(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】制御弁および収穫機
(51)【国際特許分類】
F15B 11/00 20060101AFI20230227BHJP
A01D 67/00 20060101ALI20230227BHJP
A01D 69/03 20060101ALI20230227BHJP
F15B 11/08 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
F15B11/00 D
A01D67/00 D
A01D69/03
F15B11/08 B
(21)【出願番号】P 2019119008
(22)【出願日】2019-06-26
【審査請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】今村 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】高尾 吉郎
(72)【発明者】
【氏名】千葉 翔太
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-082105(JP,U)
【文献】実開平02-000401(JP,U)
【文献】特開昭50-072085(JP,A)
【文献】実開平04-025075(JP,U)
【文献】特開2017-020573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00
A01D 67/00
A01D 69/03
F15B 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動油タンクに接続されたタンク油路に連通するタンク流路と、
油圧ポンプに接続されたポンプ油路に連通するポンプ流路と、
パイロット弁の戻り規制を解除する側へ作動油を導入可能なパイロット油路に連通するパイロット流路と、
前記パイロット流路と前記ポンプ流路とを接続可能なポンプ接続部と、
前記パイロット流路と前記タンク流路とを接続可能なタンク接続部と、
円柱状のスプールと、
前記タンク流路としてのタンク弁室と、前記ポンプ流路としてのポンプ弁室と、前記パイロット流路としてのパイロット弁室と、前記タンク弁室と前記パイロット弁室とを連結する円柱形状の連結室と、が形成されたバルブブロックと、を備え、
前記スプールにおける外周面に、前記タンク接続部としての複数の縮径部位が形成されており、
前記バルブブロックの前記連結室における周壁面に、前記タンク接続部としての複数の拡径部位が形成されており、
前記タンク接続部は、前記ポンプ接続部が前記パイロット流路と前記ポンプ流路とを切断しているときに、前記パイロット流路と前記タンク流路とを接続し、
前記タンク接続部は、円柱状の前記スプールが回転したとしても、いずれかの前記縮径部位と前記拡径部位とによって前記パイロット流路と前記タンク流路とを接続するように構成されている制御弁。
【請求項2】
複数の前記縮径部位は、前記スプールの軸方向に見て位置を180°ずつ異ならせた2箇所に形成されており、
複数の前記縮径部位は、前記連結室の前記周壁面において120°間隔で3つ設けられている請求項1に記載の制御弁。
【請求項3】
前記タンク接続部は、前記ポンプ接続部が前記パイロット流路と前記ポンプ流路とを接続しているときに、前記パイロット流路と前記タンク流路とを切断する請求項1又は2に記載の制御弁。
【請求項4】
前記拡径部位は、円柱形状である前記連結室の前記周壁面における一部に形成されている請求項1から3のいずれか1項に記載の制御弁。
【請求項5】
複数の前記拡径部位が、円柱形状である前記連結室の前記周壁面において周方向等間隔に形成されている請求項1から4のいずれか1項に記載の制御弁。
【請求項6】
前記縮径部位は、前記スプールの中心軸に平行な平面により円柱状の前記スプールを切り欠いて形成されている請求項1から5のいずれか1項に記載の制御弁。
【請求項7】
機体に対して上下昇降可能に設けられると共に圃場の作物を収穫する収穫部と、
前記収穫部に対して上下昇降可能に設けられると共に圃場の作物を掻き込むリールユニットと、
前記リールユニットを上下昇降させるリール用油圧シリンダと、
請求項1から6のいずれか1項に記載の制御弁であって前記リール用油圧シリンダに作動油を供給するリール用制御弁と、
前記リール用油圧シリンダからの作動油の戻りを規制する
前記パイロット弁としてのリール用パイロット弁と、を備
える収穫機。
【請求項8】
前記収穫部を上下昇降させる収穫部用油圧シリンダと、
前記収穫部用油圧シリンダに作動油を供給する収穫部用制御弁と、
前記収穫部用油圧シリンダからの作動油の戻りを規制する収穫部用パイロット弁と、
前記リール用制御弁、前記リール用パイロット弁、前記収穫部用制御弁、及び前記収穫部用パイロット弁が一体化された制御弁ユニットと、を備える請求項7に記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御弁および収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、刈取搬送部と回転リールとを備えたコンバインが記載されている。刈取搬送部は、油圧シリンダにより昇降可能な状態でコンバインの機体に支持されている。回転リールは、油圧シリンダにより昇降可能な状態で刈取搬送部に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のコンバインでは、刈取搬送部が昇降すると、刈取搬送部に支持された回転リールも共に昇降する。そうすると、刈取搬送部の昇降の開始時及び停止時に、回転リールに上下方向の慣性力が作用し、回転リールを昇降するリール用油圧シリンダに伸び方向又は縮み方向の力が作用する。リール用油圧シリンダに伸び方向の力が作用すると、油圧シリンダの油室内の圧力が低下する。
【0005】
リール用油圧シリンダ制御弁が、シリンダの油室からの作動油の戻りをパイロット弁で規制する方式の場合、上述した油室の圧力低下により以下の問題が生じる場合がある。刈取搬送部の昇降によりリール用油圧シリンダの油室の圧力が低下したときに、パイロット油路(パイロット弁の戻り規制を解除する側へ作動油を導入可能な油路)の圧力が比較的高いと、パイロット弁の戻り規制が意図せず解除、あるいは規制が僅かに緩んだ状態となってしまう。そうすると、リール用油圧シリンダの油室から作動油が流出してしまい、回転リールが意図せず下降してしまう。
