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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】防水型電子部品及びその組立方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/00 20060101AFI20230227BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20230227BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
H05K5/00 B
H05K5/02 L
H01R13/52 301H
H01R13/52 301F
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019125537
(22)【出願日】2019-07-04
(65)【公開番号】P2021012925
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】山中 郷司
(72)【発明者】
【氏名】井上 将徳
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-067602(JP,A)
【文献】特開2019-080005(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0268414(US,A1)
【文献】特開2019-016454(JP,A)
【文献】特開2010-003550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00
H05K 5/02
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的な接続を行うための接点を有する電子基板と、
プラグが挿抜される挿入口と前記電子基板の片面に実装固定される被固定部とを有する第一コネクタと、
前記電子基板を収容する筐体と、
前記筐体に保持されており、一端が前記接点により前記電子基板と電気的に接続された端子ピンと、
前記第一コネクタが内側に嵌められた貫通孔が形成された板部を有し、外周の一部が前記筐体に囲まれた意匠パネルと、
前記電子基板、前記筐体、及び前記意匠パネルとで囲われた領域を樹脂で満たした封止部と、を備え、
前記挿入口は、前記電子基板の外周縁よりも外側に位置し、かつ、前記プラグの挿抜方向が前記電子基板の板面に沿う方向になるように外方を向いており、
前記筐体は、
前記電子基板を載置する座面を有する座部と、
前記第一コネクタにおける前記被固定部を支持可能な支持壁部と、前記座面と交差する方向に沿い、かつ、前記第一コネクタにおける前記被固定部の外周面の一部を囲うように延在する封止壁とを有する支持部と、を有し、
前記電子基板は、前記片面を前記座面に対向させた状態で前記座部に載置されており、
前記第一コネクタは、前記被固定部の前記外周面の少なくとも一部を前記支持壁部に近接対向させており、
前記意匠パネルは、前記板部の板面を前記封止壁の壁面に対向させた状態で、前記封止部により一部が包埋されて前記筐体に固定されている防水型電子部品。
【請求項2】
前記支持壁部は、前記被固定部の前記外周面における、前記挿抜方向と平行、かつ、前記電子基板の板面に垂直な二つの側端面にそれぞれ近接対向している二つの第一支持壁部を有する請求項1に記載の防水型電子部品。
【請求項3】
前記支持壁部は、前記被固定部の前記外周面における、前記挿抜方向に垂直、かつ、前記挿入口と反対側の後端面に近接対向している第二支持壁部を有する請求項1または2に記載の防水型電子部品。
【請求項4】
前記支持壁部は、前記被固定部の前記外周面における、前記挿抜方向に平行、かつ、前記電子基板と対向する側の面の反対面に近接対向している第三支持壁部を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の防水型電子部品。
【請求項5】
前記意匠パネルと前記筐体とはスナップフィットで連結されている請求項1から4のいずれか一項に記載の防水型電子部品。
【請求項6】
前記電子基板はその全体が、前記筐体、前記意匠パネル、及び前記封止部で囲われた空間内に収容されている請求項1から5のいずれか一項に記載の防水型電子部品。
【請求項7】
前記筐体は、
前記電子基板に沿う第一筐体壁と、
前記第一筐体壁の外周部から立設する第二筐体壁とを有し、
前記座部は、前記第二筐体壁から離間し、且つ、前記第一筐体壁の面上から前記第二筐体壁の立設方向に沿う方向に延出する柱状に形成されており、
前記座面は前記柱状に形成された前記座部の端面である請求項1から6のいずれか一項に記載の防水型電子部品。
【請求項8】
外部のコネクタと嵌合可能な枠体と、前記枠体で囲われた空間に配置された前記端子ピンの他端である外部端子とを有する第二コネクタを更に備え、
前記端子ピンは、中間部分がインサート成形により前記筐体に固定されており、
前記枠体は、前記筐体と一体成形されている請求項1から7のいずれか一項に記載の防水型電子部品。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の防水型電子部品の組立方法であって、
前記筐体にインサート成形された前記端子ピンの一端を前記接点に電気的に接続しつつ前記第一コネクタが実装固定された前記電子基板を前記筐体に収容した後、前記意匠パネルの前記貫通孔に前記第一コネクタを嵌めて前記意匠パネルと前記筐体とをスナップフィットで連結し、その後、前記電子基板、前記筐体、及び前記意匠パネルとで囲われた領域に封止材を注入して前記封止部を形成する防水型電子部品の組立方法。
