(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】簡素化されおよび/または片手によるパッチ注射器の使用
(51)【国際特許分類】
A61M 5/00 20060101AFI20230227BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
A61M5/00 512
A61M5/142 522
(21)【出願番号】P 2019543787
(86)(22)【出願日】2017-06-21
(86)【国際出願番号】 US2017038527
(87)【国際公開番号】W WO2018151750
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2020-05-28
(32)【優先日】2017-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518123372
【氏名又は名称】ウェスト ファーマ サービシーズ イスラエル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カビリ オズ
(72)【発明者】
【氏名】ヒズキヤ ラン
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-539444(JP,A)
【文献】特表2013-516280(JP,A)
【文献】特開2010-200995(JP,A)
【文献】特表2016-501682(JP,A)
【文献】特表2012-504000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持インタフェースと、
粘着ライナと、
無菌性の投与インタフェースであって、粘着性の皮膚接触面および当該投与インタフェースの少なくとも一部の無菌性を保持するカバーを有する投与インタフェースと、
を備え、パッケージの内部に設けられた医薬投与装置を、使用者が片手を用いて準備する方法であって、
前記カバーは、前記パッケージに設けられて、前記粘着ライナを通って前記粘着性の皮膚接触面から突出した準備インタフェースを有し、
前記医薬投与装置の把持インタフェースを、前記カバーにより前記投与インタフェースの無菌性を保護しかつ前記医薬投与装置のうち、その少なくとも一部を前記パッケージの内部に配置しながら、前記片手で掴む工程と、
前記カバーの前記準備インタフェースを、人の手以外の固定部に固定する工程と、
前記掴むことを続けながら、前記医薬投与装置を、前記固定に先立って前記パッケージから取り出す工程と、
前記掴むことを続けながら、前記医薬投与装置を、前記固定部から前記片手で引き離して、前記カバーを前記
医薬投与装置から分離させる工程と
を含む、方法。
【請求項2】
前記固定する工程が、前記カバーの前記準備インタフェースを口で保持することを含む
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記投与インタフェースの前記少なくとも一部が、前記粘着性の皮膚接触面の背後に隠される針先を備え、さらに、前記針先が、前記カバーを前記
医薬投与装置から分離させた後、隠された状態のままで残る
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記引き離す工程が、前記粘着ライナを前記粘着性の皮膚接触面から剥がすことを含む
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記掴むことに先立ち、前記片手で
前記パッケージを開ける工程と、
前記開けることの結果とし
て、前記把持インタフェースを露出させる工程と
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記
医薬投与装置が、制御インタフェースをさらに備え、前記掴む工程が、前記片手のうち、少なくとも1本の指を自由に保ちかつ前記制御インタフェースを操作可能な位置に置きながら実行される
請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2017年2月14日付けで提出された米国仮特許出願第62/458841号の米国特許法第119条(e)の規定による優先権の利益を主張し、その内容は、全体として本明細書に組み込まれる。
【技術分野および背景技術】
【0002】
本発明は、その幾つかの実施形態において、医療装置および装置の簡素化された使用のための方法に関し、より具体的には、他を排するものではなく、ウェアラブル型の医薬投与装置および/またはそのような装置の使用方法に関する。
【0003】
米国特許出願公開第2016/01115895号には、「パッケージは、組み立てられたときに、密封されたパッケージを開ける容易さを改善する任意の特徴または構成を備えることが可能である」ことが開示されている。
【0004】
米国特許出願公開第2011/0172645号には、「被験者に薬剤を投与する投与装置16」が開示されており、この投与装置16では、「保護バリア14が取り去られて、粘着層22を露出させる。図示の実施形態において、保護バリア14は、除去の間の保護バリア14の把持を容易にするタブ30を備える。粘着層22が露出させられると、投与装置16が、皮膚上に置かれる。粘着層22は、使用の間に投与装置16を被験者の皮膚上の所定の位置に保持するのに充分な強度の、皮膚との永続性のない接合を形成する粘着性の材料から作られている。カバー12は、その側部を強く握ることにより投与装置16から解放されて、ハウジング18およびボタン20を露出させる。投与装置16が被験者の皮膚に粘着させられた状態で、ボタン20が押され、患者への薬剤の投与を開始させる。薬剤の投与が完了すると、投与装置16は、粘着層22により形成される固定を克服するのに充分な力をかけることにより、被験者の皮膚から取り外すことが可能である。」
【0005】
米国特許第9084668号には、「滅菌済みのインプラント、例えば、人工乳房の受け渡しのための、手術室での取り扱いを容易にするパッケージ」が開示されている。幾つかの実施形態では、「ボウル形状の外側トレイは、容易かつ確実に片手に収め、親指と反対側の把持面の少なくとも1本の指とで把持することにより、トレイの形状を変えることなく逆さにすることが可能である。」
【0006】
米国特許第8727117号には、「シリンジを収めるパッケージ」が開示されている。「本発明の一側面によるパッケージは、シリンジと、シリンジを取り囲むブリスタパッケージと、を備える。シリンジは、パッケージの内部で滅菌状態にあるのが一般的である。ブリスタパッケージは、シリンジを取り囲む小室を画定する裏打ち(バッキング)に封止された、柔軟性があるウェブを備え、このウェブは、シリンジが、パッケージから絞り出されるのを可能とする。シリンジの除去を提供する特徴は、シリングが、無菌状態を損なうことなく、片手だけでパッケージから取り出されるのを可能とする。」具体的には、「
図5および6を参照すると、ブリスタパッケージ30は、バッキング34に封止された柔軟ウェブ32を備え、バッキング34は、シリンジ12を包囲するための小室36を画定し、バッキング34の周囲に密封領域38を提供する。この密封領域38は、幅W1を有する近位領域シール40と、幅W2を有する遠位領域シール42と、幅W3を有するフランジ領域シール44と、を形成する。フランジ領域シールの幅W3は、シリンジが片手でパッケージから絞り出されるのを可能とするため、フランジ領域18で、遠位領域シールの幅W2と比較して実質的に減少させられる。」
【発明の概要】
【0007】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的または科学的用語は、本発明が属する技術における当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるのと近似するか、等価な方法および材料が、本発明の実施形態の運用および試験に使用されてもよいが、例示的な方法および/または材料が以下に説明される。矛盾がある場合は、定義を含め、本明細書の記載による。さらに、材料、方法および例示は、説明のためだけのものであり、必然的な限定を意図したものではない。
【0008】
本発明の幾つかの実施形態に係る一側面によれば、把持インタフェース、無菌性の針先を有する針、針先の無菌性を保護するカバーおよび粘着性の皮膚接触面を備える医薬投与装置を操作する方法が提供され、この方法は、装置の把持インタフェースを掴むことと、掴み続けながら、カバーを取り外すことと、掴み続けながら、装置を被験者の皮膚に粘着させることと、を含む。
【0009】
本発明の幾つかの実施形態では、取り外すことが、カバーを人の手を含まない固定具に固定することと、投与装置を固定具から引き離すことと、を含む。
【0010】
本発明の幾つかの実施形態では、針先が、皮膚接触面の背後に隠され、さらに、針先が、取り外した後に、隠された状態のままで残る。
【0011】
本発明の幾つかの実施形態では、カバーが、粘着性の皮膚接触面を覆う粘着ライナを備え、さらに、取り外すことが、粘着ライナを粘着性の皮膚接触面から剥がす。
【0012】
本発明の幾つかの実施形態では、投与装置が、制御インタフェースを備え、掴むことが、片手のうち、少なくとも1本の指を自由に保ちかつ制御インタフェースを操作可能な位置に置きながら、その片手で実行される。
【0013】
本発明の幾つかの実施形態では、制御インタフェースが、ボタンを備える。
【0014】
本発明の幾つかの実施形態では、この方法が、ボタンを粘着性の皮膚接触面に向けて押すことをさらに含む。
【0015】
本発明の幾つかの実施形態に係る一側面によれば、使用者が片手で医薬投与装置を準備する方法であって、装置が、把持インタフェースと、粘着性の皮膚接触面を有する無菌性の投与インタフェースと、投与インタフェースの少なくとも一部の無菌性を保持するカバーと、を備える方法が提供される。この方法は、医薬投与装置の把持インタフェースを、カバーにより投与インタフェースの無菌性を保護しながら、片手で掴むことと、カバーを、人の手を含まない固定具に固定することと、掴み続けながら、医薬投与装置を片手で固定具から引き離して、カバーを投与措置から分離させることと、を含む。
【0016】
本発明の幾つかの実施形態では、固定することが、カバーを口で保持することを含む。
【0017】
本発明の幾つかの実施形態では、投与インタフェースの少なくとも一部が、皮膚接触面の背後に隠された針先を有し、さらに、針先が、カバーが投与装置から分けられた後に、隠された状態のままで残る。
【0018】
本発明の幾つかの実施形態では、カバーが、粘着性の皮膚接触面を覆う粘着ライナを備え、さらに、引き離すことが、粘着ライナを粘着性の皮膚接触面から剥がす。
【0019】
本発明の幾つかの実施形態では、この方法が、掴み続けながら、皮膚接触面を被験者の皮膚に粘着させることをさらに含む。
【0020】
本発明の幾つかの実施形態では、掴むことが、医薬投与装置がパッケージの内部に少なくとも部分的にある間に実施され、この方法が、掴み続けながら、医薬投与装置を、固定することに先立ってパッケージから取り出すことをさらに含む。
【0021】
本発明の幾つかの実施形態では、この方法が、掴むことに先立ち、パッケージを片手で開けることと、この開けることの結果として、装置の把持インタフェースを露出させることと、をさらに含む。
【0022】
本発明の幾つかの実施形態では、投与装置が、制御インタフェースを備え、掴むことが、片手のうち、少なくとも1本の指を自由に保ちかつ制御インタフェースを操作可能な位置に置きながら、実行される。
【0023】
本発明の幾つかの実施形態に係る一側面によれば、被験者に薬剤を片手で投与するキットが提供され、このキットは、ウェアラブル型の医薬投与装置を備える。この投与装置は、当該装置を被験者の皮膚に粘着可能に構成された、粘着性の接触面と、両側の把持面を有し、両側の把持面のそれぞれが接触面に対して30度から150度の間の角度にある把持部と、把持面の間に配置されたユーザインタフェースと、装置を保持するパッケージであって、装置を、把持部およびユーザインタフェースが露出させられながら、粘着性の接触面が当該パッケージにより遮られた状態で保持するパッケージと、を備える。
【0024】
本発明の幾つかの実施形態では、このキットは、パッケージに対する蓋部をさらに備え、蓋部は、把持面を遮り、蓋部を取り外すことが、医薬投与装置を少なくとも部分的にパッケージの内部に残しながら、把持面を露出させる。
【0025】
本発明の幾つかの実施形態では、蓋部は、パッケージから片手で取外可能に構成され、粘着性の接触面を遮蔽する。
【0026】
本発明の幾つかの実施形態では、パッケージが、基部を備え、基部は、ユーザインタフェースがこの基部に対して10度から50度の間の角度にありながら、平坦な水平面上に安定して配置可能に構成される。
【0027】
本発明の幾つかの実施形態では、パッケージが、このパッケージと把持面のそれぞれとの間に、指を挿入可能な空間を有する。
【0028】
本発明の幾つかの実施形態では、装置が依然としてパッケージの内部にありながら、把持部を掴むことができるように投与装置を方向付けるための、パッケージの外側から視認可能な配向インジケータをさらに備える。
【0029】
本発明の幾つかの実施形態では、投与装置が、投与インタフェースを備え、このキットが、投与インタフェースと把持部とを分ける、無菌性の保護カバーをさらに備える。
【0030】