【0006】
本発明の目的は、油圧シリンダの油室の圧力が低下した際のパイロット弁の戻り規制の意図しない解除を抑制する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための制御弁の特徴構成は、作動油タンクに接続されたタンク油路に連通するタンク流路と、油圧ポンプに接続されたポンプ油路に連通するポンプ流路と、パイロット弁の戻り規制を解除する側へ作動油を導入可能なパイロット油路に連通するパイロット流路と、前記パイロット流路と前記ポンプ流路とを接続可能なポンプ接続部と、前記パイロット流路と前記タンク流路とを接続可能なタンク接続部と、円柱状のスプールと、前記タンク流路としてのタンク弁室と、前記ポンプ流路としてのポンプ弁室と、前記パイロット流路としてのパイロット弁室と、前記タンク弁室と前記パイロット弁室とを連結する円柱形状の連結室と、が形成されたバルブブロックと、を備え、前記スプールにおける外周面に、前記タンク接続部としての複数の縮径部位が形成されており、前記バルブブロックの前記連結室における周壁面に、前記タンク接続部としての複数の拡径部位が形成されており、前記タンク接続部は、前記ポンプ接続部が前記パイロット流路と前記ポンプ流路とを切断しているときに、前記パイロット流路と前記タンク流路とを接続し、前記タンク接続部は、円柱状の前記スプールが回転したとしても、いずれかの前記縮径部位と前記拡径部位とによって前記パイロット流路と前記タンク流路とを接続するように構成されている点にある。
【0008】
上記の特徴構成によれば、パイロット流路とポンプ流路とが切断されているときに、パイロット流路とタンク流路とが接続されるので、パイロット流路の内部の圧力がタンク流路の内部の圧力と同程度に低くなる。従って、パイロット弁の戻り規制の意図しない解除を抑制することができる。
また上記の特徴構成によれば、スプールの縮径部位と連結室の拡径部位によりタンク接続部が構成されるので、パイロット流路とタンク流路とを確実に接続することができ、パイロット弁の戻り規制の意図しない解除を確実に抑制することができる。
複数の前記縮径部位は、前記スプールの軸方向に見て位置を180°ずつ異ならせた2箇所に形成されていると好ましい。複数の前記縮径部位は、前記連結室の前記周壁面において120°間隔で3つ設けられていると好ましい。
【0009】
本発明に係る制御弁の別の特徴構成は、前記タンク接続部は、前記ポンプ接続部が前記パイロット流路と前記ポンプ流路とを接続しているときに、前記パイロット流路と前記タンク流路とを切断する点にある。
【0010】
上記の特徴構成によれば、パイロット流路とポンプ流路とが接続されているときに、パイロット流路とタンク流路とが切断されるので、パイロット流路からタンク流路への作動油の流出を抑制して、パイロット油路へ作動油を適切に供給でき、パイロット弁を確実に作動させることができる。
【0011】
【0012】
【0013】
本発明に係る制御弁の別の特徴構成は、前記拡径部位は、円柱形状である前記連結室の前記周壁面における一部に形成されている点にある。
【0014】
上記の特徴構成によれば、拡径部位が連結室の周壁面における一部に形成されているので、拡径部位が形成されていない部位によりバルブブロックの強度を向上することができる。これにより、制御弁の耐久性向上や、制御弁の小型化が可能となる。
【0015】
本発明に係る制御弁の別の特徴構成は、複数の前記拡径部位が、円柱形状である前記連結室の前記周壁面において周方向等間隔に形成されている点にある。
【0016】
上記の特徴構成によれば、複数の拡径部位が周方向等間隔に形成されているので、バルブブロックの強度を更に向上することが可能となる。
【0017】
本発明に係る制御弁の別の特徴構成は、前記縮径部位は、前記スプールの中心軸に平行な平面により円柱状の前記スプールを切り欠いて形成されている点にある。
【0018】
上記の特徴構成によれば、縮径部位がスプールの中心軸に平行な平面により円柱状のスプールを切り欠いて形成されているので、スプールの製造が容易になると共に、縮径部位を作動油がスムースに流れるようになり、縮径部位によりパイロット流路とタンク流路とを確実に接続することができる。従って、パイロット弁の戻り規制の意図しない解除を効果的に抑制することができる。
【0019】
上記目的を達成するための収穫機の特徴構成は、機体に対して上下昇降可能に設けられると共に圃場の作物を収穫する収穫部と、前記収穫部に対して上下昇降可能に設けられると共に圃場の作物を掻き込むリールユニットと、前記リールユニットを上下昇降させるリール用油圧シリンダと、上述の制御弁であって前記リール用油圧シリンダに作動油を供給するリール用制御弁と、前記リール用油圧シリンダからの作動油の戻りを規制する前記パイロット弁としてのリール用パイロット弁と、を備える点にある。
【0020】
上記の特徴構成によれば、リール用制御弁におけるパイロット流路の内部の圧力を比較的低くしてパイロット弁の戻り規制の意図しない解除を抑制することができるので、収穫部の上下昇降によりリール用油圧シリンダの油室の圧力が低下したとしても、リールユニットの意図しない下降を抑制することができる。
【0021】
本発明に係る収穫機の別の特徴構成は、前記収穫部を上下昇降させる収穫部用油圧シリンダと、前記収穫部用油圧シリンダに作動油を供給する収穫部用制御弁と、前記収穫部用油圧シリンダからの作動油の戻りを規制する収穫部用パイロット弁と、前記リール用制御弁、前記リール用パイロット弁、前記収穫部用制御弁、及び前記収穫部用パイロット弁が一体化された制御弁ユニットと、を備える点にある。
【0022】
上記の特徴構成によれば、リール用パイロット弁、収穫部用制御弁、収穫部用パイロット弁が一体化された制御弁ユニットを備えるので、収穫機の油圧回路の構成の単純化や油圧回路の小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図9】連通室の拡径部位及び下右端大径部の縮径部位を右から見た部分断面図である。
【
図10】下側スプールが中立位置にあるときのリール昇降制御弁を示す断面図である。
【
図11】下側スプールが上昇位置にあるときのリール昇降制御弁を示す断面図である。
【
図12】下側スプールが下降位置にあるときのリール昇降制御弁を示す断面図である。
【
図13】下側スプールが中立位置にあるときのリール昇降制御弁の右側部分を示す断面図である。
