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特許7233478少なくとも1つの立体的な金属被覆模様を備える部品を製造するための方法
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  • 特許-少なくとも1つの立体的な金属被覆模様を備える部品を製造するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】少なくとも1つの立体的な金属被覆模様を備える部品を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   B44C 3/02 20060101AFI20230227BHJP
   B44C 1/20 20060101ALI20230227BHJP
   G04B 45/00 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
B44C3/02 Z
B44C1/20 Z
G04B45/00 V
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021114752
(22)【出願日】2021-07-12
(65)【公開番号】P2022029426
(43)【公開日】2022-02-17
【審査請求日】2021-07-12
(31)【優先権主張番号】20189291.6
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599044744
【氏名又は名称】コマディール・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・ランティメール
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン・ル ブドゥワル
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ・ベシェット
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-202997(JP,A)
【文献】特開2007-46984(JP,A)
【文献】特開2010-155769(JP,A)
【文献】特開昭62-13400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B44C 3/02
B44C 1/20
G04B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの、局所的なエナメル模様(3)の上にある立体的な金属被覆模様(4)を含む部品(2)を製造するための方法であって、
1つまたは複数のエナメル模様(3)があらかじめ立体的に形成されている基板(6)を用意するステップ(10)と、
前記エナメル模様(3)上に少なくとも1つの金属被覆層(15)を堆積させるステップ(14)と、
前記金属被覆層(15)上に樹脂層(17)を堆積させるステップと、
前記立体的な金属被覆模様(4)に対応するかまたは相補的な樹脂部分(19)を局所的に形成するように、前記樹脂層(17)を選択的に処理するステップ(18)と、
前記立体的な金属被覆模様(4)に対して相補的な前記樹脂層の部分(23)、ならびに前記立体的な金属被覆模様(4)に対して相補的な前記樹脂層の前記部分(23)の下にある、前記金属被覆層(15)の部分(21)を除去するステップ(20)と、
各前記立体的な金属被覆模様(4)は、局所的なエナメル模様(3)上に堆積させた金属被覆材料から成り、前記対応する立体的な金属被覆模様(4)を現出させるように、残りの前記樹脂部分(19)を除去するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記局所的なエナメル模様(3)の前記エナメルは、あらかじめ焼結されていることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
金属被覆層(15)を堆積させる前記ステップ(14)の前に、前記エナメル模様(3)を洗浄するステップをさらに含むことを特徴とする、求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
