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特許7233274車両のADAS制御システム及びADAS制御方法
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  • 特許-車両のADAS制御システム及びADAS制御方法 図1
  • 特許-車両のADAS制御システム及びADAS制御方法 図2
  • 特許-車両のADAS制御システム及びADAS制御方法 図3
  • 特許-車両のADAS制御システム及びADAS制御方法 図4
  • 特許-車両のADAS制御システム及びADAS制御方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】車両のADAS制御システム及びADAS制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/71 20230101AFI20230227BHJP
   B60R 1/00 20220101ALI20230227BHJP
   B60R 11/04 20060101ALI20230227BHJP
   B60J 3/04 20060101ALN20230227BHJP
【FI】
H04N23/71
B60R1/00
B60R11/04
B60J3/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019056445
(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2020161875
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】原 豊博
(72)【発明者】
【氏名】荒田 考正
【審査官】高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/145015(WO,A1)
【文献】特開2006-199104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/71
B60R 1/00
B60R 11/04
B60J 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車外に向けて設置された車載用カメラと、
該車載用カメラに入射する光の照度を計測する照度計測手段と、
前記車載用カメラに入射する光の透過率を調整する防眩手段と、
前記車載用カメラ及び前記照度計測手段からのデータを入手し、前記防眩手段を調整制御する制御部と、を有し、
前記制御部が、前記照度計測手段による照度データ又は前記車載用カメラによる映像データに基づいて、適正なデータが得られない眩惑状態であるか否かを判定し、前記防眩手段の制御及びADAS制御とフェールセーフ制御との切り替えを行う車両のADAS制御システムにおいて、
前記制御部は、
前記眩惑状態と判定した時に、前記防眩手段により車載用カメラに入射する光の透過率を下げ、これにより前記車載用カメラの映像が変化するか否か判定し、変化したと判定した場合は、前記車載用カメラは正常であると判断し、防眩制御及びADAS制御を行い、前記車載用カメラの映像が変化しないと判定した場合は、前記車載用カメラは異常であると判断し、フェールセーフ制御に切り替えることを特徴とする車両のADAS制御システム。
【請求項2】
前記眩惑状態の判定は、
前記照度データの照度レベルが予め定めた照度レベルよりも高い場合、又は前記映像データの映像画質が予め定めたレベルに充たない場合に、前記眩惑状態と判定することを特徴とする請求項1に記載の車両のADAS制御システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記防眩手段により車載用カメラに入射する光の透過率を下げられている状態において、前記照度レベルが前記予め定めたレベルよりも低下して、過度に前記透過率が下げられていると判断した時に、前記透過率を上げるように防眩手段を制御することを特徴とする請求項に記載の車両のADAS制御システム。
【請求項4】
車外に向けて設置された車載用カメラと、
該車載用カメラに入射する光の照度を計測する照度計測手段と、
前記車載用カメラに入射する光の照度を抑制する防眩手段と、
前記車載用カメラ及び前記照度計測手段からのデータを入手し、前記防眩手段を調整制御する制御部と、を有し、
前記制御部が、前記照度計測手段による照度データ又は前記車載用カメラによる映像データに基づいて、適正なデータが得られない眩惑状態であるか否かを判定し、前記防眩手段の制御及びADAS制御とフェールセーフ制御との切り替えを行う車両のADAS制御方法において、
前記制御部による制御は、
前記照度データの照度レベルが予め定めた照度レベルよりも高い場合、又は前記映像データの映像画質が予め定めたレベルに充たない場合に、前記眩惑状態と判定する眩惑状態判定工程と、
前記眩惑状態に有ると判定した場合に、防眩手段により車載用カメラに入射する光の照度を変え、これにより前記車載用カメラの映像が変化するか否か判定し、変化した場合は、前記車載用カメラは正常であると判断し、変化しない場合は、前記車載用カメラは異常であると判断する車載用カメラ状態判断工程と、を有し、