【請求項10】
前記封止材で前記電子基板を包埋して前記封止部を形成する請求項9に記載の防水型電子部品の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水型電子部品及びその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電子回路ユニット(防水型電子部品の一例)が記載されている。この電子回路ユニットは、防水コネクタと、防水コネクタに接続される電子回路基板と、外装用チューブとを備えている。防水コネクタは、ガイド溝と端子とを有し、ガイド溝に挿入された電子回路基板を端子で挟持することで、防水コネクタと電子回路基板とが電気的に接続される。電子回路基板は外装用チューブで覆われており、外装用チューブ内に防水用の封止樹脂が充填されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-151123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような防水型電子部品では、あらかじめ電子基板にコネクタが実装されている場合、防水を実現することが難しい場合がある。また、使用者によりコネクタへのプラグの挿抜が日常的に行わる場合のコネクタのこじり対策が難しい。また、防水やこじり対策を優先すると、コネクタ周囲のデザインの見栄えが劣る事にもなりかねない。
【0005】
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、コネクタ周囲の見栄えを保ちつつ、こじり対策と防水性を実現した防水型電子部品及びその組立方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る防水型電子部品の特徴構成は、電気的な接続を行うための接点を有する電子基板と、プラグが挿抜される挿入口と前記電子基板の片面に実装固定される被固定部とを有する第一コネクタと、前記電子基板を収容する筐体と、前記筐体に保持されており、一端が前記接点により前記電子基板と電気的に接続された端子ピンと、前記第一コネクタが内側に嵌められた貫通孔が形成された板部を有し、外周の一部が前記筐体に囲まれた意匠パネルと、前記電子基板、前記筐体、及び前記意匠パネルとで囲われた領域を樹脂で満たした封止部と、を備え、前記挿入口は、前記電子基板の外周縁よりも外側に位置し、かつ、前記プラグの挿抜方向が前記電子基板の板面に沿う方向になるように外方を向いており、前記筐体は、前記電子基板を載置する座面を有する座部と、前記第一コネクタにおける前記被固定部を支持可能な支持壁部と、前記座面と交差する方向に沿い、かつ、前記第一コネクタにおける前記被固定部の外周面の一部を囲うように延在する封止壁とを有する支持部と、を有し、前記電子基板は、前記片面を前記座面に対向させた状態で前記座部に載置されており、前記第一コネクタは、前記被固定部の前記外周面の少なくとも一部を前記支持壁部に近接対向させており、前記意匠パネルは、前記板部の板面を前記封止壁の壁面に対向させた状態で、前記封止部により一部が包埋されて前記筐体に固定されている点にある。
【0007】
上記構成によれば、防水型電子部品の組立の際、端子ピンを電子基板の接点と電気的に接続しつつ電子基板を座部に載置すれば、位置決めしつつ電子基板を筐体内に収容することができる。この収容の際、第一コネクタは支持壁部から離間しており、位置決めに影響しない。なお、電子基板における電気的な接続を行うための接点としては、例えば、スルーホールや、ランドが挙げられる。
【0008】
また、上記構成によれば、電子基板が座部に載置されると、第一コネクタは、被固定部の外周面の少なくとも一部が支持壁部に近接対向する。これにより支持壁部が、第一コネクタの少なくとも外周面の一部を支持可能な状態になる。そのため、プラグの挿抜等の際に第一コネクタに対して支持壁部に近接する向きのこじりが加えられた場合、第一コネクタがわずかに変形などしても支持壁部に当接して支持され、それ以上の変形が抑制される。したがって第一コネクタは、支持壁部により支持された側へのこじりに対して強くなる。
【0009】
また、上記構成によれば、第一コネクタの挿通口が電子基板の外周縁よりも外側に位置しており、支持壁部は、第一コネクタにおける被固定部側を支持可能であるから、意匠パネルは、その貫通孔に第一コネクタの挿入口側を挿通させることができる。また、電子基板を座部に載置し、電子基板を筐体内に収容した状態で意匠パネルの貫通孔に第一コネクタの挿入口側を挿通すると、意匠パネルの板部の板面と封止壁の壁面とが対向する。そして上記構成によれば、このように対向した状態で、意匠パネルは、封止部により一部(例えば、板部の外周部分)を包埋されて筐体に固定される。これにより、封止材(樹脂)により電子基板、前記筐体、及び意匠パネルとで囲われた領域を満たして封止部を形成するので、特に、意匠パネル及びコネクタ周囲から電子基板、前記筐体、及び意匠パネルとで囲われた領域への水の浸入を良好に防止することができる。
【0010】
上記構成によれば、意匠パネルは一部しか封止部で包埋されないため、意匠パネルのデザインの大部分は外部から視認でき、コネクタ周囲の見栄えを保つことができる。したがって上記構成では、コネクタ周囲の見栄えを保ちつつ、こじり対策と防水性を実現した防水型電子部品を提供できる。
【0011】
本発明に係る防水型電子部品の更なる特徴構成は、前記支持壁部は、前記被固定部の前記外周面における、前記挿抜方向と平行、かつ、前記電子基板の板面に垂直な二つの側端面にそれぞれ近接対向している二つの第一支持壁部を有する点にある。
