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特許7233428残留液体除去機構、ブロー成型用金型及びブローキャビティ型、並びに、それらを用いた液体除去のための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】残留液体除去機構、ブロー成型用金型及びブローキャビティ型、並びに、それらを用いた液体除去のための方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/46 20060101AFI20230227BHJP
   B29C 49/12 20060101ALI20230227BHJP
   B29C 49/70 20060101ALI20230227BHJP
   B29C 33/72 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
B29C49/46
B29C49/12
B29C49/70
B29C33/72
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020527625
(86)(22)【出願日】2019-06-27
(86)【国際出願番号】 JP2019025564
(87)【国際公開番号】W WO2020004539
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-04-04
(31)【優先権主張番号】P 2018121632
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018131245
(32)【優先日】2018-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018142511
(32)【優先日】2018-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227032
【氏名又は名称】日精エー・エス・ビー機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】土屋 要一
(72)【発明者】
【氏名】島田 清典
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-43022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/46
B29C 49/12
B29C 49/70
B29C 33/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱されたプリフォームに少なくとも液体を導入することにより前記プリフォームをブロー成形するブロー成形装置の少なくとも一部の部品に設けられた残留液体除去機構であって、
前記部品は、前記プリフォームに導入されるための液体を噴射するブローノズルであり、
前記残留液体除去機構は、前記ブローノズルの内部に残留した液体を吸引するように構成された液体吸引手段を備え
前記残留液体除去機構の追加の手段として、前記ブローノズルは、該ブローノズル外部に対して開口するエア供給口と、該エア供給口から前記ブローノズル内部へと連通する中空通路とを備える、残留液体除去機構
【請求項2】
加熱されたプリフォームに少なくとも液体を導入することにより前記プリフォームをブロー成形するブロー成形装置の少なくとも一部の部品に設けられた残留液体除去機構であって、
前記部品は、前記プリフォーム及びブロー成形された成形品の少なくともいずれかを搬送するための搬送部品、並びに、成形用型部品の少なくともいずれかであり、
前記残留液体除去機構は、前記部品に付着した液体を除去する、残留液体除去機構。
【請求項3】
前記部品は、前記搬送部品であり、
前記残留液体除去機構は、前記搬送部品の上面部に付着した液体が重力により該部品の頂部から流れ落ちるように前記搬送部品の前記上面部に形成された勾配である、請求項に記載の残留液体除去機構。
【請求項4】
前記部品は、ブロー成形された成形品を前記ブロー成形装置から取り出すため前記成形品の内部に配置される取り出しコアであり、
前記残留液体除去機構は、前記プリフォーム及びブロー成形された成形品の少なくともいずれかを搬送するための搬送部品に付着した液体を除去するため該搬送部品に圧縮エアを吹き付けるエアブロー手段をさらに備えている、請求項に記載の残留液体除去機構。
【請求項5】
前記部品は、ブロー成形された成形品を前記ブロー成形装置から取り出すため前記成形品の底面と該成形品の側面の少なくとも一部とを覆って配置される取り出しポットであり、
前記残留液体除去機構は、前記プリフォーム及びブロー成形された成形品の少なくともいずれかを搬送するための搬送部品に付着した液体を除去するため該搬送部品に圧縮エアを吹き付けるエアブロー手段をさらに備えている、請求項に記載の残留液体除去機構。
【請求項6】
請求項に記載の残留液体除去機構を用いてブローノズル内の残留液体を除去する方法であって、
前記ブローノズルは、開閉可能に構成されており、
前記プリフォームをブロー成形した後に、前記ブローノズルを閉じ、
前記閉じられたブローノズルから前記液体吸引手段を用いて残留液体を除去すると共に前記エア供給口から前記中空通路を通って前記ブローノズル内部に空気を流入させる、各工程を備える、方法。
【請求項7】
前記ブローノズルは、
少なくとも液体を含むブロー成形用の流体の噴射口を備えるノズルボディと、
前記噴射口の開閉弁と、
前記ノズルボディに挿通された延伸ロッドと、
を備え、
前記ノズルボディ及び前記延伸ロッドの少なくともいずれかには、前記エア供給口と、前記中空通路とが設けられている、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記ノズルボディは、
前記プリフォームの口部に適合可能に前記ノズルボディの先端に設けられたノズル先端部と、
前記ノズル先端部に形成された噴射口と、
少なくとも液体を含む流体を前記ノズルボディに導入するためのポートと、
前記ポートと前記噴射口とを連通するように前記ノズルボディ内に形成された流体通路と、
を備え、
前記延伸ロッドは、前記噴射口に至る前記流体通路の軸方向に延びる一区間を通過し、前記プリフォームを延伸させるため前記噴射口から前記延伸ロッドがより突出する位置と引き込まれた位置との間で、前記ノズルボディに対して軸方向に往復移動可能であると共に、
前記開閉弁は、前記延伸ロッドに設けられた大径部であり、
前記大径部は、前記延伸ロッドが前記引き込まれた位置にあるとき前記噴射口を閉鎖し、前記延伸ロッドが前記より突出する位置へと移動するとき前記噴射口の閉鎖を解除する、請求項に記載の方法。
【請求項9】
プリフォームをブロー成形するためのブロー成形用金型であって、
少なくとも液体を含む流体を前記プリフォームの内部に噴射するための噴射用金型と、
前記プリフォームを延伸させるため往復移動可能に構成された延伸ロッドと、
を備え、
前記延伸ロッドは、
前記プリフォームの内部に位置する側である前記延伸ロッドの先端部分に形成された第1のロッド開口部と、
前記延伸ロッドの基端部分に形成された第2のロッド開口部と、
前記第1のロッド開口部と前記第2のロッド開口部とを連通するように前記延伸ロッド内に形成されたロッド流体通路と、
を備え、
口部が上向きに配置されてブロー成形された成形品の内部に残留した液体を排液するため、前記噴射用金型から前記成形品の内部に気体を噴射するための気体供給源が前記噴射用金型に接続可能であると共に、前記延伸ロッドの前記第2の開口部には前記第1の開口部から残留液体を吸引するための液体吸引手段が接続可能である、ブロー成形用金型
【請求項10】
プリフォームをブロー成形するためのブロー成形用金型であって、
少なくとも液体を含む流体を前記プリフォームの内部に噴射するための噴射用金型と、
前記プリフォームを延伸させるため往復移動可能に構成された延伸ロッドと、
を備え、
前記延伸ロッドは、
前記プリフォームの内部に位置する側である前記延伸ロッドの先端部分に形成された第1のロッド開口部と、
前記延伸ロッドの基端部分に形成された第2のロッド開口部と、
前記第1のロッド開口部と前記第2のロッド開口部とを連通するように前記延伸ロッド内に形成されたロッド流体通路と、
を備え、
口部が下向きに配置されてブロー成形された成形品の内部に残留した液体を排液するため、前記噴射用金型には前記成形品の内部に残留した液体を吸引するための液体吸引手段が接続可能であると共に、前記延伸ロッドの前記第2の開口部には前記第1の開口部から気体を噴射するための気体供給源が接続可能である、ブロー成形用金型
【請求項11】
プリフォームをブロー成形するためのブロー成形用金型であって、
少なくとも液体を含む流体を前記プリフォームの内部に噴射するための噴射用金型と、
前記プリフォームを延伸させるため往復移動可能に構成された延伸ロッドと、
を備え、
前記延伸ロッドは、
前記プリフォームの内部に位置する側である前記延伸ロッドの先端部分に形成された第1のロッド開口部と、
前記延伸ロッドの基端部分に形成された第2のロッド開口部と、
前記第1のロッド開口部と前記第2のロッド開口部とを連通するように前記延伸ロッド内に形成されたロッド流体通路と、
を備え、
前記ノズルポートは、少なくとも液体を含む流体を供給する流体供給手段が接続可能に構成され、前記第2のロッド開口部は、残留液体を吸引して排液する液体吸引手段が接続可能に構成される、ブロー成形用金型
【請求項12】
前記ノズルポートは、前記流体供給手段とエアを供給するエア供給手段とが切り替え可能に接続されるように構成される、請求項11に記載のブロー成形用金型。
【請求項13】
請求項12に記載のブロー成形用金型を用いてプリフォームをブロー成形する方法であって
温度調整されたプリフォームをブローキャビティ型にセッティングし、
前記プリフォームの口部に前記ブローノズルのノズル先端部を適合し、
前記延伸ロッドをブローキャビティ型の底部に向かって移動させて前記プリフォームを延伸させると共に、前記流体供給手段から前記ノズルポートに流体を導入することにより前記ノズル開口部から流体を噴射させて前記プリフォームを延伸させ、
延伸した前記プリフォームを前記ブローキャビティ型により成形品へと成形し、
前記成形品の成形完了後、前記エア供給手段から前記ノズルポートにエアを導入することにより前記ノズル開口部から前記成形品の内部に向かってエアを噴射させ、
前記液体吸引手段を作動させて前記成形品の内部に残留した液体を前記延伸ロッドの前記第1のロッド開口部から前記ロッド流体通路を介して前記第2のロッド開口部へと吸引し排液する、各工程を備える方法。
【請求項14】
少なくとも液体を含む流体によりプリフォームをブロー成形するために使用されるブローキャビティ型であって、
前記ブローキャビティ型は、互いに連結される複数の割型を少なくとも有し、
前記複数の割型は、連結された状態において、
前記ブローキャビティ型の成形面で開口する横通路と、
前記横通路に接続された縦通路であって、該縦通路は前記ブローキャビティ型の下面で開口する前記縦通路と、
を備え
前記複数の割型の各々は連結面を有し、隣接する2つの割型が各々の前記連結面を介して連結され、前記連結面の各々には、横溝と、該横溝に接続された縦溝とが形成されており、
前記横通路は、前記連結面を介して互いに連結される2つの割型の前記横溝が整列することによって形成され、
前記縦通路は、前記連結面を介して互いに連結される2つの割型の前記縦溝が整列することによって形成される、ブローキャビティ型
【請求項15】
前記隣接する2つの割型のうち少なくとも1つの前記連結面において、前記縦溝よりも径方向外側に、少なくとも該縦溝の長さに亘って延在するシール部材が設けられている、請求項14に記載のブローキャビティ型。
【請求項16】
少なくとも液体を含む流体によりプリフォームをブロー成形するために使用されるブローキャビティ型であって、
前記ブローキャビティ型は、互いに連結される複数の割型を少なくとも有し、
前記複数の割型は、連結された状態において、
前記ブローキャビティ型の成形面で開口する横通路と、
前記横通路に接続された縦通路であって、該縦通路は前記ブローキャビティ型の下面で開口する前記縦通路と、
を備え、
前記下面に形成された前記縦通路の開口の下方に、該開口から流れ落ちた液体を受け止めて排液するための排液手段が設けられている、ブローキャビティ型
【請求項17】
前記割型の個数は少なくとも2以上であり、前記割型の各々が側面方向に一列に複数連結若しくは一体成形されて構成されている、請求項16に記載のブローキャビティ型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、残留液体除去機構、ブロー成型用金型及びブローキャビティ型、並びに、それらを用いた液体除去のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加圧された液体をブローノズルから噴射してプリフォームをブロー成形する技術が知られている(下記特許文献1、2参照)。かかる技術において、ブローノズル内に残留する液体は、液体が注入される前の次サイクルの加熱されたプリフォームに落下し得る。この場合には、液体が落下した箇所の温度が低下するため、容器成形の不具合が発生することがある。
【0003】
また、プリフォームに噴射される液体を容器の内容物として用いない場合には、ブロー成形された容器から液体を排液する必要がある。
【0004】
さらに、液体でプリフォームを成形するためのブローキャビティ型にプリフォームをセッティングした状態では、閉鎖されたキャビティ内でプリフォームが延伸されるため、エアを逃がすことにより延伸を円滑に進める必要がある。そこで、従来では、図40に示されるように、ブローキャビティ型に、その内側側面から外側側面まで貫通する複数のエア抜き用ベント(斜線部)が設けられていた。
【0005】
