IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハンコック タイヤ カンパニー リミテッドの特許一覧

特許7233401電子装置が一体化されたタイヤ及びその製造方法
<>
  • 特許-電子装置が一体化されたタイヤ及びその製造方法 図1
  • 特許-電子装置が一体化されたタイヤ及びその製造方法 図2
  • 特許-電子装置が一体化されたタイヤ及びその製造方法 図3
  • 特許-電子装置が一体化されたタイヤ及びその製造方法 図4
  • 特許-電子装置が一体化されたタイヤ及びその製造方法 図5
  • 特許-電子装置が一体化されたタイヤ及びその製造方法 図6
  • 特許-電子装置が一体化されたタイヤ及びその製造方法 図7
  • 特許-電子装置が一体化されたタイヤ及びその製造方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】電子装置が一体化されたタイヤ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60C 19/00 20060101AFI20230227BHJP
   B29D 30/06 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
B60C19/00 B
B29D30/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020110391
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2021008266
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2020-06-26
(31)【優先権主張番号】10-2019-0078104
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514040088
【氏名又は名称】ハンコック タイヤ アンド テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HANKOOK TIRE & TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】286,Pangyo-ro,Bundang-gu,Seongnam-si,Gyeonggi-do,13494,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ソ、スン ホン
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0215857(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-0736773(KR,B1)
【文献】国際公開第2019/054227(WO,A1)
【文献】特開2016-049920(JP,A)
【文献】米国特許第08977422(US,B1)
【文献】特開2004-090775(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0119206(KR,A)
【文献】特開2006-059363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 19/00
B29D 30/06
G06K 19/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤのインナーライナー内側表面に加硫されて一体的に貼り付けられる電子装置を備え、
前記電子装置は、
インナーライナーにおける接触せん断応力が最も低い位置であって、
前記ビーズフィラーの長さが30mm以上であるとき、ビーズワイヤーのタイヤ径方向外端から前記ビーズフィラーの先端の方向に15mm~26mmの位置に、
前記ビーズフィラーの長さが30mm未満であるとき、ビーズワイヤーのタイヤ径方向外端から前記ビーズフィラーの先端の方向に40mm~50mmの位置に、
貼り付けられることを特徴とする、電子装置が一体化されたタイヤ。
【請求項2】
前記電子装置は、
トッピング部材によって完全に包み込まれたRFIDからなり、
前記トッピング部材は、RFIDが貼り付けられる位置の素材と同一の素材からなることを特徴とする、請求項1に記載の電子装置が一体化されたタイヤ。
【請求項3】
電子装置が一体化されたタイヤの製造方法であって、
a)前記電子装置を準備する段階と、
b)前記電子装置を未加硫のタイヤのインナーライナーに配置する段階と、