【0012】
上記構成によれば、プラグの挿抜等の際の、第一コネクタにおける挿抜方向と交差し、かつ、電子基板の板面に沿う方向に向くこじりについて、第一コネクタの強度を高めることができる。
【0013】
本発明に係る防水型電子部品の更なる特徴構成は、前記支持壁部は、前記被固定部の前記外周面における、前記挿抜方向に垂直、かつ、前記挿入口と反対側の後端面に近接対向している第二支持壁部を有する点にある。
【0014】
上記構成によれば、第一コネクタにおける挿抜方向おける、プラグを挿入する際に印加される力に対して第一コネクタの強度を高めることができる。
【0015】
本発明に係る防水型電子部品の更なる特徴構成は、前記支持壁部は、前記被固定部の前記外周面における、前記挿抜方向に平行、かつ、前記電子基板と対向する側の面の反対面に近接対向している第三支持壁部を有する点にある。
【0016】
上記構成によれば、プラグの挿抜等の際の、電子基板から離間する方向に向くこじりについて、第一コネクタの強度を高めることができる。
【0017】
本発明に係る防水型電子部品の更なる特徴構成は、前記意匠パネルと前記筐体とはスナップフィットで連結されている点にある。
【0018】
上記構成によれば、意匠パネルの貫通孔に第一コネクタを嵌めると共に、意匠パネルと筐体とをスナップフィットによる簡易な操作で連結できる。
【0019】
本発明に係る防水型電子部品の更なる特徴構成は、前記電子基板はその全体が、前記筐体、前記意匠パネル、及び前記封止部で囲われた空間内に収容されている点にある。
【0020】
上記構成によれば、電子基板全体を封止部で包埋して確実な防水を実現できる。
【0021】
本発明に係る防水型電子部品の更なる特徴構成は、前記筐体は、前記電子基板に沿う第一筐体壁と、前記第一筐体壁の外周部から立設する第二筐体壁とを有し、前記座部は、前記第二筐体壁から離間し、且つ、前記第一筐体壁の面上から前記第二筐体壁の立設方向に沿う方向に延出する柱状に形成されており、前記座面は前記柱状に形成された前記座部の端面である点にある。
【0022】
上記構成によれば、筐体は電子基板を第一筐体壁及び第二筐体壁で囲われた空間内に収容する。筐体の座部は第一筐体壁から第二筐体壁に沿い柱状に延出しており、その上端面に電子基板が載置される。座部は第二筐体壁から離間していることから、封止材を封入する際、封止材は座部と第二筐体壁との間を円滑に流れる。これにより、座部と第二筐体壁との間の空間にも適切に封止材が供給されて、電子基板全体が封止材に覆われて確実に封止される。
【0023】
本発明に係る防水型電子部品の更なる特徴構成は、外部のコネクタと嵌合可能な枠体と、前記枠体で囲われた空間に配置された前記端子ピンの他端である外部端子とを有する第二コネクタを更に備え、前記端子ピンは、中間部分がインサート成形により前記筐体に固定されており、前記枠体は、前記筐体と一体成形されている点にある。
【0024】
上記構成によれば、第二コネクタにより、防水型電子部品が第一コネクタに挿通されるプラグとは別のプラグや電子部品と接続可能となる。この際、外部端子を端子ピンの他端とし、インサート成形により筐体に固定することで、端子ピンを筐体に強固に固定できる。また、第二コネクタの枠体を、筐体と一体成形することにより第二コネクタの強度を保つことができる。
【0025】
上記目的を達成するための本発明に係る上記防水型電子部品の組立方法の特徴構成は、前記筐体にインサート成形された前記端子ピンの一端を前記接点に電気的に接続しつつ前記第一コネクタが実装固定された前記電子基板を前記筐体に収容した後、前記意匠パネルの前記貫通孔に前記第一コネクタを嵌めて前記意匠パネルと前記筐体とをスナップフィットで連結し、その後、前記電子基板、前記筐体、及び前記意匠パネルとで囲われた領域に封止材を注入して前記封止部を形成する点にある。
【0026】
上記構成によれば、上記防水型電子部品の作用効果を奏しつつ、上記防水型電子部品を効率よく組立可能である。
【0027】
本発明に係る上記防水型電子部品の組立方法の更なる特徴構成は、前記封止材で前記電子基板を包埋して前記封止部を形成する点にある。
【0028】
上記構成によれば、電子基板全体を封止部で包埋して確実な防水を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】中継器を右前方斜め上から見た斜視図である。
図2】中継器を右前方斜め下から見た斜視図である。
図3】中継器の分解斜視図である。
図4】電子基板を下方から見た図である。
図5】筐体を前方斜め上から見た斜視図である。
図6】意匠パネルを前方斜め上から見た斜視図である。
図7】意匠パネルを後方斜め上から見た斜視図である。
図8】導光座部を右後方斜め下から見た斜視図である。
図9】導光座部を左前方斜め上から見た斜視図である。
図10】筐体にLEDを支持した導光座部が装着された状態の説明図である。
図11】基板、筐体、及び意匠パネルの組立の説明図である。
図12】封止状態を説明する図1のXII-XII断面図である。
図13】封止状態を説明する図1のXIII-XIII断面図である。
図14】封止状態を説明する図12のXIV-XIV断面図である。
図15】封止状態を説明する図1のXV―XV断面図である。
図16】封止状態を説明する図14のXVI-XVI断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面に基づいて、本発明の実施形態に係る防水型電子部品及びその組立方法について説明する。
【0031】
〔中継器の概略構成〕