【
図14】下側スプールが下降位置にあるときのリール昇降制御弁の右側部分を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔コンバインの基本構成〕
図1は、本発明に係る制御弁を適用した収穫機の一例である普通型コンバインを示している。この普通型コンバインは、運転部510の前方に配置された刈取部520(「収穫部」の一例)と、運転部510の後方に配置された脱穀装置530と、運転部510の下方に配置されたフィーダ540とを備えている。フィーダ540は、刈取部520から脱穀装置530に刈取穀稈を搬送する。
【0025】
刈取部520は、バリカン型の刈刃521と、オーガ522と、回転リールユニット523とを備えている。刈刃521は、作物の株元を切断して刈り取る。オーガ522は、刈刃521によって刈り取られた作物を刈幅方向の中央部に寄せ集める。回転リールユニット523(「リールユニット」の一例)は、刈取対象となる作物の穂先側を後方に向けて掻き込む。
【0026】
刈取部520は、油圧シリンダである刈取昇降シリンダ550(「収穫部用油圧シリンダ」の一例)により横向き枢支軸芯回りで上下方向に昇降可能に構成されている。回転リールユニット523は、油圧シリンダであるリール昇降シリンダ560(「リール用油圧シリンダ」の一例)により横向き枢支軸心周りで上下方向に昇降可能に構成されている。
【0027】
〔油圧駆動装置〕
図2に示されるように、刈取昇降シリンダ550及びリール昇降シリンダ560は、制御弁ユニット570を介して作動油供給用の油圧ポンプ580及び作動油タンク590に接続されている。刈取昇降シリンダ550、リール昇降シリンダ560、制御弁ユニット570、油圧ポンプ580、及び作動油タンク590により、刈取部520及び回転リールユニット523を昇降する油圧駆動装置が構成されている。刈取昇降シリンダ550は刈取部520を上下昇降させる。リール昇降シリンダ560は回転リールユニット523を上下昇降させる。
【0028】
制御弁ユニット570は、刈取昇降制御弁600(「収穫部用制御弁」の一例)と、刈取昇降パイロット弁650(「収穫部用パイロット弁」の一例)と、リール昇降制御弁700(「制御弁」及び「リール用制御弁」の一例)と、リール昇降パイロット弁750(「パイロット弁」及び「リール用パイロット弁」の一例)と、リリーフ弁900とを備えている。
【0029】
刈取昇降制御弁600は、油圧ポンプ580からの作動油の給排方向を切替制御し、刈取昇降シリンダ550及び刈取昇降パイロット弁650への作動油の給排を制御する電磁制御弁である。刈取昇降パイロット弁650は、刈取昇降シリンダ550からの作動油の戻りを規制するパイロット弁である。
【0030】
リール昇降制御弁700は、油圧ポンプ580からの作動油の給排方向を切替制御し、リール昇降シリンダ560及びリール昇降パイロット弁750への作動油の給排を制御する電磁制御弁である。リール昇降パイロット弁750は、リール昇降シリンダ560からの作動油の戻りを規制するパイロット弁である。
【0031】
リリーフ弁900は、油圧ポンプ580からの圧油供給路581に接続された、作動油の過度の圧力上昇を抑制する弁である。
【0032】
〔制御弁ユニットの構造〕
図3~
図9に、制御弁ユニット570の構造を示す。以下の制御弁ユニット570に関する説明では、
図3~
図14に示される矢印UPの方向を「上」、矢印DNの方向を「下」、矢印RHの方向を「右」、矢印LHの方向を「左」、矢印FRの方向を「前」、矢印BKの方向を「後」とする。
【0033】
制御弁ユニット570は、バルブブロック571、左右一対の上側ソレノイド572、左右一対の下側ソレノイド573、上側スプール1、下側スプール2(「スプール」の一例)等を備えている。バルブブロック571には、上側弁室3、下側弁室4、主ポンプ油路50、ドレン室60等の複数の弁室、室及び油路が形成されている。
【0034】
また制御弁ユニット570は、ポンプポートPと、タンクポートTと、刈取シリンダポートHと、リールシリンダポートRとを備えている。ポンプポートPには、油圧ポンプ580からの圧油供給路581(
図2)が接続される。タンクポートTには、作動油タンク590へのドレン油路591(
図2)が接続される。刈取シリンダポートHには、刈取昇降シリンダ550への刈取昇降油路551(
図2)が接続される。リールシリンダポートRには、リール昇降シリンダ560へのリール昇降油路561(
図2)が接続される。
【0035】
図6に示されるように、バルブブロック571の内部において、主ポンプ油路50とポンプポートPとがフィルタ51を介して接続されている。主ポンプ油路50に、ポンプポートPを介して油圧ポンプ580から作動油が供給される。主ポンプ油路50は、後述する上側弁室3の上側第2弁室32及び上側第5弁室35に接続されている。
【0036】
図5に示されるように、バルブブロック571の内部において、ドレン室60とタンクポートTとが接続されている。ドレン室60に流入した作動油は、タンクポートT及びドレン油路591を介して作動油タンク590へ戻される。
【0037】
図6に示されるように、主ポンプ油路50とドレン室60とがリリーフ弁900を介して接続されている。主ポンプ油路50の内部の作動油の圧力が過度に高くなると、リリーフ弁900が作動して、リリーフ弁900の後方に位置する油路(図示無し)を通じて主ポンプ油路50からドレン室60へ作動油が流出する。
【0038】
〔刈取昇降制御弁〕
図5に示されるように、刈取昇降制御弁600は、バルブブロック571に形成された上側弁室3に上側スプール1を挿入して構成されている。刈取昇降制御弁600は、上昇状態と、下降状態と、中立状態とに状態を切り替え可能に構成されている。
【0039】
上昇状態では、上側スプール1が上昇位置UW(
図10の下側スプール2と同様の位置)に位置し、ポンプポートPから刈取シリンダポートHへの油路が開かれて、油圧ポンプ580からの作動油が刈取昇降シリンダ550へ供給される。下降状態では、上側スプール1が下降位置DW(
図11の下側スプール2と同様の位置)に位置し、刈取シリンダポートHからタンクポートTへの油路が開かれて、刈取昇降シリンダ550から作動油タンク590へ作動油が戻される。中立状態では、上側スプール1が中立位置NL(
図9の下側スプール2と同様の位置)に位置し、刈取昇降シリンダ550の昇降作動は停止する。
【0040】