c)前記タイヤを加硫して前記電子装置を前記インナーライナーに一体化させる段階と、を備える構成において、
前記b)段階は、
b1)インナーライナーにおける接触せん断応力が最も低い位置であって、前記ビーズフィラーの長さが30mm以上であるとき、ビーズフィラーの長さが30mm以上であるとき、ビーズワイヤーのタイヤ径方向外端から前記ビーズフィラーの先端の方向に15mm~26mmの位置に配置する段階と、
b2)インナーライナーにおける接触せん断応力が最も低い位置であって、前記ビーズフィラーの長さが30mm未満であるとき、ビーズワイヤーのタイヤ径方向外端から前記ビーズフィラーの先端の方向に40mm~50mmの位置に配置する段階と、を含む
ことを特徴とする、電子装置が一体化されたタイヤの製造方法。
【請求項4】
前記a)段階は、
a1)トッピング部材を準備する段階と、
a2)RFIDの一端から他端まで前記トッピング部材を順次に覆ってトッピングする段階と、を含み、
前記トッピング部材は、RFIDが貼り付けられる位置の素材と同一の素材からなることを特徴とする、請求項3に記載の電子装置が一体化されたタイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置が一体化されたタイヤ及びその製造方法に関し、より詳しくは、タイヤの耐久性を低下させないための電子装置が一体化されたタイヤ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、コネクテッドカー、自律走行自動車などの技術開発が増加するにつれて、
タイヤに電子装置を貼り付ける技術に対する研究も盛んに行われている。
【0003】
しかし、従来には、電子装置をタイヤに貼り付ける過程でタイヤの耐久性が低下され、工程が複雑になる問題があったのであり、タイヤの変形により電子装置が剥がれる問題があった。
【0004】
例えば、日本公開特許第2005-216077号公報は、RFIDをゴム部材などでトッピングし、トッピングの上にバーコードを刻印して、タイヤの表面に接着剤を使用して貼り付ける方式を提案したが、本方式では、接着剤の接着力が弱くなって容易に着脱され、タイヤの変形により接着力が弱まる場合にも着脱可能性が高い問題がある。
【0005】
中国登録特許第104589928号公報では、タイヤの内部に電子装置を挿入する方式としてベルトとサイドウォール(side wall)との間に電子装置を挿入したり、タイヤのインナーライナー(inner liner)の内部に電子装置を挿入したりしてデータを収集する方式を提案した。しかし、挿入位置がビーズとカーカスとの間に限られており、タイヤの内部に電子装置が挿入される場合、RFIDのPCBとゴムとの間に空気層が形成され、この場合、空気層が増加してタイヤの耐久性に影響を与える問題がある。
【0006】
中国公開特許第107160960号公報では、タイヤの表面にトッピングされたRFIDを貼り付け、タイヤの表面温度計測装置に連結してタイヤの情報を提供する方式を提案した。しかし、電子装置がビーズに近い側に一体化され、ターンアップハイト(turn-up height)される部分に電子装置が挿入される方式のことから、電子装置が突出して外観不良が発生する可能性がある。なお、ビーズに近い側に電子装置が挿入されて、タイヤの装着・着脱のとき、装着・着脱機の直接的な力を受けて、電子装置が損傷する可能性が高い。
【0007】
中国公開特許第106794648号公報では、タイヤ内部上のビーズフィラー先端から離隔された位置にあり、サイドウォールとショルダーとの間に電子装置が位置する。ビーズフィラー先端の耐久性が不利な位置を避けて電子装置が挿入されたが、タイヤの内部に挿入される方式は、RFIDのPCBとタイヤとが一体化されず、気泡が存在することができ、この気泡によりタイヤの耐久性に悪影響を与える可能性がある。
【0008】
このように、従来のタイヤに電子装置を一体化させる技術は、タイヤの耐久性と電子装置の耐久性を低下させる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】日本公開特許第2005-216077号公報
【文献】中国登録特許第104589928号公報
【文献】中国公開特許第107160960号公報
【文献】中国公開特許第106794648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、上記のような問題を解決するための本発明の目的は、タイヤの耐久性を低下させないための電子装置が一体化されたタイヤ及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