本実施形態に係る防水型電子部品の一例として、図1図2には、緊急用のポータブル電源から供給された電力を、所定の電圧の電流に変換して屋外作業などに用いる作業機の蓄電池に供給する中継器100を示している。図3には、中継器100の分解斜視図を示している。
【0032】
中継器100は、図3に示すように、第一コネクタ(以下では単にソケット2と称する)、砲弾型の発光ダイオード素子(以下では単にLED5と称する)、ソケット2及びLED5が搭載される電子基板(以下では単に基板1と称する)、基板1を収容し、貫通孔である窓穴39(図5参照)が形成された窓部Wを有する筐体3、インサート成形により筐体3に固定(保持)された複数(3本)の端子ピン(以下では単にピンPと称する)、筐体3と一体成形された第二コネクタ(以下では単にプラグCと記載する)、ソケット2の挿入口20を筐体3の外部に開放した状態で筐体3の内部空間と外部空間とを仕切る意匠パネル(以下では、単にパネル4と称する)、LED5の光を筐体3の窓部Wを介して内側空間から外部空間に導光し、かつ、窓部Wにおいて内部空間と外部空間とを仕切る導光座部6、及び、基板1とLED5と導光座部6とパネル4とを筐体3に収容ないし装着した状態でこれらを包埋して封止する封止部9を備えている。封止部9は、例えば、樹脂からなる封止材を溶融させて筐体3に流し込んで硬化させたものであり、実際には、図3で示す硬化した状態では、独立して中継器100から分離させることはできない。
【0033】
中継器100は、図1図2に示すように、筐体3を封止部9で封止した立方体状の本体Aにおける、一側面にソケット2の挿入口20を露出させ、当該一側面と隣り合う他の一側面にプラグCを配設されている。また、中継器100には、図2に示すように、筐体3における、挿入口20が露出された一側面とプラグCが配設された一側面との双方に隣り合う他の一側面に、窓部Wが設けられている。
【0034】
以下では、図1図2に図示された中継器100の立方体状の本体Aにおける挿入口20が露出された一側面が面する向きを前、その逆を後と称し、方向を示す場合は単に前後方向と記載する。また、本体AにおいてプラグCが配設された一側面が面する向きを右、その反対側の向きを左と称し、方向を示す場合は単に左右方向と記載する。また、本体Aにおいて窓部Wが形成されている側を下、その反対側の向きを上と称し、方向を示す場合は単に上下方向と記載する。
【0035】
〔各部の構成〕
基板1は、図4に示すように、例えば矩形状のPCB基板などの配線基板である。基板1の下面には、ソケット2や各種の電子部品が搭載されている。基板1には、基板1の板面を貫通する貫通孔として、例えば3つで一組の第一スルーホールS、例えば2つで一組の第二スルーホールT、及び例えば三つのネジ挿通孔Hが形成されている。
【0036】
第一スルーホールS及び第二スルーホールTは、基板1の配線パターンと、基板1に実装する電子部品や外部端子との電気的な接続を行うための基板1側の接点となる電極構造である。第一スルーホールS及び第二スルーホールTは、基板1の板面を貫通し、孔の内壁に電極が形成されている貫通孔と基板1の表面における貫通孔を囲う領域に形成された電極であるランド(図示せず)とを有する。
【0037】
第一スルーホールSは、基板1の長手方向(本実施形態では左右方向と同じ、以下、単に左右方向と記載する)における右側の端部に形成されている。第二スルーホールTは、基板1の左右方向における左側の端部に形成されている。
【0038】
図3に示すように、第一スルーホールSには後述するピンPが挿通されて、電気的に接続される。第二スルーホールTには後述するLEDピン51が挿通されて、電気的に接続される。ネジ挿通孔Hには後述するネジNが挿通される。
【0039】
ソケット2は、図4に示すように、基板1に実装固定して取り付けられる電力や信号線の接続具(いわゆる、レセプタクル)であって、本実施形態ではいわゆるメス、ないしソケットインサートである。ソケット2は、その本体における挿入口20の他端側を基板1に固定されている。以下ではソケット2における挿入口20側を先端部21、基板1に固定された挿入口20の他端側を被固定部22と称する。ソケット2には、外部の電気部品と電気的に接続された外部コネクタ(図示せず)が挿抜される。挿入口20は、この外部コネクタを挿抜するための穴である。
【0040】
ソケット2は、その挿抜方向が基板1の板面に沿う方向になるように基板1に固定されている。ソケット2は、その端子24を基板1にはんだ付けなどで固定されると共に、被固定部22の外周を金属薄板などのバンド23で基板1に押し付けるようにしてはんだ付けなどで固定されている。バンド23は、ソケット2の挿抜方向と交差する方向に延在し、その延在方向における前後両端を基板1に固定されている。バンド23は、ソケット2のいわゆるホールドダウンである。ソケット2を固定した状態のバンド23における、ソケット2の挿抜方向視の断面は矩形状である。すなわち、被固定部22(バンド23)の左右両側面は基板1に垂直かつ挿抜方向に沿う面であり、被固定部22の下面(基板1に対向する面の反対面)は、基板1に平行な面である。以下では、基板1と平行な状態を便宜的に水平と称する場合がある。また、基板1と平行な面は水平面と称する場合がある。
【0041】
本実施形態では、ソケット2の挿抜方向は前後方向に沿うように固定されている。ソケット2の被固定部22は、基板1の左右方向における側部(前後方向における前側の側部)に固定され、先端部21(挿入口20)が基板1の外周縁よりも外側に配設され、かつ、その挿抜方向が基板1に沿い、かつ、当該長手方向に交差するように固定されている。先端部21の外周には、環状のガスケット25が嵌め込まれており、ガスケット25は先端部21の外周面と隙間なく密に接している。これにより、ガスケット25と先端部21の外周面との間における水の通流(外部からの水の浸入)は防止される。
