(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】チップ配置装置及び半導体パッケージの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20230227BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20230227BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H01L21/60 311T
H01L23/12 501P
(21)【出願番号】P 2019135615
(22)【出願日】2019-07-23
【審査請求日】2022-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 公夫
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-368019(JP,A)
【文献】特開2001-291727(JP,A)
【文献】特開2010-263199(JP,A)
【文献】特開2013-232667(JP,A)
【文献】特開2014-204082(JP,A)
【文献】特開2009-164333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
H01L 21/60
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配置されたチップをモールドしてモールド体を成形し、前記モールド体をチップ毎に分割することで半導体パッケージを製造するときに、基板上の複数のチップ配置位置にチップを配置するチップ配置装置であって、
前記チップを前記基板上に移動させる移動部と、
前記移動部を制御する制御部であって、
前記基板上の前記チップ配置位置にチップを配置するチップ配置処理と、
前記複数のチップ配置位置のうち、前記チップ配置処理によってチップが配置されていないチップ配置位置にダミーチップを配置するダミーチップ配置処理と、を実行可能に構成されている、制御部と、を備える、チップ配置装置。
【請求項2】
前記ダミーチップ配置処理では、前記チップ配置処理において基板上にチップが配置されていないチップ配置位置のうち、チップが配置されているチップ配置位置と隣接するチップ配置位置にダミーチップを配置する、請求項1に記載のチップ配置装置。
【請求項3】
前記基板上の複数のチップ配置位置のそれぞれには、予め順番が設定されており、
前記制御部は、前記チップ又は前記ダミーチップを予め設定された前記順番に従って前記チップ配置位置に配置するように前記移動部を制御し、
前記制御部は、前記チップ配置処理を実行した後、前記ダミーチップ配置処理を実行し、
前記ダミーチップ配置処理では、予め設定された数の前記ダミーチップを前記チップ配置位置に配置する、請求項2に記載のチップ配置装置。
【請求項4】
前記ダミーチップの大きさは、前記チップの大きさと異なっており、
前記チップ配置処理では、前記チップと当該チップに隣接する位置に配置されているチップとの間に所定の間隔を空けて前記チップを配置し、
前記ダミーチップ配置処理では、前記ダミーチップと当該ダミーチップに隣接する位置に配置されている前記チップとの間に前記所定の間隔を空けて前記ダミーチップを配置する、請求項1~3のいずれか一項に記載のチップ配置装置。
【請求項5】
基板上に配置されたチップをモールドしてモールド体を成形し、前記モールド体をチップ毎に分割することで半導体パッケージを製造する半導体パッケージの製造方法であって、
チップを基板上に移動させる移動部を備えるチップ配置装置を用いて基板上の複数のチップ配置位置にチップを配置するチップ配置工程であって、
前記移動部が、前記基板上のチップ配置位置にチップを配置するチップ配置工程と、
前記移動部が、複数のチップ配置位置のうち、前記チップ配置工程によってチップが配置されていないチップ配置位置にダミーチップを配置するダミーチップ配置工程と、を備える、チップ配置工程と、
前記基板上に配置された前記チップ及び前記ダミーチップをモールドするモールド工程と、を備える、半導体パッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、基板上に配置されたチップをモールドしてモールド体を成形し、モールド体をチップ毎に分割することで半導体パッケージを製造する技術に関する。詳細には、半導体パッケージを製造するときに、基板上の複数のチップ配置位置にチップを配置する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
チップを備えるパッケージを製造する際には、チップの周囲をモールド材で被覆することによってパッケージ内にチップを封止することがある。この種のパッケージを製造する際には、基板上に複数のチップを配置するチップ配置工程が実行された後、基板上に配置されたチップをモールド材で封止するモールド工程が実行される。このとき、基板上の全てのチップ配置位置にチップが配置されていない状態でモールド工程が行われることがある。例えば、チップ自体に不具合が生じた場合やチップを配置する工程に何らかの不具合が生じた場合には、そのチップを配置する予定だった位置にチップが配置されない状態となることがある。また、1枚の基板上の全てのチップ配置位置より配置すべきチップの数のほうが少ないことがある。このような状態でモールド工程を行うと、基板上のチップが正確にモールド材で封止されず、モールド不良が生じることがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、基板上の全てのチップ配置位置にチップが配置されていないときに、モールド不良の発生を抑制する技術が開示されている。特許文献1では、まず、チップ配置装置によって基板上にチップが配置される。