しかし、ブローキャビティ型にセッティングされた加熱プリフォームをブローする際に各種成形条件(プリフォームの温度や加圧媒体の圧力、延伸ロッドの伸長速度、等)が適切でないと、プリフォームが破裂することがある。プリフォームが破裂するとブロー成形用の液体も飛散するため、その一部が図40のエア抜き用ベントを通って外部に噴出する。噴出した液体がブロー成形装置の部品に付着すると、該液体がプリフォームに落下して上述のような成形の不具合を生じさせ得る。
【0006】
さらに、ブローノズル内から落下した液体や、容器外部に漏れ或いは飛び散った液体は、プリフォームや成形品だけでなく、それらの搬送部品にも付着するおそれがある。搬送部品に付着した液体も、同部品を用いて搬送されるプリフォームに落下するとき、上述のような容器成形の不具合を引き起こす新たな原因となる。
【0007】
下記特許文献3に記載のブロー成形用の型に関する技術によれば、液体製品の液滴が型の内面に残留するのを防止するため、型の内面に疎水性をもたせること、型が液体製品の液滴を排出するために開かれること、液滴を重力又は遠心力によって排出すること等が記載されている。しかし、特許文献3には、ブローノズルや搬送部品等の、ブロー成形装置に使用される他の部品に残留した液体の除去手段については開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2016-513032号公報
【文献】特許5694154号公報
【文献】特許第6280205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記事実に鑑みなされたもので、ブロー成形装置に使用される部品に残留した液体がプリフォームや成形品に落下することを防止することである。
また、本発明の別の目的は、効率的に容器に残留した液体を排液するためのブロー成形用金型及び該ブロー成形用金型を用いた排液方法を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、ブロー成形時のプリフォームの破裂により飛散した液体がブローキャビティ型の外部に漏れることを防止した、ブローキャビティ型を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため本発明の第1の態様に係る残留液体除去機構は、加熱されたプリフォームに少なくとも液体を導入することにより前記プリフォームをブロー成形するブロー成形装置の少なくとも一部の部品に設けられ、当該部品は、プリフォームに導入されるための液体を噴射するブローノズルであり、第1の態様に係る残留液体除去機構は、前記ブローノズルの内部に残留した液体を吸引するように構成された液体吸引手段を備えている。好ましい液体吸引手段は、前記ブローノズルの内部に連通するように該ブローノズルに接続された吸引管と、前記吸引管を通して前記ブローノズルの内部に残留した液体を吸引する真空吸引装置と、を備えている。
【0011】
より好ましくは、前記ブローノズルは、該ブローノズル外部に対して開口するエア供給口と、該エア供給口から前記ブローノズル内部へと連通する中空通路とを備える。
【0012】
第2の態様に係る残留液体除去機構において、前記部品は、前記プリフォーム及びブロー成形された成形品の少なくともいずれかを搬送するための搬送部品、並びに、成形用型部品の少なくともいずれかであり、第2の態様に係る残留液体除去機構は、前記部品に付着した液体を除去する。例えば、前記部品は、前記搬送部品であり、第2の態様に係る残留液体除去機構は、前記搬送部品の上面部に付着した液体が重力により該部品の頂部から流れ落ちるように前記搬送部品の上面部に形成された勾配である。
【0013】
第3の態様に係る残留液体除去機構において、前記部品は、ブロー成形された成形品を前記ブロー成形装置から取り出すため前記成形品の内部に配置される取り出しコアであり、第3の態様に係る残留液体除去機構は、前記プリフォーム及びブロー成形された成形品の少なくともいずれかを搬送するための搬送部品に付着した液体を除去するため該搬送部品に圧縮エアを吹き付けるエアブロー手段を備えている。
【0014】
第4の態様に係る残留液体除去機構において、前記部品は、ブロー成形された成形品を前記ブロー成形装置から取り出すため前記成形品の底面と該成形品の側面の少なくとも一部とを覆って配置される取り出しポットであり、第4の態様に係る残留液体除去機構は、前記プリフォーム及びブロー成形された成形品の少なくともいずれかを搬送するための搬送部品に付着した液体を除去するため該搬送部品に圧縮エアを吹き付けるエアブロー手段を備える。
【0015】
第1の態様に係る残留液体除去機構を用いてブローノズル内の残留液体を除去する方法は、前記ブローノズルは、開閉可能に構成されており、前記プリフォームをブロー成形した後に、前記ブローノズルを閉じ、前記閉じられたブローノズルから前記液体吸引手段を用いて残留液体を除去すると共に前記エア供給口から前記中空通路を通って前記ブローノズル内部に空気を流入させる、各工程を備える。好ましくは、前記空気は圧縮エアである。
【0016】
残留液体を除去する方法において、例えば、前記ブローノズルは、少なくとも液体を含むブロー成形用の流体の噴射口を備えるノズルボディと、前記噴射口の開閉弁と、前記ノズルボディに挿通された延伸ロッドと、を備え、前記ノズルボディ及び前記延伸ロッドの少なくともいずれかには、前記エア供給口と、前記中空通路とが設けられている。
【0017】
残留液体を除去する方法において、例えば、前記ノズルボディは、前記プリフォームの口部に適合可能に前記ノズルボディの先端に設けられたノズル先端部と、前記ノズル先端部に形成された噴射口と、少なくとも液体を含む流体を前記ノズルボディに導入するためのポートと、前記ポートと前記噴射口とを連通するように前記ノズルボディ内に形成された流体通路と、を備え、前記延伸ロッドは、前記噴射口に至る前記流体通路の軸方向に延びる一区間を通過し、前記プリフォームを延伸させるため前記噴射口から前記延伸ロッドがより突出する位置と引き込まれた位置との間で、前記ノズルボディに対して軸方向に往復移動可能であると共に、前記開閉弁は、前記延伸ロッドに設けられた大径部であり、前記大径部は、前記延伸ロッドが前記引き込まれた位置にあるとき前記噴射口を閉鎖し、前記延伸ロッドが前記より突出する位置へと移動するとき前記噴射口の閉鎖を解除する。
【0018】
上記課題を解決するため、本発明のプリフォームをブロー成形するためのブロー成形用金型は、少なくとも液体を含む流体を前記プリフォームの内部に噴射するための噴射用金型と、前記プリフォームを延伸させるため往復移動可能に構成された延伸ロッドと、を備え、前記延伸ロッドは、前記プリフォームの内部に位置する側である前記延伸ロッドの先端部分に形成された第1のロッド開口部と、前記延伸ロッドの基端部分に形成された第2のロッド開口部と、前記第1のロッド開口部と前記第2のロッド開口部とを連通するように前記延伸ロッド内に形成されたロッド流体通路と、を備えて構成したものである。
【0019】
本発明の第1の態様に係るブロー成形用金型は、口部が上向きに配置されてブロー成形された成形品の内部に残留した液体を排液するため、前記噴射用金型から前記成形品の内部に気体を噴射するための気体供給源が前記噴射用金型に接続可能であると共に、前記延伸ロッドの前記第2の開口部には前記第1の開口部から残留液体を吸引するための液体吸引手段が接続可能である。
【0020】
第1の態様に係るブロー成形用金型によれば、口部が上向きに配置されてブロー成形された成形品に当該噴射用金型が適合された状態で、気体供給源から気体が噴射用金型に供給されると共に、液体吸引手段が延伸ロッドの第2の開口部から液体を吸引する。このとき、噴射用金型から成形品の内部に気体が噴射されて成形品内に残留した液体が噴射された気体により圧力をかけられて吹き飛ばされると共に、当該残留液体は、延伸ロッドの第1の開口部からロッド流体通路を介して第2の開口部から吸引される。これによって残留液体の効率的な排液が可能となる。
【0021】
第2の態様に係るブロー成形用金型によれば、口部が下向きに配置されてブロー成形された成形品の内部に残留した液体を排液するため、前記噴射用金型には前記成形品の内部に残留した液体を吸引するための液体吸引手段が接続可能であると共に、前記延伸ロッドの前記第2の開口部には前記第1の開口部から気体を噴射するための気体供給源が接続可能である。
【0022】
第2の態様に係るブロー成形用金型によれば、口部が下向きに配置されてブロー成形された成形品に当該噴射用金型が適合された状態で、液体吸引手段が噴射用金型から成形品の内部に残留した液体を吸引すると共に、気体供給源が延伸ロッドの第2の開口部に気体を供給する。このとき、第2の開口部に供給された気体が延伸ロッドのロッド流体通路を通って第1の開口部から成形品の内部へと噴射され、噴射された気体により成形品の内部に残留した液体が圧力をかけられて吹き飛ばされると共に、当該残留液体は、噴射用金型からから吸引される。これによって残留液体の効率的な排液が可能となる。
【0023】
一例としての噴射用金型は、ブローノズルであり、前記ブローノズルは、前記プリフォームの口部に適合可能に前記ノズルボディの先端に設けられたノズル先端部と、前記ノズル先端部に形成されたノズル開口部と、ノズルポートと、前記ノズルポートと前記ノズル開口部とを連通するように前記ノズルボディ内に形成されたノズル流体通路と、を備える。
【0024】
上記構成のブローノズルにおいて、成形品の残留液体を吸引可能にする第1の構成例では、前記ノズルポートは、少なくとも液体を含む流体を供給する流体供給手段が接続可能に構成され、前記第2のロッド開口部は、残留液体を吸引して排液する液体吸引手段が接続可能に構成される。好ましくは、前記ノズルポートが前記流体供給手段とエアを供給するエア供給手段とが切り替え可能に接続されるように構成される。
【0025】
上記構成のブローノズルにおいて、成形品の残留液体を吸引可能にする第2の構成例では、前記ノズルポートは、少なくとも液体を含む流体を供給する流体供給手段と残留液体を吸引して排液する液体吸引手段とが切り替え可能に接続されるように構成され、前記第2のロッド開口部は、エアを供給するエア供給手段が接続可能に構成される。
【0026】
本発明の上記第1の構成例のブローノズルを有するブロー成形用金型を用いてプリフォームをブロー成形する方法は、温度調整されたプリフォームをブローキャビティ型にセッティングし、前記プリフォームの口部に前記ブローノズルのノズル先端部を適合し、前記延伸ロッドをブローキャビティ型の底部に向かって移動させて前記プリフォームを延伸させると共に、前記流体供給手段から前記ノズルポートに流体を導入することにより前記ノズル開口部から流体を噴射させて前記プリフォームを延伸させ、延伸した前記プリフォームを前記ブローキャビティ型により成形品へと成形し、前記成形品の成形完了後、前記エア供給手段から前記ノズルポートにエアを導入することにより前記ノズル開口部から前記成形品の内部に向かってエアを噴射させ、前記液体吸引手段を作動させて前記成形品の内部に残留した液体を前記延伸ロッドの前記第1のロッド開口部から前記ロッド流体通路を介して前記第2のロッド開口部へと吸引し排液する、各工程を備えて構成したものである。
【0027】
上記課題を解決するため、少なくとも液体を含む流体によりプリフォームをブロー成形するために使用される本発明のブローキャビティ型は、互いに連結される複数の割型を少なくとも有し、前記複数の割型は、連結された状態において、前記ブローキャビティ型の成形面で開口する横通路と、前記横通路に接続された縦通路であって、該縦通路は前記ブローキャビティ型の下面で開口する前記縦通路と、を備えて構成したものである。
【0028】
好ましくは、前記複数の割型の各々は連結面を有し、隣接する2つの割型が各々の前記連結面を介して連結され、前記連結面の各々には、横溝と、該横溝に接続された縦溝とが形成されており、前記横通路は、前記連結面を介して互いに連結される2つの割型の前記横溝が整列することによって形成され、前記縦通路は、前記連結面を介して互いに連結される2つの割型の前記縦溝が整列することによって形成される。
【0029】
より好ましくは、前記隣接する2つの割型のうち少なくとも1つの前記連結面において、前記縦溝よりも径方向外側に、少なくとも該縦溝の長さに亘って延在するシール部材が設けられている。
【0030】
また好ましくは、前記下面に形成された前記縦通路の開口の下方に、該開口から流れ落ちた液体を受け止めて排液するための排液手段が設けられている。
【0031】
好ましい前記割型の個数は2であり、さらに好ましくは、当該ブローキャビティ型の前記割型の各々が側面方向に一列に複数連結若しくは一体成形されて構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る真空吸引による残留液体除去装置が組み込まれたブロー成形装置の概略図である。
図2図2は、図1に示されるブロー成形装置で使用するためのブローノズルの概略図であって、該ブローノズルの噴射口を閉じた状態を示している。
図3図3は、図1に示されるブロー成形装置で使用するためのブローノズルの概略図であって、該ブローノズルの噴射口を開放した状態を示している。
図4図4は、図1に示されるブロー成形装置が組み込まれたブロー成形機の斜視図である。
図5図5は、図4に示されるブロー成形機の各ステーションの一部を示す図であって、(A)は射出成形ステーション、(B)は温調ステーション、(C)はブロー成形ステーション、(D)は取り出しステーションの一部を各々示している。
図6図6は、本発明の一実施形態に係るブローノズルを用いてプリフォームをブロー成形する工程の前工程を示す概略図であって、(A)は、プリフォームの搬入工程、(B)は、ブロー割型の型閉めをそれぞれ示している。
図7図7は、本発明の一実施形態に係るブローノズルを用いてプリフォームをブロー成形する工程を示す概略図であって、(A)はブロー成形前、(B)はブロー成形中、(C)はブロー成形完了したときの状態を各々示す。
図8図8は、図7に示す工程の後工程を示す概略図であって、(A)は延伸ロッドを引き上げるとき、(B)は噴射口を閉鎖したとき、(C)はブローノズルを引き離すときの状態を各々示す。
