(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20230227BHJP
H01M 50/24 20210101ALI20230227BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20230227BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20230227BHJP
【FI】
H01M50/204 201
H01M50/24
H01M50/271 S
H01M50/271 Z
H01M50/296
(21)【出願番号】P 2019544480
(86)(22)【出願日】2018-09-03
(86)【国際出願番号】 JP2018032647
(87)【国際公開番号】W WO2019065109
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】P 2017190041
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【氏名又は名称】豊栖 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(72)【発明者】
【氏名】米田 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】拝野 真己
(72)【発明者】
【氏名】岸田 裕司
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-040894(JP,A)
【文献】特開2008-040990(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101630755(CN,A)
【文献】特開2015-053164(JP,A)
【文献】特開2003-308134(JP,A)
【文献】特開2014-003019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20 ー 50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装ケースに電池セルを内蔵してなる電源装置であって、
前記外装ケースが、
上方を開口して内部に前記電池セルを内蔵してなる収納ケースと、
前記収納ケースの上方開口部を閉塞してなる天蓋部とを備え、
前記天蓋部が、
外部の水を外装ケース内に流入させる流入開口と、
前記流入開口から流入される浸入水を外部に排出する前記流入開口よりも水路抵抗の小さい排出開口とを形成し、
さらに、前記天蓋部が、
前記流入開口から流入される浸入水を前記排出開口に案内するガイド溝を備えて
なり、
前記天蓋部が複数部品からなり、
前記流入開口が前記天蓋部を構成する部品の境界に設けられ、
前記排出開口が、前記天蓋部と前記収納ケースの境界部分に設けられてなることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載される電源装置であって、
前記外装ケースの底部に出力端子を設けてなることを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項
1に記載される電源装置であって、
前記天蓋部が、
前記収納ケースの上に配置してなる第3ケースと、
前記第3ケースの上に配置してなる第2ケースと、
前記第2ケースの上に配置してなる第1ケースとを備え、
前記流入開口が前記第1ケースと前記第2ケースとの間に設けられてなることを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項
3に記載される電源装置であって、
前記排出開口が前記第1ケースと前記収納ケースとの間に設けてなることを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項
4に記載される電源装置であって、
前記第1ケースが、前記収納ケースの上方開口縁の上に配置される外周壁を備え、
前記外周壁と前記収納ケースとの間に排出開口が設けられてなることを特徴とする電源装置。
【請求項6】
請求項
1ないし5のいずれかに記載される電源装置であって、
