(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】前処理カルーセルを有する診断分析装置および関連方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/04 20060101AFI20230227BHJP
【FI】
G01N35/04 A
G01N35/04 G
(21)【出願番号】P 2020127066
(22)【出願日】2020-07-28
(62)【分割の表示】P 2018093643の分割
【原出願日】2013-12-27
【審査請求日】2020-08-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-05
(32)【優先日】2013-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391008788
【氏名又は名称】アボット・ラボラトリーズ
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・エル・オークラネク
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・シー・アーンクイスト
【合議体】
【審判長】福島 浩司
【審判官】渡戸 正義
【審判官】石井 哲
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-173180(JP,A)
【文献】特開2011-226889(JP,A)
【文献】特開2009-139245(JP,A)
【文献】特開平5-26883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N35/00-35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断分析装置であって、
第一の複数の反応ベッセルを担持する前処理カルーセルであって、
第一の複数の反応ベッセルが複数のインデックスポジションを通って移動されるように、回転する前処理カルーセルと、
第二の複数の反応ベッセルを担持する処理カルーセルであって、前処理カルーセルと同軸である処理カルーセルと、
ピペット操作機構と、
コントローラと、
を含み、
コントローラは、
第一の反応ベッセルが第一のインデックスポジションにある間に、第一の複数の反応ベッセルのうちの第一の反応ベッセルにサンプルを分注するように、ピペット操作機構を制御し、
サンプルが第一の反応ベッセル内の試薬と混合する間に、第一の反応ベッセルが1つ以上のインデックスポジションを通って第二のインデックスポジションに移動されるように、前処理カルーセルを回転させるように制御し、
第一の反応ベッセルが第二のインデックスポジションにある間に、第一の反応ベッセルからサンプルおよび試薬の混合物を吸引し、かつ第二の複数の反応ベッセルの第二の反応ベッセルに混合物を分注するように、ピペット操作機構を制御する、診断分析装置。
【請求項2】
ピペット操作機構が、第一ピペット操作機構であり、診断分析装置はさらに、第二ピペット操作機構を含み、コントローラが、試薬を第一の反応ベッセルに分注するように、第二ピペット操作機構を制御する、請求項1に記載の診断分析装置。
【請求項3】
第一の反応ベッセルが第三のインデックスポジションにあり、かつ第三のインデックスポジションが第一のインデックスポジションと第二のインデックスポジションとの間にある間に、コントローラは、試薬を第一の反応ベッセルに分注するように、第二ピペット操作機構を制御する、請求項2に記載の診断分析装置。
【請求項4】
第三のインデックスポジションは、第一のインデックスポジションの後の1つのインデックスポジションである、請求項3に記載の診断分析装置。
【請求項5】
サンプルが第一のサンプルであり、試薬が第一の試薬であり、混合物が第一の混合物であり、
コントローラは、
第三の反応ベッセルが第一のインデックスポジションにあり、かつ第一の反応ベッセルが第一のインデックスポジションと第二のインデックスポジションとの間にある間に、第一の複数の反応ベッセルのうちの第三の反応ベッセルに第二のサンプルを分注するように、ピペット操作機構を制御し、
第二のサンプルが第三の反応ベッセル内の第二の試薬と混合する間に、第三の反応ベッセルが1つ以上のインデックスポジションを通って第二のインデックスポジションに移動されるように、前処理カルーセルを回転させるように制御し、
第三の反応ベッセルが第二のインデックスポジションにある間に、第三の反応ベッセルから第二のサンプルと第二の試薬との第二の混合物を吸引し、かつ第二の複数の反応ベッセルの第四の反応ベッセルに第二の混合物を分注するように、ピペット操作機構を制御する、請求項1に記載の診断分析装置。
【請求項6】
サンプルが第一のサンプルであり、
コントローラは、第一のサンプル容器から第一のサンプルを吸引し、かつ第一の反応ベッセルに第一のサンプルを分注するように、ピペット操作機構を制御する、請求項1に記載の診断分析装置。
【請求項7】
コントローラは、第二のサンプル容器から第二のサンプルを吸引し、かつ第二の複数の反応ベッセルのうちの第三の反応ベッセルに第二のサンプルを直接分注するように、ピペット操作機構を制御する、請求項6に記載の診断分析装置。
【請求項8】
コントローラは、主要ロックステップおよび副次ロックステップの交互のパターンを含む第一の処理シーケンスにしたがって前処理カルーセルを回転させ、
副次ロックステップのそれぞれの間には、前処理カルーセルは、1つの位置だけ前進側にインデックスして、第1の期間だけ停止し、
主要ロックステップのそれぞれの間には、前処理カルーセルは、1つの位置だけ前進側にインデックスして、第2の期間だけ停止し、
第2の期間は、第1の期間よりも長い、請求項1に記載の診断分析装置。
【請求項9】
第一の反応ベッセルは、副次ロックステップのうちの1つの間、第一のインデックスポジションに配置される、請求項8に記載の診断分析装置。
【請求項10】
第一の処理シーケンスの主要ロックステップのうちの1つおよび副次ロックステップのうちの1つは、組み合わされた第一の持続時間を有し、
コントローラは、複数のロックステップを含む第二の処理シーケンスを通じて処理カルーセルを回転させ、
第二の処理シーケンスのロックステップは、第二の持続時間を有し、
第二の持続時間は、第一の持続時間に等しい、請求項8に記載の診断分析装置。
【請求項11】
前処理カルーセルは、処理カルーセルの外側に設けられている、請求項1に記載の診断分析装置。
【請求項12】
診断分析装置であって、
第一の複数の反応ベッセルを担持する前処理カルーセルであって、
第一の複数の反応ベッセルが複数のインデックスポジションを通って移動されるように、回転する前処理カルーセルと、
第二の複数の反応ベッセルを担持する処理カルーセルであって、
前処理カルーセルと同軸である処理カルーセルと、
第一ピペット操作機構と、
第二ピペット操作機構と、
コントローラと、
を含み、コントローラは、
第一の反応ベッセルが第一のインデックスポジションにある間に、第一の複数の反応ベッセルのうちの第一の反応ベッセルにサンプルを分注するように、第一ピペット操作機構を制御し、
第一の反応ベッセルが1つ以上のインデックスポジションを通って第二のインデックスポジションに移動されるように、前処理カルーセルを回転させるように制御し、
第一の反応ベッセルが第二のインデックスポジションにある間に、試薬を試薬容器から吸引し、かつ試薬を第一の反応ベッセルに分注するように、第二ピペット操作機構を制御し、
第一の反応ベッセルが第二のインデックスポジションにある間に、第一の反応ベッセルからサンプルおよび試薬の混合物を吸引し、かつ第二の複数の反応ベッセルの第二の反応ベッセルに混合物を分注するように、第二ピペット操作機構を制御する、診断分析装置。
【請求項13】
試薬が第一の試薬であり、試薬容器が第一の試薬容器であり、
コントローラは、
a)第一の反応ベッセルから混合物を吸引する前に、第二の試薬容器から第二ピペット操作機構のピペットに第二の試薬を吸引し、
b)第一の反応ベッセルが第二のインデックスポジションにある間に、混合物を第一の反応ベッセルから第二の試薬と共にピペットに吸引し、
c)第二の試薬および混合物を第二の反応ベッセルに分注するように、第二ピペット操作機構を制御する、請求項12に記載の診断分析装置。
【請求項14】
診断分析装置であって、
第一の複数の反応ベッセルを担持する前処理カルーセルであって、
第一の複数の反応ベッセルが複数のインデックスポジションを通って移動されるように、回転する前処理カルーセルと、
第二の複数の反応ベッセルを担持する処理カルーセルであって、
前処理カルーセルと同軸である処理カルーセルと、
第一ピペット操作機構と、
第二ピペット操作機構と、
コントローラと、
を含み、コントローラは、
第一の反応ベッセルが第一のインデックスポジションにある間に、第一の複数の反応ベッセルのうちの第一の反応ベッセルにサンプルを分注するように、第一ピペット操作機構を制御し、
第一の反応ベッセルが1つ以上のインデックスポジションを通って第二のインデックスポジションに移動されるように、前処理カルーセルを回転させるように制御し、
主要ロックステップおよび副次ロックステップの交互のパターンを含む第一の処理シーケンスにしたがって回転させるように、前処理カルーセルを制御し、
副次ロックステップのそれぞれの間には、前処理カルーセルは、1つの位置だけ前進側にインデックスして、第1の期間だけ停止し、
主要ロックステップのそれぞれの間には、前処理カルーセルは、1つの位置だけ前進側にインデックスして、第2の期間だけ停止し、
第2の期間は、第1の期間よりも長く、
第一の反応ベッセルが第二のインデックスポジションにある間に、第一の反応ベッセルからサンプルおよび試薬の混合物を吸引し、かつ第二の複数の反応ベッセルの第二の反応ベッセルに混合物を分注するように、第二ピペット操作機構を制御する、診断分析装置。
【請求項15】
第一の反応ベッセルは、
副次ロックステップのうちの1つの間、第一のインデックスポジションに配置され、
主要ロックステップのうちの1つの間、第二のインデックスポジションに配置される、請求項14に記載の診断分析装置。
【請求項16】
前処理カルーセルの第一の処理シーケンスの主要ロックステップのうちの1つおよび副次ロックステップのうちの1つは、組み合わされた第一の持続時間を有し、
コントローラは、複数のロックステップを含む第二の処理シーケンスを通じて処理カルーセルを回転させ、
処理カルーセルの第二の処理シーケンスのロックステップは、第二の持続時間を有し、
第二の持続時間は、第一の持続時間に等しい、請求項14に記載の診断分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2013年3月15日出願の、「DIAGNOSTIC ANALYZERS WITH PRETREATMENT CAROUSELS AND RELATED METHODS」と題された、米国特許仮出願第61/792,779号について、米国特許法119条(e)の下で恩典を主張する。
【0002】
本開示は、主に自動診断分析装置に関し、より具体的には、前処理カルーセルを有する自動診断分析装置および関連方法に関する。
【背景技術】
【0003】
自動診断分析装置は、診断分析手順を実行するための分析装置内の異なる領域から自動的に流体を吸引したりそこへ流体を分注したりするために、複数のカルーセルおよび複数のピペット操作機構を採用する。いくつかの周知の分析装置は、カルーセルが回転する際に反応ベッセルに対して様々な機能を実行するために、カルーセルの周りに複数の反応ベッセルおよびモジュールを有する、反応ベッセルカルーセルを含む。診断分析装置は、サンプルのタイプおよび/または望ましい検査のタイプに応じて、異なる診断検査を実行する。異なる診断検査は、培養、混合、読み取り、およびその他の評価ステップのために異なる時間を包含してもよい。比較的長いおよび/または検査の時間を延長させる別の詳細なステップを含む検査手順に適応する周知の分析装置は、低処理能力を有する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本開示の教示による、同心カルーセルを有する例示的処理トラックの斜視図である。
【
図2】
図1の例示的処理トラックを含む例示的診断分析装置の上面図である。
【
図4A】
図1の例示的処理トラックで利用される例示的トラックシステムの概略図である。
【
図4B】
図1の例示的処理トラックとともに利用されて例示的反応ベッセルと係合している、例示的ダイバータの底面斜視図である。
【
図4D】
図4Aの例示的トラックシステムならびに
図4Bおよび
図4Cの例示的ダイバータを有する例示的カバーの底面斜視図である。
【
図4E】
図4Dの例示的カバーおよび例示的ダイバータの底面図である。
【
図5A】
図1の例示的処理トラックおよび例示的ピペット操作機構の斜視図である。
【
図5B】
図5Aの例示的処理トラックおよびピペット操作機構の上面図である。
【
図5C】
図5Aの例示的処理トラックおよびピペット操作機構の前側面図である。
【
図6】
図1から
図5Cに示される例示的分析装置および/または例示的処理トラックのための例示的処理システムのブロック図である。
【
図7】例示的前処理プロセスを説明するフローチャートである。
【
図8】別の例示的前処理プロセスを説明するフローチャートである。
【
図9A】例示的診断検査プロセスを説明するフローチャートである。
【
図10】本明細書に開示される例とともに使用するためのプロセッサプラットフォームの図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
特定の例が、上記で指定された図中に示され、以下に詳細に記載される。これらの例の記述において、同じまたは類似の要素を特定するために、類似または同一の参照番号が使用される。図面は必ずしも縮尺通りではなく、図面の中の特定の図および特定の要素は、明確さおよび/または簡潔さのために、縮尺または略図において誇張して示される場合がある。加えて、本明細書全体を通じていくつかの例が記載されている。いずれの例のいずれの要素も、別の例の別の要素を含み、これに置き換えられ、または別途組み合わせられてもよい。
【0006】
診断ラボは、たとえば臨床化学分析装置、免疫分析装置、および血液分析装置を含む、検体またはサンプルを検査および分析するためのものなどの診断機器を採用する。検体および生体サンプルは、たとえばDNAの特異的領域、ミトコンドリアDNA、RNAの特異的領域、メッセンジャーRNA、転移RNA、ミトコンドリアRNA、断片、相補体、ペプチド、ポリペプチド、酵素、プリオン、タンパク質、抗体、抗原、アレルゲン、細胞またはバイロンなどの生物学的実体の一部、表面タンパク質、および/または上記の機能的同等物を含む、対象のアイテムの有無を確認するなどのために、分析される。患者の体液(たとえば血清、全血、尿、スワブ、血漿、脳脊髄液、リンパ液、固形組織)などの検体は、患者の健康に関する情報を提供するために、多くの異なるテストを用いて分析されることが可能である。
【0007】
一般的に、検査サンプルの分析は、1つ以上のアナライトに対して1つ以上の試薬を用いる検査サンプルの反応を伴う。反応混合物は、たとえば検査サンプル中の特定のアナライトの存在および/または濃度など、1つ以上の特徴のための装置によって、分析される。技術者(たとえば作業者)が実行すべきタスクは少なく、したがって作業者または技術者の誤りの可能性が減少するので、自動診断分析装置の使用は研究室手順の効率を改善する。加えて、自動診断分析装置はまた、はるかに迅速に、さらなる精度および再現性をもって、結果を提供する。
【0008】
自動診断分析装置は、保存容器(たとえば上部開口管などのレセプタクル)と検体が処理される容器(たとえば反応ベッセル)との間で液体を移動させるために、複数のピペットを使用する。たとえば、検体は、分析装置上のラック内に装填された管の中に収容されてもよく、ピペットを担持するヘッドは管の中までピペットを移動させ、そこで管からピペット内に選択された量の検体を抽出するために真空が印加される。ヘッドは、管からピペットを後退させ、処理ステーションに位置する別の管または反応ベッセルまで移動して、抽出された検体をピペットから反応ベッセルの中に入れる。試薬もまた、試薬供給源から同様に取得される。
【0009】
いくつかの診断分析装置は、診断検査を行うために、複数の反応ベッセルを有する処理カルーセルを採用する。処理カルーセルが回転すると、複数の機能および診断検査手順が、個々の反応ベッセルに対して実行される。いくつかの診断検査は、別の検査と比較して、サンプルと1つ以上の試薬との間での効果的な反応のために長い培養時間を必要とする。いくつかの周知の分析装置は、単一の処理トラックを含み、分析装置の単一の処理トラック内で長時間の反応検査を伴うものを含む、異なる検査手順を行う。このため、検査時間に基づいて評価ステップおよびスケジューリングプロトコルが開発され、最長タイプの検査が分析装置の処理能力を決定する。加えて、たとえば比較的速い反応および/または短い培養期間のものなど、いくつかの検査は長時間にわたってアイドリングしたままである。
【0010】
本明細書に開示される例示的分析装置および/または処理トラックは、たとえば培養、希釈などの診断検査の前処理において行われる検査手順の実行のための、前処理カルーセルを含む。いくつかの例において、前処理カルーセルは、主要処理カルーセルと共平面および同心に配置される。前処理操作は前処理カルーセル上の複数の反応ベッセル内で実行され、その後反応ベッセルの内容物または内容物の一部は、分析のために主要処理カルーセル上の別の反応ベッセルに移送される。したがって、前処理は主要処理カルーセルの外側の異なる領域内で行われ、このため主要処理カルーセル上で診断検査タイミングおよび処理能力が向上する可能性がある。
【0011】
本明細書に開示される例示的分析装置および/または処理トラックはまた、カルーセル上の異なる場所へおよびそこから液体を吸引および/または分注するために、処理トラックの周りに配置された複数のピペット操作機構も含む。いくつかの例において、第一ピペット操作機構は、主要処理カルーセル上の反応ベッセル内にサンプルを分注するために使用され、また前処理済みサンプルを前処理カルーセルから主要処理カルーセルへ移送するためにも使用されてよい。いくつかの例において、1つ以上の他のピペット操作機構は、たとえば診断検査中の異なる時間に、および/またはカルーセル上の異なる場所でなど、検査中に1つ以上の反応ベッセルの中に1つ以上の試薬を分注するために、使用されてもよい。
【0012】