図9図9は、本発明の一実施形態に係るブローノズルを用いてプリフォームをブロー成形する工程を示すフローチャートである。
図10図10は、図9のフローチャートにおけるプリフォームの縦軸延伸及び横軸延伸の工程のより詳細な工程を示すフローチャートである。
図11図11は、本発明の第2の実施形態に係る残留液体除去機構を備えた搬送板の概略図であって、(A)は、搬送板がネック型と共に閉状態、(B)は、搬送板がネック型と共に開状態を示す。
図12図12は、本発明の第3の実施形態に係る残留液体除去機構を備えた取り出しコアの概略図である。
図13図13は、図12に示される取り出しコアの使用態様を説明するための概略図であって、(A)は、ネック型で口部を保持された成形完了品に取り出しコアを挿入・配置した状態、(B)は、搬送板及びネック型を開いて成形完了品を取り出した状態を示す。
図14図14は、本発明の第3の実施形態に係る残留液体除去機構を備えた取り出しコアを用いて残留液体を除去する流れを示すフローチャートである。
図15図15は、本発明の第4の実施形態に係る残留液体除去機構を備えた取り出しポットの概略図である。
図16図16は、図15に示される取り出しポットの使用態様を説明するための概略図であって、(A)はネック型で口部を保持された成形完了品の下方に取り出しポットを配置した状態、(B)は、搬送板及びネック型を開いて成形完了品を取り出し、取り出しポットにより搬送する状態、(C)は戻ってきた取り出しポットによりネック型の残留液体を除去している状態を示す。
図17図17は、本発明の第4の実施形態に係る残留液体除去機構を備えた取り出しポットを用いて残留液体を除去する流れを示すフローチャートである。
図18図18は、本発明の第6の実施形態に係るブロー成形用金型の概略図である。
図19図19は、本発明の第7の実施形態に係るブロー成形用金型の概略図である。
図20図20は、図18に示されるブローノズルで使用される、給液/ブロー回路並びに排液回路の概略図である。
図21図21は、本発明の第6の実施形態に係るブローノズルを用いてプリフォームをブロー成形する工程の前工程を示す概略図であって、(A)は、プリフォームの搬入工程、(B)は、ブロー割型の型閉めをそれぞれ示している。
図22図22は、本発明の第6の実施形態に係るブローノズルを用いてプリフォームをブロー成形する工程を示す概略図であって、(A)はブロー成形前、(B)はブロー成形中、(C)はブロー成形完了したときの状態を各々示す。
図23図23は、図22に示す工程の後工程を示す概略図であって、(A)は延伸ロッドを引き上げるとき、(B)はノズル開口部を閉鎖したとき、(C)はブローノズルを引き離すときの状態を各々示す。
図24図24は、本発明の第6の実施形態に係るブロー成形用金型を用いてプリフォームをブロー成形する工程を示すフローチャートである。
図25図25は、図19及び図25に示される第7の実施形態に係るブロー成形用金型で使用される、給液/ブロー回路並びに排液回路の概略図である。
図26図26は、本発明の第7の実施形態に係るブロー成形用金型を用いて成形完了品内に残した液体を排液するときの状態を示す概略図である。
図27図27は、図19及び図25に示される第7の実施形態に係るブロー成形用金型を使用したブロー成形工程が一工程として組み込まれたブロー成形機の斜視図である。
図28図28は、延伸ロッドの第1のロッド開口部の変形例を示す概略図である。
図29図29は、本発明の第8の実施形態に係るブローキャビティ型を構成する割型のうちの1つ及び底型の正面図である。
図30図30は、本発明の第8の実施形態に係るブローキャビティ型の割型のうちの1つの斜視図である。
図31図31は、第8の実施形態に係るブローキャビティ型の概略上面図であって、横通路及び縦通路が破線で示された図である。
図32図32は、第8の実施形態に係るブローキャビティ型の概略側面図であって、横通路及び縦通路が破線で示された図である。
図33図33は、第8の実施形態に係るブローキャビティ型を用いてプリフォームをブロー成形するときの各々の段階を示す概略図であり、(A)はブロー成形前、(B)はブロー成形中、(C)はブロー成形完了した状態、(D)はブロー成形が完了せずにプリフォームが破裂した状態を各々示している。
図34図34は、本発明の第9の実施形態に係るブローキャビティ型を構成する割型のうちの1つ及び底型の正面図である。
図35図35は、本発明の第8の実施形態に係るブローキャビティ型を用いてプリフォームをブロー成形するためのブロー成形装置の概略図である。
図36図36は、本発明の第10の実施形態に係るブローキャビティ型を用いてプリフォームをブロー成形するためのブロー成形装置の概略図である。
図37図37は、本発明の第10の実施形態に係るブローキャビティ型の概略上面図であって、横通路及び縦通路が破線で示された図である。
図38図38は、本発明の第11の実施形態に係るブローキャビティ型の概略上面図であって、横通路及び縦通路が破線で示された図である。
図39図39は、本発明の第11の実施形態に係るブローキャビティ型を説明するための概略図である。
図40図40は、従来技術に係るブローキャビティ型の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して、本発明の残留液体除去機構の各実施形態を説明する。
【0034】
(第1の実施形態;真空吸引による残留液体除去装置)
図1には、ブロー成形装置80の概略図が示されており、ブロー成形装置80には、本発明の第1の実施形態に係る残留液体除去機構である、真空吸引による残留液体除去装置1Aが組み込まれている。
【0035】
図1に示されるブロー成形装置80は、少なくとも液体を含む加圧流体を噴射することによりブローキャビティ型100にセッティングされたプリフォームをブロー成形するブローノズル1と、該ブローノズル1に加圧流体を供給する流体供給部13と、加圧流体をブローノズル1に供給するため、ブローノズルのポート6に接続された供給路14とを備えている。
【0036】
流体供給部13は、図1の例では、液体(例えば水)と圧縮エアとの混合物である加圧流体をブローノズル1に導入するように構成されており、給水源60と、液体供給源60から供給された液体を送り出すための液体供給回路62と、液体供給回路62からの液体を所定量貯留する貯留部64(ホース若しくはタンク等)と、コンプレッサ等の高圧気体源66と、高圧気体源66から供給された圧縮エアを貯留部64に送り出すための給気回路68と、高圧気体源66に圧縮エアを生成させるためのエア生成部70と、貯留部64等から余分のエアを排気するための排気回路72と、供給路14を介してブローノズル1の内部を真空吸引するための、真空ポンプ74及び真空吸引回路76と、を備えている。
【0037】
さらに、流体供給部13は、貯留部64から供給路14に送り出される加圧流体の供給を制御する、上述した開閉弁V1と、給気回路68から貯留部64への圧縮エアの供給を制御するエア供給弁V2と、給水回路62から貯留部64への水等の液体の供給を制御する水供給弁V3と、貯留部64等に残留した余分なエアの排気を制御するエア抜き弁V4と、真空吸引回路76を介したブローノズル1の真空吸引を制御する真空吸引弁V5と、を備えている。
【0038】
本発明の第1の実施形態に係る残留液体除去装置1Aは、上述した構成要件のうち、真空ポンプ74と、真空吸引回路76と、真空吸引弁V5と、供給路14と、を備える装置として、ブロー成形装置80内に組み込まれている。
【0039】
次に、図1に示されたブローノズル1の一構成例について図2及び図3を用いて説明する。
【0040】
図2に示されるように、ブローノズル1は、ノズルボディ2と、ノズルボディ2に対して軸方向に往復移動可能に該ノズルボディ2に取り付けられた延伸ロッド3と、を備えている。延伸ロッド3は、図示しない駆動手段(モータ等)によって、矢印Aに示すようにノズルボディ2に対して軸方向に往復移動可能に該ノズルボディ2に取り付けられている。
【0041】
ノズルボディ2は、プリフォームの口部に適合可能にノズルボディ2の先端に設けられたノズル先端部4と、ノズル先端部4に形成された噴射口5と、少なくとも液体を含む流体をノズルボディ2に導入するためのポート6と、ポート6と噴射口5と、を連通するようにノズルボディ2内に形成された流体通路7と、を備えている。
【0042】
延伸ロッド3は、直線状のロッドボディと、該ロッドボディの先端9の近傍に形成された閉鎖部10と、を備えている。閉鎖部10は、噴射口5の近傍の内周壁12に適合するように形成された大径部であり、ロッドボディに比べて、より大きい半径となるように構成されている。図示のように、延伸ロッド3の直線状のロッドボディは、ノズルボディ2の貫通孔11を摺動可能かつ液密可能に貫通し、さらに、噴射口5に至る流体通路7の一区間を通過している。閉鎖部10が流体通路7内にある図2に示す状態では、閉鎖部10の外周壁は内周壁12に摺動可能かつ液密可能に係合している。すなわち、延伸ロッド3は、矢印Aに示すようにノズルボディ2に対して軸方向に往復移動可能にノズルボディ2を挿通されており、図2に示す、ノズルボディ2に対する延伸ロッド3の所定の位置では、閉鎖部10は、噴射口5を液密に閉鎖している。
【0043】
なお、閉鎖部10の外周壁が内周壁12に摺動可能かつ液密可能に係合することを可能にするため、閉鎖部10の外周壁には、例えば、周方向に沿って溝が形成され、当該溝にOリング等のシール部材が配置されていてもよい。また、同様に延伸ロッド3の直線状のロッドボディがノズルボディ2の貫通孔11を摺動可能かつ液密可能に貫通するため、貫通孔11の内周壁に、例えば、周方向に沿って溝が形成され、当該溝にOリング等のシール部材が配置されていてもよい。
【0044】
図3に示されるように、延伸ロッド3の先端9が噴射口5からより突出する方向に延伸ロッド3を図2に示す所定の位置から移動させたとき閉鎖部10はノズルボディ2の外部へと移動するため、噴射口5が開放される。ここで、流体通路7に延伸ロッド3の小径のロッドボディが存在していても、該ロッドボディと流体通路7の一区間を画定するノズルボディ2の内周壁7との間には流体が通過可能な隙間8が形成されている。
【0045】
ポート6には、加圧流体をブローノズル1に供給する上記した流体供給部13が供給路14を介して接続される。従って、図3に示す状態において、流体が流体供給部13から供給路14を介してポート6に供給されると、供給された流体は、流体通路7の隙間8を通過して噴射口5から矢印Bに示されるように外部へと噴射される。後述するように、流体供給部13は、開閉弁V1を備えており、開閉弁WV1の開閉動作によって、加圧流体のブローノズル1への供給の有無、ひいては図3に示す開放状態での噴射口5から流体の噴射の有無が制御される。
【0046】
なお、成形条件の改善や成形サイクルの短縮等を図り、延伸ロッド3が底型方向に向かって移動する前までに(噴出口5が閉状態にあるときに)ノズルボディ2の隙間8に流体を事前に溜めておき、延伸ロッド3の移動と同時に(噴出口5を開状態にすると同時に)流体をプリフォームに導入させるような動作を行って良い。つまり、延伸ロッド3の開閉部10が流体の開閉弁の代わりに使用されても構わない。
【0047】
本実施形態でブロー成形のために用いられる流体は、液体、若しくは、液体と気体との混合物である。好ましい液体の例は水であり、好ましい気体の例は空気(圧縮エア)である。液体と気体との混合物を用いる場合、流体供給部13には、液体と気体とが供給され、流体供給部13は、液体と気体との混合物をポート6に導入する。
【0048】
ポート6には、流体供給部13内に設けられた残留液体除去装置1Aが接続されている。流体供給部13の開閉弁V1を閉じ、真空吸引弁V5を開いて、真空ポンプ74を作動させると、ブローノズル内の液体はポート6及び供給路14を介して吸引される。
【0049】
好ましくは、ブローノズル1には、残留液体除去装置1Aによるブローノズル1の真空吸引時にノズル内部に空気を供給するための通路が設けられている。図2及び図3の例では、延伸ロッド3は、その基端部に形成されたエア供給口22と、該エア供給口22から延伸ロッド3の長さ方向に延びるロッド中空通路20と、閉鎖部10で横断方向に延びて両端が流体通路7内へと開口する大径横断通路24とを備え、ロッド中空通路20と大径横断通路24とは交差している。また、ノズルボディ2は、ノズルボディ2の上面で開口するエア供給口28、ノズルボディ2の側面で開口するエア供給口32と、該エア供給口28、32からノズル内で延びて流体通路7内へと開口するノズル中空通路29、30とを備えている。図2に示されるように流体通路7が閉鎖されている場合に、残留液体除去装置1Aによるポート6から真空吸引した場合、ノズル内部が減圧されるため、エア供給口22、28、32から空気が中空通路20、24、30を通ってノズル内へと流入し、流体通路7を通ってポート6へと流れることになる。この空気の流れによりノズル内の残留液体が飛ばされて、空気と共にポート6から残留液体除去装置1Aへと吸引される。なお、上記したエア供給口、中空通路は、図示の全てでなく、図示のうち一つ若しくは2つだけ設けられてもよい。勿論、図示よりも多く設けられてもよい。
【0050】
より好ましくは、エア供給口22、28、32には、圧縮エアを供給するためのエアブロー回路(図示せず)が接続されてもよい。エアブロー回路は、例えば、高圧気体源と、高圧気体源からの圧縮エアの供給を制御するエア供給弁と、成形ブローの液体がエアブロー回路へと逆流するのを防止するための逆止弁とを備える。かかるエアブロー回路からエア供給口22、28、32を介して圧縮エアを供給すると、強い空気の流れがノズル内で発生し、残留液体をより効率的に吹き飛ばして残留液体除去装置1Aにより吸引・排液することができる。
【0051】
