IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オメガ・エス アーの特許一覧

<>
  • 特許-時計仕掛けのセレクタ機構 図1
  • 特許-時計仕掛けのセレクタ機構 図2
  • 特許-時計仕掛けのセレクタ機構 図3
  • 特許-時計仕掛けのセレクタ機構 図4
  • 特許-時計仕掛けのセレクタ機構 図5
  • 特許-時計仕掛けのセレクタ機構 図6
  • 特許-時計仕掛けのセレクタ機構 図7
  • 特許-時計仕掛けのセレクタ機構 図8
  • 特許-時計仕掛けのセレクタ機構 図9
  • 特許-時計仕掛けのセレクタ機構 図10
  • 特許-時計仕掛けのセレクタ機構 図11
  • 特許-時計仕掛けのセレクタ機構 図12
  • 特許-時計仕掛けのセレクタ機構 図13
  • 特許-時計仕掛けのセレクタ機構 図14
  • 特許-時計仕掛けのセレクタ機構 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】時計仕掛けのセレクタ機構
(51)【国際特許分類】
   G04F 7/08 20060101AFI20230227BHJP
   G04B 19/00 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
G04F7/08 Z
G04B19/00 Q
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021129494
(22)【出願日】2021-08-06
(65)【公開番号】P2022045901
(43)【公開日】2022-03-22
【審査請求日】2021-08-06
(31)【優先権主張番号】20195302.3
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507276380
【氏名又は名称】オメガ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・ファーヴル-ビュル
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】スイス国特許発明第704120(CH,B5)
【文献】特開昭47-21175(JP,A)
【文献】特開2013-120189(JP,A)
【文献】特表2012-520447(JP,A)
【文献】特開2008-267978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04F 7/00 - 13/06
G04B 1/00 - 99/00
G04C 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計仕掛けのセレクタ機構(100)であって、基面(1)の上方に突出し、すき間(5)によって分離された複数のコラム(2)を含む移動体を含み、前記コラム(2)および前記すき間(5)は、前記移動体の特定の位置では、プロファイル(P)に実質的に垂直で前記基準面(1)に実質的に平行な横方向(T)に、フィーラースピンドルまたはピンを前記すき間(5)に挿入できるように、また、前記移動体の他の位置では、フィーラースピンドルまたはピンを1つの前記コラム(2)の横断面(81、201、202)上で停止させるように配置されている、前記プロファイル(P)に沿って延在するスロット(10)を共に形成し、少なくとも1つのコラム(2)は、少なくとも1つの中間横方向停止面(81)を含み、これは、1つの前記フィーラースピンドルまたは1つの前記ピンの停止軸受面を構成し、1つの前記スロット(10)の厚さに1つの前記フィーラースピンドルまたは1つの前記ピンを部分的に挿入できるように配置されており、また、1つの前記横方向(T)において、前記コラム(2)を横方向に区切る2つの端部横断面(201、202)の幾何学的エンベロープの間に位置していることを特徴とする、時計仕掛けのセレクタ機構(100)。
【請求項2】
