(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】トレーニング装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20230227BHJP
A63B 23/02 20060101ALI20230227BHJP
A63B 24/00 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
A61N1/36
A63B23/02 Z
A63B24/00
(21)【出願番号】P 2019072659
(22)【出願日】2019-04-05
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000105707
【氏名又は名称】TBCグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100119781
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】青葉 浩司
(72)【発明者】
【氏名】金田 仁
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3209197(JP,U)
【文献】特開2019-013270(JP,A)
【文献】米国特許第6445955(US,B1)
【文献】国際公開第2009/072437(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3194492(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0319003(US,A1)
【文献】特開2018-183480(JP,A)
【文献】特開2010-172562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36
A63B 23/02
A63B 24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の筋肉に電気的な刺激を与えるトレーニング装置において、上方の一対の第1の電極パッドと、一対の前記第1の電極パッドと対向する下方の一対の第2の電極パッドと、前記第1の電極パッド及び前記第2の電極パッドが占める領域の両外側に配置された左右二対の第3の電極パッドとを備え、更に、
使用者の選択に従って、
腹部の腹直筋、及び、腹斜筋に電気的な刺激を与える第1のモードと、
腰部の脊柱起立筋、腰方形筋、及び、広背筋に電気的な刺激を与える第2のモードと、
臀部の大殿筋、及び、中殿筋に電気的な刺激を与える第3のモードと、
の3つのモードを切り替えるように、前記第1の電極パッド、前記第2の電極パッド、前記第3の電極パッド、のうちのいずれか又は複数の組み合わせに電圧印加指令を与える、制御部と、
を備え、
(1) 前記第1、第2、及び、第3の電極パッドが配置されたパッド面が、腹部前面に当接された際に、
前記第1の電極パッドが、前記腹直筋の停止部を覆う位置に配置されるようなパッド面上の位置に配置され、前記第2の電極パッドが、前記腹直筋の起止部を覆う位置に配置されるようなパッド面上の位置に配置され、
前記二対の第3の電極パッドの上方の一対が、前記腹斜筋のモーターポイントの一方(上方)を覆い、前記二対の第3の電極パッドの下方の一対が、前記腹斜筋のモーターポイントの他方(下方)を覆うようなパッド面上の位置に配置され、
(2) 前記二対の第3の電極パッドの前記パッド面上の位置が、更に、
前記第1、第2、及び、第3の電極パッドが配置されたパッド面が、背中の腰部面に当接された際に、
前記第1の電極パッドが、脊柱起立筋の起始部を覆い、前記第2の電極パッドが、前記脊柱起立筋の停止部を覆うような条件も満たすパッド面上の位置に配置され、
前記二対の第3の電極パッドの上方の一対が、腰方形筋、及び、広背筋のモーターポイントの一方(上方)を覆い、前記二対の第3の電極パッドの下方の一対が、前記腰方形筋、及び、広背筋のモーターポイントの他方(下方)を覆うような条件も満たすパッド面上の位置に配置され、
(3) 前記二対の第3の電極パッドの前記パッド面上の位置が、更に、
前記第1、第2、及び、第3の電極パッドが配置されたパッド面が、臀部面に当接された際に、
前記二対の第3の電極パッドの上方の一対が、大殿筋、及び、中殿筋のモーターポイントの一方(上方)を覆い、前記二対の第3の電極パッドの下方の一対が、前記大殿筋、及び、中殿筋のモーターポイントの他方(下方)を覆うような条件も満たすパッド面上の位置に配置される、
トレーニング装置。
【請求項2】
使用者の指示に従って、前記制御部が、
前記第1のモード時に、前記一対の第1の電極パットと前記一対の第2の電極パットの間に電圧を印加すると同時に、前記二対の第3の電極パット間に電圧を印加し、