本発明が解決しようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に限定されず、言及されていないもう1つの技術的課題は、以下の記載から、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記のような目的を達成するための本発明の構成は、タイヤのインナーライナー又はサイドウォールに加硫されて貼り付けられる電子装置を含み、前記電子装置は、ビーズフィラールの長さに応じて前記ビーズフィラー先端の内側又は外側に貼り付けられることを特徴とする電子装置が一体化されたタイヤを提供する。
【0013】
本発明の実施形態において、前記電子装置は、トッピング部材によって完全に包み込まれたRFIDからなり、前記トッピング部材は、RFIDが貼り付けられる位置と同一の素材又はポリマー素材からなることを特徴とすることができる。
【0014】
本発明の実施形態において、前記電子装置は、前記インナーライナー又は前記サイドウォールのうち、接触せん断応力(Contact shear strength)が最も低い位置に貼り付けられることを特徴とすることができる。
【0015】
本発明の実施形態において、前記電子装置は、前記ビーズフィラーの長さが30mm以上であるとき、前記ビーズフィラー先端の内側に貼り付けられることを特徴とすることができる。
【0016】
本発明の実施形態において、前記電子装置は、前記タイヤのビーズワイヤーの先端から45~85%の高さに貼り付けられることを特徴とすることができる。
【0017】
本発明の実施形態において、前記電子装置は、前記ビーズフィラーの長さが30mm未満のとき、前記ビーズフィラー先端の外側に貼り付けられることを特徴とすることができる。
【0018】
本発明の実施形態において、前記電子装置は、前記タイヤのビーズワイヤーの先端から200~500%の高さに貼り付けられることを特徴とすることができる。
【0019】
上記のような目的を達成するための本発明の構成は、電子装置が一体化されたタイヤの製造方法であって、a)前記電子装置を準備する段階と、b)前記電子装置を前記インナーライナー又は前記サイドウォールに貼り付ける段階と、c)前記タイヤを加硫して前記電子装置を前記インナーライナー又は前記サイドウォールに一体化させる段階と、を備え、前記電子装置は、ビーズフィラーの長さに応じて前記ビーズフィラー先端の内側又は外側に貼り付けられることを特徴とする電子装置が一体化されたタイヤの製造方法を提供する。
【0020】
本発明の実施形態において、前記a)段階は、a1)トッピング部材を準備する段階、及びa2)RFIDの一端から他端まで前記トッピング部材を順次に覆ってトッピングする段階を含み、前記トッピング部材は、RFIDが貼り付けられる位置と同一の素材又はポリマー素材からなることを特徴とすることができる。
【0021】
本発明の実施形態において、前記b)段階で、前記電子装置は、前記インナーライナー又は前記サイドウォールのうち、接触せん断応力(Contact shear strength)が最も低いは位置に貼り付けられることを特徴とすることができる。
【0022】
本発明の実施形態において、前記b)段階は、b1)前記ビーズフィラーの長さが30mm以上であるとき、前記電子装置を前記ビーズフィラー先端の内側に貼り付ける段階、及びb2)前記ビーズフィラーの長さが30mm未満であるとき、前記電子装置を前記ビーズフィラー先端の外側に貼り付ける段階を含むことを特徴とすることができる。
【0023】
本発明の実施形態において、前記b1)段階で、前記電子装置は、前記タイヤのビーズワイヤー先端から45~85%の高さに貼り付けられることを特徴とすることができる。
【0024】
本発明の実施形態において、前記b2)段階で、前記電子装置は、前記タイヤのビーズワイヤー先端から200~500%の高さに貼り付けられることを特徴とすることができる。
【0025】
上記のような目的を達成するための本発明の構成は、成形段階でタイヤの内部に加硫されて貼り付けられる電子装置を含み、前記電子装置は、ビーズフィラーの長さに応じて前記ビーズフィラー先端の内側又は外側に貼り付けられることを特徴とする電子装置が一体化されたタイヤを提供する。
【発明の効果】
【0026】
上記のような構成による本発明の効果は、完成されたタイヤ又は半製品の準備状態のタイヤに電子装置を貼り付けて一体化することができるため、製造工程を変更する必要がない。
【0027】
なお、本発明によると、タイヤ内部であるカーカスとサイドウォールとの間に電子装置を挿入していないため、タイヤの耐久性を低下させたり、タイヤの変形による電子装置が故障したりする恐れがない。
【0028】
なお、本発明によると、電子装置がインナーライナーに貼り付けられる場合、タイヤの耐久性に問題が発生するときに、空気圧モニタリングシステム(Tire Pressure Monitoring System)を介して、耐久性の問題に対応しやすい。
