(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 13/20 20060101AFI20230227BHJP
【FI】
F24F1/0007 401C
(21)【出願番号】P 2019108998
(22)【出願日】2019-06-11
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】小塩 豪
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-223718(JP,A)
【文献】特開2013-47580(JP,A)
【文献】特開2017-227438(JP,A)
【文献】特開2016-44882(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0328599(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネットの前面に形成された吹出口と、
前面に取り付けられて吹出口を覆い、上下の軸を中心に上下両開き可能な導風パネルと、
前記導風パネルを移動させて開閉する開閉装置と、を備え、
前記開閉装置は、
前記導風パネルを開くために当該導風パネルを前方に向かって移動させるパネル移動部と、
前記上下の軸のうちの一軸を保持する第1軸保持部と、
前記上下の軸のうちの他軸を保持する第2軸保持部と、を備え、
前記パネル移動部、前記第1軸保持部および前記第2軸保持部はそれぞれが駆動ギアを有し、
前記第1軸保持部の駆動ギアに当該第1軸保持部の動きを決める第1カム部が形成され、
前記第2軸保持部の駆動ギアに前記第2軸保持部の動きを決める第2カム部が形成されていることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記第1軸保持部は、前記一軸を移動可能とし、前記一軸を挟んで保持しながら前記吹出口に近づくように移動させる軸移動部としての機能を備え、
前記第1軸保持部の駆動ギアに、前記軸移動部の動きを決める第3カム部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記パネル移動部が有する駆動ギア、前記第1軸保持部が有する駆動ギア、および前記第2軸保持部が有する駆動ギアは、同一のモータにて駆動されることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記モータの軸に接続されたモータギアと前記パネル移動部が有する駆動ギアとのギア比が、前記モータギアと前記第1軸保持部の駆動ギアとのギア比、および前記モータギアと前記第2軸保持部の駆動ギアとのギア比の何れよりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内機に上下両開き可能な導風パネルを有する空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室内機には、キャビネットの前面に吹出口が形成され、吹出口から温風あるいは冷風が吹き出される。冷暖房運転に応じて、吹き出す風の向きを切り換える導風パネルが吹出口の前方に設けられる。
【0003】
特許文献1には、キャビネットの前面を覆う導風パネルが上下の軸を中心にして上下両開き可能な空気調和機が記載されている。導風パネルは上軸を中心に上開きし、下軸を中心に下開きする。より詳細には、この空気調和機は、導風パネルを開閉する開閉装置(開閉部)を備え、開閉装置は、上軸を吹出口に近づくように移動させる軸移動部、導風パネルを開くために導風パネルを前方に向かって移動させるパネル移動部、下軸を保持する軸保持部と、正逆回転可能なモータにて駆動される駆動ギアとを有している。
【0004】
駆動ギアの一面側にパネル移動部が配され、駆動ギアの他面側に軸移動部および軸保持部が配されている。パネル移動部、軸移動部および軸保持部は、駆動ギアの回転により動作する。パネル移動部はアームを有し、駆動ギアの回転によりアームを付き出すことでアームに取り付けられた導風パネルを動かす。軸移動部は、駆動ギアの回転により軸の保持と解除を行い、また、軸を保持した状態で移動させる。軸保持部は、駆動ギアの回転により軸の保持と解除を行う。駆動ギアには、このような軸移動部および軸保持部の動きを決めるカムが形成されている。
【0005】
また、近年、空気調和機は、省エネ化の観点から室内機および室外機共に大型化する傾向にあり、導風パネルも大型化している。導風パネルを大型化することで、より広範囲に風を送ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記空気調和機では、上述したように、パネル移動部、軸移動部および軸保持部が1つの駆動ギアに配され、該駆動ギアに、軸移動部および軸保持部の動きを決めるカムが形成されている。そのため、このような構成では、導風パネルの開放角を広げるためにアームの突き出し量を大きくすると、駆動ギア(その径)が必然的に大きくなる。また、導風パネルを大型化した場合も同様で、導風パネルを大型化することで上軸と下軸の距離が広がるため、これによっても駆動ギアが大きくなる。
【0008】
しかしながら、駆動ギアが大型化すると、導風パネルを開閉する開閉装置が大きくなり、ひいては、開閉装置が配される室内機の左右の側面部分が大きくなり、外観が悪くなる。なお、このような課題は、軸移動部に代えて、上下の軸両方に軸保持部を設けた構成(軸を移動させない構成)でも同様である。
【0009】