上側スプール1の両端に、操作ロッド574が配置されている。この操作ロッド574が、上側弁室3の左右に配置された一対の上側ソレノイド572に挿入されている。上側スプール1の左右に、上側スプール1を中立位置NLへ復帰付勢する復帰バネ575が配置されている。刈取昇降制御弁600は、左右一対の上側ソレノイド572の一方への通電によって上側スプール1が上昇位置UW又は下降位置DWの何れかに択一的に切り換えられ、上側ソレノイド572への通電が断たれると復帰バネ575の付勢によって上側スプール1が中立位置NLへ復帰するように構成されている。復帰バネ575と上側スプール1との間には、バネ受け部材576が配置されている。バネ受け部材576は、上側スプール1が中立位置NLにあるときに、ドレン室60の壁面60aに当接する。
【0041】
図5に示されるように、上側弁室3は、右から順に、上側第1弁室31、上側第2弁室32、上側第3弁室33、上側第4弁室34、上側第5弁室35、上側第6弁室36を備えている。
【0042】
上側第1弁室31は、
図7に示されるように、上側パイロット油路71を介して上側パイロット弁室37の上右弁室37a(後述)と連通している。上側第2弁室32は、
図6に示されるように、主ポンプ油路50と連通し、且つ、副ポンプ油路52を介して下側弁室4の下側第2弁室42(後述)と連通している。上側第3弁室33は、
図5に示されるように、上側シリンダ油路81を介して上側パイロット弁室37の上左弁室37b(後述)と連通しており、刈取昇降パイロット弁650を介して刈取シリンダポートHと接続可能に構成されている。
【0043】
上側第4弁室34は、
図5に示されるように、ドレン室60と連通している。上側第5弁室35は、
図6に示されるように、主ポンプ油路50と連通している。上側第6弁室36は、
図5に示されるように、ビヨンド油路90を介して下側弁室4の下側第5弁室45(後述)と連通している。
【0044】
図5に示されるように、上側スプール1は、右から順に、上右端大径部11、上右小径部12、上右中大径部13、上中小径部14、上左中大径部15、上左小径部16、上左端大径部17を備えている。上右端大径部11には、上右端ノッチ部11aが形成されている。上左中大径部15には、上左中第1ノッチ部15aと上左中第2ノッチ部15bとが形成されている。上右端ノッチ部11a、上右小径部12、上中小径部14、上左中第1ノッチ部15a、上左中第2ノッチ部15b、上左小径部16は、円柱状の上側スプール1の最大外径よりも中心からの距離が小さい部位であり、上側スプール1の外周面と上側弁室3の内周面との間に通油用の間隙を形成する。
【0045】
上右小径部12は、上側第1弁室31と上側第2弁室32とを接続可能に構成されている。上中小径部14は、上側第2弁室32と上側第3弁室33、又は上側第3弁室33と上側第4弁室34とを接続可能に構成されている。上左小径部16は、上側第5弁室35と上側第6弁室36とを接続可能に構成されている。
【0046】
上右端ノッチ部11aは、上側スプール1の軸方向に沿って延びる、上右端大径部11の表面に形成された溝である。本実施形態では、上右端ノッチ部11aは、上側スプール1の軸方向に視て位置を90°ずつ異ならせた4箇所に形成されている。上右端ノッチ部11aは、上右端大径部11の右端部まで右方向に延び、上右端大径部11の外周面における上側第1弁室31の内部に対応する位置まで左方向に延びている。上右端ノッチ部11aは、上側第1弁室31とドレン室60とを接続可能に構成されている。本実施形態では、上右端ノッチ部11aは上側スプール1の位置にかかわらず常に上側第1弁室31とドレン室60とを接続している。
【0047】
上左中第1ノッチ部15a及び上左中第2ノッチ部15bは、長軸が上側スプール1の軸方向に沿う、上左中大径部15の表面に形成された楕円形の溝である。本実施形態では、2つの上左中第1ノッチ部15aが上側スプール1の中心軸を挟んで対向する位置に配置される。そして2つの上左中第2ノッチ部15bが上側スプール1の中心軸を挟んで対向する位置に配置される。上左中第1ノッチ部15aと上左中第2ノッチ部15bとは、90°位相を異ならせた位置に配置される。上左中第2ノッチ部15bは、上左中第1ノッチ部15aよりも左に位置する。上左中第1ノッチ部15aは、上側第4弁室34と上側第5弁室35とを接続可能に構成されている。上左中第2ノッチ部15bは、上側第4弁室34と上側第5弁室35とを接続可能に構成されている。
【0048】
〔刈取昇降パイロット弁〕
図7に示されるように、刈取昇降パイロット弁650は、バルブブロック571に形成された上側パイロット弁室37に上パイロットスプール18を挿入し、バルブブロック571に形成された上側ポート室38に上パイロット弁体19を挿入して構成されている。刈取昇降パイロット弁650は、刈取昇降シリンダ550からの作動油の戻りを規制する規制状態と、刈取昇降シリンダ550からの作動油の戻りを許容する許容状態とに切り替え可能に構成されている。
【0049】
図7に示されるように、上側パイロット弁室37は、上右弁室37aと上左弁室37bとを備えている。上右弁室37aは、上パイロットスプール18よりも右側に位置する弁室であって、上側パイロット油路71を介して上側弁室3の上側第1弁室31と連通している。上左弁室37bは、上パイロットスプール18よりも左側に位置する弁室であって、上側シリンダ油路81を介して上側弁室3の上側第3弁室33と連通し、且つ、上側ポート室38と連通している。
【0050】
図7に示されるように、上パイロットスプール18は、左突出部18aを備えている。左突出部18aは、上パイロット弁体19と当接可能に構成されている。
【0051】
図7に示されるように、上パイロット弁体19は、内部空間19aを備えている。上パイロット弁体19は、バネ19bにより上パイロット弁座19cに向けて右方向に付勢され、上パイロット弁座19cと当接離間が可能に構成されている。
【0052】
図7に示されるように、上側ポート室38は、上パイロット弁体19の内部空間19aを介して刈取シリンダポートHに接続され、且つ、上側パイロット弁室37の上左弁室37bと連通可能に構成されている。
【0053】
上側パイロット弁室37の上右弁室37aに油圧ポンプ580から作動油が供給されないとき、上パイロット弁体19はバネ19bに右方向に付勢されて上パイロット弁座19cと当接する。従って、刈取昇降パイロット弁650は、刈取昇降シリンダ550からの作動油の戻りを規制する規制状態となる。
