(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】着色組成物、硬化膜、パターン形成方法、カラーフィルタ、固体撮像素子および画像表示装置
(51)【国際特許分類】
C09B 67/20 20060101AFI20230227BHJP
C09B 57/08 20060101ALI20230227BHJP
C09D 4/00 20060101ALI20230227BHJP
C09D 7/41 20180101ALI20230227BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20230227BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20230227BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
C09B67/20 F
C09B57/08 Z
C09D4/00
C09D7/41
G03F7/004 505
G03F7/027
G02B5/20 101
(21)【出願番号】P 2021504934
(86)(22)【出願日】2020-03-02
(86)【国際出願番号】 JP2020008604
(87)【国際公開番号】W WO2020184244
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-07-30
(31)【優先権主張番号】P 2019043812
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】小泉 宙夢
(72)【発明者】
【氏名】尾田 和也
(72)【発明者】
【氏名】水野 明夫
【審査官】藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-125395(JP,A)
【文献】国際公開第2018/147021(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/058859(WO,A1)
【文献】特開2018-163288(JP,A)
【文献】特開2017-97173(JP,A)
【文献】特開2018-141894(JP,A)
【文献】特開2012-194521(JP,A)
【文献】特開2010-243811(JP,A)
【文献】特開2018-169539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 1/00- 69/10
G03F 7/004
G03F 7/027
G02B 5/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジケトピロロピロール顔料と、マゼンタ色染料と、硬化性基を有する化合物と、
光重合開始剤と、を含み、
前記ジケトピロロピロール顔料は、
下記式(1)で表される化合物である顔料Aを含
み、前記着色組成物に含まれるジケトピロロピロール顔料の全質量中における前記顔料Aの割合が99質量%以上であり、
前記マゼンタ色染料は、キサンテン化合物およびシアニン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記硬化性基を有する化合物は、エチレン性不飽和基を有する化合物を含み、
前記着色組成物の全固形分中における前記顔料Aの含有量が35質量%以上であり、
前記顔料Aの100質量部に対して前記マゼンタ色染料を5~50質量部含有する、着色組成物;
【化1】
式中、R
11
およびR
12
はそれぞれ独立して置換基を表し、
R
21
およびR
22
はそれぞれ独立して電子供与性基を表し、前記電子供与性基は、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基またはアミノ基であり、
n11およびn12はそれぞれ独立して0~4の整数を表す。
【請求項2】
前記顔料Aは、下記式(2)で表される化合物である、請求項1に記載の着色組成物;
【化2】
式中、R
11およびR
12はそれぞれ独立して置換基を表し、
R
21およびR
22はそれぞれ独立して電子供与性基を表
し、前記電子供与性基は、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基またはアミノ基であり、
n11およびn12はそれぞれ独立して0~4の整数を表す。
【請求項3】
前記顔料Aが有する前記電子供与性基は、ヒドロキシ基、アルキル基またはアルコキシ基である、請求項1または2に記載の着色組成物。
【請求項4】
前記顔料Aが有する前記電子供与性基
は、炭素数1~3のアルキル基である、請求項1
または2に記載の着色組成物。
【請求項5】
前記顔料Aは赤色顔料である、請求項1~
4のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項6】
前記マゼンタ色染料は、カチオン性シアニン発色団とイミドアニオンとの塩を含む、請求項1~
5のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項7】
前記イミドアニオンは、式(AN-2)で表されるイミドアニオンである、請求項6に記載の着色組成物;
【化3】
式(AN-2)中、Y
1
は、重合性基を有する基を表し、
Y
2
は、式(Y2-1)又は式(Y2-2)で表される基を表す;
【化4】
式(Y2-1)中、R
y1
は、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ化アルキル基、脂環式炭化水素基、アルコキシ基、フッ化アルコキシ基、R
y20
COOR
y21
-又はR
y22
COOR
y23
CFH-を表し、R
y20
及びR
y22
は、それぞれ独立して、アルキル基、脂環式炭化水素基、ヘテロアリール基又は置換若しくは非置換のアリール基を表し、R
y21
及びR
y23
は、それぞれ独立してアルキレン基を表し、nは1以上の整数を表し、*は結合手を表す;
式(Y2-2)中、R
y2
~R
y6
は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、フッ化アルキル基又はアルコキシ基を表し、*は結合手を表し、R
y2
~R
y6
のうち少なくとも1つは、フッ素原子又はフッ化アルキル基である。
【請求項8】
更に、黄色着色剤を含む、請求項1~
7のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項9】
前記着色組成物の全固形分中における前記顔料Aの含有量が40質量%以上である、請求項1~
8のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項10】
前記ジケトピロロピロール顔料は、前記顔料Aを2種以上含む、請求項1~
9のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項11】
固体撮像素子用である、請求項1~
10のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項12】
カラーフィルタ用である、請求項1~
11のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項13】
請求項1~
12のいずれか1項に記載の着色組成物から得られる硬化膜。
【請求項14】
請求項1~
12のいずれか1項に記載の着色組成物を用いて支持体上に着色組成物層を形成する工程と、フォトリソグラフィ法またはドライエッチング法により着色組成物層に対してパターンを形成する工程と、を有するパターン形成方法。
【請求項15】
請求項
13に記載の硬化膜を有するカラーフィルタ。
【請求項16】
請求項
13に記載の硬化膜を有する固体撮像素子。
【請求項17】
請求項
13に記載の硬化膜を有する画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジケトピロロピロール顔料を含む着色組成物に関する。また、本発明は着色組成物を用いた硬化膜、パターン形成方法、カラーフィルタ、固体撮像素子および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ、カメラ付き携帯電話等の普及から、電荷結合素子(CCD)イメージセンサなどの固体撮像素子の需要が大きく伸びている。ディスプレイや光学素子のキーデバイスとしてカラーフィルタが使用されている。カラーフィルタは、通常、赤、緑、及び青の3原色の画素(着色パターン)を備えており、透過光を3原色へ分解する役割を果たしている。カラーフィルタは、顔料などの色材を含む着色組成物を用いて形成されている。また、赤色の画素形成用の着色組成物には、色材としてジケトピロロピロール顔料などが用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1、2の実施例には、ジケトピロロピロール顔料として、カラーインデックスピグメントレッド254(下記の構造式中のR
1およびR
2が塩素原子である化合物)、カラーインデックスピグメントレッド264(下記の構造式中のR
1およびR
2がフェニル基である化合物)、または、下記の構造式のR
1およびR
2が臭素原子である化合物を用いた着色組成物が記載されている。
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-065115号公報
【文献】特開2017-066377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、カラーフィルタなどに用いられる硬化膜の特性について各種の要求が増してきている。そのような要求特性の一つとして、耐熱性のさらなる向上が望まれている。
【0006】
本発明者が特許文献1、2に記載された着色組成物について検討したところ、得られる硬化膜の耐熱性について更なる改善の余地があることが分かった。
【0007】
よって、本発明の目的は耐熱性に優れた硬化膜を形成できる着色組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、着色組成物を用いた硬化膜、パターン形成方法、カラーフィルタ、固体撮像素子および画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者が鋭意検討したところ、後述する着色組成物により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。よって、本発明は以下を提供する。
<1> ジケトピロロピロール顔料と、マゼンタ色染料と、硬化性基を有する化合物と、を含み、
ジケトピロロピロール顔料は、芳香族環に電子供与性基が導入された芳香族環基がジケトピロロピロール骨格に結合した構造を有する顔料Aを含む、着色組成物。
<2> 上記顔料Aが有する上記電子供与性基は、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基およびアミノ基から選ばれる少なくとも1種である、<1>に記載の着色組成物。
<3> 上記顔料Aが有する上記電子供与性基が炭素数1~3のアルキル基である、<1>に記載の着色組成物。
<4> 上記顔料Aが有する上記芳香族環基は、下記式(AR-1)で表される基である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の着色組成物;
【化2】
式中、R
1は置換基を表し、R
2は電子供与性基を表し、nは0~4の整数を表し、波線はジケトピロロピロール骨格との結合部位を表す。
<5> 上記顔料Aは、下記式(1)で表される化合物である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の着色組成物;
【化3】
式中、R
11およびR
12はそれぞれ独立して置換基を表し、R
21およびR
22はそれぞれ独立して電子供与性基を表し、n11およびn12はそれぞれ独立して0~4の整数を表す。
<6> 上記顔料Aは、下記式(2)で表される化合物である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の着色組成物;
【化4】
式中、R
11およびR
12はそれぞれ独立して置換基を表し、R
21およびR
22はそれぞれ独立して電子供与性基を表し、n11およびn12はそれぞれ独立して0~4の整数を表す。
<7> 上記顔料Aは赤色顔料である、<1>~<6>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<8> 上記マゼンタ色染料は、キナクリドン化合物、キサンテン化合物、トリアリールメタン化合物、シアニン化合物、アントラキノン化合物およびジピロメテン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、<1>~<7>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<9> 上記マゼンタ色染料は、カチオン性シアニン発色団とイミドアニオンとの塩を含む、<1>~<7>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<10> 上記顔料Aの100質量部に対して、上記マゼンタ色染料を1~50質量部含む、<1>~<9>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<11> 更に、黄色着色剤を含む、<1>~<10>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<12> 上記硬化性基を有する化合物は、エチレン性不飽和基を有する化合物を含み、上記着色組成物は更に光重合開始剤を含む、<1>~<11>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<13> 上記着色組成物の全固形分中における上記顔料Aの含有量が40質量%以上である、<1>~<12>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<14> 上記ジケトピロロピロール顔料は、上記顔料Aを2種以上含む、<1>~<13>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<15> 上記ジケトピロロピロール顔料は、更に、上記顔料A以外のジケトピロロピロール顔料を含む、<1>~<14>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<16> 固体撮像素子用である、<1>~<15>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<17> カラーフィルタ用である、<1>~<16>のいずれか1つに記載の着色組成物。
<18> <1>~<17>のいずれか1つに記載の着色組成物から得られる硬化膜。
<19> <1>~<17>のいずれか1つに記載の着色組成物を用いて支持体上に着色組成物層を形成する工程と、フォトリソグラフィ法またはドライエッチング法により着色組成物層に対してパターンを形成する工程と、を有するパターン形成方法。
<20> <18>に記載の硬化膜を有するカラーフィルタ。
<21> <18>に記載の硬化膜を有する固体撮像素子。
<22> <18>に記載の硬化膜を有する画像表示装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、耐熱性に優れた硬化膜を形成できる着色組成物を提供することができる。また、本発明は、着色組成物を用いた硬化膜、パターン形成方法、カラーフィルタ、固体撮像素子および画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルの双方、または、いずれかを表す。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法により測定したポリスチレン換算値である。
本明細書において、顔料とは、溶剤に対して溶解しにくい化合物を意味する。例えば、顔料は、23℃の水100gに対する溶解度および23℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gに対する溶解度がいずれも0.1g未満であることが好ましく、0.01g以下であることがより好ましい。
本明細書において、染料とは、溶剤に対して溶解しやすい化合物を意味する。例えば、染料は、23℃の水100gに対する溶解度、または、23℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gに対する溶解度が、0.1g以上であることが好ましく、1g以上であることがより好ましい。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
【0011】
<着色組成物>
本発明の着色組成物は、ジケトピロロピロール顔料と、マゼンタ色染料と、硬化性基を有する化合物と、を含み、ジケトピロロピロール顔料は、芳香族環に電子供与性基が導入された芳香族環基がジケトピロロピロール骨格に結合した構造を有する顔料Aを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の着色組成物を用いることにより、耐熱性に優れた硬化膜を形成することができる。また、一般的に膜中の顔料濃度が高いほど耐熱性が低下しやすい傾向にあったが、本発明の着色組成物は、全固形分中における上記顔料Aの含有量を高めても、耐熱性に優れた硬化膜を形成することができる。詳細なメカニズムは不明であるが、顔料Aとマゼンタ色染料とを併用することにより、顔料A表面にマゼンタ色染料が吸着することで顔料Aの加熱に伴う結晶成長が抑制され、耐熱性に優れた硬化膜を形成することができると推測される。
【0013】
また、顔料Aとして赤色顔料を用いた場合においては、顔料Aとマゼンタ色染料とを併用することにより、波長500nm近傍(例えば、波長500~550nm)の光の遮光性を高めることができ、緑色や青色などとの色分離性に優れた分光特性を有する赤色の画素に適した硬化膜を形成することができる。また、顔料Aは、従来の赤色顔料よりも赤色の色価が高いため、薄膜であっても所望の分光特性を有する硬化膜を形成できる。顔料Aは、ジケトピロロピロール骨格に上記芳香族環基が結合した構造を有するので、HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)-LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)遷移が伸びることで遷移モーメントが大きくなり、その結果顔料Aの赤色の波長領域(例えば、450~600nm)におけるモル吸光係数εが増加したため、赤色の色価が高いと推測される。また、顔料Aは従来の赤色顔料に比べて赤色の色価が高いため、従来の赤色顔料と同等の分光特性を達成するために必要とされる配合量よりも少ない配合量で所望の分光を達成することができるため、顔料以外の成分の配合量を高めることもでき、処方設計の自由度が高い。
【0014】