いくつかの例において、本明細書に開示される分析装置および/または処理トラックは、免疫測定に使用されるが、これは抗体およびそれぞれの抗原の反応を用いる、血清などの生体液中の物質の濃度を測定する生化学検査である。化学発光微粒子免疫測定および/または化学発光磁性免疫測定として知られる特定タイプの免疫測定は、磁性体または常磁性体、ならびに抗体または抗原と結合した化学発光標識を、包含する。この評価において、磁性微粒子は第一抗体で被覆される。第二抗体は化学発光標識で標識され、磁性微粒子には付着しない。抗体および対応する抗原が反応し、付着した化学発光標識は、サンプル中に存在するアナライトの量を表す測定可能な光を発生する。
【0013】
別の例において、本明細書に開示される例示的分析装置および/または処理トラックは臨床化学評価に使用されるが、これはたとえば血液または尿などからの物質の濃度を測定する生化学検査である。濃度は、様々な身体組織の健康条件または状態を表す。
【0014】
本明細書に開示される例示的装置は、第一ベッセルを受容するためのスロットの第一環状アレイと、第一直径を有する第一カルーセルを中心とする第一回転トラック、第一直径よりも小さい第二直径を有する第一カルーセルを中心とする第二回転トラックと、を備える第一カルーセルを含む。例示的装置は、第一トラックから第二トラックまで第一ベッセルを移動させるための、第一ダイバータを含む。例示的装置はまた第一カルーセルと同軸の第二カルーセルも含み、第二カルーセルは第二ベッセルを受容するためのスロットの第二環状アレイを備える。いくつかの例において、第二カルーセルは第一カルーセルと同心である。
【0015】
いくつかの例において、装置はまた、第二トラックのある部分から第二トラックの別の部分まで第一ベッセルを移動させるための、第二ダイバータも含む。いくつかの例において、装置はまた、第二トラックから洗浄ステーションまで第一ベッセルを移動させるための、第三ダイバータも含む。いくつかの例において、装置はまた、第二カルーセルから第二ベッセルを取り外すための第四ダイバータも含む。
【0016】
いくつかの例において、第一カルーセルは第一内周および第一外周を含み、第二カルーセルは第二内周および第二外周を含み、第二内周は第一外周の外側に設けられている。このような例のいくつかにおいて、装置は第二外周の外側に設けられた第一ピペット操作機構を含む。例示的第一ピペット操作機構は、第二外周の外側に設けられた第一容器から吸引し、第一カルーセル上の第一ベッセルまたは第二カルーセル上の第二ベッセルのうちの少なくとも1つに分注するためのものである。いくつかの例において、第一ピペット操作機構は、第二カルーセル上の第二ベッセルから吸引し、第一カルーセル上の第一ベッセルに分注するためのものである。
【0017】
いくつかの例において、装置は第二外周の外側に設けられた第二ピペット操作機構を含む。例示的第二ピペット操作機構は、第二外周の外側に設けられた第二容器から吸引するために配置されている。第二ピペット操作機構はまた、第二カルーセル上の第二ベッセルから吸引および/またはそこへ分注するため、ならびに第一カルーセル上の第一ベッセルに分注するためのものである。
【0018】
このような例のいくつかにおいて、第一ピペット操作機構は、第一カルーセル上の第一ベッセルおよび第二カルーセル上の第二ベッセルの上を第一移動経路に沿って移動可能な第一ピペットアームを有し、第二ピペット操作機構は、第一カルーセル上の第三ベッセルおよび第二カルーセル上の第四ベッセルの上を第二移動経路に沿って移動可能な第二ピペットアームを有する。いくつかの例において、第一移動経路は、2箇所で第一カルーセルと交差し、2箇所で第二カルーセルと交差する。
【0019】
いくつかの例において、装置はまた、第一内周の内側に設けられた第三ピペット操作機構も含む。例示的第三ピペット操作機構は、第一内周の内側に設けられた第三容器から吸引し、第一カルーセル上の第一ベッセルの中に分注するために、配置されている。このような例のいくつかにおいて、第三ピペット操作機構は、その周りを第一カルーセルおよび第二カルーセルが回転することになる第一軸からずれている。いくつかの例において、第二容器または第三容器のうちの少なくとも1つは、第一カルーセルの下に設けられている。
【0020】
いくつかの例において、第一ピペット操作機構は、第一ベッセルが第一カルーセルの第一トラック上にあるときに、第一ベッセルに分注するためのものである。このような例のいくつかにおいて、第二ピペット操作機構は、第一ベッセルが第一カルーセルの第一トラック上にあるときに、第一ベッセルに分注するためのものである。いくつかの例において、第三ピペット操作機構は、第一ベッセルが第一カルーセルの第二トラック上にあるときに、第一ベッセルに分注するためのものである。いくつかの例において、第二ピペット操作機構は、第一カルーセル上の第一ベッセルまたは第二カルーセル上の第二ベッセルのうちの少なくとも1つの中に常磁性微粒子液を分注するためのものである。
【0021】
いくつかの例において、スロットの各々は、2つ以上のベッセルを受容するために、長尺になっている。いくつかの例において、スロットの第一環状アレイの第一スロットは、第一トラック内の第一ベッセルおよび第二トラック内の第三ベッセルを受容するためのものである。いくつかの例において、スロットの第二環状アレイは、スロットの第一環状アレイよりも多くのスロットを備える。
【0022】
いくつかの例において、第二トラックは螺旋トラックを備え、第一カルーセル上の第一環状アレイのスロットのうちの1つにある第一ベッセルは、第一カルーセルが回転する際に螺旋トラックを辿る。このような例のいくつかにおいて、螺旋トラックは、第一カルーセル上の半径方向外側位置から第一カルーセル上の半径方向内側位置まで第一ベッセルを導くために、直径が減少する。いくつかの例において、第一環状アレイのスロットのうちの1つにある第一ベッセルは、第一カルーセルが少なくとも2回転した後に、半径方向外側位置から半径方向内側位置まで移動することになっている。
【0023】
いくつかの例において、第一カルーセルは複数の間隔で回転するが、各間隔は前進および停止を備える。このような例のいくつかにおいて、第一カルーセルの各間隔は約18秒である。いくつかの例において、第二カルーセルは複数の間隔で回転するが、各間隔は主要間隔および副次間隔を備える。いくつかの例において、第二カルーセルの副次間隔は前進および停止を備え、第二カルーセルの主要間隔は前進および停止を備える。このような例のいくつかにおいて、第二カルーセルの各間隔は約18秒である。いくつかの例において、主要間隔は約16秒である。
【0024】
本明細書に開示される別の例示的装置は、基部に回転可能に結合された第一カルーセルを含む。例示的第一カルーセルは、第一直径と、第一の複数のベッセルを受容するためのスロットの第一環状アレイとを有する。例示的装置はまた、基部に回転可能に結合された第二カルーセルも含む。例示的第二カルーセルは、第一カルーセルと同軸であり、第一直径よりも大きい第二直径を有し、第二の複数のベッセルを受容するためのスロットの第二環状アレイを有する。例示的装置は、第一直径の外側かつ第二直径の外側に設けられた、第一ピペット操作機構を含む。例示的第一ピペット操作機構は、第一直径および第二直径の外側に設けられた第一容器から吸引し、第一カルーセル上の第一の複数のベッセルのうちの1つおよび第二カルーセル上の第二の複数のベッセルのうちの1つに分注するために、配置されている。例示的装置はまた、第一直径の外側かつ第二直径の外側に設けられた第二ピペット操作機構も含む。例示的装置の第二ピペット操作機構は、第一直径および第二直径の外側に設けられた第二容器から吸引し、第二カルーセル上の第二の複数のベッセルのうちの1つから吸引またはこれに分注し、第一カルーセルの複数のベッセルのうちの1つに分注するために、配置されている。
【0025】
例示的装置はまた、第一直径の内側および第二直径の内側に設けられた第三ピペット操作機構も含み、第三ピペット操作機構は、第一直径および第二直径の内側に設けられた第三容器から吸引し、第一カルーセル上の第一の複数のベッセルのうちの1つに分注するために、配置されている。いくつかの例において、第三ピペット操作機構は、第一カルーセルの回転軸からずれている。
【0026】
いくつかの例において、第二カルーセルは第一カルーセルと同心である。いくつかの例において、第一ピペット操作機構は、第一カルーセル上の第一の複数のベッセルの第一ベッセルおよび第二カルーセル上の第二の複数のベッセルの第二ベッセルの上を第一移動経路に沿って移動可能な第一ピペットアームを有する。このような例のいくつかにおいて、第二ピペット操作機構は、第一カルーセル上の第一の複数のベッセルの第三ベッセルおよび第二カルーセル上の第二の複数のベッセルの第四ベッセルの上を第二移動経路に沿って移動可能な第二ピペットアームを有する。いくつかの例において、第三ピペット操作機構は、第一カルーセル上の第一の複数のベッセルの第五ベッセルの上を第三移動経路に沿って移動可能な第三ピペットアームを有する。いくつかの例において、第一ピペット操作機構、第二ピペット操作機構、または第三ピペット操作機構のうちの少なくとも1つは、略垂直方向に移動可能である。
【0027】
いくつかの例において、第一カルーセルは螺旋トラックを備え、第一カルーセル上の第一環状アレイのスロットのうちの1つにある第一の複数のベッセルの第一ベッセルは、第一カルーセルが回転する際に螺旋トラックを辿る。このような例のいくつかにおいて、螺旋トラックは、第一カルーセル上の半径方向外側箇所から第一カルーセル上の半径方向内側箇所まで第一ベッセルを導くためのものである。いくつかの例において、第一カルーセルは、螺旋トラック上のある箇所から螺旋トラック上の別の箇所まで第一の複数のベッセルのうちの1つ以上を方向転換させるための複数のダイバータを備える。
【0028】
本明細書に開示される例示的方法は、基部に対して第一カルーセルを回転させるステップを備える。例示的方法において、第一カルーセルは、第一の複数のベッセルを受容するためのスロットの第一環状アレイと、第一直径を有する第一カルーセルを中心とする第一回転トラックと、第一直径よりも小さい第二直径を有する第一カルーセルを中心とする第二回転トラックと、を備える。例示的方法は、第一の複数のベッセルのうちの少なくとも1つを第一トラックから第二トラックへ方向転換させるステップを含む。例示的方法はまた、基部に対して第二カルーセルを回転させるステップであって、第二カルーセルは第一カルーセルと同心であり、第二カルーセルは第二の複数のベッセルを受容するためのスロットの第二環状アレイを備えるステップも、含む。
【0029】
いくつかの例において、第二カルーセルは第一カルーセルと同心である。いくつかの例において、方法は、第一の複数のベッセルのうちの少なくとも1つを第二トラック上のある箇所から第二トラック上の別の箇所へ方向転換させるステップを含む。このような例のいくつかにおいて、方法は、第一の複数のベッセルのうちの少なくとも1つを第二トラックから洗浄ステーションへ方向転換させるステップを含む。
【0030】
いくつかの例において、第一カルーセルは第一直径を備え、第二カルーセルは第一直径よりも大きい第二直径を備える。いくつかの例において、方法は、第一直径および第二直径の外側に設けられた第一容器から第一流体を吸引するステップと、少なくとも第一カルーセル上の第一の複数のベッセルのうちの1つまたは第二カルーセル上の第二の複数のベッセルのうちの1つの中に第一流体を分注するステップと、を含む。このような例のいくつかにおいて、方法は、第二カルーセル上の第二の複数のベッセルのうちの1つから第二流体を吸引するステップと、第一カルーセル上の第一の複数のベッセルのうちの1つの中に第二流体を分注するステップと、を含む。
【0031】
いくつかの例において、方法は、第一直径および第二直径の外側に設けられた第二容器から第三流体を吸引するステップと、少なくとも第一カルーセル上の第一の複数のベッセルのうちの1つまたは第二カルーセル上の第二の複数のベッセルのうちの1つの中に第三流体を分注するステップと、含む。このような例のいくつかにおいて、方法は、第二容器から第三流体を吸引するステップと、第二カルーセル上の第二の複数のベッセルのうちの1つから第四流体を吸引するステップと、第一カルーセル上の第一の複数のベッセルのうちの1つの中に第三流体および第四流体を分注するステップと、を含む。いくつかの例において、方法は、第一直径および第二直径の内側に設けられた第三容器から第五流体を吸引するステップと、第一カルーセル上の第一の複数のベッセルのうちの1つの中に第五流体を分注するステップと、を含む。このような例のいくつかにおいて、第五流体は、ベッセルが第二回転トラック上にあるときに、第一の複数のベッセルのうちの1つの中に分注される。
【0032】
いくつかの例において、方法は、第一カルーセル上の半径方向外側箇所から第一カルーセル上の半径方向内側箇所まで第二回転トラック上の第一の複数のベッセルのベッセルの1つを搬送するために第一カルーセルを回転させるステップを含む。このような例のいくつかにおいて、第二回転トラックは螺旋を備え、第二トラック上の第一の複数のベッセルのうちの1つを回転させることで、半径方向外側箇所から半径方向内側箇所までベッセルを移動させる。いくつかの例において、第一カルーセルは、第一カルーセル上の半径方向外側箇所から半径方向内側箇所までベッセルを搬送するために、少なくとも2回の回転を完了することになる。
【0033】
基部に対して第一カルーセルを回転させるステップを含む別の例示的方法が、本明細書に開示される。例示的第一カルーセルは、第一直径と、第一の複数のベッセルを受容するためのスロットの第一環状アレイとを有する。例示的方法はまた、基部に対して第二カルーセルを回転させるステップも含む。例示的第二カルーセルは第一カルーセルと同軸であり、例示的第二カルーセルは、第一直径よりも大きい第二直径と、第二の複数のベッセルを受容するためのスロットの第二環状アレイとを有する。
【0034】
例示的方法は、第一ピペット操作機構を介して第一直径および第二直径の外側の第一容器から第一流体(たとえば、サンプル)を吸引するステップを含む。例示的第一ピペット操作機構は、第一直径の外側かつ第二直径の外側に配置されている。例示的方法は、第一ピペット操作機構を介して、少なくとも第一カルーセル上の第一の複数のベッセルのうちの1つまたは第二カルーセル上の第二の複数のベッセルのうちの1つの中に第一流体を分注するステップを含む。例示的方法はまた、第二ピペット操作機構を介して第一直径および第二直径の外側の第二容器から第二流体を吸引するステップも含む。例示的第二ピペット操作機構は、第一直径の外側かつ第二直径の外側に配置されている。例示的方法は、第二ピペット操作機構を介して、少なくとも第一カルーセル上の第一の複数のベッセルのうちの1つまたは第二カルーセル上の第二の複数のベッセルのうちの1つの中に第二流体を分注するステップを含む。例示的方法は、第三ピペット操作機構を介して、第一直径および第二直径の内側に設けられた第三容器から第三流体を吸引するステップを含む。例示的第三ピペット操作機構は、第一直径および第二直径の内側に配置されている。例示的方法はまた、第三ピペット操作機構を介して、第一カルーセル上の第一の複数のベッセルのうちの1つの中に第三流体を分注するステップも含む。
【0035】
いくつかの例において、第二カルーセルは第一カルーセルと同心である。いくつかの例において、方法は、第一ピペット操作機構を介して、第二カルーセル上の第二の複数のベッセルのうちの1つから第四流体を吸引するステップと、第一ピペット操作機構を介して、第一カルーセル上の第一の複数のベッセルのうちの1つの中に第四流体を分注するステップと、を含む。このような例のいくつかにおいて、方法は、第二ピペット操作機構を介して、第二カルーセル上の第二の複数のベッセルのうちの1つから第五流体を吸引するステップと、第二ピペット操作機構を介して、第一カルーセル上の第一の複数のベッセルのうちの1つの中に第五流体を分注するステップと、を含む。
【0036】
いくつかの例において、第一カルーセルは、第一回転トラックおよび第二回転トラックを備える。例示的第二回転トラックは、螺旋トラックを備える。このような例のいくつかにおいて、方法は、第二トラックに沿って第一の複数のベッセルのうちの1つを搬送するために第一カルーセルを回転させるステップを含む。いくつかの例において、第二トラックに沿って第一の複数のベッセルのうちの1つを回転させるステップは、第一カルーセル上の半径方向外側箇所から第一カルーセル上の半径方向内側箇所までベッセルを移動させる。
【0037】
いくつかの例において、方法は、第一ダイバータを介して、第一の複数のベッセルのうちの1つを第一トラックから第二トラックへ方向転換させるステップを含む。このような例のいくつかにおいて、方法は、第二ダイバータを介して、第二トラック上の第一箇所から第二トラック上の第二箇所まで第一の複数のベッセルのうちの1つを方向転換させるステップを含む。いくつかの例において、方法は、第三ダイバータを介して、第二回転トラックから洗浄ステーションまで第一の複数のベッセルのうちの1つを方向転換させるステップを含む。
【0038】
いくつかの例において、方法は、複数の間隔で第一カルーセルを回転させるステップであって、各間隔は前進および停止を有するステップを含む。いくつかの例において、第一カルーセルの間隔の各々は約18秒である。いくつかの例において、方法は、複数の副次間隔および主要間隔で第二カルーセルを回転させるステップを含む。いくつかの例において、副次間隔は前進および停止を有し、主要間隔は前進および停止を有する。いくつかの例において、第二カルーセルの副次間隔の各々は約2秒である。このような例のいくつかにおいて、第二カルーセルの主要間隔の各々は約16秒である。
【0039】
本明細書に開示される別の例において、例示的装置は、外縁、内縁、および複数のベッセルを受容するために外縁と内縁との間に延在する長尺スロットの環状アレイを有するカルーセルを含む。加えて、例示的カルーセルは、外縁に隣接する第一位置から内縁に隣接する第二位置までベッセルを案内するために、外縁から内縁まで螺旋回転(たとえばコイル状、コークスクリュー状、ヘリカルなど)しながら延在する螺旋トラックを含む。
【0040】
いくつかの例において、例示的装置は、螺旋トラック上の第一箇所から螺旋トラック上の第二箇所までベッセルを移動させるためのダイバータを含む。いくつかの例において、例示的装置は、螺旋トラックを包囲する円形トラックを含む。また、いくつかの例において、例示的装置は、円形トラックから螺旋トラックまでベッセルを移動させるためのダイバータを含む。
【0041】
本明細書には、複数のベッセルを受容するためのスロットの環状アレイを有するカルーセルを含む例示的装置もまた開示される。例示的装置は、第一円周を有するカルーセルを中心とする第一回転トラックと、第一円周の内側に設けられたカルーセルを中心とする第二回転トラックとを含み、第二トラックは螺旋経路を備える。
【0042】