次いで、チップが配置されていない欠損箇所を特定する。次いで、モールド材を基板上に配置する際に、まず、欠損箇所と対応する位置にダミーチップを配置したシート状モールド材を用意する。すなわち、シート状モールド材は、離型フィルムと、離型フィルムの前面に配置されたモールド材と、離型フィルムの裏面に配置されたダミーチップから構成される。モールド材は、チップが配置された箇所に対応する位置に配置され、ダミーチップは、チップが配置されていない欠損箇所に対応する位置に配置される。このシート状モールド材を用いて基板上のチップをモールドすることによって、基板上に配置された全てのチップがモールド材で封止され、モールド不良の発生が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、チップ配置装置で基板上にチップが配置された後、チップが配置されなかった欠損位置にダミーチップを配置し、その後モールド工程が行われる。このため、基板上にチップを配置する工程とモールド工程との間に、離型フィルムの裏面にダミーチップを配置する工程が必要となり、半導体パッケージを製造する工程が複雑になるという問題があった。
【0006】
本明細書は、半導体パッケージの製造において、基板上にチップを配置する工程からモールド工程までの生産効率を向上させる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示するチップ配置装置は、基板上に配置されたチップをモールドしてモールド体を成形し、モールド体をチップ毎に分割することで半導体パッケージを製造するときに、基板上の複数のチップ配置位置にチップを配置する。チップ配置装置は、チップを基板上に移動させる移動部と、移動部を制御する制御部であって、基板上のチップ配置位置にチップを配置するチップ配置処理と、複数のチップ配置位置のうちチップ配置処理によってチップが配置されていないチップ配置位置にダミーチップを配置するダミーチップ配置処理と、を実行可能に構成されている、制御部と、を備える。
【0008】
上記のチップ配置装置では、チップ配置装置によって、基板上のチップ配置位置にチップが配置されると共に、基板上のチップが配置されていないチップ配置位置にダミーチップが配置される。このため、チップ配置装置を用いてチップが配置されていないチップ配置位置にダミーチップを配置することができ、ダミーチップを配置する工程が複雑化することを回避することができる。このチップ配置装置を用いることで、チップを配置してからモールドするまでの間に行われるダミーチップの配置を簡便に行うことができ、モールド工程の前工程の生産効率を向上させることができる。
【0009】
また、本明細書に開示する半導体パッケージの製造方法は、基板上に配置されたチップをモールドしてモールド体を成形し、モールド体をチップ毎に分割することで半導体パッケージを製造する。半導体パッケージの製造方法は、チップを基板上に移動させる移動部を備えるチップ配置装置を用いて基板上の複数のチップ配置位置にチップを配置するチップ配置工程であって、移動部が、基板上のチップ配置位置にチップを配置するチップ配置工程と、移動部が、複数のチップ配置位置のうち、チップ配置工程によってチップが配置されていないチップ配置位置にダミーチップを配置するダミーチップ配置工程と、を備える、チップ配置工程と、基板上に配置されたチップ及びダミーチップをモールドするモールド工程と、を備える。
【0010】
上記の半導体パッケージの製造方法は、移動部を備えるチップ配置装置により、基板上にチップ及びダミーチップを配置する。このため、上記のチップ配置装置と同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例に係るチップ配置装置を用いて製造されるパッケージの構成を模式的に示す断面図。
【
図4】実施例1、2において、チップ配置装置を用いたチップ配置工程の処理の一例を示すフローチャート。
【
図5】実施例1において、支持体上の全てのチップ配置位置にチップ又はダミーチップが配置されている状態の一例を示す図。
【
図6】モールド工程について説明するための図であり、(a)は、全てのチップ配置位置にチップが配置され、モールドが適切に実行される場合を示し、(b)は、チップが配置されていないチップ配置位置が存在することにより、モールド不良が発生した場合を示し、(c)は、隣接するチップ配置位置にチップが配置されていないことにより、モールド不良が発生した場合を示す。
【
図7】実施例2において、支持体上のチップ配置位置が複数のブロックに区分されている状態の一例を示す図。
【
図8】実施例3~5において、チップ配置装置を用いたチップ配置工程における処理の一例を示すフローチャート。
【
図9】実施例3において、チップに隣接するチップ配置位置にダミーチップが配置されている状態の一例を示す図。
【
図10】実施例4において、チップに隣接するチップ配置位置にダミーチップが配置されている状態の一例を示す図。
【
図11】実施例5において、チップに隣接するチップ配置位置にダミーチップが配置されている状態の一例を示す図。
【
図12】実施例6において、チップとダミーチップの大きさが異なる場合のチップ及びダミーチップの配置の一例を示す図。
【
図13】複数のチップを備えるパッケージを製造する場合において、支持体上のチップ及びダミーチップの配置の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0013】