本発明の着色組成物は、固体撮像素子用の着色組成物として好ましく用いることができる。また、本発明の着色組成物は、カラーフィルタ用の着色組成物として好ましく用いることができる。具体的には、カラーフィルタの画素形成用の着色組成物として好ましく用いることができ、赤色画素形成用の着色組成物としてより好ましく用いられる。また、本発明の着色組成物は、固体撮像素子に用いられるカラーフィルタの画素形成用の着色組成物としてより好ましく用いることができる。
【0015】
本発明の着色組成物は、乾燥後の膜厚が0.5~1.0μmの膜を製膜した際に、前述の膜厚の少なくとも1つにおいて、波長650~700nmの光の透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが更に好ましい。また、前述の膜厚の少なくとも1つにおいて、波長400~550nmの光の透過率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、2%以下であることが更に好ましい。
【0016】
以下、本発明の着色組成物に用いられる各成分について説明する。
【0017】
<<ジケトピロロピロール顔料>>
本発明の着色組成物はジケトピロロピロール顔料を含有する。本発明の着色組成物に用いられるジケトピロロピロール顔料は赤色顔料であることが好ましい。また、ジケトピロロピロール顔料は、23℃の水100gに対する溶解度および23℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gに対する溶解度がいずれも0.1g未満であることが好ましく、0.01g以下であることがより好ましい。
【0018】
(顔料A)
本発明の着色組成物は、ジケトピロロピロール顔料として、芳香族環に電子供与性基が導入された芳香族環基がジケトピロロピロール骨格に結合した構造を有する顔料A(以下、顔料Aという)を含有する。
【0019】
電子供与性基とは、有機電子論において、誘起効果や共鳴効果により、置換した原子団に、電子を供与する原子団である。電子供与性基としては、ハメット則の置換基定数(σp(パラ))として、負の値をとるものが挙げられる。ハメット則の置換基定数(σp(パラ))は、化学便覧基礎編改訂5版(II-380頁)から引用することができる。電子供与性基の具体例としては、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基およびアミノ基が挙げられる。
アルキル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基の炭素数は、1~10が好ましく、1~5がより好ましく、1~3が更に好ましい。これらの基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖が更に好ましい。
アリールオキシ基の炭素数は、6~20が好ましく、6~10がより好ましい。
アミノ基としては、-NRa1Ra2で表される基が挙げられる。Ra1およびRa2は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。Ra1とRa2が結合して環を形成してもよい。Ra1およびRa2が表すアルキル基の炭素数は、1~30が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。Ra1およびRa2が表すアリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。Ra1およびRa2が表す複素環基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。複素環基は、単環または縮合数が2~4の縮合環が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。複素環基の環を構成する炭素原子の数は3~30が好ましく、3~18がより好ましく、3~12がより好ましい。
【0020】
電子供与性基としては、本発明の効果がより顕著に得られやすいという理由から、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基が好ましく、上記の理由に加えてさらに、赤色に適した分光特性に調整しやすいという理由からアルキル基、アルコキシ基がより好ましく、アルキル基が更に好ましく、炭素数1~3のアルキル基が特に好ましい。
【0021】
上記芳香族環基としては、式(AR-1)で表される基であることが好ましい。
【化5】
式中、R
1は置換基を表し、R
2は電子供与性基を表し、nは0~4の整数を表し、波線はジケトピロロピロール骨格との結合部位を表す。
【0022】
式(AR-1)において、R1が表す置換基としては、後述する置換基Tで挙げた基および上述した電子供与性基が挙げられ、電子供与性基であることが好ましい。nが2以上の場合、n個のR1は同一であってもよく、それぞれが異なっていてもよい。
【0023】
式(AR-1)において、R2が表す電子供与性基としては、上述した電子供与性基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
【0024】
式(AR-1)において、nは0~4の整数を表し、0~3の整数であることが好ましく、0~2の整数であることがより好ましく、0または1であることが更に好ましく、1であることが特に好ましい。
【0025】
式(AR-1)において、波線はジケトピロロピロール骨格との結合部位を表す。なお、ジケトピロロピロール骨格とは、以下の構造を意味する。波線は式(AR-1)で表される基などの置換基との結合位置を表す。式(AR-1)で表される基以外の置換基としては、アリール基などが挙げられる。アリール基は置換基を有していてもよい。置換基としては後述する置換基Tで挙げた基が挙げられる。
【化6】
【0026】
顔料Aは、下記式(1)で表される化合物であることが好ましく、より優れた耐熱性が得られやすいという理由から下記式(2)で表される化合物であることがより好ましい。
【化7】
【0027】
上記式中、R11およびR12はそれぞれ独立して置換基を表し、
R21およびR22はそれぞれ独立して電子供与性基を表し、
n11およびn12はそれぞれ独立して0~4の整数を表す。
【0028】
R11およびR12が表す置換基としては、後述する置換基Tで挙げた基および上述した電子供与性基が挙げられ、電子供与性基であることが好ましい。n11が2以上の場合、n11個のR11は同一であってもよく、それぞれが異なっていてもよい。また、n12が2以上の場合、n12個のR12は同一であってもよく、それぞれが異なっていてもよい。
【0029】
R21およびR22が表す電子供与性基としては、上述した電子供与性基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
【0030】
n11およびn12はそれぞれ独立して0~4の整数を表し、0~3の整数であることが好ましく、0~2の整数であることがより好ましく、0または1であることが更に好ましく、1であることが特に好ましい。
【0031】
(置換基T)
置換基Tとしては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アリール基、複素環基、-ORt1、-CORt1、-COORt1、-OCORt1、-NRt1Rt2、-NHCORt1、-CONRt1Rt2、-NHCONRt1Rt2、-NHCOORt1、-SRt1、-SO2Rt1、-SO2ORt1、-NHSO2Rt1または-SO2NRt1Rt2が挙げられる。Rt1およびRt2は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。Rt1とRt2が結合して環を形成してもよい。
【0032】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
アルキル基の炭素数は、1~30が好ましく、1~15がより好ましく、1~8が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。
アリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。
複素環基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。複素環基は、単環または縮合数が2~4の縮合環が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。複素環基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。複素環基の環を構成する炭素原子の数は3~30が好ましく、3~18がより好ましく、3~12がより好ましい。
アルキル基、アリール基および複素環基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、上述した置換基Tで説明した置換基が挙げられる。
【0033】
顔料Aの具体例としては、下記構造の化合物が挙げられる。
【化8】
【0034】
本発明の着色組成物に用いられるジケトピロロピロール顔料は、顔料Aを1種のみ含んでいてよく、2種以上含んでいてもよい。顔料Aを1種のみ含む場合は、色ムラの少ない硬化膜を形成しやすい。顔料Aを2種以上含む場合は、硬化膜の分光特性を調整しやすい。
【0035】
本発明で用いられる顔料Aは赤色顔料であることが好ましい。赤色顔料である顔料Aとマゼンタ色染料とを併用することにより、耐熱性に優れ、かつ、緑色や青色などとの色分離性に優れた分光特性を有する赤色の画素に適した硬化膜を形成することができる。
【0036】
(他のジケトピロロピロール顔料)
本発明の着色組成物は、上述した顔料A以外のジケトピロロピロール顔料(以下、他のジケトピロロピロール顔料ともいう)を含有することができる。他のジケトピロロピロール顔料は赤色顔料であることが好ましい。他のジケトピロロピロール顔料としては、下記式(10)で表される化合物などが挙げられる。
【化9】
【0037】
式中、R31およびR32は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子またはフェニル基を表す。R31およびR32が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。
【0038】
また、他のジケトピロロピロール顔料として、特開2017-201384号公報に記載の構造中に少なくとも1つ臭素原子が置換したジケトピロロピロール化合物、特許第6248838号の段落番号0016~0022に記載のジケトピロロピロール化合物、国際公開第2012/102399号に記載のジケトピロロピロール化合物、国際公開第2012/117965号に記載のジケトピロロピロール化合物などを用いることもできる。
【0039】
他のジケトピロロピロール顔料の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【化10】
【0040】
顔料Aの含有量は、着色組成物の全固形分中35質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、45質量%以上であることが更に好ましく、50質量%以上であることがより一層好ましい。上限は、80質量%以下とすることができる。
【0041】
着色組成物に含まれるジケトピロロピロール顔料は、実質的に顔料Aのみであってもよく、他のジケトピロロピロール顔料を更に含んでいてもよい。ジケトピロロピロール顔料が、実質的に顔料Aのみである場合は、色ムラの少ない硬化膜を形成しやすい。なお、ジケトピロロピロール顔料が、実質的に顔料Aのみである場合とは、着色組成物に含まれるジケトピロロピロール顔料の全質量中における顔料Aの割合が99質量%以上であることを意味し、99.5質量%以上であることが好ましく、99.9質量%以上であることが更に好ましく、顔料Aのみで構成されていることが特に好ましい。また、ジケトピロロピロール顔料が、顔料Aの他に更に他のジケトピロロピロール顔料を含む場合は、硬化膜の分光特性を調整しやすい。顔料Aと他のジケトピロロピロール顔料とを併用する場合、他のジケトピロロピロール顔料の含有量は、顔料Aの100質量部に対しては0.1~50質量部であることが好ましく、1~35質量部であることがより好ましく、5~20質量部であることが更に好ましい。
【0042】
ジケトピロロピロール顔料(顔料Aの他に他のジケトピロロピロール顔料を含む場合はそれらの合計量)の含有量は、着色組成物の全固形分中25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、35質量%以上であることが更に好ましく、40質量%以上であることがより一層好ましい。上限は、80質量%以下とすることができる。
【0043】
<<マゼンタ色染料>>
本発明の着色組成物はマゼンタ色染料を含有する。ここで、本明細書において、マゼンタ色とは緑色の補色の色相のことである。また、補色とは、色相環(color circle)で正反対に位置する関係の色の組合せのことである。また、マゼンタ色染料とはマゼンタ色の色相を呈する染料のことである。
【0044】
本発明で用いられるマゼンタ色染料としては、緑の波長の光の吸光度が高く、かつ、赤色および青色の波長の光の吸光度の低い染料が挙げられ、波長500~550nmの範囲の光の吸光度が高く、かつ、波長400~480nmの範囲の光の吸光度と、波長600~700nmの範囲の光の吸光度が低い染料であることが好ましい。
【0045】
本発明で用いられるマゼンタ色染料は、下記式(1)で表されるΔλが150nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
【0046】
Δλ=λ2-λ1 (1)
式中、λ1はマゼンタ色染料の極大吸収波長の吸光度を1とした場合に、吸光度が0.5となる極大吸収波長よりも短波長側の波長であり、λ2はマゼンタ色染料の極大吸収波長の吸光度を1とした場合に、吸光度が0.5となる極大吸収波長よりも長波長側の波長である。
【0047】
マゼンタ色染料の極大吸収波長は、波長450~600nmの範囲に有することが好ましく、475~575nmの範囲に有することがより好ましく、500~550nmの範囲に有することが更に好ましい。
【0048】
本発明で用いられるマゼンタ色染料は、波長400~480nmの範囲の光の吸光度の最大値A1と、波長500~550nmの範囲の光の吸光度の最小値A2との比(A1/A2)が0.2~0.8であることが好ましく、0.3~0.7であることがより好ましく、0.4~0.6であることが更に好ましい。また、マゼンタ色染料は、波長600~700nmの範囲の光の吸光度の最大値A3と、波長500~550nmの範囲の光の吸光度の最小値A2との比(A3/A2)が0.3以下であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましく、0.1以下であることが更に好ましい。また、マゼンタ色染料は、波長600~700nmの範囲の光の吸光度の最大値A3と波長400~480nmの範囲の光の吸光度の最大値A1との比(A3/A1)が0.1以下であることが好ましく、0.03以下であることがより好ましく、0.02以下であることが更に好ましい。
【0049】
本発明で用いられるマゼンタ色染料は、波長440nmの光の吸光度A440と、波長525nmの光の吸光度A525との比(A440/A525)が0.001~0.15であることが好ましく、0.005~0.10であることがより好ましく、0.01~0.05であることが更に好ましい。また、マゼンタ色染料は、波長650nmの光の吸光度A650と、波長525nmの光の吸光度A525との比(A650/A525)が0.2以下であることが好ましく、0.1以下であることがより好ましく、0.05以下であることが更に好ましい。また、マゼンタ色染料は、波長650nmの光の吸光度A650と波長440nmの光の吸光度A440との比(A650/A440)が0.1以下であることが好ましく、0.03以下であることがより好ましく、0.02以下であることが更に好ましい。
【0050】
マゼンタ色染料の吸光度および極大吸収波長は、マゼンタ色染料と樹脂とを含む組成物を用いて膜を形成し、膜の分光特性について分光光度計を用いて測定する方法、マゼンタ色染料を溶剤に溶解させて染料溶液を調製し、染料溶液の分光特性について分光光度計を用いて測定する方法により測定することができる。
【0051】
本発明で用いられるマゼンタ色染料は、23℃の水100gに対する溶解度、または、23℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gに対する溶解度が、0.1g以上であることが好ましく、1g以上であることがより好ましい。
【0052】
本発明で用いられるマゼンタ色染料は、キナクリドン化合物、キサンテン化合物、トリアリールメタン化合物、シアニン化合物、アントラキノン化合物およびジピロメテン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、キサンテン化合物およびシアニン化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、シアニン化合物を含むことが更に好ましい。また、シアニン化合物としては、カチオン性シアニン発色団と、対アニオンとの塩であることが好ましい。
【0053】
(カチオン性シアニン発色団)
カチオン性シアニン発色団としては、下記式(Cy1)で表される構造が挙げられる。
【0054】
【0055】
式(Cy1)において、Rc1~Rc3は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又は炭化水素基を表し、環Z1及び環Z2は、それぞれ独立して複素環を表し、pは、1又は2を表す。但し、pが2であるとき、複数存在するRc1及びRc2は同一でも異なっていても良い。
【0056】
環Z1及び環Z2が表す複素環は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。複素環は、不飽和環であってもよく、飽和環であってもよい。また縮合環は、同種又は異種の2以上のヘテロ原子(例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子)を環内に有していてもよい。複素環の具体例としては、ピロリジン環、ピラゾリン環、モルホリン環、チオモルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環、ホモピペラジン環、テトラヒドロピリミジン環等の含窒素脂環式複素環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、キノキサリン環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール、フタルイミド環等の含窒素芳香族複素環、チエニル環、フラン環、プリン環等のその他の芳香族複素環を挙げることができる。中でも、含窒素芳香族複素環が好ましく、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環がより好ましく、インドール環が更に好ましい。