本発明の一態様は、上記に鑑み、開閉装置を大型化することなく、導風パネルの開放角を広げることができ、導風パネルの大型化も可能な空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る空気調和機は、キャビネットの前面に形成された吹出口と、前記前記前面に取り付けられて吹出口を覆い、上下の軸を中心に上下両開き可能な導風パネルと、前記導風パネルを移動させて開閉する開閉装置と、を備え、前記開閉装置は、前記導風パネルを開くために当該導風パネルを前方に向かって移動させるパネル移動部と、前記上下の軸のうちの一軸を保持する第1軸保持部と、前記上下の軸のうちの他軸を保持する第2軸保持部と、を備え、前記パネル移動部、前記第1軸保持部および前記第2軸保持部はそれぞれが駆動ギアを有し、前記第1軸保持部の駆動ギアに当該第1軸保持部の動きを決める第1カム部が形成され、前記第2軸保持部の駆動ギアに前記第2軸保持部の動きを決める第2カム部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、開閉装置を大型化することなく、導風パネルの開放角を広げることができ、導風パネルの大型化も可能な空気調和機を提供することができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1に係る空気調和機の室内機の、導風パネルが閉姿勢にある状態の正面図である。
【
図2】上記室内機の、導風パネルが閉姿勢にある状態の側面図である。
【
図3】上記室内機の、導風パネルが上開きした状態の側面図である。
【
図4】上記室内機の、導風パネルが下開きした状態の側面図である。
【
図5】上記空気調和機の制御系の構成を示すブロック図である。
【
図6】上記室内機が備える開閉装置の側面図であり、キャビネットの内面側に位置する面を示している。
【
図7】上記室内機が備える開閉装置の側面図であり、キャビネットの外面側に位置する面を示している。
【
図8】上記開閉装置の内部構造を示す図であり、
図6より第1内ケースおよび第2内ケースを外した状態を示している。
【
図9】上記開閉装置の内部構造を示す別の図であり、
図7より第1内ケースおよび外ケースを外した状態を示している。
【
図10】上記開閉装置の内部構造を示すさらに別の図であり、
図9より第2内ケース、パネルベース、およびアームを外した状態を示している。
【
図12】上記開閉装置における上軸を保持した状態の第1上軸保持部と溝カムとの位置関係を示す図である。
【
図13】上記開閉装置における第1上軸保持部材の第2上軸保持部材の対向する側の面を示す斜視図である。
【
図14】上記開閉装置における第1上軸保持部材の上軸駆動ギアと対向する側の面を示す斜視図である。
【
図15】上記開閉装置における第1上軸保持部材の上面図である。
【
図16】上記開閉装置における上軸を解放した状態の第1上軸保持部および第2上軸保持部と溝カムとの位置関係を示す図である。
【
図17】上記開閉装置による導風パネルを上開きする動作を説明する図である。
【
図18】上記開閉装置による導風パネルを上開きする動作を説明する図であり、
図17の次の状態を示す。
【
図19】上記開閉装置による導風パネルを上開きする動作を説明する図であり、
図18の次の状態を示し、導風パネルが全開した状態を示す。
【
図20】上記開閉装置による導風パネルを下開きする動作を説明する図である。
【
図21】上記開閉装置による導風パネルを下開きする動作を説明する図であり、
図20の次の状態を示す。
【
図22】上記開閉装置による導風パネルを下開きする動作を説明する図であり、
図21の次の状態を示し、導風パネルが開き始めた状態を示す。
【
図23】上記開閉装置による導風パネルを下開きする動作を説明する図であり、
図22の次の状態を示す。
【
図24】上記開閉装置による導風パネルを下開きする動作を説明する図であり、
図23の次の状態を示し、導風パネルが開き、上軸が移動し始めた状態を示す。
【
図25】上記開閉装置による導風パネルを下開きする動作を説明する図であり、
図24の次の状態を示す。
【
図26】上記開閉装置による導風パネルを下開きする動作を説明する図であり、
図25の次の状態を示す。
【
図27】上記開閉装置による導風パネルを下開きする動作を説明する図であり、
図26の次の状態を示し、上軸の移動が完了し、導風パネルが全開した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の形態を図面に基づいて以下に説明する。
【0014】
(空気調和機の室内機1の概要)
図1は、本実施の形態に係る空気調和機の室内機1の導風パネル3が閉姿勢にある状態の正面図である。
図2は、上記室内機1の導風パネル3が閉姿勢にある状態の側面図である。
図3は、上記室内機1の導風パネル3が上開きした状態の側面図である。
図4は、上記室内機1の導風パネル3が下開きした状態の側面図である。
【0015】
図1から
図4に示すように、室内機1は、キャビネット2を備え、キャビネット2の前面部に導風パネル3が設けられている。キャビネット2の内部には、図示してはいないが、送風ファン、熱交換器等が収容されている。なお、以下の説明において、室内機1を前面(正面)から見て室内機1の幅方向を左右方向とし、室内機の奥行き方向を前後方向とし、室内機1の高さ方向を上下方向とする。
【0016】
キャビネット2の上面部には吸込口8が形成され、該吸込口8には例えばHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)等の空気清浄効果の高いフィルタが設置されている。キャビネット2の前面部は、上方から下方に向かって後面側に傾斜しており、この傾斜面に吹出口7が形成されている。