いくつかの例において、例示的装置は、第一トラックから第二トラックまでベッセルを移動させるためのダイバータを含む。いくつかの例において、例示的装置は、第二トラックのある部分から第二トラックの別の部分まで複数のベッセルのうちの1つを移動させるためのダイバータを含む。いくつかの例において、例示的装置は、第二トラックからサイドトラックまで複数のベッセルのうちの1つを移動させるためのダイバータを含む。また、いくつかの例において、サイドトラックは洗浄ステーションまで続く。
【0043】
いくつかの例において、例示的装置のスロットの各々は、2つ以上のベッセルを受容するために長尺になっている。いくつかの例において、第一ベッセルが環状アレイのスロットのうちの1つの中にあって第二トラックと係合しているとき。第一ベッセルは、カルーセルが回転する際に螺旋経路を辿る。いくつかの例において、第一ベッセルは、カルーセルが回転する際に、カルーセル上の半径方向外側位置からカルーセル上の半径方向内側位置まで移動することになる。
【0044】
いくつかの例において、第一トラックはカルーセルの上方に設けられ、カルーセル上のベッセルは、ベッセルが環状アレイのスロットのうちの1つの中に設けられたときに、第一トラックと係合することになる。やはりいくつかの例において、第二トラックはカルーセルの上方に設けられ、カルーセル上のベッセルは、ベッセルが環状アレイのスロットのうちの1つの中に設けられたときに、第二トラックと係合することになる。いくつかの例において、第一ベッセルおよび第二ベッセルは同じスロット内に設けられる。加えて、いくつかの例において、例示的装置はまた、カルーセルを被覆するためのカバーも含み、第一トラックおよび第二トラックはカバーの底面に結合されている。
【0045】
いくつかの例において、例示的装置は、カルーセルの下方に設けられたヒートブロックを含む。ヒートブロックは、いくつかの例において、第一トラックおよび第二トラックと実質的に位置合わせされた複数の溝を含む。加えて、いくつかの例において、ベッセルが第一カルーセル上の環状アレイのスロットのうちの1つの中に設けられたとき、ベッセルの少なくとも一部は、ヒートブロック内の複数の溝のうちの1つの中に設けられる。
【0046】
本明細書には、第一の複数の間隔を通じて第一ベッセルを有する第一カルーセルを回転させるステップであって、第一の複数の間隔の各々は第一前進および第一停止を備えるステップを含む、例示的方法もまた開示される。例示的方法はまた、第二の複数の間隔を通じて第二ベッセルを有する第二カルーセルを回転させるステップであって、第二の複数の間隔の各々は第二前進、第二停止、第三前進、および第三停止を備えるステップも含む。
【0047】
いくつかの例において、第一の複数の間隔の持続時間は、第二の複数の間隔の持続時間と実質的に同じである。また、いくつかの例において、第二停止は第三停止よりも短い。
【0048】
本明細書には、第一内周および第一外周を有する第一カルーセルを含む例示的装置もまた開示される。例示的装置はまた、第二内周および第二外周を有する第二カルーセルも含む。この例において、第二内周は第一外周の外側に設けられている。例示的装置はまた、第一位置の第一カルーセルおよび第二位置の第二カルーセルにアクセスするために第一移動経路に沿って回転するための、第一ピペット操作機構も含む。
【0049】
いくつかの例において、第一カルーセルおよび第二カルーセルは独立して回転可能である。いくつかの例において、例示的装置は、第一カルーセルを回転させるための第一モータと、第二カルーセルを回転させるための第二モータとを含む。いくつかの例において、第一カルーセルは第一ロックステップで回転することになり、第二カルーセルは第二ロックステップで回転することになる。また、いくつかの例において、第一ロックステップの第一持続時間は第二ロックステップの第二持続時間とは異なる。
【0050】
いくつかの例において、第一ピペット操作機構は、第二外周の外側に設けられたサンプルにアクセスするためのものである。また、いくつかの例において、第一ピペット操作機構は第二外周の外側に設けられている。
【0051】
いくつかの例において、例示的装置は、第三位置の第一カルーセルおよび第四位置の第二カルーセルにアクセスするために第二移動経路に沿って回転することになる、第二ピペット操作機構を含む。いくつかの例において、第二ピペット操作機構は第二外周の外側に設けられている。また、いくつかの例において、第二ピペット操作機構は第三カルーセルにアクセスするためのものである。加えて、第三カルーセルは、第一カルーセルから垂直方向に離れている。
【0052】
いくつかの例において、例示的装置は、第三位置の第一カルーセルおよび第四位置の第三カルーセルにアクセスするために第二移動経路に沿って回転することになる、第二ピペット操作機構を含む。いくつかの例において、第二ピペット操作機構は第一内周の内側に設けられている。また、このような例において、第三カルーセルは第一カルーセルから垂直方向に(たとえば、上方または下方に)離れていてもよい。
【0053】
ここで図面を見ると、例示的処理トラック100が、第一カルーセル102(たとえば環状プレート、トラック、ディスク、回転ベルトなど)および第二カルーセル104および筐体106を有するものとして、
図1に示されている。例示的処理トラック100は、たとえば免疫測定、臨床化学評価、および/またはその他のタイプの診断検査を行うために、使用されてもよい。例示的処理トラック100は、たとえば以下に詳細に開示される分析装置200(
図2)など、自動化試薬および/またはサンプルアクセスを有する分析装置に組み込まれてもよい。いくつかの例において、第一カルーセル102は診断検査を行うための主要処理カルーセルであり、第二カルーセル104は、第一カルーセル102上の診断検査で使用される液体(たとえば、サンプル)を調製および処理するための、前処理経路またはトラックである。いくつかの例において、第二カルーセル104は、第一カルーセル102の主要処理経路内のサンプルの診断検査および分析の実行に先立って、1つ以上の反応が培養または反応することを可能にする。しかしながら、別の例において、これらのカルーセルは切り替えられてもよく、第一カルーセル102は、第二カルーセル104上の診断検査用の液体を処理するために使用されてもよい。
【0054】
図1に示される例において、第一および第二カルーセル102、104は筐体106の中で回転可能であり、第一および第二カルーセル102、104は筐体106の中で互いに同心かつ共平面である。図示される例において、第一カルーセル102は第一の複数のスロット108a~nを含み、第二カルーセル104は第二の複数のスロット110a~nを含む。各第一および第二カルーセル102、104のスロット108a~n、110a~nは、各第一および第二カルーセル102、104を巡る環状配向に配置されている。図示される例において、第一カルーセル102は46個のスロット108a~nを有し、第二カルーセル104は61個のスロット110a~nを有する。しかしながら、別の例において、第一および第二カルーセル102、104はこれより多いかまたは少ないスロットを有してもよい。
【0055】
第一の複数のスロット108a~nおよび第二の複数のスロット110a~nは、たとえば反応ベッセルであってもよい、ベッセル112a~nを保持するためのものである。図示される例において、ベッセル112a~nは、1回以上の検査の後に廃棄される、使い捨てキュベット(たとえば、プラスチックキュベット)である。しかしながら、別の例において、ベッセル112a~nは再利用可能なキュベット(たとえば、洗浄可能なガラスキュベット)である。このような例において、ベッセル112a~nのうちの1つにおいて検査が完了した後、ベッセル112a~nは浄化(たとえば、滅菌)され、ベッセル112a~nは別の検査に使用されてもよい。
図1に示されるように、1つ以上のベッセル112a~nは、第一の複数のスロット108a~nおよび/または第二の複数のスロット110a~nの中に載置され、処理トラック100を中心に回転させられてもよい。図示される例において、第一の複数のスロット108a~nは、スロット108a~nの各々が2つ以上の反応ベッセル112a~n(たとえば、2つまたは3つの反応ベッセル112a~n)を保持してもよい。
【0056】
いくつかの例において、例示的反応ベッセル112a~nは、ベッセル本体の上部から外向きに延在し、ベッセルの本体がスロット108a~n、110a~nを通じて延在して第一および第二カルーセル102、104の下で下方に吊下するように第一および第二カルーセル102、104上の反応ベッセル112a~nを支持するために使用される、リム113a~n(たとえば、フランジ、耳)(
図4Bに示される)を含む。いくつかの例において、リム113a~nは反応ベッセル112a~nと一体(たとえば、一体成形品)である。別の例において、リム113a~nは、反応ベッセル112a~nに結合された個別の構成要素であってもよい。
【0057】
図1に示される例において、第一モータ114(たとえば、電気モータ、ステッピングモータ、サーボモータなど)は第一カルーセル102を駆動し、第二モータ116は第二カルーセル104を駆動する。図示される例において、第一モータ114は、第一カルーセル102の内側に複数の歯を係合させるための第一歯車118を有し、第二モータ116は、第二カルーセル104の外側に複数の歯を係合させるための第二歯車120を有する。第一および第二モータ114、116は、いずれかの方向に、および分析装置のプログラミングおよびスケジューリングプロトコルにしたがって、互いに独立して第一および第二カルーセル102、104をそれぞれ回転させるように動作する。別の例において、第一および第二カルーセル102、104を回転させるために、別のタイプのモータおよび/または駆動機構が使用されてもよい。いくつかの例において、第一および第二モータ114、116は筐体106に結合(たとえば、実装)されており、各カルーセル102、104と係合するように配置されている。別の例において、第一および第二モータ114、116は、処理トラック100上の蓋(たとえば、
図4Dおよび
図4Eに示されるカバー424)、または処理トラック100が上に取り付けられる分析装置のその他の表面に、結合されてもよい。
【0058】
図1に示される例において、処理トラック100は、第一ダイバータ122、第二ダイバータ124、第三ダイバータ126、および第四ダイバータ128を含む。第一、第二、および第三ダイバータ122~126は、以下に詳細に開示される、筐体106の中で第一カルーセル102の下に設けられたトラックシステムに沿った異なる位置まで、第一カルーセル102上のベッセル112a~nを移動させるように動作する。第四ダイバータ128(たとえば、能動的取り出し装置)は、やはり以下により詳細に記載されている、第二カルーセル104からベッセル112a~nを取り出す。図示される例において、ダイバータ122~128は、カルーセル102、104の上に描写されている。しかしながら、ダイバータ122~128はカルーセル102、104の上方の静止表面(たとえば、分析装置の処理トラック100上の蓋)に結合されており、カルーセル102、104上でそれ自体回転可能ではない。
【0059】
図示される例において、処理トラック100はまた、第一および第二カルーセル102、104に隣接して設けられたリーダ130(たとえば、分析装置)も含む。図示される例において、リーダ130は、筐体106の内部穿孔132に結合されている。リーダ130は、ベッセル112a~nがリーダ130の前を通過する際に、ベッセル112a~nの中の反応を分析する。処理トラック100はまた、筐体106の穿孔132に結合された、第一洗浄ステーション134および第二洗浄ステーション136も含む。第一および第二洗浄ステーション134、136は、たとえば、以下により詳細に記載される、磁性微粒子処理を行うために使用されてもよい。図示される例において、処理中の異なる場所および時間においてベッセル112a~nの内容物を混合するために、複数のミキサまたはイントラックボルテクサ(ITV)138a~fが処理トラック100の周りに設けられている。
【0060】
図2は、複数のピペット操作機構およびその他の分析構成要素を含む分析装置200に組み込まれた例示的処理トラック100の上面図を示す。
図3もまた例示的処理トラック100の上面図を示すが、しかし明確さのためにピペット操作機構およびその他の分析構成要素は取り除かれている。
図2および
図3に示される例において、第一カルーセル102は第一直径202を有し、第二カルーセル104は第二直径204を有する。図示されるように、第二直径204は第一直径202よりも大きく、第二カルーセル104は第一カルーセル102と同心(たとえば、同じ中心軸を有するかまたは同軸)かつ共平面である。
【0061】
図2に示される例に示されるように、分析装置200は第一ピペット操作機構206を含む。いくつかの例において、第一ピペット操作機構206は、分析装置200の基部208に結合(たとえば、実装、締結)されている。図示される例において、第一ピペット操作機構206は、第一直径202の外側かつ第二直径204の外側に(たとえば、第一カルーセル102および第二カルーセル104の各々の半径よりも大きい、第一カルーセル102の中心および第二カルーセル104の中心からの距離だけ離れて)設けられている。第一ピペット操作機構206は、複数の自由度を有する。図示される例において、第一ピペット操作機構206は、第一移動経路214に沿って容器またはベッセルから液体を吸引/分注するために、第一移動経路214(たとえば、第一水平弧、第一アクセス範囲)に沿って第一ピペット212を移動させる、第一プローブアーム210を有する。第一移動経路214は、円形、半円形、線形、またはこれらの組み合わせであってもよい。第一ピペット操作機構206は、Z方向(たとえば、垂直方向)にも移動可能である。
【0062】
図示される例において、第一ピペット操作機構206は、たとえば第一カルーセル102および/または第二カルーセル104上のベッセル112a~nのうちの1つ以上の中にサンプル(たとえば、検査サンプルまたは検体)を分注するために使用されてもよい。いくつかの例において、サンプルは、第一ピペット操作機構206の第一移動経路214に沿って、(キャリア218a、218b内にあってもよい)サンプル容器216a~nから吸引される。第一プローブアーム210は、サンプル管216a~nの上方に第一ピペット操作機構206の第一ピペット212を位置合わせするために、第一移動経路214に沿って移動(たとえば、回転または枢動)する。第一ピペット操作機構206は、サンプル容器216a~nのうちの1つの中へ第一ピペット212を下方に移動させ、一定量のサンプルを吸引する。
【0063】
図2および
図3に示される例において、第一ピペット操作機構206は、第一移動経路214に沿って、第一および第二カルーセル102、104のスロット108a~n、110a~nの中に設けられたベッセルへのアクセスを有する。具体的には、第一ピペット操作機構206は、ポイントA(たとえば、前処理サンプル開始位置)において第二カルーセル104上のベッセル、ポイントBにおいて第一カルーセル102上のベッセル、およびポイントCにおいて第二カルーセル104上の別のベッセルにアクセスすることができる。図示される例において、第一ピペット操作機構206は、第一移動経路214に沿ったいずれかの位置から吸引すること、および/またはそこへ分注することが、可能である。図示される例において、洗浄域220もまた、第一移動経路214に沿って設けられる。第一ピペット操作機構206は、たとえば異なるサンプルの吸引の間などに第一ピペット212を浄化するために、洗浄域220にアクセスしてもよい。
【0064】
いくつかの例において、第一ピペット操作機構206は、サンプルを(たとえばサンプル容器216aまたは216bから)吸引し、前処理のためにポイントAにおいて第二カルーセル104上のベッセルの中にサンプルを分注し、第一カルーセル102上での処理のためにポイントBにおいて第一カルーセル102(たとえば、主要処理経路またはトラック)上の別のベッセルの中にサンプルをまた分注する。いくつかの例において、サンプルはポイントAにおいて第二カルーセル104上のベッセルの中に分注され、第二カルーセル104は、サンプルおよび1つ以上の試薬(以下に詳細に開示される)を反応(たとえば、培養)させるために、反時計回りに回転する。その後第一ピペット操作機構206は、サンプルが前処理(たとえば、培養)された後に、ポイントCにおいて第二カルーセル104上のベッセルから前処理済みサンプルを吸引してもよい。その後第一ピペット操作機構206は、第一カルーセル102上での処理のために、ポイントBにおいて第一カルーセル102上のベッセルの中に前処理済みサンプルを分注してもよい。
【0065】
図示される例において、分析装置200は第二ピペット操作機構222を含む。第二ピペット操作機構222は、たとえば分析装置200の基部208に結合されてもよい。第二ピペット操作機構222は複数の自由度を有する。図示される例において、第二ピペット操作機構222は、第二移動経路228に沿った位置から液体を吸引/分注するために、第二移動経路228(たとえば、第二水平弧、第二アクセス範囲)に沿って第二ピペット226を移動させる、第二プローブアーム224を有する。第二移動経路228は、円形、半円形、線形、またはこれらの組み合わせであってもよい。第二ピペット操作機構222はまた、Z方向(たとえば、垂直方向)にも移動可能である。
【0066】
図2に示される例において、第二ピペット操作機構222は、液体(たとえば、試薬、第一試薬、磁性粒子を含有する液体)を吸引して、第一および第二カルーセル102、104上の1つ以上のベッセルに液体を分注するために、使用される。いくつかの例において、第二ピペット操作機構222は第一試薬ピペットであり、第一および第二カルーセル102、104上のベッセルに第一試薬(たとえば、磁性微粒子を含有する試薬)を添加するために利用される。いくつかの例において、試薬容器は、部分的に第二移動経路228の中に設けられた第三カルーセル230(影線で示される)上に設けられる。いくつかの例において、複数の試薬容器を有する第三カルーセル230は、処理トラック100の下方に位置する(
図2に示される通り)。いくつかの例において、試薬容器は、第二ピペット操作機構222が試薬容器の上方の場所まで第二ピペット226を移動させて容器から試薬を吸引できるように、第二移動経路228に沿った位置にもたらされる。たとえば、第二ピペット操作機構222は、第二移動経路228上に位置するアクセスポート231a、231b、231cのいずれかにおいて、第三カルーセル230上の試薬容器にアクセスしてもよい。いくつかの例において、第三カルーセル230は、各々が1つ以上の容器(たとえば、試薬容器)を有する複数のキャリアを含む。いくつかの例において、キャリアが第三カルーセル230上に配置されているとき、容器の複数の環状アレイが形成される(たとえば、容器の内側環状アレイ、容器の中央環状アレイ、容器の外側環状アレイなど)。いくつかの例において、容器の外側環状アレイ内の1つ以上の容器は、主要処理トラック(たとえば、第一カルーセル102)上での診断検査のための試薬(たとえば、微粒子を含む)を含む。別の例において、容器の外側環状アレイ内の1つ以上の容器は、(たとえば、第二カルーセル104上の)前処理プロセスで使用するための試薬を保持する。
