(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】通知方法選択装置、通知方法選択方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0251 20230101AFI20230227BHJP
【FI】
G06Q30/0251
(21)【出願番号】P 2019016469
(22)【出願日】2019-01-31
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】514326443
【氏名又は名称】livepass株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100206999
【氏名又は名称】萩原 綾夏
(72)【発明者】
【氏名】長原 優
(72)【発明者】
【氏名】大野 博樹
(72)【発明者】
【氏名】近藤 正朝
(72)【発明者】
【氏名】本多 英明
(72)【発明者】
【氏名】馬場 修二
(72)【発明者】
【氏名】竹内 大佑
(72)【発明者】
【氏名】山下 悠也
(72)【発明者】
【氏名】中尾 直之
(72)【発明者】
【氏名】小西 哲平
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0226691(US,A1)
【文献】特開2002-329033(JP,A)
【文献】特開2002-015115(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0290385(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0350144(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0309631(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物による通知である印刷通知、又は電子的な方法による通知である電子通知に対して行われた反応の実績と、通知を行うために割り当てられた予算とに基づいて、顧客に情報を通知する際の通知方法を、前記印刷通知又は前記電子通知から少なくとも一つを選択する分析部と、
前記分析部による選択の結果を出力する処理部と、
を備え
、
前記分析部は、前記実績に基づいて前記印刷通知における応答率、及び前記電子通知としてのメッセージ通知における応答率と開封率を推定し、推定した前記メッセージ通知の応答率が前記印刷通知の応答率より小さい場合、前記メッセージ通知の開封率が閾値以上なら通知方法を前記メッセージ通知とし、前記メッセージ通知の開封率が閾値未満なら通知方法を前記印刷通知とする選択処理により通知方法を決定し、前記選択処理における閾値を、費用が予算を超えず、且つ閾値に応じた前記メッセージ通知の開封率が予め設定された目標開封率以上となるように設定する、
通知方法選択装置。
【請求項2】
前記分析部は、通知反応推定モデルを用いて、
前記印刷通知における応答率、及び前記メッセージ通知における応答率と開封率を推定し、
前記通知反応推定モデルは、過去に通知した実績がある既存顧客の属性を示す顧客属性情報と、当該既存顧客に行った通知に対する当該既存顧客の反応とを対応付けた学習データを用いて機械学習を実行することにより作成された機械学習モデルである、
請求項1に記載の通知方法選択装置。
【請求項3】
分析部が、印刷物による通知である印刷通知、又は電子的な方法による通知である電子通知に対して行われた反応の実績と、通知を行うために割り当てられた予算とに基づいて、顧客に情報を通知する際の通知方法を、前記印刷通知又は前記電子通知から少なくとも一つを選択し、
処理部が、前記分析部による選択の結果を出力
し、
前記分析部は、前記実績に基づいて前記印刷通知における応答率、及び前記電子通知としてのメッセージ通知における応答率と開封率を推定し、推定した前記メッセージ通知の応答率が前記印刷通知の応答率より小さい場合、前記メッセージ通知の開封率が閾値以上なら通知方法を前記メッセージ通知とし、前記メッセージ通知の開封率が閾値未満なら通知方法を前記印刷通知とする選択処理により通知方法を決定し、前記選択処理における閾値を、費用が予算を超えず、且つ閾値に応じた前記メッセージ通知の開封率が予め設定された目標開封率以上となるように設定する、
通知方法選択方法。
【請求項4】
コンピュータを、請求項1又は請求項2のいずれか一項に記載の通知方法選択装置として動作させるためのプログラムであって、前記コンピュータを前記通知方法選択装置が備える各部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通知方法選択装置、通知方法選択方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータおよびインターネット等の通信ネットワーク技術の発展に伴い、顧客に業務上の通知を行う方法が、印刷物を郵送して通知する方法から、電子的な通知の方法に変化してきた。電子的な通知とは通信ネットワークを介した電子メールやメッセージングサービスなどを利用した通知である。