前記排出開口が、前記収納ケースの上方開口部に沿って伸びる隙間であることを特徴とする電源装置。
【請求項7】
請求項
5に記載される電源装置であって、
前記第3ケースが、前記収納ケースの上方開口部から内側に密接して挿入される挿入周壁と、
前記挿入周壁の上縁に連結してなる底プレートと、前記底プレートの内側に沿って設けてなる内部周壁とを備え、
前記挿入周壁は、前記第1ケースの前記外周壁の内側まで伸びて、前記外周壁との間に隙間を設けて排出開口としており、
前記第3ケースが前記内部周壁の外側に前記
底プレートを溝底とする前記ガイド溝を設けてなることを特徴とする電源装置。
【請求項8】
請求項1ないし
7のいずれかに記載される電源装置であって、
前記外装ケースの底部に底部排水口を設けてなることを特徴とする電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池セルを内蔵する電源装置に関し、とくに屋外用に最適な防水構造の電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電源装置は用途によって防水構造が要求される。たとえば、自転車や電動バイクのように屋外で使用される電源装置においては、全ての使用環境において水の弊害を皆無にはできず、外装ケースに防水構造が要求される。ケース内に浸入する水が、腐蝕、漏電、ショート、電子回路の誤動作など種々の弊害となるからである。
【0003】
浸入水による弊害を防止するために、外装ケースを密閉された防水構造とする電源装置は開発されている。(特許文献1及び2参照)
これ等の電源装置は、外装ケースをパッキンで水密構造に密閉し、またはコネクタをパッキンで水密構造に外装ケースに固定する。外装ケースやコネクタを完全な密閉構造とする電源装置は、経年変化でパッキンが劣化して水が浸入する欠点がある。また、メンテナンス時において外装ケースの開閉に手間がかかる。とくに、開いた外装ケースを密閉するときに、完全に密閉できないと水が浸入する欠点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-103259号公報
【文献】特開2006-035941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
外装ケースを水密構造に密閉する電源装置は、組み立てやメンテナンスに手間がかかる欠点がある。また、パッキンが劣化すると水が浸入するので、長期間にわたって浸入水による弊害を阻止するのが難しい欠点がある。
【0006】
本発明は、従来の防水構造の電源装置の欠点を解消することを目的として開発されたもので、本発明の目的の一は、外装ケースの組み立てが簡単で、しかも長期間にわたって浸入水による弊害を防止できる防水構造の電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明の第1の側面に係る電源装置は、外装ケースに電池セルを内蔵してなる電源装置であって、前記外装ケースが、上方を開口して内部に前記電池セルを内蔵してなる収納ケースと、前記収納ケースの上方開口部を閉塞してなる天蓋部とを備えている。前記天蓋部は、外部の水を外装ケース内に流入させる流入開口と、前記流入開口から流入される浸入水を外部に排出する前記流入開口よりも水路抵抗の小さい排出開口とを形成している。さらに、前記天蓋部は、前記流入開口から流入される浸入水を前記排出開口に案内するガイド溝を備えてなることを特徴とする電源装置。
【0008】
以上の電源装置は、外装ケースの組み立てが簡単で、しかも長期間に渡って浸入水による弊害を防止できる特徴がある。それは以上の電源装置が、外装ケースを収納ケースと天蓋部とで構成して、天蓋部に流入開口と排出開口とを設けて、外装ケースの天蓋部に設けた流入開口から内部に浸入する水を、天蓋部に設けられて流入開口よりも水路抵抗の小さい排出開口から外部に排出するからである。とくに以上の電源装置は、電池を内蔵する収納ケースの上に配置している天蓋部に流入開口と排出開口を設けて、浸入水を天蓋部から外部に排出するので、浸入水が電池内蔵の収納ケース内には流入することがなく、浸入水による電池の弊害を有効に防止できる特徴がある。また、流入開口と排出開口を設けた天蓋部を収納ケースに連結して組み立てできるので、外装ケースに流入開口と排出開口の両方を設けながら、組み立てを簡単にできる特徴を実現する。とくに、以上の電源装置は、従来のように、外装ケースをパッキン等で密閉構造としないので、パッキンが劣化して防水性能が低下することがなく、長期間にわたって優れた防水構造を保持し、しかも温度などの外的環境の厳しい使用環境においても、安定して防水構造を実現する。さらにまた、以上の電源装置は、天蓋部に排出開口を設けているので、電池の排出弁が開いて電池から排出される高温・高圧のガスを外装ケースからスムーズに外部に排出してより高い安全性を実現できる特徴も実現する。