(特徴1)本明細書に開示するチップ配置装置では、ダミーチップ配置処理では、チップ配置処理において基板上にチップが配置されていないチップ配置位置のうち、チップが配置されているチップ配置位置と隣接するチップ配置位置にダミーチップを配置してもよい。隣接するチップ配置位置にチップが配置されていないと、モールドしたときにそのチップ全体(例えば、隣にチップが配置されていない面)がモールド材によって被覆されないことがある。隣接するチップ配置位置にチップが配置されていないときに代わりにダミーチップを配置することによって、隣接するチップ配置位置にチップが配置されているときと同様にチップ全体をモールドすることができる。なお、基板上にチップが配置されていないチップ配置位置のうち、チップが配置されているチップ配置位置と隣接しないチップ配置位置には、ダミーチップを配置しなくてもよい。ダミーチップを配置しなくても、そのチップ配置位置に隣接するチップ位置にはチップが配置されていないため、当該チップがモールド材で封止されないという事態は生じない。また、一部のチップ配置位置に何も配置されていない状態であっても、モールド材の種類等によってはモールド工程に支障が生じない。このため、ダミーチップを配置する必要がない位置にダミーチップを配置することを回避することができ、ダミーチップの消費を低減することができる。
【0014】
(特徴2)本明細書に開示するチップ配置装置では、基板上の複数のチップ配置位置のそれぞれには、予め順番が設定されていてもよい。制御部は、チップ又はダミーチップを予め設定された順番に従ってチップ配置位置に配置するように移動部を制御してもよい。制御部は、チップ配置処理を実行した後、ダミーチップ配置処理を実行してもよい。ダミーチップ配置処理では、予め設定された数のダミーチップをチップ配置位置に配置してもよい。基板上に設定されたチップ配置位置の全てにチップ又はダミーチップを配置することとすると、ダミーチップを配置する必要がないチップ配置位置までダミーチップが配置される場合がある。このため、必要なチップ配置位置にのみダミーチップを配置できれば、無駄なダミーチップは発生しない。このチップ配置装置では、ダミーチップを配置する数を予め設定した数とすることで、無駄なダミーチップの発生を抑制する。例えば、n行×m列のマトリックス状にチップを基板上に配置する場合を考える。このような場合において、例えば、座標(1,1)の位置から列方向に順に1行目からn行目まで順にチップを配置してゆく場合を考える。このような場合、ダミーチップを配置する数を予めm個とすることで、チップが配置されたチップ配置位置に隣接するチップ配置位置にダミーチップが配置されない事態が生じることを防止することができる。あるいは、座標(1,1)の位置から行方向に順に1列目からm列目まで順にチップを配置してゆく場合は、ダミーチップを配置する数を予めn個とすることで、チップが配置されたチップ配置位置に隣接するチップ配置位置にダミーチップが配置されない事態が生じることを抑制することができる。
すなわち、上記の構成によると、チップ又はダミーチップを予め設定された順番に従ってチップ配置位置に配置するため、チップを基板上に配置した後、続けて次の順番のチップ配置位置から順にダミーチップが配置される。また、ダミーチップが予め設定された数だけ配置するようにすることで、チップからダミーチップに切り替わるチップ配置位置がどのような位置であっても、チップに隣接する位置にダミーチップが配置されるように設定できる。すなわち、チップ配置処理中に廃棄される不良チップの数により基板上に配置可能なチップの数が決定されるため、チップが基板上のどの位置まで配置されるかを予め設定することはできない。ダミーチップを配置する数を事前に設定することによって、基板上のどの位置までチップが配置されたとしても隣接する位置にダミーチップを配置することが可能となる。このため、チップ配置処理後にダミーチップを配置する位置を決定する処理が不要となり、チップ及びダミーチップを効率よく配置することができる。
【0015】
(特徴3)本明細書に開示するチップ配置装置では、ダミーチップの大きさは、チップの大きさと異なっていてもよい。チップ配置処理では、チップと当該チップに隣接する位置に配置されているチップとの間に所定の間隔を空けてチップを配置してもよい。ダミーチップ配置処理では、ダミーチップと当該ダミーチップに隣接する位置に配置されているチップとの間に所定の間隔を空けてダミーチップを配置してもよい。このような構成によると、ダミーチップの大きさがチップの大きさと異なっていても(例えば、ダミーチップがチップより小さくても)、チップとダミーチップとの間の間隔を、チップとチップとの間の間隔と略同一にすることができる。これにより、ダミーチップの大きさがチップの大きさと異なっていても、モールド不良を低減することができる。
【実施例】
【0016】
(実施例1)
以下、実施例に係るチップ配置装置10について説明する。チップ配置装置10は、パッケージ50を製造する際に用いられる装置である。まず、本実施例のチップ配置装置10を用いて製造されるパッケージ50について説明する。
【0017】
図1は、パッケージ50の構成を模式的に示している。
図1に示すように、パッケージ50は、チップ52と、モールド材54と、配線層56を備えている。本実施例では、パッケージ50は、ファンアウト型のウエハレベルパッケージ(FOWLP:Fan-Out Wafer Level Package)又はファンアウト型のパネルレベルパッケージ(FOPLP:Fan-Out Panel Level Package)である。
【0018】
チップ52は、平板状であり、一方の面に複数の電極パッド53を備えている。チップ52において、電極パッド53が形成されている面は、配線層56に当接しており、それ以外の面は、モールド材54に被覆されている。配線層56には、各電極パッド53と電気的に接続するように、図示しない配線やバンプ等が形成されている。パッケージ50を回路基板等に実装する際には、配線層56が回路基板等に当接するように配置される。
【0019】
次に、パッケージ50を製造するパッケージ製造装置100について説明する。
図2に示すように、パッケージ製造装置100は、チップ配置装置10と、モールド装置20と、ダイシング装置30を備えている。