残りの前記樹脂部分(19)は、溶剤によって除去されることを特徴とする、求項1-3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記部品(2)を洗浄する最後のステップをさらに含むことを特徴とする、求項1-4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記金属被覆材料(15)は、クロム窒化物、ジルコニウム酸窒化物、金またはチタンであることを特徴とする、求項1-5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記樹脂(17)は、ネガ型、またはポジ型感光性樹脂であることと、前記立体的な金属被膜模様(4)に対して相補的な前記樹脂層の前記部分(23)は、前記樹脂層(17)の、現像されなかったか、または現像された部分であることと、残りの前記樹脂部分(19)は、前記樹脂層(17)の、現像されたか、または現像されなかった部分であることとを特徴とする、求項1-6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
前記(17)は、光重合性エポキシ樹脂などの光重合性樹脂、好ましくは八官能性エポキシ樹脂SU-8であることを特徴とする、求項1-7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記(17)は、エポキシ系樹脂であることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記脂層(17)を選択的に処理する前記ステップ(18)は、UVランプによって実行され、前記樹脂層(17)上にマスクを適用する初期の段階を含み、前記マスクの輪郭は、前記立体的な金属被膜模様(4)に対応することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記脂層(17)を選択的に処理する前記ステップ(18)は、レーザー・アブレーションによって実行されることを特徴とする、請求項1からおよび9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記立体的な金属被膜模様(4)に対して相補的な前記樹脂層の前記部分(23)の下にある、前記金属被覆層(15)の前記部分(21)は、薬品侵食によって除去されることを特徴とする、求項1-11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記金属被覆層(15)を堆積させる前記ステップ(14)の終了時に、前記金属被覆層(15)は、前記エナメル模様(3)を完全に被覆することを特徴とする、求項1-12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記樹脂層(17)を堆積させる前記ステップの終了時に、前記樹脂(17)は、前記金属被覆層(15)を完全に被覆することを特徴とする、求項1-13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記基板(6)は、最高1400℃に到達し得る温度に耐えることが可能な材料からなることを特徴とする、求項1-14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記基板(6)の前記材料は、ジルコニアと、アルミナと、サファイアとからなるグループから選択されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
求項1-16のいずれか一項に記載の製造方法を使用して製造された部品(2)であって、時計外装部品または宝飾品で装飾された構成要素であることを特徴とする、部品(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの、局所的なエナメル下層の上にある立体的な金属被覆模様を備える部品を製造するための方法に関する。
【0002】
本発明はまた、そのような製造方法によって製造された部品に関する。そのような部品は、特に、時計外装部品または宝飾品の、装飾された構成要素であり得る。
【背景技術】
【0003】
時計外装部品のためまたは宝飾品のための、装飾された構成要素を製作することは、知られている。たとえば、そのような装飾された構成要素は、携帯時計の部分上の芸術的な模様の象嵌からなり得る。それは、指標などの模様で装飾された携帯時計のベゼル、さもなければ指標で装飾された携帯時計文字盤、さもなければ1つまたは複数の模様で装飾された、携帯時計の竜頭、ガラスまたは中枠、さもなければブレスレット・リンクであり得る。装飾に関係する携帯時計の部分は、たとえば金、銀またはプラチナなどの金属によって、浮き彫りまたは深いマーキングでマークされ得る。これが深いマーキングである場合、後者は、たとえば、あらかじめ携帯時計部分の基板またはベース支持体中に形成された凹みを充填することによって形成される。
【0004】