【0057】
pは1又は2を表し、1が好ましい。
【0058】
Rc1~Rc3が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
Rc1~Rc3が表す炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基を挙げることができる。ここで、本明細書において「脂環式炭化水素基」とは、環状構造を有さない脂肪族炭化水素基を除く概念である。
【0059】
脂肪族炭化水素基としては、飽和でも不飽和でもよく、例えば、直鎖または分岐のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~20であり、更に好ましくは1~12である。直鎖または分岐のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、1-メチルデシル基、ドデシル基、1-メチルウンデシル基、1-エチルデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、tert-ドデシル基、ペンタデシル基、1-ヘプチルオクチル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。直鎖または分岐のアルケニル基の具体例としては、エテニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、2-エチル-2-ブテニル基、2-オクテニル基、(4-エテニル)-5-ヘキセニル基、2-デセニル基等が挙げられる。また、直鎖または分岐のアルキニル基の具体例としては、エチニル基、1-プロピニル基、1-ブチニル基、1-ペンチニル基、3-ペンチニル基、1-ヘキシニル基、2-エチル-2-ブチニル基、2-オクチニル基、(4-エチニル)-5-ヘキシニル基、2-デシニル基等が挙げられる。
【0060】
脂環式炭化水素基としては、例えば、環状のアルキル基(シクロアルキル基)、環状のアルケニル基(シクロアルケニル基)、縮合多環炭化水素基、橋かけ環炭化水素基、スピロ炭化水素基、環状テルペン炭化水素基等が挙げられる。脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは3~30であり、より好ましくは3~20であり、更に好ましくは3~12である。シクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、t-ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられ、シクロアルケニル基の具体例としては、1-シクロヘキセニル基等が挙げられる。縮合多環炭化水素基の具体例としては、トリシクロデカニル基、デカヒドロ-2-ナフチル基、アダマンチル基等が挙げられる。橋かけ環炭化水素基の具体例としては、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル基、ペンタシクロペンタデカニル基、イソボルニル基、ジシクロペンテニル基、トリシクロペンテニル基等が挙げられる。スピロ炭化水素基の具体例としては、スピロ[3,4]ヘプタン、スピロ[3,4]オクタンから水素原子を1つ除いた1価の基等が挙げられる。環状テルペン炭化水素基の具体例としては、p-メンタン、ツジャン、カラン等から水素原子を1つ除いた1価の基等が挙げられる。
【0061】
芳香族炭化水素基としては、例えば、アリール基等を挙げることができる。芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6~20、より好ましくは6~14、更に好ましくは6~10である。
【0062】
Rc1~Rc3は水素原子であることが好ましい。
【0063】
環Z1及び環Z2が表す複素環および、Rc1~Rc3が表す炭化水素基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ホルミル基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、トリアルキルシリル基、メルカプト基、アリル基、アルキルスルホニル基、アルキルスルファモイル基、脂肪族炭化水素基、複素環基、芳香族炭化水素基および架橋性基を有する有機基などが挙げられる。これら置換基は、更に置換基を有していてもよい。
【0064】
架橋性基を有する有機基は、架橋性基を含み、全体で炭素原子-水素原子結合を含み、また必要に応じて炭素以外の原子を含んでも良い原子団で構成される基を示す。具体的には、下記式(P-1)で表される基が挙げられる。
-Lp1-Rp1 ・・・(P-1)
式中、Lp1は単結合または連結基を表し、Rp1は架橋性基を表す。Lp1が表す連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、-O-、-CO-、-NH-、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NHCO-およびこれらを組み合わせてなる基が挙げられる。Rp1が表す架橋性基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、エポキシ基、イソシアネート基などが挙げられる。
【0065】
式(Cy1)で表される構造は、下記式(Cy2)で表される構造であることが好ましい。
【0066】
【0067】
式(Cy2)において、Rc1~Rc3は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又は炭化水素基を表し、環Z1A及び環Z2Aは、それぞれ独立して芳香族炭化水素環を表し、T1及びT2は、それぞれ独立して-O-、-S-又は-CRc6Rc7-を表し、Rc4~Rc7は、それぞれ独立して炭化水素基を表す。
【0068】
環Z1A及び環Z2Aが表す芳香族炭化水素環としては、炭素数6~20の芳香族炭化水素環が好ましく、炭素数6~10の芳香族炭化水素環がより好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
【0069】
式(Cy2)のRc1~Rc3は、式(Cy1)のRc1~Rc3と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0070】
式(Cy2)のT1及びT2は、-O-、-CRc6Rc7-が好ましい。Rc6及びRc7が表す炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖または分岐のアルキル基がより好ましく、炭素数1~8の直鎖または分岐のアルキル基が更に好ましく、炭素数1~4の直鎖または分岐のアルキル基がより一層好ましく、メチル基またはエチル基が特に好ましい。
【0071】
Rc4及びRc5が表す炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。具体例としては、Rc1~Rc3が表す炭化水素基として例示したものと同様のものを挙げることができる。中でも、Rc4及びRc5が表す炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖または分岐のアルキル基がより好ましく、炭素数1~12の直鎖または分岐のアルキル基が更に好ましく、炭素数1~8の直鎖または分岐のアルキル基がより一層好ましく、炭素数1~6の直鎖または分岐のアルキル基が特に好ましい。
【0072】
環Z1A及び環Z2Aが表す芳香族炭化水素環および、Rc4~Rc5が表す炭化水素基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、上述した置換基が挙げられる。
【0073】
カチオン性シアニン発色団の具体例としては、後述する実施例に示す構造の発色団、特開2017-066377号公報の段落番号0030~0033に記載された構造の発色団、特開2015-232642号公報の段落番号0038~0047に記載された構造の発色団などが挙げられる。
【0074】
(対アニオン)
対アニオンとしては、ハロゲン化物アニオン(フッ素アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオンなど)、過ハロゲン酸アニオン(ClO4
-、FO4
-、BrO4
-、IO4
-等)、チオシアン酸アニオン(SCN-等)、硫酸アニオン、ヘテロポリ酸、カルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、脂肪酸アニオン、フッ素基含有ホウ素アニオン、フッ素基含有リンアニオン、イミドアニオン、メチドアニオン、アニオン性基を側鎖に有する樹脂などが挙げられる。具体例としては、特開2015-232642号公報の段落番号0048~0144、特開2017-066377号公報の段落番号0034~0063に記載されたアニオンが挙げられる。なかでも、より優れた耐熱性を有する硬化膜を形成しやすいという理由から、アニオン性基を側鎖に有する樹脂およびイミドアニンであることが好ましく、イミドアニオンであることがより好ましい。すなわち、本発明で用いられるマゼンタ色染料は、より優れた耐熱性を有する硬化膜が得られやすいという理由から、カチオン性シアニン発色団とイミドアニオンとの塩、および、カチオン性シアニン発色団とアニオン性基を側鎖に有する樹脂との塩であることが好ましく、カチオン性シアニン発色団とイミドアニオンとの塩であることがより好ましい。
【0075】
[イミドアニオン]
イミドアニオンとしては、式(AN-1)で表されるアニオン、および、式(AN-2)で表されるアニオンが挙げられ、式(AN-2)で表されるアニオンであることが好ましい。
【0076】
式(AN-1)
【化13】
式(AN-1)中、X
1およびX
2は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、または複素環基を表す。X
1とX
2は結合して環を形成していてもよい。
【0077】
X1およびX2が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
【0078】
X1およびX2が表す脂肪族炭化水素基としては、直鎖または分岐のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~20であり、更に好ましくは1~12である。直鎖または分岐のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、ペンタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソオクチル基などが挙げられる。
【0079】
X1およびX2が表す脂環式炭化水素基としては、環状のアルキル基(シクロアルキル基)、環状のアルケニル基(シクロアルケニル基)、縮合多環炭化水素基、橋かけ環炭化水素基、スピロ炭化水素基、環状テルペン炭化水素基等が挙げられる。脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは3~30であり、より好ましくは3~20であり、更に好ましくは3~12である。脂環式炭化水素基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基などが挙げられる。
X1およびX2が表す芳香族炭化水素基としては、アリール基等を挙げることができる。芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6~20、より好ましくは6~14、更に好ましくは6~10である。芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0080】
X1およびX2が表す複素環基としては、単環であってもよく、縮合環であってもよい。複素環は、不飽和環であってもよく、飽和環であってもよい。また縮合環は、同種又は異種の2以上のヘテロ原子(例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子)を環内に有していてもよい。複素環の具体例としては、インドール環基、ベンゾインドール環基、インドレニン環基、ベンゾインドレニン環基、オキサゾール環基、ベンゾオキサゾール環基、チアゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ベンゾイミダゾール環基、キノリン環基等が挙げられる。
【0081】
X1およびX2が表す脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基および複素環基は置換基を有していてもよい。置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基などの脂肪族炭化水素基;(メタ)アクリロイル基、ビニルアリール基、ビニルオキシ基、アリル基、エポキシ基などの架橋性基;フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、キシリル基、メシチル基、o-クメニル基、m-クメニル基、p-クメニル基などの芳香族炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基などのアルコキシ基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などのエステル結合を有する基;メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスルファモイル基、n-プロピルスルファモイル基、ジ-n-プロピルスルファモイル基、イソプロピルスルファモイル基、ジイソプロピルスルファモイル基、n-ブチルスルファモイル基、ジ-n-ブチルスルファモイル基などのアルキルスルファモイル基;メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n-ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec-ブチルスルホニル基、tert-ブチルスルホニル基などのアルキルスルホニル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;ニトロ基、シアノ基が挙げられる。
【0082】
式(AN-1)において、X1は置換基を有してもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい脂環式炭化水素基、または置換基を有してもよい芳香族炭化水素基であることが好ましい。また、X2は置換基を有してもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有してもよい複素環基であることが好ましい。
【0083】
式(AN-1)のX1としては、フッ素原子で置換された炭素数1~20のアルキル基もしくは芳香族炭化水素基が好ましく、フッ素原子で置換された炭素数1~20のアルキル基がより好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。また、式(AN-1)のX2としては、フッ素原子で置換された芳香族炭化水素基が好ましく、p-フルオロフェニル基、またはペンタフルオロフェニル基がより好ましい。
【0084】
式(AN-1)で表されるアニオンの具体例としては、特開2015-232642号公報の段落番号0074~0077に記載された構造のアニオンが挙げられる。
【0085】
【0086】
式(AN-2)中、Y1は、重合性基を有する基を表す。
Y2は、ハロゲン原子を表すか、ハロゲン化炭化水素基を表すか、又は炭素原子、水素原子若しくはハロゲン原子以外の原子を含む連結基と、ハロゲン置換アルキレン基と、アルキル基、脂環式炭化水素基、ヘテロアリール基及びアリール基から選ばれる1価の基とを組み合わせてなる基を表す。
【0087】
Y2が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。Y2が表すハロゲン化炭化水素基の骨格をなす炭化水素基としては、例えば、(1)脂肪族炭化水素基、(2)脂環式炭化水素基、(3)置換基として脂環式炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基(以下、「脂環式炭化水素置換脂肪族炭化水素基」と称する)、(4)芳香族炭化水素基、(5)置換基として脂肪族炭化水素基を有する芳香族炭化水素基(以下、「脂肪族炭化水素置換芳香族炭化水素基」と称する)、(6)置換基として芳香族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基(以下、「芳香族炭化水素置換脂肪族炭化水素基」と称する)等を挙げることができる。Y2の骨格をなす炭化水素基としては、有機溶剤に対する溶解性の観点から、以下の特性基であることが好ましい。即ち、上記(1)脂肪族炭化水素基としては、アルキル基が好ましく、その炭素数としては、1~20であることが好ましく、特に1~8であることが好ましい。上記(2)脂環式炭化水素基は、2~4環の橋かけ脂環式炭化水素基でもよい。脂環式炭化水素基としては、炭素数3~20、更に炭素数3~12の脂環式飽和炭化水素基が好ましい。上記(3)脂環式炭化水素置換脂肪族炭化水素基としては、脂環式飽和炭化水素置換アルキル基が好ましく、その総炭素数としては、4~20であることが好ましく、特に6~14であることが好ましい。上記(4)芳香族炭化水素基としては、炭素数6~14、更に炭素数6~10のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。上記(5)脂肪族炭化水素置換芳香族炭化水素基としては、アルキル置換フェニル基が好ましく、その総炭素数としては、7~30であることが好ましく、特に7~20であることが好ましい。具体的には、例えばトリル基、キシリル基、メシチル基等を挙げることができる。上記(6)芳香族炭化水素置換脂肪族炭化水素基としては、アラルキル基が好ましく、その総炭素数としては、7~30であることが好ましく、特に7~20であることが好ましい。これらのうち、ハロゲン化炭化水素基の骨格をなす炭化水素基としては、(1)脂肪族炭化水素基、(3)脂環式炭化水素置換脂肪族炭化水素基、(4)芳香族炭化水素基、(5)脂肪族炭化水素置換芳香族炭化水素基又は(6)芳香族炭化水素置換脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基、脂環式飽和炭化水素置換アルキル基、フェニル基、アルキル置換フェニル基、アラルキル基がより好ましく、特にアルキル基が好ましい。また、Y2において、ハロゲン化炭化水素基中のハロゲン原子としては、マゼンタ色染料の耐熱性の観点から、フッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化炭化水素基は、炭化水素基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されているものであることが好ましい。
【0088】