【0017】
キャビネット2の前面部には、吹出口7を覆うように、導風パネル3が配設されている。導風パネル3は、吹出口7を開閉し、吹出口7から吹き出される風を案内して吹き出し方向を決定するものである。導風パネル3は、上下の軸11,12を中心に上下両開き可能に構成され、キャビネット2の前面に開閉自在に支持されている。本実施の形態において、導風パネル3の幅は、キャビネット2の幅と同寸とされ、吹出口7の幅より大きい。また、導風パネル3は、キャビネット2の内側に向かって凹をなすR形状を有し、このような導風パネル3の形状に倣い、キャビネット2の前面部の傾斜面もキャビネット2の内側に向かって凹をなすR形状に形成されている。
【0018】
図1、
図2に示すように、導風パネル3は、閉姿勢にある状態で吹出口7を覆い、
図3、
図4に示すように、開いた状態で吹出口7を開放する。
図3は、導風パネル3が下軸12を中心に上側が開いた上開きの状態を示している。上開きの状態では風は上吹きとなる。
図4は、導風パネル3が上軸11を中心に下側が開いた下開きの状態を示している。下開きの状態では風は下吹きとなる。
【0019】
このような導風パネル3は、導風パネル3に接続されたアーム37を含む後述する開閉装置30(
図6参照)にて開閉駆動される。開閉装置30は、導風パネル3を駆動するパネルモータ24(
図5、
図6参照)を備え、パネルモータ24の駆動力にて導風パネル3を開閉する。
【0020】
(空気調和機の制御系)
図5は、空気調和機の制御系の構成を示すブロック図である。
図5に示すように、空気調和機の制御系は、例えばマイクロコンピュータからなる制御部21および記憶部22を備えている。制御部21には受信部26が接続され、受信部26は、ユーザが操作するリモートコントローラ(以下、単にリモコンと称する)27からの指令を受信する。制御部21は、リモコン27からの指令に応じて、空調部23、パネルモータ24および送風機モータ25の動作を制御する。
【0021】
記憶部22、空調部23、パネルモータ24および送風機モータ25の動作を制御するために必要な各種の情報を記憶している。空調部23は、冷凍サイクルを実行する部分であり、蒸発器、凝縮機および圧縮機等、冷凍サイクルを実行するための構成を有する。空調部23は、室内機1および室外機5に亘って構成されている。パネルモータ24は、例えば暖房や冷房の設定、あるいはユーザ設定に応じて、導風パネル3をそれぞれの位置に配置されるように駆動する。送風機モータ25は、送風ファンを回転させる。
【0022】
(開閉装置30の構成)
図1に示すように、開閉装置30は、左右一対に設けられ、キャビネット2の左右両側に内装されている。開閉装置30は、吹出口7よりも外側に配されている。左右に配置される開閉装置30は、向きが逆になる以外は同一の構成を有している。したがって、以降、向かって室内機1の右側に配置される開閉装置30について説明する。
【0023】
図6は、開閉装置30の側面図であり、キャビネット2の内面側に位置する面を示している。
図7は、開閉装置30の側面図であり、キャビネット2の外面側に位置する面を示している。キャビネット2の内面側とは、左右方向において吹出口7に面する側であり、キャビネット2の外面側とは、キャビネット2の左右の側面カバーに面する側である。
【0024】
図6、
図7に示すように、開閉装置30は、ケース部31に内装され、ユニット化されている。ケース部31がキャビネット2にねじ等により取り付けられる。ケース部31は、外ケース31A、第1内ケース31Bおよび第2内ケース31Cによって分割可能に形成されている。第1内ケース31Bおよび第2内ケース31Cがキャビネット2の内面側に位置し、外ケース31Aがキャビネット2の外面側に位置する。
【0025】
図8は、開閉装置30の内部構造を示す図であり、
図6より第1内ケース31Bおよび第2内ケース31Cを外した状態を示している。
図9は、開閉装置30の内部構造を示す別の図であり、
図7より第1内ケース31Bおよび外ケース31Aを外した状態を示している。
図10は、開閉装置30の内部構造を示すさらに別の図であり、
図9より第2内ケース31C、パネルベース36、およびアーム37を外した状態を示している。なお、
図6~
図10は全て、導風パネル3が閉姿勢にある状態を示している。
【0026】
図8に示すように、開閉装置30は、導風パネル3を開くために導風パネル3を前方に向かって移動させるパネル移動部33と、上軸11を保持し、上軸11を吹出口7に近づくように移動させる上軸移動部(軸移動部、第1軸保持部)34と、下軸12を保持する下軸保持部(第2軸保持部)35とを有している。
【0027】
開閉装置30は、導風パネル3を閉姿勢とすることで吹出口7を覆う。導風パネル3が閉姿勢にある状態では、上軸11は、吹出口7よりも前側上部の離れた位置にあり、下軸12は、吹出口7の開口縁の近傍に位置している(
図2参照)。
【0028】
そして、開閉装置30は、下軸12を中心にして導風パネル3を開閉するとき(上開き)、パネル移動部33にて導風パネル3を移動させるとともに、下軸保持部35は下軸12を保持したままとし、上軸移動部34は上軸11の保持を解除する。上開き動作においては、下軸12は移動せずに導風パネル3が開く。
【0029】
一方、上軸11を中心にして導風パネル3を開閉するとき(下開き)、パネル移動部33にて導風パネル3を移動させるとともに、下軸保持部35は下軸12の保持を解除し、上軸移動部34は上軸11を保持したまま上軸11を吹出口7に近づけるように移動させる。したがって、下開き動作においては、上軸11が吹出口7に近づき、導風パネル3の縁が吹出口7に近づく。