【0042】
筐体3は、図5に示すように、ソケット2が搭載された面を下向きにして基板1を載置して収容する中継器100の本体部分であり、樹脂などで形成されている。筐体3は、筐体3の底板である第一筐体壁31と、第一筐体壁31の内側領域を囲う第二筐体壁32とを備えている。筐体3は、第一筐体壁31と第二筐体壁32とに囲われた内部領域に基板1を収容する。筐体3はピンPをインサート成形しており、ピンPの一部(中間部分)が筐体3に包埋されている。ピンPは、一部を筐体3に包埋されることで、筐体3に固定(保持)されている。
【0043】
第一筐体壁31は、基板1が筐体3に収容された状態で、基板1に沿い、本実施形態では基板1と平行である。第一筐体壁31には、第一筐体壁31の上面から立設(上下方向における上向きに延出)し、基板1を載置する座部である3本のボスB、3本のボスB、基板1を筐体3に収容した際にソケット2を支持する支持部7、ピンPの一端を筐体3の内部領域に延出させた状態でピンPを保持しつつ基板1を支持するピン台座35、及び導光座部6を装着する窓部Wが形成されている。
【0044】
第二筐体壁32は、第一筐体壁31と一体に成形されており、第一筐体壁31の外周部(本実施形態では外周縁)に立設(外周部から上下方向における上向きに延出)している。第二筐体壁32は、第一筐体壁31の内側領域を前後左右の四方から囲っている。右側の第二筐体壁32の外面(右向きの面)にはプラグCが設けられている。前側の第二筐体壁32には、下方に窪む切欠部32aが形成されており、切欠部32aの左右両側部のそれぞれに一つずつ、筐体側爪部32bが形成されている。筐体3の左前側の隅部で隣接している前方及び左方の第二筐体壁32には、筐体3の内側領域に向けて延出し、上下方向に沿う一対のリブ38が形成されている。リブ38は基板1を支持する。
【0045】
ボスBは、円柱状に形成されており、その上端(延出端面)は、基板1が載置される座面bとなっている。ボスBには、座面bから下方に沿うネジ止め用穴が形成されている。座面bは水平面に沿う面であり、本実施形態では水平の面である。ボスBは、第二筐体壁32から離間している。
【0046】
ピン台座35は、右側の第二筐体壁32の内面(左向きの面)側が左側に隆起するようにして第一筐体壁31及び第二筐体壁32と一体に形成されている。ピン台座35の上下方向の高さはボスBと同じである。3本のピンPがピン台座35の上面から上方に向けて延出している。
【0047】
支持部7は、ソケット2の外周を囲うようにして支持する支持座である。支持部7は、第一筐体壁31から上方に隆起した支持座の本体70の上面にソケット2の支持壁部となる支持凹部71を形成されており、また、本体70の前側側面は、前方に向く平面状の封止壁70bになっている。支持部7は、ピン台座35よりも左側に配設されている。本体70の上下方向の高さはボスBよりも低い。本体70の上面70aは、水平面に沿い、かつ、ボスBの座面bよりも下方に位置している。基板1が筐体3に収容された際には、上面70aは基板1と近接及び対抗するが、当接しない。
【0048】
支持凹部71は、前後方向視で切欠部32aの切りかかれた部分(第二筐体壁32が存在しない部分)と重複する位置に形成されている。基板1が筐体3に収容された際には、支持凹部71に、ソケット2の被固定部22及びバンド23が、支持凹部71に対して緩く(間隙を有した状態で)嵌る。支持凹部71の表面は、被固定部22やバンド23の外周面と近接離間し、被固定部22もしくはバンド23の外周面とのソケット2にこじり方向の力が加えられた際は、支持凹部71の表面が支持壁部としてソケット2を支持できる。
【0049】
支持凹部71の表面(支持壁部)には、支持凹部71の前後両側面の壁である第一支持壁部71s、支持凹部71の奥側の壁である第二支持壁部71b、支持凹部71の下側の壁である第三支持壁部71aが含まれる。
【0050】
第一支持壁部71sは、バンド23の左右両側面(二つの側端面の一例)と近接対向し、ソケット2を左右方向(左右両側面)において支持可能である。第二支持壁部71bは、被固定部22もしくはバンド23の後側端部と近接対向し、ソケット2の後端面を前後方向前向きに支持可能である。第三支持壁部71aは、バンド23の下面と近接対向し、ソケット2の下面を上向きに支持可能である。
【0051】
本実施形態では、第二支持壁部71bに、後側に凹む窪みが形成されており、ソケット2の端子24が収容される。また、本実施形態では、第一支持壁部71sにも左右方向外側に凹む窪みが形成されており、当該窪みには、バンド23を基板1に固定する部分が収容される。
【0052】
封止壁70bは、前側の第二筐体壁32よりも後側に離間している。本実施形態では、封止壁70bは第二筐体壁32と平行である。封止壁70bは、ソケット2の上面(基板1に対向する面)を除く、外周を囲うように延在している。
【0053】
封止壁70bには、前面から前向きに延出し、上下方向に沿い延在するリブ70dが形成されている。
【0054】
封止壁70bと前側の第二筐体壁32との間には、前後方向に沿い配設され、第一筐体壁31から立設(上下方向における上向きに延出)する一対のリブ70cが形成されている。
【0055】
窓部Wは、第一筐体壁31を上下方向に貫通する窓穴39を備え、導光座部6を装着する装着座となる第一筐体壁31の構造部分である。窓部Wは、第一筐体壁31の内面(上面)から下方に窪む第一凹部36、第一凹部36の底面36aから下方に窪む第二凹部37、第二凹部37の底面37aを上下方向に貫通する窓穴39を備えている。