【0009】
また、第2の側面に係る電源装置によれば、上記構成に加えて、前記外装ケースの底部に出力端子を設けることができる。
【0010】
さらに、第3の側面に係る電源装置によれば、上記何れかの構成に加えて、前記天蓋部を複数部品で構成し、前記流入開口を前記天蓋部を構成する部品の境界に設けて、前記排出開口を、前記天蓋部と前記収納ケースの境界部分に設けることができる。
【0011】
さらにまた、第4の側面に係る電源装置によれば、上記構成に加えて、前記天蓋部が、前記収納ケースの上に配置してなる第3ケースと、前記第3ケースの上に配置してなる第2ケースと、前記第2ケースの上に配置してなる第1ケースとを備え、前記流入開口を前記第1ケースと前記第2ケースとの間に設けることができる。
【0012】
さらにまた、第5の側面に係る電源装置によれば、上記構成に加えて、前記排出開口を前記第1ケースと前記収納ケースとの間に設けることができる。
【0013】
さらにまた、第6の側面に係る電源装置によれば、上記構成に加えて、前記第1ケースが、前記収納ケースの上方開口縁の上に配置される外周壁を備え、前記外周壁と前記収納ケースとの間に排出開口を設けることができる。
【0014】
さらにまた、第7の側面に係る電源装置によれば、上記何れかの構成に加えて、前記排出開口を、前記収納ケースの上方開口部に沿って伸びる隙間とすることができる。
【0015】
さらにまた、第8の側面に係る電源装置によれば、上記構成に加えて、前記第3ケースが、前記収納ケースの上方開口部から内側に密接して挿入される挿入周壁と、前記挿入周壁の上縁に連結してなる底プレートと、前記底プレートの内側に沿って設けてなる内部周壁とを備えて、前記挿入周壁は、前記第1ケースの前記外周壁の内側まで伸びて、前記外周壁との間に隙間を設けて排出開口とし、前記第3ケースが前記内部周壁の外側に前記底プレートを溝底とする前記ガイド溝を設けることができる。
【0016】
さらにまた、第9の側面に係る電源装置によれば、上記何れかの構成に加えて、前記外装ケースの底部に底部排水口を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電源装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1の電源装置を斜め下方から見た斜視図である。
【
図4】
図3の電源装置を斜め下方から見た分解斜視図である。
【
図5】
図1の電源装置のV-V線における断面図である。
【
図6】
図1の電源装置のVI-VI線における一部拡大断面図である。
【
図9】
図8の枠部に閉塞部を挿入した状態を示す分解斜視図である。
【
図10】
図8の天蓋部を斜め下方から見た分解斜視図である。
【
図11】
図4の電池集合体から金属プレートを外した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明は以下のものに特定されない。また、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
【0019】
以下に示す電源装置は、主として、モータのみで走行する電気自動車や電動カートなどの電動車両の駆動用電源に適用する例を説明する。なお本発明の電源装置を、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド車に使用したり、電動車両以外の大出力が要求される用途、例えば家庭用、工場用の蓄電装置等に使用してもよい。
(実施形態1)
【0020】
実施形態1に係る電源装置100を、
図1~
図6に示す。これらの図において、
図1は本発明の一実施形態に係る電源装置100を示す斜視図、
図2は
図1の電源装置100を斜め下方から見た斜視図、
図3は
図1の電源装置100の分解斜視図、
図4は
図3の電源装置100を斜め下方から見た分解斜視図、