ブローノズル1のブロー成形の対象となるプリフォームは、例えば図4に示されるブロー成形機200においてブロー成形され、成形完了品(中空容器)として取り出される。図4のブロー成形機はプリフォームを間欠的に回転搬送する1ステップ式のブロー成形機であり、主要4工程を備える。この4工程とは、射出成形工程、温調工程、ブロー成形工程及び取り出し工程である。回転搬送型ブロー成形機200には、一周360°の搬送領域を4分割した各領域に、上記4工程を各々実行する、射出成形ステーション202、温調ステーション204、ブロー成形ステーション206及び取り出しステーション208が設けられている。
【0052】
射出成形ステーション202は、図示しない射出装置から射出成形型210に樹脂材料(例えば、PETやPE、PPからなる合成樹脂や生分解性プラスチック)を射出することによって複数のプリフォーム50を成形する(射出工程)。
【0053】
射出成形された複数のプリフォーム50は、口部を搬送板212により保持された状態で温調ステーション204に図示しない搬送手段(回転盤等)によって搬送される。温調ステーション204では、ブロー成形前に、プリフォーム50が成形適正温度となるように温度調整が実行される(温調工程)。この温調工程は、例えば、プリフォーム50を加熱ポット214に配置し、温調コア216をプリフォーム50の内部に挿入することによって行われる。
【0054】
温度調整されたプリフォーム50は、図示しない搬送手段によってブロー成形ステーション206に搬送される。ブロー成形ステーション206では、詳細を後述するように、ブローキャビティ型100にプリフォーム50を装填し、本実施形態に係るブローノズル1を用いてプリフォーム50に上述の流体を導入することによって、プリフォーム50を成形完了品52へとブロー成形する。
【0055】
ブロー成形された成形完了品52は、図示しない搬送手段によって取り出しステーション208に搬送される。取り出しステーション208では、成形完了品52が、図示しない取り出し手段によって、ブロー成形機200から取り出される(取り出し工程)。
【0056】
プリフォーム50及び成形完了品52は、図5に示されるように、搬送板212に取り付けられたネック型220により口部が保持された状態で、各ステーション202、204、206、208を、順次、間欠的に搬送される。ネック型200は、図5(D)に最も良く示されるように、ネック分割型220A及び220Bを備えている。ネック分割型220A及び220Bが連結したとき、これらの間にプリフォーム50及び成形品52が挟持され、搬送板212と共に、各ステーション202、204、206に搬送されることが可能となる。取り出しステーション206では、ネック分割型220A及び220Bが分離され、成形完了品52は、ネック型200により保持されなくなり、重力により下方に落下し、ブロー成形機200から取り出されることが可能となる。
【0057】
なお、搬送板212も2つの板に分離可能に構成されてもよく、この場合、ネック分割型220A及び220Bは、搬送板212と共に分離可能に構成されてもよい。或いは、ネック分割型220A及び220Bは、分離できない搬送板212の上で分離可能に構成されてもよい。また、前述のブロー成形機200は回転搬送型の1ステップ式(ホットパリソン式)のブロー成形機を例示しているが、本発明が適用できるブロー成形機200はこの形式に限らない。具体的には、1.5ステップ式(クールパリソン式)や2ステップ式(コールドパリソン式)のブロー成形機でも良いし、プリフォームの搬送方法も回転盤による回転搬送型でなくリニア搬送型でも構わない。
【0058】
次に、本実施形態に係るブローノズル1を用いたプリフォームのブロー成形の流れを図6から図8を参照しつつ、図9のフローチャートに従って説明する。なお、図6から図8では、図5に示される上述したネック型220が省略されている。
【0059】
図9に示されるように、先ず、温度調整されたプリフォーム50をブロー成形ステーション(図4の206)にネック型220の移動を介して搬入する(ステップ300)。図6(A)に示されるように、プリフォーム50は、互いに間隔を開けて配置されたブロー割型100A及び100Bの間に配置される。このときブローノズル1は、噴射口5が閉鎖部10により閉鎖された状態で、プリフォーム50の上方に配置される。
【0060】
次に、ブロー割型100A及び100Bの型閉めが行われる(ステップ301)。これによりプリフォーム50のブローキャビティ型100へのセッティングが完了される。図6(B)に示されるように、型閉めされたブロー割型は一体となってブローキャビティ型100を形成し、該ブローキャビティ型100の上部開口部101にプリフォーム50の口部55が装着される。ブローキャビティ型100の内側面は、成形面102を形成している。
【0061】
次に、ブローノズル1を下降させ、ブローノズル1のノズル先端部4をプリフォームの口部55に適合、具体的には、口部55の内壁面に嵌合または開口端面(天面)に当接させる(ステップ302)。なお、ブローノズル1のノズル先端部4をプリフォーム50の口部55に適合させてから、ブロー割型100A及び100Bの型閉めを行ってもよい。
【0062】
ここでステップ300、302を実行した際の状態が図7(A)に示されている。図7(A)の状態は、ブロー成形の準備が整った状態である。
【0063】
次に、プリフォームの縦軸延伸及び横軸延伸によるブロー成形が実行される(図9のステップ304)。図7(B)に示されるように、ステップ304では、延伸ロッド3が下降され、閉鎖部5による噴射口5の閉鎖が解除され、ポート6に液体及び気体を含む加圧流体が導入される。これによって、成形中のプリフォーム51は、主として延伸ロッド3により縦軸に延伸されると共に加圧流体により横軸に延伸される。
【0064】
一定の条件が満たされた後、延伸ロッド3の移動が停止され、ポート6への流体の導入が停止され、ブロー成形が完了する(図9のステップ306)。図7(C)に示されるように、成形面102により成形完了品52(中空容器)が最終的に成形される。
【0065】
なお、ブロー成形のために使用した成形完了品52内の残留液体は、成形完了品52をブロー成形ステーションから取り出しステーションまで搬送される間に排液される。この排液は、成形完了品を上下逆にすることによって、及び又は、成形完了品から残留液体を吸引することによって、実行される。
【0066】
ブロー成形完了後、延伸ロッド3をブローキャビティ型100の底部から離れるように移動させる(図9のステップ308)。ステップ308の状態が図8(A)に示されている。
【0067】
移動する延伸ロッド3が所定の位置まで至ると、閉鎖部10がノズルボディ2の噴射口5近傍の内周壁12を液密に閉鎖する(図9のステップ310)。このとき延伸ロッド3の移動は停止される。ステップ310の状態が図8(B)に示されている。
【0068】
閉鎖部10が噴射口5を閉鎖すると、第1の実施形態に係る残留液体除去装置1Aによりブローノズル1内に残留していた液体を除去する動作を行う(図9のステップ311)。詳細には、この液体除去動作は、図1の真空吸引弁V5を閉から開へと制御し、真空ポンプ74を作動させることによって行われる。これによって、ブローノズル1内に残留していた液体は、真空ポンプ74により作られた負圧によりポート6から供給路14を介して真空吸引回路76へと吸引される。このとき、減圧されたブローノズル1の内部にはエア供給口22、28、32から中空通路20、24、30を通って空気(圧縮エア)も同時に供給される。この空気の流れによりノズル内の残留液体が飛ばされて、当該液体は空気と共にポート6から残留液体除去装置1Aへと吸引される。また、流入した空気の圧力によりノズルボディ2が大気圧により押しつぶされることも回避できる。
【0069】
次に、噴射口5が閉鎖された状態で、ブローノズル1がブローキャビティ型100及び成形完了品52から引き離される(図9のステップ312)。ステップ312の状態が図8(C)に示されている。連結されていたブロー割型100A及び100Bは引き離され、図6(A)に示される状態となり次サイクルのプリフォームを受け入れる準備が整う。なお、ステップ311の真空吸引動作は、ステップ312まで継続されてもよく、或いは、ステップ12から開始されてもよい。
【0070】
成形完了品52は、ブローキャビティ型100から取り出され(ステップ314)、図4に示す取り出しステーション208へと搬送される(図9のステップ316)。取り出しステーション208では、成形完了品208が製品として取り出される。
【0071】
次に、次サイクルのプリフォームが準備され(図9のステップ318)、ステップ300へと戻り、上述した処理がサイクルで繰り返される。次サイクルのプリフォームの準備は、図4の射出ステーション202におけるプリフォームの射出、温調ステーション204におけるプリフォームの再加熱(温度調整)によって行われ、ステップ314、ステップ316と同時に行われてもよい。
【0072】
次に、図9のステップ304の詳細な動作を、図10のフローチャートを用いて説明する。
【0073】
図10に示されるように、図9のステップ304は、図7(A)の状態から、延伸ロッド3をブローキャビティ型100の底部に向かって移動(下降)させることから開始される(ステップ400)。
【0074】
延伸ロッド3の下降につれて、閉鎖されていた噴射口5は開放される(ステップ401)。さらに、図7(B)に示されるように、下降する延伸ロッド3はプリフォーム50の底部に到達し、プリフォーム50を縦軸に延伸させる(ステップ402)。
【0075】
次に、ノズルボディ2にポート6を介して流体を導入し(ステップ403)、噴射口5から流体を噴射し(ステップ404)、流体によりプリフォームを横軸延伸させる(ステップ408)。なお、噴射された流体は、プリフォームを横軸方向のみならず縦軸方向にも延伸させるが、縦軸延伸は主として延伸ロッド3により行われることになる。このように延伸したプリフォーム51は、ブローキャビティ型100の成形面102により成形される(ステップ404)。図7(B)に示されるように、延伸するプリフォーム51は、成形面102に至り、そこで、成形されることが理解されよう。
【0076】
ステップ402の縦軸延伸をステップ408の横軸延伸を先に行うのは、最終容器の底部の芯ズレ防止や、縦軸延伸を先にした方(予備延伸)が容器の肉厚分布が調整しやすいといった成形上の理由からである。しかし、縦軸延伸があまり行われない化粧品等を収容する肉厚容器や、医薬品等を収容する小型容器では縦軸延伸と横軸延伸を同時に行ってもよいし、或いは、横軸延伸を先に行うことも可能であると考えられる。
【0077】
図10のステップ403におけるブローノズル1内への流体の導入のため、図7に示す流体供給部13を用いた場合の動作は、次の通りである。すなわち、開閉弁V1、エア供給弁V2及び真空吸引弁V5が閉、エア抜き弁V4が開の状態で水供給弁V3を開け、貯留部64に所定量の液体を貯留する。次に、液体の貯留完了後に水供給弁V3とエア抜き弁V4を閉にする。エア供給弁V2を開にし、圧縮エアで液体を加圧する。貯留部64が所定圧になったら、開閉弁V1を開にし、液体と気体からなる混合物(加圧媒体)を、供給路14、ポート6を介してブローノズル1に導入し、プリフォーム50のブロー成形を実施する。
【0078】
ブロー成形完了後(図7(C)の状態)、エア供給弁V2を閉、エア抜き弁V4を開にして成形完了品52(容器)や流体供給部13の回路上の余分な気体を排気し、成形完了品52(容器)内を減圧する(別の排気弁をブローノズル近傍に設置してもよい)。減圧完了後、開閉弁V1を閉じる。延伸ロッド3を上昇させ、閉鎖部10により噴射口5を液密状態に閉鎖する(図9のステップ308,310、図8(A)、(B)の状態)。液密完了後、ブローノズル1を上昇させる(図8(C)の状態)。このとき、及び又は、その直前で、上述したように、真空吸引弁V5を開にし、真空ポンプ74によりノズルボディ内の残留液を除去する。残留液除去後、成形品を搬出し、吸引弁V5を閉にする。
【0079】
図7に示す流体供給部13を用いることにより、気体(圧縮エア)に付与される圧力によって液体(水)を押し出すため、プリフォーム50を気体及び液体の両方でブローすることができ、加圧媒体たる混合物の圧力を気体の圧力を基準として制御することができる。すなわち、液体に直接圧力をかけるための装置を用いることなくプリフォームをブロー成形することができ、システムを簡略化することが可能となる。さらには、加圧媒体としての特性は、非圧縮性流体(液体)の方が圧縮性流体(気体)よりも優れており、賦形性・成形性の向上が期待できる。また、このことにより、低圧の気体を用いてもプリフォームを所望の形状にブローすることができるため、圧縮エアを生成する機構、すなわちエア生成部70を簡素化することができ、既存のエア生成部を流用することが可能となる。
【0080】
以上説明したように、第1の実施形態に係る残留液体除去装置1Aによれば、成形ブロー終了後に噴射口5を閉鎖し、ブローノズル1内に残留した液体を真空吸引により除去するようにしたので、ブローノズル1内の残留液体がプリフォームに落下するおそれを減少させ、成形の不具合を未然に防止することができる。例えば、図6(A)の状態から図6(B)の状態を経て図7(A)の状態に至る間に、次のサイクルの温度調整されたプリフォームに残留液体が落下するおそれがなくなる。特に、図6(B)に示される型閉め動作において振動が発生するため残留液が落下しやすくなるが、本発明の実施形態によれば、この場合においても残留液のプリフォームへの落下を未然に確実に防止することができる。勿論、本実施形態では、図7(A)に示す成形直前の状態に至るまでも残留液のプリフォームへの落下を未然に防止することができることはいうまでもない。さらには、本実施形態によれば、図7(A)から図7(B)に至る間(図10のステップ400から401)、加圧流体が供給される前に、開放された噴射口5から、ブローノズル1内の残留液体が落下するおそれも極めて少なくすることが可能である。
【0081】
また、図4に示すブロー成形機200等で、残留液体が除去されたブローノズル1が使用された場合、ブロー成形機200の搬送部品や金型等にブローノズル1の残留液体が落下することもなくなり、当該部品等を介してプリフォームに液体が落下するおそれもなくなった。