前記第2のモード時に、前記一対の第1の電極パットと前記一対の第2の電極パットの間に電圧を印加すると同時に、前記二対の第3の電極パット間に電圧を印加し、
前記第3のモード時に、左右の前記二対の第3の電極間に電圧を印加する、
ように制御を行う、請求項1に記載のトレーニング装置。
【請求項3】
使用者の指示に従って、前記制御部が、
前記第1のモード、第2のモード、第3のモード時に、身体各部に印加する電圧波形を、それぞれのモードに応じたものと設定する、
請求項2に記載のトレーニング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の筋肉に電気的な刺激を与えるトレーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者の筋肉に電気的な刺激を与えるトレーニング装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種のトレーニング装置では、EMS(Electrical Muscle Stimulation)技術を用いて筋肉に電気的な刺激を与えており、主として腹直筋に電気的な刺激を与えるものがあった。電気的な刺激を腹直筋に与えるものは、腹直筋を繰り返し収縮させて鍛えるべく、左右方向に対をなす複数の対の電極パッドが腹直筋に沿って縦方向に配列されており、各対の電極パッド毎に左右方向に電流が流れるように設けられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術によるトレーニング装置では、腹直筋に電気的な刺激を与えることはできるが、ウエストのくびれを作るのに効果的な腹横筋、腹斜筋に電気的な刺激を与えることはできなかった。また、臀部の形を改善するために効果的な大殿筋、中殿筋、及び、体感、姿勢、バランスの安定性に効果がある脊柱起立筋、腰方形筋、広背筋に電気的な刺激を与えることはできなかった。別途電極パッドを脇腹等に張り付けて腹斜筋等に電気的な刺激を与える装置も考えられているが、腹直筋を刺激する装置と腹斜筋等を刺激する装置とが別体で構成されたことによりその位置決めが煩かった。また、このような構成によると、腹斜筋等を刺激する装置の制御及び電力供給を行うためのコントローラ等も別体で設ける必要があった。このため、使用者は複数のコントローラを操作する必要があるとともに、各装置を連動させて制御できないことにより腹直筋、腹斜筋等を刺激するタイミングがばらばらであり、使用者が不快感を覚えることがあった。
【0005】
本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、必要に応じて、同一の1つのパッドを腹部、腰部、臀部に、それぞれ当接することによって、各部位の筋肉に刺激を与えることのできるトレーニング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
使用者の筋肉に電気的な刺激を与えるトレーニング装置において、上方の一対の第1の電極パッドと、一対の前記第1の電極パッドと対向する下方の一対の第2の電極パッドと、前記第1の電極パッド及び前記第2の電極パッドが占める領域の両外側に配置された左右二対の第3の電極パッドとを備え、
使用者の選択に従って、
腹部の腹直筋、及び、腹斜筋に電気的な刺激を与える第1のモードと、
腰部の脊柱起立筋、腰方形筋、及び、広背筋に電気的な刺激を与える第2のモードと、
臀部の大殿筋、及び、中殿筋に電気的な刺激を与える第3のモードと、
の3つのモードを切り替えるように、前記第1の電極パッド、前記第2の電極パッド、前記第3の電極パッド、のうちのいずれか又は複数の組み合わせに電圧印加指令を与える、制御部と、
を備え、
(1) 前記第1、第2、及び、第3の電極パッドが配置されたパッド面が、腹部前面に当接された際に、
前記第1の電極パッドが、前記腹直筋の停止部(引っ張られる側:剣状突起、第5~第7肋軟骨周辺)を覆う位置に配置されるようなパッド面上の位置に配置され、前記第2の電極パッドが、前記腹直筋の起止部(引っ張る側:恥骨稜と恥骨結合周辺)を覆う位置に配置されるようなパッド面上の位置に配置され、
前記二対の第3の電極パッドの上方の一対が、前記腹斜筋のモーターポイント(電気刺激に対して最も敏感で、一定量の刺激量でその筋が最も著名に収縮する部位)の一方(上方)を覆い、前記二対の第3の電極パッドの下方の一対が、前記腹斜筋のモーターポイントの他方(下方)を覆うようなパッド面上の位置に配置され、
(2) 前記二対の第3の電極パッドの前記パッド面上の位置が、更に、
前記第1、第2、及び、第3の電極パッドが配置されたパッド面が、背中の腰部面に当接された際に、
前記第1の電極パッドが、脊柱起立筋の起始部を覆い、前記第2の電極パッドが、前記脊柱起立筋の停止部を覆うような条件も満たすパッド面上の位置に配置され、