【0030】
パネル移動部33はアーム駆動ギア39を有し、上軸移動部34は上軸駆動ギア44を有し、下軸保持部35は下軸駆動ギア43を有する。そして、上軸駆動ギア44に上軸移動部34の動きを決める溝カム80が形成され、下軸駆動ギア43に下軸保持部35の動きを決める溝カム59が形成されている。以下、開閉装置30の構成について詳細に説明する。
【0031】
図8~
図10に示すように、パネル移動部33は、パネルベース36と、パネルベース36に取り付けられたアーム37と、アーム37を移動自在に支持する移動体38と、アーム37を付き出すように移動体38を移動させるアーム駆動ギア39とを有する。
【0032】
パネルベース36には、導風パネル3が着脱可能に取り付けられる。導風パネル3は、内側面の左右方向の端部がパネルベース36に取り付けられる。パネルベース36には、アーム37が回動自在に取り付けられ、アーム37は、移動体38、アーム駆動ギア39およびケース部31等を介して、キャビネット2に支持されている。すなわち、導風パネル3は、アーム37を介してキャビネット2に取り付けられ、かつキャビネット2に着脱可能となっている。
【0033】
上軸11はパネルベース36の前側に設けられ、導風パネル3の上側の端縁の近くに位置する。下軸12はパネルベース36の後側に設けられ、導風パネル3の下側の端縁の近くに位置する。上軸11および下軸12は、左右方向に平行に配置されている。上軸11および下軸12は、前後左右方向において、吹出口7よりも外側に位置し、かつ吹出口7よりも前方に位置する。そのため、上軸11および下軸12は、吹出口7から吹き出される風の流れを邪魔することはない。なお、パネルベース36を導風パネル3に一体化してもよい。その場合、アーム37は、導風パネル3に直接取り付けられる。
【0034】
アーム駆動ギア39は、パネルモータ24(
図6参照)によって回転駆動され、アーム駆動ギア39は、第1内ケース31Bに形成された固定軸40に回転自在に支持される。パネルモータ24は、
図6に示すように、第2内ケース31Cに装着され、モータ軸に取り付けられたモータギア41がアーム駆動ギア39と噛み合う。パネルモータ24が駆動すると、モータギア41を介してアーム駆動ギア39が回転する。
【0035】
パネルモータ24は正逆回転可能であり、導風パネル3の開く方向に応じてパネルモータ24が駆動され、アーム駆動ギア39が時計回りあるいは反時計回りに回転する。左右に配置される開閉装置30のパネルモータ24は同期して回転される。以下、導風パネル3を上開きする際のパネルモータ24の回転方向を正回転とし、導風パネル3を下開きする際のパネルモータ24の回転方向を逆回転とする。
【0036】
移動体38はアーム駆動ギア39と一体に設けられている。移動体38の一側に軸孔46が設けられ、該軸孔46に、アーム37の後側に突設されたアーム軸45が嵌め込まれている。アーム37の前側は、パネルベース36に支軸47を介して回転自在に取り付けられる。アーム37は、移動体38に回転自在に支持される。すなわち、アーム37は、間接的にキャビネット2に移動可能に支持される。
【0037】
導風パネル3の開閉に応じてアーム37の突出を調節するために、アーム37の移動を規制するアーム案内部48が設けられる。アーム案内部48は、アーム軸45を案内するガイド溝である。アーム軸45は、移動体38が位置する内面側と、外ケース31Aが位置する外面側との両方に突設されている。アーム案内部48は、外ケース31Aの内面(吹出口7側)に形成され、アーム37より突設するアーム軸45がアーム案内部48に移動可能に保持される。
【0038】
アーム案内部48は、上開き時にアーム37を案内する上ガイドと、下開き時にアーム37を案内する下ガイドとからなる。導風パネル3が開くとき、アーム駆動ギア39の回転に伴って移動体38が周方向に回転すると、上ガイドあるいは下ガイドに沿ってアーム37の後側が移動する。移動体38が周方向に回転することで、アーム37は全体的にキャビネット2から付き出るように前方に向かって移動する。導風パネル3が閉じるときには、移動体38およびアーム37はこれとは逆の動きをする。
【0039】
アーム案内部48は、略C形の溝であって、曲線状の3つの溝によって構成される。曲率が小さい中間溝48aを挟んで曲率の大きい上溝48bおよび下溝48cが配され、3つの溝によって1つのガイド溝が形成されている。中間溝48aの上半分と上溝48bとにより上ガイドが形成され、中間溝48aの下半分と下溝48cとにより下ガイドが形成される。中間溝48a内に上ガイドと下ガイドとの分岐点が位置し、この位置がアーム37の停止位置となっている。アーム37の後側が停止位置にあるとき、導風パネル3は閉姿勢にある。
【0040】
上ガイドにおいて、中間溝48aの区間が、導風パネル3を閉じたまま上軸11の保持あるいは解除するときの着脱区間であり、上溝48bの区間が、導風パネル3を開閉する開閉区間である。下ガイドも同様に、中間溝48aの区間が、導風パネル3を閉じたまま下軸12の保持あるいは解除するときの着脱区間であり、下溝48cの区間が、導風パネル3を開閉する開閉区間である。
【0041】
着脱区間では、アーム軸45は中間溝48aを移動し、アーム37の後側がアーム37の前側の支軸47を中心した円弧上を移動する。開閉区間では、アーム軸45は上溝48bあるいは下溝48cを移動する。上溝48bおよび下溝48cはケース部31の前面に近づくように形成されているので、導風パネル3が開くときには、アーム軸45は前方に向かって移動し、アーム37はケース部31から徐々に突出する。導風パネル3が閉じるときには、逆にアーム軸45が後方に向かって移動し、アーム37はケース部31内に徐々に戻っていく。