【0054】
上側パイロット弁室37の上右弁室37aに油圧ポンプ580から作動油が供給されるとき、上パイロットスプール18は左方向へ移動する。左突出部18aが上パイロット弁体19に当接して、上パイロット弁体19を左方向へ移動させる。上パイロット弁体19が上パイロット弁座19cと離間する。上側パイロット弁室37の上左弁室37bと、上側ポート室38と、上パイロット弁体19の内部空間19aとが連通する。そうすると、刈取シリンダポートHを介して刈取昇降シリンダ550から上側パイロット弁室37の上左弁室37bへ作動油が流出可能な状態となる。従って、刈取昇降パイロット弁650は、刈取昇降シリンダ550からの作動油の戻りを許容する許容状態となる。
【0055】
上側パイロット弁室37の上左弁室37bに油圧ポンプ580から作動油が供給されるとき、作動油の圧力により上パイロット弁体19は左方向に移動して、上パイロット弁体19が上パイロット弁座19cと離間する。上側パイロット弁室37の上左弁室37bと、上側ポート室38と、上パイロット弁体19の内部空間19aとが連通する。そうすると、刈取シリンダポートHを介して上側パイロット弁室37の上左弁室37bから刈取昇降シリンダ550へ作動油が供給される。
【0056】
〔リール昇降制御弁〕
図5に示されるように、リール昇降制御弁700は、バルブブロック571に形成された下側弁室4に下側スプール2を挿入して構成されている。
図5~
図8に示されるように、リール昇降制御弁700の下側スプール2及び下側弁室4の形状は、刈取昇降制御弁600の上側スプール1及び上側弁室3の形状とほぼ同じである。以下のリール昇降制御弁700の説明では、刈取昇降制御弁600と同様の構成、機能、動作については説明を省略する場合がある。
【0057】
リール昇降制御弁700は、上昇状態と、下降状態と、中立状態とに状態を切り替え可能に構成されている。上昇状態では、下側スプール2が上昇位置UW(
図10)に位置し、ポンプポートPからリールシリンダポートRへの油路が開かれて、油圧ポンプ580からの作動油がリール昇降シリンダ560へ供給される。下降状態では、下側スプール2が下降位置DW(
図11)に位置し、リールシリンダポートRからタンクポートTへの油路が開かれて、リール昇降シリンダ560から作動油タンク590へ作動油が戻される。中立状態では、下側スプール2が中立位置NL(
図9)に位置し、リール昇降シリンダ560の昇降作動は停止する。
【0058】
下側スプール2の両端に、操作ロッド574が配置されている。この操作ロッド574が、下側弁室4の左右に配置された一対の下側ソレノイド573に挿入されている。下側スプール2の左右に、下側スプール2を中立位置NLへ復帰付勢する復帰バネ575が配置されている。リール昇降制御弁700は、左右一対の下側ソレノイド573の一方への通電によって下側スプール2が上昇位置UW又は下降位置DWの何れかに択一的に切り換えられ、下側ソレノイド573への通電が断たれると復帰バネ575の付勢によって下側スプール2が中立位置NLへ復帰するように構成されている。復帰バネ575と下側スプール2との間には、バネ受け部材576が配置されている。バネ受け部材576は、下側スプール2が中立位置NLにあるときに、ドレン室60の壁面60aに当接する。
【0059】
図5に示されるように、下側弁室4は、右から順に、下側第1弁室41、下側第2弁室42、下側第3弁室43、下側第4弁室44、下側第5弁室45、下側第6弁室46を備えている。
【0060】
下側第1弁室41は、
図8に示されるように、下側パイロット油路72を介して下側パイロット弁室47の下右弁室47a(後述)と連通している。下側第2弁室42は、
図5に示されるように、副ポンプ油路52を介して上側弁室3の上側第2弁室32と連通している。すなわち下側第2弁室42は、副ポンプ油路52及び上側第2弁室32を介して主ポンプ油路50と連通している。下側第3弁室43は、
図8に示されるように、下側シリンダ油路82を介して下側パイロット弁室47の下左弁室47b(後述)と連通しており、リール昇降パイロット弁750を介してリールシリンダポートRと接続可能に構成されている。
【0061】
下側第4弁室44は、
図5に示されるように、ドレン室60と連通している。下側第5弁室45は、
図5に示されるように、ビヨンド油路90を介して上側第6弁室36と連通している。すなわち下側第5弁室45には、刈取昇降制御弁600が中立状態にあるときに、油圧ポンプ580から作動油が供給される。下側第6弁室46は、
図5に示されるように、ドレン室60と連通している。
【0062】
図13、
図14に示されるように、下側弁室4において、下側第1弁室41とドレン室60との間に連結室41aが形成されている。連結室41aは円柱形状であり、連結室41aに下側スプール2の下右端大径部21が位置する。
図9、
図13、
図14に示されるように、連結室41aにおける周壁面に、拡径部位41bが形成されている。拡径部位41bは、連結室41aにおける周壁面を、連結室41aの中心軸と平行な円柱で切り欠いた形状である。このような拡径部位41bは、バルブブロック571の加工の際、容易に形成することができる。
【0063】
拡径部位41bは、連結室41aの周壁面における一部に形成されている。拡径部位41bは、連結室41aの周壁面において周方向等間隔に形成されており、本実施形態では120°間隔で3つ設けられている。
図9に示されるように、拡径部位41bの径方向外端部は、ドレン室60に当接するバネ受け部材576の外周部よりも外側に位置する。
【0064】
本実施形態では、拡径部位41bは、連結室41aの周壁面において120°間隔で3つ設けられている。拡径部位41bを連結室41aの周壁面全体に設ける場合に比べ、拡径部位41bを周方向において複数分散させて設けることにより、拡径部位41bと下側第1弁室41との間の隔壁部41c(
図13、
図14参照)の厚さtが小さい場合でも隔壁部41cの強度を大きくすることが可能となる。すなわち、隔壁部41cの厚さtを小さくして、制御弁ユニット570の小型化が可能となる。
【0065】
図5、