前記二対の第3の電極パッドの上方の一対が、腰方形筋、及び、広背筋のモーターポイントの一方(上方)を覆い、前記二対の第3の電極パッドの下方の一対が、前記腰方形筋、及び、広背筋のモーターポイントの他方(下方)を覆うような条件も満たすパッド面上の位置に配置され、
(3) 前記二対の第3の電極パッドの前記パッド面上の位置が、更に、
前記第1、第2、及び、第3の電極パッドが配置されたパッド面が、臀部面に当接された際に、
前記二対の第3の電極パッドの上方の一対が、大殿筋、及び、中殿筋のモーターポイントの一方(上方)を覆い、前記二対の第3の電極パッドの下方の一対が、前記大殿筋、及び、中殿筋のモーターポイントの他方(下方)を覆うような条件も満たすパッド面上の位置に配置される、
トレーニング装置(発明1)を含む。
【0007】
第1の電極パッドは、
図1の“1”に対応し、第2の電極パッドは、
図1の“2”に対応し、第3の電極パッドの上方の一対は、
図1の“3”に対応し、第3の電極パッドの下方の一対は、
図1の“4”に対応する。
筋肉の位置は、
図4、
図4A、
図4Bを参照のこと。
このような構成により、1つのパッド面上に配置された第1、第2、第3のパッドが、それぞれ身体各部の筋肉を刺激する位置に配置されることが可能となる。
そして、腹部前面に配置された場合は、腹部、及び、横腹部の刺激が可能となり、更に、背面の腰部に配置された場合は、背中の筋肉の刺激が可能となり、加えて、臀部に配置された場合は、臀部の筋肉の刺激が可能となり、1つの同一のパッドにより、一石三鳥の効果を奏することが可能となる。
【0008】
前記トレーニング装置は更に、
使用者の指示に従って、前記制御部が、
前記第1のモード時に、前記一対の第1の電極パットと前記一対の第2の電極パットの間に電圧を印加すると同時に、前記二対の第3の電極パット間に電圧を印加し、
前記第2のモード時に、前記一対の第1の電極パットと前記一対の第2の電極パットの間に電圧を印加すると同時に、前記二対の第3の電極パット間に電圧を印加し、
前記第3のモード時に、左右の前記二対の第3の電極間に電圧を印加する、
ように制御を行う(発明2)。
【0009】
このように構成することによって、1つのパッド面上に配置された第1、第2、第3のパッドが、所望の身体部位への電気刺激を与えることが可能となる。
【0010】
前記トレーニング装置(発明2)は更に、
使用者の指示に従って、前記制御部が、
前記第1のモード、第2のモード、第3のモード時に、身体各部に印加する電圧波形を、それぞれのモードに応じたものと設定できる(発明3)。
【0011】
このようにすることによって、使用者の嗜好、身体部位ごとに適した電気刺激の印加が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、腹部、腰部、臀部での電気刺激のために、電極パッドを容易に位置決めできるとともに、快適かつ効率よく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係るトレーニング装置を示す平面図である。
【
図3】電極の形状及び配置の様子を模式的に示した図である。
【
図4】各電極パッドと使用者の腹直筋及び腹斜筋との位置関係を模式的に示した図である。
【
図4A】各電極パッドと使用者の大殿筋、中殿筋、及び、小殿筋との位置関係を模式的に示した図である。
【
図4B】使用者の脊柱起立筋、腰方形筋、及び、広背筋の位置を模式的に示した図である。
【
図5】トレーニング装置を使用者に張り付けた様子を示す図である。
【
図5A】トレーニング装置を使用者に張り付けた様子を示す図である。
【
図6】固定具を用いてトレーニング装置を使用者に固定する手順を示す図である。
【
図6A】固定具を用いてトレーニング装置を使用者の腹部に固定する手順を示す図である。
【
図7】本願発明の1実施例に係るトレーニング装置の電気的構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1は、トレーニング装置を示す平面図である。
【0015】
トレーニング装置10は、使用者の筋肉に電気的な刺激を与えるためのEMS装置である。このトレーニング装置10は、
図1に示すように、第1の電極パッド1、第2の電極パッド2、第3の電極パッド3、第4の電極パッド4、コントローラ5、及びシート6を備えている。なお、
図1では、各電極パッド1,2,3,4を模した図形が各電極パッド1,2,3,4の表側に描かれて大まかな位置がわかるようになっている。
【0016】
受信部5は、第1の電極パッド1、第2の電極パッド2、第3の電極パッド3、及び第4の電極パッド4を制御するための制御信号を、外部のコントローラ(不図示)から受信する装置である。コントローラは、使用者がトレーニング装置10を操作するのにも用いられ、表示画面や操作ボタンが設けられている。コントローラは、第1の電極パッド1、第2の電極パッド2、第3の電極パッド3、及び第4の電極パッド4に電流を流したり流すのを停止したりすることにより第1の電極パッド1、第2の電極パッド2、第3の電極パッド3、及び第4の電極パッド4を制御する。具体的には、コントローラは、例えば、3Hz、5Hz、10Hz、または20Hzの周波数で、バースト波、またはパルス波を第1の電極パッド1、第2の電極パッド2、第3の電極パッド3、及び第4の電極パッド4に流すようになっている。
