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  • 特許-フロクマリン類の低減方法 図1
  • 特許-フロクマリン類の低減方法 図2
  • 特許-フロクマリン類の低減方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】フロクマリン類の低減方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/20 20160101AFI20230227BHJP
   A23F 3/34 20060101ALI20230227BHJP
   A23L 2/38 20210101ALI20230227BHJP
【FI】
A23L5/20
A23F3/34
A23L2/38 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019027667
(22)【出願日】2019-02-19
(65)【公開番号】P2020130045
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】507152970
【氏名又は名称】公益財団法人東洋食品研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】橋本 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】阿部 竜也
【審査官】安孫子 由美
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-067179(JP,A)
【文献】特表2013-503114(JP,A)
【文献】あいち産業科学技術総合センター 研究報告,2016年,100-103
【文献】いちじくの葉のお茶,紅茶教室TEASMILE(千葉・船橋)「お茶が好き!」,2015年09月04日,https://ameblo.jp/tyopitapu/entry-12069412232.html,[検索日2022年9月6日]
【文献】微量栄養素研究,2017年,34,43-46
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
Google Scholar
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロクマリン類を含有するフロクマリン類含有食品であるイチジク茶葉、或いは、当帰茶葉を、0.1~4℃の水で浸出する浸出工程を有するフロクマリン類の低減方法。
【請求項2】
前記浸出工程の浸出時間は30~180分である請求項1に記載のフロクマリン類の低減方法。
【請求項3】
前記フロクマリン類がプソラレン、ベルガプテンおよびキサントトキシンの少なくとも何れかを含む請求項1または2に記載のフロクマリン類の低減方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロクマリン類を含有するフロクマリン類含有食品からフロクマリン類を低減させる方法、および、フロクマリン類低減食品に関する。
【背景技術】
【0002】
イチジク(Ficus carica L.)は、アラビア南部を原産地とするクワ科の植物であり、単に飲食用だけでなく、古くから薬用植物としても利用されている(非特許文献1参照)。また近年の研究では、イチジクは、血糖値の降下作用、降血圧作用、抗がん作用、及び免疫力を高める作用等を有することも明らかとなっている(非特許文献2参照)。
【0003】
飲食用や薬用としても有用なイチジクではあるが、成分としてフロクマリン類を含んでいる。フロクマリン類は、抗菌作用や、植物を食べる昆虫の消化を妨げる作用を有しており、植物の防御機構を担う物質の一つと考えられている。
【0004】
このフロクマリン類はそれを摂取あるいは皮膚に付着することによって、紅斑、色素沈着、びらんの症状を呈する光毒性接触皮膚炎を発症したり、あるいは医薬品との相互作用(薬物代謝酵素シトクロムP450の阻害:非特許文献3参照)を引き起こす場合がある。これは、フロクマリン類が、光増感剤として作用する、あるいはある種の薬物代謝酵素の働きを阻害することが原因であると考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】レイ・タナヒル(Reay Tannahill)著、栗山節子訳、「美食のギャラリー(The Fine Art of Food)」、東京、八坂書房、2008年11月25日、p12-18
【文献】梁晨千鶴著、「東方栄養新書」、京都、メディカルユーコン、2005年、p70-71
【文献】石原優等、「果実果皮加工食品のフラノクマリン含有量とCytochrome P450 3A (CYP3A) 阻害活性:果皮の加工過程における6’,7’-dihydroxybergamottinの流出」、薬学雑誌、131(5)、679-684(2011)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えばイチジク茶を利用者に供するに際し、予めフロクマリン類を低減した状態で利用者に供するのが望ましい場合がある。