そのような深いマーキングを遂行するために使用される原理は、最初に、物理気相成長法PVDによって導電層を堆積させることにある。導電層が堆積させられると、部品を金属イオンの槽中に浸漬させることによって、電気鋳造法によって凹みが金属で充填され、次いでこの槽中に電流が循環させられる。このようにして凹みは金属で充填され、マーキングを実行する。この点については、そのような方法を説明する特許文書EP2138323A1号が言及され得る。しかしながら、そのような方法は、複数の製作ステップを必要とするので、時計外装部品上の装飾的な構成要素を製作するために実行するには複雑で、比較的時間がかかり、それが難点である。さらに、そのような方法の別の難点は、それが薄い層を堆積させることのみによって機能し、申し分のない立体的な装飾模様を時計外装部品上に製作することが可能にならないことである。
【0005】
その上、時計のための装飾された構成要素を製作するための方法は、ガルバニック成長法(galvanic growth)または電気めっき法を実行することが知られている。そのような方法は、たとえば特許文書EP3035128A1号中に説明されている。この文書中に説明されている製造方法は、シリコンのベース基板を用意することからなるステップと、この部分の厚さを貫通する装飾が施された上側部分を得るように、このベース基板中に微細加工を実行することからなるステップとを含む。この微細加工ステップは、ベース基板の上側導電層上に感光性樹脂の層を堆積させることからなる段階と、次いで感光性樹脂上にマスクを、上側部分の、および製作される装飾の模様の輪郭周りに配置することからなる段階と、次いで樹脂のいくつかの部分を現像するように、樹脂を、マスクを通して放射に露光することからなる段階と、次いで現像されなかった樹脂部分を除去することからなる段階と、このようにして樹脂の開口された部分を金属材料で充填することからなる段階と、電気めっきまたは電着作業を実行して金属材料の成長を実行することからなる段階と、最後にすべての樹脂を除去し、製作された装飾の模様をもつ上側部分をベース基板から取り外すことからなる段階とを含む。しかしながら、そのような方法の難点は、装飾のための精密で熟達した立体形状の容易な製作を可能にしないことである。したがって、そのような方法は、時計外装部品上に清浄で制御された様式で立体的な装飾模様を製作することを可能にしない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】EP2138323A1号
【文献】EP3035128A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、したがって、立体的な金属被覆された装飾模様を部品上に製作し、複雑で、精密で、制御された形状を有し得る模様を得ることを容易にする、部品を製造するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明は、独立請求項1に述べられる特徴を備える、局所的なエナメル下層の上にある、少なくとも1つの立体的な金属被覆模様を備える部品を製造するための方法に関する。
【0009】
製造方法の特定の形態は、従属請求項2から17までにおいて定義される。
【0010】
本発明による製造方法は、1つまたは複数のエナメル模様の、事前の基板上への立体形成、次いでこれらの模様上への構造化された金属層の堆積により、部品上に立体的な金属の装飾模様を容易に製作することが可能であることを可能にする。このようにして製作された立体的な装飾模様は、清浄であり、有利には、複雑で、精密で、制御された形状を有することができる。さらに、金属被覆されたエナメルを使用することには、従来技術のソリューションにおいて使用されるいくつかの材料とは異なり、化学製品に対して不活性であり、高い温度に耐えるという付加的利点がある。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、感光性樹脂はネガ型感光性樹脂であり、立体的な模様に対して相補的な樹脂層の部分は樹脂層の現像されない部分であり、残りの樹脂部分は、樹脂層の現像される部分である。
【0012】
有利には、局所的なエナメル下層のエナメルは、あらかじめ焼結されている。これがエナメルを多孔質にし、このようにしてエナメル模様の立体成形を促進する。
【0013】
この目的を達成するために、本発明はまた、上記で説明した製造方法を使用して製造される部品に関し、請求項17中に述べられる特徴を含む。
【0014】
本発明による、少なくとも1つの立体的な金属被覆模様を備える部品を製造するための方法の目的、利点および特徴は、図面によって示される少なくとも1つの非限定的実施形態に基づく以下の説明において、より明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】少なくとも1つの、本発明による、局所的なエナメル下層の上にある、立体的な金属被覆模様を備える部品を製造するための方法の一連のステップを示すフローチャートである。