【0056】
第一凹部36は、第一筐体壁31における、筐体3の左前側の隅部に隣接して形成されている。第一凹部36は、上下方向視の断面が矩形状の窪みである。第一凹部36の底面36aは水平面に沿う面であり、本実施形態では水平の面である。後述するように、第一凹部36には導光座部6(図3参照)が嵌め込まれ、底面36aには、導光座部6が面当たりする。
【0057】
第二凹部37は、第一凹部36の中心付近に形成されており、第一凹部36の上下方向に沿う壁とは離間している。第二凹部37は、上下方向視の断面が円形状の窪みである。第二凹部37の底面37aは水平面に沿う面であり、本実施形態では水平の面である。後述するように、第二凹部37には導光座部6(図3参照)が嵌め込まれ、底面37aには、導光座部6が面当たりする。
【0058】
窓穴39は、上下方向視の断面が円形状で、直線状の貫通孔である。後述するように、窓穴39には導光座部6(図3参照)が嵌め込まれる。
【0059】
プラグCは、外部のコネクタ(ソケット)と嵌合可能な枠体である。プラグCは、筐体3と一体成形されており、筐体3の右側の第二筐体壁32から外側に向けて左右方向に沿い筒壁が延出する筒状に形成されている。プラグCの筒の内側の空間には、外部端子として3本のピンPの他端が露出(図2参照)する状態で配置されている。
【0060】
パネル4は、図6図7に示すように、ソケット2の挿入口20(図1参照)を外部に露出させ、かつ、外部に露出した挿入口20の外周部に所定のデザインを施して視認性や美粧性を付与するための飾り板である。パネル4は、ソケット2を内側に嵌める貫通孔41が形成された板部40、板部40の前面から貫通孔41の外周に沿い筒状に延出する外枠44、板部40の左右両端部に設けられた板バネ部42、及び板バネ部42に形成されたパネル側爪部43を備えている。
【0061】
板部40は、前後方向視で矩形の板状で、下方の左右の隅部が例えばC面取りされた形状である。板部40の下端には、前後方向に沿う切欠状で一対の溝45(図7参照)が形成されている。板部40の左右両端部やや内側には、上下方向に沿い前後方向に貫通したスリット42aが形成されており、これにより板部40の左右両端部は、板バネ部42として、左右方向内側への変形を許容される。板バネ部42の左右両外側にはパネル側爪部43が形成されている。
【0062】
パネル側爪部43は、パネル4を基板1及び筐体3に取り付ける際に筐体側爪部32bと前後方向視で重複する。パネル側爪部43は、ソケット2が貫通孔41に嵌め込まれるように押し込みながらパネル4をソケット2及び筐体3に取り付ける際に、筐体3の筐体側爪部32bと例えばスナップフィット方式で係合する。
【0063】
本実施形態では、パネル4を基板1及び筐体3に取り付ける際に、パネル側爪部43が筐体側爪部32bに前方から当接してパネル側爪部43が筐体側爪部32bに付勢されると、板バネ部42がスリット42aの分だけ左右方向内側に変形する。これにより、パネル側爪部43が筐体側爪部32bの左右方向内側を後方に向けて通過することが許容される。パネル側爪部43が筐体側爪部32bの後方に位置すると、板バネ部42は付勢を解除され、パネル側爪部43は再び、筐体側爪部32bと前後方向視で重複する。これにより、パネル4の板部40の板面が封止壁70bに対向する状態で、パネル4が封止壁70bと筐体3の前側の第二筐体壁32との間にロックされる(以下、ロック状態と記載する場合がある)。なお、パネル4の左右方向及び前後方向への移動は、貫通孔41に嵌め込まれたソケット2で規制されている。また、パネル4の後面はリブ70dに当接することで、後方への移動を規制される。
【0064】
パネル4がロック状態で、外枠44の前端は、前側の第二筐体壁32の全面と面一になる。貫通孔41は、後方側の穴部分が前方よりも拡径した拡径部41aとなっており、パネル4がロック状態でソケット2のガスケット25が拡径部41aに嵌り、挿入口20の先端(前端)が貫通孔41の前端(板部40の前側の板面)と面一になる。なお、ソケット2のガスケット25が拡径部41aに嵌ることにより、ガスケット25と拡径部41aの内周面との間における水の通流(外部からの水の浸入)は防止される。
【0065】
パネル4がロック状態で、板部40の一対の溝45に対して、筐体3の支持部7の一対のリブ70cが緩く(間隙を有した状態で)嵌る。これにより、パネル4が後述する封止部9で包埋及び固定される際のがたつきを防止して固定の精度を向上させる。
【0066】
LED5は、発光素子を光透過性の樹脂で包埋して砲弾形状に形成された発光部50と、発光部50から延出する一対の端子ピンであるLEDピン51とを有する、いわゆる砲弾型LED素子である。LED5は、LEDピン51を第二スルーホールTに挿通してはんだ付けにより基板1と電気的に接続され、後述するように、発光部50を導光座部6に収容して位置決めされる。LED5は、例えば中継器100の通電状態等を、発光と消灯とで表示するための表示装置である。
【0067】
導光座部6は、図8に示すように、LED5の光を筐体3の外部に導光する光透過性の樹脂(例えば、ポリカーボネート)で形成された、LED5の支持座であり、窓部Wに嵌め込まれる導光窓である。導光座部6は、LED5を支持する導光座部本体60と、導光座部本体60の上面から立設(上下方向における上向きに延出)する複数の柱状の当接部64とを備えている。
【0068】