メッセージングサービスは、例えば、RCS(Rich Communication Services)、及びSMS(Short Message Service)や、MMS(Multimedia Messaging Service)などの機能を利用してメッセージ等のコンテンツを送受信する仕組みである。RCSは、携帯電話用のインスタントメッセンジャーを端末レベルで実現するための規格であり、相手と通信する時にユーザ名や電子メールアドレスではなく、電話番号を使用するものである。RCSにおいては、異なる通信キャリア間の相互接続を考慮した設計がなされている。また、RCSでは、送信することができる文字数の上限が従来のSMSやMMSよりも大きく設定されている。特許文献1では、顧客に通知を行う際、顧客がすぐに見ることのできる確率が高いアドレスに電子メールを送信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、多くの企業が電子メールなどの電子的な通知による同様なサービスの提供を行っており、顧客に対して多数の通知がなされる場合がある。多数の電子的な通知がなされると、それらの通知が顧客に開封されないまま放置されてしまう事態が発生し得る。この場合、通知の内容を顧客に認識させることができない。この対策として、印刷物を郵送して顧客に通知を行う方法に戻すことが考えられる。一般に、物理的な印刷物が届けられた場合、その内容を確認しようとする意志が働きやすいと考えられるためである。しかし、印刷物を郵送するには印刷代や配送料などのコストがかかるため、印刷物による通知を行う方法に戻すと、電子的な通知と比較して経費が増大してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、顧客に通知を行う際に、通知の内容を顧客に認識されやすくすることができ、且つ通知に要するコストを増大させないようにすることができる通知方法選択装置、通知方法選択方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、印刷物による通知である印刷通知、又は電子的な方法による通知である電子通知に対して行われた反応の実績と、通知を行うために割り当てられた予算とに基づいて、顧客に情報を通知する際の通知方法を、前記印刷通知又は前記電子通知から少なくとも一つを選択する分析部と、前記分析部による選択の結果を出力する処理部と、を備え、前記分析部は、前記実績に基づいて前記印刷通知における応答率、及び前記電子通知としてのメッセージ通知における応答率と開封率を推定し、推定した前記メッセージ通知の応答率が前記印刷通知の応答率より小さい場合、前記メッセージ通知の開封率が閾値以上なら通知方法を前記メッセージ通知とし、前記メッセージ通知の開封率が閾値未満なら通知方法を前記印刷通知とする選択処理により通知方法を決定し、前記選択処理における閾値を、費用が予算を超えず、且つ閾値に応じた前記メッセージ通知の開封率が予め設定された目標開封率以上となるように設定する通知方法選択装置である。
【0007】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、分析部が、印刷物による通知である印刷通知、又は電子的な方法による通知である電子通知に対して行われた反応の実績と、通知を行うために割り当てられた予算とに基づいて、前記顧客に情報を通知する際の通知方法を、前記印刷通知又は前記電子通知から少なくとも一つを選択し、処理部が、前記分析部による選択の結果を出力し、前記分析部は、前記実績に基づいて前記印刷通知における応答率、及び前記電子通知としてのメッセージ通知における応答率と開封率を推定し、推定した前記メッセージ通知の応答率が前記印刷通知の応答率より小さい場合、前記メッセージ通知の開封率が閾値以上なら通知方法を前記メッセージ通知とし、前記メッセージ通知の開封率が閾値未満なら通知方法を前記印刷通知とする選択処理により通知方法を決定し、前記選択処理における閾値を、費用が予算を超えず、且つ閾値に応じた前記メッセージ通知の開封率が予め設定された目標開封率以上となるように設定する通知方法選択方法である。
【0008】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、コンピュータを、上記に記載の通知方法選択装置として動作させるためのプログラムであって、前記コンピュータを前記通知方法選択装置が備える各部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、この発明によれば、通知に対して行われた反応の実績と基づいて、予算を超えない範囲において通知の方法を選択することができる。このため、予算内で、最大限に通知の内容を顧客に認識されやすくなるように通知方法を選択することができる。また、顧客ごとに、印刷物による通知か、電子的な方法による通知かを選択することができるために、全ての顧客に対して、印刷物を通知する方法に戻すよりも、通知に要するコストを抑えることが可能である。つまり、通知の内容を顧客に認識されやすくすることができ、且つ通知に要するコストを増大させないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態による通知方法選択装置10が適用される通知方法選択システム1の構成を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態による通知方法選択装置10の構成を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態による応答履歴情報記憶部103に記憶される情報の構成例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態による通知方法選択装置10の動作を説明するフローチャートである。