【0082】
また、図2、3に示されるブローノズル1を用いた場合、プリフォーム延伸用の延伸ロッド3に閉鎖部10を設けるというきわめて簡単な構成により、延伸ロッド3の往復動作だけで、プリフォームの延伸と共に、噴射口5の開閉動作が可能となった。このため、本実施形態に係る残留液体除去装置1Aと図2、3に示されるブローノズル1とを併用することによって、上記した本実施形態の効果をさらに促進させることが可能となる。
【0083】
上記例では、残留液体除去装置1Aは、流体供給部13の内部に組み込まれて構成されていたが、この例に限らず、流体供給部13の外部に設けられてもよい。この場合、例えば、流体供給部13とブローノズル1との間で外部に延在する供給路14から真空吸引回路76が分岐し、真空ポンプ74へと接続される構成となってもよい。
【0084】
また、残留液体除去装置1Aが接続されるブローノズル1も、上記例に限定されるものではなく、例えば、延伸ロッドに閉鎖部10(大径部)が設けられていない態様のブローノズルも考えられる。この態様では、噴射口5の開閉手段として、延伸ロッド3をノズルボディ2内に完全に収容した後に噴射口5を液密に封止可能な板状部材(図示せず)が用いられ、この封止状態で、残留液体除去装置1Aによりノズル内の残留液体が吸引され、ブロー成形時には、当該板状部材が噴射口5から退避することによって噴射口5を開放する。この態様では、延伸ロッドの先端部までノズル内部に引き込んで噴射口を封止した状態で、図8(B)に示すブローノズルへの圧縮エアの供給及び真空吸引を行うことによって延伸ロッドの先端部を含めて付着した残留液体を除去することができる。
【0085】
また、延伸ロッドを有していないブローノズルにも、本発明の残留液体除去装置1Aを適用することが可能である。この場合、液体と気体との混合物若しくは液体でプリフォームの延伸を行うことになる。さらに、延伸ロッドの有無に係らず、噴射口5の開閉手段が設けられていないブローノズルにも残留液体除去装置1Aを適用することが可能である。すなわち、本発明の残留液体除去装置1Aは、如何なる形態のブローノズルであれ、内部に残留した液体を効率的に除去することが可能な手段を提供するものである。
【0086】
(第2の実施形態)
以下、図11を用いて本発明の第2の実施形態に係る残留液体除去機構を説明する。図11は、図4及び図5の搬送板を、プリフォーム及び成形完了品の列方向から見た場合の概略図である。
【0087】
図11(A)に示されるように、プリフォーム及び成形完了品を搬送する搬送板212は、プリフォーム及び成形完了品を把持するためのネック型220を有している。搬送板212は、分離及び連結可能な搬送割板212A、212Bを備え、ネック型220は、分離及び連結可能なネック割型220A、220Bを備えている。ネック割型220Aは搬送割板212Aに取り付けられ、ネック割型220Bは搬送割板212Bに取り付けられており、それぞれ一体となって図11(A)に示されるように閉じた状態から図11(B)に示されるように開いた状態へと、或いは、開いた状態から閉じた状態へと動作可能である。図11(A)に示される閉じた状態で成形完了品52の口部53をネック型220で保持可能であり、図11(B)に示される開いた状態では、成形完了品52は、重力により自由落下して直下に配置された図示しないコンテナ内に収容される。
【0088】
従来の搬送板の上面は、平坦な平面であったが、第2の実施形態では、搬送板212が、その上面に残留液体除去機構の一形態として、勾配部222A及び222Bを設けたことを特徴としている。また、第2の実施形態に係る残留液体除去機構は、勾配部222A、222Bから流れ落ちた液体を受け取るための排液部224A、224Bと、当該排液部で受け取られた液体を外部に排液するための排液管226A,226Bとを備えている。
【0089】
第2の実施形態に係る残留液体除去機構によれば、ブロー成形後に、搬送板212から引き上げられたブローノズルから残留液体が搬送板212の上面に零れ落ちたとき、零れ落ちた液体は勾配部222A及び222Bに沿って流れ、排液部224A、224Bへと落下し、そこから排液管226A,226Bを通って外部へ排出される。従って、搬送板212が射出ステーション、温調ステーション、ブロー成形ステーションへと順次搬送されても、搬送板212に上面に残っていた液体がプリフォームに落下するおそれを減少させることが可能となり、ブロー成形の不具合を未然に防止することができる。また、ブロー成形中に破裂した容器から飛散した液体が搬送板212の上面に付着した場合でも、上記と同様の効果を奏することができる。
【0090】
(第3の実施形態)
図12には、本発明の第3の実施形態に係る残留液体除去機構を備えた取り出しコア228が示されている。取り出しコアは、取り出しステーション208に配置されており、成形完了品である容器を正常な位置・姿勢で搬送板から離型させるために設けられたものである。
【0091】
図12に示されるように、取り出しコア228は、基部230と、軸部232と、先端部234と、を備えている。取り出しコア228の基部230には、第1のエア通路236,第2のエア通路238が基部230を斜めに貫通するように設けられ、さらに、基部230から軸部232を通って長さ方向に先端部234に至る第3のエア通路240が設けられ、先端部234には、該先端部234を横断して貫通する第4のエア通路242が設けられている。第3のエア通路240は、第4のエア通路242と交差しており、第3のエア通路240から第4のエア通路242は連通している。
【0092】
第1のエア通路236、第2のエア通路238及び第3のエア通路240は、図示しない圧縮エア源及びエア回路と接続可能である。第1~第4のエア通路236、238、240、242と圧縮エア源及びエア回路により、ブローエアー手段(残留液体除去機構の一形態)が構成される。
【0093】
次に、図13を参照しつつ、図14のフローチャートに沿って取り出しコア228の作用を説明する。
【0094】
成形完了品52を保持した搬送板212をブロー成形ステーション206から取り出しステーション208へと移動させる(ステップ500)。取り出しステーション208に移動した搬送板212には、搬送板212に取り付けられたネック型220で口部を保持された状態の成形完了品52が配置されている(搬送板212及びネック型220は、図13(A)に参照されるように閉じられている)。
【0095】
次に、取り出しステーション208に配備された取り出しコア228を下降開始する(ステップ502)。図13(A)に示されるように、下降する取り出しコア228は、搬送板212の開口部213、ネック型220の開口部221を通って成形完了品の口部53のネック付近の内部まで挿入され、配置される(ステップ504)。この配置された状態では、成形完了品52のネック内壁面と取り出しコア228の先端部234の外周面とは一定のクリアランスを維持している。
【0096】
次に、搬送割板212A、B及びネック割型220A、Bを分離する(ステップ506)。図13(B)に示されるように、分離された搬送割板212A、B及びネック割型220A、Bから成形完了品52が重力により自由落下する(ステップ508)。この離型時に、取り出しコア228によって、成形完了品52が斜めになったり片方の搬送部材に引っ張られたりすることを防止し、成形完了品52を適切に落下させて正常な位置・姿勢で取り出すことが可能となる。
【0097】
次に、取り出しコア228の第1のエア通路236,第2のエア通路238及び第3のエア通路240内に、図示しない圧縮エア源から圧縮エアを供給し、圧縮エアを分離した搬送割板212A、212B、並びに、分離したネック割型220A、220Bへと吹き付ける(ステップ510)。図13(B)で参照されるように、第1のエア通路236,第2のエア通路238から吹き付けられた圧縮エアは搬送割板212A、212Bの上面に残留した液体を除去し、第3のエア通路240から第4のエア通路242を介して吹き付けられた圧縮エアは、ネック割型220A、220Bの内壁面に付着した残留液体を除去する。
【0098】
次に搬送割板212A、212B、並びに、ネック割型220A、220Bを閉め(ステップ512)、搬送板212を取り出しステーションから、射出ステーション、温調ステーション、ブロー成形ステーションへと順次移動させ(ステップ514)、ステップ500に戻り同様の処理を繰り返す。
【0099】
従って、第3の実施形態によれば、搬送板212及びネック型220が射出ステーション、温調ステーション、ブロー成形ステーションへと順次搬送されても、搬送板212やネック型220、取り出しコア228などに付着或いは残留していた液体がプリフォームに落下するおそれを減少させることが可能となり、ブロー成形の不具合を未然に防止することができる。また、ブロー成形中に破裂した容器から飛散した液体が搬送板212やネック型220、取り出しコア228などに付着した場合でも、上記と同様の効果を奏することができる。
【0100】
(第4の実施形態)
図15には、本発明の第4の実施形態に係る残留液体除去機構を備えた取り出しポット250が示されている。取り出しポット250は、取り出しステーション208に配置されており、成形完了品である容器を把持し、整列状態の容器を次工程に延びるコンベア等に搬送するための付属装置である。
【0101】
図15に示されるように、取り出しポット250は、その底部の中央部を貫通する真空吸引用通路252と、当該底部から側面内壁まで貫通する、第1及び第2のエア通路254、256と、を備えている。
【0102】
真空吸引用通路252は、図示しない真空吸引回路を介して図示しない真空ポンプと接続可能であり、第1のエア通路254、第2のエア通路256は、図示しない圧縮エア源及びエア回路と接続可能である。第1のエア通路254、第2のエア通路256と圧縮エア源及びエア回路により、ブローエアー手段(残留液体除去機構の一形態)が構成される。
【0103】
次に、図16を参照しつつ、図17のフローチャートに沿って取り出しポット250の作用を説明する。
【0104】
成形完了品52を保持した搬送板212をブロー成形ステーション206から取り出しステーション208へと移動させる(ステップ550)。取り出しステーション208に移動した搬送板212には、搬送板212に取り付けられたネック型220で口部を保持された状態の成形完了品52が配置されている(搬送板212及びネック型220は、図16(A)に参照されるように閉じられている)。
【0105】
次に、取り出しステーション208に配備された取り出しポット250を図16(A)に示されるように成形完了品52の下方に配置する(ステップ552)。
【0106】
次に、取り出しステーション208に配備された取り出しコア228を下降し、成形完了品52の内部へと挿入し配置する(ステップ554、図13(A)参照)。
【0107】
次に、搬送割板212A、B及びネック割型220A、Bを分離する(ステップ556)。
【0108】
図16(B)に示されるように、分離された搬送割板212A、B及びネック割型220から成形完了品52が解放されて取り出しポット250内へと収容される(ステップ558)。取り出しポット250は成形完了品52を収容した状態で、所定の取り出し箇所(次工程に延びるコンベア等)へと移動され、取り出しポット250を上下反転させる等することによって成形完了品が取り出される(ステップ560)。
【0109】
次に搬送割板212A、212B、並びに、ネック割型220A、220Bを閉め(ステップ562)、成形完了品が取り出された取り出しポット250は、元の搬送板212及びネック型の下方まで移動される(ステップ564)。
【0110】
図16(C)に示されるように、取り出しポット250の第1のエア通路254及び第2のエア通路256から圧縮空気を吹き付けると共に、真空吸引用通路252から真空吸引する(ステップ568)。ネック型220の外壁に付着していた液体は、圧縮空気により吹き飛ばされ、当該液体は、真空吸引されて外部へと排出される。
【0111】
次に、搬送板212を取り出しステーションから、射出ステーション、温調ステーション、ブロー成形ステーションへと順次移動させ(ステップ570)、ステップ550に戻り同様の処理を繰り返す。
【0112】
従って、第4の実施形態によれば、搬送板212及びネック型220が射出ステーション、温調ステーション、ブロー成形ステーションへと順次搬送されても、ネック型220の外壁に付着或いは残留していた液体がプリフォームに落下するおそれを減少させることが可能となり、ブロー成形の不具合を未然に防止することができる。また、ブロー成形中に破裂した容器から飛散した液体がネック型220の外壁に付着した場合でも、上記と同様の効果を奏することができる。
【0113】
また、第4の実施形態と共に、第3の実施形態に係る取り出しコアによる残留液体の除去を実行することによって、搬送板及びネック型の残留液体をより効果的に除去することが可能となる。
【0114】
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、図4及び図5に示される、プリフォームや成形完了品の搬送部品(例えば搬送板212、ネック型220)や成形部品等(例えば、ブローキャビティ型100)に撥水機能を有するコーティングを施したものである。第5の実施形態によれば、撥水機能を有するコーティングにより部品に残留液体が付着しづらくなるため、残留液体によるプロフォームの成形の不具合を軽減することが可能となる。特に第5の実施形態を第1から第4の実施形態、並びに、後述する第6から第11の実施形態と併用することによって、さらなる残留液体の除去効果を奏することができる。
【0115】
(第6の実施形態)
図18には、第6の実施形態に係るブロー成形用金型1’が示されている。
【0116】
ブロー成形用金型1’は、図1に示された第1の実施形態に係るブローノズル1とほぼ同様の構成要件を備えているため、対応する構成要件の参照番号については、ブローノズル1と同じ参照番号に’を付したものを使用して詳細な説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0117】