本発明の幾つかの実施形態では、投与インタフェースが、無菌性の針先を有し、保護カバーが、針カバーを備える。
【0031】
本発明の幾つかの実施形態では、針先が、粘着性の接触面の背後に隠される。
【0032】
本発明の幾つかの実施形態に係る一側面によれば、医薬投与装置の統合された使用のためのキットが提供される。このキットは、ウェアラブル型の医薬投与装置であって、当該装置をこれに面する手のひらで保持するための把持部を備える装置と、装置のうち、把持部とは反対側の、粘着性の接触面であって、装置を、被験者の皮膚に粘着可能に構成された接触面と、装置を保持するパッケージであって、装置を、把持部が露出させられながら、粘着性の接触面がこのパッケージにより遮られた状態で保持するパッケージと、を備え、パッケージが、使用者に対し、把持部を所定の指で保持するように促すガイドを備える。
【0033】
本発明の幾つかの実施形態では、把持部が、手の一組の指により保持される寸法および形状であり、ウェアラブル型の医薬投与装置が、その手の空いている指により、一組の指で把持部を掴みながら、制御可能な寸法および形状のユーザインタフェースをさらに備える。
【0034】
本発明の幾つかの実施形態では、ウェアラブル型の医薬投与装置が、手の空いている指により、一組の指で把持部を掴みながら、制御可能な寸法および形状のユーザインタフェースをさらに備える。
【0035】
本発明の幾つかの実施形態では、ウェアラブル型の医薬投与装置が、皮膚接触面から突出する準備インタフェースをさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明の幾つかの実施形態が、添付の図面を参照して、例示としてのみここに説明される。ここで、図面を詳細に参照するが、示される事項は、例示としてのものであり、本発明の実施形態の実例による説明のためであることが強調される。この意味において、図面とともになされる説明は、当業者に対し、本発明の実施形態がどのようにして実施可能であるかを明らかにする。
【0037】
【
図1A】
図1Aは、本発明の一実施形態に係る装置およびパッケージの概略図である。
【
図1B】
図1Bは、本発明の一実施形態に係る装置上での手の位置を変えることなく動作を実行する説明図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る医薬投与装置の使用における付加的な工程を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、開いたパッケージ内にある、本発明の一実施形態に係る医薬投与装置の斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明の幾つかの実施形態に係る医薬投与装置の、代替例の斜視図である。
【
図4B】
図4Bは、本発明の幾つかの実施形態に係る医薬投与装置の、代替例の斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る医薬投与装置のブロック図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係る投与装置の、針カバーおよび/または粘着ライナを外すことによる準備の斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態に係る医薬投与装置を準備する方法を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、パッケージ内にある、本発明の一実施形態に係る医薬投与装置を示す写真である。
【
図9】
図9は、パッケージの開封を、本発明の一実施形態に係る医薬投与装置とともに示す写真である。
【
図10】
図10は、本発明の一実施形態に係る医薬投与装置の、パッケージからの除去を示す写真である。
【
図11】
図11は、本発明の一実施形態に係る医薬投与装置の、被験者の身体上での配置を示す写真である。
【
図12】
図12は、本発明の一実施形態に係る注射器の状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、その幾つかの実施形態において、医療装置および装置の簡素化された使用方法に関し、より具体的には、他を排するものではなく、ウェアラブル型の医薬投与装置および/または装置をパッケージから直接的に把持し、単一の把持点によるかおよび/または片手だけを用いて医薬の投与を開始することによる、装置の使用方法に関する。
【0039】
(概要)
幾つかの実施形態では、ウェアラブル型の医薬投与装置は、使用者が、医療管理者の存在から離れて医薬を受けるのを可能とする。幾つかの場合において、ウェアラブル投与装置の使用は、医療施設からの患者のより早期の解放を可能とし得る。幾つかの場合において、早期の解放は、家庭および/または家および/または好ましい活動へ復帰する患者の生活の質を改善する。幾つかの場合において、早期の解放は、費用を節約し、例えば、入院期間(院内滞留時間)を短縮する。
【0040】
本発明の幾つかの実施形態に係る一側面は、片方の手の位置での展開によるウェアラブル型の医薬投与装置の統合的な使用に関する。出願人は、試作の薬剤投与装置による使用者調査を実施し、使用者のなかには、装置を使用する間に困惑する者がいることを見出した。出願人は、これらの問題の可能性のある原因が、展開の様々な段階での、装置の不適切な再配置であることを認識した。
【0041】
幾つかの適用では、医薬投与装置は、装置の展開における幾つかおよび/または全ての使用者工程、例えば、パッケージからの装置の取り出しから医薬の投与までの工程が、装置上での手の位置を変えることなく装置を保持しながら実行可能であるように、設計することができる。これに代えるかまたはこれに加え、使用者は、投与インタフェースの無菌性が守られている間に(例えば、装置を準備する前に)、装置を把持し、装置上での手の位置を変えることなく、(例えば、装置を投与部位に配置するまで)装置を引き続き保持することが可能である。任意に、装置の展開は、例えば、不適切および/または偶発的な展開を防止するため、様々な工程および/または使用者による点検を含むことがあり得る。任意に、工程および/または点検の全ては、パッケージから装置を取り出す前でも、片方の手の位置で装置を保持する間でも、実行することが可能である。
【0042】
幾つかの実施形態では、使用者の動作は、装置をそのパッケージから取り出す前に実行することが可能である。例えば、装置をパッケージから取り出す前でさえも、装置に対し、装置のパッケージを開けるのに応じて電源を導入することが可能である。例えば、投与装置の通信チャネルを、装置をそのパッケージから取り出す前に(例えば、装置は、無線ネットワークおよび/または計算/通信装置に対するペアリングが行われる)、初期化することが可能である。
【0043】
幾つかの実施形態では、使用者の動作は、装置上での手の位置を変えることを要求することなく、装置を保持している間に、実行することが可能である。例えば、幾つかの機能は、装置をパッケージから取り出すときに、自動的に実行することが可能である。例えば、バッテリアイソレータおよび/または針カバーおよび/または粘着ライナは、装置のパッケージに対し、装置をパッケージから取り出すことで、装置に電源を投入しおよび/または針カバーを外しおよび/または粘着ライナを外すことができるように、接続することが可能である。これに代えるかまたはこれに加え、装置は、磁気および/または近接スイッチを備えることが可能である。このスイッチは、任意に、装置がパッケージから取り出されたときに、電源を投入しおよび/または装置を初期化する。
【0044】
幾つかの実施形態では、使用者は、手の位置を変えることなく、装置を保持している間に、動作を実行する。例えば、装置の把持部は、使用者が、他の指をユーザインタフェースを操作可能に自由に保ちながら、手の幾つかの指で装置を掴むように、設計することが可能である。例えば、装置のユーザインタフェースは、装置上での手の位置を変えることなく、自由な指により操作することが可能である。
【0045】
幾つかの実施形態では、医薬投与装置は、慣性センサを備えることが可能であり、使用者は、装置を保持している間におよび/または装置上での手の位置を変えることなく、手を動かすことにより、装置を操作することが可能である。幾つかの実施形態では、医薬投与装置は、片手でおよび/または手を用いることなく操作される、ハンドフリーなユーザインタフェースを備えることが可能である。例えば、装置は、歯で引くことができおよび/または対象物に引っ掛けて引きおよび/または押すことができるハンドルを備えることが可能である。例えば、装置は、装置が表面、例えば、使用者の皮膚の注射領域に近付けられたときに感応する、近接センサを備えることが可能である。例えば、表面および/または注射領域の皮膚は、起動ボタンを押すための対向力として機能することが可能である。
【0046】
本発明の幾つかの実施形態に係る一側面は、片手で梱包から取り出し、準備しおよび/または起動させることが可能な、ウェアラブル型の医薬投与装置に関する。幾つかの場合において、新薬の開発は、使用者調査のための被験者を探すことの困難さにより遅れることがある。出願人は、幾つかの場合に、医薬の使用者調査に参加する用意があるものの、投与装置の使用者要件により妨げられている被験者が存在することを認識した。例えば、ウェアラブル投与装置は、装置の梱包を解き、装置を準備しおよび/または起動させるのに両手を要求することにより、使用者を、装置を展開可能な者に制限する場合がある。幾つかの実施形態では、本発明は、片手の使用に制限があるかまたは使うことができない者による、片手のみによる装置の使用を可能とし、使用者調査の被験者の発見を容易にする。
【0047】
幾つかの実施形態では、装置のパッケージは、片手での使用のために設定される。任意に、パッケージは、片手を用いて開けられるように設計される。例えば、パッケージは、平坦な表面上で支持なしで安定して置くことが可能である。例えば、片手開封式のインタフェースを、パッケージを平坦面上に置いている間に、露出させることができる。任意に、パッケージは、パッケージを開けると、装置をすぐに掴みおよび/またはパッケージから取り出すことができるするように、設計することが可能である。例えば、装置がパッケージから取り出されたのと同じ手の位置により、装置を、使用者により、手の位置を変えることなく注射部位に配置することが可能である。例えば、パッケージは、使用者に向かって装置の背側に存在しおよび/または装置がパッケージ内にある間に使用者が装置の周りに指を配置するための空間を有することが可能である。任意に、装置は、使用者が装置を掴んでいる間に、アクセス可能に、視認可能におよび/または(例えば、把持している手の空いている指により)動かされるように設計されたユーザインタフェースを備える。
【0048】
幾つかの実施形態では、ウェアラブル型の医療装置は、医薬投与装置を備えることが可能である。任意に、装置は、プリロード可能である。これに代えるかまたはこれに加え、医薬投与装置は、医薬カートリッジの片手による装填を容易にすることが可能である。幾つかの実施形態では、装置のプリロードは、装置の使用をより簡単なものとする。任意に、統合された片手の位置での操作に加え、プリロードにより、ユーザインタフェースを特に簡単なものとすることが可能である。これに代えるかまたはこれに加え、ウェアラブル型の装置は、注射器(例えば、パッチ注射器)、インフューザ、経皮性の投与装置および/または監視装置を備えることが可能である。幾つかの実施形態では、ウェアラブル型の医療装置は、一回のみの使用でありおよび/または自己投与式である。
【詳細な実施形態】
【0049】
本発明の少なくとも1つの実施形態について詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明で述べられ、図面に示されおよび/または例示される構造の詳細および要素の配置および/または方法に必然的に限定されるものではないことを理解すべきである。本発明は、他の実施形態であることが可能であり、多様な方法で実施し、実行することができる。
【0050】
(統合されおよび/または片手による医薬投与装置の使用)
図1Bは、本発明の一実施形態に係る、統合された医薬投与システムの概略図である。幾つかの実施形態では、装置および/またはパッケージは、装置の正しい把持を促すように設計することが可能である。任意に、装置は、統合された取り扱いが予定される。例えば、装置は、装置の使用中および/または装置をパッケージから取り出す際および/または装置を準備する際および/または装置を投与部位に宛がう際および/または装置を起動させる際に、統合された手の配置(例えば、装置上での1回の把持を維持する)を許容するように設計することが可能である。
【0051】
幾つかの実施形態では、パッケージ130は、使用者が使用に際して装置100の向きを直感的に合わせることの助けとなる態様で、装置100を表示することが可能である。例えば、ユーザインタフェース115および/またはディスプレイ116bを、パッケージ130から使用者に対して露出させることができる。これに加えるかまたはこれに代え、装置100のハンドル108aを、パッケージ130から使用者に対して露出させることもできる。例えば、ハンドル108aは、把持面108aおよび/または108bを有することが可能である。
【0052】