【0007】
従って、本発明の目的は、フロクマリン類を含有するフロクマリン類含有食品からフロクマリン類を簡便に低減する方法、および、フロクマリン類を低減したフロクマリン類低減食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、上記目的を達成するため、以下の[1]~[]に示す発明を提供する。
[1]フロクマリン類を含有するフロクマリン類含有食品であるイチジク茶葉、或いは、当帰茶葉を、0.1~4℃の水で浸出する浸出工程を有するフロクマリン類の低減方法。
[2]前記浸出工程の浸出時間は30~180分である[1]に記載のフロクマリン類の低減方法。
[3]前記フロクマリン類がプソラレン、ベルガプテンおよびキサントトキシンの少なくとも何れかを含む[1]または[2]に記載のフロクマリン類の低減方法
【0009】
上記[1]~[]によれば、フロクマリン類含有食品を低温の溶媒に接触させて得られた浸出液に含まれるフロクマリン類の含有量は、フロクマリン類含有食品を前記低温の溶媒より高い通常の温度に設定した溶媒を接触させて得られた浸出液に含まれるフロクマリン類の含有量より減少させることができる。特に本方法では、フロクマリン類含有食品(イチジク茶葉或いは当帰茶葉)を低温(0.1~4℃)の溶媒に接触させて浸出させる浸出工程を行えばフロクマリン類の溶出量を低減することができるため、簡便な手法となる。前記溶媒を水としてあるため、本方法を簡便に行うことができる。
【0010】
後述の実施例において、フロクマリン類含有食品としてイチジク茶葉或いは当帰茶葉を使用して、浸出温度が0.1~4℃の範囲内であること、および、浸出時間が30~180分であればフロクマリン溶出量が低減すると認められている。フロクマリン類含有食品がイチジク茶葉の場合は、プソラレンおよびベルガプテンを効果的に減少させ、フロクマリン類含有食品が当帰茶葉の場合は、キサントトキシンおよびベルガプテンを効果的に減少させることができると認められている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1において、イチジク茶葉に0.1,2,3,4,10,20℃の超純水を加えてそれぞれにおいて浸出を行い、浸出液におけるフロクマリン(プソラレンおよびベルガプテン)含量を測定した結果を示した図である。
図2】実施例2において、イチジク茶葉に0.1,4℃の超純水を加えてそれぞれにおいて浸出を行い、それぞれにおいて種々の時間(1,2,3,4,24時間)の浸出を行ったのち、浸出液におけるフロクマリン(プソラレンおよびベルガプテン)含量を測定した結果を示した図である。
図3】実施例3において、イチジク茶葉の浸出工程における浸出時間を30分(0.1℃)としたときのフロクマリン(プソラレンおよびベルガプテン)含量、アレルギー抑制成分(ジフルクトース無水物(以下、DFA)およびルチン)含量を測定した結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明は、フロクマリン類を含有するフロクマリン類含有食品を低温の溶媒で浸出する浸出工程を有するフロクマリン類の低減方法、および、フロクマリン類を低減したフロクマリン類低減食品である。
【0014】
フロクマリン(furocoumarin)類とは、フラン環が縮合したクマリン誘導体の総称である。フロクマリン類は、セリ科、ミカン科、マメ科、クワ科等の植物に多く含まれる。フロクマリン類に属する化合物としては、例えば、プソラレン(psoralen)、ベルガプテン(bergapten)、キサントトキシン(xanthotoxin)、イソピンピネリン(isopimpinellin)、ベルガモチン(bergamottin)、ジヒドロキシベルガモチン(dihydroxybergamottin)等が挙げられる。
【0015】
本発明では、フロクマリン類を含有するフロクマリン類含有食品を使用する。当該フロクマリン類含有食品は、上記のフロクマリンの内の少なくとも何れか、好ましくはプソラレン、ベルガプテンおよびキサントトキシンの少なくとも何れかを含むものであればよい。
【0016】
このようなフロクマリン類含有食品は、例えば、イチジク、当帰、セイヨウトウキ、グレープフルーツなどの柑橘類、セロリ、ニンジン葉等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。フロクマリン類含有食品は、生、乾燥物、粉末化したもの、および、粉末化していないもの等、何れの態様であってもよく、例えば茶葉などの粉末化された乾燥物とするのがよい。これらのうち、例えばイチジク葉はイチジク茶葉として、当帰葉は当帰茶葉として利用者に供される。イチジク茶葉の主要フロクマリンはプソラレンおよびベルガプテンである。当帰茶葉の主要フロクマリンはベルガプテンおよびキサントトキシンである。
【0017】