式(AN-2)のY2は、炭素原子、水素原子若しくはハロゲン原子以外の原子を含む連結基と、ハロゲン置換アルキレン基と、アルキル基、脂環式炭化水素基、ヘテロアリール基及び置換若しくは非置換のアリール基から選ばれる1価の基とを組み合わせてなる基であってもよい。炭素原子、水素原子及びハロゲン原子以外の原子を含む連結基としては、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-CONH-、-SO2-等を挙げることができる。また、ハロゲン置換アルキレン基としては、アルキレン基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子に置換した基が挙げられる。アルキレン基の炭素数は、1~10が好ましい。アルキレン基に置換するハロゲン原子の種類としては、耐熱性の観点から、フッ素原子が好ましい。前述のアルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~8がより好ましい。脂環式炭化水素基の炭素数は、3~20が好ましく、3~12がより好ましい。ヘテロアリール基としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれる1以上のヘテロ原子を含む5~10員の芳香族複素環から構成される基が好ましい。具体的には、例えばフリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、ピリジル基、キノリニル基、カルバゾリル基等を挙げることができる。アリール基としては、炭素数6~14、更に炭素数6~10のアリール基が好ましく、特にフェニル基、ナフチル基が好ましい。なお、アリール基の置換基としては、例えば、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ハロゲン原子又はトリフルオロメチル基が挙げられる。なお、置換基の位置及び数は任意であり、置換基を2以上有する場合、これらの置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0089】
耐熱性の観点から、式(AN-2)のY2は、ハロゲン化炭化水素基、又は炭素原子、水素原子若しくはハロゲン原子以外の原子を含む連結基と、ハロゲン置換アルキレン基と、アルキル基、脂環式炭化水素基、ヘテロアリール基及び置換若しくは非置換のアリール基から選ばれる1価の基とを組み合わせてなる基が好ましく、下記式(Y2-1)又は(Y2-2)で表される基がより好ましく、下記式(Y2-1)で表される基が更に好ましい。
【0090】
【0091】
式(Y2-1)において、Ry1は、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ化アルキル基、脂環式炭化水素基、アルコキシ基、フッ化アルコキシ基、Ry20COORy21-又はRy22COORy23CFH-を表し、
Ry20及びRy22は、それぞれ独立して、アルキル基、脂環式炭化水素基、ヘテロアリール基又は置換若しくは非置換のアリール基を表し、
Ry21及びRy23は、それぞれ独立してアルキレン基を表し、
nは1以上の整数を表し、
*は結合手を表す。
【0092】
式(Y2-2)において、Ry2~Ry6は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、フッ化アルキル基又はアルコキシ基を表し、*は結合手を表す。但し、Ry2~Ry6のうち少なくとも1つは、フッ素原子又はフッ化アルキル基である。
【0093】
式(AN-2)のY1は、重合性基を有する基を表す。Y1が表す重合性基を有する基としては、式(Y1-1)で表される基であることが好ましい。
Q1-L1-* ・・・(Y1-1)
【0094】
式(Y1-1)において、L1は単結合又は2価の連結基を表し、Q1は重合性基を表し、*は結合手を表す。
【0095】
L1が表す2価の連結基としては、2価の炭化水素基;2価の炭化水素基と-NRa-、-SO-、-SO2-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-CONRa-、-NRaCO-および-S-から選ばれる基とを組み合わせてなる基が挙げられる。Raは水素原子又は炭素数1~8のアルキル基を表す。2価の炭化水素基としては、アルキレン基、アリーレン基などが挙げられる。2価の炭化水素基は、水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で置換されていてもよい。
L1が表す2価の連結基は、炭素数1~10のアルキレン基;炭素数6~20のアリーレン基;炭素数7~20のアリーレンアルキレン基;炭素数1~10のアルキレン基及び炭素数6~20のアリーレン基から選ばれる少なくとも1種と、-O-、-S-、-COO-、-CONRa-及び-SO2-から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせてなる基が好ましい。
【0096】
Q1が表す重合性基としては、エチレン性不飽和基が挙げられる。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、(メタ)アクリロイル基およびスチレン基などが挙げられ、(メタ)アクリロイル基およびスチレン基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
【0097】
式(AN-2)のY1が表す重合性基を有する基は、耐熱性の観点から式(Y1-2)で表される基であることが好ましい。
Q1-L2-SO2-* ・・・(Y1-2)
【0098】
式(Y1-2)において、L2は単結合又は2価の連結基を表し、Q1は重合性基を表し、*は結合手を表す。
【0099】
式(Y1-2)のQ1は、式(Y1-1)のQ1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0100】
L2が表す2価の連結基としては、2価の炭化水素基;2価の炭化水素基と-NRa-、-SO-、-SO2-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-CONRa-、-NRaCO-および-S-から選ばれる基とを組み合わせてなる基が挙げられる。L2が表す2価の連結基としては、炭素数1~10のアルキレン基;炭素数6~20のアリーレン基;炭素数1~10のアルキレン基及び炭素数6~20のアリーレン基から選ばれる少なくとも1種と、-O-とを組み合わせてなる基が好ましい。
【0101】
式(AN-2)で表されるアニオンの具体例としては後述する実施例に記載の構造のアニオン、特開2017-066377号公報の段落番号0142に記載のアニオンなどが挙げられる。
【0102】
[アニオン性基を側鎖に有する樹脂]
アニオン性基を側鎖に有する樹脂としては、下記式(AN-10)で表される繰り返し単位を有する樹脂が挙げられる。
式(AN-10)
【化16】
【0103】
式(AN-10)中、R100は水素原子またはアルキル基を表す。L10はアルキレン基、アリーレン基、-CONH-R101-、または-COO-R101-を表し、R101はアルキレン基を表す。P10は、アニオン性基を表す。
【0104】
R100が表すアルキル基の炭素数は、1~12が好ましく、1~8がより好ましく、1~4が更に好ましい。アルキル基は直鎖のアルキル基であることが好ましい。R100が表すアルキル基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基などが挙げられる。R100としては、水素原子またはメチル基であることが好ましい。
【0105】
P10が表すアニオン性基としては、-SO3
-、-COO-が挙げられ、-SO3
-が好ましい。
【0106】
L10は、-CONH-R101-、-COO-R101-であることが好ましく、-COO-R101-であることがより好ましい。
【0107】
アニオン性基を側鎖に有する樹脂は、式(AN-10)で表される繰り返し単位の他に他の繰り返し単位を含んでいてもよい。他の繰り返し単位としては、重合性基を有する繰り返し単位などが挙げられる。
【0108】
アニオン性基を側鎖に有する樹脂の重量平均分子量は、1000~500000であることが好ましく、3000~15000であることがより好ましい。アニオン性基を側鎖に有する樹脂の詳細については、特開2015-232642号公報の段落番号0101~0144に記載されており、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0109】
本発明の着色組成物は、顔料Aの100質量部に対してマゼンタ色染料を1~50質量部含有することが好ましい。上限は40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましい。下限は3質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましい。マゼンタ色染料の含有量が上記範囲であれば、より優れた耐熱性が得られやすい。
【0110】
また、マゼンタ色染料の含有量は、着色組成物の全固形分中0.4~30質量%であることが好ましい。上限は、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましい。下限は、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが更に好ましい。
【0111】
また、顔料Aとマゼンタ色染料の合計の含有量は、着色組成物の全固形分中30~85質量%であることが好ましい。上限は、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましい。下限は、35質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、45質量%以上であることが更に好ましい。
【0112】
<<他の着色剤>>
本発明の着色組成物はジケトピロロピロール顔料およびマゼンタ色染料以外の着色剤(以下、他の着色剤ともいう)を含有することができる。他の着色剤は、顔料であってもよく、染料であってもよい。顔料と染料とを併用してもよい。本発明で用いられる他の着色剤は、顔料を含むことが好ましい。また、顔料は有機顔料であってもよく、無機顔料であってもよい。また、顔料には、無機顔料または有機‐無機顔料の一部を有機発色団で置換した材料を用いることもできる。無機顔料や有機‐無機顔料を有機発色団で置換することで、色相設計をしやすくできる。
他の着色剤中における顔料の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。また、他の着色剤は顔料のみであってもよい。
【0113】
本発明の着色組成物は、他の着色剤として黄色着色剤を含むことが好ましく、黄色顔料を含むことがより好ましい。この態様によれば、赤色の画素に適した分光特性を有する硬化膜を形成しやすい。また、他の着色剤として黄色顔料を用いた場合においては、顔料Aの分散性を向上させることもできる。
【0114】
黄色着色剤としては、アゾ化合物、キノフタロン化合物、イソインドリノン化合物、イソインドリン化合物およびアントラキノン化合物等が挙げられ、イソインドリン化合物、アゾ化合物およびキノフタロン化合物が好ましく、イソインドリン化合物およびアゾ化合物がより好ましく、赤色により適した分光特性を有する硬化膜を形成しやすいという理由からイソインドリン化合物が特に好ましい。
【0115】
黄色着色剤としては、カラーインデックス(C.I.)ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214,215,228,231,232(メチン系),233(キノリン系)等の黄色顔料が挙げられる。
【0116】
また、黄色着色剤として、特開2017-201003号公報に記載されている化合物、特開2017-197719号公報に記載されている化合物、特開2017-171912号公報の段落番号0011~0062、0137~0276に記載されている化合物、特開2017-171913号公報の段落番号0010~0062、0138~0295に記載されている化合物、特開2017-171914号公報の段落番号0011~0062、0139~0190に記載されている化合物、特開2017-171915号公報の段落番号0010~0065、0142~0222に記載されている化合物、特開2013-054339号公報の段落番号0011~0034に記載されているキノフタロン化合物、特開2014-026228号公報の段落番号0013~0058に記載されているキノフタロン化合物、特開2018-062644号公報に記載されているイソインドリン化合物、特開2018-203798号公報に記載されているキノフタロン化合物、特開2018-062578号公報に記載されているキノフタロン化合物、特許第6432077号公報に記載されているキノフタロン化合物、特許第6432076号公報に記載されているキノフタロン化合物、特開2018-155881号公報に記載されているキノフタロン化合物、特開2018-111757号公報に記載されているキノフタロン化合物、特開2018-040835号公報に記載されているキノフタロン化合物、特開2017-197640号公報に記載されているキノフタロン化合物、特開2016-145282号公報に記載されているキノフタロン化合物、特開2014-085565号公報に記載されているキノフタロン化合物、特開2014-021139号公報に記載されているキノフタロン化合物、特開2013-209614号公報に記載されているキノフタロン化合物、特開2013-209435号公報に記載されているキノフタロン化合物、特開2013-181015号公報に記載されているキノフタロン化合物、特開2013-061622号公報に記載されているキノフタロン化合物、特開2013-054339号公報に記載されているキノフタロン化合物、特開2013-032486号公報に記載されているキノフタロン化合物、特開2012-226110号公報に記載されているキノフタロン化合物、特開2008-074987号公報に記載されているキノフタロン化合物、特開2008-081565号公報に記載されているキノフタロン化合物、特開2008-074986号公報に記載されているキノフタロン化合物、特開2008-074985号公報に記載されているキノフタロン化合物、特開2008-050420号公報に記載されているキノフタロン化合物、特開2008-031281号公報に記載されているキノフタロン化合物、特公昭48-032765号公報に記載されているキノフタロン化合物、特開2019-008014号公報に記載されているキノフタロン化合物、下記式(QP1)で表される化合物を用いることもできる。
【化17】
【0117】
式(QP1)中、X1~X16は各々独立に水素原子又はハロゲン原子を表し、Z1は炭素数1~3のアルキレン基を表す。式(QP1)で表される化合物の具体例としては、特許第6443711号公報の段落番号0016に記載されている化合物が挙げられる。
【0118】
黄色着色剤としては、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150およびC.I.ピグメントイエロー185から選ばれる1種以上であることが更に好ましく、C.I.ピグメントイエロー139およびC.I.ピグメントイエロー150から選ばれる1種以上であることがより一層好ましく、C.I.ピグメントイエロー139であることが特に好ましい。
【0119】
黄色着色剤以外の着色剤としては、以下が挙げられる。
【0120】
C.I.ピグメントオレンジ2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73等、
C.I.ピグメントグリーン7,10,36,37,58,59,62,63等、
C.I.ピグメントバイオレット1,19,23,27,32,37,42,60(トリアリールメタン系),61(キサンテン系)等、
C.I.ピグメントブルー1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,29,60,64,66,79,80,87(モノアゾ系),88(メチン/ポリメチン系)等、
C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,270,279,294(キサンテン系、Organo Ultramarine、Bluish Red),295(モノアゾ系),296(ジアゾ系)等。
【0121】
また、緑色顔料として、1分子中のハロゲン原子数が平均10~14個であり、臭素原子数が平均8~12個であり、塩素原子数が平均2~5個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を用いることもできる。具体例としては、国際公開第2015/118720号に記載の化合物が挙げられる。また、緑色顔料として中国特許出願第106909027号明細書に記載の化合物、国際公開第2012/102395号に記載のリン酸エステルを配位子として有するフタロシアニン化合物、特開2019-008014号公報に記載のフタロシアニン化合物および特開2018-180023号公報に記載のフタロシアニン化合物を用いることができる。
【0122】
また、青色顔料として、リン原子を有するアルミニウムフタロシアニン化合物を用いることもできる。具体例としては、特開2012-247591号公報の段落0022~0030、特開2011-157478号公報の段落0047に記載の化合物が挙げられる。
【0123】
マゼンタ色染料以外の染料としては特に制限はなく、公知の染料が使用できる。ピラゾールアゾ化合物、アニリノアゾ化合物、トリアリールメタン化合物、アントラキノン化合物、アントラピリドン化合物、ベンジリデン化合物、オキソノール化合物、ピラゾロトリアゾールアゾ化合物、ピリドンアゾ化合物、シアニン化合物、フェノチアジン化合物、ピロロピラゾールアゾメチン化合物、キサンテン化合物、フタロシアニン化合物、ベンゾピラン化合物、インジゴ化合物、ピロメテン化合物が挙げられる。
【0124】
また、他の着色剤として、特開2012-158649号公報に記載のチアゾール化合物、特開2011-184493号公報に記載のアゾ化合物、特開2011-145540号公報に記載のアゾ化合物を用いることもできる。
【0125】
また、他の着色剤として色素多量体を用いることもできる。色素多量体は、溶剤に溶解して用いられる染料であることが好ましいが、色素多量体は、粒子を形成していてもよく、色素多量体が粒子である場合は通常溶剤に分散した状態で用いられる。粒子状態の色素多量体は、例えば乳化重合によって得ることができ、特開2015-214682号公報に記載されている化合物および製造方法が具体例として挙げられる。色素多量体は、一分子中に、色素構造を2以上有するものであり、色素構造を3以上有することが好ましい。上限は、特に限定はないが、100以下とすることもできる。一分子中に有する複数の色素構造は、同一の色素構造であってもよく、異なる色素構造であってもよい。色素多量体の重量平均分子量(Mw)は、2000~50000が好ましい。下限は、3000以上がより好ましく、6000以上がさらに好ましい。上限は、30000以下がより好ましく、20000以下がさらに好ましい。色素多量体としては、特開2011-213925号公報、特開2013-041097号公報、特開2015-028144号公報、特開2015-030742号公報等に記載されている化合物を用いることもできる。