【0020】
チップ配置装置10は、支持体62上にチップ52を配置する。チップ配置装置10は、支持体62上にチップ52を移動させるチップ移動部12と、チップ移動部12を制御する制御部14と、チップ52を供給するチップ供給部16と、ダミーチップ70を供給するダミーチップ供給部18を備えている。なお、チップ配置装置10の各部12、14、16、18の動作については、後に詳述する。チップ配置装置10としては、支持体62上にチップ52を配置するための専用の装置であってもよいし、回路基板に電子部品を実装する部品実装機を用いてもよい。部品実装機を用いる場合には、電子部品を回路基板上に移動させるヘッドがチップ移動部12に相当し、ヘッドを制御する制御装置が制御部14に相当し、部品フィーダがチップ供給部16に相当する。また、部品フィーダにダミーチップ70を収容することによって、部品フィーダをダミーチップ供給部18としても用いることができる。なお、チップ配置装置10として部品実装機を用いる場合には、公知の部品実装機を用いることができるため、その詳細な構成については省略する。また、支持体62は、「基板」の一例であり、チップ移動部12は、「移動部」の一例である。
【0021】
モールド装置20は、支持体62上に配置されたチップ52をモールドする。ダイシング装置30は、チップ52を封止したモールド体60を分割する。なお、モールド装置20及びダイシング装置30は、公知のものを用いることができるため、その詳細な構成については省略する。
【0022】
次に、
図3~
図5を参照して、パッケージ製造装置100を用いてパッケージ50を製造する方法について説明する。
図3(a)に示すように、まず、チップ配置装置10を用いて、支持体62上に複数のチップ52を配置する(チップ配置工程)。支持体62は、ガラス板64と、ガラス板64の表面に貼り付けられる粘着テープ66で構成されている。粘着テープ66は、両面に接着剤が塗布されており、一方の面がガラス板64の表面に貼り付けられると共に、他方の面にチップ52が貼り付けられる。チップ52は、支持体62(すなわち、粘着テープ66)上に配置されると、粘着テープ66によって配置された位置で固定される。1つの支持体62上には、複数のチップ52がそれぞれ所定の位置に固定される。
図3(a)に示すチップ配置工程では、大型の支持体62上に多数のチップ52を配置することによって、製造コストを低減させることができる。なお、支持体62の寸法は特に限定されるものではなく、製造するパッケージ50の数や種類に合わせて適宜選択することができる。
【0023】
ここで、チップ配置装置10によるチップ配置工程の処理について説明する。
図4に示すように、まず、制御部14は、チップ52を支持体62上のチップ配置位置に配置する(S12)。チップ52は、チップ供給部16から供給される。支持体62上には、パッケージ50内に封止されるチップ52の種類に応じて複数のチップ配置位置が設定されている。また、支持体62上の複数のチップ配置位置には、予めチップ52を配置する順番(以下、チップ配置順ともいう)が設定されている。
【0024】
ここで、
図5を参照して、7行×20列のチップ配置位置に設定されるチップ配置順の一例について説明する。
図5では、右上のチップ配置位置を「位置1-1」とし、同一の行の右から左に向かって順に数字を増加させ、同一の列の上から下に向かって数字を増加させて表す。したがって、位置1-1の左隣のチップ配置位置は「位置1-2」と表され、位置1-1の下方向の隣のチップ配置位置は「位置2-1」と表されることになる。
図5に示すように、例えば、チップ配置順は、
図5の矢印で示す順となる。すなわち、チップ配置順は、位置1-1を最初のチップ配置位置とし、順に左隣のチップ配置位置に移行する。すなわち、チップ配置順は、位置1-1、1-2・・・1-20の順となる。そして、チップ配置順は、位置1-20の次に、その下の位置2-20となり、順に右隣のチップ配置位置2-19、2-18・・・2-1に移行する(以下、このようなチップ配置順を「S字状のチップ配置順」ともいう)。制御部14は、このように予め設定されているチップ配置順に従い、まず、位置1-1にチップ52を配置する。
【0025】
なお、本実施例では、チップ配置順は、S字状となるように設定されているが、チップ配置順は予め設定されていればよく、その順序は特に限定されない。例えば、チップ配置順は、同一の行について常に同一の方向に向かって(例えば、右から左に向かって)移行するように設定してもよい。具体的には、チップ配置順は、位置1-1、1-2・・・1-20の順と移行し、その次に、位置2-1、2-2・・・2-20の順で移行するようで設定してもよい(以下、このようなチップ配置順を「同一方向のチップ配置順」ともいう)。
【0026】
次に、制御部14は、支持体62上に配置するチップ52が残っているか否かを判定する(S14)。すなわち、制御部14は、チップ供給部16にチップ52が残っているか否かを判定する。チップ供給部16にチップ52が残っている場合(ステップS14でYES)、ステップS12に戻り、ステップS12及びステップS14の処理を繰り返す。ステップS12の処理を繰り返す際には、制御部14は、チップ配置順に従い、前回のステップS12の処理によりチップ52が配置されたチップ配置位置の次に設定されているチップ配置位置にチップ52を配置する。例えば、前回のステップS12の処理により位置1-1にチップ52が配置された場合には、チップ配置順により次に設定されているチップ配置位置である位置1-2にチップ52を配置する。
【0027】