【0067】
液体(たとえば、試薬)を吸引した後、第二ピペット操作機構222は、ポイントD(たとえば、前処理試薬開始位置)において第二カルーセル104上のベッセルおよび/またはポイントEにおいて第一カルーセル102上の別のベッセルの中に液体を分注するために、回転する。いくつかの例において、第二ピペット操作機構222は、事前にサンプルが装填されている第一または第二カルーセル102、104上のベッセルの中に試薬を分注する。いくつかの例において、サンプルおよび試薬は第二カルーセル104が回転する際に反応し、いくつかの例において、混合物または混合物の一部は、第二カルーセル104上のベッセルから(たとえば、ポイントCにおいて第一ピペット操作機構206を介して)吸引され、処理のために第一カルーセル102上の別のベッセルの中に分注される。
【0068】
いくつかの例において、第二ピペット操作機構222は、ポイントDにおいて第二カルーセル104上のベッセルの内容物を吸引し、ポイントEにおいて第一カルーセル102上の別のベッセルの中に内容物を分注する(たとえば、2本管希釈処理)。いくつかの例において、第二ピペット操作機構222は、処理トラック100の外側の容器から一定量の第一液体(たとえば、第一試薬)を吸引し、ポイントDにおいて第二カルーセル104上のベッセルから一定量の第二液体(たとえば、サンプル、希釈済みサンプル、サンプルおよび試薬混合物など)を吸引し、その後ポイントEにおいて第一カルーセル102上のベッセルの中に第一および第二液体の両方を分注する。
【0069】
図2に示される例において、第二洗浄域232が、第二移動経路228に沿って設けられる。第二ピペット操作機構222は、たとえば異なる試薬の吸引の間などに第二ピペット226を浄化するために、洗浄域232にアクセスしてもよい。
【0070】
図2に示される例において、分析装置200は第三ピペット操作機構234を含む。いくつかの例において、第三ピペット操作機構234は分析装置200の基部208に結合されている。図示される例において、第三ピペット操作機構234は、処理トラック100の穿孔132の中に設けられており、やはり第一および第二直径202、204の内側に設けられている。図示される例において、第三ピペット操作機構234は、第一および第二カルーセル102、104の回転軸からずれている。しかしながら、別の例では第三ピペット操作機構は回転軸と位置合わせされている。第三ピペット操作機構234は、複数の自由度を有する。図示される例において、第三ピペット操作機構234は、第三移動経路240に沿った位置から液体を吸引/分注するために、第三移動経路240(たとえば、水平弧、アクセス範囲)に沿って第三ピペット238を移動させる、第三プローブアーム236を有する。第三移動経路240は、円形、半円形、線形、またはこれらの組み合わせであってもよい。第三ピペット操作機構234はまた、Z方向(たとえば、垂直方向)にも移動可能である。
【0071】
図示される例において、第三ピペット操作機構234は、第三移動経路240に沿って設けられた場所(たとえば、容器、ベッセル)から吸引/分注するために配置されている。いくつかの例において、第三ピペット操作機構234は、第一および第二直径202、204の内側に設けられた容器から液体(たとえば、第二試薬)を吸引し、第一カルーセル102上のベッセルの中に液体を分注するためのものである。いくつかの例において、第三ピペット操作機構234は、第三カルーセル230上の容器にアクセスする。たとえば、第三ピペット操作機構234は、第三移動経路240上に位置するアクセスポート241a、241b、241cのいずれかにおいて第三カルーセル230上の試薬容器にアクセスしてもよい。いくつかの例において、第三カルーセル230は、第三ピペット操作機構234がこれらの容器から吸引できるように、容器の内側環状アレイを含む。このため、いくつかの例において、第三ピペット操作機構234は第二試薬ピペッタであり、第三カルーセル230の内側環状セクション上に設けられた容器から第二試薬を吸引する。図示される例において、第三ピペット操作機構234は、ポイントFにおいて第一カルーセル102上のベッセルの中に液体を分注することができる。いくつかの例において、第三ピペット操作機構234は、たとえばベッセルにサンプルおよび第一試薬がすでに供給された後などに、第一カルーセル102上で回転するベッセルに第二試薬を供給する。
【0072】
図示される例において、第三移動経路240に沿って第三洗浄域242が設けられる。第三ピペット操作機構234は、たとえば異なる試薬の吸引の間などに、第三ピペット238を浄化するために、洗浄域242にアクセスしてもよい。
【0073】
図2に示されるように、リーダ130は筐体106の穿孔132に隣接して設けられている。図示される例において、リーダ130は、ベッセルがリーダ130を通過する際に、ベッセルの内容物を読み取る。
図2はまた、上記で説明された、第一および第二洗浄ステーション134、136ならびにITV138a~fも示している。
【0074】
図2および
図3に示されるように処理トラック100は、第一、第二、第三、および第四ダイバータ122~128も含む。第一、第二、および第三ダイバータ122~126は、ベッセルが第一カルーセル102上で回転する際に、トラックシステム244のあるセクションからトラックシステム244の別のセクションまで第一カルーセル102上のベッセルを移動させるように動作する。いくつかの例において、ダイバータ122~128は、ソレノイドおよび/またはステッピングモータを含む。また、いくつかの例において、ダイバータ122~128は、反応ベッセル112a~nのリム113a~n(たとえば、ダイバータ122~128の下)を係合し、以下により詳細に開示される、所望のおよび/または適切なトラックの方向に反応ベッセル112a~nを位置合わせするための、爪または位置合わせされた係合アームを含む。
【0075】
トラックシステム244の上面図の概略図は、
図4Aに示される。トラックシステム244は、第一カルーセル102が回転する際に所望の経路に沿って移動するため反応ベッセル112a~nを位置合わせするために使用される、複数のトラックセクションを含む。いくつかの例において、トラックシステム244は第一カルーセル102の上方に設けられる。いくつかの例において、トラックシステム244は、第一カルーセル102の上に設けられたプレートまたはディスクに溝を掘られるかまたは別途形成されてもよい。別の例において、以下に詳述されるように、トラックシステム244は、処理トラック100を被覆する蓋またはカバーの底に溝を掘られるかまたは別途形成されてもよい。このような例において、反応ベッセル112a~nが第一カルーセル102のスロット108a~nの中に設けられているとき、第一カルーセル102がスロット108a~n内の反応ベッセル112a~nとともに回転する際に、トラックシステム244の場所およびダイバータ122~128の動作に応じて反応ベッセル112a~nが各スロット108a~n内で半径方向内向きおよび/または外向きに移動(たとえば、摺動)するように、反応ベッセル112a~nのリム113a~nは、トラックシステム244に係合する。
【0076】
いくつかの例において、処理トラック100はまた、たとえばアルミニウムなどの材料から成る基部を含む。いくつかの例において、基部は筐体106の中の第一カルーセル102の下に設けられる。基部は、反応ベッセル112a~nが回転する際に反応ベッセル112a~nの本体が溝の中に吊下するように、以下に詳述されるトラックシステム244と一致する溝を含んでもよい。いくつかの例において、基部は熱伝導性であり、基部およびその中に設けられた反応ベッセルも加熱するための、ヒータを含む。
【0077】
図4Aに示される例において、トラックシステム244は、第一トラック400および第二トラック402を含む。図示されるように、第一トラック400は連続円を形成し、第二トラック402は反時計回り方向に直径が減少する螺旋を形成する。第一、第二、および第三ダイバータ122、124、126、ポイントB、E、F、ならびに第一および第二洗浄域134、136の相対的な場所は、トラックシステム244上の影線で示される。
【0078】
図4Aに示される例において、第一ダイバータ122が設けられる領域は、第一トラック400と係合したベッセルが半径方向内向きに、そして第二トラック402上に移動させられることが可能な、接合部(たとえば、交点)を含む。いくつかの例において、第一ダイバータ122はクリーンベッセルダイバータである。たとえば、クリーンベッセルは、第一トラック400と係合したベッセルの底で第一カルーセル102上のスロット108a~nのうちの1つの最外領域に装填されてもよい。いくつかの例において、ベッセルは、
図3に示される装填機構300を介して第一および第二カルーセル102、104上に装填される。装填機構300が設けられる領域は、第一トラック400の上に破線で示されている。第一カルーセル102が反時計回り方向に回転する際に、ベッセルはそのスロット108a~nの半径方向最外領域内にとどまり、第一ダイバータ122が設けられる領域に到達する。いくつかの例において、ベッセルがサンプルおよび/または試薬で満たされておらず、クリーンであると見なされる場合には、第一ダイバータ122は第一トラック400上にベッセルを維持する。こうして、ベッセルは第一トラック400に沿って続き、第一カルーセル102が回転する際にそのそれぞれのスロット108a~nの半径方向最外領域内にとどまる。
【0079】
別の例において、第一カルーセル102が第一トラック400に沿って時計回りにベッセルを回転させる際に、第一液体(たとえば、サンプル)は第一ピペット操作機構206を介してポイントBにおいてベッセルに添加されてもよく、および/または第二液体(たとえば、第一試薬)は第二ピペット操作機構222を介してポイントEにおいてベッセルに添加されてもよい。このような例において、ベッセルの内容物がさらなる処理に向けて調製できた(たとえば、サンプルおよび試薬がベッセルに添加された)場合、第一ダイバータ122は第一トラック400から第二トラック402上にベッセルを方向転換させることができる。このような例において、第一カルーセル102が回転する際に、ベッセルは、第二トラック402が反時計回り方向に廻って直径を減少させるのにつれて、そのそれぞれのスロット108a~n内で半径方向内向きに移動する。図示される例において、第二トラック402は、第一ダイバータ122の領域とベッセルが第一カルーセル102から取り外される脱装填領域404(たとえば、受動的取り出し装置)との間で2回回転する。
【0080】
図4Aに示される例において、リーダ130(
図1から
図3に示される)の領域は、トラックシステム244の上に破線で示される。リーダ130は、たとえば脱装填領域404に続くトラック402のセクション上のカルーセルの最内領域に位置するベッセルなど、リーダ130を通る第二トラック402上にあるベッセルをリーダ130が読み取ることができるような場所に設けられている。したがって、図示される例において、リーダ130は、ベッセルが脱装填領域404において第一カルーセル102から外される前に、ベッセルの内容物を分析する。
【0081】
図示される例において、第一トラック400から第二トラック402上まで移動するベッセルは、第一カルーセル102上のそれぞれのスロット108a~n内で半径方向内向きに摺動し、これによりスロット108a~nの外側位置を出る。したがって、いくつかの例において、別のベッセルが同じスロット108a~nの外側位置の中に装填され、第一トラック400に係合されてもよい。
【0082】
図示される例において、ポイントFは第二トラック402上に設けられる。いくつかの例において、一旦ベッセルが第二トラック402に係合されると、別の液体(たとえば、第二試薬)が、第三ピペット操作機構234を介してポイントFにあるベッセルに添加されてもよい。
【0083】
例示的処理操作において、サンプルはポイントBにおいて第一トラック400上のベッセルに添加されてもよい。カルーセルが回転すると、ベッセルはポイントEに到達し、望ましければ、試薬および/または別の液体がベッセルに添加されてもよい。第一ダイバータ122は第二トラック402上にベッセルを方向転換させてもよく、ベッセルは第二トラック402の周りに続く。第一カルーセル102が回転すると、ベッセルはポイントFに到達し、そこで第二試薬がベッセルに添加されてもよい。ベッセルは第二トラック402に沿って移動し続け、リーダ130の場所で、反応ベッセルの内容物が読み取られる。
【0084】
図4Aに示される例において、第二ダイバータ124が設けられる領域は、第二トラック402の外側セクション(たとえば、先行セクション)を第二トラック402の内側セクション(たとえば、後セクション)に接続する、別の接合部(たとえば、交点、スパー、サイドトラック、サブトラック)を含む。図示されるように、第二トラック402は、約2回転する螺旋を形成する。しかしながら、第二トラック402に沿って移動するベッセルは、第二ダイバータ124によって方向転換させられ、約1回転速く第二トラック402の別のセクション上に移動させられる可能性がある。このため、第二ダイバータ124は、第二トラック402に沿ってベッセルの進行を加速させる、緊急ダイバータである。たとえば、特定のサンプルおよび試薬は他のものよりも速く反応し、完全な検査を行うために必要とされる時間はより短い。これらの例において、第二トラック402上で2回転する前に、反応は読み取りの準備ができている。したがって、リーダ130に到達する前に第二トラック402上で2回転する代わりに、第二ダイバータ124は、第二トラック402の一部を回避する(第二トラック402の一部を飛ばす)ためにベッセルを内向きに方向転換させ、こうして反応を読み取る前の時間を短縮してもよい。しかしながら、その他の検査は反応により長い時間を必要とし、読み取りの前により長い経路を辿るために第二トラック402の主要経路上に維持されることが可能である。
【0085】
上述のように、例示的処理トラック100は、2つの洗浄域134、136も含む。
図4Aの例に示されるように、第三ダイバータ126が設けられる領域は、第二トラック402を洗浄域サイドトラック406に接続する接続ポイント(たとえば、スパー、サイドトラック、サブトラック)を含む。洗浄域サイドトラック406は、第一洗浄域134の領域に続いている。いくつかの例示的検査は、反応混合物からの望ましくない複合体またはその他の物質を除去するために、追加洗浄を必要とする。したがって、望ましければ、第二トラック402に沿って移動するベッセルは、第三ダイバータ126によって洗浄域サイドトラック406上に方向転換させられてもよい。洗浄域サイドトラック406は、別の液体(たとえば、第二試薬)がベッセルに添加されてもよいポイントFの領域の前に、第二トラック402に再接続する。図示されるように、第二洗浄域136は、リーダ130に先立って第二トラック402のセクションの上に設けられる。このため、ベッセルは読み取りの前に2つの洗浄域134、136を通ってもよい。
【0086】
いくつかの例において、第一および第二カルーセル102、104は、診断検査の間の間隔またはロックステップにおいて回転する。各間隔またはロックステップは、その間にカルーセルが移動(たとえば、インデックス)する前進ステップと、その間カルーセルがアイドリングしている停止ステップと、を有する。アイドリング停止ステップの間、たとえばサンプルの分注、試薬の分注、反応ベッセルの内容物の洗浄、反応ベッセルの内容物の読み取り、反応ベッセルの内容物の混合など、第一および第二カルーセル102、104上のベッセルに対して複数の機能が行われてもよい。実行される診断検査のタイプに応じて、カルーセル102、104は異なるロックステップ時間を有してもよい。
【0087】
いくつかの例において、第一カルーセル102は、約18秒のロックステップ時間(前進ステップおよび停止ステップの組み合わせ)を有する(すなわち、第一カルーセル102は約18秒ごとに異なる位置へ漸進的に回転またはインデックスする)。ロックステップの前進ステップの間、第一カルーセル102は、反時計回り方向に1ポジションだけ移動(たとえば、並進、インデックスなど)する(たとえば、1ポジションは、あるスロットの中心から次のスロットの中心までの距離である)。別の例において、第二カルーセル104は、特定の分析装置および/または固有の診断検査プロトコル向けに設計されたスケジューリングプロトコルに応じて、より多くまたは少なく回転してもよい。いくつかの例において、第一カルーセル102の前進ステップは、約1秒未満(たとえば、400ミリ秒(ms))の18個の第二ロックステップの間に行われてもよく、第一カルーセル102はロックステップの停止ステップの間の約17秒にわたってアイドリングした(たとえば、静止の)ままであってもよい。17秒の間、第一、第二、および第三ピペット操作機構206、222、234は、含有されるいずれの微粒子も含む液体を(たとえば、同時にまたは順次)吸引および/または分注し、その他の機能モジュール(たとえば、リーダ130、第一および第二洗浄域134、136、ITV138a~eなど)はカルーセル102、104の周りで動作する。いくつかの例において、機能モジュールのうちのいくつかはまた、ロックステップの前進ステップの間にも動作する。その他の例において、前進および停止時間は異なってもよい。
【0088】