【
図5】第2の実施形態による通知方法選択装置10Aの構成を示すブロック図である。
【
図6】第2の実施形態による応答履歴情報記憶部103Aに記憶される情報の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態による通知方法選択装置10が適用される通知方法選択システム1の構成を示すブロック図である。通知方法選択システム1は、企業などからの要求に応じて、各種の情報を特定顧客に通知するシステムである。通知方法選択システム1は、例えば、通知方法選択装置10と、印刷装置20と、配信サーバ30と、印刷レイアウト生成装置40と、電子レイアウト生成装置50とを備える。
【0013】
通知方法選択装置10は、通知要求を取得する。ここでの通知要求は、企業などに設けられた端末装置等から通知方法選択装置10に送信される信号であって、当該企業から顧客に通知を行うように要求する信号である。通知要求には、少なくとも、通知の宛先を示す情報、例えば、顧客の氏名、住所、電話番号、電子メールのアドレス等を示す情報が含まれる。
また、通知要求に、通知の内容が含まれていてもよい。ここでの所定の内容の通知とは、企業が顧客に対して行う業務上の通知であり、例えば、請求の金額を通知したり、顧客が加入している保険が満期に達したことを通知したりするものである。
通知方法選択装置10は、通知要求に基づき、通知の対象となる顧客に応じて、通知する方法(以下、通知方法とも称する)を選択し、選択の結果を出力する。
【0014】
本実施形態における通知方法は、印刷通知、及び電子通知である。印刷通知は、印刷物による通知であって、例えば、物理的な印刷物が顧客の住所に配送されることにより、通知する方法である。電子通知は、電子的な方法による通知であって、電子メール、又はメッセージングサービスを利用したメッセージが、顧客が利用する端末(デスクトップやタブレット、スマートフォン等)に配信されることにより通知する方法である。ここでのメッセージングサービスは、例えば、RCS(Rich Communication Services)、及びSMS(Short Message Service)や、MMS(Multimedia Messaging Service)などの機能を利用してメッセージ等のコンテンツを送受信する仕組みである。すなわち、電子通知には、電子メールによる通知と、メッセージングサービスを利用した通知(以下、メッセージ通知と称する)が含まれる。
【0015】
通知方法選択装置10は、通知方法を選択した選択結果に応じて、印刷通知を指示する印刷通知指示データ、又は電子通知を指示する電子通知指示データを出力する。
印刷通知指示データは、印刷通知を指示する旨の情報に、通知する対象となる顧客の氏名や住所などの情報を付与したデータである。
電子通知指示データは、電子通知を指示する旨の情報に、通知する対象となる顧客の電子メールのアドレスや、メッセージ通知を行うための電話番号やアカウントなどの情報を付与したデータである。
通知方法選択装置10は、通知方法を印刷通知とした場合、印刷通知指示データを印刷装置20に出力する。通知方法選択装置10は、通知方法を電子通知とした場合、電子通知指示データを配信サーバ30に出力する。通知方法選択装置10は、通知方法を電子通知とした場合、電子通知指示データに、電子メールによる通知か、メッセージングサービスを利用した通知(以下、メッセージ通知と称する)かを指定する情報を付与してもよい。
【0016】
印刷装置20は、通知方法選択装置10から取得した印刷通知指示データを用いて、印刷物による通知を行う。
印刷装置20は、印刷通知指示データを取得すると、印刷レイアウト生成装置40にレイアウトデータを要求し、印刷レイアウト生成装置40から印刷レイアウトデータを取得する。印刷レイアウトデータは、印刷通知にて通知する内容を示すデータであり、例えば、印刷物となる紙面を印刷するためのプリントデータである。プリントデータには、例えば、印刷する文言や画像、紙面上の配置などのレイアウトを示す情報等が含まれる。
印刷装置20は、印刷レイアウトデータを用いて紙面に印刷し、印刷物を生成する。印刷装置20は、生成した印刷物に封をする等し、封をした封筒に印刷通知指示データに示された宛先を付して顧客に配送するための処理を行い、配送業者等を利用して顧客宛てに印刷物を送付する。これにより、顧客に印刷物による通知が行われる。
【0017】
配信サーバ30は、通知方法選択装置10から取得した電子通知指示データを用いて、電子的な通知を行う。
配信サーバ30は、電子通知指示データを取得すると、電子レイアウト生成装置50にレイアウトデータを要求し、電子レイアウト生成装置50から電子レイアウトデータを取得する。電子レイアウトデータは、電子通知にて通知する内容を示すデータであり、例えば、電子メールやメッセージに示すコンテンツのデータである。コンテンツのデータには、タイトル、テキスト、画像、レイアウト、及びリンク先を示す情報等が含まれる。画像には静止画像だけでなく、動画像が含まれてもよい。