図8に示されるように、下側スプール2は、右から順に、下右端大径部21、下右小径部22、下右中大径部23、下中小径部24、下左中大径部25、下左小径部26、下左端大径部27を備えている。下右端大径部21には、下右端ノッチ部21a、縮径部位21b、及びフランジ部位21cが形成されている。下左中大径部25には、下左中第1ノッチ部25aと下左中第2ノッチ部25bとが形成されている。下右端ノッチ部21a、縮径部位21b、下右小径部22、下中小径部24、下左中第1ノッチ部25a、下左中第2ノッチ部25b、下左小径部26は、円柱状の下側スプール2の最大外径よりも中心からの距離が小さい部位であり、下側スプール2の外周面と下側弁室4の内周面との間に通油用の間隙を形成する。
【0066】
下右小径部22は、下側第1弁室41と下側第2弁室42とを接続可能に構成されている。下中小径部24は、下側第2弁室42と下側第3弁室43、又は下側第3弁室43と下側第4弁室44とを接続可能に構成されている。下左小径部26は、下側第5弁室45と下側第6弁室46とを接続可能に構成されている。
【0067】
下右端ノッチ部21aは、下側スプール2の軸方向に沿って延びる、下右端大径部21の表面に形成された溝である。本実施形態では、下右端ノッチ部21aは、下側スプール2の軸方向に視て位置を180°ずつ異ならせた2箇所に形成されている。下右端ノッチ部21aは、下右端大径部21の右端部まで右方向に延び、下右端大径部21の外周面における下側第1弁室41の内部に対応する位置まで左方向に延びている。下右端ノッチ部21aは、下側第1弁室41とドレン室60とを接続可能に構成されている。本実施形態では、下右端ノッチ部21aは下側スプール2の位置にかかわらず常に下側第1弁室41とドレン室60とを接続している。
【0068】
下左中第1ノッチ部25a及び下左中第2ノッチ部25bの構成、機能、動作は、上側スプール1の上左中第1ノッチ部15a及び上左中第2ノッチ部15bと同様であるため説明を省略する。下左中第1ノッチ部25aは、下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続可能に構成されている。下左中第2ノッチ部25bは、下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続可能に構成されている。
【0069】
図5、
図8、
図9、
図13に示されるように、縮径部位21bは、下側スプール2の中心軸に平行な平面により下右端大径部21を切り欠いて形成された切欠き部である。本実施形態では、縮径部位21bは、下側スプール2の軸方向に視て位置を180°ずつ異ならせた2箇所に形成されている。縮径部位21bは、下側スプール2の軸方向に視て下右端ノッチ部21aに対して位置を90°異ならせた位置に形成されている。縮径部位21bの左端部は、下右端大径部21の左端部に達しており、下右小径部22の右端部と連続している。縮径部位21bの右端部は、下側スプール2の右端部に達していない。縮径部位21bの右端部と下側スプール2の右端部との間に、フランジ状のフランジ部位21cが形成されている。フランジ部位21cの外周面は、連結室41aの周壁面と当接する。
【0070】
〔リール昇降パイロット弁〕
図8に示されるように、リール昇降パイロット弁750は、バルブブロック571に形成された下側パイロット弁室47に下パイロットスプール28を挿入し、バルブブロック571に形成された下側ポート室48に下パイロット弁体29を挿入して構成されている。以下のリール昇降パイロット弁750の説明では、刈取昇降パイロット弁650と同様の構成、機能、動作については説明を省略する場合がある。
【0071】
リール昇降パイロット弁750は、リール昇降シリンダ560からの作動油の戻りを規制する規制状態と、リール昇降シリンダ560からの作動油の戻りを許容する許容状態とに切り替え可能に構成されている。
【0072】
図8に示されるように、下側パイロット弁室47は、下右弁室47aと下左弁室47bとを備えている。下右弁室47aは、下パイロットスプール28よりも右側に位置する弁室であって、下側パイロット油路72を介して下側弁室4の下側第1弁室41と連通している。下左弁室47bは、下パイロットスプール28よりも左側に位置する弁室であって、下側シリンダ油路82を介して下側弁室4の下側第3弁室43と連通し、且つ、下側ポート室48と連通している。
【0073】
図8に示されるように、下パイロットスプール28は、左突出部28aを備えている。左突出部28aは、下パイロット弁体29と当接可能に構成されている。
【0074】
図8に示されるように、下パイロット弁体29は、内部空間29aを備えている。下パイロット弁体29は、バネ29bにより下パイロット弁座29cに向けて右方向に付勢され、下パイロット弁座29cと当接離間が可能に構成されている。
【0075】
図8に示されるように、下側ポート室48は、下パイロット弁体29の内部空間29aを介してリールシリンダポートRに接続され、且つ、下側パイロット弁室47の下左弁室47bと連通可能に構成されている。
【0076】
下側パイロット弁室47の下右弁室47aに油圧ポンプ580から作動油が供給されないとき、下パイロット弁体29はバネ29bに右方向に付勢されて下パイロット弁座29cと当接する。従って、リール昇降パイロット弁750は、リール昇降シリンダ560からの作動油の戻りを規制する規制状態となる。
【0077】
下側パイロット弁室47の下右弁室47aに油圧ポンプ580から作動油が供給されるとき、下パイロットスプール28は左方向へ移動する。左突出部28aが下パイロット弁体29に当接して、下パイロット弁体29を左方向へ移動させる。下パイロット弁体29が下パイロット弁座29cと離間する。下側パイロット弁室47の下左弁室47bと、下側ポート室48と、下パイロット弁体29の内部空間29aとが連通する。そうすると、リールシリンダポートRを介してリール昇降シリンダ560から下側パイロット弁室47の下左弁室47bへ作動油が流出可能な状態となる。従って、リール昇降パイロット弁750は、リール昇降シリンダ560からの作動油の戻りを許容する許容状態となる。
【0078】
下側パイロット弁室47の下左弁室47bに油圧ポンプ580から作動油が供給されるとき、作動油の圧力により下パイロット弁体29は左方向に移動して、下パイロット弁体29が下パイロット弁座29cと離間する。下側パイロット弁室47の下左弁室47bと、下側ポート室48と、下パイロット弁体29の内部空間29aとが連通する。そうすると、リールシリンダポートRを介して下側パイロット弁室47の下左弁室47bからリール昇降シリンダ560へ作動油が供給される。
【0079】