少なくとも1つの前記中間横方向停止面(81)を含む各前記コラム(2)は、前記横方向(T)において変厚を有し、前記セレクタ機構(100)と協働するように配置された時計仕掛け機構のフィーラースピンドルまたはピンを保持するように配置された、少なくとも1つの突出部(4)を含み、前記突出部4は、前記プロファイル(P)の方向に、前記中間停止面(81)および前部停止面(82)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のセレクタ機構(100)。
【請求項3】
前記突出部(4)は、1つの前記フィーラースピンドルまたは1つの前記ピンを前記プロファイル(P)の方向に少なくとも1つの配向で保持するように配置されていることを特徴とする、請求項2に記載のセレクタ機構(100)。
【請求項4】
前記突出部(4)は、1つの前記フィーラースピンドルまたは1つの前記ピンを前記プロファイル(P)の方向に単一の配向で保持するように配置されていることを特徴とする、請求項3に記載のセレクタ機構(100)。
【請求項5】
1つの前記突出部(4)を含む1つの前記コラム(2)は、少なくとも2つの前記対向する突出部(4)を含み、各々が1つの前記フィーラースピンドルまたは1つの前記ピンを他とは反対の1つの配向に保持するように配置されていることを特徴とする、請求項4に記載のセレクタ機構(100)。
【請求項6】
少なくとも1つの前記コラム(2)は、その高さで、前記基面(1)に垂直な軸方向(DA)に、少なくとも1つの軸受を含むことを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のセレクタ機構(100)。
【請求項7】
前記軸受は、1つの前記中間横方向停止面(81)によって制限されることを特徴とする、請求項6に記載のセレクタ機構(100)。
【請求項8】
前記移動体は、1つの前記閉じたプロファイル(P)に沿って延在し、前記スロット(10)は、前記コラム(2)の外側端部横断面(201)によって画定された外側エンベロープ幾何学的表面と、前記コラム(2)の内側端部横断面(202)によって画定された内側エンベロープ幾何学的表面との間に延在していることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のセレクタ機構(100)。
【請求項9】
前記閉じたプロファイル(P)は、円形であり、前記外側エンベロープ幾何学的表面および前記内側エンベロープ幾何学的表面は、円筒形であり、同軸であることを特徴とする、請求項8に記載のセレクタ機構(100)。
【請求項10】
前記プロファイル(P)は、閉じており、少なくとも1つの前記突出部(4)は、前記移動体の内側にあることを特徴とする、請求項2または請求項2を引用する請求項3から請求項8のいずれか一項に記載のセレクタ機構(100)。
【請求項11】
各前記突出部(4)は、前記移動体の内側にあることを特徴とする、請求項10に記載のセレクタ機構(100)。
【請求項12】
前記プロファイル(P)は、閉じており、少なくとも1つの前記突出部4は、前記移動体の外側にあることを特徴とする、請求項2または請求項2を引用する請求項3から請求項8のいずれか一項に記載のセレクタ機構(100)。
【請求項13】
各前記突出部(4)は、前記移動体の外側にあることを特徴とする、請求項12に記載のセレクタ機構(100)。
【請求項14】
クロノグラフ機構(400)は、クロノグラフの実行に対応して、前記移動体の前記位置に従って、前記2つのコラム(2)の間の1つの前記すき間(5)に少なくとも部分的に留まるか、または前記クロノグラフの停止に対応する停止位置では、1つの前記突出部との軸受係合に協働するか、あるいは前記クロノグラフのリセットに対するリセット位置では、1つの前記コラム(2)の端部横断面(201、202)を圧迫するように配置されたピン(3)を含むことを特徴とする、請求項2または請求項2を引用する請求項3から請求項13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのセレクタ機構(100)を含むクロノグラフ機構(400)。
【請求項15】