【0126】
他の着色剤の含有量は、顔料Aの100質量部に対して40質量部以下であることが好ましい。下限は、1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることが更に好ましい。上限は、30質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましい。
また、黄色着色剤の含有量は、顔料Aの100質量部に対して40質量部以下であることが好ましい。下限は、1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることが更に好ましい。上限は、30質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましい。
また、黄色着色剤の含有量は、マゼンタ色染料の100質量部に対して100質量部以下であることが好ましい。下限は、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、15質量部以上であることが更に好ましい。上限は、80質量部以下であることが好ましく、60質量部以下であることがより好ましい。
また、黄色着色剤の含有量は、顔料Aとマゼンタ色染料との合計100質量部に対して50質量部以下であることが好ましい。下限は、1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることが更に好ましい。上限は、40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましい。
また、顔料Aとマゼンタ色染料と他の着色剤との合計の含有量は着色組成物の全固形分中40~90質量%であることが好ましい。下限は、45質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。上限は、85質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。
また、顔料Aとマゼンタ色染料と黄色着色剤との合計の含有量は着色組成物の全固形分中40~90質量%であることが好ましい。下限は、45質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。上限は、85質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。
【0127】
<<硬化性基を有する化合物>>
本発明の着色組成物は、硬化性基を有する化合物を含有する。硬化性基を有する化合物が硬化する際の反応機構については特に限定されない。ラジカル重合反応、カチオン重合反応、縮重合反応、求核付加反応、置換反応による架橋反応等が挙げられる。硬化性基を有する化合物は、ラジカル重合反応により硬化する化合物であることが好ましい。硬化性基としては、エチレン性不飽和基、エポキシ基などが挙げられる。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、ビニロキシ基、アリル基、メタリル基、(メタ)アクリロイル基、スチレン基、シンナモイル基およびマレイミド基が挙げられ、(メタ)アクリロイル基、スチレン基、マレイミド基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
【0128】
硬化性基を有する化合物(以下、硬化性化合物ともいう)は、モノマーであってもよく、ポリマーなどの樹脂であってもよい。モノマータイプの硬化性化合物と、樹脂タイプの硬化性化合物とを併用することもできる。
【0129】
(エチレン性不飽和基を有する化合物)
本発明において、硬化性化合物として用いられるエチレン性不飽和基を有する化合物としては、モノマーであってもよく、樹脂であってもよい。耐熱性に優れた硬化膜を形成しやすいという理由から樹脂タイプの化合物を含むことが好ましい。以下、エチレン性不飽和基を有する化合物を重合性化合物ともいう。また、エチレン性不飽和基を有するモノマーを重合性モノマーともいう。また、エチレン性不飽和基を有する樹脂を重合性樹脂ともいう。
【0130】
重合性モノマーの分子量は、3000未満であることが好ましい。上限は、2000以下がより好ましく、1500以下が更に好ましい。下限は、100以上が好ましく、150以上がより好ましく、250以上が更に好ましい。重合性モノマーは、エチレン性不飽和基を3個以上含む化合物であることが好ましく、エチレン性不飽和基を3~15個含む化合物であることがより好ましく、エチレン性不飽和基を3~6個含む化合物であることが更に好ましい。また、重合性モノマーは、3~15官能の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3~6官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。重合性モノマーの具体例としては、特開2009-288705号公報の段落番号0095~0108、特開2013-029760号公報の段落番号0227、特開2008-292970号公報の段落番号0254~0257、特開2013-253224号公報の段落番号0034~0038、特開2012-208494号公報の段落番号0477、特開2017-048367号公報、特許第6057891号公報、特許第6031807号公報に記載されている化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0131】
重合性モノマーは、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-330;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-320;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D-310;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD DPHA;日本化薬(株)製、NKエステルA-DPH-12E;新中村化学工業(株)製)、およびこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコールおよび/またはプロピレングリコール残基を介して結合している構造の化合物(例えば、サートマー社から市販されている、SR454、SR499)が好ましい。また、重合性モノマーとして、NKエステルA-TMMT(新中村化学工業(株)製)、KAYARAD RP-1040、DPCA-20(日本化薬(株)製)を使用することもできる。また、重合性モノマーとして、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能の(メタ)アクリレート化合物を用いることも好ましい。3官能の(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、アロニックスM-309、M-310、M-321、M-350、M-360、M-313、M-315、M-306、M-305、M-303、M-452、M-450(東亞合成(株)製)、NKエステル A9300、A-GLY-9E、A-GLY-20E、A-TMM-3、A-TMM-3L、A-TMM-3LM-N、A-TMPT、TMPT(新中村化学工業(株)製)、KAYARAD GPO-303、TMPTA、THE-330、TPA-330、PET-30(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
【0132】
重合性モノマーは、酸基を有する化合物を用いることもできる。酸基を有する重合性モノマーを用いることで、現像時に未露光部の着色組成物層が除去されやすく、現像残渣の発生を抑制できる。酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基等が挙げられ、カルボキシル基が好ましい。酸基を有する重合性モノマーとしては、コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。酸基を有する重合性モノマーの市販品としては、アロニックスM-510、M-520、アロニックスTO-2349(東亞合成(株)製)等が挙げられる。酸基を有する重合性モノマーの好ましい酸価としては、0.1~40mgKOH/gであり、より好ましくは5~30mgKOH/gである。重合性モノマーの酸価が0.1mgKOH/g以上であれば、現像液に対する溶解性が良好であり、40mgKOH/g以下であれば、製造や取扱い上、有利である。
【0133】
重合性モノマーは、カプロラクトン構造を有する化合物を用いることもできる。カプロラクトン構造を有する重合性モノマーは、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、DPCA-120等が挙げられる。
【0134】
重合性モノマーは、アルキレンオキシ基を有する化合物を用いることもできる。アルキレンオキシ基を有する重合性モノマーは、エチレンオキシ基および/またはプロピレンオキシ基を有する化合物であることが好ましく、エチレンオキシ基を有する化合物であることがより好ましく、エチレンオキシ基を4~20個有する3~6官能(メタ)アクリレート化合物であることがさらに好ましい。アルキレンオキシ基を有する重合性モノマーの市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ基を4個有する4官能(メタ)アクリレートであるSR-494、イソブチレンオキシ基を3個有する3官能(メタ)アクリレートであるKAYARAD TPA-330などが挙げられる。
【0135】
重合性モノマーとしては、トルエンなどの環境規制物質を実質的に含まない化合物を用いることも好ましい。このような化合物の市販品としては、KAYARAD DPHA LT、KAYARAD DPEA-12 LT(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
【0136】
重合性モノマーとしては、特公昭48-041708号公報、特開昭51-037193号公報、特公平02-032293号公報、特公平02-016765号公報に記載されたウレタンアクリレート類、特公昭58-049860号公報、特公昭56-017654号公報、特公昭62-039417号公報、特公昭62-039418号公報に記載されたエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物、特開昭63-277653号公報、特開昭63-260909号公報、特開平01-105238号公報に記載された分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する化合物を用いることも好ましい。また、重合性モノマーとしては、UA-7200(新中村化学工業(株)製)、DPHA-40H(日本化薬(株)製)、UA-306H、UA-306T、UA-306I、AH-600、T-600、AI-600、LINC-202UA(共栄社化学(株))製などの市販品を用いることもできる。
【0137】
重合性樹脂の重量平均分子量は、3000以上であることが好ましく、5000以上であることがより好ましく、7000以上であることが更に好ましく、10000以上であることが特に好ましい。また、重合性樹脂の重量平均分子量は、50000以下であることが好ましく、40000以下であることがより好ましく、30000以下であることが更に好ましい。
【0138】
重合性樹脂のエチレン性不飽和基価(以下、C=C価ともいう)は、0.05~5.0mmol/gであることが好ましい。上限は、4.0mmol/g以下であることがより好ましく、3.0mmol/g以下であることが更に好ましく、2.0mmol/g以下であることがより一層好ましく、1.0mmol/g以下であることが特に好ましい。下限は、0.1mmol/g以上であることが好ましく、0.2mmol/g以上であることがより好ましい。重合性樹脂のC=C価は、重合性樹脂の固形分1gあたりのエチレン性不飽和基のモル量を表した数値である。重合性樹脂のC=C価は、アルカリ処理によって重合性樹脂からエチレン性不飽和基部位の低分子成分(a)を取り出し、その含有量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定し、下記式から算出することができる。また、重合性樹脂からエチレン性不飽和基部位をアルカリ処理で抽出することができない場合においては、NMR法(核磁気共鳴)にて測定した値を用いる。
重合性樹脂のC=C価[mmol/g]=(低分子成分(a)の含有量[ppm]/低分子成分(a)の分子量[g/mol])/(重合性樹脂の秤量値[g]×(重合性樹脂液の固形分濃度[質量%]/100)×10)
【0139】
重合性樹脂は、エチレン性不飽和基を側鎖に有する繰り返し単位を含むことが好ましく、下記式(A-1-1)で表される繰り返し単位を含むことがより好ましい。また、重合性樹脂は、エチレン性不飽和基を側鎖に有する繰り返し単位を、重合性樹脂の全繰り返し単位中10モル%以上含有することが好ましく、10~80モル%含有することがより好ましく、20~70モル%含有することが更に好ましい。
【化18】
【0140】
式(A-1-1)において、X1は繰り返し単位の主鎖を表し、L1は単結合または2価の連結基を表し、Y1はエチレン性不飽和基を表す。
【0141】
式(A-1-1)において、X1が表す繰り返し単位の主鎖としては、特に限定はない。公知の重合可能なモノマーから形成される連結基であれば特に制限ない。例えば、ポリ(メタ)アクリル系連結基、ポリアルキレンイミン系連結基、ポリエステル系連結基、ポリウレタン系連結基、ポリウレア系連結基、ポリアミド系連結基、ポリエーテル系連結基、ポリスチレン系連結基などが挙げられ、原料素材の入手性や製造適性の観点からポリ(メタ)アクリル系連結基、ポリアルキレンイミン系連結基が好ましく、ポリ(メタ)アクリル系連結基がより好ましい。
【0142】
式(A-1-1)において、L1が表す2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1~12のアルキレン基)、アルキレンオキシ基(好ましくは炭素数1~12のアルキレンオキシ基)、オキシアルキレンカルボニル基(好ましくは炭素数1~12のオキシアルキレンカルボニル基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6~20のアリーレン基)、-NH-、-SO-、-SO2-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。アルキレン基、アルキレンオキシ基におけるアルキレン基、オキシアルキレンカルボニル基におけるアルキレン基は、直鎖状、分岐状、及び、環状のいずれでもよく、直鎖状または分岐状が好ましい。また、アルキレン基、アルキレンオキシ基におけるアルキレン基、オキシアルキレンカルボニル基におけるアルキレン基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基などが挙げられ、製造適性の観点からヒドロキシ基が好ましい。
【0143】
式(A-1-1)において、Y1が表すエチレン性不飽和基としては、ビニル基、ビニロキシ基、アリル基、メタリル基、(メタ)アクリロイル基、スチレン基、シンナモイル基およびマレイミド基が挙げられ、(メタ)アクリロイル基、スチレン基、マレイミド基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましく、アクリロイル基が特に好ましい。
【0144】
式(A-1-1)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記式(A-1-1a)で表される繰り返し単位、下記式(A-1-1b)で表される繰り返し単位などが挙げられる。
【化19】
【0145】
式(A-1-1a)において、Ra1~Ra3は、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、Q1aは、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-またはフェニレン基を表し、L1は、単結合または2価の連結基を表し、Y1はエチレン性不飽和基を表す。Ra1~Ra3が表すアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~3がより好ましく、1が更に好ましい。Q1aは、-COO-または-CONH-であることが好ましく、-COO-であることがより好ましい。
【0146】
式(A-1-1b)において、Ra10およびRa11は、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、m1は1~5の整数を表し、L1は、単結合または2価の連結基を表し、Y1はエチレン性不飽和基を表す。Ra10およびRa11が表すアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~3がより好ましい。
【0147】
重合性樹脂は、更にグラフト鎖を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。重合性樹脂がグラフト鎖を有する繰り返し単位を含むことにより、グラフト鎖による立体障害によって顔料Aの凝集などをより効果的に抑制できる。また、硬化膜の形成時においては、重合性樹脂が顔料Aの近傍で重合して膜中に顔料Aをしっかりと保持させることもでき、加熱による顔料Aの熱拡散をより効果的に抑制して、より耐熱性に優れた硬化膜を形成することもできる。重合性樹脂は、グラフト鎖を有する繰り返し単位を、重合性樹脂の全繰り返し単位中1.0~60モル%含有することが好ましく、1.5~50モル%含有することがより好ましい。グラフト鎖を有する繰り返し単位を含む重合性樹脂は分散剤として好ましく用いられる。
【0148】
本発明において、グラフト鎖とは、繰り返し単位の主鎖から枝分かれして伸びるポリマー鎖のことを意味する。グラフト鎖の長さについては特に制限されないが、グラフト鎖が長くなると立体反発効果が高くなり、顔料Aなどの分散性を高めることができる。グラフト鎖としては、水素原子を除いた原子数が40~10000であることが好ましく、水素原子を除いた原子数が50~2000であることがより好ましく、水素原子を除いた原子数が60~500であることが更に好ましい。
【0149】