〔リール取昇降制御弁及びリール昇降パイロット弁による作動油の給排制御〕〔中立状態〕
リール昇降制御弁700が中立状態にあるとき、下側スプール2は
図9に示される位置(中立位置NL)に位置する。
【0080】
下側スプール2が中立位置NLにあるとき、下側スプール2の下右小径部22は、下側第1弁室41と下側第2弁室42とを接続しない。下側スプール2の下中小径部24は、下側第2弁室42と下側第3弁室43とを接続せず、下側第3弁室43と下側第4弁室44とを接続する。下右端ノッチ部21aは、下側第1弁室41とドレン室60とを接続する。
【0081】
従って、リール昇降パイロット弁750の下右弁室47aは、下側第1弁室41、下右端ノッチ部21a、ドレン室60、タンクポートTを介して作動油タンク590と接続される。従って、下側パイロット弁室47の下右弁室47aに作動油が供給されない。すなわち、リール昇降パイロット弁750は、リール昇降シリンダ560からの作動油の戻りを規制する規制状態となる。
【0082】
なお、リール昇降パイロット弁750の下左弁室47bは、下側シリンダ油路82、下側第3弁室43、下側第4弁室44、ドレン室60、タンクポートT、ドレン油路591を介して作動油タンク590と接続される。従って、リール昇降パイロット弁750の下左弁室47bには作動油は供給されない。
【0083】
下側スプール2が中立位置NLにあるとき、下左小径部26は、下側第5弁室45と下側第6弁室46とを接続する。下左中第1ノッチ部25aは、下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続しない。下左中第2ノッチ部25bは、下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続しない。
【0084】
従って下側第6弁室46は、下側第5弁室45及びビヨンド油路90を介して上側弁室3の上側第6弁室36と連通される。刈取昇降制御弁600とリール昇降制御弁700とが共に中立状態にある場合には、ビヨンド油路90を介して刈取昇降制御弁600から下側第5弁室45へ供給された作動油は、下側第6弁室46、ドレン室60、タンクポートT、ドレン油路591を介して作動油タンク590へ戻される。
【0085】
〔上昇状態〕
リール昇降制御弁700が上昇状態にあるとき、下側スプール2は
図10に示される位置(上昇位置UW)に位置する。上昇位置UWでは、下側スプール2は中立位置NLよりも右側(図中左側)に位置する。
【0086】
下側スプール2が上昇位置UWにあるとき、下側スプール2の下右小径部22は、下側第1弁室41と下側第2弁室42とを接続しない。下側スプール2の下中小径部24は、下側第2弁室42と下側第3弁室43とを接続し、下側第3弁室43と下側第4弁室44とを接続しない。下右端ノッチ部21aは、下側第1弁室41とドレン室60とを接続する。
【0087】
従って、リール昇降パイロット弁750の下左弁室47bは、下側シリンダ油路82、下側第3弁室43、下側第2弁室42、主ポンプ油路50、ポンプポートP、圧油供給路581を介して油圧ポンプ580と接続される。従って、リール昇降パイロット弁750の下左弁室47bに作動油が供給される。そうすると、リールシリンダポートRを介してリール昇降シリンダ560へ作動油が供給され、回転リールユニット523が上昇する。
【0088】
下側スプール2が上昇位置UWにあるとき、下左小径部26は、下側第5弁室45と下側第6弁室46とを接続しない。下左中第1ノッチ部25aは、下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続しない。下左中第2ノッチ部25bは、下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続しない。
【0089】
〔下降状態〕
リール昇降制御弁700が下降状態にあるとき、下側スプール2は
図11に示される位置(下降位置DW)に位置する。下降位置DWでは、下側スプール2は中立位置NLよりも左側(図中右側)に位置する。
【0090】
下側スプール2が下降位置DWにあるとき、下側スプール2の下右小径部22は、下側第1弁室41と下側第2弁室42とを接続する。下側スプール2の下中小径部24は、下側第2弁室42と下側第3弁室43とを接続せず、下側第3弁室43と下側第4弁室44とを接続する。下右端ノッチ部21aは、下側第1弁室41とドレン室60とを接続する。
【0091】
従って、リール昇降パイロット弁750の下右弁室47aは、下側パイロット油路72、下側第2弁室42、主ポンプ油路50、ポンプポートP、圧油供給路581を介して油圧ポンプ580と接続される。これにより、リール昇降パイロット弁750の下右弁室47aに作動油が供給される。従って、リール昇降パイロット弁750は、リール昇降シリンダ560からの作動油の戻りを許容する許容状態となる。
【0092】
そして、リール昇降パイロット弁750の下側パイロット弁室47の下左弁室47bは、下側シリンダ油路82、リール昇降制御弁700の下側第3弁室43、下側第4弁室44、ドレン室60、タンクポートT、ドレン油路591を介して作動油タンク590と接続される。従って、リール昇降シリンダ560から、リールシリンダポートR、リール昇降パイロット弁750、リール昇降制御弁700を介して作動油タンク590へ作動油が流出し、回転リールユニット523が下降する。
【0093】
下側スプール2が下降位置DWにあるとき、下左小径部26は、下側第5弁室45と下側第6弁室46とを接続しない。下左中第1ノッチ部25aは、下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続しない。下左中第2ノッチ部25bは、下側第4弁室44と下側第5弁室45とを接続しない。
【0094】
〔中立状態におけるリール昇降パイロット弁の戻り規制解除の抑制〕
図13に示されるように、本実施形態では、リール昇降制御弁700が中立状態にあるとき、下右端大径部21の縮径部位21b及び連結室41aの拡径部位41bによって、下側第1弁室41とドレン室60とが接続される。そうすると、下側パイロット油路72に連通する下側第1弁室41内の作動油及び気体がドレン室60へ流出可能となり、下側第1弁室41及び下側パイロット油路72の内部の圧力が、ドレン室60の内部と同程度の比較的低い圧力に保たれる。なお、リール昇降制御弁700が上昇状態(
図11)にあるときは、下側スプール2が中立位置(