例示的動作において、ベッセル112aは、第一カルーセル102のスロット108aに装填され、(たとえば、装填機構300を介して)トラックシステム244の第一トラック400と係合するために、スロット108aの外側セクションに配置される。第一カルーセル102は複数のロックステップを通じて動き、一度に1ポジションだけベッセル112aを反時計回り方向に漸進的に移動(たとえばインデックス)させる。ベッセル112aはポイントBに到達し、このロックステップの間、第一ピペット操作機構206は液体(たとえば、サンプル)を吸引してベッセル112a内に液体を分注する。次のロックステップの間、第一カルーセル102は回転し、ベッセル112aはポイントEまで反時計回りに1ポジションだけインデックスされ、このロックステップの間、第二ピペット操作機構222は第二液体(たとえば、第一試薬)を吸引してベッセル112a内に液体を分注する。第一カルーセル102は、ロックステップのたびに1ポジションのインデックスを続ける。ベッセル112aが第一ダイバータ122に到達すると、ベッセル112aは、上述のように第二トラック402上に向かって半径方向内向きに配向される。ベッセル112aは、第二トラック402上の第一カルーセル102を回り続け、スロット108aの中で半径方向内向きに移動する。望ましければ、上記で詳述されたように、第二および第三ダイバータ124、126は第二トラック402の異なるセクションまでベッセル112aを方向転換させてもよい。ベッセル112aがポイントFに到達すると、別の液体(たとえば、第二試薬)は第三ピペット操作機構234を介して吸引され、ベッセル112a内に分注される。ベッセル112aは、第一カルーセル102上を漸進的に回転し続け、リーダ130を通過するが、そこで読み取りが行われる。検査が完了すると、ベッセル112aは脱装填領域404において外される。
【0089】
いくつかの例において、処理トラック100は免疫測定のために使用され、ベッセルに添加された1つ以上の試薬は常磁性微粒子を含んでもよい。このような例において、第一および/または第二洗浄域134、136は常磁性微粒子処理に使用されてもよく、ここでは読み取りに望ましい検査サンプルの部分を分離するために複数の洗浄ステップおよび磁気処理ステップが使用される。
【0090】
上記で述べられたように、いくつかの例において、第二カルーセル104もまた、約18秒の総ロックステップ時間を有する。いくつかの例において、カルーセル104は二段階ロックステップを有し、第二カルーセル104の各ロックステップは、主要ロックステップおよび副次ロックステップを含む。主要ロックステップおよび副次ロックステップの各々は、前進ステップおよび停止ステップを含む。いくつかの例において、主要ロックステップは約16秒であり、副次ロックステップは約2秒である。別の例では、実行される検査のタイプに適応するために、タイミングが変更されてもよい。二段階ロックステップは、第二カルーセル104上の反応ベッセルがサンプルおよび試薬で満たされることを可能にするが、これらは第一カルーセル102の1つのロックステップの間に異なる位置で(たとえば、1ポジション離れて)行われ、こうして前処理培養の準備を整える。いくつかの例において、副次ロックステップは反応ベッセルがサンプルを(たとえばポイントAにおいて)受け取ったときに行われ、主要ロックステップは反応ベッセルが試薬を(たとえばポイントDにおいて)受け取ったときに行われる。主要ロックステップの間、試薬は反応ベッセル内に分注され、反応ベッセルの内容物は希釈されてもよく、および/または反応ベッセルの内容物または内容物の一部は吸引されて、主要処理カルーセル上の反応ベッセルに移送されてもよい。こうして、二段階処理シーケンスを有することで前処理カルーセル上の反応ベッセルを準備させるが、これは2つの位置で行われ、また、いくつかの例においては複数の処理ステップを伴う試薬の分注および吸引のために十分な時間を、反応ベッセルに許容する。
【0091】
二段階ロックステップの例示的な実施例として、ベッセル112aは、
図3および
図4に示される装填機構300を用いて第二カルーセル104上のスロット110a~nのうちの1つの中に入れられる。第二カルーセル104は、主要および副次ロックステップが交互になっている複数の二段階ロックステップを経験する。いくつかの例において、ベッセル112aは、主要ロックステップの間、ポイントAから時計回りに1ポジション離れた位置にある(
図2)。次の副次ロックステップの間、第二カルーセル104は、ベッセル112aがポイントAに位置して不動状態で保持されるように、反時計回り方向に1ポジションだけ回転する。この時間(たとえば、2秒)の間、第一ピペット操作機構206は液体(たとえば、サンプル)を吸引して、ベッセル112a内に液体を分注する。その後、次の主要ロックステップの間、ベッセル112aがポイントDに来て不動状態で保持されるように、第二カルーセル104は反時計回り方向に1ポジションだけ再び回転する。この時間(たとえば16秒)の間、第二ピペット操作機構222は別の液体(たとえば、第一試薬)を吸引し、ベッセル112a内に液体を分注する。その後、第二副次ロックステップの間、第二カルーセル104は反時計回り方向に回転し、もう1ポジションだけベッセル112aを再び移動させる。第二主要ロックステップが続く。副次および主要ロックステップのこの交互シーケンスは継続してもよく、ベッセル112aは第二カルーセル104を中心に回転させられる。
【0092】
いくつかの例において、ベッセル112aがポイントCに到達すると、ベッセル112aの内容物は、第一ピペット操作機構206を介して吸引され、ポイントBにおいて第一カルーセル102上の別のベッセル内に分注される。このような例は、処理のために第一カルーセル102上にサンプルを載置する前にサンプルを培養する目的のために使用されてもよい。第二カルーセル104上のベッセル内でサンプルおよび試薬を混合することにより、反応は、第一カルーセル102上のベッセル内の載置に先立って培養する時間を有し、このため第一カルーセル102上のベッセルの全体的な処理時間が短縮される。反応ベッセルの内容物または内容物の一部がポイントCにおいて吸引された後、第二カルーセル104はさらなるロックステップを通じて継続し、空の、ほぼ空の、またはその他の使用済みベッセル112aが、反時計回り方向に回転させられる。しかしながら、ベッセル112aのこの第二の回転の間、ベッセル112aは、主要ロックステップの間はポイントAに、副次ロックステップの間はポイントDに、遭遇する。この時間の間、ベッセル112a上でいかなる機能も実行されない。ベッセル112aは、第二カルーセル104を回転させ続け、第四ダイバータ128(たとえば、能動的取り出し装置)に到達し、第二カルーセル104上のそのスロット110a~nから外される。スロット110a~nが装填機構300に到達すると、別のクリーンベッセルがスロット110a~nに装填されてもよい。このため、この例において、第二カルーセル104上の任意のベッセルの処理サイクルは、ほぼ完全な2回転である。したがって、いくつかの例において、第二カルーセル104上の1つおきのベッセルがこれを経て、そのスロットの前または後の2つのスロットをベッセルとしてシーケンシングされる。
【0093】
別の例(たとえば、2本管希釈処理シーケンス)として、ベッセル112aは、
図3および
図4に示される装填機構300を用いて第二カルーセル104上のスロット110a~nのうちの1つの中に入れられる。第二カルーセル104は、主要および副次ロックステップが交互になっている複数の二段階ロックステップを経る。ベッセル112aがポイントAに到達すると、副次ロックステップの間、サンプルはベッセル112a内に分注されてもよい。次の主要ロックステップの間、ベッセル112aはポイントDまで回転させられ、第二ピペット操作機構222を介して希釈試薬がベッセル112aに添加される。希釈試薬は、反応ベッセル内の試薬を希釈する。いくつかの例において、第二ピペット操作機構222は、この同じロックステップの間、外部容器から別の試薬を吸引し、ポイントDにおいて反応ベッセルから希釈済みサンプル/試薬混合物の一部を吸引し、ポイントEにおいて第一カルーセル102上の反応ベッセルの中に第二試薬と希釈済みサンプル/試薬混合物との混合物を処理のために分注する。
【0094】
第二カルーセル104は、複数の主要および副次ロックステップにわたってベッセル112aを回転させ続ける。いくつかの例において、ベッセル112aは、第二カルーセル104上で回転し続け、第四ダイバータ128(たとえば、能動的取り出し装置)に到達し、第二カルーセル104上のそのスロット110a~nから外される。スロット110a~nが装填機構300に到達すると、別のクリーンベッセルがスロット110a~nに装填されてもよい。このため、この例において、第二カルーセル104上の任意のベッセルの処理サイクルは、約1回転である。別の例において、ベッセルが第四ダイバータ128に到達するまで、空の反応ベッセルが第二カルーセル104を中心にもう1回転させられてもよい。
【0095】
図4Bおよび
図4Cは、第一ダイバータ122および第四ダイバータ128の例を示す。いくつかの例において、第二および第三ダイバータ124、126は第一ダイバータ122と類似であり、このため類似の構成要素を含むことになる。図示される例において、第一および第四ダイバータ122、128は、それぞれのモータ408、410およびそれぞれの実装ブラケット412、414を含む。いくつかの例において、モータ408、410はソレノイド、ステッピングモータ、またはサーボモータである。実装ブラケット412、414は、第一および第四ダイバータ122、128を、たとえば筐体106(
図1)、カバー424(以下に詳述される
図4Dおよび
図4E)、分析装置200(
図2)、および/または例示的分析装置のその他の表面に実装するために使用されてもよい。
【0096】
図示される例において、第一ダイバータ122は、第一チャネル418を有する第一パドル416(たとえば、爪および/または位置合わせされた係合アーム)を含む。図示される例において、反応ベッセル112aは第一パドル416内に係合される。反応ベッセル112aの上リム113aは、第一パドル416の第一チャネル418内を摺動するためのものである。たとえば、反応ベッセルが第一ダイバータ122の下を通過112aするとき、上リム113aは第一パドル416の第一チャネル418内まで摺動する。第一ダイバータ122が反応ベッセル112aの方向を転換させることになる場合、第一パドル416は、反応ベッセル112aを選択されたトラック上に向けて配向するために異なる方向に第一チャネル418および反応ベッセル112aを位置合わせするため、第一モータ408を介して(たとえば、時計回り、反時計回りに)回転させられる。いくつかの例において、第一カルーセル102は複数のロックステップにおいてインデックスするが、各ロックステップは前進ステップおよび停止ステップを有する。いくつかの例において、反応ベッセル112aは、反応ベッセル112aの上リム113aが第一パドル416と係合される、
図4Bに示される位置まで、前進ステップの間にインデックスされる。停止ステップすなわちアイドリング期間の間、第一モータ408は、反応ベッセル112aの上リム113aを所望の方向で適切なトラックと位置合わせするために、第一パドル416を回転させる。次の前進ステップの間、反応ベッセル112aは1ポジションだけ前方にインデックスされ、こうして反応ベッセル112aの上リム113aは、第一パドル416の第一チャネル418から出て所望のトラックに沿って移動させられる。いくつかの例において、第一ダイバータ122は、約30°から約35°の間で第一パドル416を回転させる。
【0097】
図示される例において、第四ダイバータ128は、第四チャネル422を有する第四パドル420(たとえば、爪および/または位置合わせされた係合アーム)を含む。図示される例において、反応ベッセル112dは第四パドル420内に係合される。反応ベッセル112dの上リム113dは、第四パドル420の第四チャネル422内を摺動するためのものである。たとえば、反応ベッセル112dが第四ダイバータ128の下を通過するとき、上リム113dは第四パドル420の第四チャネル422の中まで摺動する。第四ダイバータ128が反応ベッセル112dを外すかまたはその方向を方向転換させることになる場合、第四パドル420は第四モータ410を介して回転させられる。回転させられると、第四パドル422の第四チャネル422は、反応ベッセル112dを別のトラック上へまたは第二カルーセル104から外れるように配向するために、異なる方向に位置合わせされる。いくつかの例において、第二カルーセル104は複数のロックステップにおいてインデックスするが、各ロックステップは前進ステップおよび停止ステップを有する。いくつかの例において、反応ベッセル112dは、
図4Bに示される位置まで前進ステップの間にインデックスされる。停止ステップすなわちアイドリング期間の間、第四ダイバータ128は第四パドル420を回転させ、これにより反応ベッセル112dを回転させる。いくつかの例において、反応ベッセル112dは上リム113dによってそれぞれのスロット110a~n内で指示され、第四ダイバータ128は、反応ベッセル112dのリム113dが第二カルーセル104によって支持されずにスロット110a~nを通じて(たとえば、廃棄物モジュール内に)落下するまで、反応ベッセル112dを回転させる。いくつかの例において、第四ダイバータ128は第四パドル420を約90°回転させる。
【0098】
図4Dおよび
図4Eは、例示的処理トラック100の第一および第二カルーセル102、104を被覆するために使用されてもよい例示的カバー424(たとえば、蓋、キャップ)を示す。図示されるように、トラックシステム244は、カバー424の底の底に設けられている。いくつかの例において、トラックシステム244は、蓋424の底に溝を掘られるかまたは別途形成されている。図示される例において、第一、第二、第三、および第四ダイバータ122、124、126、128はカバー424の上に設けられており、そのそれぞれのパドルはカバー424を通じて上記で開示されたトラックシステム244の中まで延在する。
【0099】
図示される例において、第一および第二カルーセル102、104は、カバー424の底およびトラックシステム244を視認する明確さのために取り除かれている。いくつかの例において、反応ベッセル112a~nがそれぞれのカルーセルのスロット108a~n、110a~nの中に設けられているとき、それぞれのベッセル112a~nの上リム113a~nはカルーセル102、104上で静止する。第一の複数のスロット108a~n内に載置されたとき、それぞれの反応ベッセル112a~nの上部113a~nはトラックシステム244の溝の中に設けられており、こうしてトラックシステム244のそれぞれの経路に沿って移動する。第一カルーセル102がインデックスすると、第一、第二、第三ダイバータ122、124、126は、上記で開示されたように、反応ベッセル112a~nを配向するように動作する。
【0100】
図4Eに示されるように、第一ダイバータ122の第一パドル416は、第一トラック400と第二トラック402との間で反応ベッセル112aを配向するように動作する。第二パドル426は、第二ダイバータ124に結合されており、第二トラック402上のある領域(たとえば、セクション、部分、箇所)から第二トラック402上の別の領域まで反応ベッセル112a~nを方向転換させる。やはり図示される、第三ダイバータ126に結合された第三パドル428は、第二トラック402から洗浄域サイドトラック406上まで反応ベッセル112a~nを方向転換させるように動作する。図示される例において、第三トラック430は、カバー424の底に設けられており、同様に第二カルーセル104上の反応ベッセル112a~nを配向する。第四ダイバータ128の第四パドル420は、上記で詳述されたように、第二カルーセル104から反応ベッセル112a~nを取り外すように動作する。
【0101】
図5A、
図5B、および
図5Cは、
図1から
図4に示される処理トラック100およびピペット操作機構206、222、234の異なる図を示す。具体的には、
図5Aは斜視図であり、
図5Bは上面図を示し、
図5Cは前側面図を示す。上記で詳述された数字にしたがって、様々な構成要素が示されている。
【0102】
図5A、
図5B、および
図5Cに示されるように、処理トラック100は、第一および第二カルーセル102、104(
図1~
図3)を収容するためのカバー424を含む。いくつかの例において、第一、第二、第三、および第四ダイバータ122~128は、蓋500に結合されており、第一および第二カルーセル102、104上のカバー424の下で回転するベッセルと相互作用する。
図5Bに示されるように、ピペット操作機構206、222、234のピペット212、226、238がカバー424を通じて第一および第二カルーセル102、104上のベッセルにアクセスできるように、複数の開口502a~f(たとえば、開口部、穴、間隙など)がカバー424内に形成される。具体的には、開口502a、502b、502cは、第一ピペット操作機構206の第一移動経路214に沿って設けられ、
図1から
図4に示されるようにポイントA、B、およびCと位置合わせされる。開口502dおよび502eは、第二ピペット操作機構222の第二移動経路228に沿って設けられ、
図1から
図4に示されるようにポイントDおよびEと位置合わせされる。加えて、開口502fは、第三ピペット操作機構234の第三移動経路240に沿って設けられ、
図1から
図4に示されるようにポイントFと位置合わせされる。
【0103】
図6は、たとえば上記で開示された例示的処理トラック100を含む分析装置200などの自動診断分析装置とともに使用するための、例示的処理システム600のブロック図である。例示的処理システム600はステーション/機器コントローラ602を含み、これは診断検査の間に使用される機器および機構を制御する。図示される例において、ステーション/機器コントローラ602は、機器604a~nと通信可能に結合されている。機器604a~nは、たとえば第一、第二、および/または第三ピペット操作機構206、222、234、1つ以上のITV138a~f、第一および/または第二洗浄域134、136、装填機構300、および/またはリーダ130を含む、上記で開示された例示的分析装置200の構成要素を含んでもよい。例示的処理システム600は、本明細書に開示されるように、スケジュールまたは検査プロトコルにしたがってステーション/機器コントローラ602を、そして機器604a~nも動作させる、例示的プロセッサ606を含む。
【0104】
例示的処理システム600はカルーセルコントローラ608も含み、これは分析装置の1つ以上のカルーセルを制御する。図示される例において、カルーセルコントローラ608は、第一カルーセル610および第二カルーセル612と通信可能に結合されている。第一カルーセル610および第二カルーセル612はたとえば、例示的処理トラック100に関連して上記で開示された第一および第二カルーセル102、104に対応してもよい。カルーセルコントローラ608は、たとえばモータ(たとえば、分析装置200および処理トラック100に関連して開示されたモータ114、116)を用いるなどして、第一および第二カルーセル610、612の回転を制御する。また、例示的プロセッサ606は、スケジュールまたは検査プロトコルにしたがって、カルーセルコントローラ608を、そしてカルーセル610、612も、動作させる。
【0105】