グラフト鎖は、ポリエステル繰り返し単位、ポリエーテル繰り返し単位、ポリ(メタ)アクリル繰り返し単位、ポリウレタン繰り返し単位、ポリウレア繰り返し単位およびポリアミド繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種の構造の繰り返し単位を含むことが好ましく、ポリエステル繰り返し単位、ポリエーテル繰り返し単位およびポリ(メタ)アクリル繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種の構造の繰り返し単位を含むことがより好ましく、ポリエステル繰り返し単位を含むことが更に好ましい。ポリエステル繰り返し単位としては、下記の式(G-1)、式(G-4)または式(G-5)で表される構造の繰り返し単位が挙げられる。また、ポリエーテル繰り返し単位としては、下記の式(G-2)で表される構造の繰り返し単位が挙げられる。また、ポリ(メタ)アクリル繰り返し単位としては、下記の式(G-3)で表される構造の繰り返し単位が挙げられる。
【化20】
【0150】
上記式において、RG1およびRG2は、それぞれアルキレン基を表す。RG1およびRG2で表されるアルキレン基としては特に制限されないが、炭素数1~20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が好ましく、炭素数2~16の直鎖状又は分岐状のアルキレン基がより好ましく、炭素数3~12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が更に好ましい。
上記式において、RG3は、水素原子またはメチル基を表す。
上記式において、QG1は、-O-または-NH-を表し、LG1は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1~12のアルキレン基)、アルキレンオキシ基(好ましくは炭素数1~12のアルキレンオキシ基)、オキシアルキレンカルボニル基(好ましくは炭素数1~12のオキシアルキレンカルボニル基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6~20のアリーレン基)、-NH-、-SO-、-SO2-、-CO-、-O-、-COO-、OCO-、-S-およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。
RG4は、水素原子または置換基を表す。置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基等が挙げられる。
【0151】
グラフト鎖の末端構造としては、特に限定されない。水素原子であってもよく、置換基であってもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基等が挙げられる。なかでも、色材などの分散性向上の観点から、立体反発効果を有する基が好ましく、炭素数5~24のアルキル基又はアルコキシ基が好ましい。アルキル基およびアルコキシ基は、直鎖状、分岐状、及び、環状のいずれでもよく、直鎖状または分岐状が好ましい。
【0152】
本発明において、グラフト鎖としては、下記式(G-1a)、式(G-2a)、式(G-3a)、式(G-4a)または式(G-5a)で表される構造であることが好ましい。
【化21】
【0153】
上記式において、RG1およびRG2は、それぞれアルキレン基を表し、RG3は、水素原子またはメチル基を表し、QG1は、-O-または-NH-を表し、LG1は、単結合または2価の連結基を表し、RG4は、水素原子または置換基を表し、W100は水素原子または置換基を表す。n1~n5は、それぞれ独立して2以上の整数を表す。RG1~RG4、QG1、LG1については、式(G-1)~(G-5)で説明したRG1~RG4、QG1、LG1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0154】
式(G-1a)~(G-5a)において、W100は置換基であることが好ましい。置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基等が挙げられる。なかでも、色材などの分散性向上の観点から、立体反発効果を有する基が好ましく、炭素数5~24のアルキル基又はアルコキシ基が好ましい。アルキル基およびアルコキシ基は、直鎖状、分岐状、及び、環状のいずれでもよく、直鎖状または分岐状が好ましい。
【0155】
式(G-1a)~(G-5a)において、n1~n5は、それぞれ2~100の整数が好ましく、2~80の整数がより好ましく、8~60の整数が更に好ましい。
【0156】
式(G-1a)において、n1が2以上の場合における各繰り返し単位中のRG1同士は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、RG1が異なる繰り返し単位を2種以上含む場合においては、各繰り返し単位の配列は特に限定は無く、ランダム、交互、及び、ブロックのいずれであってもよい。式(G-2a)~式(G-5a)においても同様である。
【0157】
グラフト鎖を有する繰り返し単位としては、下記式(A-1-2)で表される繰り返し単位が挙げられる。
【化22】
【0158】
式(A-1-2)において、X2は繰り返し単位の主鎖を表し、L2は単結合または2価の連結基を表し、W1はグラフト鎖を表す。式(A-1-2)におけるX2が表す繰り返し単位の主鎖としては、式(A-1-1)のX1で説明した構造が挙げられ、好ましい範囲も同様である。式(A-1-2)におけるL2が表す2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1~12のアルキレン基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6~20のアリーレン基)、-NH-、-SO-、-SO2-、-CO-、-O-、-COO-、OCO-、-S-およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。式(A-1-2)におけるW1が表すグラフト鎖としては、上述したグラフト鎖が挙げられる。
【0159】
式(A-1-2)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記式(A-1-2a)で表される繰り返し単位、下記式(A-1-2b)で表される繰り返し単位などが挙げられる。
【化23】
【0160】
式(A-1-2a)において、Rb1~Rb3は、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、Qb1は、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-またはフェニレン基を表し、L2は、単結合または2価の連結基を表し、W1はグラフト鎖を表す。Rb1~Rb3が表すアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~3がより好ましく、1が更に好ましい。Qb1は、-COO-または-CONH-であることが好ましく、-COO-であることがより好ましい。
【0161】
式(A-1-2b)において、Rb10およびRb11は、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、m2は1~5の整数を表し、L2は、単結合または2価の連結基を表し、W1はグラフト鎖を表す。Rb10およびRb11が表すアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~3がより好ましい。
【0162】
重合性樹脂がグラフト鎖を有する繰り返し単位を含む場合、グラフト鎖を有する繰り返し単位の重量平均分子量(Mw)は、1000以上であることが好ましく、1000~10000であることがより好ましく、1000~7500であることが更に好ましい。なお、本発明において、グラフト鎖を有する繰り返し単位の重量平均分子量は、同繰り返し単位の重合に用いた原料モノマーの重量平均分子量から算出した値である。例えば、グラフト鎖を有する繰り返し単位は、マクロモノマーを重合することで形成できる。ここで、マクロモノマーとは、ポリマー末端に重合性基が導入された高分子化合物を意味する。マクロモノマーを用いてグラフト鎖を有する繰り返し単位を形成した場合においては、マクロモノマーの重量平均分子量がグラフト鎖を有する繰り返し単位に該当する。
【0163】
重合性樹脂は、更に酸基を有する繰り返し単位を含むことも好ましい。重合性樹脂が更に酸基を有する繰り返し単位を含むことで、顔料Aなどの分散性をより向上できる。更には、現像性を向上させることもできる。酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基が挙げられる。
【0164】
酸基を有する繰り返し単位としては、下記式(A-1-3)で表される繰り返し単位が挙げられる。
【化24】
【0165】
式(A-1-3)において、X3は繰り返し単位の主鎖を表し、L3は単結合または2価の連結基を表し、A1は酸基を表す。式(A-1-3)におけるX3が表す繰り返し単位の主鎖としては、式(A-1-1)のX1で説明した構造が挙げられ、好ましい範囲も同様である。式(A-1-3)におけるL3が表す2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1~12のアルキレン基)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2~12のアルケニレン基)、アルキレンオキシ基(好ましくは炭素数1~12のアルキレンオキシ基)、オキシアルキレンカルボニル基(好ましくは炭素数1~12のオキシアルキレンカルボニル基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6~20のアリーレン基)、-NH-、-SO-、-SO2-、-CO-、-O-、-COO-、OCO-、-S-およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。アルキレン基、アルキレンオキシ基におけるアルキレン基、オキシアルキレンカルボニル基におけるアルキレン基は、直鎖状、分岐状、及び、環状のいずれでもよく、直鎖状または分岐状が好ましい。また、アルキレン基、アルキレンオキシ基におけるアルキレン基、オキシアルキレンカルボニル基におけるアルキレン基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、ヒドロキシ基などが挙げられる。式(A-1-3)におけるA1が表す酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基が挙げられる。
【0166】
式(A-1-3)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記式(A-1-3a)で表される繰り返し単位、下記式(A-1-3b)で表される繰り返し単位などが挙げられる。
【化25】
【0167】
式(A-1-3a)において、Rc1~Rc3は、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、Qc1は、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-またはフェニレン基を表し、L3は、単結合または2価の連結基を表し、A1は酸基を表す。Rc1~Rc3が表すアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~3がより好ましく、1が更に好ましい。Qc1は、-COO-または-CONH-であることが好ましく、-COO-であることがより好ましい。
【0168】
式(A-1-3b)において、Rc10およびRc11は、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、m3は1~5の整数を表し、L3は、単結合または2価の連結基を表し、A1は酸基を表す。Rc10およびRc11が表すアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~3がより好ましい。
【0169】
重合性樹脂が、酸基を有する繰り返し単位を含む場合、酸基を有する繰り返し単位の含有量は、重合性樹脂の全繰り返し単位中80モル%以下であることが好ましく、10~80モル%がより好ましい。
【0170】
重合性樹脂の酸価としては、20~150mgKOH/gであることが好ましい。上限は、100mgKOH/g以下であることがより好ましい。下限は、30mgKOH/g以上であることが好ましく、35mgKOH/g以上であることがより好ましい。重合性樹脂の酸価が上記範囲であれば、特に優れた分散性が得られやすい。さらには、優れた現像性が得られやすい。
【0171】
また、重合性樹脂は、他の繰り返し単位として、下記式(ED1)で示される化合物および/または下記式(ED2)で表される化合物(以下、これらの化合物を「エーテルダイマー」と称することもある。)を含むモノマー成分に由来する繰り返し単位を含むことができる。
【0172】
【0173】
式(ED1)中、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~25の炭化水素基を表す。
【化27】
式(ED2)中、Rは、水素原子または炭素数1~30の有機基を表す。式(ED2)で表される化合物の具体例としては、特開2010-168539号公報に記載された化合物が挙げられる。
【0174】
エーテルダイマーの具体例としては、例えば、特開2013-029760号公報の段落番号0317を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。エーテルダイマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0175】
本発明において、重合性樹脂として、下記式(SP-1)で表される化合物(以下、化合物(SP-1)ともいう)を用いることもできる。化合物(SP-1)は、分散剤として好ましく用いることができる。
【化28】
式中、Z
1は、(m+n)価の連結基を表し、
Y
1およびY
2は、それぞれ独立して単結合または連結基を表し、
A
1は顔料吸着部を含む基を表し、
P
1はポリマー鎖を表し、
nは1~20を表し、mは1~20を表し、m+nは3~21であり、
n個のY
1およびA
1はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよく、
m個のY
2およびP
1はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよく、
Z
1、A
1およびP
1の少なくとも一つはエチレン性不飽和基を表す。
性基を含む。
【0176】
化合物(SP-1)に含まれるエチレン性不飽和基としては、ビニル基、ビニロキシ基、アリル基、メタリル基、(メタ)アクリロイル基、スチレン基、シンナモイル基およびマレイミド基が挙げられ、(メタ)アクリロイル基、スチレン基、マレイミド基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましく、アクリロイル基が特に好ましい。
【0177】
化合物(SP-1)において、エチレン性不飽和基は、Z1、A1およびP1のいずれかに含まれていればよいが、P1に含まれていることが好ましい。また、P1がエチレン性不飽和基を含む場合、P1は、側鎖にエチレン性不飽和基を含む繰り返し単位を有するポリマー鎖であることが好ましい。
【0178】
式(SP-1)において、A1は顔料吸着部を含む基を表す。顔料吸着部としては、有機色素構造、複素環構造、酸基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基およびヒドロキシ基が挙げられ、複素環構造、酸基、塩基性窒素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、ヒドロキシ基が好ましく、色材の分散性の観点から酸基がより好ましい。酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基が挙げられ、カルボキシル基が好ましい。
【0179】
顔料吸着部は、1つのA1中に、少なくとも1個含まれていればよく、2個以上を含んでいてもよい。A1は、顔料吸着部を1~10個含むことが好ましく、1~6個含むことがより好ましい。また、A1が表す顔料吸着部を含む基としては、前述の顔料吸着部と、1~200個の炭素原子、0~20個の窒素原子、0~100個の酸素原子、1~400個の水素原子、および0~40個の硫黄原子から成り立つ連結基とが結合して形成された基が挙げられる。例えば、炭素数1~10の鎖状飽和炭化水素基、炭素数3~10の環状飽和炭化水素基、または、炭素数5~10の芳香族炭化水素基を介して1個以上の顔料吸着部が結合して形成された基等が挙げられる。上記の鎖状飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基はさらに置換基を有していてもよい。置換基としては炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~16のアリール基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸アミド基、N-スルホニルアミド基、炭素数1~6のアシルオキシ基、炭素数1~20のアルコキシ基、ハロゲン原子、炭素数2~7のアルコキシカルボニル基、シアノ基、炭酸エステル基、および光硬化性基等が挙げられる。また、顔料吸着部自体が1価の基を構成しうる場合には、顔料吸着部そのものがA1であってもよい。
【0180】
また、A1の化学式量としては、30~2000であることが好ましい。上限は、1000以下であることが好ましく、800以下であることがより好ましい。下限は、50以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましい。A1の化学式量が上記範囲であれば、色材に対する吸着性が良好である。なお、A1の化学式量は、構造式から計算した値である。
【0181】
式(SP-1)において、Z1は、(m+n)価の連結基を表す。(m+n)価の連結基としては、1~100個の炭素原子、0~10個の窒素原子、0~50個の酸素原子、1~200個の水素原子、および0~20個の硫黄原子から成り立つ基が挙げられる。(m+n)価の連結基としては、下記の構造単位または以下の構造単位が2以上組み合わさって構成される基(環構造を形成していてもよい)が挙げられる。
【0182】
【0183】
Z1の化学式量としては、20~3000であることが好ましい。上限は、2000以下であることが好ましく、1500以下であることがより好ましい。下限は、50以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましい。なお、Z1の化学式量は、構造式から計算した値である。(m+n)価の連結基の具体例については、特開2014-177613号公報の段落番号0043~0055を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0184】