ユーザが利用できる制御手段(200)によって制御される、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのセレクタ機構(100)と、少なくとも1つのクロノグラフ機構(400)を含む少なくとも1つの時計ムーブメント(500)と、を含む、計時器(1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基面の上方に突出し、すき間によって分離された複数のコラムを含む移動体を含む時計仕掛けのコラムセレクタ機構に関するものであり、当該コラムおよび当該すき間は、当該移動体の特定の位置では、プロファイルに実質的に垂直で当該基準面に実質的に平行な横方向に、フィーラースピンドルまたはピンを当該すき間に挿入できるように、また、当該移動体の他の位置では、フィーラースピンドルまたはピンを1つの当該コラムの横断面上で停止させるように配置されている、当該プロファイルに沿って延在するスロットを共に形成する。
【0002】
また、本発明は、ユーザが操作できる制御手段によって制御される、少なくとも1つのこのようなセレクタ機構を含む、クロノグラフ機構にも関する。
【0003】
本発明は、少なくとも1つの時計ムーブメントと、ユーザが利用できる制御手段によって制御される、少なくとも1つのこのようなセレクタ機構を含む、少なくとも1つのクロノグラフ機構と、を備える計時器、特に小型時計にも関する。
【0004】
本発明は、特にクロノグラフ機構または時打ち機構など、複雑な機構を備えた時計仕掛け機構の分野に関する。
【背景技術】
【0005】
クロノグラフ機構または時打ち機構など、複雑な機能を備えた時計仕掛け機構では、コラムホイールの外側からスロットへのフィーラースピンドルの挿入を阻止するか、または可能にする、刻み目のあるコラムホイールを含む機能選択機構を一般的に使用する。
【0006】
いくつかの複雑な機構は、例えば、MONTRES BREGUETの名前で特許文献1に記載されている、ラチェットを重ねた多段コラムホイールを用いてモードを選択する手段を備えた時打ち機構など、いくつかのレベルを備えたコラムホイールを実装する。これらの機構は、いくつかの機能を提供するのに有効だが、非常にかさばり、その総厚により、概して一般的な寸法の小型時計に収容することができない。
【0007】
MONTRES JOURNEの名前の特許文献2には、同様のコラムホイール機構が記載されており、その外側プロファイルには、ホイールの回転ピッチに従って異なる機能を制御するために段付きである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】欧州特許第2498146(B1)号明細書
【文献】欧州特許第1760550号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、異なる機能を実行することができる、具体的には、コラムを備えた移動体のスロットの外側および内側の両方に停止面を有する移動体を開発することができるが、具体的にはコラムホイールに限定されない、小さな厚みの空間を必要とするセレクタ機構を開発することを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明を読むことで明らかになるであろう。
【0011】
図2図4およびこれらのそれぞれ詳細図である図5図7は、図1のセレクタ機構を含むクロノグラフ機構の動作の3つの重要な段階を示し、コラムホイールの内側で、コラムホイールと、クロノグラフの制御を切断する分カウンタによって保持されるピンとの間の協働により、コラムホイールが反時計回りに回転する動作を示している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による、時計仕掛けのセレクタ機構を概略的かつ透視的に示し、一変形例では、このセレクタ機構はコラムホイールであり、このコラムホイールは、従来、その外周に、基面から軸方向に突出した交互のコラムを有するスロットと、これらのコラムの間に、コラムホイールの角度位置に応じて、ロッカーレバーのくちばし部、指部などの半径方向の挿入を禁止または可能にするためのすき間と、を含む。本発明によれば、コラムの内面は、コラムの外側エンベロープ面と内側エンベロープ面との間に、スロットのすき間へのフィーラースピンドルまたはピンの部分的な挿入を可能にするように配置された中間停止面を含み、この特定の非限定的な実施例では、これらの中間停止面は、ピンの突出部と実質的に相補的なプロファイル突出部の一部である。
図2】クロノグラフを実行している「開始」位置を示しており、ピンは、隣り合う2つのコラム間のすき間にあり、どちらのコラムにも接触していない。