【0042】
下軸保持部35は、第2内ケース31Cに突設された支軸55に回転自在に支持されたレバー57と、レバー57を動かす下軸駆動ギア43とを有する。レバー57は、下端側に下軸12を引っ掛けて保持する爪56を有し、上端側に溝カム59に嵌められる案内ピン58を有する。爪56が下軸12を係止することで下軸12が保持される。レバー57が回転して爪56が下軸12から離れることで、下軸12の保持が解除される。
【0043】
下軸駆動ギア43は、アーム駆動ギア39と噛み合っている。パネルモータ24が駆動すると、モータギア41、アーム駆動ギア39を介して下軸駆動ギア43が回転する。下軸駆動ギア43の回転によってレバー57が移動し、爪56が下軸12に対して離接する。
【0044】
下軸駆動ギア43の内側面には、下軸保持部35の動きを決める溝カム(第2カム部)59が形成されている。溝カム59は、大円部59aと小円部59bとを有している。案内ピン58が小円部59bに位置しているとき、下軸駆動ギア43が回転しても、レバー57は回転しない。つまり、下軸保持部35は移動せず、下軸12を保持した状態を維持する。案内ピン58が大円部59aに入ると、下軸駆動ギア43の回転に伴ってレバー57が支軸55周りに回転し、爪56が下軸12に対して近づいたり、離れたりする。つまり、下軸保持部35は、下軸12を保持又は解除する。
【0045】
上軸移動部34は、上軸11を挟んで保持する一対の第1上軸保持部70および第2上軸保持部71と、第1、第2上軸保持部70,71を動かす上軸駆動ギア44とを有する。
図11は
図8の四角で囲った部分の拡大図である。
図12は、上記開閉装置30における上軸11を保持した状態の第1上軸保持部70と溝カム80との位置関係を示す図である。
図13は、上記開閉装置30における第1上軸保持部70の第2上軸保持部71の対向する側の面を示す斜視図である。
図14は、上記開閉装置30における第1上軸保持部70の上軸駆動ギア44と対向する側の面を示す斜視図である。
図15は、上記開閉装置30における第1上軸保持部70の上面図である。
図16は、上記開閉装置30における上軸11を解放した状態の第1上軸保持部70および第2上軸保持部71と溝カム80との位置関係を示す図である。
【0046】
図11に示すように、第1上軸保持部70および第2上軸保持部71は、上軸駆動ギア44よりも内面側(第2内ケース31C側)に、左右方向に並べて配されている。第2上軸保持部71は、第2内ケース31Cに突設された保持軸72に回転自在に支持されている。第1上軸保持部70は、第2上軸保持部71に対してスライド可能に取り付けられている。
【0047】
図13、
図15に示すように、第1上軸保持部70の第2上軸保持部71と対向する側の面には、一対のスライドピン70b,70bが前後方向に並んで設けられている。そして、
図11に示すように、これらスライドピン70b,70bは、第2上軸保持部71に形成された前後方向に長いピン長孔81,81に挿入されている。これにより、第1上軸保持部70は、一対のスライドピン70b,70bがピン長孔81,81内を移動する範囲内で、第2上軸保持部71に対して前後方向にスライド可能となっている。
【0048】
また、
図10、
図16に示すように、第2上軸保持部71の前端部には上軸11を受ける受部71aが形成されている。受部71aは下方に向かって開放されている。第1上軸保持部70の前端部には、受部71aの開放された下面を閉鎖して受部71aとの間で上軸11を保持する閉止部70aが形成されている。第1上軸保持部70が第2上軸保持部71に対してスライドして閉止部70aが受部71aの下面を開閉することで、上軸11の保持と保持の解除が行われる。そして、受部71aと閉止部70aとの間に上軸11を保持した状態で、第1上軸保持部70および第2上軸保持部71が保持軸72を中心として一体的に移動することで、上軸11を吹出口7の近づけることができる。
【0049】
上軸駆動ギア44は、モータギア41と噛み合っている。パネルモータ24が駆動すると、モータギア41を介して上軸駆動ギア44が回転する。上軸駆動ギア44の回転によって、上軸移動部34を吹出口7に向かって移動させる。上軸移動部34が移動するとき、導風パネル3の開閉する方向に応じて各上軸保持部70,71の移動を案内する軸案内部が設けられている。
【0050】
軸案内部は、上軸駆動ギア44の内側面に設けられた溝カム(上軸移動部の動きを決めるカム)80と、該溝カム80に嵌め込まれる第1上軸保持部70に設けられた案内ピン70cおよび第2上軸保持部71に設けられた案内ピン71bとから構成される。
【0051】
図14、
図15に示すように、第1上軸保持部70における上軸駆動ギア44と対向する側の面に案内ピン70cが形成され、
図11に示すように、第2上軸保持部71における上軸駆動ギア44と対向する側の面に案内ピン71bが形成されている。これら第1上軸保持部70に設けられた案内ピン70cおよび第2上軸保持部71の案内ピン71bが、上軸駆動ギア44に設けられた溝カム(第1カム部、第3カム部)80に嵌め込まれる。
【0052】
溝カム80は、第1上軸保持部70に設けられた案内ピン70cを案内する外周側に形成された第1溝82と、第2上軸保持部71に設けられた案内ピン71bを案内する内周側に形成された第2溝32とを備える。
【0053】
図11、