幾つかの実施形態では、ハンドル108aおよび/または装置100をパッケージ130から取り出す際に装置を把持する方法は、装置の統合された使用を容易にすることが可能である。例えば、この把持が、装置100をパッケージ130から取り出すこと、装置100を準備することおよび/または装置100を使用することを統合する。例えば、ハンドル108aは、幾つかの指(例えば、片手のうち、親指および3本の小さな指)の間に把持されるように構成することが可能である(例えば、ハンドルは、両側に把持面を有することが可能である)。任意に、この把持は、手の指(例えば、人差し指)を、ユーザインタフェース115上の制御部116a(例えば、ボタン)を自由に操作可能なままにする。例えば、制御部116aは、他の指でハンドル108aを保持する間に、人差し指によりアクセス可能な位置に配置することが可能である。例えば、このことは、装置100をパッケージ130から取り出しおよび/または手の位置を変えることなく装置100を起動させるのを容易にする。
【0053】
幾つかの実施形態では、パッケージ130は、ガイド(例えば、指ガイド124aおよび124b)を備え、装置100の正しい取り扱いを促すことが可能である。例えば、ガイド(例えば、ガイド124aおよび/または124b)は、使用者に対し、ハンドル108aを把持する際に、正しい指を正しい位置に配置するように促すことができる。例えば、装置100は、両側に把持面を有するハンドル108aを備えることが可能である。任意に、第1のガイド124aは、使用者に対し、把持面の一方に親指を載せるように促し、第2のガイド124bは、使用者に対し、他方の把持面に3本の小さな指を載せるように促す。
【0054】
幾つかの実施形態では、ユーザインタフェースは、ハンドル108aと統合されたインジケータ(例えば、ディスプレイ116b)を備えることが可能である。例えば、ディスプレイ116bは、使用者がハンドル108aを保持している間にディスプレイ116bを見ることができるように配置することが可能である。例えば、このことは、手の位置を変えることなく装置100をパッケージ130から取り出しおよび使用を継続しおよび/または装置100を監視するのを容易にする。例えば、ディスプレイ116bおよび/または制御部116aは、0.1から1cmの間および/または1から4cmの間および/または4から10cmの間の寸法だけ、ハンドル108aの手前に配置することが可能である。
【0055】
幾つかの実施形態では、装置100は、装置の取り扱い、例えば、パッケージ130からの取り出しおよび/または装置の準備と統合可能に構成された投与インタフェース113を備えることが可能である。例えば、投与インタフェース113は、皮下注射針および/または粘着皮膚接触面を備えることが可能である。任意に、投与インタフェース113は、プロテクタ109により保護されてもよい。例えば、投与インタフェースは、例えば、針キャップおよび/または粘着ライナおよび/または起動を抑制するロック機構により、異物の混入および/または尚早な起動から保護される。任意に、準備インタフェース110は、パッケージ130により保護することが可能である。例えば、準備インタフェース110は、装置100のうち、装置がパッケージから取り出されるまでパッケージ130により覆われる部分に、任意に配置される。例えば、準備インタフェースは、装置100の露出部分、例えば、ユーザディスプレイ116bおよび/または起動制御部116aとは反対側に配置することが可能である。これに代え、投与インタフェースを、パッケージにより直接的に保護することが可能である。任意に、例えば、装置をパッケージから取り出すことにより、装置を準備することが可能である。
【0056】
幾つかの実施形態では、装置100および/またはパッケージ130の構造は、装置の正しい準備および/または使用と統合することが可能である。例えば、パッケージ130により、準備インタフェース全体を被覆することが可能である。任意に、このことにより、装置100がパッケージ130から取り出される前の、尚早な準備を禁止することが可能である。任意に、準備インタフェース110は、装置をパッケージ130から取り出す場合に、使用者が装置100のハンドル108aを把持しながら、装置100を容易に準備可能に構成される。例えば、準備インタフェース110は、ハンドル108aを片手で保持しながら、容易に引くことができる大型の準備ハンドルを備えることが可能である。例えば、準備ハンドルは、他方の手および/または歯(例えば、歯を用いて装置100を準備することは、片手による装置100の使用を容易にし得る)で引くことが可能である。任意に、準備インタフェース110の位置は、ハンドル108aを保持しながらのアクセスを容易にし得る。例えば、準備インタフェース110は、ハンドル108aを把持する手のひらの反対側に配置することが可能であり、準備インタフェースは、例えば、準備インタフェース110に届き易くするため、装置100のハウジングから距離を空けることが可能である。任意に、装置100は、起動ロックを備える。例えば、起動ロックは、装置の尚早の起動を抑制することが可能である(例えば、起動制御部116aの起動を抑制することによる)。任意に、準備インタフェースにより、起動ロック112を、装置の準備が済むまでロックの解除がされないように阻害することが可能である。
【0057】
幾つかの実施形態では、起動ロック112は、装置100の皮膚接触面の一部であることが可能である。任意に、使用者は、ハンドル108aを保持しおよび/または準備インタフェース110を働かせる間に、起動ロック112を解除することが禁止される。例えば、ロック112は、皮膚接触面が注射部位に接する場合に、準備の後に解放することが可能である。
【0058】
図1Aは、装置上での手の位置を変えることなく動作を達成するための、本発明の一実施形態に係る様々な方法を示す概略図である。幾つかの実施形態では、医薬投与装置は、封を解いてから使用を終えるまでの統合された動作を想定して設計することが可能である。例えば、装置は、直観的な方法で把持され、準備および/または医薬の投与を通じて同じ手の位置に保持される。例えば、装置を初めに把持した(108d)後に行われる動作111は、装置上での手の位置を変えることを必要とせずに、達成することが可能である。
【0059】
幾つかの実施形態では、装置を把持する(108d)前に、様々な動作を実行することが可能である。例えば、装置は、パッケージ外から、例えば、磁気スイッチを用いおよび/またはパッケージ外のユーザインタフェースを介して電源を投入することが可能である。任意に、パッケージは、装置がパッケージ内に残りながら、装置のユーザインタフェースに対するアクセスを許容するように設計することが可能である。例えば、バッテリアイソレータをパッケージから突出させ、使用者は、装置をパッケージから取り出す前に、そのバッテリアイソレータを引いて、装置に電源を投入することが可能である。これに代えるかまたはこれに加え、パッケージを開けることが、予備動作102を生じさせてもよい。
【0060】
幾つかの実施形態では、装置が初めに把持されるときに(111)、装置は、これを皮膚上に置く(112’)際に用いられる手の位置で把持される(111)。任意に、装置のパッケージは、装置を正しく把持する(111)のを容易にするように構成される。例えば、装置は、使用者に対し、使用者に対して露出された把持面とともに提供することが可能であり、パッケージは、装置の正しい把持(108d)のため、装置の周りに、使用者の指を配置する空間を有することが可能である。これに代えるかまたはこれに加え、パッケージは、使用者に対し、装置を適切な方向に向けおよび/または正しく把持する(108d)ことを促すインジケータを備えることが可能である。例えば、パッケージは、装置を把持する(108d)際にパッケージが正しく方向付けられた場合にのみ、上下が正しく現れる言葉および/またはシンボルを備えることが可能である。例えば、パッケージは、装置が正しい上下関係にある場合に、平坦面上に安定して載置可能な基部を備えることが可能である。例えば、パッケージは、透明であってもよいし、パッケージが正しく方向付けられた場合に、使用者が装置のユーザインタフェースを目視可能とする窓を有してもよい。例えば、装置は、パッケージが正しく方向付けられた場合に、使用者に向けて傾いてもよく、パッケージの向きが正しくない場合に、使用者から離れる向きに傾いてもよい。例えば、装置は、基部に対して5から10度の間および/または基部に対して10から30度の間および/または基部に対して30から45度の間および/または基部に対して45から60度の間および/または基部に対して60から80度の間および/または基部に対して80から90の間の範囲に及ぶ角度で支持することが可能である。
【0061】
幾つかの実施形態では、装置は、装置を初めに把持した後に実行される動作を、装置上での初めの手の位置を変えることなく行うことができるように構成される。
【0062】
(装置を使用する際の付加的な工程)
図2は、本発明の一実施形態に係る医薬投与装置の使用における付加的な工程を示すフローチャートである。幾つかの実施形態では、これらの工程の全てまたは幾つかを設けることが可能である。幾つかの実施形態では、これらの工程の1つが設けられなくてもよい。任意に、幾つかの工程は、薬剤を受ける被験者および/または他の人、例えば、個人アシスタントおよび/または医療従事者により、達成されてもよい。
【0063】
幾つかの実施形態では、パッケージは、パッケージを開ける前に、特定の向きに方向付けられる(201)。任意に、パッケージは、(例えば、
図3に示されるように)使用者がパッケージを正しく方向付ける(201)ように促すように、設計することが可能である。例えば、パッケージは、平坦面上で安定するのが1つの側面のみであってもよいし、平坦面上で安定する、限られた数の側面を有してもよい。任意に、パッケージは、正しい向きが使用者にとって明らかである、例えば、
図8に示されるようなシンボル(例えば、文字、数字および/または図柄)を有することが可能である。任意に、パッケージは、装置が正しく方向付けられた場合に(201)、使用者が透視可能な窓またはディスプレイを備えることが可能である。例えば、装置は、(例えば、
図9に示されるように)パッケージを介して目で見ることが可能である。任意に、装置は、パッケージが正しく方向付けられた場合に(201)、(例えば、
図3に示されるように)装置が使用者に向けて傾き、パッケージの向きが正しくない場合に、装置が使用者から離れる向きに傾くように、傾斜を付することが可能である。幾つかの実施形態では、パッケージの開封機構(例えば、タブおよび/またはプルコードおよび/または解除ボタンおよび/またはティアタブ(tear tab))は、パッケージが正しく方向付けられた場合に(201)、使用者に対して容易にアクセス可能であり、装置が正しく方向付けられていない場合は、使用者に対するアクセスの容易さは、低い。任意に、パッケージを開封する前の予備動作は、使用者および/またはパッケージの正しい方向付け(201)を要求する。例えば、使用者は、パッケージを開封する前に、パッケージ上のバーコードを記録するように指示される。例えば、正しい方向付け(201)により、使用者に対し、このバーコードが目視可能となる。
【0064】
幾つかの実施形態では、投与装置を把持する(208)前に、特定の活動が準備される(202)。任意に、活動は、装置を把持しながら(208)実行するのが困難であり、投与装置上での手の位置を変えることを要求しがちであり、装置を把持する(208)前に、実行される(202)。任意に、準備(202)は、装置のパッケージを開ける(203)前であることが可能である。これに代えるかまたはこれに加え、準備(202)は、装置を把持する(208)前であるが、パッケージを開けた(203)後であってもよい。例えば、準備(202)は、通信装置を、投与装置とのペアとするように準備することを含んでもよい。例えば、通信装置にコードを入力しおよび/または通信装置にプログラムを読み込ませることが可能である。例えば、通信装置にコードを入力することは、手動でコードを入力することおよび/またはパッケージおよび/または装置上に印刷されたコードを撮影することを含んでもよい。装置上のコードを撮影することは、(例えば、パッケージの窓を介して)パッケージを開封する(203)前に行うか、パッケージの開封(203)後に行うことが可能である。
【0065】
幾つかの実施形態では、準備(202)は、薬剤の被験者を準備することを含む場合がある。例えば、皮膚上の注射領域を露出させ、例えば、防腐性のスワブにより洗浄することが可能である。例えば、患者の準備は、パッケージを開ける前に行うことが可能である。これに代えるかまたはこれに加え、装置は、キットとして梱包することが可能である。例えば、キットは、例えば、防腐性のスワブを含む、患者が準備するキットであってもよい。例えば、キットを開封し(203)、準備の材料を取り出し、患者による準備を実行し、そして、装置を把持し(208)および/またはパッケージから取り出すことが可能である(207)。
【0066】
幾つかの実施形態では、装置は、装置が把持される(208)前および/または装置がパッケージから取り出される前に、電源を投入することが可能である(204)。例えば、投与装置は、当該装置が収まるパッケージを開封する前に、電源を投入することが可能である。例えば、装置は、例えば、磁気スイッチを用いて、遠隔的に電源を投入することが可能である。これに代えるかまたはこれに加え、装置のバッテリアイソレータをパッケージから突出させ、このバッテリアイソレータをパッケージ外から引き抜くことにより、装置に電源を投入することが可能である。これに代えるかまたはこれに加え、装置は、パッケージが開封されたときに、自動的に電源を投入することが可能である(例えば、