チップ供給部16にチップ52が残っていない場合(ステップS14でNO)、制御部14は、チップ移動部12を制御してダミーチップ70を支持体62上のチップ配置位置に配置させる(S20)。ダミーチップ70は、ダミーチップ供給部18から供給される。本実施例では、ダミーチップ70の外形は、チップ52と外形と同一の形状をしている。なお、ダミーチップ70は、外形がチップ52と同一であればよく、例えば、材質等は特に限定されない。このとき、ダミーチップ70は、最後のチップ52が配置されたチップ配置位置(すなわち、最後のステップS12の処理によりチップ52が配置されたチップ配置位置)の次に設定されているチップ配置位置に配置される。したがって、支持体62上に配置される部品がチップ52からダミーチップ70に切り替わっても、チップ52に続いてダミーチップ70も予め設定されたチップ配置順に従いチップ配置位置に配置される。例えば、
図5では、最後のチップ52は、位置4-14に配置されている。このため、ダミーチップ70は、位置4-14の次に設定されているチップ配置位置である位置4-13に配置される。
【0028】
次に、制御部14は、支持体62上の全てのチップ配置位置にダミーチップ70が配置されたか否かを判定する(S18)。支持体62上の全てのチップ配置位置にダミーチップ70が配置されていない場合(ステップS18でNO)、制御部14は、ステップS16に戻り、ステップS16及びステップS18の処理を繰り返す。このとき、ダミーチップ70についてもチップ52と同様に、予め設定されたチップ配置順に従ったチップ配置位置に配置される。支持体62上の全てのチップ配置位置にダミーチップ70が配置されると(ステップS18でYES)、チップ配置工程を終了する。
【0029】
チップ配置工程が終了すると、
図3(b)に示すように、モールド装置20を用いて、チップ52の周囲をモールド材54で被覆する(モールド工程)。次いで、
図2(c)に示すように、モールド体60から支持体62が剥離される(剥離工程)。すると、チップ52(詳細には、チップ52の電極パッド53が形成されている面)が露出した状態となる。次いで、
図2(d)に示すように、チップ52が露出している面に配線層56が形成される(配線層形成工程)。そして、
図2(e)に示すように、ダイシング装置30を用いて、個々のチップ52を包含するように、チップ52、モールド材54及び配線層56から構成される構造体が分割(個片化)される(分割工程)。このようにして、複数のパッケージ50が一括で製造される。
【0030】
本実施例では、チップ配置工程において、チップ配置装置10を用いて支持体62上の全てのチップ配置位置にチップ52又はダミーチップ70が配置される。すなわち、支持体62上にチップ52を全て配置したときに支持体62上にチップ52が配置されないチップ配置位置があっても、そのチップ配置位置にはチップ52の代わりにダミーチップ70が配置される。支持体62上の全てのチップ配置位置にチップ52又はダミーチップ70が配置されていると、
図6(a)に示すように、チップ配置工程後のモールド工程において、チップ52及びダミーチップ70に均等に圧力がかかり、全てのチップ52を正常にモールドすることができる。一方、
図6(b)に示すように、支持体62上にチップ52が配置されていないチップ配置位置があると、モールドする際の圧力が均等にかからず、モールド不良が発生することがある。また、
図6(c)に示すように、隣接するチップ配置位置にチップ52が配置されていないと、チップ52が配置されていない方向にモールド材54が流動してしまい、チップ52全体がモールドされないことがある(
図6(c)の破線部分参照)。支持体62上の全てのチップ配置位置にチップ52又はダミーチップ70を配置することによって、チップ配置工程の後のモールド工程の際に、全てのチップ配置位置にチップ52が配置されている場合と同様に均等に圧力をかけることができ、モールド不良の発生を抑制することができる。
【0031】
また、本実施例では、チップ配置位置にチップ52又はダミーチップ70が配置される順番が予め設定されており、チップ52の配置に続いてその順番に従ってダミーチップ70が配置される。このため、ダミーチップ70を配置するためのプログラムを作成することなく、ダミーチップ70を支持体62上に配置することができる。支持体62上に配置されるチップ52の数は、チップ配置工程前には正確に把握できない。これは、チップ52を支持体62上に配置する際に、チップ52に欠陥や欠損等の不具合が発見されるとそのチップ52は支持体62上に配置されることなく廃棄されるためである。このため、事前にチップ供給部16に収容されているチップ52の全てが支持体62上に配置されるとは限らず、チップ配置工程後に実際に支持体62上に配置されるチップ52の総数は、全てのチップ52を支持体62上に配置し終えるまで決定されない。ダミーチップ70は、支持体62上のチップ52が配置されなかったチップ配置位置に配置される。このため、ダミーチップ70を配置するためのプログラムを作成する場合には、全てのチップ52を支持体62上に配置する工程が終了するまで当該プログラムを作成できないことになる。本実施例では、予め設定された順番に従いダミーチップ70を配置することにより、ダミーチップ70を配置するためのプログラムを作成する必要がない。このため、チップ52及びダミーチップ70を配置する工程を迅速に実行することができ、生産効率を向上させることができる。
【0032】
また、本実施例では、チップ配置工程において、チップ52の配置に続いてダミーチップ70を配置している。このため、例えば、特開2017-224722号公報に開示される技術のように、ダミーチップ70を配置するためにチップ配置工程とは異なる工程を追加する必要がない。このため、パッケージ50の製造において、チップ52を配置してからモールドするまでの間に行われるダミーチップ70の配置を簡便に行うことができ、モールド工程の前工程の生産効率を向上させることができる。
【0033】