配信サーバ30は、電子レイアウトデータを用いて電子メールの内容を生成し、生成した電子メールを、電子通知指示データに示された顧客が利用するメールアドレスに宛てて送信する。配信サーバ30は、取得した電子レイアウトデータを用いてメッセージの内容を生成し、生成したメッセージを、電子通知指示データに示された顧客が利用するメッセージIDに宛てて送信する。メッセージIDは、例えば、顧客の電話番号、又はメッセージ通知を行うアプリケーションに登録された顧客の識別番号である。
【0018】
印刷レイアウト生成装置40は、印刷装置20からの要求に応じて、印刷レイアウトデータを印刷装置20に送信する。
電子レイアウト生成装置50は、配信サーバ30からの要求に応じて、電子レイアウトデータを配信サーバ30に送信する。
【0019】
なお、上記では、印刷レイアウト生成装置40が印刷レイアウトデータを生成し、電子レイアウト生成装置50が電子レイアウトデータを生成する場合を例示して説明したが、これに限定されない。例えば、通知方法選択装置10が、印刷レイアウトデータ及び電子レイアウトデータの何れか又は双方を生成してもよい。
【0020】
図2は、第1の実施形態による通知方法選択装置10の構成を示すブロック図である。通知方法選択装置10は、例えば、通知要求取得部100と、分析部101と、処理部102と、応答履歴情報記憶部103とを備える。
【0021】
通知要求取得部100は、通知要求を取得し、取得した通知要求を分析部101に出力する。通知要求には、通知先に関する情報、及び通知の内容に関する情報が含まれる。通知先に関する情報は、通知先を示す情報であって、例えば、通知する対象となる顧客の氏名、住所、電話番号、電子メールアドレス、メッセージID等である。通知の内容に関する情報は、通知する内容や、通知の条件を示す情報である。通知の条件は、通知する際の条件を示す情報であり、例えば、通知すべき期間などである。例えば、請求の金額を知らせる通知である場合には、その請求の金額が引き落とされる日前に顧客に通知する必要があるため、通知すべき期間は、引き落し日の一週間前などに設定される。
【0022】
分析部101は、通知要求取得部100からの通知要求に基づいて、通知方法を印刷通知、及び電子通知から選択する。分析部101は、通知対象である顧客になされた過去の通知に対する反応を分析し、分析の結果に応じて通知方法を選択する。ここでの通知に対する反応とは、顧客が通知の内容を認識したことを示す反応であり、例えば、応答と開封の二つの反応がある。ここでの反応とは、応答と開封との双方であってよいし、応答又は開封のいずれかであってもよい。
【0023】
応答は、顧客が行った、通知の内容に応じた応答である。例えば、請求金額の通知が行われた場合に、その金額に応じたポイント還元の案内に、当該顧客から応募があった場合などに、顧客が通知に応答したと判定することが可能である。また、保険が満期に達したことを通知した場合に、満期後に当該保険の加入を継続する旨の連絡が保険会社にあった場合や、保険が満期に達したことを通知して、学資保険の案内をした場合に、学資保険の加入の申し出がなされた場合などに、顧客が通知に応答したと判定することができる。
【0024】
開封は、顧客が行った、通知の開封である。通知を開封したか否かは、電子的な通知に対して判定される。例えば、メッセージ通知の場合、メッセージ通知を行うアプリケーションにより、メッセージが開封されたか(既読か)否か、つまり、電子通知の開封なされたか否かが判定される。当該アプリケーションでは、例えば、通知先の顧客が利用する端末のアプリケーション上にメッセージが表示された場合に、当該メッセージが開封されたが管理サーバ等に送信されることによりメッセージが開封されたと判定される。電子メールによる通知の場合、開封を確認するための画像(以下、開封確認画像と称する)やリンク先を示す情報が記載された電子メールが送信されるようにする。開封確認画像は、例えば、当該画像が表示されると、特定のURL(Uniform Resource Locator)にアクセスするように予めプログラムされている。この場合において、電子メールが開封され、開封確認画像が表示される、或いはリンク先がクリックされることにより特定のURLがアクセスされた場合に電子メールが開封されたとみなす。
【0025】
分析部101は、通知要求に示される通知先に関する情報(例えば、顧客の氏名)に基づいて、応答履歴情報記憶部103に記憶された応答履歴情報(
図3参照)を参照する。応答履歴情報には、顧客ごとの通知に対する反応を示す情報、例えば、過去に顧客に対して行った通知に対する応答の有無などを示す情報が含まれる。応答履歴情報は、「印刷通知、又は電子通知に対して行われた反応の実績」の一例である。
【0026】
分析部101は、例えば、顧客に対して過去に行った通知について、通知方法ごとの応答率、及び開封率を導出する。ここでの応答率は、通知を行った回数に対する、応答があった通知の数の割合である。また、開封率は、通知(電子的な通知方法による通知に限る)を行った回数に対する、開封された通知の数の割合である。
【0027】
