オフィス、病院、老人ホーム等として使用することができる。そして、スケルトンインフィル30を構成する一つのインフィルユニット10の住人が引っ越し等をする場合は、対象となるインフィルユニット10をスケルトン構造体20から取り外し、トラック等でインフィルユニット10を引っ越し先に搬送したり、インフィルユニット10に自走手段を取り付け、引っ越し先に走行させた後、新規のインフィルユニット10をスケルトン構造体20に配設することもできる。
【0051】
上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、また、本発明はここで示した構成に何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0052】
1:パネル、1a:端部、2:第一ジョイント、2a:本体、2b:被係合部(係合凹部)、3:第二ジョイント、3a:本体、3b:係合部(係合凸部)、3c:嵌合溝、4:ジョイント材、5:キャップ枠、6:透光性パネル、7:キャップ材、8:パネル、8a:ドア、10:インフィルユニット、11:柱、12梁、15:格子体、18:格子体ユニット、20:スケルトン構造体、30:スケルトンインフィル、ES:エレベータシャフト(空間)、P:ピロティ
図1
図2
図3
図4
図5
図6