第1の実施形態に係るブローノズル1の延伸ロッド3(図1)が閉鎖部10を有していたのに対して、本実施形態に係る延伸ロッド3’は、閉鎖部が形成されていない直線状のロッドボディを備えている。これによって、ロッドボディとノズル流体通路7’の一区間を画定するブローノズル2’の内周壁7’との間には流体が通過可能な隙間8’が形成されている。
【0118】
延伸ロッド3’は、該延伸ロッドの先端部分(プリフォームを延伸させる側の端部)に形成された第1のロッド開口部9’と、該延伸ロッドの基端部分に形成された第2のロッド開口部10’と、第1のロッド開口部9’と第2のロッド開口部10’とを連通するように延伸ロッド内に形成されたロッド流体通路12’と、を備えている。すなわち、ロッド流体通路12’は第1の開口部9’から第2の開口部10’まで貫通している。
【0119】
ノズルポート6’には、ブロー成形用の加圧流体(液体とエアとの混合物、或いは、圧縮エア)をブローノズル2’に供給する給液/ブロー回路13が供給路14を介して接続される。従って、加圧流体が給液/ブロー回路13から供給路14を介してノズルポート6’に供給されると、供給された流体は、ノズル流体通路7’の隙間8’を通過してノズル開口部5’から外部へと噴射される。
【0120】
さらに、延伸ロッド3’の第2の開口部10’には、液体を真空吸引して排液可能に構成された排液回路15が接続されている。
【0121】
図20には、図18に示されたブロー成形用金型1’を用いて、ブローキャビティ型100にセッティングされたプリフォームをブロー成形するためのブロー成形装置80の全体が示されている。ブロー成形装置80は、図示しない駆動手段により上下に昇降可能に構成されたブローノズル2’と、ブロー成形されるプリフォームがセッティングされるブローキャビティ型100と、給液/ブロー回路13と、加圧流体をブローノズル2’に供給するため、ブローノズルのノズルポート6’に接続された供給路14と、延伸ロッド3’に接続された排液回路15と、を備えている。排液回路15は、真空ポンプ75と、該真空ポンプ75と延伸ロッド3の第2の開口部10との間に設けられた開閉弁V5と、を備えている。図20に示される給液/ブロー回路13は、図1を参照して説明された第1の実施形態に係る給液/ブロー回路13から残留液体除去装置1Aを省略したものであるので、同様の参照番号を付して詳細な説明を省略する。
【0122】
次に、本実施形態に係るブロー成形用金型1’を用いたプリフォームのブロー成形の流れを図21から図23を参照しつつ、図24のフローチャートに従って説明する。なお、図21から図23では、図5に示される上述したネック型220が省略されている。
【0123】
図24に示されるように、先ず、温度調整されたプリフォーム50をブロー成形ステーション(図4の206)に搬入する(ステップ330)。図21(A)に示されるように、プリフォーム50は、互いに間隔を開けて配置されたブロー割型100A及び100Bの間に配置される。このときブロー成形用金型1’は、プリフォーム50の上方に配置される。
【0124】
次に、ブロー割型100A及び100Bの型閉めが行われる(ステップ331)。これによりプリフォーム50のブローキャビティ型100へのセッティングが完了される。図21(B)に示されるように、型閉めされたブロー割型は一体となってブローキャビティ型100を形成し、該ブローキャビティ型100の上部開口部101にプリフォーム50の口部55が装着される。ブローキャビティ型100の内側面は、成形面102を形成している。
【0125】
次に、ブロー成形用金型1’を下降させ、ブローノズル2’のノズル先端部4’をプリフォームの口部55に適合、具体的には、口部55の内壁面に嵌合させる(ステップ332)。なお、ブローノズル2’のノズル先端部4’をプリフォーム50の口部55に適合させてから、ブロー割型100A及び100Bの型閉めを行ってもよい。
【0126】
ここでステップ330、332を実行した際の状態が図22(A)に示されている。図22(A)の状態は、ブロー成形の準備が整った状態である。
【0127】
次に、プリフォームの縦軸延伸及び横軸延伸によるブロー成形が実行される(図24のステップ334)。図22(B)に示されるように、ステップ334では、延伸ロッド3’が下降されると共に給液/ブロー回路13からノズルポート6’に液体及び気体を含む加圧流体が導入され、ノズル開口部5’から加圧流体が噴射される。これによって、成形中のプリフォーム51は、主として延伸ロッド3’により縦軸に延伸されると共に加圧流体により横軸に延伸される。
【0128】
一定の条件が満たされた後、延伸ロッド3’の移動が停止され、ノズルポート6’への流体の導入が停止され、ブロー成形が完了する(図24のステップ336)。図22(C)に示されるように、成形面102により成形完了品52(中空容器)が最終的に成形される。このとき、成形完了品52内には、ブロー成形のために噴射された液体56が残留している。
【0129】
次に、給液/ブロー回路13から圧縮エアをブローノズル2’のポート6’に供給すると共に、排液回路15を用いて延伸ロッド3’の第2の開口部10’から真空吸引する(ステップ338)。これによって、圧縮エアがノズル開口部5’から噴射して、残留液体56を第1の開口部9’へと押し流すと共に、該残留液体56は、空気(圧縮エア)と共にロッド流体通路12’を通って第2の開口部10’から吸引される。この圧縮エアにより、ブローノズル2’内の残留液体も吹き飛ばされ、容器内の残留液体56、空気と共に、真空吸引により吸引される。また、真空吸引時のブローノズル2’及びブローキャビティ型100内部の減圧は、圧縮エアの圧力により緩和され、大気圧によりブローノズル2’及びブローキャビティ型100がつぶされることが回避される。ステップ338の状態が図23(A)に示されている。なお、上記ではポート6’から圧縮エアを供給しているが、圧縮エアを専用に供給する回路をブローノズル2’に別途設ける構成にしても構わない。
【0130】
このようにしてブローノズル2及びブローキャビティ型100内部の残留液体の排液が完了する(ステップ340)。排液完了後、延伸ロッド3をブローキャビティ型100の底部から離れるように移動させる(図24のステップ341)。ステップ341の状態が図23(B)に示されている。移動する延伸ロッド3’が所定の位置まで至ると、延伸ロッド3の移動は停止される。
【0131】
次に、ブロー成形用金型1がブローキャビティ型100及び成形完了品52から引き離される(図24のステップ342)。ステップ312の状態が図23(C)に示されている。連結されていたブロー割型100A及び100Bは引き離され、図21(A)に示される状態となり次サイクルのプリフォームを受け入れる準備が整う。
【0132】
成形完了品52は、ブローキャビティ型100から取り出され(ステップ344)、図4に示す取り出しステーション208へと搬送される(図24のステップ346)。取り出しステーション208では、成形完了品208が製品として取り出される。
【0133】
次に、次サイクルのプリフォームが準備され(図24のステップ348)、ステップ330へと戻り、上述した処理がサイクルで繰り返される。次サイクルのプリフォームの準備は、図4の射出ステーション202におけるプリフォームの射出、温調ステーション204におけるプリフォームの再加熱(温度調整)によって行われ、ステップ344、ステップ346と同時に行われてもよい。
【0134】
図24のステップ334の詳細な動作は、上述した第1の実施形態に関する図10のフローチャートと同様である。
【0135】
すなわち、図10に示されるように、図24のステップ334は、図22(A)の状態から、延伸ロッド3’をブローキャビティ型100の底部に向かって移動(下降)させることから開始される(ステップ400)。図22(B)に示されるように、下降する延伸ロッド3’はプリフォーム50を縦軸に延伸させる(ステップ402)。
【0136】
次に、ブローノズル2’にノズルポート6’を介して流体を導入し(ステップ403)、ノズル開口部5’から流体を噴射し(ステップ404)、流体によりプリフォームを横軸延伸させる(ステップ408)。なお、噴射された流体は、プリフォームを横軸方向のみならず縦軸方向にも延伸させるが、縦軸延伸は主として延伸ロッド3’により行われることになる。このように延伸したプリフォーム51は、ブローキャビティ型100の成形面102により成形される(ステップ404)。図22(B)に示されるように、延伸するプリフォーム51は、成形面102に至り、そこで、成形されることが理解されよう。
【0137】
ステップ402の縦軸延伸をステップ408の横軸延伸より先に行うのは、最終容器の底部の芯ズレ防止や、縦軸延伸を先にした方(予備延伸)が容器の肉厚分布が調整しやすいといった成形上の理由からである。しかし、縦軸延伸があまり行われない化粧品等を収容する肉厚容器や、医薬品等を収容する小型容器では縦軸延伸と横軸延伸を同時に行ってもよいし、或いは、横軸延伸を先に行うことも可能であると考えられる。
【0138】
図10のステップ403におけるブローノズル2’内への流体の導入のため、図20に示す給液/ブロー回路13を用いた場合の動作は、次の通りである。すなわち、開閉弁V1、エア供給弁V2及び真空吸引弁V5が閉、エア抜き弁V4が開の状態で水供給弁V3を開け、貯留部64に所定量の液体を貯留する。次に、液体の貯留完了後に水供給弁V3とエア抜き弁V4を閉にする。エア供給弁V2を開にし、圧縮エアで液体を加圧する。貯留部64が所定圧になったら、開閉弁V1を開にし、液体と気体からなる混合物(加圧媒体)を、供給路14、ノズルポート6’を介してブローノズル2’に導入し、プリフォーム50のブロー成形を実施する。
【0139】
ステップ338(図23(A))のブローノズル2への圧縮エアの供給時には、開閉弁V1、エア供給弁V2を開にし、水供給弁V3とエア抜き弁V4を閉にした状態で、エア生成部70により圧縮エアを生成する。このとき生成された圧縮エアは、68、V2、64、V1、14を通ってブローノズル2へと供給される。また、ステップ338(図23(A))のブローノズル2’の真空吸引時には、排液回路15の開閉弁V1を開にし、真空ポンプ75により真空吸引する。なお、成形ブロー中には、開閉弁V1は、閉にされ、これによって、加圧流体が第1の開口部9’から入ったとしても排液回路15で遮断され、液体が外部へとも漏れるおそれは無くなる。
【0140】
排液完了後(図23(B)の状態)、エア供給弁V2を閉、エア抜き弁V4を開にして成形完了品52(容器)や給液/ブロー回路13の回路上の余分な気体を排気し、成形完了品52(容器)内を減圧する(別の排気弁をブローノズル近傍に設置してもよい)。減圧完了後、開閉弁V1を閉じる。
【0141】
以上説明したように、第6の実施形態に係るブロー成形用金型によれば、成形完了品(容器)内の残留液体を、圧縮エアをブローノズル2’のノズル開口部5’から噴射すると共に延伸ロッド3’の先端部から真空吸引するようにしたので、ブロー成形用の液体を容器にそのまま充填しない形式のブロー成形装置において、きわめて効率的に残留液体を排液することが可能となった。
【0142】
その上、第6の実施形態によれば、ブローノズル2’内の残留液体も同時に排液可能となった。このため、容器内及びブローノズル2’内の残留液体がプリフォームに落下するおそれを減少させ、成形の不具合も未然に防止することができる。例えば、図21(A)の状態から図21(B)の状態を経て図22(A)の状態に至る間に、ブローノズル2’内の残留液体が、次のサイクルの温度調整されたプリフォームに落下するおそれがなくなる。特に、図21(B)に示される型閉め動作において振動が発生するため残留液が落下しやすくなるが、本発明の実施形態によれば、この場合においても残留液のプリフォームへの落下を未然に確実に防止することができる。勿論、本実施形態では、図22(A)に示す成形直前の状態に至るまでも残留液のプリフォームへの落下を未然に防止することができることはいうまでもない。さらには、本実施形態によれば、図22(A)から図22(B)に至る間(図10のステップ400から401)、加圧流体が供給される前に、開放されたノズル開口部5’から、ブローノズル2’内の残留液体が落下するおそれも極めて少なくすることが可能である。なお、ブローノズル2’の残留液体除去をより確実にするため、別途、残留液体除去用の機構をブローノズル2’に連設させてもよい。
【0143】
また、図4に示すブロー成形機200等で、残留液体が除去された、成形完了品52やブローノズル2が使用された場合、ブロー成形機200の搬送部品や金型等に成形完了品52やブローノズル2’の残留液体が落下することもなくなり、当該部品等を介してプリフォームに液体が落下するおそれもなくなった。
【0144】
なお、図24のブローチャートは、回転搬送型の1ステップ式(ホットパリソン式)のブロー成形機200を用いた場合の一例であり、1.5ステップ式(クールパリソン式)や2ステップ式(コールドパリソン式)のブロー成形機やリニア搬送型を用いた場合に応じて、本発明による排液工程を含む処理の流れを任意好適に変更可能である。
また、図20の回路構成も一例であり、本発明を当該例に限定するものではない。
【0145】
(第7の実施形態)
第6の実施形態におけるブロー成形用金型1’は、ブローキャビティ型100の上方に配置され、下降時にブローキャビティ型100へと挿入される使用方法において好適な例であった。しかし、例えば1.5ステップ式(クールパリソン式)等のブロー成形機の中には、ブローキャビティ型が第6の実施形態のものとは上下逆に配置されており、ブロー成形用金型がブローキャビティ型の下方に配置され、上昇時にブローキャビティ型へと挿入される使用方法が採用されているものがある。第7の実施形態に係るブロー成形用金型1bは、かかるブロー成形に対応するものである。
【0146】