【0017】
コントローラは、各電極パッド1,2,3,4に電流を流すタイミングを制御することにより、使用者が不快感を覚え難い適切なタイミングで腹直筋及び腹斜筋を電気的に刺激することができる。
【0018】
第1の電極パッド1、第2の電極パッド2、第3の電極パッド3、及び第4の電極パッド4には、トレーニング装置10の底面側に使用者の皮膚と接触するための接触面である電極1a,2a,3a,4aがそれぞれ設けられている(
図2)。
【0019】
電極1a,2a,3a,4aは、粘着シートが貼付されており、この粘着シートを用いてトレーニング装置10は使用者の体に貼り付け可能に設けられている。これら電極1a,2a,3a,4aの各々は、プリント配線1b,2b,3b,4bを介してコントローラ5と電気的に接続されており、コントローラの制御に基づいて筋肉に電流を流すようになっている。第1の電極パッド1、第2の電極パッド2、第3の電極パッド3、及び第4の電極パッド4は、これら電極1a,2a,3a,4aを介して筋肉に電流を流すことにより筋肉を電気的に刺激可能に設けられている。
【0020】
シート6は、シート状のシリコン樹脂とシート状のPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂のフィルム電極とが積層されて形成されている。
【0021】
シート6は、本体6aに第1の電極パッド1及び第2の電極パッド2が配置されており、本体6aの第2の電極パッド2の近傍から延びるアーム6bに第3の電極パッド3及び第4の電極パッド4が配置されている。アーム6bは、第1の電極パッド1と第3の電極パッド3及び第4の電極パッド4との間に凹部6cが形成されている。また、アーム6bは、凹部6c近傍が第3の電極パッド3及び第4の電極パッド4の近傍よりも細くくびれて形成されている。これらにより、使用者の腹部の形状に合わせてアーム6bが容易に湾曲することができるとともに、第3の電極パッド3及び第4の電極パッド4に電流が流れて腹斜筋が収縮した場合であってもアーム6bにしわが形成され難く、シート6の使用者の腹部への密着を保持し易くすることができる。
【0022】
図3は、電極の形状及び配置の様子を模式的に示した図であり、
図4は、各電極パッドと使用者の腹直筋及び腹斜筋との位置関係を模式的に示した図であり、
図4Aは、各電極パッドと使用者の中殿筋、小殿筋、及び、大殿筋の位置関係を模式的に示した図であり、
図4Bは、使用者の脊柱起立筋、腰方形筋、及び、広背筋の位置を模式的に示した図である。
一対の第2の電極パッド2は、
図3に示すように、トレーニング装置10が使用者に貼り付けられたときに上側に位置する上方の一対の第1の電極パッド1と対向するように下方に配置されている。これら第1の電極パッド1及び第2の電極パッド2が占める略矩形の領域Dの両外側に、この領域Dを対照的に挟むように左右一対の第3の電極パッド3及び一対の第4の電極パッド4が配置されている。より具体的には、一対の第3の電極パッド3及び一対の第4の電極パッド4は、一対の第1の電極パッド1を挟む位置に配置されている。
【0023】
各電極パッド1,2,3,4が上述のように配置されたことにより、
図4に示すように、第1の電極パッド1及び第2の電極パッド2が腹直筋に電気的な刺激を与え、第3の電極パッド3及び第4の電極パッド4が腹斜筋に電気的な刺激を与える。
同様に、
図4Aに示すように、第3の電極パッド3(左右一対)が、中殿筋に電気的な刺激を与え、第4の電極パッド4(左右一対)が、大殿筋に電気的な刺激を与える、
【0024】
図5は、トレーニング装置を使用者に張り付けた様子を示す図である。
トレーニング装置10を使用する際には、先ず、
図5に示すように、トレーニング装置10を使用者の腹部に張り付ける。このとき、第1の電極パッド1及び第2の電極パッド2が使用者の腹直筋に位置するようにトレーニング装置10を位置決めする。トレーニング装置10は、第1の電極パッド1及び第2の電極パッド2が使用者の腹直筋に位置するように位置決めされると、細かい位置決めを要することなく第3の電極パッド3及び第4の電極パッド4が使用者の腹斜筋に位置するようになっている。
また、トレーニング装置10を使用者の背中に貼り付けることも可能である(不図示)。この場合、第3の電極パッド3(左右一対)が、中殿筋位置し、第4の電極パッド4(左右一対)が、大殿筋に位置するように配置されると、それらの筋肉への電気刺激を与えられる準備が完了する。
図5Bは、同様に、トレーニング装置を使用者に張り付けた様子を示す図である。