【0029】
本発明の効果は、上記した効果に限定されるものではなく、本発明の詳しい説明又は特許請求の範囲に記載された発明の構成から推論可能な全ての効果を含んでいるものと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態による電子装置が一体化されたタイヤの例示図である。
図2】本発明の一実施形態による255/40R20サイズのタイヤのせん断応力に対する分布図である。
図3】本発明の一実施形態による285/35R19サイズのタイヤのせん断応力に対する分布図である。
図4】本発明の他の実施形態による電子装置が一体化されたタイヤの例示図である。
図5】本発明の他の実施形態による電子装置が一体化されたタイヤの応力に対する分布図である。
図6】本発明の一実施形態による電子装置が一体化されたタイヤの製造方法のフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態による電子装置を準備する段階のフローチャートである。
図8】本発明の一実施形態による電子装置をインナーライナー又はサイドウォールに貼り付ける段階のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、添付した図面を参照して本発明を説明することにする。しかし、本発明は、多数の異なる形態で実現され、したがって、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。そして、図面で本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略した。明細書全体を通して類似した部分に対しては類似した参照符号を付した。
【0032】
明細書全体において、ある部分が、他の部分と「連結(接続、接触、結合)」されているとするとき、これは「直接的に連結」されている場合だけではなく、その中間に他の部材を挟んで「間接的に連結」されている場合も含む。なお、ある部分があるコンポーネントを「含む」とするとき、これは特に反対される記載がない限り、他のコンポーネントを除外するのではなく、他のコンポーネントをさらに備えることができるのを意味する。
【0033】
本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されることで、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに別の意味を示していると判定されない限り、複数の表現を含む。本明細書では、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、コンポーネント、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするのであって、1つ又はそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、コンポーネント、部品又はこれらを組み合わせたものの存在や付加可能性をあらかじめ排除しないものと理解されるべきである。
【0034】
以下では、添付された図面を参照して、本発明の実施形態を詳しく説明することにする。
【0035】
図1は、本発明の一実施形態による電子装置が一体化されたタイヤの例示図であり、図2は、本発明の一実施形態による255/40R20サイズのタイヤのせん断応力の分布図であり、図3は、本発明の一実施形態による285/35R19サイズのタイヤのせん断応力の分布図である。
【0036】
図1図3に図示されたように、電子装置が一体化されたタイヤ100は、インナーライナー110と、電子装置120と、ビーズフィラー130と、ビーズワイヤーと、サイドウォール150と、を備える。
【0037】
前記電子装置120は、前記インナーライナー110又は前記サイドウォール150に加硫され貼り付けられて一体化され得る。
【0038】
前記電子装置120は、前記ビーズフィラー130の長さに応じて前記ビーズフィラー130先端の内側又は外側に貼り付けられる。
【0039】
前記電子装置120は、トッピング部材によって完全に包み込まれたRFIDからなることができ、前記トッピング部材は、RFIDが貼り付けられる位置と同一の素材又はポリマー素材からなることができる。
【0040】
具体的には、前記トッピング部材は、前記電子装置120が前記インナーライナー110に貼り付けられると、前記インナーライナー110と同一の素材又はポリマー素材で備えられ、前記電子装置120が前記サイドウォール150に貼り付けられると、前記サイドウォール150と同一の素材又はポリマー材料で備えられる。