以下、本発明の第7の実施形態に係るブロー成形用金型を説明する。
図19には、本発明の第7の実施形態に係るブロー成形用金型1b’が示されている。第7の実施形態に係るブロー成形用金型1b’は、第6の実施形態のブロー成形用金型1’と基本的な構成は同様であるので、同様の構成要件には同一の参照番号を付して詳細な説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
【0147】
図19に示されるように、第7の実施形態に係るブロー成形用金型1b’のブローノズル2’のポート6’には、給液/ブロー/排液回路16が接続されている。給液/ブロー/排液回路16は、第6の実施形態で用いられた給液/ブロー回路13と、容器内に残留した液体を真空吸引して排液するための排液回路17と、を備えている。また、ブロー成形用金型1b’の延伸ロッド3’の第2の開口部10’には、圧縮エアを容器内に噴射するためエアブロー回路18が接続されている。
【0148】
すなわち、第7の実施形態のブロー成形用金型1b’では、ノズルポート6’を介して、液体と気体との混合物をブローノズル内に導入するだけでなく容器内の残留液体を吸引する。また、排液中の圧縮エアの吹き付けは、延伸ロッド3’を通して行う。なお、給液/ブロー回路13における混合物のブローノズル内への導入と、排液回路17における残留液体の排液とは、開閉バルブV1及びV6による開閉動作の切換によって行う。
【0149】
図25には、給液/ブロー/排液回路16と、エアブロー回路18との内部構成例が示されている。
【0150】
図25に示されるように、給液/ブロー/排液回路16のうち給液/ブロー回路13に相当する部分は、第6の実施形態と同様の構成であるので、詳細な説明を省略する。上記した開閉バルブV6は、供給路14から分岐した管に設けられており、開閉バルブV6の下流側には、真空吸引回路76及び真空ポンプ74が設けられ、これらが排液回路17を構成している。
【0151】
また、エアブロー回路18は、高圧気体源67と、該高圧気体源67からブロー成形用金型1bの延伸ロッドへの圧縮エアの供給を制御するエア供給弁V7と、該エア供給弁V7と延伸ロッド3の第2の開口部10との間に設けられた逆止弁77と、を備えている。逆止弁77は、成形ブロー中に第1の開口部9から液体がロッド流体経路に入り込んだとしても、当該液体がエアブロー回路18内部へと進入することを防止する。
【0152】
図25に示されるように、ブロー成形用金型1b’は、ブローキャビティ型110の下方に配置され、図示しない駆動手段により上下動する。ブロー成形用金型1b’は、上昇時にブローキャビティ型110へと挿入され、下降時にブローキャビティ型110から離型する。
【0153】
第7の実施形態に係るブロー成形用金型1b’は、例えば図27に示されるブロー成形機201で使用される。図27のブロー成形機はプリフォームを間欠的に回転搬送する1.5ステップ式のブロー成形機であり、主要7工程を備える。この7工程とは、プリフォーム射出成形・一次冷却工程、二次冷却工程、プリフォーム温度平衡/安定化・ピッチ調節工程、再加熱工程、プリフォーム温度平衡/安定化・特殊処理工程、ストレッチブロー成形工程、並びに、取り出し工程である。ブロー成形機201には、プリフォーム50の射出成形型211と搬送板213を有する射出成形・冷却・ピッチ調節ステーション203、赤外線加熱手段215を有する再加熱ステーション205、ブローキャビティ型110を有するブロー成形ステーション206及び取り出しステーション208が設けられている。
【0154】
第7の実施形態に係るブロー成形用金型1b’は、第6の実施形態と同様に、ブロー成形用金型とブローキャビティ型との位置関係が上下逆という点を除いて、図21から図24の流れに従って動作することができる。図24のステップ338が実行されたときの図23(A)に相当する図が、図26に示されている。
【0155】
図26に示されるように、成形完了品52内には残留液体56が残留している。ここで、エアブロー回路18(図19)から延伸ロッド3’の第2の開口部10’に圧縮エアを導入すると共に、開閉弁V1を閉じ開閉弁V6を開放して排液回路17(図19図25)を用いてノズルポート6’から真空吸引する。これによって、圧縮エアが第1の開口部9’から噴射して、残留液体56をノズル開口部5’へと押し流すと共に、該残留液体56は、空気(圧縮エア)と共にノズル流体通路7’を通ってノズルポート6’から吸引される。残留液体56の排液後も、一定時間、圧縮エアの供給及び真空吸引を続けることによって、ブローノズル内の残留液体も吹き飛ばされ、真空吸引により吸引される。また、真空吸引時のブローノズル2’及びブローキャビティ型110内部の減圧は、圧縮エアの圧力により緩和され、大気圧によりブローノズル2’及びブローキャビティ型110がつぶされることが回避される。
【0156】
以上の通り、第7の実施形態によれば、ブロー成形用金型1b’をブローキャビティ型の下方に配置するブロー成形においても、きわめて効率的に残留液体を排液することが可能となる。
【0157】
(第8の実施形態)
図29及び図30には、少なくとも液体を含む流体によりプリフォームをブロー成形するために使用される本発明の第8の実施形態に係るブローキャビティ型を構成する2つの割型(1a、1b)が示されている。また、図31及び図32には、2つの割型1a、1bを連結してなる第8の実施形態に係るブローキャビティ型1”が示されている。
【0158】
なお、図29から図32において、一方の割型に関する構成要件には参照番号にaを付与し、他方の割型の対応する構成要件には、同じ参照番号にbを付与している。また、2つの割型で共有する構成要件、並びに、2つの割型で対応する構成要件同士が連結されてブローキャビティ型の1つの構成要件になるものについては、a、bいずれも付与されていない、連結された構成要件と同じ参照番号に”を付与したものを使用する。2つの割型1a、1bは、対称的に構成されており、同様の構成要件を各々備えている。第8の実施形態に係るブローキャビティ型1”は、ブロー成形時に、口部21(21a、21b)と反対側に位置する底面23が下になるように配置される。
【0159】
図29及び図30に示されるように、一方の割型1aは、2つの連結面18a、19a(パーティング面)を有し、該2つの連結面(18a、19a)の間でブローキャビティ型1”の成形面の一部を画定する部分成形面20aをさらに有している。他方の割型1bは、連結面18b、19bを有し、該2つの連結面(18b、19b)の間でブローキャビティ型1”の成形面の別の一部を画定する部分成形面20bをさらに有している。
【0160】
割型1a(1b)の一方の連結面18a(18b)には、ブローキャビティ型1”の成形面20a(20b)で開口する横溝2a(2b)、3a(3b)、4a(4b)、5a(5b)が形成され、割型1a(1b)の他方の連結面18a(18b)には、ブローキャビティ型1の成形面20a(20b)で開口する横溝6a(6b)、7a(7b)、8a(8b)、9a(9b)が形成されている。好ましくは、横溝2a~9a(2b~9b)は、ブローキャビティ型1”がブロー成形用に配置されたとき、実質的に水平方向に延在する。なお、図29図30の例では、1つの連結面で横溝の数が4個であるが、本発明は、この例に限定されず、4個よりも少なくても或いは多くてもよいことは勿論である。
【0161】
また、割型1a(1b)の一方の連結面18a(18b)には、横溝2a(2b)、3a(3b)、4a(4b)、5a(5b)に接続されて、第8の実施形態ではブロー成形時にブローキャビティ型1”の下面となる底面23で開口部14a(14b)を形成する縦溝10a(10b)が形成されている。同様に、他方の連結面19a(19b)には、横溝6a(6b)、7a(7b)、8a(8b)、9a(9b)に接続されて、底面23で開口部15a(15b)を形成する縦溝11a(11b)が形成されている。好ましくは、横溝10a(10b)、11a(11b)は、ブローキャビティ型1”がブロー成形用に配置されたとき、実質的に鉛直方向に延在する。開口部(14a、14b)及び開口部(15a、15b)の各々の下方には、該開口部から流れ落ちた液体を受け止めて排液するための排液部36、37が設けられている。排液部36、37は、例えば、流れ落ちた液体を受け止めるリザーバと該リザーバに溜まった液体を外部へと逃がすための排液通路と、を用いて構成することができる。
【0162】
さらに、割型1a(1b)の一方の連結面18a(18b)には、縦溝10a(10b)よりも径方向外側に、少なくとも該縦溝10a(10b)の長さ(図29図30の例では、割型の高さ全体)に亘って延在するシール用溝12a(12b)が形成されている。同様に、割型1a(1b)の他方の連結面19a(19b)には、縦溝11a(11b)よりも径方向外側に、少なくとも該縦溝11a(11b)の長さ(図29図30の例では、割型の高さ全体)に亘って延在するシール用溝13a(13b)が形成されている。シール用溝12a、12bの間には、シール部材26が配置され、シール用溝13a、13bの間には、シール部材27が配置される。
【0163】
さらにまた、割型1a(1b)には、ブローキャビティ型1”の口部21a(21b)、底型24が嵌合される底孔22a(22b)が形成されている。底型24は、容器底の成形面25を有する。
【0164】
図31及び図32には、ブローキャビティ型1”が型閉じした際、すなわち、割型1aの連結面(18a、19a)と割型1bの連結面(18b、19b)とが当接した際の状態が示されている。なお、図31図32では、外部から見えない部分を破線、一点鎖線にて示している。
【0165】
図31及び図32に示されるように、割型1a、1bが連結される際、横溝(2a~9a)と横溝(2b~9b)とが各々整列して横通路2”~9”を形成すると共に、縦溝(10a、11a)と縦溝(10b、11b)とが各々整列して縦通路10”、11”を形成する。これによって、ブローキャビティ型1”には、成形面20の開口から横通路2”~9”及び縦通路10”、11”を通って底部23の開口部14”、15”まで延在する中空通路が形成される。当該中空通路は、ブローキャビティ型1”に残存するエアの排気路(エアベント)や、成形完了品がブロー成形時に破裂した場合の加圧媒体のエスケープ用通路として利用される。
【0166】
また、シール用溝(12a、13a)とシール用溝(12b、13b)とが各々整列して、シール用通路を形成し、当該通路内にシール部材26、27が各々配置される。これにより、加圧媒体として液体や気液混合体を用いてプリフォームをブロー成形したときに破裂しても、ブローキャビティ型1”の外部(周辺や装置内部)へ不規則に液体が散乱することを好適に防止させることができる。
【0167】
図35には、第8の実施形態に係るブローキャビティ型1”を用いてプリフォーム50をブロー成形するためのブロー成形装置100の一構成例が示されている。
【0168】
図35に示されるように、機台120上に設置されたブロー成形装置100において、割型1a、1bは、固定板105を介して型締板106に固定されており、該型締板106は駆動ロッド102を介して油圧アクチュエータ101に連結されている。この油圧アクチュエータ101の駆動によって割型1a、1bは、水平面内(矢印Y方向)に移動することができ、これによって、ブローキャビティ型1”の型閉じ及び型開きが可能となる。
【0169】
また、固定板105、型締板106の下方に固定されたブロックには、Y方向と直交するX方向に回転軸を有するローラ110が付設されている。ローラ110は、ブローキャビティ型1を型閉めするとき、機台120に固着された案内ブロック104の底面上を転動することができ、これによって、ブローキャビティ型1”の開閉移動を開閉移動以外の方向で規制し、割型1a、1bのパーティングラインに沿ったせり上がりを防止することができる。
【0170】
割型1a、1bの下方には、底型24が配置されており、該底型24は、底型を昇降させるための図示しない昇降機構に連結された底型固定板103に固定されている。また、上述した排液部36、37は例えば機台120上に配置することができるが、底型固定板103に貫通孔(図示せず)等を設け、該貫通孔に上述した排液部36、37を接続するようにしてもよい。
【0171】
割型1a、1bの上方には、回転盤107が配置され、該回転版107にリップ型108(ネック型)が設けられ、該リップ型にプリフォーム50が保持されている。リップ型108には、少なくとも液体を含む加圧媒体を噴射するブローノズル30を挿入することができる。リップ型108を挟んでブローキャビティ型1”の割型1a、1bが型閉めされ、底型24が上昇した状態でプリフォーム50をブロー成形するためのブローキャビティが形成される。ブローノズル30から加圧媒体を噴射することによって、ブローキャビティ内に配置されたプリフォーム50をブロー成形することができる。
【0172】
次に、第8の実施形態に係るブローキャビティ型1”の作用を図33を用いて説明する。
図33に示されるように、(A)ブロー成形前において、プリフォーム50をブローキャビティ型1の口部21にセッティングし、ブローノズル30の先端部31をプリフォーム50に適合させる。
【0173】
(B)ブロー成形中には、ブローノズル30のノズル開口部32から、液体若しくは液体と気体(圧縮エア)との混合物のいずれかである加圧媒体60を噴射し、プリフォームを延伸させる。このとき、ブローノズル30が延伸ロッド(図示せず)を有する場合には、加圧媒体による主として横軸延伸に加えて、延伸ロッドによる縦軸延伸も行う。加圧媒体60によりプリフォーム50の体積が増大しても、ブローキャビティ型1”のキャビティ内の空気は水平に配置された横通路(2”~9”)から鉛直に配置された縦通路(10”、11”)を通って開口部(14”,15”)から逃げることができるため、プリフォーム50の延伸が首尾よく実行される。
【0174】