式(SP-1)において、Y1およびY2は、それぞれ独立して単結合または連結基を表す。連結基としては、1~100個の炭素原子、0~10個の窒素原子、0~50個の酸素原子、1~200個の水素原子、および0~20個の硫黄原子から成り立つ基が挙げられる。上述の基は、上述した置換基を更に有していてもよい。Y1およびY2が表す連結基としては、下記の構造単位または以下の構造単位が2以上組み合わさって構成される基を挙げることができる。
【0185】
【0186】
式(SP-1)において、P
1はポリマー鎖を表す。P
1が表すポリマー鎖としては、主鎖中に、ポリ(メタ)アクリル繰り返し単位、ポリエーテル繰り返し単位、ポリエステル繰り返し単位、ポリアミド繰り返し単位、ポリイミド繰り返し単位、ポリイミン繰り返し単位およびポリウレタン繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有するポリマー鎖であることが好ましい。また、P
1が表すポリマー鎖は、下記式(P1-1)~(P1-5)で表される繰り返し単位を含むポリマー鎖であることが好ましい。
【化31】
【0187】
上記式において、RG1およびRG2は、それぞれアルキレン基を表す。RG1およびRG2で表されるアルキレン基としては、炭素数1~20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が好ましく、炭素数2~16の直鎖状又は分岐状のアルキレン基がより好ましく、炭素数3~12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が更に好ましい。アルキレン基は置換基を有していてもよい。置換基としては、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基、エチレン性不飽和等が挙げられる。
上記式において、RG3は、水素原子またはメチル基を表す。
上記式において、QG1は、-O-または-NH-を表し、LG1は、単結合またはアリーレン基を表し、LG2は、単結合または2価の連結基を表す。QG1は、-O-であることが好ましい。LG1は、単結合であることが好ましい。LG2が表す2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1~12のアルキレン基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6~20のアリーレン基)、-NH-、-SO-、-SO2-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NHCO-、-CONH-、およびこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。
RG4は、水素原子または置換基を表す。置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基、エチレン性不飽和基、酸基等が挙げられる。
【0188】
P1における、前述の繰り返し単位の繰り返し数は、3~2000であることが好ましい。上限は、1500以下であることが好ましく、1000以下であることがより好ましい。下限は、5以上であることが好ましく、7以上であることがより好ましい。また、P1は、側鎖にエチレン性不飽和基を含む繰り返し単位を有するポリマー鎖であることが好ましい。また、P1を構成する全繰り返し単位中における、エチレン性不飽和基を側鎖に含む繰り返し単位の割合は、1モル%以上であることが好ましく、2モル%以上であることがより好ましく、3モル%以上であることが更に好ましい。上限は、100モル%とすることができる。また、P1が側鎖にエチレン性不飽和基を含む繰り返し単位を有するポリマー鎖である場合において、P1は側鎖にエチレン性不飽和基を含む繰り返し単位の他に、他の繰り返し単位を含むことも好ましい。他の繰り返し単位としては、側鎖に酸基を含む繰り返し単位などが挙げられる。P1が側鎖にエチレン性不飽和基を含む繰り返し単位の他に、さらに側鎖に酸基を含む繰り返し単位を含むことで、フォトリソグラフィ法でパターン形成した際において、現像残渣の発生をより効果的に抑制できる。P1が側鎖に酸基を含む繰り返し単位を含む場合、P1を構成する全繰り返し単位中における、酸基を側鎖に含む繰り返し単位の割合は、50モル%以下であることが好ましく、2~48モル%であることがより好ましく、4~46モル%であることが更に好ましい。
【0189】
P1が表すポリマー鎖の重量平均分子量は、1000以上であることが好ましく、1000~10000であることがより好ましい。上限は、9000以下であることが好ましく、6000以下であることがより好ましく、3000以下であることが更に好ましい。下限は、1200以上であることが好ましく、1400以上であることがより好ましい。なお、P1の重量平均分子量は、同ポリマー鎖の導入に用いた原料の重量平均分子量から算出した値である。
【0190】
(エポキシ基を有する化合物)
本発明において、硬化性化合物として用いられるエポキシ基を有する化合物(以下、エポキシ化合物ともいう)としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物が好ましく用いられる。エポキシ化合物のエポキシ基の数の上限は、100個以下であることが好ましく、10個以下であることがより好ましく、5個以下であることが更に好ましい。
【0191】
エポキシ化合物のエポキシ当量(=エポキシ基を有する化合物の分子量/エポキシ基の数)は、500g/eq以下であることが好ましく、100~400g/eqであることがより好ましく、100~300g/eqであることがさらに好ましい。
【0192】
エポキシ化合物は、低分子化合物(例えば、分子量1000未満)でもよいし、高分子化合物(macromolecule)(例えば、分子量1000以上、ポリマーの場合は、重量平均分子量が1000以上)であってもよい。エポキシ化合物の分子量(ポリマーの場合は、重量平均分子量)は、200~100000が好ましく、500~50000がより好ましい。分子量(ポリマーの場合は、重量平均分子量)の上限は、3000以下が好ましく、2000以下がより好ましく、1500以下が更に好ましい。
【0193】
エポキシ化合物としては、特開2013-011869号公報の段落番号0034~0036、特開2014-043556号公報の段落番号0147~0156、特開2014-089408号公報の段落番号0085~0092に記載された化合物を用いることもできる。これらの内容は、本明細書に組み込まれる。エポキシ化合物の市販品としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、jER825、jER827、jER828、jER834、jER1001、jER1002、jER1003、jER1055、jER1007、jER1009、jER1010(以上、三菱ケミカル(株)製)、EPICLON860、EPICLON1050、EPICLON1051、EPICLON1055(以上、DIC(株)製)等であり、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、jER806、jER807、jER4004、jER4005、jER4007、jER4010(以上、三菱ケミカル(株)製)、EPICLON830、EPICLON835(以上、DIC(株)製)、LCE-21、RE-602S(以上、日本化薬(株)製)等であり、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、jER152、jER154、jER157S70、jER157S65(以上、三菱ケミカル(株)製)、EPICLON N-740、EPICLON N-770、EPICLON N-775(以上、DIC(株)製)等であり、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、EPICLON N-660、EPICLON N-665、EPICLON N-670、EPICLON N-673、EPICLON N-680、EPICLON N-690、EPICLON N-695(以上、DIC(株)製)、EOCN-1020(日本化薬(株)製)等であり、脂肪族エポキシ樹脂としては、ADEKA RESIN EP-4080S、同EP-4085S、同EP-4088S(以上、(株)ADEKA製)、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085、EHPE3150、EPOLEAD PB 3600、同PB 4700(以上、(株)ダイセル製)、デナコール EX-212L、EX-214L、EX-216L、EX-321L、EX-850L(以上、ナガセケムテックス(株)製)等である。その他にも、ADEKA RESIN EP-4000S、同EP-4003S、同EP-4010S、同EP-4011S(以上、(株)ADEKA製)、NC-2000、NC-3000、NC-7300、XD-1000、EPPN-501、EPPN-502(以上、(株)ADEKA製)、jER1031S(三菱ケミカル(株)製)等が挙げられる。
【0194】
硬化性化合物の含有量は、着色組成物の全固形分中1~50質量%であることが好ましい。下限は3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。上限は、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
また、硬化性化合物として重合性モノマーを用いる場合、重合性モノマーの含有量は、着色組成物の全固形分中0.1~40質量%であることが好ましい。下限は1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。上限は、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。
また、硬化性化合物として重合性樹脂を用いる場合、重合性樹脂の含有量は、着色組成物の全固形分中1~50質量%であることが好ましい。下限は3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。上限は、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
また、重合性モノマーと重合性樹脂との合計の含有量は着色組成物の全固形分中1~50質量%であることが好ましい。下限は3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。上限は、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。また、重合性モノマーと重合性樹脂との合計量中における、重合性樹脂の含有量は70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
また、硬化性化合物としてエポキシ化合物を用いる場合、エポキシ化合物の含有量は、着色組成物の全固形分中0.1~40質量%が好ましい。下限は、例えば1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が更に好ましい。上限は、例えば、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。エポキシ化合物は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。また、重合性化合物と、エポキシ基を有する化合物とを併用する場合、両者の割合(質量比)は、重合性化合物の質量:エポキシ基を有する化合物の質量=100:1~100:400が好ましく、100:1~100:100がより好ましく、100:1~100:50がさらに好ましい。
【0195】
本発明の着色組成物の好ましい一態様として、以下が挙げられる。
着色組成物が、エチレン性不飽和基を有するモノマー(重合性モノマー)と、樹脂とを含み、
着色組成物に含まれるエチレン性不飽和基を有するモノマー(重合性モノマー)の質量M1と、着色組成物に含まれる樹脂の質量B1との比であるM1/B1が0.35以下であり、好ましくは0.25以下であり、より好ましくは0.21以下である態様。この態様の着色組成物によれば、より耐熱性に優れた硬化膜を形成することができる。更には硬化膜形成時における膜収縮を抑制することもできる。特に、樹脂として重合性樹脂を含む用いた場合においては上記の効果がより顕著に得られる。上記のM1/B1の値の下限は0.01以上であることが好ましく、0.04以上であることがより好ましく、0.07以上であることが更に好ましい。なお、樹脂の質量B1とは、上述した重合性樹脂と後述する他の樹脂との合計量である。着色組成物が他の樹脂を含まない場合、樹脂の質量B1は上述した重合性樹脂の質量である。また、着色組成物が重合性樹脂を含まない場合、樹脂の質量B1は他の樹脂の質量である。
また、上記の態様において、重合性モノマーと樹脂との合計の含有量は着色組成物の全固形分中1~50質量%であることが好ましい。下限は3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。上限は、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
【0196】
<<他の樹脂>>
本発明の着色組成物は、硬化性基を含まない樹脂(以下、他の樹脂ともいう)をさらに含有することができる。他の樹脂は、例えば、顔料などの粒子を組成物中で分散させる用途やバインダーの用途で配合される。なお、主に顔料などの粒子を分散させるために用いられる樹脂を分散剤ともいう。ただし、樹脂のこのような用途は一例であって、このような用途以外の目的で樹脂を使用することもできる。
【0197】
他の樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2000~2000000が好ましい。上限は、1000000以下が好ましく、500000以下がより好ましい。下限は、3000以上が好ましく、5000以上がより好ましい。
【0198】
他の樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂から1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0199】
他の樹脂は、酸基を有していてもよい。酸基としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、フェノール性ヒドロキシ基などが挙げられ、カルボキシル基が好ましい。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。酸基を有する樹脂はアルカリ可溶性樹脂として用いることもできる。
【0200】
酸基を有する樹脂としては、側鎖にカルボキシル基を有するポリマーが好ましい。具体例としては、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、ノボラック樹脂などのアルカリ可溶性フェノール樹脂、側鎖にカルボキシル基を有する酸性セルロース誘導体、ヒドロキシ基を有するポリマーに酸無水物を付加させた樹脂が挙げられる。特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他のモノマーとの共重合体が、アルカリ可溶性樹脂として好適である。(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートおよびアリール(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ビニル化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N-ビニルピロリドン、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー等が挙げられる。また他のモノマーは、特開平10-300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマー、例えば、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等を用いることもできる。なお、これらの(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーは1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0201】
酸基を有する樹脂は、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が好ましく用いることができる。また、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを共重合したもの、特開平07-140654号公報に記載の、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体なども好ましく用いることができる。
【0202】
酸基を有する樹脂は、上述したエーテルダイマーを含むモノマー成分に由来する繰り返し単位を含むポリマーであることも好ましい。
【0203】
酸基を有する樹脂は、下記式(X)で示される化合物に由来する繰り返し単位を含んでいてもよい。
【化32】
式(X)において、R
1は、水素原子またはメチル基を表し、R
2は炭素数2~10のアルキレン基を表し、R
3は、水素原子またはベンゼン環を含んでもよい炭素数1~20のアルキル基を表す。nは1~15の整数を表す。
【0204】
酸基を有する樹脂については、特開2012-208494号公報の段落番号0558~0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の段落番号0685~0700)の記載、特開2012-198408号公報の段落番号0076~0099の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、酸基を有する樹脂は市販品を用いることもできる。
【0205】
酸基を有する樹脂の酸価は、30~200mgKOH/gが好ましい。下限は、50mgKOH/g以上が好ましく、70mgKOH/g以上がより好ましい。上限は、150mgKOH/g以下が好ましく、120mgKOH/g以下がより好ましい。
【0206】
本発明の着色組成物は、分散剤としての樹脂を含むこともできる。分散剤は、酸性分散剤(酸性樹脂)、塩基性分散剤(塩基性樹脂)が挙げられる。ここで、酸性分散剤(酸性樹脂)とは、酸基の量が塩基性基の量よりも多い樹脂を表す。酸性分散剤(酸性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、酸基の量が70モル%以上を占める樹脂が好ましく、実質的に酸基のみからなる樹脂がより好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)が有する酸基は、カルボキシル基が好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)の酸価は、40~105mgKOH/gが好ましく、50~105mgKOH/gがより好ましく、60~105mgKOH/gがさらに好ましい。また、塩基性分散剤(塩基性樹脂)とは、塩基性基の量が酸基の量よりも多い樹脂を表す。塩基性分散剤(塩基性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、塩基性基の量が50モル%を超える樹脂が好ましい。塩基性分散剤が有する塩基性基は、アミノ基であることが好ましい。