(a)は、腹部前面に貼り付けた場合、(b)は、臀部に貼り付けた場合、(c)は背面の腰部に貼り付けた場合を示す。
【0025】
図6は、固定具を用いてトレーニング装置を使用者の腹部に固定する手順を示す図である。
トレーニング装置10は、使用者の腹部に貼り付けられると、固定具20を用いてよりしっかりと固定させるべく、
図6(a)に示すように、使用者は固定具20を背中側からウエストに当てる。固定具20は、第1のベルト21と、第1のベルト21よりも幅広な第2のベルト22とを備えている。これら第1のベルト21と第2のベルト22とは、矩形の生地で形成された図示せぬ連結部を介して連結されている。この連結部は、固定具20を使用者のウエストに巻きつけたときに、使用者の背中側に位置する。
図6Aも、固定具を用いてトレーニング装置を使用者の腹部に固定する手順を示す図である。
(a)は、前面の腹部への固定時の手順、(b)は背面の腰部への固定時の手順、(c)は、背面の臀部への固定時の手順を示す。
【0026】
固定具20をウエストに当てると、
図6(b)に示すように、使用者は第1のベルト21を締め付ける。第1のベルト21及び第2のベルト22は、それぞれ端部に設けられた面ファスナ21a,22aで第1のベルト21及び第2のベルト22の任意の位置に貼り付けることにより第1のベルト21及び第2のベルト22を締め付けるようになっている。
【0027】
第1のベルト21を締め付けると、
図6(c)に示すように、使用者は第2のベルト22を締め付ける。
以上の手順により、トレーニング装置10は固定具20によりしっかりと使用者のウエ
ストに固定される。
【0028】
本実施形態に係るトレーニング装置10は、一対の第1の電極パッド1と、一対の第1の電極パッド1と対向する一対の第2の電極パッド2と、第1の電極パッド1及び第2の電極パッド2で囲んだ領域Dの外側に、領域Dを対照的に挟むように配置された一対の第3の電極パッド3とを備えている。これにより、第1の電極パッド1及び第2の電極パッド2が腹直筋に位置するようにトレーニング装置10を使用者のウエストに張り付けただけで、第3の電極パッド3が腹斜筋上に位置するとともに、使用者が1つのコントローラ5を操作しただけで腹直筋及び腹斜筋に電気的な刺激を適切なタイミングで与えることができる。このため、使用者は腹斜筋に電極パッドを容易に位置決めできるとともに、快適かつ効率よく使用することができる。
【0029】
使用者の背中に配置する場合も、腹部に配置する場合と同様な手順で配置が可能である。
【0030】
<電気的構成>
以上、本発明の実施例の機械的構成を中心に説明したが、その電気的構成について、以下、概説する。
図7に、本願発明の1実施例に係るトレーニング装置の電気的構成図を示す。
電力供給手段703、波形選択手段705、印加電極選択手段707、制御手段709、電極ペア1(711)、電極ペア2(713)の相互間は、バスで接続され、制御手段709により、その他の手段の監視、制御が行われる。
まず、電源701から、例えば直流電力が電力供給手段703に提供される。
電力供給手段703は、後述の各種制御指令に従って、必要な波形の電圧を、指定された電極ペア(群)(711等)に供給する。
制御手段709は、使用者からの要求に従って、電気刺激を与える電極ペア(群)(711等)を決定し、印加電極選択手段707が、当該選択に従った電極ペア(群)(711等)への電圧印加をエネーブルにする。
更に、制御手段709が、使用者からの要求に従って、上記電極ペア(群)(711等)毎に、どのような波形(電圧波高値、周波数、パルス波形、時間経過に従った波形の変化手順等)を設定し、当該設定に従って、波形選択手段705が、対応する波形の電圧を印加するように、電力供給手段を制御する。
電極ペアが、前述の電極パッド1,2,3,4に対応する。
このような電気的構成の各制御は、CPU及びメモリを備え、当該メモリ内に必要なプログラムを搭載したコンピュータによって実装可能である。
【0031】
以上、一実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。上記実施形態では、第3の電極パッド3及び第4の電極パッド4間に電流を流して腹斜筋に電気的な刺激を与えているが、これに限定されない。腹斜筋に電気的な刺激を与えることができれば、例えば、一対の第3の電極パッド3の各々を異なる極性の電極とし、一対の第3の電極間に電流を流して腹斜筋に電気的な刺激を与えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 第1の電極パッド
1a 電極
1c 接点
2b プリント配線
2 第2の電極パッド
2a 電極
2b プリント配線
2c 接点
3 第3の電極パッド
3a 電極
3b プリント配線
3c 接点
4 第4の電極パッド
4a 電極
4b プリント配線
4c 接点
5 受信部
6 シート
10 トレーニング装置
20 固定具
21 第1のベルト
22 第2のベルト