導光座部本体60は、上下方向視の断面が矩形状で、導光座部本体60の下面である板面60aの中心部分を隆起させて形成された突起としての隆起部61と、隆起部61の下面である板面61aの中心部分をさらに隆起させて形成された突起である露出部62と、導光座部本体60の上面側に形成された収容部63と、矩形の内側に窪む一対の切欠部65とを有する。本実施形態の導光座部本体60は、隣接する二辺に一つずつ切欠部65が形成されている。一対の切欠部65の窪みに第二筐体壁32の一対のリブ38がまとめて嵌ることで、導光座部6が左右方向及び前後方向に位置決めされる。
【0069】
隆起部61、及び露出部62は、上下方向視の断面がそれぞれ円形状である。露出部62の下面からみて、板面61a及び板面60aは、この順に、露出部62を中心として、その周方向外側に延在する段部として形成されている。
【0070】
露出部62を窓穴39に嵌めると、隆起部61が第二凹部37に嵌り、導光座部本体60が第一凹部36に嵌る。この際、板面61aは底面37aと面当たりし、板面60aは底面36aと面当たりしてそれぞれ密に接する。
【0071】
収容部63は、導光座部本体60の上面側に形成された上下方向に沿う筒状の構造体である。収容部63は、上下方向視で露出部62と重複している。図9に示すように、収容部63の筒の内側は、発光部50が緩く嵌め込まれる凹部63aとなっている。収容部63は、凹部63aに発光部50を嵌めて、LED5を、そのLEDピン51が上方に向けて延出する状態で支持する。
【0072】
当接部64は、図8図9に示すように、導光座部本体60の上面から上下方向における上向きに延出するように形成されており、収容部63の径方向外側であって、収容部63の外周に沿い配置された複数(4つ)の柱状の構造体である。
【0073】
図10に示すように、導光座部6を窓部Wに嵌めると、露出部62の下面が筐体3の外部に露出する(図2図16参照)。これにより、LED5の光を筐体3の外部に導光可能となる。導光座部6を窓部Wに嵌め、LED5を収容した状態で筐体3に基板1を収容すると、当接部64の上端面と基板1の下面とが当接する。これにより、導光座部6は、基板1と筐体3との間に挟持されて固定される。この際、当接部64と筐体3とは離間している。
【0074】
〔組立方法の説明〕
中継器100の組立方法について説明する。
【0075】
まず、筐体3の窓部Wに導光座部6を嵌め込み、導光座部6にLED5を収容すると、LEDピン51が導光座部6を介して筐体3に支持され、上方に向けて延出する状態になる(図10参照)。更に、基板1の第一スルーホールS、ソケット2、及び第二スルーホールTを、筐体3のピンP、筐体3の支持凹部71、及びLEDピン51と上下方向において重複させた状態で、基板1を筐体3に収容する。これにより、第一スルーホールSにはピンPが挿入される。また、支持凹部71がソケット2を支持可能になる。また、第二スルーホールTにはLEDピン51が挿入される(図11参照)。また、導光座部6(図8参照)は、筐体3と基板1に挟持されて固定(仮固定)される(図3図12参照)。
【0076】
更に基板1を、ネジNにより筐体3のボスBに固定する。加えて、第一スルーホールSとピンPとを、はんだ付けなどにより電気的に接続して固定する。同様に、第二スルーホールTとLEDピン51とを、はんだ付けなどにより電気的に接続して固定する。
【0077】
更に、パネル4の貫通孔41の内側にソケット2嵌めながら、パネル4を筐体3にスナップフィットで取り付けてロック状態とする(図11参照)。
【0078】
パネル4をロック状態とした後、基板1、筐体3、及びパネル4とで囲われた領域に封止材の溶融樹脂や樹脂前駆体を注入して硬化させ当該領域を封止し、更に、基板1と、パネル4における外枠44の外周側を封止材で封止し、封止部9を形成する。これにより、基板1は封止部9で包埋ないし封止、及び固定される。またパネル4は、板部40における外枠44から見て外周側の部分のみを封止部9で包埋されて固定される(図1図2参照)。同様に導光座部6も、封止部9で包埋ないし封止、及び固定される。このようにして、防水された中継器100として一体化される。
【0079】
なお、パネル4は、上記のごとく、外枠44の外周側のみを封止部9で包埋されて固定されているため、パネル4における外枠44の内周側の表面(前面)は、中継器100の外部に露出している。そのため、パネル4における外枠44の内周側に施されたデザインは、そのまま使用者が視認可能であり、コネクタ周囲の見栄えが保たれている。
【0080】
なお、封止部9を形成する際は、基板1などが収容された筐体3を、封止部9の反転形状の内壁面を有する封止用の金型(図示せず)内に収容して封止材を封入するホットメルト法を利用するのが好適であるが、ポッティング法を用いてもよい。
【0081】
〔封止状態の説明〕
上記のごとく封止部9を形成することで、中継器100は防水される。
【0082】
図12図13図14に示すように、ソケット2の外周に隣接する領域は封止部9の封止材で封止されている。これにより、ソケット2の外周に隣接する領域は防水される。
【0083】
また、図14に示すように、パネル4、筐体3の封止壁70b、及びソケット2の間、及び、パネル4と筐体3の切欠部32aとの間の領域は封止部9の封止材で封止されている。また、図15に示すように、パネル4の外周全てが封止部9の封止材で封止されている。これにより、筐体3、パネル4、及びソケット2の間の領域が防水される。
【0084】
また、図16に示すように、導光座部6の板面60aや板面61aが窓部Wの底面36aや底面37aと面当たりした状態で、導光座部6と筐体3との間の領域が封止部9の封止材で封止されている。このように導光座部6の板面60aや板面61aを窓部Wの底面36aや底面37aと面当たりさせることで、封止する際の封止材の漏れを防止し、かつ、封止後(封止部9の形成後)の防水性を向上を実現する。