図3に示されるように、バッテリアイソレータをパッケージの蓋部に取り付けることによる)。これに代えるかまたはこれに加え、装置は、装置を把持し(208)および/または装置をパッケージから取り出す前であるが、パッケージを開いた後に、電源を投入することが可能である。例えば、装置が開いたパッケージ内にありながら、ボタンを装置上で押しおよび/またはバッテリアイソレータを装置から引き抜くことが可能である。
【0067】
幾つかの実施形態では、装置は、把持に備えて準備することが可能である(206)。例えば、パッケージを、(例えば、
図3に示されるように)装置の把持面を露出させおよび/または容易に把持(208)のために位置させるように設計することが可能である。任意に、パッケージは、把持に用いられない表面を被覆する。任意に、(例えば、
図3に示されるような)パッケージからの装置の正しい把持のため、使用者の手および/または指の配置を指示する空間または目印が提供される。
【0068】
幾つかの実施形態では、装置は、被験者の身体上での装置の配置(212)および/または装置の起動(216)に使用される手の位置を用いて把持される。任意に、装置は、(例えば、
図10および11に示されるように)把持しながらおよび/または装置上での手の位置を変えることなく、パッケージから取り出される(207)。
【0069】
幾つかの実施形態では、装置は、準備される(210)。任意に、準備(210)は、装置をパッケージから取り出した(207)後に、手の位置を変えることなく実行される。これに代えるかまたはこれに加え、準備は、把持し(208)および/または装置をそのパッケージから取り出す(207)前に、実行することが可能である。例えば、装置を準備することは、滅菌済みのカバー、例えば、(例えば、
図6に示されるように)注射器の針カバーおよび/または粘着ライナを取り外すことを含むことが可能である。幾つかの実施形態では、滅菌カバーは、装置の投与インタフェース(例えば、インタフェースの無菌部および/または面)の滅菌性を保護する。任意に、外部パッケージは、滅菌性を維持する必要はない。例えば、非滅菌のパッケージは、滅菌性のパッケージに比べ、嵩張ることがなく、容易に開封可能であり、容易に方向付け可能である。
【0070】
幾つかの実施形態では、投与装置は、被験者の皮膚上に置くことが可能である。任意に、装置を把持し(208)および/または装置をパッケージから取り出す(207)のに用いられる手の位置は、変更されずおよび/または(例えば、
図10および11に示されるように)装置を注射部位に置く(212)のに使用することも可能である。
【0071】
幾つかの実施形態では、医薬投与装置は、装置をパッケージから把持した(208)際と同じ手の位置を用いて保持しながら、ロックを解除する(214)ことが可能である。例えば、投与装置は、装置のロックを解除する(214)ための所定の工程が、正しい順序で行われない場合の、針の繰り出しおよび/または薬剤の投与を防止する安全機能を備えることが可能である。例えば、ロックの解除を、装置の特定の動作により(例えば、慣性センサを用いて)および/または注射部位への近接により(例えば、皮膚センサを用いて)生じさせることで、(例えば、
図6に示されるように)装置を注射部位に置いた(212)ときに、装置のロックを解除することが可能である。
【0072】
幾つかの実施形態では、装置が使用者により把持されている(208)間に、装置を起動させる(216)ことができる。任意に、装置は、使用者の手の指の幾つかで把持し(208)および/または他の指、つまり、同じ手の空いている指を用いて起動させる(216)ことが可能である。例えば、空いている指は、ユーザインタフェースを操作するのに用いることが可能である。例えば、装置は、(例えば、
図11に示されるように)ユーザインタフェースの操作および/または装置の起動(216)のために人差し指を空けたまま残しながら、親指と中指、薬指および/または小指の1つ以上との間で把持する(208)ことが可能である。例えば、装置は、ユーザインタフェースの操作および/または装置の起動(216)のために親指を空けたまま残しながら、中指、薬指、小指および人差し指の1つ以上により把持することが可能である。例えば、装置は、(例えば、
図4に示されるように)ユーザインタフェースの操作および/または装置の起動(216)のために人差し指を空けたまま残しながら、中指、薬指および小指の1つ以上により把持する(208)ことが可能である。これに代えるかまたはこれに加え、装置は、装置を手全体で皮膚に押し付けること等の、より全体的な動作によりおよび/または装置を把持している一群の指で操作することにより(例えば、把持部を捻りおよび/または把持部を皮膚に向けて押しおよび/または把持部を掴みおよび/または装置を掴み)、起動させる(216)ことが可能である。これに代えるかまたはこれに加え、装置が皮膚上に置かれると(212)、使用者は、手の位置を変えることが可能である。例えば、装置は、体に貼り付けることが可能であり、使用者は、その後、手を放しおよび/または装置を起動させる(216)ことができる。
【0073】
幾つかの実施形態では、装置のユーザインタフェースは、装置を起動させるためのボタンを備えることが可能である。これに代えるかまたはこれに加え、ユーザインタフェースは、ディスプレイ(例えば、スクリーンおよび/または光および/またはウィンドウ)を、ディスプレイを目視可能な状態で装置を保持するのを使用者に促す位置に備えることが可能である(例えば、ディスプレイを覆わないように、使用者による装置の把持(208)を指示する)。任意に、パッケージおよび/または装置を方向付けること(201)は、ディスプレイを使用者の目に向けさせるように行うことが可能である。
【0074】
幾つかの実施形態では、装置は、動作を停止させることができる(218)。例えば、装置は、所定の服用量の薬剤を投与し終えた場合および/または投与に欠陥が生じた場合に、自動的に動作を停止させる(218)ことが可能である。これに代えるかまたはこれに加え、装置は、皮膚から取り去られた(222)場合に、自動的に動作を停止させてもよい(218)。これに代えるかまたはこれに加え、使用者は、装置を、手動で停止させることも可能である。任意に、動作の停止(218)は、使用者が装置をそのパッケージから初めに把持した(208)際と同じ手の位置で装置を把持している間に、生じさせることが可能である。例えば、使用者は、装置を初めに把持した(208)際と同じ手の位置で装置を把持しながら、装置を皮膚から引き離すことが可能である。例えば、使用者は、装置を初めに把持した(208)際と同じ手の位置で装置を把持しながら、ユーザインタフェースを制御することが可能である。
【0075】
幾つかの実施形態では、装置は、皮膚から取り外す(222)ことが可能である。任意に、取り外し(222)は、動作の停止(218)後である。これに代えるかまたはこれに加え、取り外しは、動作の停止(218)前である。幾つかの実施形態では、装置は、投与の終わりおよび/または装置の動作を停止させたとき(218)および/または装置が取り外されたとき(222)および/または使用者の動作に応じて、(例えば、針を遮蔽しまたは退避させることにより)保護する(220)ことが可能である。
【0076】
所与の実施形態では、幾つかまたは全てを備えることが可能である。
【0077】
把持する前および/またはグリップを変えることなく把持する間に、達成することが可能である。
【0078】
装置および/またはパッケージの例示的な実施形態である。
【0079】
図3は、本発明の一実施形態に係る薬投与装置を、パッケージが開いた状態で使用者に提供する斜視図である。任意に、パッケージは、片手で開けられるように構成される。任意に、パッケージは、正しい方向付けが促されるように構成される。任意に、パッケージは、装置が正しく把持されるように構成される。任意に、装置は、パッケージの開封から起動までの単一の手の位置による取り扱いを想定して設計される。幾つかの実施形態では、準備動作は、パッケージを開封する前および/または装置を把持する前に、実行することが可能である。
【0080】
幾つかの実施形態では、パッケージ330は、片手を用いるユーザインタフェースを備える。例えば、ユーザインタフェースは、パッケージの蓋部303と本体331とのそれぞれに、タブ326aおよび326bを備えることが可能である。任意に、蓋部303は、ヒンジ332により本体331に接続することが可能である。
図3は、開いた状態にあるパッケージ330を示す。幾つかの実施形態では、閉じた状態において、蓋部303は、蓋部303のタブ326aが本体331のタブ326bの横に位置させられるまで、ヒンジ332を中心として回転させられる。任意に、パッケージ330を開ける前に、パッケージ330は、平坦な表面328上に置かれる。幾つかの実施形態では、パッケージは、鉛直方向の配向(例えば、
図8に示されるように、パッケージのいずれの側が下向きに方向付けられるべきか)の、使用者による認識を助けるインジケータを備える。例えば、パッケージ330は、底部301が下向きに方向付けられるべきであることを、使用者333が認識するのを助けるように形状が付与される。例えば、底部301は、平坦でありおよび/または平坦面328上で安定する。任意に、パッケージ330の他の表面が、それらが表面328上で正しく置かれておらずおよび/または基部ではないことを使用者が直観的に認識することができるように、湾曲しおよび/または傾斜する。これに代えるかまたはこれに加え、シンボル(例えば、矢印)をパッケージ330上に印刷し、いずれの側が下に向くかを表示することが可能である。これに代えるかまたはこれに加え、パッケージ330が使用者に対して正しく方向付けられた場合に、(例えば、
図8および9のラベル852により示されるように)使用者に対して目視可能であり、読み易くおよび/または正しく方向付けられるように、ラベルを配置することが可能である。
【0081】
幾つかの実施形態では、パッケージ330が依然として閉じている間に、パッケージ330が、使用者333に向けて方向付けられたヒンジ332により、水平面内で方向付けられる(使用者333の凡その位置および/または向きが、
図3に模式的に示される)。例えば、
図8および9には、閉じたパッケージが、使用者333の位置および/または使用者333に対向するタブ326aおよび326bの模式的な表示とともに示されている。パッケージは、任意に、水平方向の向きのインジケータを備える。例えば、水平方向の向きは、装置が正しく方向付けられた場合に、正しい上下関係で現れる文字および/またはシンボルにより示すことが可能である。これに代えるかまたはこれに加え、投与装置は、使用者333にとってパッケージ330を介して目視可能とすることができる(例えば、パッケージ330は、窓を備えることが可能であるし、パッケージ330は、例えば、
図9に示されるように、透明とすることも可能である)。例えば、使用者333に対し、パッケージ330が水平面内で正しく方向付けられた場合に、投与装置は、使用者333の顔に向かう面を伴って傾斜することが可能である(例えば、パッケージ330が正しく方向付けられた場合に、使用者333に近い投与装置の端部335aが、下向きに傾き、使用者333から遠い端部335bが、上向きに傾く)。
【0082】
タブ326aを1本の指で押し、タブ326bを他の指で反対方向に押すことにより、使用者333は、(例えば、
図9に示されるように)パッケージ330を片手で開けることが可能である。例えば、パッケージ330は、非殺菌のパッケージであってもよい。任意に、パッケージ330を開けるのに、滅菌シールを破かなくてもよい。
【0083】
幾つかの実施形態では、パッケージ330の蓋部303に、バッテリアイソレータ304が取り付けられる。例えば、パッケージ330が開けられるときに、バッテリアイソレータ304が、投与装置から蓋部303により引き抜かれ、装置に電源を投入する。これに代えるかまたはこれに加え、バッテリアイソレータは、パッケージ330のスリットから突き出ることが可能であり、装置は、遠隔制御により電源を投入することが可能である。例えば、装置は、パッケージを開ける前に、電源を投入することが可能である。これに代えるかまたはこれに加え、バッテリアイソレータ304は、蓋部303に接続されなくてもよい。これに代えるかまたはこれに加え、装置は、パッケージ330を開けた後および/または投与装置をパッケージ330の本体331から取り出す前に、電源を投入することが可能である。例えば、バッテリアイソレータは、使用者により、装置から直接的に引き抜くことが可能であり、パッケージ330を開けた後に、装置に電源を投入することができる。これに代えるかまたはこれに加え、装置は、パッケージの本体331からの装置の取り出し後に、電源を投入することが可能である。例えば、バッテリアイソレータは、使用者が装置を把持している間および/または装置がパッケージ330の本体331から取り出された後に、引き抜くことが可能である。例えば、バッテリアイソレータは、装置を把持している間に取り外されるハンドル(例えば、針カバー取外ハンドル310)につながれてもよい。
【0084】
幾つかの実施形態では、パッケージは、使用者が、装置の使用(例えば、被験者の皮膚上での配置)が整った位置で、医薬投与装置(例えば、パッチ注射器)を把持しおよび/またはパッケージから取り出すのを容易にするように構成される。例えば、パッケージ330の基部301が水平方向に平坦な表面328上に置かれるときおよび/またはパッケージ330が開けられるときに、投与装置は、皮膚接触面がパッケージの本体331内に臨んだ状態で、パッケージの本体331に配置される。任意に、使用者333がパッケージの本体331から装置を把持するときに、皮膚接触面312が、使用者の手により遮られることがない。例えば、パッケージ330は、装置の周りでの指の正しい配置を促すように構成された隙間324a、324bおよび/または324cを有する。