例示的処理システム600はダイバータコントローラ614も含み、これは分析装置の1つ以上のダイバータを制御する。いくつかの例において、カルーセル610、612のうちの1つ以上は、診断検査を行うための1つ以上のベッセルを保持するための複数の長尺スロットを含む。トラックシステムは、ベッセルに対して特定の機能を実行するためにそのカルーセルのベッセルを半径方向内向きまたは外向きに導くため、カルーセル610、612のうちの1つの下に設けられてもよい。いくつかの例において、ダイバータは、トラックのあるセクションからトラックの別のセクションへカルーセル610、612のうちの1つの上にある相を方向転換させるために、使用されてもよい。本明細書に開示される例示的分析装置200および処理トラック100において、第一ダイバータ122は第一トラック400から第二トラック402へベッセルを方向転換させ、第二ダイバータ124は第二トラック402のあるセクションから第二トラック402の別のセクションへベッセルを方向転換させ、第三ダイバータ126は洗浄域サイドトラック406上へベッセルを方向転換させ、第四ダイバータ128は第二カルーセル104からベッセルを外す。例示的処理システム600のダイバータコントローラ614は、例示的処理トラック100のダイバータ(たとえば、ダイバータモータ)を制御するために使用されてもよい。
【0106】
例示的処理システム600は、読み取りが行われるときを制御するように動作する、リーダコントローラ616を含む。いくつかの例において、リーダ(たとえば、リーダ130)は、カルーセルが回転する際にリーダがカルーセル上のそれぞれのベッセルの内容物を分析できるように、カルーセル610、612のうちの1つの内側または外側に沿って設けられている。いくつかの例において、反応ベッセルは、所定時間にわたってリーダの前で不動状態で保持され、読み取りが行われる。別の例において、1つ以上の反応ベッセルをリーダが通過してもよく、リーダは、反応ベッセルを通過する際に各反応ベッセルに対応する複数の個別の読み取りを行う。
【0107】
例示的処理システム600はまた、例示的システム600の動作に関連する情報を記憶してもよいデータベース618も含む。情報は、たとえば、検査プロトコル、試薬識別情報、試薬量情報、サンプル識別情報、サンプルの位置(たとえば、反応ベッセル、ロックステップ、および/または回転)に関する位置情報、反応ベッセルの内容物および/または位置に関する状態情報、ピペット位置情報、カルーセル位置情報、ロックステップ持続時間情報、前処理タイミング情報などを含んでもよい。
【0108】
例示的処理システム600はまた、たとえばグラフィカルユーザインターフェース(GUI)620などのユーザインターフェースも含む。作業者または技術者は、たとえば検査プロトコルに関するコマンド、検査されるサンプルに関する情報、検査で使用される試薬またはその他の流体に関する情報などを提供するために、インターフェース620を介して処理システム600と、そして分析装置200および/または処理トラック100とも、対話する。インターフェース620はまた、完了済みおよび/または進行中のいずれかの検査の状態および/または結果に関する情報を取得するために、作業者によって使用されてもよい。
【0109】
図示される例において、処理システム構成要素602、606、608、614、616、618は、通信リンク622を介して例示的システム600の別の構成要素と通信可能に結合されている。通信リンク622は、過去、現在、または未来のいずれの通信プロトコル(たとえば、Bluetooth(登録商標)、USB2.0、USB3.0など)を用いる、いずれのタイプの有線通信(たとえば、データバス、USB接続など)および/またはいずれのタイプの無線通信(たとえば、高周波、赤外線など)であってもよい。また、例示的システム600の構成要素は1つの装置に組み込まれてもよく、あるいは2つ以上の装置にわたって分散されてもよい。
【0110】
図1から
図5Cの処理トラック100および/または分析装置200を実現する例示的なやり方が
図6に示されているが、
図6に示される要素、プロセス、および/または装置のうちの1つ以上は、その他いずれかのやり方で組み合わせ、分割、再構成、省略、削除、および/または実現されてもよい。さらに、
図6の例示的ステーション/機器コントローラ602、例示的機器604a~n、例示的プロセッサ606、例示的カルーセルコントローラ608、例示的第一カルーセル610、例示的第二カルーセル612、例示的ダイバータコントローラ614、例示的リーダコントローラ616、例示的データベース618、例示的グラフィカルユーザインターフェース620、および/またはより一般的には例示的処理システム600は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、および/またはハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアのいずれかの組み合わせによって実現されてもよい。このため、例示的ステーション/機器コントローラ602、例示的機器604a~n、例示的プロセッサ606、例示的カルーセルコントローラ608、例示的第一カルーセル610、例示的第二カルーセル612、例示的ダイバータコントローラ614、例示的リーダコントローラ616、例示的データベース618、例示的グラフィカルユーザインターフェース620、および/またはより一般的には例示的処理システム600のいずれも、1つ以上のアナログまたはデジタル回路、論理回路、プログラマブルプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理装置(PLD)、および/またはフィールドプログラマブル論理装置(FPLD)によって実現されることが可能である。純粋にソフトウェアおよび/またはファームウェアによる実現を包含するために本特許の装置またはシステム請求項のいずれかを読むと、例示的ステーション/機器コントローラ602、例示的機器604a~n、例示的プロセッサ606、例示的カルーセルコントローラ608、例示的第一カルーセル610、例示的第二カルーセル612、例示的ダイバータコントローラ614、例示的リーダコントローラ616、例示的データベース618、例示的グラフィカルユーザインターフェース620のうちの少なくとも1つはここで、ソフトウェアおよび/またはファームウェアを記憶する、メモリ、デジタル多用途ディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)、ブルーレイディスクなどの、有形コンピュータ可読記憶装置または記憶ディスクを含むように、明確に定義される。さらにまた、
図6の例示的処理システム600は、
図6に示されるものに加えて、またはこれらの代わりに、1つ以上の要素、プロセス、および/もしくは装置を含んでもよく、ならびに/または図示される要素、プロセス、および装置のいずれか2つ以上またはすべてを含んでもよい。
【0111】
図1から
図6の処理トラック100、分析装置100、および/または処理システム600を実現するための例示的方法700、800、および900を表すフローチャートは、
図7から
図9Bに示されている。この例において、方法は、
図10に関連して後に説明される例示的プロセッサプラットフォーム1000に示されるプロセッサ1012などのプロセッサによる実行のためのプログラムを備える機械可読命令として、実現されてもよい。プログラムは、プロセッサ1012に関連付けられたCD-ROM、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードドライブ、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイディスク、またはメモリなどの有形コンピュータ可読記憶媒体上に記憶されたソフトウェアにおいて実行されてもよいが、しかしこれに代わってプログラム全体および/またはその一部はプロセッサ1012以外の装置によって実行され、および/またはファームウェアあるいは専用ハードウェアにおいて実行されることも可能である。さらに、
図7から
図9Bに示されるフローチャートを参照して例示的プログラムが記載されているものの、例示的処理トラック100、例示的分析装置200、および/または例示的処理システム600を実現するその他多くの方法が、代わりに使用されてもよい。たとえば、ブロックの実行順が変更されてもよく、および/または記載されたブロックのうちのいくつかが変更、削除、または組み合わせられてもよい。
【0112】
上述のように、
図7から
図9Bの例示的プロセス700、800、および900は、いずれかの期間にわたって(たとえば、長期間にわたって、恒久的に、短時間だけ、一時保存のため、および/または情報のキャッシングのため)情報が記憶される、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および/またはその他いずれかの記憶装置または記憶ディスクなどの有形コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたコード化された命令(たとえば、コンピュータおよび/または機械可読命令)を用いて、実現されてもよい。本明細書において使用される際に、有形コンピュータ可読記憶媒体という用語は、いずれのタイプのコンピュータ可読記憶装置および/または記憶ディスクも含むが伝播信号は含まないように、明確に定義される。本明細書において使用される際に、「有形コンピュータ可読記憶媒体」および「有形機械可読媒体」は、同義に使用される。加えて、または代わりに、
図7から
図9Bの例示的プロセス700、800、および900は、いずれかの期間にわたって(たとえば、長期間にわたって、恒久的に、短時間だけ、一時保存のため、および/または情報のキャッシングのため)情報が記憶される、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ、および/またはその他いずれかの記憶装置または記憶ディスクなどの持続性コンピュータおよび/または機械可読媒体に記憶されたコード化された命令(たとえば、コンピュータおよび/または機械可読命令)を用いて、実現されてもよい。本明細書において使用される際に、持続性コンピュータ可読媒体という用語は、いずれのタイプのコンピュータ可読装置またはディスクも含むが伝播信号は含まないように、明確に定義される。本明細書において使用される際に、フレーズ「少なくとも」が請求項のプリアンブルの移行用語として使用されるとき、これは用語「備える(comprising)」が非限定的であるのと同様に、非限定的である。
【0113】
図7は、たとえば本明細書に開示される例示的処理トラック100、例示的分析装置200、および/または例示的処理システム600によって実施されてもよい、診断検査の例示的プロセス700を示す。例示的プロセス700は、ベッセルが複数のロックステップにわたって分析装置のカルーセル上で回転する際の、単一のベッセルの動作の観点から記載される。より具体的には、例示的プロセス700は、たとえば、主要処理カルーセルまたは処理経路上に装填される前にサンプルを前処理または調製するために、使用されてもよい。例示的前処理操作はたとえば、臨床化学検査または免疫測定検査において使用されてもよい。本明細書に開示される例示的分析装置および/または処理トラックは、複数の反応ベッセルを受容するための複数のスロットを有する、前処理カルーセル(たとえば、第二カルーセル104)を含む。反応が分析される処理カルーセル(たとえば、第一カルーセル102)の検査持続時間を減少させるため、試薬を用いてサンプルを培養し、および/またはその他の前処理機能を実行するために、前処理カルーセル上の1つ以上の反応ベッセルが使用されてもよい。
【0114】
例示的プロセス700は、前処理カルーセル上のスロット内に反応ベッセルを装填するステップ(ブロック702)を含む。いくつかの例において、装填機は、前処理カルーセルの上および/または隣に設けられ、前処理カルーセルのスロットの中に反応ベッセルを装填するために使用される。上記で開示された例示的処理トラック100において、装填機構300(
図3および
図4)は、第二カルーセル104上のスロット110a~nの中に反応ベッセルを装填するために使用される。
【0115】
例示的プロセス700は、反応ベッセルをX1ポジションだけインデックスするステップ(ブロック704)を含む。いくつかの例において、前処理カルーセルは複数のロックステップにおいて回転する。各ロックステップの間、前処理カルーセルは1ポジション前方にインデックスして、所定時間だけアイドリングしたままとなる。カルーセルがアイドリングしている時間の間、前処理カルーセル上の反応ベッセルに対して異なる診断検査機能が実行されてもよい。いくつかの例において、ロックステップのすべてが同じ持続時間というわけではない。このような例のいくつかにおいて、前処理カルーセルは主要および副次ロックステップが交互になっている配置でインデックスするが、ここでたとえば主要ロックステップは、副次ロックステップよりも長い静止時間を有する。いくつかの例において、X1は、反応ベッセルが装填された位置とサンプルが反応ベッセルに添加される位置との間のロックステップまたはインデックスポジションの数を表す。上記で開示された例示的処理トラック100において、第二カルーセル104は、各ロックステップの間に反時計回り方向に1ポジションだけインデックスされる。いくつかの例において、反応ベッセルが装填機構300(
図3および
図4)において装填される場合、反応ベッセルがたとえばサンプルが第一ピペット操作機構206を介して反応ベッセルに添加されてもよいポイントAに到達するまで、反応ベッセルは41ポジションだけインデックスされる。したがって、いくつかの例において、X1は41に設定される。
【0116】
例示的プロセスはまた、反応ベッセルの中にサンプルを分注するステップ(ブロック706)も含む。いくつかの例において、サンプルピペットは、前処理カルーセル上の反応ベッセルの中にサンプルを分注するために、前処理カルーセルの付近に設けられている。上記で開示された例示的処理トラック100において、第一ピペット操作機構206は処理トラック100の外側に設けられている。いくつかの例において、第一ピペット操作機構206は、第一移動経路214に沿って設けられたサンプル容器からサンプルを吸引し、ポイントAにおいて第二カルーセル104上の反応ベッセルの中にサンプルを分注するためのものである。
【0117】
例示的プロセス700は、反応ベッセルをX2ポジションだけインデックスするステップ(ブロック708)を含む。いくつかの例において、X2は、サンプルが反応ベッセルの中に分注される位置と試薬が反応ベッセルの中に分注される位置との間のロックステップまたはインデックスポジションの数を表す。上記で開示された例示的処理トラック100において、第二カルーセル104は、各ロックステップの間に反時計回り方向に1ポジションだけインデックスされる。いくつかの例において、第二カルーセル104上の反応ベッセルにサンプルがポイントAで装填される場合、反応ベッセルは、いくつかの例において試薬が反応ベッセルの中に分注されるポイントDまで1ポジションしかインデックスされない。したがって、いくつかの例において、X2は1に設定される。
【0118】
例示的プロセス700は、反応ベッセルの中に試薬を分注するステップ(ブロック710)も含む。いくつかの例において、第一試薬ピペットは、前処理カルーセル上の反応ベッセルの中に第一試薬を分注するために、前処理カルーセルの付近に設けられている。反応ベッセルが試薬を受ける位置にない場合、および/または試薬が別途反応ベッセルの中に分注されない場合には、試薬は添加されず、反応ベッセルはもう1ポジションだけインデックスされる。反応ベッセルは、第一試薬ピペットが反応ベッセルの中に第一試薬を分注することができてそのようにスケジューリングされている位置に到達するまで(ブロック710)、前処理カルーセル上でインデックスし続ける。上記で開示された例示的分析装置200および処理トラック100において、第二ピペット操作機構222は、ポイントDにおいて第二カルーセル104上の反応ベッセルの中にサンプルを分注するために使用されてもよい。
図2から
図4に示される例において、装填機構300で第二カルーセル104上に装填された反応ベッセルは、ポイントDから反時計回りに約42インデックスポジション、ポイントAから1インデックスポジション離れている。反応ベッセルが一旦ポイントDに到達すると、第一試薬は反応ベッセルの中に分注される(ブロック710)。いくつかの例において、このステップは、吸引および分注に十分な時間を提供するために、主要ロックステップの間に行われる。
【0119】
例示的プロセス700は、反応ベッセルをX3ポジションだけインデックスするステップ(ブロック712)を含む。いくつかの例において、X3は、試薬が反応ベッセルに添加される位置から、反応ベッセルの内容物または内容物の一部が反応ベッセルから吸引されることになる位置までの、ロックステップまたはインデックスポジションの数を表す。いくつかの例において、特定の反応時間は、サンプルおよび試薬が反応済みかまたは少なくとも所望の量だけ反応したことを保証することが望まれる。このような例において、X3は、試薬をサンプルと反応させるために望ましいロックステップの数(および時間)と相関していてもよい。上記で開示された例示的処理トラック100において、第二カルーセル104は、各ロックステップの間に反時計回り方向に1ポジションだけインデックスされる。いくつかの例において、ポイントDで試薬を受けた後、反応ベッセルは、たとえばサンプルおよび試薬混合物またはその一部が反応ベッセルから吸引されるポイントCまで、何回もインデックスされる。いくつかの例において、X3は、反時計回り方向にポイントDからポイントCまでのインデックスポジションの数である、46に設定される。
【0120】
例示的プロセス700は、前処理が完了したか否かを判断するステップ(ブロック714)を含む。前処理が完了している場合、例示的プロセス700は、反応ベッセルの内容物または内容物の一部を吸引し、主要処理カルーセル上の反応ベッセルの中に内容物またはその一部を分注するステップ(ブロック716)を含む。いくつかの例において、前処理カルーセルの付近に設けられたサンプルピペットは、反応ベッセルから前処理済み混合物を吸引し、主要処理カルーセル上の反応ベッセルの中に混合物を分注するためのものである。別の例において、反応ベッセルの内容物を吸引して主要処理カルーセル上の反応ベッセルの中に内容物を分注するために、異なるピペット機構が使用されてもよい。
図2から
図4に示される例において、以前ポイントDにあって試薬を受け取った反応ベッセルは、反応ベッセルがポイントCに到達するまで反時計回り方向に46ポジションだけインデックスすることになる。反応ベッセルがポイントCに到達すると、第一ピペット操作機構206は反応ベッセルの内容物を吸引し、第一カルーセル102上で処理するためにポイントBにおいて第一カルーセル102上のベッセルの中に内容物を分注してもよい。