図3】クロノグラフが停止する「停止」位置を示しており、ピンは、接触することなくコラムのすき間にある。
図4】リセット後のクロノグラフの「リセット」位置を示しており、ピンは、コラムの内側端面を圧迫している。
図5】クロノグラフを実行している「開始」位置を示しており、ピンは、隣り合う2つのコラム間のすき間にあり、どちらのコラムにも接触していない。
図6】クロノグラフが停止する「停止」位置を示しており、ピンは、接触することなくコラムのすき間にある。
図7】リセット後のクロノグラフの「リセット」位置を示しており、ピンは、コラムの内側端面を圧迫している。
図8図2図7のクロノグラフ機構が、シャフトに重ねて取り付けられ、回転が固定された分心片、牙型分カウンタホイール、分カウンタピニオン、および分巻貝を備えた移動式分カウンタを概略的かつ透視的に表している。
図9図2図7のクロノグラフ機構が、シャフトに重ねて取り付けられ、回転が固定されたクロノグラフホイールならびに第2のピニオンアセンブリ、接続ディスク、クロノグラフホイール摩擦ばね、クロノグラフ心片、およびクロノグラフカムを備えたクロノグラフ移動体を概略的かつ透視的に表している。
図10図1と同様に、コラムがコラムホイールの外側のみを占め、内側の停止面がピンで構成されているセレクタ機構の一変形例を表している。
図11図1と同様に、セレクタ機構の一変形例を逆にした構成を表しており、コラムホイールの外側に突出部が配置され、内側の停止面は平滑である。
図12図1と同様に、コラムが外側と内側の両方に突出部を備えるセレクタ機構の一変形例を表している。
図13図1と部分的には同様であるが、コラムがコラムホイールの内側に半径方向に段付きの突出部を含む、セレクタ機構の一変形例を表している。
図14図1と同様に、コラムが軸方向に段付きの軸受を含み、突出部を作る中間停止面を含む、セレクタ機構の一変形例を表している。
図15】ユーザが利用できる制御手段によって制御される、本発明による時計ムーブメントと、セレクタ機構を含むクロノグラフ機構と、を含む、計時器、具体的には小型時計を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、複数のコラム2を含む移動体を含む、時計仕掛けのコラムセレクタ機構100に関する。
【0014】
これらのコラム2は、基面1の上方に突出し、すき間5によって分離されており、コラム2とすき間5は、共に、プロファイルPに沿って延在するスロット10を形成している。図では、プロファイルPが円形であるコラムホイールの構成を示しているが、このプロファイルはまた、本発明から逸脱することなく、線形、またはその他の形状とすることもできる。
【0015】
これらのスロット10は、移動体の特定の位置において、当該プロファイルPに実質的に垂直で基準面1に実質的に平行な横方向Tで、フィーラースピンドルまたはピンをすき間5に挿入することを可能にし、移動体の他の位置において、コラム2の横方向の停止面81、201、202にフィーラースピンドルまたはピンを停止させるように配置されている。
【0016】
例示の円形のプロファイルPの場合、横方向Tは、移動体の軸を起点とした半径方向となる。
【0017】
本発明によれば、少なくとも1つのコラム2は、少なくとも1つの中間横方向停止面81を含み、これは、フィーラースピンドルまたはピンの停止軸受面を構成し、スロット10の厚さにフィーラースピンドルまたはピンを部分的に挿入できるように配置されており、また、横方向Tにおいて、コラム2を横方向に区切る2つの端部横断面201、202の幾何学的エンベロープの間に位置している。
【0018】
より具体的には、少なくとも1つの中間横方向停止面81を含む各コラム2は、横方向Tにおいて変厚を有し、セレクタ機構100と協働するように配置された時計仕掛け機構のフィーラースピンドル、指部、またはピン3などを保持するように配置された、少なくとも1つの突出部4を含み、突出部4は、プロファイルPの方向に、中間停止面81および前部停止面82を含む。
【0019】
より詳細には、突出部4は、フィーラースピンドルまたはピンをプロファイルPの方向に少なくとも1つの配向で保持するように配置されている。より詳細には、突出部4は、フィーラースピンドルまたはピンを当該プロファイルPの方向に単一の配向で保持するように配置されている。
【0020】