【0041】
このように備えられたトッピング部材は、前記電子装置120が前記タイヤに加硫されるとき、より強固に一体化されるようにすることができる。
【0042】
前記RFIDは、スプリングのアンテナタイプ又はフィルムタイプであり得るが、前記RFIDの種類をこれに限定するものではない。
【0043】
なお、前記RFIDは、850~950MHz使用することができるが、周波数帯域を限定するものではない。
【0044】
前記電子装置120は、前記インナーライナー110又は前記サイドウォール150のうち、接触せん断応力(Contact shear strength)が最も低い位置に貼り付けられる。
【0045】
具体的には、前記電子装置120は、前記ビーズフィラー130の長さが30mm以上であるとき、前記ビーズフィラー先端131の内側に貼り付けられる。
【0046】
このとき、前記電子装置120は、図2及び図3に示されたように接触せん断応力が最も低い前記タイヤのビーズワイヤー先端140から45~85%の高さに貼り付けられる。なお、前記電子装置120は、図2及び図3に示されたように接触せん断応力が最も低い前記タイヤのビーズワイヤー先端140から15mm~26mmの高さに貼り付けられる。
【0047】
図4は、本発明の他の実施形態による電子装置が一体化されたタイヤの例示図であり、図5は、本発明の他の実施形態による電子装置が一体化されたタイヤの応力に対する分布図である。
【0048】
一方、図4及び図5に示されたように、他の実施形態による電子装置が一体化されたタイヤ200は、インナーライナー210と、電子装置220と、ビーズフィラー230と、ビーズワイヤーと、サイドウォール250と、を備える。
【0049】
ここで、前記電子装置220は、前記ビーズフィラー230の長さが30mm未満であるとき、前記ビーズフィラー先端231の外側に貼り付けられる。
【0050】
このとき、前記電子装置220は、前記タイヤのビーズワイヤー先端240から前記接触せん断応力が最も低い200~500%の高さに貼り付けられる。なお、前記電子装置220は、前記タイヤのビーズワイヤー先端240から40mm~50mmの高さに貼り付けられる。
【0051】
前記電子装置220は、前記サイドウォール250が終わる部分まで延長されて貼り付け可能であり、トレッド(tread)上に貼り付けられることも可能である。
【0052】
ただし、前記電子装置220は、認識距離を確保するために、第2のベルトの始点を超えて貼り付けられないように備えられる。
【0053】
前述したように、備えられたれた前記電子装置(120、220)は、タイヤの内部であるカーカスとサイドウォール(150、250)との間に前記電子装置(120、220)を挿入していないことから、タイヤの耐久性を低下させたり、タイヤの変形に伴う電子装置(120、220)が故障したりする恐れがない。
【0054】
以下、電子装置が一体化されたタイヤ100の具体的な製造方法を説明することにする。
【0055】
図6は、本発明の一実施形態による電子装置が一体化されたタイヤの製造方法のフローチャートである。
【0056】
図6に示されたように、電子装置が一体化されたタイヤの製造方法は、電子装置を準備する段階(S10)と、電子装置をインナーライナー又はサイドウォールに貼り付ける段階(S20)と、タイヤを加硫して電子装置をインナーライナー又はサイドウォールに一体化させる段階(S30)と、を備える。
【0057】
図7は、本発明の一実施形態による電子装置を準備する段階のフローチャートである。
【0058】
図7に示されたように、電子装置を準備する段階(S10)は、まずトッピング部材を準備する段階(S11)を遂行することができる。
【0059】
トッピング部材を準備する段階(S11)において、前記トッピング部材は、前記電子装置120が貼り付けられる位置と同一の素材又はポリマー素材からなることができる。
【0060】
具体的には、前記トッピング部材は、前記電子装置120が前記インナーライナー110に貼り付けられると、前記インナーライナー110と同一の素材又はポリマー素材で備えられ、前記電子装置120が前記サイドウォール150に貼り付けられると、前記サイドウォール150と同一の素材やポリマー材料で備えられる。
【0061】
このように備えられたトッピング部材は、前記電子装置120が前記タイヤに加硫されるときに、より強固に一体化されるようにすることができる。
【0062】
トッピング部材を準備する段階(S11)以降には、RFIDの一端から他端まで前記トッピング部材を順次に覆ってトッピングするステップ(S12)を遂行することができる。
【0063】