図2図1の局所的なエナメル下層を製造するための方法の一連のステップを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明による、少なくとも1つの立体的な金属被覆模様4を備える部品2を製造するための方法について、図1を参照しながら説明する。部品2は、一般に時計外装部品または宝飾品の装飾された構成要素、たとえば携帯時計ベゼル、または立体的な指標で装飾された携帯時計文字盤、さもなければ竜頭、ガラスまたは携帯時計の中枠などである。本発明のコンテキストにおいてこれが制限することなく、立体的な金属被覆模様4は、たとえば、指標(indices)、指標(indexes)、意匠文字、さもなければ芸術的装飾である。
【0017】
初期のステップ10の間に、あらかじめ、1つまたは複数のエナメル模様3が立体的に形成された基板6が用意される。好ましくは、模様3を形成するエナメルはあらかじめ焼結される。
【0018】
この局所的なエナメル下層は、任意のタイプの知られている製造方法によって製造され得る。特に、および本発明のコンテキストにおいてこれが制限することなく、次にそのような方法の例について、図2を参照しながら説明する。
【0019】
第1のステップ40の間にベア基板6が用意される。基板6は、高い温度、特に最高1400℃に到達し得る温度に耐えることが可能な材料からなる。基板6は、好ましくはジルコン、アルミナ、サファイアまたはルビーからなるグループから選択される。しかしながら、それは、それの上部層が導電性であり得るシリコン、さもなければガリウム砒素などの半導体基板6、または真珠層などの天然素材でできている基板でもあり得る。
【0020】
次のステップ42の間に、感光性樹脂の層8が、基板6の上側表面上に堆積させられる。
【0021】
次のステップ44の間に、樹脂8中に空きの部分9を形成する目的で、樹脂8の部分11を局所的に現像するように、感光性樹脂層8が選択的に放射5に露光される。使用される放射5は、たとえば、レーザーまたはUVランプによって放出される紫外(UV)線である。樹脂8のこの構造化を遂行するために、樹脂層8にマスク(図示せず)が適用され、そのマスクの輪郭が形成される空きの部分9に対応する。感光性樹脂8は、たとえばネガ型感光性樹脂である。この樹脂8は、光重合性樹脂、たとえばポリイミドPMMA(ポリメチルメタクリレート)、または参照SU-8の下でシェルケミカルから利用可能な八官能性エポキシ樹脂に基づく樹脂、およびたとえばトリアリールスルホニウム塩から選択される光重合開始剤であり得る。マスクは、製作される空きの部分9にしたがって、不透明な部分と透明な部分とをもつマスキング層が作られる石英板であり得る。代替的に、感光性樹脂8はポジ型感光性樹脂であり得る。この場合、マスクは、ネガ型感光性樹脂で使用されるマスクの反転である。このステップ44の終了時にマスクは除去される。
【0022】
次のステップ46の間に、形成される空きの部分9に対応する樹脂層8の部分は除去される。この除去ステップは、たとえば物理的または化学的手段によって実行される。(図2の場合のように)ネガ型感光性樹脂が使用される場合、除去されるのは樹脂8の非照射の部分13である。樹脂8中で部分13がこのようにして除去され、次いで樹脂8中に空きの部分9を現出させることが可能になる。反対に、ポジ型感光性樹脂が使用される場合(図には示されていない場合)、これらは、除去される樹脂の照射される部分である。非感光性樹脂も使用され得、その場合、後者はレーザー・アブレーションによって機械的に除去される。
【0023】
次のステップの間に、樹脂8中の空きの部分9は、エナメル粉25で充填される。
【0024】
次のステップ50の間、エナメル粉25はプリベークされる。この目的で、エナメル粉25は、たとえば200℃の温度まで、たとえば50分間加熱される。この同じステップ50の間に、または次のステップの間に、樹脂8の残りの部分11は、たとえば熱的に除去される。この目的で、樹脂8の残りの部分11は、たとえば、600℃の温度まで、たとえば30分間加熱される。樹脂8の最後の残りの部分11のこの除去は、前出の樹脂の空きの部分9に対応する領域において、エナメル模様3を現出させることを可能にする。
【0025】
好ましくは、次のステップ52の間に、基板6で、およびエナメル模様3で形成されたアセンブリが洗浄される。
【0026】
好ましくは、最後のステップ54の間に、模様3のエナメルは焼結され、エナメル模様3の立体的な成形を促進し、金属層の付着性を促進することを可能にする。
【0027】
図2に示された模様3を形成する局所的なエナメル下層を製造するための方法の例は、複雑なツールを必要とせず、実行することが比較的簡単で、費用があまりかからないという利点を有する。
【0028】