前記車載用カメラが正常であると判断した時には、防眩制御及びADAS制御を行い、前記車載用カメラが異常であると判断した時には、フェールセーフ制御を行うことを特徴とする車両のADAS制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ADAS(Adavced Driver-Assitance Systems:先進運転支援システム)により制御される車両のADAS制御システム及びADAS制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多くの車両にADASが採用されている。ADASとは、ドライバーの安全、快適を実現するため、自動車自体が周囲の情報を把握し、ドライバーに的確に表示、警告等を行い、ドライバーに代わって自動車を制御するシステムである。
【0003】
図4は、車両がADASにより制御されている状態(ADAS制御)において、車載用カメラ(ADASカメラ、単にカメラとも称する)が取得した映像データ又は照度計測手段により計測された照度データを基に、眩惑状態にあると判定された時の制御の流れを示す。眩惑状態とは、朝日や夕日等の逆光(グレア光)、ハイビームで接近して来る車両等によってドライバーや乗員が眩惑される状態を言う。
【0004】
車外に向けて設置されたカメラにより映像が入力され(ステップS80)、照度計測手段により照度が計測される(ステップS82)。そして、入力された映像データ又は計測した照度データにより眩惑状態にあるか判定される(ステップS84)。眩惑状態であると判定されるのは、例えば、計測した照度データの照度レベルが予め定めた照度レベルよりも高い場合である。眩惑状態にあると判定されると車両はADAS制御を止めフェールセーフ制御に切り替わる。眩惑状態にないと判定されると車両はADAS制御を行う。
【0005】
このような眩惑状態を解消するため防眩制御が行われている。この防眩制御は、例えば、印加電圧によって光の透過率を調整することができる調光素子をカメラの前方に設置しておき、カメラに入射する光の照度に応じて調光素子の透過率が調整されるように構成され、眩惑状態のときは透過率を下げて眩惑状態を解消している(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
図5は、防眩制御が可能なADAS制御車両が眩惑状態にあると判定された時の制御の流れを示す。車外に向けて設置されたカメラにより映像が入力され(ステップS90)、照度計測手段により照度が計測される(ステップS92)。そして、入力された映像データ又は計測した照度データにより眩惑状態にあるか判定される(ステップS94)。眩惑状態と判定されると車両は防眩制御を行い(ステップS96)、ADAS制御を行う(ステップS98)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-184643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図4において、眩惑状態にあると判定されると直ぐにフェールセーフ制御する構成では、カメラが正常であるにも拘らずADAS制御できないという不具合が生じる。図5において、眩惑状態にあると判定されると防眩制御を行いADAS制御に戻る構成では、この眩惑状態であると判定された理由が照度の高さによるものか、カメラの異常によるものか判定しないままに切り替えている。カメラに異常がある場合には、防眩制御とADAS制御が行われても正常なADAS制御ができないという状況があった。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、眩惑状態と判定された時に的確にADAS制御とフェールセーフ制御の切り替えを行い、ADAS制御車両の安全な運行を確保する車両のADAS制御システム及びADAS制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的の達成のため請求項1に記載の車両のADAS制御システムは、
車外に向けて設置された車載用カメラと、該車載用カメラに入射する光の照度を計測する照度計測手段と、前記車載用カメラに入射する光の透過率を調整する防眩手段と、前記車載用カメラ及び前記照度計測手段からのデータを入手し、前記防眩手段を調整制御する制御部と、を有し、前記制御部が、前記照度計測手段による照度データ又は前記車載用カメラによる映像データに基づいて、適正なデータが得られない眩惑状態であるか否かを判定し、前記防眩手段の制御及びADAS制御とフェールセーフ制御との切り替えを行う車両のADAS制御システムにおいて、
前記制御部は、前記眩惑状態と判定した時に、前記防眩手段により車載用カメラに入射する光の透過率を下げ、これにより前記車載用カメラの映像が変化するか否か判定し、変化したと判定した場合は、前記車載用カメラは正常であると判断し、防眩制御及びADAS制御を行い、前記車載用カメラの映像が変化しないと判定した場合は、前記車載用カメラは異常であると判断し、フェールセーフ制御に切り替えることを特徴とする。
【0011】
この構成により、眩惑状態と判定された後に防眩手段により車載用カメラに入射する光の照度を変えて、車載用カメラの映像が変化するか否かにより車載用カメラの状態を確認し、変化した場合には正常であると判断することができる。そして、正常な場合には、防眩制御及びADAS制御行い、異常である場合には、ADAS制御ではなく、フェールセーフ制御に切り替える。したがって、車載用カメラが正常であることを確認したうえでADAS制御が行われるので、ADAS制御の信頼性が向上する。
【0012】
請求項2に記載の車両のADAS制御システムは、請求項1に記載の車両のADAS制御システムにおいて、