本発明に適用可能なイチジクの品種としては、例えば、「桝井ドーフィン」、「蓬莱柿」、「ヌアール・ド・カロン」、「ホワイト・イスキア」、「ネグローネ」、「ブランスウィック」、「ブルジャソット・グリス」、「テマリイチジク」、「ポルトガロ」、「ビオレ・ソリエス」、「ブラウン・ターキー」、「シュガー」、「アーテナ」、「セレスト」、「ホワイト・ゼノア」、「ポー・デュール」、「カリフォルニア・ブラック」、「フィグ・ド・マルセイユ」、「カドタ」、「ネグロ・ラーゴ」、「プレコス・ロンデ・ド・ボルドー」、「グリース・セント・ジャン」、「グリーズ・ビール」、「アイーダ」、「ミッション」、「グリスト・ジーン」、「グット・ドール」、「ベローネ」、「早生ドーフィン」、「ロンデ・ド・ボルドー」、「ダルマティー」、「アーチペル」、「リサ」、「ショート・ブリッジ」、「デザート・クイーン」、「サンピエトロ」、「サルタン」、「パスティエ」等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
本発明のフロクマリン類の低減方法は、上述したフロクマリン類含有食品を低温の溶媒で浸出する浸出工程を有する。
【0019】
当該溶媒は、フロクマリン類含有食品を溶媒に接触させてフロクマリン類含有食品に含まれる成分を溶出させることができるものであればよい。例えば当該溶媒は、純水、超純水、水道水、硬水、軟水、イオン交換水および天然水といった水を使用するのがよく、好ましくは、純水および超純水を使用するとよい。さらに、砂糖水や食塩水等、上記の溶媒に溶質を溶解させた態様であってもよい。
【0020】
本明細書における「低温の溶媒で浸出する」との文言は、通常の浸出工程で使用される通常の温度を有する溶媒よりも低い温度を有する溶媒を使用して浸出処理を行うことをいうものとする。例えばイチジク茶葉の場合であれば、イチジク茶葉を加温した水に接触(浸漬)させてイチジク茶を得るが、当該水は、通常、60~80℃程度の温度に加温している。即ち、本発明のフロクマリン類の低減方法における浸出工程で適用する浸出温度は、このような通常設定される温度(60~80℃)より低い温度を設定している。
【0021】
浸出工程の浸出温度は、0.1~4℃とするのがよい。当該浸出温度がこの範囲であれば、フロクマリン溶出量を低減することができる。また、好ましくは浸出工程の浸出温度を0.1~3℃とすれば、より効率よくフロクマリン溶出量を低減させることができる。
【0022】
浸出工程の浸出時間は、30~180分とするのがよい。当該浸出時間がこの範囲であれば、フロクマリン類含有食品の他の成分を減少させることなく、フロクマリン溶出量を低減することができる。
【0023】
このように、本発明のフロクマリン類の低減方法であれば、フロクマリン類含有食品を低温の溶媒に接触させて得られた浸出液に含まれるフロクマリン類の含有量は、フロクマリン類含有食品を前記低温の溶媒より高い通常の温度に設定した溶媒を接触させて得られた浸出液に含まれるフロクマリン類の含有量より減少させることができる。特に本方法では、フロクマリン類含有食品を低温の溶媒に接触させて浸出させる浸出工程を行うことでフロクマリン類の溶出量を低減することができるため、簡便な手法となる。
【0024】
また、本発明のフロクマリン類の低減方法によってフロクマリン類含有食品を処理することで、フロクマリン類を低減したフロクマリン類低減食品を得ることができる。
【実施例
【0025】
〔実施例1〕
本実施例では、フロクマリン類含有食品としてイチジク茶葉を使用し、当該イチジク茶葉を低温で浸出することでフロクマリン溶出量がどのように変化するかを確認した。
【0026】
常法により製茶したイチジク茶葉(品種:桝井ドーフィン)をミルにより粉砕し、粉砕したイチジク茶葉0.5gに種々の温度(0.1(氷中),2,3,4,10,20℃)の超純水(予め浸出する温度で保温)40mLを加え、それぞれにおいて120分間の浸出(浸出工程)を行った。ナイロンネットでイチジク茶葉を取り除き、室温の超純水を加えて全量50mLとした。
【0027】
この浸出液を0.45μmメンブレンフィルターでろ過し、測定用試料とした。液体クロマトグラフ-飛行時間型質量分析計(LC-Q-ToF/MS:ブルカー・ダルトニクス株式会社製)を用いてフロクマリン(プソラレンおよびベルガプテン)含量を測定した(n=3)。Brix値は茶・低糖飲料濃度計RX-DD7α-Tea(ATAGO社製)を使用して測定した。比較例として、イチジク茶葉0.5gに80℃に加温した超純水40mLを加えて3分間の浸出を行ったのち、超純水で全量50mLとした場合の結果を示した。結果を図1および表1に示した。
【0028】
【表1】
【0029】
図1では、比較例におけるプソラレンおよびベルガプテンの値を1とした場合の相対値を示した。この結果、浸出温度が低いほど、フロクマリン含量が減少することが判明した。プソラレンの相対値は、4℃では0.89であり、0.1~3℃では0.69~0.77であった。また、ベルガプテンの相対値は、10~20℃では0.78~0.85であり、4℃では0.65であり、0.1~3℃では0.42~0.47であった。低温浸出時のBrix値は、比較例(80℃/3分間)と大きな差はなかったため、低温浸出時の他の成分は比較例と同等であると考えられた。