(C)ブロー成形が完了すると、延伸したプリフォームは成形面(図29の20、21、25)により成形されており、容器52が完成する。このとき、ブロー成形のため噴射した液体62が容器52内に充填されているが、当該液体が容器52の内容物である場合には、後工程で、容器52に栓を付けて製品として取り出される。当該液体が単なるブロー成形用の液体(例えば水)であった場合には、後工程で残留液体62は排液され、容器52のみが取り出される。
【0175】
しかし、何らかの要因(例えば、加熱されたプリフォーム50に残留液体が付着する等)により、(D)プリフォーム50が破裂した場合、ブローノズル50は、例えば、図示しないセンサ等により破裂を検知した時点で加圧媒体の噴射を停止する。破裂したプリフォーム55から飛散した液体63は、水平に配置された横通路(2”~9”)へと各々流入し、鉛直方向に延びる縦通路(10”、11”)へと合流し垂直落下して開口部(14”,15”)から流出する。流出した液体64は、排液部36、37により受け止められ、排液される。排液された液体は再びブロー成形用の液体として回収されてもよい。
【0176】
以上のように、第8の実施形態に係るブローキャビティ型1”によれば、従来技術のエア抜きとしても機能するエア入口に、プリフォームの破裂により飛散した液体62が流入したとしても、図40に示される従来技術のようにブローキャビティ型1”の側面周囲に漏れることなく、中空通路内で集められてエア出口から下方へと落下し、排液/回収される。しかも、割型1a、1bの連結面において縦通路より径方向外側にシール部材26、27が設けられているため、周囲への液体の漏れを大幅に軽減することができる。
【0177】
(第9の実施形態)
第8の実施形態では、図29に示されるブローキャビティ型1”は、ブロー成形時に、口部21と反対側に位置する底面23が下になるように配置された。しかし、ブローキャビティ型の中には、ブロー成形時に、図29とは上下逆に配置されるものも存在している。このようなブローキャビティ型においても本発明を適用することができる。かかる形態を第9の実施形態として以下に説明する。
【0178】
図34には、本発明の第9の実施形態に係るブローキャビティ型の割型1c(1d)が示されている。
【0179】
図34において、第8の実施形態に対応する構成要件には同じ参照番号が使用されており、一方の割型に関する構成要件には参照番号にcを付与し、他方の割型の対応する構成要件には、同じ参照番号にdを付与している。また、2つの割型で共有する構成要件、並びに、2つの割型で対応する構成要件同士が連結されてブローキャビティ型の1つの構成要件になるものについては、c、dいずれも付与されていない、連結された構成要件と同じ参照番号かまたは該参照番号に”を付したものを使用する。第8の実施形態と同様に、2つの割型1c、1dは、対称的に構成されており、同様の構成要件を各々備えている。
【0180】
第9の実施形態に係るブローキャビティ型は、ブロー成形時に、口部21(21a、21b)が形成された側の面28が下面になるように配置される。それ以外の構成については第8の実施形態と同様である。
【0181】
第9の実施形態においても、第8の実施形態と同様に、破裂したプリフォーム55から飛散した液体62は、水平に配置された横通路(横溝2c~9cと2d~9dとによって形成された通路)へと各々流入し、鉛直方向に延びる縦通路(10cと10d、11cと11dとによって形成された通路)へと合流し垂直落下して開口部(14cと14d、15c、15dとによって形成された開口部)から流出する。流出した液体は、排液部36、37により受け止められ、排液・回収される。
【0182】
(第10の実施形態)
第1及び第9の実施形態に係るブローキャビティ型は、1つの型で1つの成形品をブロー成形するためのものであった。しかし、1つの型で複数の成形品を一度にブロー成形するように型を構成することも可能である。これを第10の実施形態として図36及び図37を用いて説明する。
【0183】
図36は、図35に示されたブロー成形装置に、第10の実施形態に係るブローキャビティ型200”の割型200a、200bを適用して、上方から見た図である。第8の実施形態と同様の構成要件については同様の符号を附して詳細な説明を省略する。
【0184】
図36に示されるように、割型200a、200bは、第8の実施形態に係る割型1a、1bを側面方向に複数(図の例では4つであるが、これに限定されない)一体に連結してなり、固定板105に固定されている。隣接する割型の境界部の下方には、流れ落ちた液体を排液するための排液部40、41、42、43、44が各々配置されている。
【0185】
図37には、割型200a、200bを型閉めしたときのブローキャビティ型200”の概略上面図が示されている。割型200a、200bは、各々のブローキャビティ面を画定する複数のブローキャビティ型区分201”、202”、203”、204”が形成されている。各々のブローキャビティ型区分には、第8の実施形態と同様に、横通路(2”~9”)及び縦通路(10”、11”)が形成される。各々の縦通路の径方向外側には、シール部材210”、212”、214”、215”、216”が設けられる。ただし、隣接するブローキャビティ型区分の間のシール部材212”、214”、215”に関しては、隣接するブローキャビティ型区分の共有としてもよい。勿論、この例に限らず、各々の縦通路の径方向外側にシール部材を設けることもできる。また、第10の実施形態は、第9の実施形態のブローキャビティ型を複数連結する場合にも適用可能である。
【0186】
(第11の実施形態)
第10の実施形態では、複数のブローキャビティ型が側面方向に一体に連結されていたが、複数のブローキャビティ型を分離可能に連結することも可能である。これを第11の実施形態として図38図39を用いて説明する。第8及び第10の実施形態と同様の構成要件については同様の符号を附して詳細な説明を省略する。
【0187】
図38に示されるように、第11の実施形態に係るブローキャビティ型300は、第8及び第9の実施形態に係るブローキャビティ型1”と同様構成のブローキャビティ型301、302、303、304を分離可能に連結してなるものである。例えば図39に示されるように、ブローキャビティ型301、302、303、304は、各々、割型301a(301b)、割型302a(302b)、割型303a(303b)、割型304a(304b)を固定板105にネジ等の固定手段によって分離可能に固定したものである。
【0188】
以上が本発明の各実施形態であるが、本発明は、上記例にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内において任意好適に変更可能である。
【0189】
例えば、プリフォーム50は、射出成形ステーション202で射出成形されたプリフォームに限らず、そのプリフォームが一次ブロー成形された一次ブロー成形品であっても良い。つまり、図3から図5に示したブローキャビティ型100は二次ブローキャビティ型であってもよく、一次ブロー成形品から二次ブロー成形品(成形完了品)をブロー成形する際に本発明を適用してもよい。
【0190】
また、ステップ302におけるノズル先端部4のプリフォームの口部への適合には、ノズル先端部4がプリフォーム50の口部内に直接挿入される図3から図5に示される態様の他、間接的な部材を通してノズル先端部4の噴射口5がプリフォーム50の口部の開口と整列された状態でブローノズル1が保持される態様も含まれる。さらに「適合」には、プリフォーム天面に当接する態様、或いは、プリフォームと接触しない態様(例えばブロー型の上面に当接するものやプリフォームの搬送部材に当接するもの)も含まれている。
【0191】
また、ブローキャビティ型100は、図3から図5の例に限定されず、ブローキャビティ割型100A、100Bに加えて、プリフォーム50のネック部若しくは底部を成形すると共に保持する、ネック型、底型を用いてもよい。
【0192】
さらに、第1及び第2の実施形態では、閉鎖部10、10bを、ロッドボディの大径部として形成したが、閉鎖部が流体通路7内に挿入される態様は勿論のこと、閉鎖部が噴射口の周囲のノズルボディの外周壁を覆う態様も考えられる。
【0193】
また、第6及び第7の実施形態では、加圧媒体として液体(水)と気体(圧縮エア)との混合物を用いていたが、容器の内容物(充填物)ではない液体(水)のみを加圧媒体として使用するブロー成形における排液にも本発明を適用することができる。
【0194】
例えば、プリフォーム50は、射出成形ステーション202で射出成形されたプリフォームに限らず、そのプリフォームが一次ブロー成形された一次ブロー成形品であっても良い。つまり、図20から図5に示したブローキャビティ型100は二次ブローキャビティ型であってもよく、一次ブロー成形品から二次ブロー成形品(成形完了品)をブロー成形する際に本発明を適用してもよい。
【0195】
また、ステップ332におけるノズル先端部4のプリフォームの口部への適合には、ノズル先端部4がプリフォーム50の口部内に直接挿入される図20図5に示される態様の他、間接的な部材を通してノズル先端部4のノズル開口部5がプリフォーム50の口部の開口と整列された状態でブローノズル2が保持される態様も含まれる。さらに「適合」には、プリフォーム天面に当接する態様、或いは、プリフォームと接触しない態様(例えばブロー型の上面に当接するものやプリフォームの搬送部材に当接するもの)も含まれている。
【0196】
また、ブローキャビティ型100、110は、図20から図23図26図27の例に限定されず、ブローキャビティ割型100A、100B及び110A、110Bに加えて、プリフォーム50のネック部若しくは底部を成形すると共に保持する、ネック型、底型を用いてもよい。
【0197】
また、第6及び第7の実施形態に係るブロー成形用金型1’、1b’では、延伸ロッド3’に第1の開口部9’、ロッド流体通路12’、第2の開口部10’が形成されている限り、ブローノズル2’の構成は任意好適に変更可能である。例えば、図18図19の例では、延伸ロッド3’が、ノズル流体通路7’の一区間を通過しているが、延伸ロッド3’がロッドボディ2’の中実部分を挿通し、延伸ロッド3’がノズル流体通路7’を通過しない態様も考えられる。
【0198】
さらに、第6の実施形態において加圧媒体と圧縮エアとが共通のノズル開口部5から噴射されるが、プリフォーム内に加圧媒体や圧縮エアを噴射可能である限り各々別々の開口部が設けられていてもよい。また、第7の実施形態では、加圧媒体の供液/ブロー回路13と排液回路17とが共通のポート6’やノズル流体通路に切り替え可能に接続されているが、プリフォーム内に加圧媒体を噴射したり、容器内の残留液体を吸引できる限り、異なるポートやノズル流体通路を用いても良い。
【0199】
さらにまた、本発明は、少なくとも液体を含む流体をプリフォームの内部に噴射するための噴射用金型であれば、ブローノズル2’のような形態に限定されるものではない。
【0200】
さらに、第1の開口部9’、ロッド流体通路12’、第2の開口部10’は、各々1つだけとは限らず、複数設けられていてもよい。第1の開口部9’、ロッド流体通路12’、第2の開口部10’の向き、位置に関しても、図面に示した例以外にも適宜構成可能である。例えば、第1の開口部9’が形成された延伸ロッドの先端部分は、図28に示されるように、上述した例(図28(A))の他に次の変形例(図28(B)~(D))も考えられる。すなわち、軸方向に延びるロッド流体通路12’に対して横断するロッド流体通路12bを設けることで3つの孔が形成された端部形状9a、横断するロッド流体通路12cを設けると共に最先端の開口部を閉鎖することで2つの孔が形成された端部形状9b、ロッド流体通路12’が先端付近で2つに斜め方向に分岐して孔が2つ形成された端部形状9c等、様々な変形例が考えられる。勿論、第1の開口部は図28の例(A)~(D)にも限定されるものではない。
【0201】
また、図29から図34に示されるブローキャビティ型は、底型24を備えていていたが、底型24を備えておらず、第1及び第2の割型のみで構成されることも可能である。また、底型24の代わりにネック型を備えていたり、第1及び第2の割型の他に、底型及びネック型の両方を備えていてもよい。いずれの場合においても本発明を適用可能である。
【0202】
また、第8から第11の実施形態に係るブローキャビティ型では、2つの割型を連結していたが、3つ以上の割型を相互に連結する場合にも、本発明を適用することができる。この例では、隣接する2つの割型の連結面に各々、横溝及び縦溝を設ける。
【0203】
また、上記例では、シール部材26、27等を、2つの割型を連結して形成したシール用通路に配置していたが、例えば、連結し合う2つの連結面のいずれか若しくは両方にシール部材を貼りつけてもよい。このとき、シール部材の厚みによる隙間を無くすため、弾力のあるシール部材を溝内に収容し、連結時の圧力によりシール部材を圧縮するようにしてもよい。
【0204】
さらに、割型1a、1b(1c、1d)は、各々対称的な形状に構成されていたが、縦通路及び横通路が形成される限り非対称な形状に構成することもできる。
【0205】
さらに、プリフォーム50は、最初に射出成形されたプリフォームに限らず、そのプリフォームが一次ブロー成形された一次ブロー成形品であっても良い。つまり、図29及び図33に示したブローキャビティ型1”、1b”は二次ブローキャビティ型であってもよく、一次ブロー成形品から二次ブロー成形品(成形完了品)をブロー成形する際に本発明を適用してもよい。
【0206】
さらにまた、図33(A),(B)におけるノズル先端部31のプリフォーム50の口部への適合には、ノズル先端部31がプリフォーム50の口部内に直接挿入される態様の他、間接的な部材を通して装着されたり、或いは、接触しない態様も考えられる。
【0207】
さらにまた、横通路及び縦通路は、ブローキャビティ型がブロー成形用に配置されたとき、それぞれ水平方向及び鉛直方向に延在する構成を好ましい例として記載したが、本発明の作用効果を奏することができる限り、水平方向及び鉛直方向から傾斜したりずれていてもよい。
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