【0121】
前処理が完了していない場合(ブロック714)、反応混合物は反応ベッセルから吸引されず、反応ベッセルはインデックスされる(ブロック718)。前処理が完了し(ブロック714)、サンプルピペットが反応ベッセルから混合物を吸引して通常処理経路上のベッセルの中に混合物を分注することができてそのようにスケジューリングされている(ブロック716)位置に反応ベッセルが到達するまで、反応ベッセルは前処理カルーセル上でインデックスし続ける(ブロック718)。
【0122】
例示的プロセス700は、反応ベッセルをX4ポジションだけインデックスするステップ(ブロック720)を含む。いくつかの例において、X4は、反応ベッセルの内容物が処理のために取り出される位置から反応ベッセルが外される位置までの、ロックステップまたはインデックスポジションの数を表す。上記で開示された例示的処理トラック100において、第二カルーセル104は、各ロックステップの間に反時計回り方向に1ポジションだけインデックスされる。いくつかの例において、第四ダイバータ128は、第二カルーセル104から反応ベッセルを(スケジューリングされているときに)取り外す。いくつかの例において、X4は24に設定され、これはポイントCから第四ダイバータ128の場所までのインデックスポジションの数である。この例において、反応ベッセルはポイントAおよびDを再び通過するが、しかしこの回転の間にはサンプルまたは試薬は添加されない。
【0123】
例示的プロセス700は、反応ベッセルを外すステップ(ブロック722)を含む。いくつかの例において、ダイバータまたは取り出し装置は、前処理カルーセルの上および/または隣に配置され、スケジューリングされたときに(たとえば、前処理済み内容物またはその一部が処理のために吸引された後)反応ベッセルを外すことになる。反応ベッセルが一旦外されると、例示的プロセス700は、その反応ベッセルについては終了する(ブロック724)。上記で開示された例示的処理トラック100において、第四ダイバータ128は、このような反応ベッセルの前処理済み内容物またはその一部が処理のために取り出された後に、第二カルーセルから反応ベッセルを取り外すためのものである。いくつかの例において、第四ダイバータ128は、第四ダイバータ128の下の反応ベッセル112a~nのリム113a~nと係合する第四パドル420を含む。いくつかの例において、第四ダイバータ128は、反応ベッセルのリム113a~nがもはや第二カルーセル104上で支持されず、こうして第二カルーセル104から反応ベッセル112a~nを外すように、反応ベッセル112a~nを回転させる。いくつかの例において、第四ダイバータ128は、ロックステップの前進ステップの間、反応ベッセル112a~nを(たとえば、回転によって)外す。いくつかの例において、第四ダイバータ128は、約90°の回転範囲を有する。
【0124】
反応ベッセルが外された後、第二カルーセル104はインデックスし続け、別の反応ベッセル(たとえば、クリーン反応ベッセル)が、外された反応ベッセルによって以前占有されていた同じスロット内に入れられまたは装填される(ブロック702)。クリーン反応ベッセルは、スロットが装填機構300に到達したときに追加されてもよく、次の例示的プロセス700が始まってもよい。このため、この例示的処理トラック100において、第二カルーセル104上の反応ベッセルの処理サイクルは約2回転である(すなわち、反応ベッセルがスロットに入れられる位置から反応ベッセルが外される位置まで)。最初の回転の間に、反応ベッセルはスロット内に装填されてサンプルおよび試薬は反応ベッセルに添加され、第二の回転の間、内容物は反応ベッセルから吸引されて反応ベッセルが外される。
【0125】
加えて、この例は、前処理カルーセルに対する前処理操作を通じて進行する1つの反応ベッセルの観点から見たものである。しかしながら、前処理カルーセルの別のスロット内で同じインデックスする間に複数の別の前処理反応が同時に行われてもよく、これらもまたプロセス700を用いて実行されてもよい。
【0126】
図8は、診断検査のための別の例示的プロセス800を示しており、これはたとえば本明細書に開示される例示的処理トラック100、例示的分析装置200、および/または例示的処理システム600によって実施されてもよい。例示的プロセス800は、ベッセルが複数のロックステップにわたって分析装置のカルーセル上で回転する際の、単一のベッセルの動作の観点から記載される。より具体的には、例示的プロセス800は、たとえば、分析のために処理カルーセルに移送される前にサンプルを調製または前処理するために、使用されてもよい。例示的前処理操作は、たとえば、臨床化学検査または免疫測定検査において使用されてもよい。本明細書に開示される例示的分析装置および/または処理トラックは、複数の反応ベッセルを受容するための複数のスロットを有する前処理カルーセル(たとえば、第二カルーセル104)を含む。いくつかの診断検査プロトコルは、試薬および希釈済みサンプルが混合される2本管希釈処理シーケンスを伴う。したがって、反応が分析される主要処理カルーセル(たとえば、第一カルーセル102)上の検査のためにサンプルおよび試薬混合物を調製するため、試薬および希釈済みサンプルを混合および吸引するために前処理カルーセル上の1つ以上の反応ベッセルが使用されてもよい。前処理カルーセル104上の希釈前処理プロセスの実行は、主要処理カルーセル102上の処理時間を短縮する。
【0127】
例示的プロセス800は、前処理カルーセル上のスロット内に反応ベッセルを装填するステップ(ブロック802)を含む。いくつかの例において、装填機は、前処理カルーセルの上および/または隣に設けられ、前処理カルーセルのスロットの中に反応ベッセルを装填するために使用される。上記で開示された例示的処理トラック100において、装填機構300(
図3および
図4)は、第二カルーセル104上のスロット110a~nの中に反応ベッセルを装填するために使用される。
【0128】
例示的プロセス800は、反応ベッセルをY1ポジションだけインデックスするステップ(ブロック804)を含む。いくつかの例において、前処理カルーセルは複数のロックステップにおいて反時計回り方向に回転する。各ロックステップの間、前処理カルーセルは1ポジション前方にインデックスして、所定時間だけアイドリングしたままとなる。カルーセルがアイドリングしている時間の間、前処理カルーセル上の反応ベッセルに対して異なる診断検査機能が実行されてもよい。いくつかの例において、ロックステップのすべてが同じ持続時間というわけではない。このような例のいくつかにおいて、前処理カルーセルは主要および副次ロックステップが交互になっている配置でインデックスするが、ここでたとえば主要ロックステップは、副次ロックステップよりも長いアイドリング時間を有する。いくつかの例において、Y1は、反応ベッセルが装填された位置とサンプルが反応ベッセルに添加される位置との間のロックステップまたはインデックスポジションの数を表す。いくつかの例において、反応ベッセルが装填機構300(
図3および
図4)において装填される場合、たとえばサンプルが第一ピペット操作機構206を介して反応ベッセルに添加されるポイントAまで、41インデックスポジションだけインデックスされる。したがって、いくつかの例において、Y1は41に設定される。
【0129】
例示的プロセス800は、反応ベッセルの中にサンプルを分注するステップ(ブロック806)も含む。いくつかの例において、サンプルピペットは、前処理カルーセル上の反応ベッセルの中にサンプルを分注するために、前処理カルーセルの付近に設けられている。上記で開示された例示的処理トラック100において、第一ピペット操作機構206は処理トラック100の外側に設けられている。いくつかの例において、第一ピペット操作機構206は、第一移動経路214に沿って設けられたサンプル容器からサンプルを吸引し、ポイントAにおいて第二カルーセル104上の反応ベッセルの中にサンプルを分注するためのものである。
図2から
図4に示される例において、装填機構300によって第二カルーセル104上に装填された反応ベッセルは、ポイントAから反時計回り方向に約41ポジション離れている。反応ベッセルがポイントAに到達すると、サンプルは第一ピペット操作機構206を介して反応ベッセルの中に分注されてもよい。
【0130】
例示的プロセス800はまた、反応ベッセルをY2ポジションだけインデックスするステップ(ブロック808)も含む。いくつかの例において、Y2は、サンプルが反応ベッセルの中に分注される位置と試薬またはその他の液体が反応ベッセルの中に分注される位置との間のロックステップまたはインデックスポジションの数を表す。いくつかの例において、第二カルーセル104上の反応ベッセルにサンプルがポイントAで装填される場合、反応ベッセルは、いくつかの例において試薬および/またはその他の液体が反応ベッセルの中に分注されてもよいポイントDまで、1ポジションしかインデックスされない。したがって、いくつかの例において、Y2は1に設定される。
【0131】
例示的プロセス800はまた、反応ベッセルの中に希釈試薬を分注するステップ(810)も含む。いくつかの例において、試薬ピペットは、前処理カルーセル上の反応ベッセルの中に第一希釈試薬を分注するために、前処理カルーセルの付近に設けられている。上記で開示された例示的分析装置200および処理トラック100において、ポイントDで第二カルーセル104上の反応ベッセルの中に希釈試薬を分注するために、第二ピペット操作機構222が使用されてもよい。
図2から
図4に示される例において、装填機構300において第二カルーセル104上に装填された反応ベッセルは、ポイントAから反時計回り方向に約42インデックスポジション離れている。しかしながら、反応ベッセルがポイントAにあった場合には、反応ベッセルはポイントDから1インデックスポジションしか離れていない。反応ベッセルがポイントDに到達すると、希釈試薬が反応ベッセルの中に分注されてもよい。
【0132】
例示的プロセス800はまた、追加試薬を吸引するステップ(ブロック812)も含む。いくつかの例において、試薬ピペットが反応ベッセルの中に希釈試薬を分注してしまった後、試薬ピペットは、異なる容器から別の試薬を吸引することになる。上記で開示された例示的処理トラック100において、第二ピペット操作機構222は、たとえば第三カルーセル230上の試薬容器から、試薬を吸引してもよい。
【0133】
例示的プロセス800は、反応ベッセルから希釈済みサンプル/試薬を吸引するステップ(ブロック814)を含む。したがって、試薬ピペットは、試薬容器、および希釈済みサンプル/試薬混合物を収容する反応ベッセルの両方から、吸引していることになる。上記で開示された例示的分析装置200および処理トラック100において、第二ピペット操作機構222は、第二ピペット操作機構222が反応ベッセルの中に第一希釈試薬を分注してしまった後に第二試薬を吸引するために使用されてもよい。第二ピペット操作機構222はその後、第二カルーセル104上のポイントDにある反応ベッセルの内容物(すなわち、希釈済みサンプル混合物)を吸引してもよい。
【0134】
例示的プロセス800は、処理カルーセル上の反応ベッセルの中に第二試薬と希釈済みサンプルとの混合物を分注するステップ(ブロック816)を含む。処理のために処理カルーセル上の反応ベッセルの中に希釈済みサンプルおよび試薬混合物を分注するため、試薬ピペットが使用されてもよい。上記で開示された例示的分析装置200および処理トラック100において、第二ピペット操作機構222は、ポイントEにおいて第一カルーセル102上の反応ベッセルの中にこの混合物を分注してもよい。いくつかの例において、このステップは、吸引および分注のための十分な時間を提供するために、主要ロックステップの間に行われる。
【0135】
例示的プロセス800は、たとえば本明細書に開示されるインデックスプロセスを通じて、反応ベッセルをY3ポジションだけインデックスするステップ(ブロック818)を含む。いくつかの例において、Y3は、希釈済みサンプル混合物またはその一部が処理のために取り出された位置から、反応ベッセルが外される位置までの、ロックステップまたはインデックスポジションの数を表す。いくつかの例において、第四ダイバータ128は、第二カルーセル104から(スケジューリングされたときに)反応ベッセルを取り外すためのものである。このような例において、Y3は、ポイントDから第四ダイバータ128の場所までのインデックスポジションの数である、8に設定されてもよい。
【0136】
例示的プロセス800はまた、前処理カルーセルから反応ベッセルを外すステップ(ブロック820)も含む。いくつかの例において、ダイバータまたは受動的取り出し装置は、前処理カルーセルの隣に配置され、反応ベッセルがダイバータに到達して外されるようにスケジューリングされたときに(たとえば、前処理済み混合物の吸引の後)、反応ベッセルを外すことになる。反応ベッセルが外されると、例示的プロセス800は、その反応ベッセルについては終了する(ブロック822)。反応ベッセルが外された後、第二カルーセル104はインデックスし続け、別の反応ベッセル(たとえば、クリーン反応ベッセル)が、外されたベッセルによって以前占有されていた同じスロット内に挿入または装填されてもよい(ブロック802)。クリーンベッセルは、スロットが装填機構300に到達したときに追加されてもよく、次の例示的プロセス800がまた始まってもよい。
【0137】
この例示的検査は、前処理カルーセル上の前処理操作を通じて進行する1つの反応ベッセルの観点から見たものである。しかしながら、前処理カルーセルの別のスロット内でこれがインデックスする間に複数の別の前処理反応が同時に行われてもよく、これらもまたこのプロセスを用いて実行されてもよい。
【0138】
図9Aおよび
図9Bは、たとえは本明細書に開示される例示的処理トラック100、例示的分析装置200、および/または例示的処理システム600によって実施されてもよい、例示的診断検査プロセス900を示す。例示的プロセス900は、ベッセルが複数のロックステップにわたって分析装置の処理カルーセル上で回転する際の、単一のベッセルの動作の観点から記載される。例示的診断検査操作は、たとえば臨床化学検査または免疫測定検査において使用されてもよい。本明細書に開示される例示的分析装置および/または処理トラックは、複数の反応ベッセルを受容するための複数のスロットを有する前処理カルーセル(たとえば、第一カルーセル102)を含む。いくつかの例において、処理カルーセルはロックステップ(たとえば、離散間隔)で回転する。いくつかの例において、各ロックステップは前進ステップおよび停止ステップを含む。前進ステップの間、処理カルーセル上の反応ベッセルは、それぞれの以前の位置から1ポジション前方に(たとえば、反時計回りに)インデックス(たとえば、移動)される。いくつかの例において、処理カルーセルは、反応ベッセルを受容するための46個のスロットを含む。
【0139】
例示的プロセス900は、処理カルーセルのスロット内に反応ベッセルを装填するステップ(ブロック902)を含む。いくつかの例において、処理カルーセルのスロットは、スロットのうちの1つにある反応ベッセルがスロット内で半径方向内向きまたは外向きに移動できるように、長尺になっている。いくつかの例において、処理カルーセルは、処理カルーセルの上または下に設けられたトラックシステムを含む。いくつかの例において、トラックシステムは、分析装置の蓋またはカバー上に複数の刻み目または溝を含み、それぞれの反応ベッセルのリムは溝と係合し、こうしてトラックシステムの経路を辿る。上記で開示された例示的処理トラック100において、装填機構300は、第一カルーセル102のスロット108a~nの中に反応ベッセルを装填するために、第一カルーセル102の上に設けられている。反応ベッセルは、スロット108a~nの半径方向最外領域に設けられており、一旦装填されるとトラックシステム244の第一トラック400と係合する。
【0140】
例示的プロセス900は、反応ベッセルをZ1ポジションだけインデックスするステップ(ブロック904)を含む。いくつかの例において、Z1は、反応ベッセルが装填される位置とサンプルが反応ベッセルに添加される位置との間のロックステップまたはインデックスポジションの数を表してもよい。上記で開示された例示的処理トラック100において、第一カルーセル102は、各ロックステップの間に反時計回り方向に1ポジションだけインデックスされる。いくつかの例において、反応ベッセルが装填機構300(
図3および
図4)に装填された場合、反応ベッセルは、たとえばサンプルが第一ピペット操作機構206を介して反応ベッセルに添加されるポイントBまで、31ポジションだけインデックスされる。したがって、いくつかの例において、Z1は31に設定される。例示的プロセス900は、サンプルが反応ベッセルの中に分注されるべきか否かを判断するステップ(ブロック906)を含む。いくつかの例において、サンプルピペットは、処理カルーセル上の反応ベッセルの中にサンプルを分注するために、処理カルーセルの付近に設けられている。いくつかの例において、サンプルはサンプル容器から吸引される。別の例において、サンプルは前処理済みサンプルであり、
図7の例示的前処理プロセス700のブロック716で開示されたように、前処理カルーセルから吸引されてもよい。別の例において、
図8のプロセス800で開示された例示的2本管希釈処理で開示されたように、前処理カルーセルから試薬および希釈済みサンプル/試薬を吸引するために、第一試薬ピペットが使用されてもよい。反応ベッセルがサンプルを受ける位置にあってサンプルを受けるようにスケジューリングされている場合には、サンプルは反応ベッセルの中に分注される(ブロック908)。反応ベッセルがサンプルを受ける位置にないかまたはサンプルを受けるようにスケジューリングされていない場合には、サンプルまたは希釈済みサンプル混合物は添加されない。
【0141】
上記で開示された例示的分析装置200および処理トラック100において、第一ピペット操作機構206は、ポイントBにおいて第一カルーセル102上の反応ベッセルの中にサンプルを分注するために使用されてもよい。いくつかの例において、第一ピペット操作機構206は、処理トラック100の外側に設けられたサンプル容器からサンプルを吸引し、ポイントBにおいて第一カルーセル上の反応ベッセルの中にサンプルを分注する。別の例において、第一ピペット操作機構206は、ポイントCにおいて第二カルーセル104上の反応ベッセルから前処理済みサンプルを吸引し、ポイントBにおいて第一カルーセル102上の反応ベッセルの中にこの混合物を分注する。別の例において、第二ピペット操作機構222は、ポイントDにおいて第二カルーセル104から試薬および希釈済みサンプル/試薬混合物を吸引し、ポイントEにおいて第一カルーセル102上の反応ベッセルの中に試薬および混合物を分注する。