図5は
図1の電源装置100のV-V線における断面図、
図6は
図1の電源装置100のVI-VI線における一部拡大断面図を、それぞれ示している。
(外装ケース9)
【0021】
図1~
図6に示す電源装置100は、外装ケース9の内部に電池集合体40を内蔵している。外装ケース9は筒状の収納ケース10と天蓋部20を備え、収納ケース10の上方開口部11を天蓋部20で閉塞している。収納ケース10は電池集合体40を内蔵し、アルミニウム等の金属を筒状としている。筒状の収納ケース10は、下方開口部12を底蓋部30で閉塞している。図の収納ケース10は下方開口部12を底蓋部30で閉塞するが、収納ケースは底蓋部を一体構造に成形することもできる。
(流入開口71、排出開口72)
【0022】
外装ケース9は、水密に密閉された構造ではない。外装ケース9は、ケースを構成する部品の境界部分をパッキン等で水密構造とすることなく、外装ケース9を構成する部品の境界に水の流入開口71を設けて、流入開口71からの浸入水を排出開口72から外部に排水する。浸入水が電池セル1などの内部部品に悪影響を与えることなく排出開口72から外部に排出する構造としている。外装ケース9の内部には、流入開口71からの浸入水を排出開口72に案内するガイド溝73を設けている。さらに、電源装置100は、流入開口71と排出開口72の両方を天蓋部20で形成して、収納ケース10に浸入水が流入するのを阻止している。正確には、図の電源装置100は、流入開口71を天蓋部20に設けて、排出開口72を天蓋部20と収納ケース10との境界部分に設けて、電池集合体40を内蔵する収納ケース10への水の浸入を阻止している。
(天蓋部20)
【0023】
天蓋部20は、全体を一体的に成形してなる1部品では構成しない。全体をプラスチック等で一体的に成形して1部品で構成できるが、この天蓋部は、デザインや形状の自由度が制限され、高級で美しいデザインを実現できない。また、取っ手を設けた天蓋部を一体的に成形すると、金型構造が難しくなり、形状にも制約を受けて理想的な形状に成形できない。
【0024】
図5と
図6に示す天蓋部20は、複数の部品で構成する。この天蓋部20は、構成する各部品の連結部をパッキンで水密に密閉することなく、部品の間にできる隙間を流入開口71としている。また、天蓋部20と収納ケース10との連結部にできる隙間を排出開口72として、流入開口71からの浸入水を収納ケース10の内部に浸入させることなく外部に排水する。図の天蓋部20は、第1ケース21と、第2ケース22と、第3ケース23とからなる複数の部品で構成して、取っ手部28のある高級なデザインとして、美しい外観で持ち運びに便利な形状としている。また、各々のケースを簡単な構造の金型で能率よく成形できる構造としている。さらに、天蓋部20は、パッキンで水密構造とすることなく、簡単に能率よく多量生産できる構造を実現している。
【0025】
天蓋部20を複数の部品で構成する外装ケース9は、天蓋部20でもって流入開口71と排出開口72を形成して、天蓋部20の流入開口71からの浸入水を排出開口72からスムーズに排水する。正確には、天蓋部20は、これを構成する部品の隙間で流入開口71を形成して、天蓋部20の下端縁と収納ケース10との隙間で排出開口72を形成して、浸入水を収納ケース10には流入しない構造としている。さらに、浸入水が外装ケース9内に溜まらないように、流入開口71の水路抵抗は排出開口72の水路抵抗よりも大きく、いいかえると、排出開口72の水路抵抗を流入開口71の水路抵抗よりも小さくしている。この外装ケース9は、単位時間に流入開口71を通過して外装ケース9に流入する水量よりも、排出開口72を通過して排水できる水量が多く、流入開口71から流入する浸入水を速やかに外装ケース9から排水して、外装ケース9に浸入水が停滞することがない。さらに、流入開口71と排出開口72は、収納ケース10の上方開口部11に沿って伸びる隙間としている。この電源装置は、収納ケース10の上方開口部11に沿って流入開口71と排出開口72を設けているので、全周から流入する浸入水を速やかに排水できる。
【0026】
図5及び
図6は、
図1に示す電源装置100を互いに直交する方向に切断した断面図であって、
図6は上部の一部拡大断面図を示している。また、
図7は
図5の要部拡大断面図を示している。さらに、
図8~