RFIDの一端から他端まで前記トッピング部材を順次に覆ってトッピングする段階(S12)において、RFIDは、厚さ1mm以内のチップと、チップ及びアンテナを含む全体の長さが10cm以下であり得る。そして、前記RFIDは、前記トッピング部材の外部に突出しないように前記トッピング部材によって完全に覆われるように備えられる。
【0064】
特に、RFIDの一端から他端まで前記トッピング部材を順次に覆ってトッピングする段階(S12)において、前記トッピング部材は、RFIDの一端から他端まで、前記トッピング部材を順次に覆ってトッピングすることにより、トッピング部材とチップとの間に空気が含まれないようにすることができる。
【0065】
電子装置を準備する段階(S10)以降には、電子装置をインナーライナー又はサイドウォールに貼り付ける段階(S20)を遂行することができる。
【0066】
電子装置をインナーライナー又はサイドウォールに貼り付ける段階(S20)において、前記電子装置は、前記インナーライナー110又は前記サイドウォール150のうち、接触せん断応力(Contact shear strength)が最も低い位置に貼り付けられる。
【0067】
図8は、本発明の一実施形態による電子装置をインナーライナー又はサイドウォールに貼り付ける段階のフローチャートである。
【0068】
より具体的には、図8に図示されたように、電子装置をインナーライナー又はサイドウォールに貼り付ける段階(S20)は、まずビーズフィラーの長さが30mm以上であるとき、電子装置をビーズフィラー先端の内側に貼り付ける段階(S21)を遂行することができる。
【0069】
ビーズフィラーの長さが30mm以上であるとき、電子装置をビーズフィラー先端の内側に貼り付ける段階(S21)において、前記電子装置120は、前記タイヤのビーズワイヤーの先端140から45~85%の高さに貼り付けられる。また、前記タイヤのビーズワイヤーの先端140から15mm~26mmの高さに貼り付けられる。
【0070】
ビーズフィラーの長さが30mm以上であるとき、電子装置をビーズフィラー先端の内側に貼り付ける段階(S21)以降には、ビーズフィラーの長さが30mm未満であるとき、電子装置をビーズフィラーの先端の外側に貼り付ける段階(S22)を遂行することができる。
【0071】
ビーズフィラーの長さが30mm未満であるとき、電子装置をビーズフィラーの先端の外側に貼り付ける段階(S22)において、前記電子装置120は、前記タイヤのビーズワイヤー先端140から200~500%の高さに貼り付けられたり、40mm~50mmの高さに貼り付けられたりする。
【0072】
電子装置をインナーライナー又はサイドウォールに貼り付ける段階(S20)以降には、タイヤを加硫して電子装置をインナーライナー又はサイドウォールに一体化させる段階(S30)を遂行することができる。
【0073】
前述したように備えられた電子装置が一体化されたタイヤ100の製造方法によると、完成されたタイヤ又は半製品準備状態のタイヤに、前記電子装置120を貼り付けて一体化することができるため、製造工程を変更する必要がなく便利である。
【0074】
なお、本発明によれば、前記電子装置120がインナーライナー110に貼り付けられる場合、タイヤの耐久性に問題が発生するときに、空気圧モニタリングシステム(Tire Pressure Monitoring System)を介して、耐久性の問題に対応しやすい。
【0075】
一方、図示していないが、前記電子装置120は、成形段階でタイヤの内部に加硫されて貼り付けられることも可能である。
【0076】
前述した本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に容易に変形可能であることを理解できるだろう。したがって、以上で記述した実施形態は、全ての面で例としてのものであり、限定的ではないもの
として理解しなければならない。例えば、単一型で説明されている各コンポーネントは、分散されて実施されることがあり、同様に分散されたものと説明されているコンポーネントも結合された形態で実施され得る。
【0077】
本発明の範囲は、後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその均等概念から導き出される全ての変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0078】
100,200:電子装置が一体化されたタイヤ
110,210:インナーライナー
120、220:電子装置
130、230:ビーズフィラー
131,231:ビーズフィラーの先端
140、240:ビーズワイヤーの先端
150、250:サイドウォール

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8