分析部101は、印刷通知、電子通知(電子メールによる通知、及びメッセージ通知)の各々について応答率を導出し、最も応答率が高い通知方法を、顧客に対する通知方法として選択する。具体的に、分析部101は、顧客が電子メールによる通知の応答率が最も高い場合、顧客に対する通知方法として電子メールによる通知を選択する。分析部101は、顧客がメッセージ通知の応答率が、印刷通知の応答率よりも高い(大きい)場合に顧客に対する通知方法としてメッセージ通知を選択する。
【0028】
ここで、実際の物として印刷物が届けられた場合、人間はその印刷物を手に取って内容を確認しようとする意志が働くのが一般的である。これに対して、メッセージ通知は、印刷物のような実態があるものではないために、端末装置などにメッセージ通知がなされた場合であっても人間はさほどその内容を確認しようとする意志が働かない。印刷通知の開封率は電子通知のようには計測することができないが、電子通知の開封率と比較して高いと考えられる。また、このような自らの意思で開封した印刷物については、内容を確認した上で応答すると考えられるため、ほとんどの顧客が、メッセージ通知の応答率よりも、印刷通知の応答率が高いと考えてよい。
このため、メッセージ通知の応答率が、印刷通知の応答率よりも高く(大きく)ない顧客に印刷通知を行うというアルゴリズムにすると、大多数の顧客に印刷物による通知を行うこととなってしまう。この場合、印刷物を配送するためのコスト(印刷代や配送料など)が過大となってしまう懸念がある。
【0029】
この対策として本実施形態では、メッセージ通知の応答率が、印刷通知の応答率よりも高く(大きく)なくとも、メッセージ通知を開封している顧客については、メッセージ通知を行うようにする。そして、メッセージ通知の応答率が、印刷通知の応答率よりも高く(大きく)なく、且つ、メッセージ通知をほとんど開封すらしない顧客に対してのみ、印刷物による通知を行う。こうすることで、印刷物を配送するためのコストをできるだけ抑制する。
具体的には、分析部101は、メッセージ通知の応答率が、印刷通知の応答率よりも低い(小さい)場合であっても、例えば、メッセージ通知の開封率が所定の閾値以上であれば、顧客に対する通知方法としてメッセージ通知を選択するようにする。これにより、通知に要するコストを抑制することが可能となる。
【0030】
また、分析部101は、目標とする開封率(以下、目標開封率と称する)、及び通知に割り当てられた予算(以下、単に予算と称する)に応じて、通知方法を決定する。具体的に、分析部101は、予算の範囲内で、目標開封率を達成するように、通知方法を選択する際の閾値を変更する。ここでの閾値は、メッセージ通知の応答率が、印刷通知の応答率よりも低い(小さい)場合における、当該メッセージ通知の開封率の閾値であって、当該閾値以上である場合にメッセージ通知を通知方法として選択する際に用いる閾値である。
【0031】
例えば、分析部101は、まず、所定の閾値を低く(小さく)設定し、メッセージ通知の応答率が、印刷通知の応答率よりも低い(小さい)場合に該当する顧客に対する通知を全て電子通知とした場合、つまり通知対象とする顧客の全員に電子通知を選択した場合における、電子通知の開封率の平均値と、電子通知に要する費用とを導出する。
分析部101は、導出した電子通知の開封率の平均値が目標平均値よりも低く(小さく)、且つ、導出した費用が予算よりも低い(小さい)場合、所定の閾値を大きく設定し直す。そして、分析部101は、設定した所定の閾値に応じて一部の顧客に対し印刷通知を選択した場合における、電子通知を選択した顧客における電子通知の開封率の平均値と、電子通知及び印刷通知に要する費用とを導出する。
分析部101は、導出した費用が予算を超えない範囲内において、電子通知の開封率の平均値が目標平均値以上となるまで、所定の閾値の設定と、電子通知の開封率の平均値及び費用の導出とを繰り返し実行する。
分析部101は、導出した費用が予算を超えない範囲内において、電子通知の開封率の平均値が目標平均値以上となった時点における、所定の閾値を、通知方法として選択する際に用いる閾値として用いる。
なお、費用が予算を超えない範囲内において、電子通知の開封率の平均値が目標平均値以上とならない場合、分析部101は、例えば、通知要求を行った企業に対し承認通知を行う。承認通知は、通知要求を行った企業が提示した予算内では、目標開封率に到達する見込みが少ないことを伝える通知である。承認通知では、例えば、電子通知に代えて印刷通知を行う顧客の数増やすことができれば目標の開封率を達成できる可能性が高いことを伝え、その際の費用の見積もり額と、その開封率の予想値とを通知する。
【0032】
処理部102は、分析部101による顧客に対する通知方法を選択した結果(選択結果)に基づいて、印刷通知指示データ、又は電子通知指示データの何れか一方を作成する。処理部102は、印刷通知指示データを作成した場合、作成したデータを印刷装置20に出力する。処理部102は、電子通知指示データを作成した場合、作成したデータを配信サーバ30に出力する。ここで、印刷通知指示データは、分析部101による「選択の結果」の一例である。また、電子通知指示データは、分析部101による「選択の結果」の一例である。
【0033】