【0030】
これより、浸出温度を0.1℃とした場合は、比較例と比べてプソラレンが31%減少し、ベルガプテンが58%減少すると認められた。
浸出温度を2℃とした場合は、比較例と比べてプソラレンが23%減少し、ベルガプテンが56%減少すると認められた。
浸出温度を3℃とした場合は、比較例と比べてプソラレンが25%減少し、ベルガプテンが53%減少すると認められた。
浸出温度を4℃とした場合は、比較例と比べてプソラレンが11%減少し、ベルガプテンが35%減少すると認められた。
【0031】
従って、本発明のフロクマリン類の低減方法によりフロクマリン溶出量が低減する浸出温度は、0.1~4℃の範囲内であることが判明した。当該温度は0.1~3℃であれば、より効率よくフロクマリン溶出量を低減させることができると判明した。
【0032】
〔実施例2〕
浸出工程における最長の浸出時間について検討した。
粉砕したイチジク茶葉0.5gに種々の温度(0.1,4℃)の超純水(予め浸出する温度で保温)40mLを加え、それぞれにおいて種々の時間(1,2,3,4,24時間)の浸出を行ったのち、超純水で全量50mLとした浸出液のフロクマリン(プソラレンおよびベルガプテン)含量を測定した(n=3)。他の条件は実施例1と同様とした。結果を図2に示した。
【0033】
図2に示した結果より、0.1℃で浸出した場合、フロクマリン(プソラレンおよびベルガプテン)溶出量は浸出開始から2時間以降に増加し、3時間以降で溶出量が略一定(プソラレンの相対値0.9程度、ベルガプテンの相対値0.6程度)になると認められた。また、4℃で浸出した場合、フロクマリン(プソラレンおよびベルガプテン)溶出量は浸出開始から3時間以降に増加し、4時間以降で溶出量が略一定(プソラレンの相対値1程度、ベルガプテンの相対値0.8程度)になると認められた。
【0034】
従って、浸出時間が3時間以内であれば比較例に対してフロクマリンの溶出量が0.8程度より低いため、本発明の浸出工程における最長の浸出時間は、3時間(180分)とするのがよいことが判明した。
【0035】
〔実施例3〕
浸出工程における最短の浸出時間について検討した。
粉砕したイチジク茶葉0.5gに0.1℃の超純水(予め0.1℃で保温)40mLを加え、0.1℃で種々の時間(10,20,30,40,50,60,120分)の浸出を行ったのち、超純水で全量50mLとした浸出液のBrix値を測定した(n=3)。他の条件は、実施例1と同様とした。結果を表2に示した。
【0036】
【表2】
【0037】
この結果、低温浸出時のBrix値は経時的に上昇し、浸出開始から30分で比較例と同等となった。従って、本発明の浸出工程における最短の浸出時間は、30分とするのがよいことが判明した。
【0038】
浸出工程における浸出時間を30分(0.1℃)としたときのフロクマリン(プソラレンおよびベルガプテン)含量、イチジク茶のアレルギー抑制成分であるDFAおよびルチン含量を測定した。結果を図3に示した。
【0039】
この結果、本実施例におけるイチジク茶のアレルギー抑制成分(DFAおよびルチン)含量は比較例と比べて90%以上であり、プソラレンおよびベルガプテン含量は、それぞれ比較例の57%,25%であった。従って、本発明の浸出工程における浸出時間を少なくとも30分とすれば、イチジク茶に含まれるアレルギー抑制成分の含量が比較例と同等であり、かつフロクマリンを低減したイチジク茶とすることができると認められた。
【0040】
〔実施例4〕
本実施例では、フロクマリン類含有食品として当帰茶葉を使用し、当該当帰茶葉を低温で浸出することでフロクマリン溶出量がどのように変化するかを確認した。
【0041】
当帰茶葉(焙煎大和当帰葉茶:有限会社ポニーの里ファーム社製)0.5gに超純水(予め0.1℃で保温)40mLを加え、0.1℃で120分間浸出したのち、超純水で全量50mLとした。実施例1に記載の手法により、フロクマリン(キサントトキシンおよびベルガプテン)含量を測定した(n=3)。比較例は実施例1で記載した比較例と同じ条件で当帰茶を浸出した場合の結果を使用した。
【0042】
この結果、本実施例におけるフロクマリン含量は、比較例と比べてキサントトキシン40%、ベルガプテン30%であった。そのため、本発明のフロクマリン類の低減方法において、フロクマリン類含有食品として当帰茶葉を使用した場合においても効率よくフロクマリン溶出量を低減(キサントトキシン60%減少、ベルガプテンが70%減少)させることができると判明した。尚、Brix値は、比較例と大きな差はなかったため、本実施例における低温浸出時の他の成分は比較例と同等であると考えられた。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、フロクマリン類を含有するフロクマリン類含有食品からフロクマリン類を低減させる方法に利用できる。
図1
図2
図3