【0085】
幾つかの実施形態では、使用者により把持することが意図されていない装置上の箇所は、任意に、パッケージに沈み込ませられおよび/またはパッケージにより遮られる。例えば、
図4の例示的な装置は、装置の後端335aとパッケージ330の後方壁部との間の空間的な余裕が少ない状態で(例えば、1cm未満および/または0.1cm未満)、梱包される。このような梱包によれば、指を不適切に配置すること(例えば、装置の背後に置くこと)が禁止される。
【0086】
幾つかの実施形態では、使用者により把持されることが意図された位置が、任意に、パッケージから延出しおよび/またはそれとパッケージとの間に空間を有する。例えば、
図4の例示的な装置は、装置の把持面308とパッケージ330の壁部との間に(例えば、1cmより大きくおよび/または0.1cmよりも大きな)空間を伴って梱包される。このような梱包は、指の正しい配置(例えば、把持面308で曲げる)を促す。任意に、(例えば、
図3および/または
図11の例示的な装置の前部に向けた)親指を置くための位置は、小指で掴むことが意味された位置(例えば、
図3および/または
図11の例示的な装置の把持面308の背面)よりも、より大きな空間を有する。例えば、親指のための領域は、1から1.3の間および/または1.3から1.6の間および/または1.6から2の間および/または2から5の間の倍数で大きくすることが可能である。
【0087】
幾つかの実施形態では、把持面は、容易な把持を促すように設計される。例えば、表面308は、把持することを促進可能な手触りが付与される(例えば、表面308は、ざらざらしている)。任意に、把持面は、容易に把持することが考慮される。例えば、表面308は、使用者333から離れるように僅かに傾斜しおよび/または2つの側面から装置を把持するための第2の表面の反対側に配置される。これに代えるかまたはこれに加え、把持することが意図されていない表面は、把持させないように構成することが可能である。例えば、
図3および
図11の例示的な装置の前端を、滑らかでありおよび/または突き出ておりおよび/または容易に把持される反対側の表面に対して接していない。任意に、把持面は、5から10度の間および/または10から30度の間および/または30から50度の間および/または50から80度の間および/または80から85度の間の範囲に及ぶ角度だけ、水平方向および/または装置の基部に対して傾斜する。
【0088】
幾つかの実施形態では、ユーザインタフェースは、空いている指により起動可能に配置される。例えば、起動ボタン316aは、使用者333が、(例えば、
図11に示されるように)他の指と親指との間で表面308を把持しながら、人差し指によりアクセス可能に配置される。幾つかの実施形態では、ユーザインタフェース上での自由な指の使用は、使用者が、片手を用いて、装置を同時に保持しおよび/または起動させることを許容する。任意に、装置は、インジケータを備える。例えば、装置は、状態ウィンドウ316bを備えることが可能である。例えば、この状態ウィンドウは、薬剤リザーバおよび/またはプランジャの位置および/またはコード化された状態インジケータ(例えば、LED)を示すことが可能である。任意に、インジケータ316b(例えば、装置の薬剤リザーバを露出させる窓)は、装置が正しく方向付けられおよび/またはパッケージが開けられおよび/または使用者が装置を把持している間に、使用者333に対して目視可能である。これに加えるかまたはこれに代え、インジケータ316bは、パッケージが閉じられているときに、例えば、(例えば、
図8に示されるように)蓋部303の透明な部分を介して目視可能である。
【0089】
幾つかの実施形態では、ユーザインタフェースは、粗大動作および/または周縁および/または使用者の手以外の対象物により起動可能に構成される。例えば、装置の制御部310は、使用者の手以外の対象物、例えば、歯の間に固定するか、静止物(例えば、外套用のフックおよび/またはドアハンドル)に引っ掛けることができるように構成することが可能である。例えば、医薬投与装置は、針カバーおよび/または粘着ライナ309(例えば、
図6に示されるような針カバー609aおよび/または粘着ライナ609b)を取り外すことにより、準備することが可能である。任意に、制御部310は、大型のリングを備える。このリングは、針カバーおよび/または粘着保護具を取り外すため、任意に、使用者がリングから離すように装置を引く間に、固定される。これに代えるかまたはこれに加え、動作は、粗大運動動作、例えば、装置を表面に押し付けることにより生じさせることが可能である。例えば、安全ラッチを、投与装置の皮膚接触面312に接続することが可能である。皮膚接触面312が被験者の皮膚に押し付けられると、安全ラッチが、皮膚センサとして付加的に作動しおよび/または針挿入機構のロックを解除する。皮膚接触面312を被験者の皮膚(例えば、注射領域)に押し付けることは、任意に、指を装置から外すことなく装置を保持するのに手を用いながら、実行される。
【0090】
図4Aは、本発明の一実施形態に係る医薬投与装置の代替例の斜視図である。例えば、
図4Aの装置は、装置から離れる方向に延在する把持部408aと、バー408aを指で保持している間に親指で押すことができるように構成された(例えば、蒸気アイロンの蒸気ボタンと同様の)ボタン416aと、を備える。任意に、把持部408aは、投与装置を皮膚に粘着させた後に、装置から取り外すことが可能である。これに代えるかまたはこれに加え、投与装置は、ピストル型の把持部および/またはトリガを備えることが可能である。
【0091】
図4Bは、本発明の一実施形態に係る医薬投与装置の代替例の斜視図である。例えば、
図4Bの装置は、装置の背面(例えば、皮膚接触面312の反対側)に取り付けられたハンドストラップ408bを備える。任意に、ストラップ408bは、使用者の手がストラップにより拘束されながら、使用者の親指が自由な状態にありおよび/またはボタン316aを押圧可能な位置にあるように配置される。
【0092】
(パッチ注射器)
図5は、本発明の一実施形態に係る医薬投与装置を示すブロック図である。幾つかの実施形態では、パッケージ530は、搬送の間に、投与装置を保護し、使用者に対し、装置の開封、把持および使用が統合される方法で装置を提供可能に構成される。任意に、装置は、把持部および/または強調的な方法による(例えば、片手による、装置を把持する手の位置を変えることのない)パッケージからの取り出し、装置の準備および/または装置の使用を許容する制御インタフェースを備えることが可能である。任意に、パッケージおよび/または装置は、両側性を有し、どちらの手で使用することも可能である。幾つかの実施形態では、パッケージは、装置の無菌性を保護することが可能である。これに代えるかまたはこれに加え、パッケージは、無菌性を保護しなくてもよい(例えば、投与装置は、例えば、
図6に示されるような針カバーおよび/または粘着ライナを含む、それ自体の無菌保護具を備えることが可能である)。
【0093】
幾つかの実施形態では、投与装置は、把持部508(例えば、把持面を有する)を備える。任意に、把持部508は、(例えば、パッケージの開封後)装置が依然としてパッケージ内にある間に、使用者に対して突出させられる。任意に、装置は、ユーザインタフェース516を備える。例えば、ユーザインタフェース516は、インジケータおよび制御部を備えることが可能であり、使用者は、インジケータにより、装置の状態を判断することができ、制御部により、装置を制御することができる。任意に、ユーザインタフェース516は、使用者が把持部508を把持しながら使用可能に構成される。例えば、使用者が把持部508を把持している間に、インジケータ(例えば、薬剤リザーバを示すディスプレイおよび/またはウィンドウ)は、使用者にとって目視可能である。例えば、使用者が把持部508を把持している間に、制御部(例えば、起動ボタン)は、使用者に対し、(例えば、把持部508を把持している手の空いている指を用いるか、他の手段によりおよび/または他の対象物を用いて)アクセス可能である。任意に、インジケータは、装置がパッケージ内にありながら、使用者に対して露出させることが可能でる。例えば、状態ウィンドウは、(例えば、
図7に示されるように)透明なパッケージ530を介しておよび/またはパッケージ530の窓を介して目で見ることができる。
【0094】
幾つかの実施形態では、医薬投与装置は、投与インタフェース513を備える。例えば、薬剤は、例えば、被験者の皮膚の一部を含む投与部位で、投与することが可能である。任意に、インタフェース513は、(例えば、
図6に示されるように)皮膚接触面512を有する。例えば、皮膚接触面512は、粘着剤を有することが可能である。例えば、インタフェースを513は、皮下注射針を備えることが可能である。幾つかの実施形態では、投与インタフェース513は、パッケージ530により保護されおよび/または被覆される。例えば、インタフェース513は、搬送および/または取り扱い中の損傷から保護することが可能である。例えば、使用者は、パッケージ530を開けた後および/または把持部508を把持する前に、インタフェース513を掴みおよび/またはインタフェース513を遮ることが禁止される。
【0095】
幾つかの実施形態では、医薬投与装置は、投与インタフェース保護具509を備える。例えば、投与インタフェース保護具509は、針キャップ(例えば、
図6に示されるようなキャップ609a)を備えることが可能である。例えば、投与インタフェース保護具509は、粘着カバー(例えば、
図6に示されるような粘着ライナ609b)を備えることが可能である。例えば、保護具509は、装置の無菌部と装置の非無菌部とを分けることが可能である。例えば、投与インタフェースは、無菌状態に保持しおよび/または装置の非無菌部から隔離することが可能である。例えば、装置のユーザインタフェースおよび/または外面および/または非滅菌のパッケージは、保護具509により、無菌部から分離しおよび/または隔離することが可能である。幾つかの実施形態では、投与インタフェース保護具590は、パッケージ530により保護されおよび/または被覆される。例えば、保護具509は、搬送および/または取り扱い中の損傷から保護することが可能である。例えば、保護具509は、装置がパッケージ530から取り出される前の、インタフェース513からの当該保護具509の剥離から保護することが可能である。
【0096】
幾つかの実施形態では、投与装置は、準備インタフェース510を備えることが可能である。任意に、準備をすることは、投与インタフェース保護具590を取り外すことを含む。例えば、準備インタフェース510は、保護具509に接続され、投与インタフェース513から保護具590を取り外すのに使用可能に構成されたハンドルを備えることが可能である(例えば、針カバー609aおよび/または粘着ライナ609bを取り外すのに用いられる、
図6に示されるようなハンドル610)。これに代えるかまたはこれに加え、投与インタフェース保護具509は、投与インタフェース513から自動的に剥離可能に構成される。例えば、保護具509は、パッケージ530から装置を引くことが、保護具590を投与インタフェース513から剥離させ、投与装置を準備するように、パッケージ530に接続することが可能である。幾つかの実施形態では、保護具509は、パッケージ530により保護されおよび/または被覆される。例えば、インタフェース510は、搬送および/または取り扱い中の損傷から保護することが可能である。例えば、インタフェース510は、装置がパッケージ530内にある間に、インタフェース513から保護具509を剥離させることを禁止することが可能である。例えば、インタフェース510は、使用者が装置を尚早に準備するのを禁止するように保護することが可能である。任意に、使用者が投与装置をパッケージから掴み出すときに、インタフェース510が露出させられて、被験者の身体上での配置前および/または投与前における装置の準備を容易にする。
【0097】
幾つかの実施形態では、パッケージは、使用者が初めに装置に接するときに、ユーザインタフェースを露出させることができる。例えば、ユーザインタフェースは、パッケージが開けられる前に、パッケージの窓を介して見ることが可能であり、パッケージは、パッケージが開けられたときに、ユーザインタフェースが使用者に面するように設計することが可能であり、装置は、装置の封が解かれたときに(例えば、パッケージから取り出されたときに)、ユーザインタフェースが使用者に対して露出させられるように、パッケージ内に置くことが可能である。任意に、ユーザインタフェースは、見慣れた操作上の特徴を有してもよい。例えば、この特徴は、手動により操作される特徴であってもよいし(例えば、プルタブ、プルリングおよび/またはボタン)、ディスプレイ(例えば、スクリーンおよび/または光および/またはウィンドウ)であってもよい。この特徴の位置は、使用者に対し、操作可能な特徴および/または視認可能なディスプレイにより装置を保持することを促すことが可能である(例えば、使用者による装置の把持が特徴を覆い隠されないようにし、特徴が使用者の手足および/または目に面するように、装置を方向付ける)。
【0098】