応答履歴情報記憶部103は、応答履歴情報を記憶する。応答履歴情報は、例えば、通知方法選択装置10の入力部(不図示)を介して、他の装置(通知に対する反応を集計するサーバ装置など)から入力される。
【0034】
図3は、第1の実施形態による応答履歴情報記憶部103に記憶される情報(応答履歴情報)の構成例を示す図である。応答履歴情報は、通知の対象となり得る顧客ごとに生成される。
【0035】
図3に示すように、応答履歴情報は、例えば、通知元、通知手段、応答、開封などの項目を備える。通知元には、通知元となる企業の名称などが示される。通知手段には、過去の所定期間に通知元から顧客になされた通知における通知方法、つまり、印刷通知、電子メール、メッセージの何れかが示される。応答率には、通知手段に示された通知方法における応答率が示される。開封率には、通知手段に示された通知方法における開封率が示される。この例では、顧客に対して、A社から印刷物による通知が5通なされ、そのうちの1通に応答があったことが示されている。また、A社から電子メールによる通知が20通なされ、その全てに応答がなかったこと、B社から印刷物による通知がなされなかったこと、B社からメッセージ通知が30通なされ、28通が開封され、そのうち5通に応答があったことが示されている。
【0036】
図4は、第1の実施形態による通知方法選択装置10の動作を説明するフローチャートである。
図4のフローチャートに示す処理を行う前提として、通知に割り当てられた予算に応じて、印刷通知を選択する通知の数(印刷通知の上限数)が予め決定されているものとする。
まず、通知方法選択装置10は、通知要求取得部100により通知要求を取得する(ステップS10)。通知要求取得部100は、取得した要求通知の内容を分析部101に出力する。
【0037】
次に、通知方法選択装置10は、分析部101により、応答履歴情報を取得する(ステップS11)。分析部101は、通知要求取得部100から要求通知を取得し、取得した通知要求において通知対象として示された顧客の氏名などの情報に基づいて応答履歴情報記憶部103を参照し、通知対象である顧客の応答履歴情報を取得する。
次に、分析部101は、電子メールの応答率が最も高いか否かを判定する(ステップS12)。分析部101は、応答履歴情報を用いて、過去において顧客になされた通知の通知方法ごとの応答率、及び開封率を導出する。応答率、及び開封率は、応答履歴情報記憶部103に記憶されていてもよいし、応答履歴情報記憶部103に記憶されている情報を用いて分析部101が計算により求めてもよい。分析部101は、導出した通知方法ごとの応答率を比較することにより、電子メールの応答率が最も高いか否かを判定する。分析部101は、電子メールの応答率が最も高いと判定する場合(ステップS12、YES)、ステップS13に進む。
【0038】
ステップS12において、分析部101により電子メールの応答率が最も高くはないと判定された場合、分析部101は、メッセージの応答率が印刷通知の応答率以上であるか否かを判定する(ステップS14)。分析部101は、電子メールの応答率が最も高いと判定する場合(ステップS14、YES)、ステップS13に進む。
ステップS14において、分析部101によりメッセージの応答率が印刷通知の応答率以上ではないと判定された場合、分析部101は、メッセージの開封率を記憶する(ステップS15)。
通知方法選択装置10は、分析部101により全ての通知要求を取得したか否かを判定する(ステップS13)。分析部101は、まだ取得していない通知要求がある場合、ステップS10に戻る。
通知方法選択装置10は、全ての通知要求を取得した場合、予算の範囲内で、目標とする開封率を達成するメッセージの開封率の閾値を決定する。(ステップS16)。そして、通知方法選択装置10は、記憶したメッセージ通知の開封率と、ステップS16で決定した閾値とを比較し、メッセージの開封率が閾値以上の顧客に電子通知、閾値未満の顧客に印刷通知を選択する(ステップS17)。
【0039】
以上説明した通り、第1の実施形態の通知方法選択装置10は、分析部101と処理部102を備える。分析部101は、印刷通知又は電子通知に対して行われた反応の実績と、通知を行うために割り当てられた実績とに基づいて、前記顧客に情報を通知する際の通知方法を、印刷通知又は電子通知から少なくとも一つを選択する。処理部102は、分析部101による選択の結果(印刷通知の指示を示す印刷通知指示データ、又は電子通知の指示を示す電子通知指示データの何れか一方)を出力する。
これにより、第1の実施形態の通知方法選択装置10は、予算を超えない範囲において、その顧客の傾向に応じた通知方法を選択でき、予算内で通知が最大限に顧客に確認されやすくなるようにすることができる。また、印刷通知、又は電子通知から選択することができるために、印刷通知、及び電子通知の双方について、共に応答する傾向にある顧客に対しては、電子通知を選択することができるために、通知が顧客に確認されやすくしつつ、且つ、全ての顧客に印刷物による通知を行う場合よりも通知に要するコストを抑制することが可能である。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。本実施形態では、通知反応推定モデルを用いて通知方法が選択される。通知方法反応モデルは、顧客に電子通知、及び/又は印刷通知を行った場合における、当該通知に対して顧客が行う反応を推定する学習済みモデルである。本実施形態では、例えば、通知要求に示される顧客へ通知した実績がなく、当該顧客の応答履歴情報が蓄積されていない場合などに適用される。以下の説明では、応答履歴情報が蓄積されていない、或いは蓄積されている情報量が少ないなどの理由から、通知反応推定モデルを用いて通知方法が選択される通知要求に示される顧客を「新規顧客」と称する。また、応答履歴情報が十分に蓄積されているなどの理由から、通知反応推定モデルに学習させる学習データとして情報が用いられる顧客を「既存顧客」と称する。