図12に示すように、第1溝82は、大径部82aと大径部82aに連続する小径部82bを有する。第1上軸保持部70に設けられた案内ピン70cは、上軸11を解放して導風パネル3を上開きする時以外、第1溝82における大径部82aに位置する。第1上軸保持部70に設けられた案内ピン70cが第1溝82における大径部82aに位置する状態で、案内ピン70cは保持軸72と同一軸上にある。これにより、上軸11の移動時、第1上軸保持部70は第2上軸保持部71とともに保持軸72を中心に回動する。
【0054】
そして、
図16に示すように、上軸11を解放して導風パネル3が上開きするとき、上軸駆動ギア44の回転に伴って、第1上軸保持部70に設けられた案内ピン70cは、第1溝82における大径部82aから小径部82bへと移動する。小径部82bに移動することで、第1上軸保持部70が第2上軸保持部71に対して後方にスライドする。これにより、第1上軸保持部70に設けられた閉止部70aが第2上軸保持部71に設けられた受部71aの下面を開放し、上軸11が解放される。上軸11の解放時、第1上軸保持部70および第2上軸保持部71は移動せず位置を保持する。
【0055】
一方、第2溝83は、
図11に示すように、小径部83aと、小径部83aに連続する直線状部83bと、直線状部83bに連続する大径部83cとを有する。第2上軸保持部71に設けられた案内ピン71bは、下開きした導風パネル3の支軸である上軸11を吹出口7に近づくように移動させる時以外、小径部83aに位置している。
【0056】
そして、導風パネル3の下開き時に、上軸駆動ギア44の回転に伴って、第2上軸保持部71に設けられた案内ピン71bは、第2溝83における小径部83aから直線状部83bを通って大径部83cへと移動する。小径部83aから直線状部83bを通って大径部83cへと移動することで、第2上軸保持部71および第1上軸保持部70が保持軸72を中心に回動して、保持している上軸11を吹出口7に近づくように移動させる。
【0057】
開閉装置30では、パネル移動部33、上軸移動部34および下軸保持部35は、1つの駆動源であるパネルモータ(モータ)24の駆動力が伝達される、アーム駆動ギア39、上軸駆動ギア44、下軸駆動ギア43によって動作する。空気調和機の運転が開始されると、制御部21(
図5参照)は開閉装置30のパネルモータ24を制御し、アーム駆動ギア39、上軸駆動ギア44、下軸駆動ギア43は、所定の制御シーケンスにしたがって動作する。
【0058】
上軸移動部34あるいは下軸保持部35が動作すると、上軸11、下軸12のうち一方の軸の保持が解除される。パネル移動部33が動作すると、アーム37がキャビネット2の前方に向かって移動して、導風パネル3が開く。上軸移動部34が動作すると、上軸11が移動し、導風パネル3の上軸側の端縁が吹出口7の開口縁に近づく。
【0059】
導風パネル3が閉じるときは、上記と逆の方向にアーム37が移動し、導風パネル3が閉姿勢になった後、一方の軸が保持される。そして、アーム37が停止位置にきたとき、パネルモータ24の駆動が停止される。
【0060】
開閉装置30は、アーム37の位置を検出する検知スイッチ85を備えている。アーム37が停止位置に到達したとき、検知スイッチ85はオンして、制御部21に検知信号を出力する。制御部21は、この検知信号に基づいて導風パネル3が閉姿勢になったと判断し、運転を停止する。
【0061】
(開閉装置30の動作)
次に、制御シーケンスにしたがって導風パネル3が開閉するときの開閉装置30の動きを説明する。導風パネル3が上開きする場合の開閉装置30の動きを
図17~
図19に示す。運転が停止しているとき、
図8に示すように、開閉装置30は停止状態にある。すなわち、導風パネル3は閉姿勢にある。
【0062】
このとき、第1上軸保持部70および第2上軸保持部71は上軸11を保持し、下軸保持部35は下軸12を保持している。アーム37は停止位置にある。ここで、冷房運転の指示があると、制御部21は、開閉装置30の動作を開始させ、アーム駆動ギア39が正方向に回転するようにパネルモータ24を駆動制御する。
【0063】
図17に示すように、パネルモータ24(
図6参照)の正回転の駆動により、モータギア41が反時計回りに回転すると、アーム駆動ギア39および上軸駆動ギア44は時計回りに回転し、下軸駆動ギア43は反時計回りに回転する。
【0064】
上軸移動部34において、第1上軸保持部70の案内ピン70cが溝カム80における第1溝82の大径部82aから小径部82bに移動する。これにより、第2上軸保持部71に対して第1上軸保持部70が後方にスライドして受部71aが解放され、上軸11の保持が解除される。下軸保持部35において、レバー57の案内ピン58は溝カム59の小円部59bに位置し、下軸保持部35は移動しないため、下軸12は保持されたままである。パネル移動部33において、アーム軸45は上ガイドの中間溝48aを通る。アーム37の後側は移動するが、アーム37の前側は移動しない。導風パネル3は、閉姿勢を維持している。
【0065】
図18に示すように、アーム軸45が上溝48bに入ると、アーム37が前方に移動し始めて、キャビネット2(
図3参照)から徐々に付き出る。なお、図ではキャビネット2の前端ラインを破線で示す。下軸12は保持されたままである。アーム37の前方への移動に伴って、パネルベース36に取り付けられた導風パネル3が下軸12を中心に開き始める。
【0066】
そして、
図19に示すように、アーム軸45は上溝48bの終端の手前達すると、アーム37はキャビネット2から大きく付き出し、導風パネル3の開き角度も最大となる。導風パネル3の開き角度が最大になると、制御部21はパネルモータ24を停止させる。制御部21は、パネルモータ24の回転角をカウントしており、所定の回転角に達したとき、導風パネル3が全開したと判断し、パネルモータ24は停止させる。