図10は、天蓋部20の分解斜視図を示している。以上の図に示す天蓋部20は、第1ケース21と第2ケース22と第3ケース23の3層構造で、第3ケース23を収納ケース10の上に、第2ケース22を第3ケース23の上に、第1ケース21を第2ケース22の上に配置している。第3ケース23は、取っ手部28の下面をカバーする取っ手枠24を一体的に成形して設けた枠形状で、収納ケース10の上に配置されるベースケースとなる枠部である。第2ケース22は第3ケース23の上に固定されて第3ケース23の枠開口部25を閉塞する閉塞部である。第1ケース21は第2ケース22の上に配置されて取っ手部28の上面を設けているカバー部である。
【0027】
第1ケース21と第2ケース22と第3ケース23はプラスチックを成形して製作される。天蓋部20は上面に取っ手部28を設けている。取っ手部28は、水平方向に伸びるグリップ部28Aと、グリップ部28Aの一端に連結しているアーチ状連結部28Bと他端に連結している立ち上がり連結部28Cとからなる。取っ手部28は、外側を第1ケース21で、内側を第3ケース23で構成している。
(第1ケース21)
【0028】
第1ケース21は、収納ケース10の上方開口部11の開口縁の上に載せて配置される外周壁21Aと、この外周壁21Aに連結している取っ手部28の外側とを一体的に成形している。第1ケース21は、第2ケース22を挟んで第3ケース23に固定される状態で、
図5~
図7に示すように、第2ケース22の外周縁との間に隙間を設けて流入開口71としている。天蓋部20は、外形を四角形とするので、第2ケース22の全体形状も四角形となって、4辺の外周縁ができる。図の天蓋部20は、第2ケース22の4辺全ての外周縁に流入開口71を設けることなく、3辺の外周縁に流入開口71を設けて、取っ手部28の立ち上がり連結部28Cの内面に接近する1辺の上向き外周縁22aには流入開口を設けていない。上向き外周縁22aは、ここに向かって上り勾配に傾斜する形状として、その上端面を第3ケース23の取っ手部28内面の接近位置に配置して、第3ケース23との隙間を取っ手部28の内面で上からカバーして、この隙間からの水の流入を阻止しているからである。
(第2ケース22)
【0029】
第2ケース22は、第3ケース23の枠開口部25を閉塞する板状で、中央部を下方に突出させる湾曲部22Aとして、取っ手部28の中央部との間隔を広くしている。この形状は、取っ手部28を高く突出させることなく、取っ手部28の下の隙間を広くして、ユーザーが取っ手部28の下にスムーズに指を入れて持ち運びできる特徴がある。
【0030】
第2ケース22は、第1ケース21と第3ケース23に挟まれて第3ケース23に固定される。第2ケース22は、第3ケース23にネジ止めされる連結片22Bと、第3ケース23に上から下に挿入して連結される挿入片22Cとを設けている。連結片22Bは水平方向に突出し、第3ケース23の連結ボス23Bにねじ込まれる止ネジ15で固定される。挿入片22Cは下方に突出して、第3ケース23に設けられた嵌合穴23Cに挿入して連結される。
(第3ケース23)
【0031】
第3ケース23は、収納ケース10全周の内側に密接して挿入される挿入周壁23Aを備える。挿入周壁23Aは、第1ケース21の外周壁21Aの内側まで立ち上がって、外周壁21Aとの間に排出開口72を設けている。収納ケース10の上端縁に沿って排出開口72を設けるために、第1ケース21の外周壁21Aの下端縁と収納ケース10上端縁との間に隙間を設け、さらに、外周壁21Aと第3ケース23の挿入周壁23Aの上部との間にも隙間を設けている。第3ケース23は、挿入周壁23Aの上縁から湾曲して内側に伸びる底プレート23Dを設けている。挿入周壁23Aの上部と底プレート23Dとの境界部分の湾曲部は、第1ケース21の外周壁21Aとの間に隙間があって、この隙間を排出開口72としている。底プレート23Dは、内側縁に沿って内部周壁23Eを設けている。内部周壁23Eは、流入開口71よりも内側に配置されて、外周壁21Aとの間を、底プレート23Dを溝底とするガイド溝73としている。内部周壁23Eは、流入開口71から浸入して流れ落ちる浸入水を外部に漏らさずガイド溝73に流入させるために、流入開口71よりも内側に配置される。第3ケース23は、流入開口71から流入される浸入水を案内するガイド溝73を内部周壁23Eの外側に設けて、流入開口71から流入する浸入水を排出開口72に案内する。ガイド溝73は、流入開口71の下方の全体に配置されて、流入開口71からの浸入水を漏らさず排出開口72から外部に排水する。排出開口72は、浸入水をスムーズに排水して内部に溜まらないように、流入開口71よりも隙間を広くして、流入開口71よりも水路抵抗を小さくしている。