また、本実施例では、チップ配置装置10を用いて、チップ52だけでなくダミーチップ70も支持体62上に配置している。例えば、ダミーチップ70は、全てのチップ52を配置した後、作業者によって配置することも可能である。本実施例では、チップ配置装置10によりダミーチップ70の配置を自動化することによって、チップ52及びダミーチップ70を配置する工程にかかる時間を短縮することができ、生産効率を向上させることができる。
【0034】
なお、本実施例では、支持体62上に配置するチップ52が残っていないと制御部14が判断したとき(上述のステップS14でNO)、続いてダミーチップ70を配置しているが、このような構成に限定されない。例えば、チップ52の配置からダミーチップ70の配置への切り替えは、作業者の指示によって実行されてもよい。具体的には、全てのチップ52が支持体62上に配置されると、制御部14は、その旨をチップ配置装置10の図示しないインターフェース装置に表示させる。そして、作業者がインターフェース装置を介してダミーチップ70を配置するよう指示することによって、制御部14は、ダミーチップ70を配置する処理を開始してもよい。
【0035】
(実施例2)
上記の実施例1では、支持体62上の全てのチップ配置位置にチップ52又はダミーチップ70が配置されたが、このような構成に限定されない。例えば、
図7に示すように、支持体62上のチップ配置位置は、複数のブロック(
図7ではブロックB1、B2)に区分されていてもよい。このような場合には、ブロック単位で全てのチップ配置位置にチップ52又はダミーチップ70が配置されるように、チップ52及びダミーチップ70を配置してもよい。具体的には、支持体62上のチップ配置位置にチップ52を配置する順番は、ブロックB1内の全てのチップ配置位置にチップ52が配置された後、ブロックB2内のチップ配置位置にチップ52が配置されるように設定される。そして、最後のチップ52がブロックB1内のチップ配置位置に配置された場合には、ダミーチップ70をブロックB1内の残りのチップ配置位置に配置したときに、ダミーチップ70の配置を終了(すなわち、チップ配置工程を終了)する。すると、支持体62上において、ブロックB1内の全てのチップ配置位置にチップ52又はダミーチップ70が配置され、ブロックB2内のチップ配置位置にはチップ52もダミーチップ70も配置されていない状態となる。支持体62上のチップ配置位置を複数のブロックで区分したときには、後のモールド工程もブロック毎に実行される。このため、チップ52が配置されているブロックB1の全てのチップ配置位置にチップ52又はダミーチップ70が配置されていれば、チップ52のモールド不良を抑制できる。このため、ダミーチップ70を配置する必要のないブロックB2にダミーチップ70を配置しないことによって、ダミーチップ70の消耗を低減することができる。
【0036】
(実施例3)
上述の実施例1、2では、支持体62上の全てのチップ配置位置又はブロック内の全てのチップ配置位置にチップ52又はダミーチップ70が配置されていたが、このような構成に限定されない。例えば、チップ52が配置されているチップ配置位置に隣接するチップ配置位置にダミーチップ70を配置し、その他のチップ配置位置にはチップ52もダミーチップ70も配置されていなくてもよい。モールド工程では、支持体62上の全てのチップ配置位置にチップ52又はダミーチップ70が配置されていなくても、モールド材54の種類によってはモールドする際の圧力が支持体62上に配置されたチップ52にほぼ均等にかかることがある。このような場合には、チップ52が配置されなかった全てのチップ配置位置にダミーチップ70を配置する必要はない。しかしながら、隣接するチップ配置位置にチップ52又はダミーチップ70が配置されていないと、チップ52全体がモールドされないことがある。すなわち、モールド材54の種類によっては、
図6(b)に示すようなモールド不良は発生しないが、
図6(c)に示すようなモールド不良は発生してしまう。このようなモールド不良の発生を抑制するために、チップ52が配置されているチップ配置位置に隣接するチップ配置位置にダミーチップ70を配置する。なお、本実施例では、チップ配置工程が上記の実施例1、2と異なるため、チップ配置工程以外の工程については、説明を省略する。
【0037】
図8に示すように、本実施例のチップ配置工程では、まず、制御部14は、チップ52を支持体62上のチップ配置位置に配置する(S32)。次に、制御部14は、支持体62上に配置するチップ52が残っているか否かを判定し(S34)、チップ供給部16にチップ52が残っている場合(ステップS34でYES)、ステップS32に戻り、ステップS32及びステップS34の処理を繰り返す。チップ供給部16にチップ52が残っていない場合(ステップS34でNO)、制御部14は、予め設定されたチップ配置順に従い、チップ移動部12を制御してダミーチップ70を支持体62上のチップ配置位置に配置させる(S36)。なお、ステップS32~ステップS36の処理は、実施例1のステップS12~ステップS16の処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0038】
最初のダミーチップ70が支持体62上のチップ配置位置に配置されると、制御部14は、支持体62上の全てのチップ配置位置にダミーチップ70が配置されたか否かを判定する(S38)。支持体62上の全てのチップ配置位置にダミーチップ70が配置された場合(ステップS38でYES)、チップ配置工程を終了する。後に詳述するが、本実施例では、ダミーチップ70は予め設定された所定数のみ支持体62上に配置される。しかしながら、全てのチップ52が配置されたときに、支持体62上のチップ52が配置されていないチップ配置位置が、予め設定されたダミーチップ70を配置する所定数より少ないときは、予め設定された所定数のダミーチップ70の全てを支持体62上に配置することができない。したがって、支持体62上の全てのチップ配置位置にダミーチップ70が配置されたときには、予め設定された所定数のダミーチップ70を支持体62上に配置していなくても、チップ配置工程を終了する。