より詳細には、突出部4を含むコラム2は、少なくとも2つの対向する突出部4を含み、各々がフィーラースピンドルまたはピンを他とは反対の1つの配向に保持するように配置されている。
【0021】
少なくとも1つのコラム、より詳細には各コラムに少なくとも1つの突出部が形成されているこの実施形態は、特にコンパクトであるため有利である。
【0022】
しかしながら、従来の時計、例えば、マリンクロノメータ、複雑な機構が多い小型時計、または時計よりも大型の計時器の場合は、異なった方法で、例えば、セレクタ機構100の外側と呼ばれる第1の側面上に外部停止機能を確保する外側コラムと呼ばれるいくつかのコラムと、セレクタ機構100の内側と呼ばれる第2の側面上に内部停止機能を確保する内側コラムと呼ばれる他のコラムとを二重にすることによって、セレクタ機構100を設計することが可能であり、これらの内側コラムの幾何学的形状は、次に、このような突出部の機能を確保するように適合され、例えば、内側コラムは、いくつかのピン88、89から各々構成することができ、そのうちの一方のピン88は、中間停止面81を含み、他方の89は、前部停止面82を含み、場合によっては端部横断面202を含む。
【0023】
当然のことながら、突出部は、所望の機能に従って、図1に例示される変形例のようにプロファイルの内側に位置するか、または図11に例示される変形例のようにプロファイルの外側に位置するか、あるいは図12に例示される変形例のようにプロファイルの両側に位置することができる。
【0024】
また、突出部4は、図13に示すように、段付きであってもよく、連続した突出部41、42が特定の位置で移動体を停止するように各々配置されている。
【0025】
図は、円形コラムホイールを示しており、この配置は、コンパクトで有利であり、時計機能の大部分を満たしている。しかしながら、異なる半径上に、異なる端部横断面201、および/または、異なる端部横断面202、および/または、異なる中間横方向停止面81を配置することも可能である。
【0026】
このセレクタ機構100は、したがって、操作部または制御部材、すなわち端部横断面201、202のうちの1つに設けられた停止部の前部停止部、すき間5を通る完全な横方向移動部、突出部4の表面上に設けられた停止軸受部における限定された部分的な横方向移動部を挿入するためのいくつかの横方向位置を画定するように配置されていることが理解される。もちろん、同じコラム2が異なる横方向深さのいくつかの突出部4を含む場合、あるいは、いくつかのコラム2が異なる横方向深さのいくつかの突出部4を含む場合には、より多くの制御位置を有することが可能である。
【0027】
より詳細には、移動体は、閉じたプロファイルPに沿って延在しており、スロット10は、コラム2の外側端部横断面201によって画定された外側エンベロープ幾何学的表面と、コラム2の内側端部横断面202によって画定された内側エンベロープ幾何学的表面との間に延在している。
【0028】
より詳細には、閉じたプロファイルPは円形であり、外側エンベロープ幾何学的表面および内側エンベロープ幾何学的表面は円筒形であり、同軸である。
【0029】
一変形例では、プロファイルPは閉じており、少なくとも1つの突出部4が当該移動体の内側にある。より詳細には、各突出部4は、移動体の内側にある。
【0030】
別の変形例では、プロファイルPは閉じており、少なくとも1つの突出部4が移動体の外側にある。より詳細には、各突出部4は、移動体の外側にある。
【0031】
一変形例では、少なくとも1つのコラム2は、その高さで、基面1に垂直な軸方向DAに、少なくとも1つの軸受11を含む。このような一変形例では、より多くの組み合わせが可能になる。さらにより詳細には、軸受11は、本発明に従って中間停止面61および/または62によって制限される。しかしながら、図14に概略的に示すこの変形例では、より大きな高さを必要とするが、これは常に可能ではない。
【0032】
本発明は、ユーザが操作できる制御手段200によって制御される、少なくとも1つのこのようなセレクタ機構100を含むクロノグラフ機構400にも関する。より詳細には、このクロノグラフ機構500は、図4に示すように、分移動体40から、分カウンタ360の駆動指部の係合を解除することができ、一方、図2および図3では、この駆動指部360は、分カウンタ40の牙型ホイール41と係合している分カウンタ切断制御部22を含む。