模様3を形成する局所的なエナメル下層を製造するための方法の別の例は、図に示されておらず、1つまたは複数の初期のステップの間に、パッド印刷によって基板に直接エナメルを塗布することにある。エナメルは、次いで次のステップの間にプリベークされる。この目的で、エナメルは、たとえば、177℃の温度まで、たとえば60分間加熱される。好ましくは、次のステップの間に、模様のエナメルは焼結される。この目的で、エナメルは、たとえば860℃の温度で、たとえば5分間焼結される。この焼結ステップは、エナメル中に所望の形状を画定し、したがってエナメル模様を現出させることを可能にする。好ましくは、最後のステップにおいて、基板とエナメル模様とで形成されるアセンブリが洗浄される。局所的なエナメル下層を製造するための方法の、この特定の例示的な実施形態は、感光性樹脂上に何も構造化することを必要としない利点を有する。
【0029】
本発明による製造方法に戻れば、図1に示されているように、エナメル模様3は、次の選択的なステップの間に洗浄される。
【0030】
以下のステップ14の間に、少なくとも1つの金属被覆層15がエナメル模様3上に堆積させられる。好ましくは、図1に示されているように、金属被覆層15は、この堆積ステップ14の終了時にエナメル模様3を完全に被覆する。より好ましくは、この堆積ステップ14の間に使用される金属被覆材料は、クロム窒化物、ジルコニウム酸窒化物、さもなければ金である。明らかに、金属被覆ステップは、複数の金属層の積み重ねからなり得る。
【0031】
次のステップの間に、感光性樹脂層17が金属被覆層15上に堆積させられる。好ましくは、図1に示されているように、この堆積ステップの終了時に、感光性樹脂層17は金属被覆層15を完全に被覆する。
【0032】
次のステップ18の間に、感光性樹脂層17は、樹脂部分19を局所的に現像するように、選択的に放射7に露光される。これらの樹脂部分19は、立体的な模様に対応する。使用される放射7は、たとえば、ランプによって放出される紫外(UV)線である。樹脂17のこの構造化を遂行するために、樹脂層17上方にマスク(図示せず)が適用され、マスクは立体的な模様に対応する。感光性樹脂17は、たとえばネガ型感光性樹脂である。この樹脂17は、光重合性の樹脂、たとえばポリイミドPMMA(ポリメチルメタクリレート)、または参照SU-8の下でシェルケミカルから利用可能な八官能性エポキシ樹脂に基づく樹脂、およびたとえばトリアリールスルホニウム塩から選択される光重合開始剤であり得る。マスクは、不透明な部分と透明な部分とをもつマスキング層が作られる石英板であり得る。代替的に、感光性樹脂8はポジ型感光性樹脂であり得る。この場合、マスクは、ネガ型感光性樹脂で使用されるマスクの反転である。このステップ18の終了時にマスクは除去される。
【0033】
別の実施形態によれば、非感光性樹脂が使用され、樹脂が乾燥させられると、後者はレーザー・アブレーションによって機械的に除去され、したがってマスクを必要としない。
【0034】
次のステップ20の間に、模様に対して相補的な樹脂層17の部分は除去される。この除去ステップ20は、たとえば物理的または化学的手段によって実行される。この同じステップ20の間に、金属被覆層15の、対応する下にある部分21も除去される。好ましくは、模様に対して相補的な樹脂層17の部分に対応する、金属被覆層15の、下にある部分21は、薬品侵食(エッチングとも呼ばれる)によって除去される。(図1の場合のように)ネガ型感光性樹脂が使用される場合、模様に対して相補的な部分を形成し、このステップ20の間に除去されるのは、樹脂17の非照射の部分23である。局所的に現像された(したがって照射された)樹脂部分19はそして、模様に対応する。反対に、ポジ型感光性樹脂が使用される場合(図に示されていない場合)、模様に対して相補的な部分を形成し、除去されるのは、樹脂の照射された部分である。非照射の樹脂部分はそして、模様に対応する。
【0035】
次のステップ22の間に、模様に対応する樹脂17の残りの部分は除去される。このステップ22は、たとえば溶剤を使用して実行される。これが、立体的な金属被覆された模様4を現出させることを可能にする。各模様4はそして、局所的なエナメル下層3上に堆積させられた金属被覆材料15からなる。(図1の場合のように)ネガ型感光性樹脂が使用される場合、残りの部分を形成し、このステップ22の間に除去されるのは、樹脂17の現像された部分19である。反対に、ポジ型感光性樹脂が使用される場合(図に示されていない場合)、残りの部分を形成し、このステップ22の間に除去されるのは、樹脂の現像されなかった部分である。
【0036】
好ましくは、最後のステップの間に部品2は洗浄される。
【0037】
したがって本発明によれば、製造方法は、部品2上に立体的な金属被覆された装飾模様4を容易に製作することを可能にすることが理解される。このようにして製作される立体的な装飾模様4は清浄であり、有利には、複雑で、精密で、熟達した形状を有し得る。
【符号の説明】
【0038】
2 部品
3 エナメル模様
4 立体的な金属被覆模様
5 放射
6 基板
7 放射
8 樹脂、樹脂層
9 空きの部分
11 樹脂の残りの部分
13 樹脂の非照射の部分
15 金属被覆層、金属被覆材料
17 樹脂層
19 残りの樹脂部分
21 部分
23 部分
25 エナメル粉
図1
図2