【0039】
支持体62上の全てのチップ配置位置にダミーチップ70が配置されていない場合(ステップS38でNO)、制御部14は、予め設定された所定数のダミーチップ70が支持体62上に配置されたか否かを判定する(S40)。ダミーチップ70を配置する所定数(以下、「ダミーチップ70の配置数」ともいう)は、チップ52が配置されたチップ配置位置と隣接する全てのチップ配置位置にダミーチップ70が配置されるように、予め設定する。
図9に示すように、本実施例では、1行に7箇所のチップ配置位置が設定されており、チップ52及びダミーチップ70が同一方向のチップ配置順で配置されるとする。この場合には、チップ配置順に従い、チップ52の配置に続いて1行分のダミーチップ70を配置すれば、全てのチップ52と隣接するチップ配置位置にチップ52又はダミーチップ70が配置された状態となる。このため、ダミーチップ70の配置数は、1行分である7個と設定する。
【0040】
予め設定された所定数(本実施例では、7個)のダミーチップ70が支持体62上に配置されていない場合(ステップS40でNO)、ステップS36に戻り、ステップS36~ステップS40の処理を繰り返す。一方、予め設定された所定数(本実施例では、7個)のダミーチップ70が支持体62上に配置された場合(ステップS40でYES)、チップ配置工程を終了する。すると、支持体62上の全てのチップ52と隣接するチップ配置位置にチップ52又はダミーチップ70が配置された状態となるため、次のモールド工程において、チップ52にモールド不良が発生することを抑制できる。
【0041】
本実施例では、チップ52と隣接するチップ配置位置にのみダミーチップ70を配置している。これにより、ダミーチップ70を配置する必要のない位置にダミーチップ70を配置することを回避することができ、支持体62上に配置するダミーチップ70の数を低減することができる。このため、モールド工程においてチップ52のモールド不良の発生を抑制できると共に、ダミーチップ70の消費を低減することができる。
【0042】
(実施例4)
上述の実施例3では、ダミーチップ70の配置数をチップ配置位置の1行分として予め設定していたが、このような構成に限定されない。チップ配置順に合わせて、ダミーチップ70の配置数をチップ配置位置の1行分より多い数で設定してもよい。
【0043】
図10に示すように、本実施例では、実施例3と同様に1行に7箇所のチップ配置位置が設定されており、実施例3と異なりチップ52及びダミーチップ70がS字状のチップ配置順で配置されるとする。この場合、実施例3と同様にダミーチップ70の配置数を1行分の7個とすると、隣接するチップ配置位置にチップ52もダミーチップ70も配置されないチップ52が存在することになる。例えば、位置3-1までチップ52が配置されたとする。このとき、チップ配置順に従い、位置3-1に続いて7個のダミーチップ70を配置しても、位置3-2から位置4-7までしかダミーチップ70が配置されない。このため、位置3-1に配置されるチップ52の下側に隣接する位置4-1にダミーチップ70が配置されない。したがって、ダミーチップ70の配置数は、チップ52がどの列まで配置されたとしても、チップ52と隣接するチップ配置位置にチップ52が配置されていない全てのチップ配置位置にダミーチップ70が配置されるように設定する。したがって、S字状のチップ配置順の場合、ダミーチップ70の配置数は、2列分-1個(本実施例では、13個)と設定する。
【0044】
本実施例では、ダミーチップ70は、チップ52に隣接する位置だけでなく、チップ52に隣接しない位置にも配置される(例えば、
図10の位置3-3、4-2~4-7)。しかしながら、上記のようにダミーチップ70の配置数を予め設定すると共に、ダミーチップ70についてもチップ配置順に従い配置することにより、ダミーチップ70を配置するプログラムを作成することなく、チップ52に隣接する全てのチップ配置位置にチップ52又はダミーチップ70を配置することができる。このため、生産効率を向上させることができると共に、ダミーチップ70の消費を最小限に抑えることができる。
【0045】
(実施例5)
また、ダミーチップ70の配置数は、チップ配置装置10の仕様に合わせて、実施例4よりさらに多く設定してもよい。例えば、チップ移動部12が複数のノズルを備えている場合を例にして説明する。チップ移動部12が、例えば、4個のノズルを備えているとする。この4個のノズルを便宜上、ノズルA~Dとする。この場合、チップ供給部16から4個のノズルA~Dのそれぞれにチップ52が供給され、その状態でチップ移動部12は支持体62上に移動する。そして、チップ配置順に従い4箇所にチップ52を配置する。このとき、ノズルA~Dの順でチップ52をチップ配置位置に配置する。具体的には、ノズルAにより位置1-1にチップ52が配置され、ノズルBにより位置1-2にチップ52が配置され、ノズルCにより位置1-3にチップ52が配置され、ノズルDにより位置1-4にチップ52が配置される(
図11参照)。チップ52を配置すると、チップ移動部12は再びチップ供給部16に戻る。これを繰り返して、チップ移動部12はチップ52をチップ配置位置に移動させる。このように、チップ移動部12は、4個のノズルA~Dにより、4個のチップ52を1組として同時に支持体62上に移動させる。このとき、チップ移動部12に供給された4個のチップ52のいずれかに不具合があると、その不具合のあるチップ52が廃棄され、残った正常なチップ52のみが同時に支持体62上に移動される。例えば、ノズルBに供給されたチップ52に不具合が発見されると、ノズルBに供給されたチップ52は廃棄され、ノズルA、C、Dに供給されたチップ52のみがチップ配置位置に配置される。このため、例えば、ノズルA、C、Dにより位置1-1、1-3、1-4にはチップ52が配置される一方、ノズルBに供給されたチップ52を配置する予定だった位置1-2にはチップ52が配置されない。そして、位置1-2には、次の組でチップ移動部12により支持体62に運ばれたチップ52(例えば、ノズルAに供給されたチップ52)が配置される。