前記眩惑状態の判定は、前記照度データの照度レベルが予め定めた照度レベルよりも高い場合、又は前記映像データの映像画質が予め定めたレベルに充たない場合に、前記眩惑状態と判定することを特徴とする。
【0013】
この構成により、眩惑状態の判定が、照度データ又は映像データにより簡単に一義的に定めることができる。したがって、車両のADAS制御の信頼性が向上する。
【0014】
請求項3に記載の車両のADAS制御システムは、請求項に記載の車両のADAS制御システムにおいて、
前記制御部は、前記防眩手段により車載用カメラに入射する光の透過率を下げられている状態において、前記照度レベルが前記予め定めたレベルよりも低下して、過度に前記透過率が下げられていると判断した時に、前記透過率を上げるように防眩手段を制御することを特徴とする。

【0015】
この構成により、過度に防眩制御されることが防止され、車両のADAS制御の信頼性が向上する。
【0016】
上記目的の達成のため請求項4に記載の車両のADAS制御方法は、
車外に向けて設置された車載用カメラと、該車載用カメラに入射する光の照度を計測する照度計測手段と、前記車載用カメラに入射する光の照度を抑制する防眩手段と、前記車載用カメラ及び前記照度計測手段からのデータを入手し、前記防眩手段を調整制御する制御部と、を有し、前記制御部が、前記照度計測手段による照度データ又は前記車載用カメラによる映像データに基づいて、適正なデータが得られない眩惑状態であるか否かを判定し、前記防眩手段の制御及びADAS制御とフェールセーフ制御との切り替えを行う車両のADAS制御方法において、
前記制御部による制御は、前記照度データの照度レベルが予め定めた照度レベルよりも高い場合、又は前記映像データの映像画質が予め定めたレベルに充たない場合に、前記眩惑状態と判定する眩惑状態判定工程と、前記眩惑状態に有ると判定した場合に、防眩手段により車載用カメラに入射する光の照度を変え、これにより前記車載用カメラの映像が変化するか否か判定し、変化した場合は、前記車載用カメラは正常であると判断し、変化しない場合は、前記車載用カメラは異常であると判断する車載用カメラ状態判断工程と、を有し、前記車載用カメラが正常であると判断した時には、防眩制御及びADAS制御を行い、前記車載用カメラが異常であると判断した時には、フェールセーフ制御を行うことを特徴とする。
【0017】
この方法により、眩惑状態判定工程により眩惑状態と判定された後に、防眩手段により車載用カメラに入射する光の照度を変えて、車載用カメラの映像が変化するか否かにより車載用カメラの状態を確認し、変化した場合には正常であると判断することができる(車載用カメラ状態判断工程)。そして、正常な場合には、防眩制御及びADAS制御行い、異常である場合には、ADAS制御ではなく、フェールセーフ制御に切り替える。したがって、車載用カメラが正常であることを確認したうえでADAS制御が行われるので、ADAS制御の信頼性が向上する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の車両のADAS制御システム及びADAS制御方法によれば、眩惑状態と判定された後に防眩手段により車載用カメラに入射する光の照度を変えて、車載用カメラの映像が変化するか否かにより車載用カメラが正常かどうかを判断するため、車載用カメラの正常・異常判断を素早く行うことができる。したがって、その後に行われる防眩制御及びADAS制御は、車載用カメラが正常であることが保証されるので、ドライバーは不安を抱くことなく安全にADAS制御車両を走行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の車両のADAS制御システムの概略構成図を示す。
図2】本発明の車両のADAS制御方法のフローチャートを示す。
図3図2のステップS16の「カメラ正常であるか判断」の内容を示すフローチャートである。
図4】従来の眩惑状態と判定後の流れを説明するフローチャートである。
図5】従来の眩惑状態と判定後の流れを説明するフローチャートである。ただし、防眩制御が付属している場合について示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の車両のADAS制御システム及びADAS制御方法の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の車両のADAS制御システムの概略構成図である。車両のADAS制御システム10は、車載用カメラ12、照度計測手段14、防眩手段18、及び制御部20を有する。
【0022】
車載用カメラ(ADASカメラ、又は単にカメラと称する)12は、車内に設置され車外の様子を撮像する撮像手段である。車載用カメラ12により所得した映像データは、制御部20に入力され、防眩手段18に送られる。照度計測手段14は、車載用カメラ12により撮像されたときの、車載用カメラ12内に入射する光の照度を検出するものであり、車載用カメラ12に内蔵されるものや別途単独で外部に設置されたものを使用することができる。計測された照度データは、制御部20に入力され、防眩手段18に送られる。
【0023】
ここで、取得した映像データは、一旦メモリ等の記録手段に記録しておき、防眩手段18に送る時、又は制御部20でデータ処理等を行う時に、記録手段から取り出して送信するようにしても良い。照度データも同様である。
【0024】