【0067】
導風パネル3が開くと、制御部21は、空調部23を制御して、指示された運転を行う。風が吹出口7から導風パネル3により導かれて、水平に遠くまで吹き出す。
【0068】
運転停止の指示があると、制御部21は、パネルモータ24を駆動して、アーム駆動ギア39を逆方向の反時計回りに回転させる。アーム37が後方に向かって移動し、導風パネル3が閉じ始める。
図17に示すように、導風パネル3が閉姿勢になった後、第1上軸保持部70の案内ピン70cが溝カム80における第1溝82の小径部82bから大径部82aに戻る。これにより、第2上軸保持部71に対して第1上軸保持部70が前方にスライドして、第1、第2上軸保持部70,71の閉止部70aと受部71aとの間で上軸11を保持する。アーム37の後側が停止位置に達すると、検知スイッチ85がオンし、制御部21は、パネルモータ24を停止させ、運転を停止する。
【0069】
次に、導風パネル3が下開きする場合の開閉装置30の動きを
図20~
図27に示す。開閉装置30が
図8に示す停止状態にあるときに、暖房運転あるいは急速冷房運転の指示が行われると、制御部21は、運転を開始し、アーム駆動ギア39が逆方向に回転するようにパネルモータ24を駆動制御する。
【0070】
図20に示すように、パネルモータ24(
図6参照)の逆回転の駆動により、モータギア41が時計回りに回転すると、アーム駆動ギア39および上軸駆動ギア44は反時計回りに回転し、下軸駆動ギア43は時計回りに回転する。
【0071】
下軸保持部35において、レバー57の案内ピン58は溝カム59の大円部59aに位置し、下軸保持部35が移動し、下軸保持部35の爪56が下軸12から離れ始める。上軸移動部34においては、第1上軸保持部70の案内ピン70cは溝カム80における第1溝82の大径部82aに位置し、上軸11は保持されたままである。下軸12の保持が解除されたとき、第2上軸保持部71の案内ピン71bは溝カム80における第2溝83の小径部83aに位置しており、第1、第2上軸保持部70,71はまだ回動しない。パネル移動部33において、アーム軸45は下ガイドの中間溝48aを通る。アーム37の後側は移動するが、アーム37の前側は移動しない。導風パネル3は、閉姿勢を維持している。
【0072】
図21に示すように、下軸保持部35の爪56が下軸12からさらに離れる。アーム軸45が下溝48cに入ると、アーム37が前方に付き出すように移動し始める。
図22に示すように、下軸保持部35の爪56が下軸12から完全に離れ、下軸12の保持が解除される。アーム軸45が下溝48cを通って進むと、アーム37がさらに前方に付き出され、アーム37の前方への移動に伴って、パネルベース36に取り付けられた導風パネル3が上軸11を中心に開き始める。
図23に示すように、アーム軸45が下溝48cを通って進むと、アーム37がさらに前方に付き出され、導風パネル3がさらに開く。
【0073】
図24に示すように、アーム軸45が下溝48cを中ほどに達すると、第2上軸保持部71の案内ピン71bが溝カム80における第2溝83の小径部83aから直線状部83bへと移動し、第1、第2上軸保持部70,71が保持軸72回りに回動し始め、上軸11が移動し始める。
図25、
図26に示すように、アーム軸45が下溝48cを下端に達する手前まで、第1、第2上軸保持部70,71が保持軸72回りに回動して、導風パネル3は、上軸11を下方に移動させながらさらに開いていく。
【0074】
図27に示すように、アーム軸45が下溝48cを下端に達すると、上軸11はさらに下方に移動し、吹出口7の近傍に位置する。アーム軸45が下溝48cを下端に達すると、導風パネル3の開き角度が最大になる。全開状態では、第2上軸保持部71の案内ピン71bは溝カム80における第2溝83の大径部83cへ移動しており、第2上軸保持部71および第1上軸保持部70を、保持軸72を中心に最大限に回動させている。全開となると、制御部21は、導風パネル3が全開したと判断し、パネルモータ24を停止させる。導風パネル3が開くと、制御部21は、空調部23を制御して、指示された運転を行う。風が吹出口7から導風パネル3により下方に向かって導かれる。
【0075】
運転停止の指示があると、制御部21は、パネルモータ24を駆動して、アーム駆動ギア39を正方向の時計回りに回転させる。アーム37が後方に向かって移動し、導風パネル3が閉じる。上軸11が元の位置に戻り、下軸12が保持されて、導風パネル3は閉姿勢となる。アーム37の後側が停止位置に達すると、制御部21は、パネルモータ24を停止させ、運転を停止する。
【0076】
(室内機1の利点)
上記構成によれば、開閉装置30において、パネル移動部33はアーム駆動ギア39を有し、上軸移動部34は上軸駆動ギア44を有し、下軸保持部35は下軸駆動ギア43を有する。そして、上軸駆動ギア44に上軸移動部34の動きを決める溝カム80が形成され、下軸駆動ギア43に下軸保持部35の動きを決める溝カム59が形成されている。
【0077】
このように、パネル移動部33、上軸移動部34および下軸保持部35の各々に個別に駆動ギアを設け、上軸移動部34の溝カム80、下軸保持部35の溝カム59を各々の駆動ギアに設けることで、1つの駆動ギアに集約して設ける構成に比べて、開閉装置30を小型にすることができる。また、開閉装置30を構成する、アーム駆動ギア39、上軸駆動ギア44、下軸駆動ギア43等の部品の配置の自由度が増し、設計が容易になる。
【0078】