図10)よりも右に位置する。従って上昇状態では、中立状態と同様に、縮径部位21b及び拡径部位41bにより下側第1弁室41とドレン室60とが接続される。
【0095】
ここで、刈取部520は昇降可能な状態で機体に支持されており、回転リールユニット523はリール昇降シリンダ560により昇降可能な状態で刈取部520に支持されている。刈取部520が昇降移動すると、昇降の開始時と停止時に回転リールユニット523に上下方向の慣性力が作用する。このとき、リール昇降シリンダ560に伸び方向又は縮み方向の力が作用する。特に、刈取部520の上昇の停止時、及び、刈取部520の下降の開始時に、リール昇降シリンダ560に伸び方向の力が瞬間的に作用する。そうすると、リール昇降シリンダ560の油室内の圧力が瞬間的に低下し、これに伴い、当該油室にリールシリンダポートRを介して接続されている下パイロット弁体29の内部空間29a及び下側ポート室48(
図8)の内部の圧力も、瞬間的に低下する。
【0096】
下側第1弁室41及び下側パイロット油路72の内部の圧力が比較的高いときに、下側ポート室48の内部の圧力が低下すると、下パイロット弁体29が下パイロットスプール28に押され、バネ29bの付勢力に抗して移動してしまい、下パイロット弁体29が下パイロット弁座29cから離間する場合がある。つまり、瞬間的な戻り規制の解除が発生して、リール昇降シリンダ560の油室から作動油が流出して、リール昇降シリンダ560が縮み、回転リールユニット523が意図せず下降してしまう。
【0097】
本実施形態では、リール昇降制御弁700が中立状態又は上昇状態にあるときに、下右端大径部21の縮径部位21b及び連結室41aの拡径部位41bによって、下側第1弁室41とドレン室60とが接続される。従って、下側第1弁室41及び下側パイロット油路72の内部の圧力が比較的低く保たれて、リール昇降パイロット弁750の戻り規制の意図しない解除が抑制される。なおリール昇降制御弁700が中立状態(
図10)又は上昇状態(
図11)にあるとき、下側第1弁室41と下側第2弁室42とは切断されており、主ポンプ油路50から下側パイロット油路72へ作動油は供給されない。
【0098】
リール昇降制御弁700が下降状態(
図12)にあるときには、下側第1弁室41と下側第2弁室42とが下右小径部22により接続され、主ポンプ油路50から下側パイロット油路72へ作動油が供給され、リール昇降パイロット弁750の戻り規制が解除される。このとき、
図14に示されるように、下側第1弁室41とドレン室60とは接続されない。
【0099】
ドレン油路591及びタンクポートTは「タンク油路」の一例である。ドレン室60は「タンク流路」及び「タンク弁室」の一例である。副ポンプ油路52、上側第2弁室32、主ポンプ油路50、ポンプポートP、圧油供給路581は「ポンプ油路」の一例である。下側第2弁室42は「ポンプ流路」及び「ポンプ弁室」の一例である。
【0100】
下側パイロット油路72は「パイロット油路」の一例である。下側第1弁室41は「パイロット流路」及び「パイロット弁室」の一例である。下右小径部22は「ポンプ接続部」の一例である。縮径部位21b及び拡径部位41bは「タンク接続部」の一例である。
【0101】
本実施形態では、連結室41aの拡径部位41bが連結室41aの周壁面において120°間隔で3つ設けられ、下右端大径部21の縮径部位21bが下側スプール2の軸方向に視て位置を180°ずつ異ならせた2箇所に形成されている。これにより、下側スプール2が回転して図示例と異なる配置となり、拡径部位41bと縮径部位21bの位置関係が図示例から変化したとしても、いずれかの拡径部位41bと縮径部位21bとによって下側第1弁室41とドレン室60とが接続される。これにより、拡径部位41b及び縮径部位21bによる下側第1弁室41とドレン室60との接続が確実に実現され、制御弁ユニット570の信頼性が高められている。
【0102】
〔他の実施形態〕〔1〕下側第1弁室41とドレン室60との接続を実現するための構成としては、上記の実施形態で説明した拡径部位41b及び21bの形態に限られず、形状、位置、数は変更可能である。また、連結室41aに拡径部位41bが形成されず、縮径部位21bのみにより下側第1弁室41とドレン室60との接続が実現されてもよい。
【0103】
〔2〕上記の実施形態では、制御弁(リール昇降制御弁700)に係る発明が収穫機に適用される例が説明された。当該発明は、機体に対してある方向に移動可能な第1作業装置と、第1作業装置と同じ方向に油圧シリンダにより移動可能な状態で第1作業装置に支持された第2作業装置と、を備える作業機に適用可能である。このような作業機では、第1作業装置が移動したときに、油圧シリンダに伸び方向の力が作用し、パイロット弁の戻り規制の意図せぬ解除が生じる場合がある。本発明の制御弁を適用することにより、パイロット弁の戻り規制の意図しない解除を抑制できる可能性がある。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、油圧シリンダへの作動油の給排を制御する制御弁に適用可能であり、収穫部とリールユニットとを備える収穫機に適用可能である。
【符号の説明】
【0105】
2 :下側スプール(スプール)
21b :縮径部位(タンク接続部)
22 :下右小径部(ポンプ接続部)
32 :上側第2弁室(ポンプ油路)
41 :下側第1弁室(パイロット流路、パイロット弁室)
41a :連結室
41b :拡径部位
42 :下側第2弁室(ポンプ流路、ポンプ弁室)
50 :主ポンプ油路(ポンプ油路)
52 :副ポンプ油路(ポンプ油路)
60 :ドレン室(タンク流路、タンク弁室)
72 :下側パイロット油路(パイロット油路)
520 :刈取部(収穫部)
523 :回転リールユニット(リールユニット)
550 :刈取昇降シリンダ(収穫部用油圧シリンダ)
560 :リール昇降シリンダ(リール用油圧シリンダ)
570 :制御弁ユニット
571 :バルブブロック
580 :油圧ポンプ
581 :圧油供給路(ポンプ油路)
590 :作動油タンク
591 :ドレン油路(タンク油路)
600 :刈取昇降制御弁(収穫部用制御弁)
650 :刈取昇降パイロット弁(収穫部用パイロット弁)
700 :リール昇降制御弁(制御弁、リール用制御弁)
750 :リール昇降パイロット弁(パイロット弁、リール用パイロット弁)
P :ポンプポート(ポンプ油路)
T :タンクポート(タンク油路)