【0032】
以上の天蓋部20は、第2ケース22を第3ケース23に固定し、第3ケース23を第1ケース21にネジ止めして組み立てられる。第3ケース23を第1ケース21に固定する止ネジ16は、
図10に示すように、第3ケース23の下面側から第3ケース23を貫通して第1ケース21に設けた連結ボス21Bにねじ込まれる。さらに、天蓋部20は、
図3と
図4に示すように、下面に電池集合体40が固定された状態で、電池集合体40が収納ケース10に挿入されて、収納ケース10の定位置に配置される。
(電池集合体40)
【0033】
電池集合体40は、
図5に示すように複数の二次電池セル1を備えている。電池集合体40は、複数の二次電池セル1を電池ホルダ44で定位置に配置すると共に、電池端面をリード板45で接続して、外形を四角柱状とする形状に配置している。電池集合体40は、
図11に示すように、周囲が支持フレーム50で締結されると共に、この支持フレーム50を貫通する止ネジ46を介して天蓋部20及び底蓋部30に連結される。
【0034】
電池集合体40は、
図11に示すように、支持フレーム50を上方に向かって貫通する止ネジ46を介して天蓋部20に固定される。天蓋部20に固定された電池集合体40は、
図3と
図4に示すように、側面43に放熱シート2を密着させて、放熱シート2の表面にアラミド繊維シート3を積層した状態で収納ケース10に挿入される。電池集合体40が挿入された収納ケース10は下方開口部12に底蓋部30が連結されて閉塞される。底蓋部30は、
図4と
図11に示すように、支持フレーム50を下方に向かって貫通する止ネジ46が挿通されると共に、底蓋部30を貫通する止ネジ46にナット49がねじ込まれて電池集合体4の下面に固定される。以上のようにして、天蓋部20を収納ケース10の上方開口部11に、底蓋部30を収納ケース10の下方開口部12に固定する。
【0035】
さらに、
図2に示す電源装置100は、外装ケース9の底面に露出する出力端子33を設けている。ここに出力端子33を設ける外装ケース9は、出力端子33から水が流入するのを阻止できる特徴がある。出力端子33は、ケース内から外部に金属ロッドを貫通して設けられるので、ケースとの間をパッキン等で防水構造としている。パッキンによる防水構造は、パッキンの劣化が原因で水が浸入するのを阻止できない。とくにパッキンの劣化を皆無にはできず、長期間にわたる確実な防水構造の実現は極めて難しい。
図2の電源装置100は、底面に出力端子33を露出させるので、使用状態で出力端子33からの水の浸入を確実に防止できる特徴がある。
【0036】
さらに、
図2の底面図と
図5の断面図に示す外装ケース9は、底部に底部排水口35を設けている。この電源装置100は、仮に浸入水が排出開口72から排水できないとしても、底部排水口35から排水して内部に溜まるのを防止できる。また、底面の底部排水口35は下向きに開口するので、ここから水が浸入することがない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の電源装置は、屋外で使用される用途に便利に使用できる。
【符号の説明】
【0038】
100…電源装置
1…二次電池セル
2…放熱シート
3…アラミド繊維シート
9…外装ケース
10…収納ケース
11…上方開口部
12…下方開口部
15…止ネジ
16…止ネジ
20…天蓋部
21…第1ケース
21A…外周壁
21B…連結ボス
22…第2ケース
22A…湾曲部
22B…連結片
22C…挿入片
22a…上向き外周縁
23…第3ケース
23A…挿入周壁
23B…連結ボス
23C…嵌合穴
23D…底プレート
23E…内部周壁
24…取っ手枠
25…枠開口部
28…取っ手部
28A…グリップ部
28B…アーチ状連結部
28C…立ち上がり連結部
30…底蓋部
33…出力端子
35…底部排水口
40…電池集合体
43…側面
44…電池ホルダ
45…リード板
46…止ネジ
49…ナット
50…支持フレーム
71…流入開口
72…排出開口
73…ガイド溝