また、上記構成によれば、導風パネル3の下開き時、上軸移動部34が、上軸11を吹出口7に近づけるように移動させて、導風パネル3の端縁を吹出口7の開口縁に近接させる。これにより、導風パネル3は吹出口7の上壁に連なり、導風パネル3を吹出口7の一部となり、吹出口7が延長する。吹出口7からの風が導風パネル3によって長く案内されることにより、所望の方向にスムーズな送風を行える。また、導風パネル3により、吹出口7の開口の向きを所望の方向に向けることができ、気流を制御しやすくなる。
【0079】
さらに、アーム駆動ギア39、上軸駆動ギア44、下軸駆動ギア43を、1つのパネルモータ24で駆動しているので、機構部品のみで、パネル移動部33、上軸移動部34および下軸保持部35のタイミングを調整することが可能で、制御が容易になる。
【0080】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上記実施の形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0081】
本実施の形態に係る空気調和機の室内機に備えられた開閉装置は、前述した開閉装置30と同様の構成を有し、より好ましい構成として、モータギア41とアーム駆動ギア39とのギア比を、モータギア41と上軸駆動ギア44とのギア比、およびモータギア41と下軸駆動ギア43とのギア比よりも大きくしている。
【0082】
このような構成とすることで、3つの駆動ギア(アーム駆動ギア39、上軸駆動ギア44、下軸駆動ギア43)のうち、最も大きな力を必要とする導風パネル3を駆動するアーム駆動ギア39のトルクを上げることができる。
【0083】
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施の形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上記実施の形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0084】
本実施の形態に係る空気調和機の室内機に備えられた開閉装置は、前述した開閉装置30と同様の構成を有し、上軸移動部34に代えて、軸移動機構を具備しない上軸保持部を備えている点が異なる。
【0085】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る空気調和機は、キャビネット2の前面に形成された吹出口7と、前記前面に取り付けられて吹出口7を覆い、上下の軸(上軸11,下軸12)を中心に上下両開き可能な導風パネル3と、前記導風パネル3を移動させて開閉する開閉装置30と、を備え、前記開閉装置30は、前記導風パネル3を開くために当該導風パネル3を前方に向かって移動させるパネル移動部33と、前記上下の軸のうちの一軸を保持する第1軸保持部(上軸移動部34)と、前記上下の軸のうちの他軸を保持する第2軸保持部(下軸保持部35)と、を備え、前記パネル移動部33、前記第1軸保持部および前記第2軸保持部はそれぞれが駆動ギアを有し、前記第1軸保持部の駆動ギア(上軸駆動ギア44)に当該第1軸保持部の動きを決める第1カム部(溝カム80)が形成され、前記第2軸保持部の駆動ギア(下軸駆動ギア43)に前記第2軸保持部の動きを決める第2カム部(溝カム59)が形成されていることを特徴とする。
【0086】
本発明の態様2に係る空気調和機は、さらに、前記態様1において、前記第1軸保持部は、前記一軸を移動可能とし、前記一軸を挟んで保持しながら前記吹出口7に近づくように移動させる軸移動部としての機能を備え、前記第1軸保持部の駆動ギア(上軸駆動ギア44)に、前記軸移動部の動きを決める第3カム部(溝カム80)が形成されている構成とすることもできる。
【0087】
本発明の態様3に係る空気調和機は、さらに、前記態様1又は2において、前記パネル移動部33が有する駆動ギア(アーム駆動ギア39)が、前記第1軸保持部が有する駆動ギア(上軸駆動ギア44)、および前記第2軸保持部が有する駆動ギア(下軸駆動ギア43)は、同一のモータ(パネルモータ24)にて駆動される構成とすることもできる。
【0088】
本発明の態様4に係る空気調和機は、さらに、前記態様3において、前記モータの軸に接続されたモータギア41と前記パネル移動部33が有する駆動ギア(上軸駆動ギア44)とのギア比が、前記モータギア41と前記第1軸保持部の駆動ギア(上軸駆動ギア44)とのギア比、および前記モータギア41と前記第2軸保持部の駆動ギア(下軸駆動ギア43)とのギア比の何れよりも大きい構成とすることもできる。
【0089】
本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 室内機
2 キャビネット
3 導風パネル
5 室外機
7 吹出口
11 上軸
12 下軸
21 制御部
23 空調部
24 パネルモータ(モータ)
30 開閉装置
31 ケース部
31A 外ケース
31B 第1内ケース
31C 第2内ケース
33 パネル移動部
34 上軸移動部(第1軸保持部、軸移動部)
35 下軸保持部(第2軸保持部)
36 パネルベース
37 アーム
38 移動体
39 アーム駆動ギア
40 固定軸
41 モータギア
43 下軸駆動ギア
44 上軸駆動ギア
45 アーム軸
46 軸孔
47、55 支軸
48 アーム案内部
48a 中間溝
48b 上溝
48c 下溝
57 レバー
58 案内ピン
59、80 溝カム
70 第1上軸保持部
70a 受部、
70b スライドピン
70c 案内ピン
71 第2上軸保持部
71a フック
71b 閉止部
72 保持軸
81 ピン長孔
85 検知スイッチ