【0033】
この分カウンタ切断制御部22は、クロノグラフの実行に対応して、以下では「開始」と呼ぶ開始位置で、移動体の位置に応じて、2つのコラム2の間のすき間5に少なくとも部分的に留まるか、またはクロノグラフの停止に対応する停止位置では、突出部4との軸受係合に協働するか、あるいはクロノグラフのリセットに対するリセット位置では、コラム2の端部横断面201、202を圧迫するように配置されたピン3を保持する。
【0034】
隣り合う2つのコラム2の間のすき間5は、これら2つのコラム2のエッジ面6、7によって区切られている。
【0035】
接続レバー210のくちばし部21は、コラム2の外側端部横断面201上の当接軸受で、あるいは、すき間5に挿入される位置で協働するように配置されている。
【0036】
図によって例示されたこのクロノグラフ機構400は、このようなセレクタ機構100、本明細書ではコラムホイールを含み、そのプロファイルPは円形であり、本明細書の最後にある専門用語に従って記載された構成要素を含む。
【0037】
図2図4およびこれらのそれぞれ詳細図である図5図7は、このクロノグラフ機構400の動作の3つの重要な段階を示し、分カウンタ切断制御部22のピン3がコラムホイールの内側と協働しながら、当該コラムホイールが反時計回りに回転する動作を示している。
【0038】
図2図5は、クロノグラフを実行している「開始」位置を示しており、ピン3は、隣り合う2つのコラム間のすき間5にあり、どちらのコラムにも接触していない。
【0039】
図3図6は、クロノグラフが停止する「停止」位置を示しており、ピン3は、コラム2の突出部4で停止しており、半径方向および接線方向で阻止されている。
【0040】
図4図7は、リセット後のクロノグラフの「リセット」位置を示しており、ピン3は、コラム2の内側端面202を圧迫している。
【0041】
また、本発明は、ユーザが利用できる制御手段200によって制御される、本発明による少なくとも1つの時計ムーブメント500と、少なくとも1つのセレクタ機構100を含む少なくとも1つのクロノグラフ機構400と、を含む、計時器1000、具体的には小型時計に関する。
【0042】
要するに、本発明は、単一のコラムレベルで機能することができ、これは、セレクタ機構100が本発明に従って組み込まれた機構の厚さにおける空間要件に有利であり、また、図1に示すように、利用可能な空間、特にコラム2の内側を使用することによって、特定の機能に有利である。
【0043】
本発明によるセレクタ機構100は、フライス加工による従来の製造に非常に適しており、したがってそのコストは、あまり高くない。
【符号の説明】
【0044】
1 基面
2 コラム
3 分カウンタ切断ピン
4 コラム突出部
5 コラム2の間のすき間
6 コラム2のエッジ面
7 コラム2のエッジ面
81 横方向への突出部4の中間停止面
82 プロファイルPによる突出部4の前部停止面
9 コラムホイール歯部
10 外側端部横断面201のエンベロープ面
11 軸受
61 軸受11の第1の限界面
62 軸受11の第2の限界面
21 クラッチレベル210のくちばし部
22 分カウンタ40の切断制御部
23 分カウンタ切断制御ばね
24 ハンマー制御部
27 切断制御ばね24の軸受柱(高さ)
28 コラムホイールねじ(後方部分の)
32 コラムホイールジャンパ
40 分カウンタ移動体
41 分カウンタホイール
42 分カウンタピニオン
44 分心片
45 分カウンタジャンパ
46 分カウンタ40の移動式シャフト
50 クロノグラフ移動体
51 クロノグラフ移動式心片
52 クロノグラフホイール摩擦ばね
53 クロノグラフ移動式カム
54 移動体50の接続ディスク
55 クロノグラフホイールおよび第2のピニオン
56 クロノグラフ移動体50のシャフト
210 接続レバー
330 分カウンタロッカーレバー
331 分カウンタロッカーレバーのフィーラースピンドル
340 接続ロッカーレバー
342 接続ロッカーレバーのヒール
345 接続ロッカーレバーのばね
350 ハンマー
351 ハンマー枠
360 分カウンタ駆動指部
361 分カウンタ指ばね
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15