【0046】
しかしながら、最後の組において不具合が発見されると、チップ52がチップ配置順通りに連続して配置されなくなる。例えば、
図11に示すように、最後の組において、ノズルAにより位置2-3にチップ52が配置され、ノズルBにより位置2-2にチップ52が配置され、ノズルCにより位置2-1にチップ52が配置され、ノズルDにより位置3-1にチップ52が配置される予定であったとする。この場合に、ノズルA~Cに供給されたチップ52に不具合が発見されると、ノズルDにより位置3-1にチップ52が配置される一方、位置2-3、2-2、2-1にはチップ52が配置されない。そして、チップ配置順に従い、次の組において、ダミーチップ70が位置2-3、2-2、2-1と、位置3-1の次のチップ配置順の位置3-2に配置される。この場合、上述の実施例4と同様に、ダミーチップ70の配置数を、S字状のチップ配置順の際に適用する2列分-1個である13個と設定すると、位置4-4までしかダミーチップ70が配置されない。このため、位置3-1に配置されるチップ52の下側に隣接する位置4-1にダミーチップ70が配置されない。このように、チップ52と隣接するチップ配置位置にチップ52が配置されていない全てのチップ配置位置にダミーチップ70が配置されないことがある。
【0047】
そこで、ダミーチップ70の配置数は、チップ52がどの列まで配置されたとしても、チップ52と隣接するチップ配置位置にチップ52が配置されていない全てのチップ配置位置にダミーチップ70が配置されるように設定する。したがって、本実施例では、チップ配置装置10の仕様に合わせて、ダミーチップ70の配置数は、S字状のチップ配置順の場合の配置数(本実施例では、13個)に、チップ移動部12が同時に支持体62上に移動できるチップ52の数-1(すなわち、ヘッドの数-1、本実施例では、3個)を加えた数(本実施例では、16個)とする。このようにチップ配置装置10の仕様に合わせてダミーチップ70の配置数を設定することによって、チップ52に隣接する全てのチップ配置位置にチップ52又はダミーチップ70を確実に配置することができると共に、支持体62上に配置するダミーチップ70の数を低減することができる。
【0048】
(実施例6)
上記の実施例1~5では、ダミーチップ70の外形は、チップ52の外形と同一であったが、このような構成に限定されない。例えば、ダミーチップ170の外形は、チップ52の外形と異なっていてもよい。本実施例では、矩形のダミーチップ170において、その横の寸法はチップ52と同一である一方、その縦の寸法はチップ52より小さい場合を例にして説明する。
【0049】
図12に示すように、チップ配置位置は支持体62上に均等に配置されており、チップ52が配置されていると、チップ52間には均等な距離d1が生じる。ダミーチップ170をチップ配置位置に配置する際には、ダミーチップ170とチップ52との間の距離d2が、チップ52間の距離d1と同一となるように、チップ配置位置の中心から上方にオフセットした位置にダミーチップ170を配置する。例えば、ダミーチップ170をチップ配置位置の中心に配置すると、ダミーチップ170とチップ52の間の距離が、チップ52間の距離d1より大きくなる。すると、モールド工程において、チップ52の下端部分まで適切にモールドされず、
図6(c)に示すようなモールド不良が発生することがある。上記のようにダミーチップ170をオフセットして配置することによって、チップ52と異なる大きさのダミーチップ170を配置した場合であっても、モールド不良の発生を低減することができる。
【0050】
(実施例7)
上記の実施例1~6では、製造されるパッケージ50内にチップ52が1個封止されていたが、このような構成に限定されない。例えば、パッケージ内に封止されるチップ52は複数であってもよい。このような場合であっても、1つのパッケージ内に封止される複数のチップ52をひとまとまりの単位として、支持体62上にチップ52を配置することができる。例えば、
図13に示すように、2種類のチップ52a、52bをひとまとまりの単位とするチップユニット152を支持体62上に配置する場合であっても、チップユニット152が配置されないチップ配置位置にダミーチップ70を配置することができる。この場合、チップユニット152を構成する1種類のチップ(例えば、チップ52a)を全て配置した後に続けてダミーチップ70を配置し、その後、チップユニット152を構成する他のチップ(例えば、チップ52b)を配置してもよい。また、チップユニット152を構成する全てのチップ(すなわち、チップ52aとチップ52b)を配置した後に、続けてダミーチップ70を配置してもよい。支持体62上にチップユニット152を配置する場合であっても、ダミーチップ70を配置することによって、後のモールド工程においてチップユニット152にモールド不良が発生することを抑制することができる。なお、本実施例では、ダミーチップ70は、支持体62上のチップユニット152が配置されていない全てチップ配置位置に配置されているが、モールド工程時に用いるモールド材54の種類等によっては、ダミーチップ70は、チップユニット152に隣接するチップ配置位置に配置されるように配置されてもよい。
【0051】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0052】
10:チップ配置装置
12:チップ移動部
14:制御部
16:チップ供給部
18:ダミーチップ供給部
20:モールド装置
30:ダイシング装置
50:パッケージ
52:チップ
54:モールド材
56:配線層
62:支持体
70、170:ダミーチップ
100:パッケージ製造装置
152:チップユニット