幾つかの実施形態では、使用者は、装置を使用時に準備することが可能である。例えば、装置を使用時に準備することは、滅菌済みの針キャップを取り外すことおよび/または保護ライナを皮膚接触面から取り外すことを含み得る。任意に、装置の複数の要素を相互に結合し、集積させることができる。例えば、保護用の針キャップおよび粘着ライナを単一のハンドル、例えば、プルリングに接続することが可能である。このプルリングを引くことが、キャップおよびライナを必要に応じて一緒に取り外す。これに代えるかまたはこれに加え、1つ部分を準備することが、他の部分の準備を可能としおよび/または生じさせるプロセスを開始させる場合がある。
【0099】
(医薬投与装置の使用における例示的な工程)
図6は、本発明の一実施形態に係る投与装置の準備を示す斜視図である。任意に、準備は、装置の投与インタフェースを露出させることを含む。例えば、インタフェースは、インタフェース保護具を取り外すことにより露出させることができる。プロテクタは、任意に、投与インタフェースの無菌性を保護しおよび/または投与インタフェースをほこりから保護しおよび/または投与インタフェースを物理的な損傷から保護する。例えば、投与インタフェースは、皮下注射針および/または粘着性の皮膚接触面612を備えることが可能である。任意に、表面612は、起動ロックを備えることが可能である。例えば、表面612が注射部位に押し付けられた場合に、起動ロックは、装置を起動可能とする。任意に、インタフェース保護具は、針カバー609aおよび/または粘着ライナ609bを備えることが可能である。幾つかの実施形態では、投与装置は、この保護具を取り外しおよび/または投与インタフェースを露出させることにより準備される。任意に、保護具は、ハンドル610を備えることが可能である。例えば、ハンドル610は、保護具の一部を動かなくするのに適した固定具を備える。例えば、歯で把持することのできるハンドルおよび/または静止した対象物(例えば、外套用のフック)に固定するのに適したフックおよび/またはリングである。これに代えるかまたはこれに加え、装置は、装置を準備しおよび/または針カバーおよび/または粘着ライナを取り外す解除スイッチを備えることが可能である。例えば、解除スイッチは、装置の把持部を掴んでいる手の空いている指を用いて作動させることができる。
【0100】
幾つかの実施形態では、準備は、装置の滅菌済みの保護具を取り外すことを含むことが可能である。例えば、針カバーおよび/または粘着ライナは、装置の無菌性を維持することが可能である(例えば、カバーにより、針および/または投与インタフェースの無菌性を維持する)。例えば、カバーを用いて無菌性を保護することは、非無菌性のパッケージに装置を梱包するのを容易にする。装置の起動前に、装置の針の先端を任意に皮膚接触面612の背後に隠しおよび/または遮蔽することが可能である。例えば、表面612は、針開口部619を有することが可能である。任意に、針カバーは、開口部19を通り抜けおよび/または針の先端を保護しおよび/または針の先端の無菌性を維持する。任意に、カバー609aは、針の先端を、投与装置の他の部分から封鎖することが可能である。例えば、カバー609aが装置の非無菌性の部分を針の先端から隔てながら、装置の外面および/または装置の内部部分および/または装置のユーザインタフェースは、非無菌性であってもよい。装置が起動させられるときに、針の先端を開口部619から被験者の皮膚内へ任意に突出させ、被験者の体内へ針を介して薬剤を注射することが可能である。
【0101】
幾つかの実施形態では、ハンドル610は、1から2cmの間および/または2から4cmの間および/または4から8cmの間の長さだけ、投与インタフェースから延出させることができ、1から2cmの間および/または2から4cmの間および/または4から8cmの間の直径の突起に被せることのできる開口部を有することが可能である。任意に、ハンドル610は、0.5から2cmの間の厚さを有する。任意に、ハンドル610は、摩擦の大きな表面および/または柔軟な表面(例えば、30ショア00高度から0ショアA硬度の間および/または0ショアA硬度から20ショアA硬度の間および/または20ショアA硬度から40ショアA硬度の間および/または40ショアA硬度から100ショアA硬度の間)を有する。
【0102】
図7は、本発明の一実施形態に係る医薬投与装置を準備する方法を示すフローチャートである。例えば、装置は、使用者に対するに備えて方向付けることが可能である(201)。任意に、装置は、パッケージの容易な開封のために方向付けられる。これに代えるかまたはこれに加え、装置は、パッケージが開けられた際の装置への容易で簡単なアクセスのため、パッケージを開ける(203)前に方向付けられる。任意に、パッケージが開けられ(203)、把持可能に配置された(206)装置を(例えば、把持面が使用者に対して露出させられた状態で)露出させる。使用者は、任意に、装置を、投与部位上での装置の配置に引き続き用いることのできる手の位置で、パッケージから掴み取る(208)。
【0103】
幾つかの実施形態では、使用者は、皮膚上での配置が整った手の位置で装置を保持しながら、装置を準備する(210)。例えば、準備(210)は、投与インタフェース保護具を取り外すことを含むことが可能である。例えば、保護具のハンドルを、固定し(例えば、対象物につなぎ止めるか、歯の間で把持することによる)、装置をその対象物から離れるように動かすことで、装置を引っ張り、投与インタフェース保護具を投与インタフェースから引き離し、投与インタフェースを露出させる。露出させられた投与インタフェースは、注射部位に任意に配置することが可能である(212)。
【0104】
任意に、使用者は、パッチ注射器を、直感的な工程により、使用時に準備することが可能である。任意に、複数の工程を、装置を単一の手の位置で掴みながら、同時におよび/または続けて実行することが可能である。
【0105】
幾つかの実施形態では、装置は、装置を準備しおよび/または起動させ、装置を被験者の皮膚上に置くのに用いられる位置で、装置から把持するように設定することが可能である。例えば、装置は、装置の封が切られるときに装置を正しい向きで提供する方法で、梱包することが可能である。例えば、パッケージが開けられるときに、使用者に対し、装置を、装置の展開および/または使用における更なる工程にとって適切な手の位置における装置の把持を促すように提供することが可能である。例えば、装置の把持面および/または皮膚接触面とは反対側の面を、パッケージの開封に際して使用者に提供することが可能である。他の面は、隠しまたは遮蔽することが可能である。例えば、皮膚接触面を、使用者とは反対側に向けることが可能である。例えば、把持されない面を、パッケージに沈ませおよび/またはパッケージにより覆うことが可能である。
【0106】
(注射器の状態図)
図8は、パッケージ内にある、本発明の一実施形態に係る医薬投与装置を示す写真である。例えば、図示の閉じたパッケージは、使用者333に対して方向付けられており、投与装置の開封および/または取り出しが整った状態にある。任意に、ラベル852は、パッケージが正しく方向付けられたときに、使用者が読めるように、正しい上下関係の向きに置かれる。任意に、パッケージは、透明である。例えば、装置が正しく方向付けられた場合に、装置のユーザインタフェース(例えば、起動ボタン316aおよび/またはインジケータ316bを有する)は、パッケージの蓋部303を介して目視可能である。
【0107】
図9は、本発明の一実施形態に係る医薬投与装置の、パッケージを開ける動作を示す写真である。例えば、使用者333は、蓋部303のヒンジの後ろに立っている。片方の手の人差し指854を使用し、使用者は、例えば、パッケージを開けるのと同じ手の親指856で本体331のタブ326bを押し下げることにより反力を形成しながら、蓋部303のタブ326aを引き上げる。
【0108】
幾つかの実施形態では、カバーは、小さな動きでパッケージから離れる。例えば、パッケージは、小さな動きで開封可能な安全シールを備えることが可能である。任意に、このシールは、他の指で装置を保持しながら、1本の指で適用されるのに充分に小さな動きで封を切ることが可能である。例えば、親指856で基部330を押さえ付けながら、人差し指854でカバー303を押し上げる。例えば、小さな動き(例えば、0.1から0.5cmの間および/または0.5から2cmの間および/または2から10cmの間の動き)の後に、カバーを分離させることができる。例えば、ラベル852は、カバーが基部330から0.5cmだけ動かされた場合に、剥ぎ取ることが可能である。任意に、パッケージは、開封の間に安定したままであるように設計することが可能である。例えば、パッケージは、平坦面に着座する大きな底面を有することが可能である。例えば、底面は、2から5cmの間および/または5から20cmの間であることが可能である。例えば、底面は、装置の寸法の1.2から2倍および/または2から10倍であることが可能である。任意に、パッケージの重心は、低位にあってもよく、例えば、0から1cmの間および/または1から2cmの間および/または2から5cmの間である。任意に、パッケージの重心は、基部の幅の0から10%の間および/または基部の幅の10から40%の間および/または基部の幅の40から80%の間である。例えば、硬いカバーを有してもよく、カバーは、大きな空間に亘って基部に粘着させられなくてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、パッケージは、剥すのに長い動きを必要とする、可撓性があるカバーに対し、タイベック(Tyvek)シールラインが粘着されていなくてもよい。
【0109】
図10は、本発明の一実施形態に係る医薬投与装置をパッケージから取り出す動作を示す写真である。任意に、使用者333は、パッケージの開封の間に立っていたのと同じ位置(例えば、ヒンジ332の後ろ)にある。任意に、装置は、使用者333の片方の手の
親指856と小さな指855(つまり、人差し指以外の全ての指)との間で把持される。人差し指854は、空いたまま残され、装置を支えるのに役立させることが可能である。インジケータ316bは、使用者333の目の方向に随意に向き、目で見るために露出させられる。
【0110】
幾つかの実施形態では、ユーザインタフェースは、歯で引くことができるように構成された対象物を備える。例えば、ハンドル310は、歯で保持するように設計することが可能である。これに代えるかまたはこれに加え、ハンドル310は、ハンドル310を歯で保持しながら、容易に引き抜かれるように設計することが可能である。例えば、把持面308は、装置を把持しながら、ハンドル310を容易に口に運ぶことができるように、装置を、ハンドル310から、針カバー609aを取り外す方向に容易に引き離すことができるように構成することが可能である。例えば、把持面308は、この面308を指の間で把持している場合に、手のひらが粘着面に対向しおよび/または針カバー609aを引く方向に対して実質的に直交する(例えば、手のひらが、針および/または針キャップ609aの軸に対し、90から80度の間および/または80から60度の間および/または60から30度の間および/または30から180度の間の範囲に及ぶ角度にある)ものであってもよい。任意に、キャップ609aは、小さな力で取外可能に構成される。例えば、その力は、引いている間に、歯に損傷を与えないために充分に小さいものとすることが可能である。例えば、引く力は、0.01から0.2kgfの間および/または0.2から0.5kgfの間および/または0.5から1kgfの間である。任意に、引きハンドルは、口で把持するのに充分なほどに表面から離して設けることが可能である。例えば、ハンドルは、接触面612から、0.2から1cmの間および/または1から3cmの間および/または3から10cmの間の距離に設けることが可能である。任意に、ハンドル610は、容易に口に入れおよび/または歯で噛むのに充分な、例えば、0.1から1cmの間および/または1から3cmの間および/または3から8cmの間の広さであることが可能である。任意に、ハンドル610は、容易に歯に保持するのに充分な、例えば、0.1から0.3cmの間および/または0.3から0.8cmの間および/または0.8から2cmの間の厚さであることが可能である。
【0111】
図11は、被験者の身体上に本発明の一実施形態に係る医薬投与装置を配置する動作を示す写真である。装置は、任意に、装置をそのパッケージから取り出した際に使用したのと同じ手の位置(例えば、
図10に示されるように、親指856と小さな指855との間)で把持される。任意に、1本の指(例えば、人差し指854)は、自由なままで残る。例えば、ユーザインタフェース(起動ボタン316a)は、把持面308の間に、装置の前方に向けて1から5cmだけずらして配置される。例えば、ボタン316aは、空いている指854が容易に届く位置にある。例えば、装置が投与部位1158に配置されると、ボタン316aがこの空いている指854により押され、装置を起動させる。任意に、ボタン316aは、投与部位1158に向けて押される。任意に、投与部位1158の皮膚は、ボタン316aが押されるのに抗する反力を提供する。これに代えるかまたはこれに加え、装置は、投与部位1158に抗して皮膚センサを押すことでロックが解除される、(例えば、皮膚接触面312に取り付けられた)安全ロックを備える。例えば、投与部位1158に抗して皮膚接触面312を押すことは、装置を把持しながら、手の位置(例えば、
図10および
図11に示されるように、親指856と小さな指855との間)を変えることなくなされる。