制御部20は、入力された映像データと照度データにより、撮像したときの車外の様子が眩惑状態にあるか否かを判定する。例えば、入力された照度データの照度レベルが予め定めた照度レベルよりも高い場合、又は入力された映像データの映像画質が予め定めたレベルに充たない場合に、眩惑状態と判定することができる。更に、より正確にシチュエーションを特定するために、地図データやGPS情報、車-車間通信と連携させても良い。ここで、眩惑状態と判定されることには、車載用カメラ12が異常であって実際には眩惑状態でない場合も含まれる。
【0025】
防眩手段18は、通常カメラの前に設置され、車載用カメラ12に入射する光の透過率を調整するもので、例えば印加電圧により透過率が変えられる調光素子が用いられる。本実施の形態では、調光素子を用い、送られてきた映像データと照度データにより、車載用カメラ12に入射する光の透過率を変更している。眩惑状態の時に、正しく透過率が調整されると、すなわち防眩レベルが適正に調整されると、車載用カメラ12により撮像された画像は、眩惑状態が解除され適切な明るさとなっており、車外の様子が鮮明に認識できる。このように、少なくとも車載用カメラ12、照度計測手段14、防眩手段18及び制御部20により、車載用カメラ12に入射する光の透過率を適性に調整することを防眩制御と呼ぶ。
【0026】
制御部20は、防眩手段18により車載用カメラ12に入射する光の透過率を下げられている状態において、照度レベルが予め定めたレベルよりも低下して、過度に透過率が下げられていると判断した時に、透過率を上げるように防眩手段18を制御する。
【0027】
制御部20は、眩惑状態と判定した時に、防眩手段18により車載用カメラ12に入射する光の透過率を下げ、これにより車載用カメラ12の映像が変化するか否か判定し、変化したと判定した場合は、車載用カメラ12は正常であると判断し、防眩制御及びADAS制御を行う。車載用カメラ12の映像が変化しないと判定した場合は、車載用カメラ12は異常であると判断し、フェールセーフ制御に切り替える。
【0028】
図2は、本発明の車両のADAS制御方法のフローチャートである。ADAS制御で車両が走行中は、常に車載用カメラ12により映像が取得され、制御部20に入力される(ステップS10)。同時に、車載用カメラ12に内蔵されている照度計測手段14による照度も連続で計測され(ステップS12)、計測された照度データは、制御部20に入力される。ここで、照度計測手段14は、車載用カメラ12に内蔵されているものでなく、別途外部に設置されたものを用いても良い。
【0029】
制御部20は、入力した映像データと照度データにより、照度データの照度レベルが予め定めた照度レベルよりも高い場合、又は映像データの映像画質が予め定めたレベルに充たない場合に、眩惑状態と判定する(ステップS14:眩惑状態判定工程)。
【0030】
次に、眩惑状態に有ると判定した場合に、車載用カメラ12が正常であるか判断される(ステップS16:車載用カメラ状態判断工程)。図3に、このステップS16の「カメラ正常であるか判断」内容を示す。車載用カメラ12により取得した映像データと照度計測手段14により計測した照度データにより、制御部20は、防眩手段18を制御し、車載用カメラ12に入射する光の透過率を降下させる(ステップS30)。次に、車載用カメラ12の映像が変化するか否か判定し(ステップS32)、変化した場合は、車載用カメラ12は正常であると判断し、変化しない場合は、車載用カメラ12は異常であると判断する。
【0031】
図2に戻り、車載用カメラ12は正常であると判断された場合は、防眩制御を行う(ステップS18)。この防眩制御では、車載用カメラ12の映像データと照度計測手段14の照度データから最適な防眩レベル、すなわち車載用カメラ12に入射する光の透過率を最適に設定する。この最適な防眩レベルは、例えば、映像データと照度のレベル(例えば、1から5まであり、5では照度が高い)とから最適な防眩レベル(例えば、1から5まであり、5では透過率が低い)がテーブルに纏められており、取得した映像データと計測した照度データから即座に制御部20が決定するように構成しても良い。
【0032】
また、制御部20は、防眩手段18により車載用カメラ12に入射する光の透過率を下げられている状態(防眩制御)において、照度レベルが予め定めたレベルよりも低下して、過度に透過率が下げられていると判断した時に、透過率を上げるように防眩手段18を制御する。
【0033】
このような防眩制御を行った後は、通常のADAS制御を行う(ステップS22)。一方、車載用カメラ12が異常であると判断された場合は、フェールセーフ制御(ステップS20)を行う。
【0034】
本発明の車両のADAS制御システム及びADAS制御方法によれば、眩惑状態と判定された後に防眩手段18により車載用カメラ12に入射する光の照度を変えて、車載用カメラ12の映像が変化するか否かにより車載用カメラ12が正常かどうかを判断するため、車載用カメラ12の正常・異常判断を素早く行うことができる。したがって、その後に行われる防眩制御及びADAS制御は、車載用カメラ12が正常であることが保証されるので、ドライバーは不安を抱くことなく安全にADAS制御車両を走行させることができる。
【0035】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、実施の形態では防眩手段は、印加する電圧により透過率が変化する調光素子を用いたが、調光フィルムや調光ガラスであっても良い。
【符号の説明】
【0036】
10 車両のADAS制御システム
12 車載用カメラ
14 照度計測手段
18 防眩手段
20 制御部
図1
図2
図3
図4
図5