【0041】
本実施形態では、通知方法選択装置10Aは、分析部101Aと、処理部102Aと、応答履歴情報記憶部103Aと、学習済みモデル情報記憶部104とを備える。
【0042】
分析部101は、予め、通知方法推定モデルを作成する。分析部101は、作成した通知反応推定モデルを、学習済みモデル情報記憶部104に記憶させる。通知方法反応モデルについては後で詳しく説明する。
【0043】
分析部101Aは、通知要求に基づいて、通知先の顧客の顧客属性情報を取得する。当該顧客属性情報は、例えば、通知要求に含まれている。或いは、当該顧客情報が、通知方法選択装置10と通信ネットワーク等を介して通信可能に接続する顧客属性情報記憶サーバ(不図示)に記憶されてもよい。この場合、顧客属性情報記憶サーバは、様々な顧客の顧客属性情報を記憶するサーバ装置である。例えば、分析部101は、通知要求に示される顧客の氏名等に基づいて、顧客属性情報記憶サーバにアクセスし、通知先の顧客の顧客情報を取得する。なお、様々な顧客の顧客属性情報は、通知方法選択装置10の図示しない顧客属性情報記憶部に記憶されていてもよい。
【0044】
分析部101は、取得した通知先の顧客の顧客属性情報を、通知方法推定モデルに入力する。通知反応推定モデルは、入力された顧客属性情報に基づいて、当該顧客の電子通知、及び/又は印刷通知に対する反応を推定する。通知反応推定モデルは、例えば、顧客に電子通知を行った場合における応答確率、及び開封確率を推定する。また、通知反応推定モデルは、顧客に印刷通知を行った場合における応答確率を推定する。ここでの応答確率は、通知に対する応答があると推定される確率である。また、開封確率は、通知が開封される確率である。
【0045】
分析部101Aは、通知反応推定モデルに、印刷通知の応答確率と、電子通知の応答確率及び開封確率とを推定させる。分析部101Aは、推定させた印刷通知の応答確率と、電子通知の応答確率及び開封確率と、通知に割り当てられた予算とに基づいて、通知方法を選択する。通知方法を選択する方法については、上述した実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0046】
応答履歴情報記憶部103は、学習データを記憶する。学習データは、分析部101が通知反応推定モデルを作成する際に、モデルに学習させるデータである。学習データは、例えば、通知方法選択装置10の入力部(不図示)を介して、他の装置(通知に対する反応を集計するサーバ装置など)から入力される。学習データは、「印刷通知、又は電子通知に対して行われた反応の実績」の一例である。
学習済みモデル情報記憶部104は、通知反応推定モデルを記憶する。
【0047】
図6は、第2の実施形態による応答履歴情報記憶部103Aに記憶される情報(学習データ)の構成例を示す図である。学習データは、過去に行った通知の実績に基づいて作成される。
【0048】
図6に示すように、学習データは、顧客IDと入力と出力とにより構成される。顧客IDは顧客を一意に識別する識別情報である。入力は、顧客IDに対応する顧客の顧客属性情報を示し、この例では年齢、性別、住所、職業、家族構成などを備える。出力は、顧客通知元、通知方法、応答、開封などの項目を備える。通知元には、通知元となる企業の名称などが示される。通知手段には、過去の所定期間に通知元から顧客になされた通知における通知方法、つまり、印刷通知、電子メール、メッセージの何れかが示される。応答には、通知手段に示された通知方法に対する応答がなされた通知の数が示される。開封には、通知手段に示された通知方法に対する開封がなされた通知の数が示される。この例では、40代の男性の顧客で、都内に住み、広告業に従事し、未就学児の子供がいる顧客に対して、A社からのメッセージ通知が5通なされ、そのうちの1通に応答があったこと、5通全てが開封されたことが示されている。また、この男性にはB社からのメッセージ通知が20通なされ、その全てに応答がなく、18通が開封されたことが示されている。また、60代の女性の顧客で、都内に住む主婦の方で子供が既に独立している顧客に対して、A社からの印刷通知はなされていないこと、B社からのメッセージ通知が30通なされ、そのうち5通に応答があり、28通が開封されたことが示されている。
【0049】
ここで通知方法推定モデルについて説明する。
分析部101Aは、応答履歴情報記憶部103Aに記憶された学習データを用いて、機械学習モデルに、入力(顧客属性情報)と出力(通知に対する反応)との対応関係を学習させることにより通知反応推定モデルを作成する。学習済みモデルに学習させる機械学習の技法としては、隠れマルコフモデル(HMM)、ディープラーニング、リカレントニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、サポートベクタマシン(SVM)、決定木学習、遺伝的プログラミング、などの一般的に用いられている技法のいずれが用いられてもよい。