【0112】
(投与装置の状態)
図12は、本発明の一実施形態に係る投与装置を示す状態図である。幾つかの実施形態では、装置は、掲げられた任意の状態のうち、幾つかのみおよび/または全てを備えることが可能である。幾つかの実施形態では、(例えば、
図8および/または
図9に示されるように)パッケージに梱包された状態で(1201)、使用者に供給される。任意に、パッケージは、(例えば、
図3に示されるように)露出させられた状態(1203)とするため、開封される。幾つかの実施形態では、装置は、例えば、バッテリアイソレータの除去による電源への接続により、電力が供給されて、電源投入(1204)状態となるまで、休止状態のままにある(1208)。幾つかの実施形態では、装置は、パッケージの開封前および/または開封の間および/または開封後に、電源が投入される。幾つかの実施形態では、パッケージの除去後に、電源が投入される。幾つかの実施形態では、使用者は、(例えば、保護用のカバー、例えば、針カバーおよび/または粘着ライナを取り外すことにより)装置を準備して、装置を準備(1210)状態とすることが可能である。幾つかの実施形態では、装置を準備することが、皮膚センサを起動させる。任意に、準備(1210)状態は、皮膚検出状態(例えば、装置が、被験者の皮膚を検出する準備が整った状態)と呼ぶことができる。幾つかの実施形態では、準備は、パッケージからの装置の取り出しに基づきおよび/またはパッケージの開封に基づき、(例えば、装置への電源投入よりも前および/または電源投入と同時に)自動的に発生させることができる。任意に、準備(1210)状態にある装置は、被験者に取り付けられ、例えば、
図11に示されるように、係合(1211)状態とする。任意に、係合(1211)後の装置は、(例えば、装置を皮膚に抗して押すことにより)ロックが解除されて、皮膚センサを起動させ、これにより、装置は、ロック解除(1212)状態となる。幾つかの実施形態では、装置のロックを解除する前に、皮膚センサを使用者に取り付けることが、装置を係合させて、係合(1211)状態とするように、粘着剤が、皮膚センサに接続される。これに代えるかまたはこれに加え、装置は、被験者に取り付ける前に、ロックを解除することが可能である。例えば、皮膚は、皮膚接触面よりも外側にまで広がる場合があり、皮膚センサは、装置を被験者に係合させる前に起動させることができる(例えば、ロック解除(1212)状態が、係合(1211)状態に先行する場合がある)。任意に、ロック解除(1212)状態では、装置を起動(1216)状態へ動かすのに(例えば、針を被験者に刺入することによる)、起動の制御が用いられる。任意に、起動(1216)後の装置は、投与(1217)状態で、薬剤を投与する。幾つかの実施形態では、投与の終わりおよび/または装置を被験者から取り去るときに、装置は、投与を停止しおよび/または停止(1218)状態となる。任意に、動作の停止は、不可逆でありおよび/または可逆である。
【0113】
幾つかの実施形態では、注射器は、使用者に対し、ロック状態で供給することが可能である。例えば、使用者は、パッケージを開封し、装置のロックを解除し、装置を準備しおよび/または装置を起動させることにより、装置を準備することが可能である。例えば、装置を準備することは、保護キャップを取り外しおよび/または保護カバーを取り外すことを含むことが可能である。例えば、粘着性の保護具は、注射器の基部および/または注射器のハウジングの皮膚接触面から剥すことが可能である。粘着性の存在および/または粘着カバーを取り外す動作が、任意に、装置を準備しおよび/または起動させる。任意に、梱包を解きおよび/または装置を準備する間に、装置を、電源および/または計算装置(例えば、使用者のパーソナルコンピュータ)に接続することが可能である。例えば、一組のライブ指示を表示することが可能である。任意に、装置を準備しおよび/または用意することが、装置を皮膚検出状態とする。例えば、針キャップおよび/または粘着性の保護具を取り外すことが、装置の基部および/または皮膚センサを拡張させる。例えば、注射部位に取り付けるときに、装置の基部および/または皮膚センサが、装置のハウジングに向けて潰れることを許容する。
【0114】
幾つかの実施形態では、起動前に、装置は、保護(1220)状態となる。例えば、保護(1220)状態において、針先をロックしおよび/または保護することが可能である。例えば、針先は、ハウジングおよび/または針シールドにより、3つの面で包囲することが可能である。任意に、皮膚検出状態において、針は、注射器が注射部位と相互に作用しおよび/または接続されるまで、保護状態にロックされる。例えば、針は、注射器の基部が注射部位に取り付けられおよび/または注射器のハウジングが基部と合わせられるまで、ロック位置に残ることが可能である。任意に、使用および/または装置を保護した後に、装置を廃棄することが可能である。例えば、装置は、一般ごみでの廃棄に関する法的要件に適合させることができる(廃棄(1222)状態)。
【0115】
幾つかの実施形態では、注射器の基部は、装置が皮膚検出状態にありながら、被験者の(例えば、注射領域における)皮膚に取り付けることが可能である。任意に、取付後に、ハウジングは、装置の起動を容易にするように、基部および/または皮膚に向けて移動させられる。例えば、装置の起動を容易にすることは、針の挿入を引き起こすことを含むことが可能である。これに代えるかまたはこれに加え、装置の起動を容易にすることは、起動スイッチおよび/または針挿入トリガのロックを解除することを含んでもよい。これに代えるかおよび/またはこれに加え、基部を取り付けることおよびハウジングを皮膚に向けて動かすことは、連続的な処理であってもよい。例えば、使用者が準備された装置を皮膚に押し付けたときに、初めに、装置の基部の接触面を皮膚に接触させ、その後、ハウジングが、基部および/または皮膚に向けて移動させられる。
【0116】
幾つかの実施形態では、皮膚検出状態において、起動に先立ち、注射器の皮膚接触面を、当該注射器のハウジングから離れる方向に(例えば、外向きに)、偏在させることが可能である。
【0117】
幾つかの実施形態では、医薬投与装置の取付機構は、針ドライバおよび/または針繰出機構に対し、相互に結合することが可能である。例えば、装置を注射部位に押し付けることが、皮膚接触面に対して針を動かし、保護位置(例えば、ハウジングの内部)から、繰出位置(例えば、皮膚取付面から、ハウジングからおよび/または投与インタフェースから外向きに突出する点)へ、針を長手方向に(例えば、円弧状の軌跡において)移動させる。任意に、装置が注射部位から取り去られるときに、投与インタフェースは、ハウジングから離れるように延伸させられてもよい。これは、任意に、針の点を保護位置に動かしおよび/またはロックする。
【0118】
幾つかの実施形態では、皮膚検出条件において、注射器の針は、皮膚接触面に対して実質的に垂直である(例えば、針は、皮膚接触面に対する直角の向きから0°から2°の間および/または2°から5°の間および/または5°から10°の間および/または10°から20°の間および/または20°から45°の間の範囲にある)。例えば、表面に対する針の配向は、例えば、針キャップおよび/または粘着性の保護具の取り外しを含む装置の準備を容易にし得る。
【0119】
動作状態では、鋭利な針先は、任意に、ハウジングからおよび/または注射器の皮膚接触面を介して延出する。例えば、針先は、皮膚接触面を介して被験者の皮膚のなかへ突出することが可能である。医療物質、例えば、医薬を、針を介して被験者へ注射することが可能である。医薬の投与は、任意に、被験者へ、皮下注射針を介してなされる。
【0120】
任意に、投与装置を被験者の注射領域から引き離すことで、投与インタフェースおよび/または基部を、装置上で、装置のハウジングから離れる方向に延伸させることができる。任意に、装置のハウジングを皮膚接触面から離間させるときに、針ドライバは、針を保護位置に退避させることができる。任意に、退避を起こさせることは、針ドライバの針解放機構のロックを解除することおよび/または針ドライバの針解放機構を初期化することを含むことが可能である。例えば、針は、装置のハウジングのなかへ退避させることができる。
【0121】
任意に、投与インタフェースは、ハウジングから離れる方向へ偏在させられる。偏在させることにより、インタフェースを、ハウジングおよび/またはトリガから離れる方向へ、延伸を妨げる力がない限り延伸させることができる。例えば、装置が皮膚から分離される場合に、ハウジングが引き離されるかまたは分離が他の要因(例えば、皮膚から粘着剤を剥すこと)によるものであるかに拘わらず、インタフェースを、ハウジングから離れる方向へ延伸させることができる。これに代えるかまたはこれに加え、インタフェースは、ハウジングに向けて偏在させてもよい。例えば、ハウジングから離れる方向のインタフェースの延伸は、ハウジングが皮膚から引き離される際に接触面を皮膚に向けて引く粘着力によるものであり得る。
【0122】
幾つかの実施形態では、ハンドルは、注射器の直感的な準備のために設けられる。例えば、プルリングハンドルが、針カバーおよび/または粘着カバーに接続される。ハンドルは、任意に、使用者に対し、接触面を皮膚に宛がう前に、使用者が針カバーおよび/または粘着カバーを取り外すべきである(例えば、装置を準備する)ことの直感的な手掛かりを提供する。例えば、皮膚センサは、被覆しおよび/または解除状態(例えば、ハウジングから広げられる)にロックすることが可能であり、起動スイッチ(例えば、ボタン)は、ハンドルが注射器から引き離されるまで、停止位置にロックすることが可能である。幾つかの実施形態では、異なる準備動作が、使用者が1回の動作で実行し、注射器の複数の部分を準備することができるように接続される。例えば、針カバーを、皮膚接触面を被覆する粘着ライナに接続することが可能である。任意に、粘着ライナを接触面から剥離させおよび/または針カバーを取り外すことは、ハンドルを皮膚接触面から引き離す、1回の直感的な動作により達成される。これに代えるかまたはこれに加え、別々の接触面が、粘着ライナを共用することが可能であり、1つの粘着ライナが、複数の接触面に対して設けられてもよい。
【0123】
幾つかの実施形態では、ハウジングの特徴により、注射器の直感的な配置が容易となる。例えば、皮膚上に置かれる皮膚接触面は、投与装置の最も広い平坦面とすることが可能である。任意に、(皮膚接触面と反対側の)注射器の上面に、ユーザインタフェース、例えば、ボタン等のスイッチおよび/またはディスプレイ(例えば、ウィンドウ)を備えることが可能である。使用者は、ディスプレイおよび/またはボタンが皮膚に取り付けられないことを直感的に理解することが可能である。任意に、皮膚に宛がわれない注射器の側面は、ほぼ非平坦である(例えば、湾曲しているか、突起および/または窪みを有する)。
【0124】
(医薬投与装置の例示的な寸法)
幾つかの実施形態では、リザーバ(例えば、シリンジ)のペイロードは、例えば、0.5から2mlの間および/または2から7mlの間および/または7から6mlの間および/または7から10mlの間の薬剤および/またはそれ以上であることが可能である。幾つかの実施形態では、注射器は、1回の服用でペイロードの全量を排出することが可能である。医薬投与装置は、例えば、パッチ注射器および/またはプランジャを駆動し、ペイロードを排出させる内部給電式のドライバを備えることが可能である。
【0125】
この適用のため、内部給電式の注射器ドライバは、注射器に少なくとも一時的に貯蔵されるエネルギにより給電される駆動機構として定義することが可能である。電力は、電源に、例えば、化学ポテンシャル(例えば、膨張ガスを生成する化学物質および/またはバッテリ)および/または機械ポテンシャル(例えば、弾性部材および/またはバネおよび/または加圧ガスに貯蔵される)として貯蔵することが可能である。例えば、ドライバは、ペイロードを、1から20秒の間および/または20から120秒の間および/または120から600秒の間および/または600秒から1時間の間および/または1時間から1日の間および/またはより長い時間の範囲に及ぶ時間に亘って排出するように設計することが可能である。
【0126】
幾つかの実施形態では、装置は、起動後、物質の投与を開始する前に、2から20分および/または20分から1時間および/または1時間から6時間および/または6時間から2日の間の範囲に及ぶ、一定の時間遅れだけ待機するように、予めプログラムすることが可能である。任意に、時間遅れの長さは、温度感応式の装置要素が好ましい動作温度に達する推定時間であることが可能である。例えば、温度感応要素は、医薬および/またはバッテリを備えることが可能である。
【0127】
概して、排出は、ドライバにより駆動することが可能である。内部給電式のドライバは、例えば、モータ(例えば、DCモータを含む)、アクチュエータ、ブラシレスモータおよび/または変速機(例えば、入れ子式の組立体を含む)および/またはネジ付きの要素および/またはギアおよび/またはカップリングおよび/または弾性機構(例えば、バネおよび/またはゴムバンド)および/または膨張性ガスおよび/または油圧アクチュエータを含む様々な機構により、電力を供給することが可能である。
【0128】