【0142】
サンプルが添加された後(ブロック908)またはサンプルが添加されない場合(ブロック906)、例示的プロセス900は、反応ベッセルをZ2ポジションだけインデックスするステップ(ブロック910)を含む。いくつかの例において、Z2は、反応ベッセルがサンプルを受けるべき位置から反応ベッセルが試薬を受けるべき位置までのロックステップまたはインデックスポジションの数を表す。上記で開示された例示的処理トラック100において、ポイントBにおける反応ベッセルはポイントEまで1ポジションだけインデックスするが、ここではいくつかの例において、試薬が反応ベッセルに添加される。したがって、いくつかの例において、Z2は1に設定される。
【0143】
例示的プロセス900は、試薬が反応ベッセルに添加されるべきか否かを判断するステップ(ブロック912)を含む。いくつかの例において、第一試薬ピペットは、処理カルーセル上の反応ベッセルの中に第一試薬を分注するために、処理カルーセルの付近に設けられている。反応ベッセルが試薬を受ける位置にあって試薬を受けるようにスケジューリングされている場合、第一試薬ピペットは試薬容器から試薬を吸引し、反応ベッセルの中に試薬を分注する(ブロック914)。反応ベッセルが第一試薬を受ける位置にない、および/または第一試薬を受けるようにスケジューリングされていない場合には、試薬は添加されない。
【0144】
上記で開示された例示的分析装置200および処理トラック100において、第二ピペット操作機構222は、ポイントEにおいて第一カルーセル102上の反応ベッセルの中に試薬を分注するために使用されてもよい。ポイントEの手前の位置において、反応ベッセルはインデックスされ、アイドリングまたは静止の状態で保持される(すなわち、反応ベッセルの中に試薬は分注されない)。
図2から
図4に示される例において、反応ベッセルがポイントBにあった場合には、反応ベッセルはポイントEから1インデックスポジションだけ離れている。反応ベッセルが一旦ポイントEに到達すると、第一試薬は反応ベッセルの中に分注されてもよい。
【0145】
試薬が添加された後(ブロック914)または試薬が添加されない場合(ブロック912)、例示的プロセス900は、反応ベッセルをZ3ポジションだけインデックスするステップ(ブロック916)を含む。いくつかの例において、Z3は、第一試薬が反応ベッセルに添加された位置(または時間)と、トラックシステムの螺旋トラック部分に反応ベッセルを方向転換させることができる第一ダイバータに反応ベッセルが到達する時間との間のロックステップまたはインデックスポジションの数を表す。上記で開示された例示的処理トラック100は、第一トラック400から第二トラック402へ反応ベッセルを方向転換させることができる第一ダイバータ122を含む。このような例において、ポイントEから第一ダイバータ122の場所までのロックステップまたはインデックスポジションの数は4である。したがって、いくつかの例において、Z3は4に設定される。
【0146】
例示的プロセス900は、反応ベッセルがクリーンであるか否かを判断するステップ(ブロック918)を含む。たとえば反応ベッセルの中にサンプルまたは試薬が分注されない場合など、反応ベッセルがクリーンであって、反応ベッセルが処理の準備が整っていない場合、反応ベッセルはZ4ポジションだけインデックスされる(ブロック920)。このような例において、反応ベッセルは、トラックシステムの外トラック上に、したがってそれぞれのスロットの半径方向最外領域内に、維持される。いくつかの例において、Z4は、反応ベッセルがサンプルを受けられる位置に反応ベッセルが来るまでのロックステップまたはポジションの数を表す(ブロック906)。上記で開示された例示的処理トラック100において、反応ベッセルがクリーンである(たとえば、使用されていない)場合、反応ベッセルは第一トラック400上に残り、次の回転の間に反応ベッセルがポイントBおよびEを通過するようにそのスロットの最外セクションでの回転を継続し、そこで例示的プロセス900の制御はブロック906に戻り、反応ベッセルはたとえばサンプルおよび試薬を受け取ってもよい。
【0147】
ベッセルがクリーンではない(たとえば、サンプルおよび試薬を含み、処理の準備が整っている)場合(ブロック918)、反応ベッセルは、第二トラック(たとえば、螺旋トラック)上に方向転換させられる(ブロック922)。上記で開示された例示的処理トラック100において、第一ダイバータ122は、診断検査を継続するために、第一トラック400から第二トラック402へ反応ベッセルを方向転換させる。
【0148】
反応ベッセルが第二トラックに方向転換させられた後、例示的プロセス900は、反応ベッセルをZ5ポジションだけインデックスするステップ(ブロック924)を含む。いくつかの例において、Z5は、第一ダイバータ(反応ベッセルが第二トラック上に方向転換させられたとき)と第二ダイバータ(ブロック926)(たとえば、緊急ダイバータ)との間のロックステップの数を表す。いくつかの例において、第二トラックは、直径を減少させながら、処理カルーセルを中心に螺旋状になっている。いくつかの例において、螺旋トラックは、第一カルーセル102上で2回転した後に第一カルーセル102の内側部分に到達する。緊急ダイバータは第二トラックのあるセクションから第二トラックの別のセクションまで反応ベッセルを方向転換させるが、これにより反応ベッセルに第二トラックの一部を回避させ、場合によっては第一カルーセル102上の回転も回避させる。このため、緊急ダイバータは、反応ベッセルの処理時間を短縮するために使用されてもよい。たとえば、反応ベッセルの中で行われている反応がより長い培養時間を必要とする場合には、反応ベッセルは第二トラック上で継続し(すなわち緊急反応(ブロック926)ではなく方向転換されない)、Z6ポジションだけインデックスされる(ブロック928)。Z6は、第三方向転換箇所(たとえば、第一洗浄域)(ブロック934)までのトラックの周りのポジションの数を表す。上記で開示された例示的処理トラック100において、Z6は、第二トラック402の延長セクション上の第二ダイバータ124から第三ダイバータ126までのポジションの数である。いくつかの例において、Z6は52であってもよい。
【0149】
あるいは、反応がより高速で行われる場合、たとえば反応が緊急反応(ブロック926)である場合には、反応ベッセルは第二トラックの別のセクションまで方向転換させられ(ブロック930)、こうして第一カルーセル102の内側部分ならびにリーダ130およびデータ収集に近くなる。上記で開示された例示的処理トラック100において、第二ダイバータ124は、第二トラック402のある部分から第二トラック402の別の部分へ反応ベッセルを方向転換させ、リーダ130によって分析される前に第二トラック上の丸ごと1回転を回避するように、動作する。
【0150】
反応ベッセルが方向転換させられた場合(ブロック930)、例示的プロセス900は、反応ベッセルをZ7ポジションだけインデックスするステップを含む(ブロック932)。いくつかの例において、Z7は、第二ダイバータから、第一洗浄域にアクセス可能な第三ダイバータの場所までのポジションの数を表す。上記で開示された例示的処理トラック100において、Z7は、第二トラック402の短縮セクション上の第二ダイバータ124から第三ダイバータ126までのポジションの数である。したがって、いくつかの例において、Z7は3であってもよい。
【0151】
例示的プロセス900は、第一洗浄が望ましいおよび/または必要とされるか否かを判断するステップ(ブロック934)を含む第三ダイバータを含む。いくつかの例において、第二トラックは第一洗浄ステーションまで反応ベッセルを導くための第三ダイバータを含んでもよく、そこでたとえば磁性微粒子処理が行われ、望ましくない複合体がサンプルおよび磁性微粒子から洗い流されてもよい。第一洗浄が望ましい場合および/または必要とされる場合(ブロック934)、反応ベッセルは、洗浄域につながる第二トラックのサイドトラックまで方向転換させられ、反応ベッセルの内容物は洗浄される(ブロック936)。例示的プロセス900は、反応ベッセルをZ8ポジションだけインデックスするステップ(ブロック936)を含む。Z8は、以下に詳細に説明される、第三ダイバータから第二試薬アクセスポイントまでのサイドトラック上のポジションを表す。上記で開示された例示的処理トラック100において、第三ダイバータ126は、反応ベッセルの内容物が洗浄されることが可能な、洗浄域サイドトラック406上まで反応ベッセルを方向転換させてもよい。この例において、Z8は、第三ダイバータ126から第二試薬アクセスポイント、たとえばポイントFまでの、洗浄域サイドトラック406に沿ったロックステップまたはポジションを表してもよい。したがって、いくつかの例において、Z8は13に設定される。
【0152】
反応ベッセルが第一洗浄域まで方向転換させられない場合(ブロック934)、例示的プロセスは、処理カルーセル上で反応ベッセルをZ9ポジションだけインデックスするステップ(ブロック940)を含む。いくつかの例において、Z9は、洗浄域ダイバータから第二試薬アクセスまたは分注ポイントまでの、第二トラックに沿ったポジションの数を表す。上記で示される例示的処理トラック100において、第二トラック402は、反応ベッセルが洗浄されるための洗浄域サイドトラック406を辿るかまたは第二トラック402上に残留するように、第三ダイバータ126において分割される。いずれの経路でも、トラックはポイントFの手前で再接続する。したがって、いくつかの例において、Z9はZ8に設定される。
【0153】
図9Aの例示的プロセス900は、
図9Bに続く。例示的プロセス900は、第二試薬が反応ベッセルに添加されるか否かを判断するステップ(ブロック940)を含む。いくつかの例において、第二試薬ピペットは、処理カルーセルの直径の範囲内に設けられている。いくつかの例において、第二試薬ピペットは、第二試薬を吸引して反応ベッセルの中に試薬を分注するためのものである。第二試薬が望まれると判断された場合、第二試薬ピペットは反応ベッセルの中に第二試薬を分注する(ブロック944)。上記で開示された例示的処理トラック100において、第三ピペット操作機構234は、第二試薬を吸引して、ポイントFにおいて第一カルーセル102上の反応ベッセルの中に第二試薬を分注することになる。
【0154】
いくつかの例において、第二試薬は添加されない(ブロック942)。例示的プロセス900は、反応ベッセルをZ10ポジションだけインデックスするステップ(ブロック946)を含む。いくつかの例において、Z10は、第二試薬ピペットが配置されるかまたは反応ベッセルへのアクセスを有する場所から第二洗浄域の場所までの、ポジションの数を表す。上記で開示された例示的処理トラック100において、第一カルーセル102上のポイントFにある反応ベッセルは、第二洗浄域136内に向かって第一カルーセル102上を反時計回りにインデックスし続ける。いくつかの例において、Z10は、ポイントFと第二洗浄域136との間のロックステップ、またはインデックスポジションの数を表す。いくつかの例において。Z10は16に設定される。
【0155】
例示的プロセス900は、反応ベッセルの内容物を洗浄するステップ(ブロック948)を含む。いくつかの例において、対象のアナライトは、磁性微粒子に付着している。対象ではない付加的な物質もまた、磁性微粒子に付着している可能性がある。第二洗浄ステップ(ブロック948)の間、いずれの望ましくない複合体も、たとえば磁性微粒子処理を用いて、磁性微粒子から洗い流されてよい。
【0156】
例示的プロセス900は、反応ベッセルをZ11ポジションだけインデックスするステップ(ブロック950)を含む。Z11は、第二洗浄域と読み取りが行われる位置との間のポジションの数を表す。上記で開示された例示的処理トラック100において、Z11は、第二洗浄域136とリーダ130の場所との間のロックステップポジションを表してもよい。
【0157】
例示的プロセス900は、反応ベッセルの内容物を読み取るステップ(ブロック952)を含む。いくつかの例において、反応ベッセルの内容物を分析するために、処理カルーセルに沿ってリーダが設けられる。たとえば、例示的化学発光反応の間、リーダは、反応ベッセルの反応および内容物を表す光子データを収集する。
【0158】
例示的プロセス900はまた、反応ベッセルをZ12ポジションだけインデックスするステップも含む。いくつかの例において、Z12は、反応ベッセルが処理カルーセルから外されるまでのインデックスポジションまたはロックステップの数を表す。例示的プロセス900は、処理カルーセル上のそれぞれのスロットから反応ベッセルを外すステップ(ブロック956)を含む。いくつかの例において、処理カルーセルからベッセルを取り外すために、処理カルーセルに隣接して受動的または能動的取り出し装置が設けられている。上記で開示された例示的処理トラック100において、取り外し領域404(
図4A)は、反応ベッセルが外される領域を表す。図示される例において、これはまた第二トラック402の終点でもある。処理カルーセル上のそのスロットから反応ベッセルを外した後、例示的プロセス900はその反応ベッセルについては終了する(ブロック958)。
【0159】
いくつかの例において、処理カルーセルはインデックスし続け、別の反応ベッセルが同じスロットに追加されて(ブロック902)、サンプルプロセス900を用いて別の診断分析が行われてもよい。プロセス900には1つの反応ベッセルしか記載されていないものの、処理カルーセルが回転する際に、複数の反応ベッセルが多数のサンプルに対して診断分析を実行してもよい。いくつかの例において、複数の反応ベッセルが、処理カルーセル上の同じスロットの中に設けられてもよい。このような例において、第一の反応ベッセルは、第一トラックに係合されてスロット内の半径方向最外位置に設けられてもよく、第二の反応ベッセルは第二トラックに係合されてスロットの中間領域に設けられてもよく、第三の反応ベッセルはスロットの半径方向最内位置に設けられてもよい。反応ベッセルの各々は、診断検査の異なる段階にあってもよい。
【0160】
図10は、
図1から
図6の装置および/またはシステムの1つ以上の部分を実現するために
図7から
図9Bの1つ以上の命令を実行することが可能な、例示的プロセッサプラットフォーム1000のブロック図である。プロセッサプラットフォーム1000は、たとえば、サーバ、パーソナルコンピュータ、モバイル機器(たとえば、携帯電話、スマートフォン、iPad(TM)などのタブレット)、携帯情報端末(PDA)、インターネット家電、および/またはその他いずれのタイプの計算装置であってもよい。
【0161】
図示される例のプロセッサプラットフォーム1000は、プロセッサ1012を含む。図示される例のプロセッサ1012はハードウェアである。たとえば、プロセッサ1012は、いずれか所望の製品ファミリーまたは製造業者からの1つ以上の集積回路、論理回路、マイクロプロセッサ、またはコントローラによって実現されることが可能である。
【0162】
図示される例のプロセッサ1012は、ローカルメモリ1013(たとえば、キャッシュ)を含む。図示される例のプロセッサ1012は、バス1018を介して、揮発性メモリ1014および不揮発性メモリ1016を含むメインメモリと通信している。揮発性メモリ1014は、同期式ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、RAMBUSダイナミックランダムアクセスメモリ(RDRAM)、および/またはその他いずれのタイプのランダムアクセスメモリ装置によって実現されてもよい。不揮発性メモリ1016は、フラッシュメモリおよび/またはその他いずれの望ましいタイプのメモリ装置によって実現されてもよい。メインメモリ1014、1016へのアクセスは、メモリコントローラによって制御される。
【0163】
図示される例のプロセッサプラットフォーム1000はまた、インターフェース回路1020も含む。インターフェース回路1020は、イーサネット(登録商標)インターフェース、ユニバーサルシリアルバス(USB)、および/またはPCIエクスプレスインターフェースなど、いずれのタイプのインターフェース規格によって実現されてもよい。
【0164】
図示される例において、1つ以上の入力装置1022が、インターフェース回路1020に接続されている。入力装置1022は、ユーザがプロセッサ1012にデータおよびコマンドを入力することを可能にする。入力装置は、たとえば、音声センサ、マイクロフォン、カメラ(静止画または動画)、キーボード、ボタン、マウス、タッチスクリーン、トラックパッド、トラックボール、アイソポイント、および/または音声認識システムなどによって、実現されることが可能である。
【0165】
1つ以上の出力装置1024もまた、図示される例のインターフェース回路1020に接続されている。出力装置1024は、たとえば、ディスプレイ装置(たとえば、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、液晶ディスプレイ、陰極線管ディスプレイ(CRT)、タッチスクリーン、触覚出力装置、および/または発光ダイオード(LED)によって、実現されることが可能である。図示される例のインターフェース回路1020はこのように通常は、グラフィックドライバカード、グラフィックドライバチップ、またはグラフィックドライバプロセッサを含む。
【0166】
図示される例のインターフェース回路1020はまた、ネットワーク826(たとえば、イーサネット接続、デジタル加入者回線(DSL)、電話回線、同軸ケーブル、携帯電話システムなど)を介して外部機器(たとえば、いずれかの種類の計算装置)とのデータ交換を容易にするための、送信器、受信器、送受信器、モデム、および/またはネットワークインターフェースカードなどの通信装置も含む。
【0167】
図示される例のプロセッサプラットフォーム1000はまた、ソフトウェアおよび/またはデータを記憶するための1つ以上の大容量記憶装置1028も含む。このような大容量記憶装置1028の例は、フロッピーディスクドライブ、ハードドライブディスク、コンパクトディスクドライブ、ブルーレイディスクドライブ、RAIDシステム、およびデジタル多用途ディスク(DVD)ドライブを含む。
【0168】
図7から
図9Bのコード化された命令1032は、大容量記憶装置1028、揮発性メモリ1014、不揮発性メモリ1016、および/またはCDまたはDVDなどのリムーバブル有形コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。
【0169】
特定の例示的方法、装置、および製造品が本明細書に記載されてきたものの、本願の適用範囲はこれらに限定されるものではない。反対に、本願は、本願の請求項の範囲に適正に含まれるすべての方法、装置、および製造品に及ぶ。