【0050】
分析部101Aは、通知反応推定モデルに、未学習の入力情報(通知方法を選択する対象とする顧客、つまり新規の顧客の顧客属性情報)を入力する。
通知反応推定モデルは、分析部101Aからの未学習の入力情報が入力されると、学習済みの学習データにおける学習済みの入力情報(既存顧客の顧客属性情報)と、未学習の入力情報との類似度合いを算出する。ここでの類似度合いは、例えば、未学習の入力情報の特徴量をベクトル表現により数値化した値と、学習済みの入力情報の特徴量をベクトル表現により数値化した値との、ベクトル空間における距離として算出される。ベクトル空間における距離は、互いのベクトル表現により数値化した値の相関量に比例し、例えば、ベクトルの内積等により算出される。
【0051】
通知反応推定モデルは、未学習の入力情報とのベクトル空間における距離が所定の閾値未満である、つまり類似している学習済みの入力情報を抽出する。学習済みモデルは、抽出した学習済みの入力情報に対応付けられた、学習済みの出力情報(既存顧客の通知に対する反応)を、未学習の入力情報に対して推定される出力情報(新規顧客の通知に対する反応)として出力する。
【0052】
なお、上記では、分析部101Aが通知反応推定モデルを作成する場合を説明したが、分析部101は、通知方法選択装置10Aとは異なる他の装置が作成した通知反応推定モデルを用いて、新規顧客における通知に対する反応を推定するようにしてもよい。
【0053】
以上説明したように、第2の実施形態における通知方法選択装置10Aでは、分析部101Aにより、通知反応推定モデルを用いて、顧客に情報を通知する際の通知方法を、印刷通知又は電子通知から少なくとも一つを選択する。これにより、第2の実施形態における通知方法選択装置10Aでは、通知先の顧客の応答履歴情報が蓄積されていない場合であっても、属性情報が類似する顧客の情報を学習したモデル(通知反応推定モデル)を用いて、通知先の顧客の応答確率などを推定することができる。このため、予算の範囲内で通知の内容が最大限顧客に確認されやすくなるように通知方法を選択することができ、上述した実施形態と同様の効果を奏する。
【0054】
また、上述した少なくとも一つの実施形態では、応答率を導出する際に、その応答率の母数に、顧客に対して過去に行った全ての印刷通知(又は電子通知)の回数を用いる場合を例示して説明した。しかしながら、通知の内容によっては、応答する必要がないものがあり得る。例えば、請求金額の通知や保険の満了等の通知は、通知が目的であり応答の必要はない。このような通知を応答率の導出に用いると、導出した応答率が実態よりも小さく導出されてしまう可能性がある。
【0055】
このため、分析部101は、応答の必要がない通知を、応答率を導出する際の母数となる通知から除外するようにしてもよい。この場合、分析部101は、通知方法を選択するとともに、その通知の内容から、応答が必要な通知か否かを判定した判定結果を、応答履歴情報記憶部103などに記憶する。そして、分析部101は、応答率を導出する場合に、記憶した応答が必要な通知か否かを判定した判定結果に基づいて、過去に顧客に行った通知の各々について応答率の母数とするか否かを判定する。分析部101は、応答率の母数とすると判定した通知の回数に対する実際に応答があった通知の数を、応答率として導出する。
【0056】
上述した少なくとも一つの実施形態では、印刷通知に対する開封率を導出しない場合を例示して説明したが、メッセージ通知等を用いて、印刷通知の開封率を導出するようにしてもよい。この場合、例えば、印刷通知を行う際に、印刷通知をした顧客に「(印刷通知を)開封しましたか?」などのメッセージ通知を行う。そして、顧客からの当該メッセージ通知に対する返信結果を用いて、印刷通知が開封されたか否かを判定する。分析部101は、印刷通知が開封されたか否かを判定した判定結果を用いて、印刷通知の開封率を導出する。
【0057】
上述した少なくとも一つの実施形態では、印刷通知又は電子通知の何れか一方が選択される場合を例示して説明したが、印刷通知と電子通知の双方が選択されてもよい。例えば、分析部101は、印刷通知が選択された顧客に関して、最近引っ越しをする予定であることが分かっており、印刷通知により通知を行う場合の宛先となる住所が確定できず、印刷通知が顧客に配達されるか不明である場合などに、印刷通知と電子通知の双方を選択する。これにより、印刷通知が選択された顧客の住所が確定できない場合であっても、印刷通知と電子通知の双方により通知することで、通知の内容をより確実に顧客に確認させることが可能である。
【0058】
上述した実施形態における通知方法選択装置10(10A)の全部又は一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0059】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1…通知方法選択システム、10…通知方法選択装置、100…通知要求取得部、101…分析部、102…処理部、103…応答履歴情報記憶部、20…印刷装置、30…配信サーバ