【0085】
なお、図14に示されているように、ボスBや当接部64が第二筐体壁32から十分離間しているため、ボスBや当接部64と筐体3との間の空間にも封止部9の封止材が隙間や気泡を生じることなく充填される。
【0086】
以上のようにして、コネクタ周囲の見栄えを保ちつつ、こじり対策と防水性を実現した防水型電子部品及びその組立方法を提供することができる。
【0087】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、支持凹部71の表面には、支持凹部71の前後両側面の壁である第一支持壁部71s、支持凹部71の奥側の壁である第二支持壁部71b、支持凹部71の下側の壁である第三支持壁部71aが含まれる場合を例示して説明した。しかし支持凹部71の表面としては、第一支持壁部71s、第二支持壁部71bもしくは第三支持壁部71aの内少なくとも一つが含まれていれば足りる。特に第一支持壁部71sについては、支持凹部71の前後の両方に壁がある場合に限らせず、前方もしくは後方のいずれか一方の壁でもよい。
【0088】
(2)上記実施形態では、パネル4を筐体3にスナップフィットで取り付けてロック状態とする構成を例示して説明したが、パネル4を他の方法でロック状態としてもよい。例えば、ネジ止めによりパネル4を筐体3に係止させてロック状態としてもよい。
【0089】
(3)上記実施形態では、ボスBが第二筐体壁32から十分離間している構成を例示して説明した。しかし、ボスBが第二筐体壁32に隣接していてもよく、また、ボスBが第二筐体壁32と一体に形成されていてもよい。
【0090】
(4)上記実施形態では、当接部64が第二筐体壁32から十分離間している構成を例示して説明した。しかし、当接部64は、第二筐体壁32に隣接、接触もしくは当接してもよい。
【0091】
(5)上記実施形態では、導光座部本体60には板面61aや板面60aが形成されており、露出部62の下面からみて、板面61a及び板面60aは、この順に、露出部62を中心として、その周方向外側に延在する段部として形成されている場合を例示して説明した。そして、板面61aは第一筐体壁31の底面37aと面当たりし、板面60aは第一筐体壁31の底面36aと面当たりしてそれぞれ密に接する場合を例示して説明した。しかし、導光座部本体60には必ずしも段部として板面61a及び板面60aが形成されていることを要せず、例えば、窓穴39の外周領域(第一筐体壁31)にすり鉢状の斜面を形成し、導光座部本体60に、当該斜面に対応する斜面を形成し、これら斜面同士を面当たりさせてもよい。また、単に導光座部本体60の下面と、窓穴39の外周領域(第一筐体壁31)の上面とを面当たりさせてもよい。
【0092】
(6)上記実施形態では、プラグCを備える場合を説明したが、プラグCは必ずしも必要ではない。また、プラグCに代えて、ピンPの他端が電気的に接続されているソケットや信号線となるケーブル、もしくは他の電子基板を備えてもよい。
【0093】
(7)上記実施形態では、封止部9を封止材で形成する場合を説明したが、封止部9の一部を、筐体3とは別の第二の筐体で置き換えてもよい。
【0094】
(8)上記実施形態では、基板1に実装する外部端子や電子部品との電気的な接続を行うための基板1側の接点が、基板1の板面を貫通し、孔の内壁に電極が形成されている貫通孔と基板1の表面における貫通孔を囲う領域に形成された電極であるランドとを有するスルーホール(第一スルーホールSや第二スルーホールT)である場合を例示した。また、これらスルーホールに、基板1に実装する外部端子や電子部品の端子ピン(ピンPやLEDピン51)が挿通されて電気的に接続される場合を例示して説明した。しかし、基板1側の接点は、これらスルーホールである場合に限られない。また、基板1側の接点との電気的な接続は、スルーホールへの端子ピンの挿通に限られない。例えば、スルーホールへの端子ピンの挿通に代えて、端子ピンを表面実装(例えば、ランドにはんだ付け)したり、端子ピンをスプリング端子としてランドに押し当てて接続したりする場合を前提として単にランドを形成する場合もある。
【0095】
(9)上記実施形態では、スルーホール(第一スルーホールSや第二スルーホールT)と端子ピン(ピンPやLEDピン51)とを、はんだ付けなどにより電気的に接続して固定する場合を例示して説明した。しかし、端子ピンをプレスフィット端子などの弾性コンタクトとして、単にスルーホールの内壁に押し当てて接続する場合もある。
【0096】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、防水型電子部品に適用できる。
【符号の説明】
【0098】
1 :基板
2 :ソケット(第一コネクタ)
3 :筐体
4 :パネル
5 :LED
6 :導光座部
7 :支持部
9 :封止部
20 :挿入口
22 :被固定部
31 :第一筐体壁
32 :第二筐体壁
39 :窓穴(第一貫通孔)
40 :板部
41 :貫通孔
51 :LEDピン
53 :収容部
53a :凹部
60 :導光座部本体
60a :板面
61a :板面
62 :露出部
64 :当接部
70b :封止壁
71 :支持凹部(支持壁部)
71a :第三支持壁部
71b :第二支持壁部
71s :第一支持壁部
100 :中継器
A :本体
B :ボス(座部)
C :プラグ(第二コネクタ)
P :ピン(端子ピン)
S :第一スルーホール(接点)
T :第二スルーホール
W :窓部
b :座面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16