本発明の幾つかの実施形態に係る医薬投与装置は、前述のリザーバ部分を備えることが可能である。例えば、リザーバは、薬剤容器および/またはシリンジを備えることが可能である。任意に、シリンジは、標準的な設備を用いておよび/または無菌室で薬剤をプリロードすることが可能である。プリロード後のシリンジは、任意に、近位側の開口を有することが可能である。プランジャは、任意に、この開口を遮蔽しおよび/またはシリンジの内容物の無菌性を保護することが可能である。滅菌済みの、典型的には、中空の針は、任意に、シリンジバレルに接続することが可能である。例えば、針の孔は、バレルの内部と流体連通した状態にあり得る。
【0129】
針は、任意に、薬剤カートリッジの遠位側の端部で、繰出部に堅固に取り付けることが可能である。針の全体および/または一部の無菌性は、例えば、保護キャップにより保護することが可能である。保護キャップは、カートリッジが供給されおよび/または注射器に搭載されるときに、針上にあることが可能である。例えば、薬剤容器は、任意に、針に堅固に取り付けられた円筒バレルを備えることが可能である。幾つかの実施形態では、プランジャは、バレルの内面に沿って軸方向にスライド可能であり、薬剤ペイロードを排出する。例えば、薬剤は、中空の針を介して排出可能である。針の突出する先端は、バレルの軸に対して斜めに方向付けることが可能である。
【0130】
皮膚接触面のアスペクト比は、皮膚接触面の長手方向軸の長さの、最短軸に対する比率として定義することが可能である。任意に、この軸の比率は、1から1.5の間および/または1.5から2の間および/または2から3の間および/または3よりも大きい範囲に及び得る。幾つかの実施形態では、注射器の高さは、基部の短軸の長さの半分から皮膚接触面の短軸の長さの間および/または皮膚接触面の短軸の長さから皮膚接触面の短軸の長さの2倍の間および/または皮膚接触面の短軸の長さの2倍を超える範囲に及び得る。注射器の高さは、使用後、患者の皮膚から粘着剤を剥すための、てこの作用を提供することが可能である。
【0131】
幾つかの実施形態では、針を患者の皮膚に刺入するための力は、例えば、0.02から0.2Nの間および/または0.2から0.5Nの間および/または0.5から5Nの間の範囲に及び得る。任意に、薬剤を注射するのに要する力(例えば、シリンジプランジャにかかる力)は、例えば、5から60Nの間の範囲に及び得る。例えば、薬剤を注射するのに要する力は、注射速度および/または薬剤の粘度および/またはシリンジの幾何形状および/または針の寸法に応じたものであり得る。
【0132】
幾つかの実施形態では、針保護機構が、例えば、10から60Nの間よりも大きな線形方向の力により起動させられる。
【0133】
例えば、医薬投与装置は、自動注射器を備えることが可能である。自動注射器は、針を挿入するのに充分な力で、手動で押すことにより、起動させることができる。装置は、注射力を適用し、薬剤を注射する。医薬の全体が注射されおよび/または障害および/または詰まりがあると、注射力が、針の安全装置を起動させおよび/または注射を終了させる閾値を通過するまで上昇する。
【0134】
例えば、詰まりが生じた場合および投与の終了時に、装置が生じさせる線形方向の力は、60Nまでのレベルに増大することが可能である。針保護機構(例えば、針退避機構)は、力に対する感度を有する。例えば、機構は、針を70Nの力で退避位置へ戻すスナップを備えることが可能である。
【0135】
幾つかの実施形態では、薬剤を注射しおよび/または針の保護を起こさせる力は、トルクであってもよい。例えば、薬剤の注射は、プランジャにより進めることが可能である。プランジャは、任意に、ネジ付きの組立体、例えば、ネジおよび/または歯および/または入れ子式の組立体により動かすことが可能である。任意に、歯および/または関連するネジのピッチは、例えば、0.5から2mmの間の範囲に及び得る。ネジの直径は、例えば、2.5から15mmの間の範囲に及び得る。注射を推進するトルクは、例えば、0.2から1.0N×cmの間の範囲に及び得る。起動トルク(針の保護を起こさせるトルク)は、例えば、0.5から2および/または2から7および/または7から10N×cmの間の範囲に及び得る。
【0136】
注射の間に、プランジャの線形移動は、例えば、10から50mmの間の範囲に及び得る。プランジャの移動の長さは、例えば、注射される薬剤の、例えば、0.5から3mlの間の範囲に及び得る体積とともに変化する。
【0137】
幾つかの実施形態では、保護機構は、トルクに対する感応性を有する。例えば、針は、機構に捻りモーメントがかけられた場合に、退避させられる。任意に、排出が、トルクにより進められる。例えば、ドライバは、ネジ付きの要素にトルクをかけて、プランジャを押す。ドライバにかかるトルクが閾値に達したときに、針を解放しおよび/または退避させることができ、針シールドを展開させることができる。これに代えるかまたはこれに加え、起動機構は、トルクと線形力との双方を必要としてもよい。例えば、トルクおよび線形力の双方を必要とすることで、瞬間的なトルクによる尚早の起動を抑制することが可能となる。
【0138】
幾つかの実施形態では、排出の時間は、変動可能であり、充填体積および/または粘度に依存する。例えば、期待される注射速度は、粘度に依存し、例えば、1cpから15cpの範囲に及ぶ粘度に対し、期待される注射速度は、30から70sec/1mlの間の範囲に及び、15cpから60cpの範囲に及ぶ粘度に対し、期待される注射速度は、35から60sec/1mlの間の範囲に及び、60cpを超える粘度に対し、期待される注射速度は、53から67sec/1mlの範囲に及び得る。最大および/または最小の期待注射時間は、例えば、最大および/または最小の許容充填体積を注射速度で割ったものとすることが可能である。
【0139】
例えば、排出の期待時間は、例えば、24から78秒の間(例えば、1から15cpの間の範囲に及ぶ粘度を有する、0.8から1.2mlの間の流体について)および/または36から68秒の間(例えば、1から15cpの間の範囲に及ぶ粘度を有する、1.2から1.7mlの間の流体について)および/または51から92秒の間(例えば、1から15cpの間の範囲に及ぶ粘度を有する、1.7から2.3mlの間の流体について)および/または70から150秒の間(例えば、15から70cpの間の範囲に及ぶ粘度を有する、2.0から2.5mlの間の流体について)および/またはより大きな体積および/または粘度に関する120秒から3分の間の範囲に及び得る。幾つかの実施形態では、注射時間は、より長い場合もあり得る。注射時間の長さは、粘度および/または体積以外の考慮事項により、決定することが可能である。
【0140】
幾つかの実施形態では、リザーバは、例えば、20から72mmおよび/または72から78mmおよび/または78から80mmおよび/または80から200mmの間の範囲に及ぶ長さを有する。幾つかの実施形態では、リザーバの円筒状の内部空間は、例えば、1から3mmおよび/または3から10mmおよび/または10から15mmおよび/または15から25mmおよび/または25から50mmの間の範囲に及ぶ平均幅を有することが可能である。任意に、リザーバは、幅が円の直径であるような円形断面を有する。幾つかの実施形態では、繰出部は、例えば、1から3mmまたは3から7mmまたは7から8mmまたは8から10mmまたは10から15mmまたは15から50mmの間の範囲に及ぶ長さを有する、直線状の端部を備えることが可能である。幾つかの実施形態では、針の露出させられた直線端部は、例えば、1から5mmまたは5から7mmまたは7から10mmまたは10から20mmの間の範囲に及ぶ長さを有することが可能である。
【0141】
幾つかの実施形態では、繰出部は、針キャップ用のシールリングを備えることが可能である。このシールリングは、例えば、0.1から0.6mmまたは0.6から1mmまたは1から2.5mmまたは2.5から3mmまたは3から6mmまたは6から15mmの間の範囲に及ぶ長さを有することが可能である。幾つかの実施形態では、シールリングは、例えば、0.5から1.5mmまたは1.5から2.5mmまたは2.5から5mmまたは5から10mmの間の範囲に及ぶ長さの内部キャビティを備えることが可能である。
【0142】
幾つかの実施形態では、シールリングは、平均外径でもある外側の平均幅を有することが可能であり、この平均外径は、例えば、1から7mmまたは7から5mmまたは5から10mmまたは10から20mmの間の範囲に及び得る。幾つかの実施形態では、シールリングは、平均内径でもある内側の平均幅を有することが可能であり、この平均内径は、例えば、1から3mmまたは3から7mmまたは7から10mmまたは10から18mmの間の範囲に及び得る。幾つかの実施形態では、繰出部は、平均直径であってもよい平均幅を有する首部(シールリングを含まない)を備えることが可能であり、この平均直径は、例えば、1から3mmまたは3から7mmまたは7から8mmまたは8から16mmの間の範囲に及び得る。任意に、首部は、一様ではない断面(例えば、Iビーム形および/または十字形の断面)および/またはテーパが付された断面を有することが可能である。
【0143】
一様ではない断面のため、外側の平均幅を、首部の長さ全体に亘って平均した首部を取り囲むことができる最小楕円の幅として定義することが可能である。幾つかの実施形態では、繰出部とリザーバキャビティとの間の流体経路は、27ゲージの針または25から30ゲージの間の範囲に及ぶ針または20から25ゲージの間の範囲に及ぶ針または30から32ゲージの間の範囲に及ぶ針を備えることが可能である。幾つかの実施形態では、繰出部から突き出る針は、27ゲージの針または25から30ゲージの間の範囲に及ぶ針または20から25ゲージの間の範囲に及ぶ針または30から32ゲージの間の範囲に及ぶ針を備えることが可能である。
【0144】
本願をもとに得られた特許の存続期間のうちに、多くの関連する技術および/または材料が開発され、用語の範囲は、全てのそのような新たな技術および材料を先験的に含むことが意図されているものと期待される。
【0145】
使用に際し、「約」、「ほぼ」および「実質的に」との用語は、+5%をいう。
【0146】
「comprises」、「comprising」、「includes」「including」、「having」との用語およびそれらの活用語は、「限られることなく、含む」ことを意味する。
【0147】
「consisting of」との用語は、「含みかつ限られる」ことを意味する。
【0148】
「consisting essentially of」は、化合物、方法または構造が、追加の原料、工程および/または部品を、その追加の原料、工程および/または部品がクレームに記載の化合物、方法または構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変更しない場合にのみ、含み得ることを意味する。
【0149】
本明細書で用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈がそうでないことを明確に要求するのでなければ、複数形の場合をも含む。例えば、「a compound」または「at least one compound」との用語は、混合物を含め、複数の「compounds」を含んでもよい。
【0150】
本願全体を通じ、本発明の様々な実施形態について、範囲を規定する形式で記載される場合がある。範囲を規定する記載は、便宜的で、簡潔さのためのものに過ぎず、本発明の範囲に関する柔軟性のない限定として解釈されるべきではない。よって、範囲の記載は、その範囲内の個々の数値ばかりでなく、具体的に開示された全ての可能性のある部分範囲を有するものとして考慮されるべきである。例えば、1~6という範囲の記載は、その範囲内の個々の数値、例えば、1、2、3、7、5および6ばかりでなく、1~3、1~7、1~5、2~7、2~6、3~6等、具体的に開示された部分範囲を有するものとして考慮されるべきである。このことは、その範囲の幅に関わりなく該当する。
【0151】
数値範囲が示されている場合は常に、表示の範囲に含まれるいかなる数値(分数または整数)をも包含することを意味する。第1表示値と第2表示値との「間の範囲に及ぶ」との記載および第1表示値から第2表示値までの「範囲に及ぶ」との記載は、本明細書で読替可能に使用され、第1および第2表示値、さらに、それらの間の全ての分数および整数を含むことを意味する。
【0152】
明確さのために異なる実施形態の文脈で記載された本発明の特定の特徴は、単一の実施形態に集約して提供することも可能である。反対に、簡潔さのために単一の実施形態の文脈で記載された本発明の多様な特徴は、分けて提供したり、任意の適切なサブコンビネーションとして提供したり、本発明のいかなる他の記載された実施形態において適切に提供することが可能である。多様な実施形態の文脈で記載された特定の特徴は、実施形態がそれらの要素がなければ動作不能でない限り、それらの実施形態に必須の特徴として考慮されるべきものではない。
【0153】
本発明は、その特定の実施形態との関連のもとに説明されたが、多くの変更例、修正例および変形例が当業者にとって明らかとなる。よって、添付のクレームの精神および広い視野に包含される、全てのそのような変更例、修正襟および変形例を含むことが意図されている。
【0154】
本願で言及された全ての公開、特許および特許出願は、参照によりその全体が、それらの個々の公開、特許または特許出願が、参照により組み込まれることが特別におよび個別に示された場合と同じ範囲で、本明細書に組み込まれる。さらに、本願におけるいかなる文献の引用および特定も、そのような文献が本発明に対する従来技術として入手可能であったことの容認として解釈されるものではない。セクションの見出しが用いられる限り、それらは、必然的に限定であると解釈されるものではない。