【0207】
分散剤として用いる樹脂は、酸基を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。分散剤として用いる樹脂が酸基を有する繰り返し単位を含むことにより、フォトリソグラフィ法によりパターン形成する際、画素の下地に発生する残渣をより低減することができる。
【0208】
分散剤として用いる樹脂は、グラフト樹脂であることも好ましい。グラフト樹脂としては、上述した重合性樹脂の項で説明した式(A-1-2)で表される繰り返し単位を有する樹脂などが挙げられる。グラフト樹脂の詳細は、特開2012-255128号公報の段落番号0025~0094の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0209】
分散剤として用いる樹脂は、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に窒素原子を含むポリイミン系分散剤であることも好ましい。ポリイミン系分散剤としては、pKa14以下の官能基を有する部分構造を有する主鎖と、原子数40~10000の側鎖とを有し、かつ主鎖及び側鎖の少なくとも一方に塩基性窒素原子を有する樹脂が好ましい。塩基性窒素原子とは、塩基性を呈する窒素原子であれば特に制限はない。ポリイミン系分散剤については、特開2012-255128号公報の段落番号0102~0166の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0210】
分散剤として用いる樹脂は、コア部に複数個のポリマー鎖が結合した構造の樹脂であることも好ましい。このような樹脂としては、例えばデンドリマー(星型ポリマーを含む)が挙げられる。また、デンドリマーの具体例としては、特開2013-043962号公報の段落番号0196~0209に記載された高分子化合物C-1~C-31などが挙げられる。
【0211】
分散剤は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、BYKChemie社製のDISPERBYKシリーズ(例えば、DISPERBYK-111、161など)、日本ルーブリゾール(株)製のソルスパースシリーズ(例えば、ソルスパース76500など)などが挙げられる。また、特開2014-130338号公報の段落番号0041~0130に記載された顔料分散剤を用いることもでき、この内容は本明細書に組み込まれる。なお、上記分散剤として説明した樹脂は、分散剤以外の用途で使用することもできる。例えば、バインダーとして用いることもできる。
【0212】
本発明の着色組成物が他の樹脂を含む場合、他の樹脂の含有量は、本発明の着色組成物の全固形分中30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。
また、上述した硬化性化合物と他の樹脂との合計の含有量は、本発明の着色組成物の全固形分中1~50質量%であることが好ましい。下限は3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。上限は、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
【0213】
<<光重合開始剤>>
本発明の着色組成物は光重合開始剤を含むことが好ましい。特に、硬化性化合物としてエチレン性不飽和基を有する化合物を用いた場合には、本発明の着色組成物はさらに光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視領域の光線に対して感光性を有する化合物が好ましい。光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
【0214】
光重合開始剤としては、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物など)、アシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物などが挙げられる。光重合開始剤は、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、シクロペンタジエン-ベンゼン-鉄錯体、ハロメチルオキサジアゾール化合物および3-アリール置換クマリン化合物であることが好ましく、オキシム化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、および、アシルホスフィン化合物から選ばれる化合物であることがより好ましく、オキシム化合物であることが更に好ましい。光重合開始剤としては、特開2014-130173号公報の段落0065~0111、特許第6301489号公報に記載された化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0215】
α-ヒドロキシケトン化合物の市販品としては、IRGACURE-184、DAROCUR-1173、IRGACURE-500、IRGACURE-2959、IRGACURE-127(以上、BASF社製)などが挙げられる。α-アミノケトン化合物の市販品としては、IRGACURE-907、IRGACURE-369、IRGACURE-379、及び、IRGACURE-379EG(以上、BASF社製)などが挙げられる。アシルホスフィン化合物の市販品としては、IRGACURE-819、DAROCUR-TPO(以上、BASF社製)などが挙げられる。
【0216】
オキシム化合物としては、特開2001-233842号公報に記載の化合物、特開2000-080068号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.1653-1660)に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.156-162)に記載の化合物、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年、pp.202-232)に記載の化合物、特開2000-066385号公報に記載の化合物、特開2000-080068号公報に記載の化合物、特表2004-534797号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、特開2017-019766号公報に記載の化合物、特許第6065596号公報に記載の化合物、国際公開第2015/152153号に記載の化合物、国際公開第2017/051680号に記載の化合物、特開2017-198865号公報に記載の化合物、国際公開第2017/164127号の段落番号0025~0038に記載の化合物、国際公開第2013/167515号に記載の化合物などが挙げられる。オキシム化合物の具体例としては、3-ベンゾイルオキシイミノブタン-2-オン、3-アセトキシイミノブタン-2-オン、3-プロピオニルオキシイミノブタン-2-オン、2-アセトキシイミノペンタン-3-オン、2-アセトキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ベンゾイルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、3-(4-トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン-2-オン、及び2-エトキシカルボニルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられる。市販品としては、IRGACURE-OXE01、IRGACURE-OXE02、IRGACURE-OXE03、IRGACURE-OXE04(以上、BASF社製)、TR-PBG-304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカオプトマーN-1919((株)ADEKA製、特開2012-014052号公報に記載の光重合開始剤2)が挙げられる。また、オキシム化合物としては、着色性が無い化合物や、透明性が高く変色し難い化合物を用いることも好ましい。市販品としては、アデカアークルズNCI-730、NCI-831、NCI-930(以上、(株)ADEKA製)などが挙げられる。
【0217】
本発明において、光重合開始剤として、フルオレン環を有するオキシム化合物を用いることもできる。フルオレン環を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2014-137466号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0218】
また、光重合開始剤として、カルバゾール環の少なくとも1つのベンゼン環がナフタレン環となった骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。そのようなオキシム化合物の具体例としては、国際公開第2013/083505号に記載の化合物が挙げられる。
【0219】
本発明において、光重合開始剤として、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010-262028号公報に記載の化合物、特表2014-500852号公報に記載の化合物24、36~40、特開2013-164471号公報に記載の化合物(C-3)などが挙げられる。
【0220】
本発明において、光重合開始剤として、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることができる。ニトロ基を有するオキシム化合物は、二量体とすることも好ましい。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013-114249号公報の段落番号0031~0047、特開2014-137466号公報の段落番号0008~0012、0070~0079に記載されている化合物、特許4223071号公報の段落番号0007~0025に記載されている化合物、アデカアークルズNCI-831((株)ADEKA製)が挙げられる。
【0221】
本発明において、光重合開始剤として、ベンゾフラン骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。具体例としては、国際公開第2015/036910号に記載されるOE-01~OE-75が挙げられる。
【0222】
本発明において好ましく使用されるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0223】
【0224】
オキシム化合物は、波長350~500nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物が好ましく、波長360~480nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物がより好ましい。また、オキシム化合物の波長365nm又は波長405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、高いことが好ましく、1000~300000であることがより好ましく、2000~300000であることが更に好ましく、5000~200000であることが特に好ましい。化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いて測定することができる。例えば、分光光度計(Varian社製Cary-5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
【0225】
光重合開始剤として、2官能あるいは3官能以上の光ラジカル重合開始剤を用いてもよい。そのような光ラジカル重合開始剤を用いることにより、光ラジカル重合開始剤の1分子から2つ以上のラジカルが発生するため、良好な感度が得られる。また、非対称構造の化合物を用いた場合においては、結晶性が低下して溶剤などへの溶解性が向上して、経時で析出しにくくなり、着色組成物の経時安定性を向上させることができる。2官能あるいは3官能以上の光ラジカル重合開始剤の具体例としては、特表2010-527339号公報、特表2011-524436号公報、国際公開第2015/004565号、特表2016-532675号公報の段落番号0407~0412、国際公開第2017/033680号の段落番号0039~0055に記載されているオキシム化合物の2量体、特表2013-522445号公報に記載されている化合物(E)および化合物(G)、国際公開第2016/034963号に記載されているCmpd1~7、特表2017-523465号公報の段落番号0007に記載されているオキシムエステル類光開始剤、特開2017-167399号公報の段落番号0020~0033に記載されている光開始剤、特開2017-151342号公報の段落番号0017~0026に記載されている光重合開始剤(A)などが挙げられる。
【0226】
本発明の着色組成物の全固形分中の光重合開始剤の含有量は0.1~30質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。上限は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。本発明の着色組成物において、光重合開始剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0227】
<<顔料誘導体>>
本発明の着色組成物は顔料誘導体を含有することができる。顔料誘導体としては、顔料の一部を、酸基、または塩基性基で置換した構造を有する化合物が挙げられる。顔料誘導体としては、特開昭56-118462号公報、特開昭63-264674号公報、特開平01-217077号公報、特開平03-009961号公報、特開平03-026767号公報、特開平03-153780号公報、特開平03-045662号公報、特開平04-285669号公報、特開平06-145546号公報、特開平06-212088号公報、特開平06-240158号公報、特開平10-030063号公報、特開平10-195326号公報、国際公開第2011/024896号の段落番号0086~0098、国際公開第2012/102399号の段落番号0063~0094、国際公開第2017/038252号の段落番号0082、特開2015-151530号公報の段落番号0171等に記載の化合物、特開2015-172732号公報に記載の化合物、特開2014-199308号公報に記載の化合物、特開2014-085562号公報に記載の化合物、特開2014-035351号公報に記載の化合物、特開2008-081565号公報に記載の化合物を用いることができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0228】
顔料誘導体の含有量は、顔料100質量部に対し、1~50質量部が好ましい。下限値は、3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。上限値は、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。顔料誘導体の含有量が上記範囲であれば、顔料の分散性を高めて、顔料の凝集を効率よく抑制できる。顔料誘導体は1種のみでもよく、2種以上でもよい。2種以上の場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0229】
<<シランカップリング剤>>
本発明の着色組成物はシランカップリング剤を含有することができる。この態様によれば、得られる硬化膜の支持体との密着性を向上させることができる。本発明において、シランカップリング剤は、加水分解性基とそれ以外の官能基とを有するシラン化合物を意味する。また、加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応及び縮合反応の少なくともいずれかによってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基などが挙げられ、アルコキシ基が好ましい。すなわち、シランカップリング剤は、アルコキシシリル基を有する化合物が好ましい。また、加水分解性基以外の官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ウレイド基、スルフィド基、イソシアネート基、フェニル基などが挙げられ、アミノ基、(メタ)アクリロイル基およびエポキシ基が好ましい。シランカップリング剤の具体例としては、特開2009-288703号公報の段落番号0018~0036に記載の化合物、特開2009-242604号公報の段落番号0056~0066に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0230】
着色組成物の全固形分中におけるシランカップリング剤の含有量は、0.1~5質量%が好ましい。上限は、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。シランカップリング剤は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。2種以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0231】
<<溶剤>>
本発明の着色組成物は、溶剤を含有することができる。溶剤としては、有機溶剤が挙げられる。溶剤は、各成分の溶解性や着色組成物の塗布性を満足すれば基本的には特に制限はない。有機溶剤としては、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤などが挙げられる。これらの詳細については、国際公開第2015/166779号の段落番号0223を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、環状アルキル基が置換したエステル系溶剤、環状アルキル基が置換したケトン系溶剤を好ましく用いることもできる。有機溶剤の具体例としては、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジクロロメタン、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシル、シクロペンタノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドなどが挙げられる。ただし溶剤としての芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)は、環境面等の理由により低減したほうがよい場合がある(例えば、有機溶剤全量に対して、50質量ppm(parts per million)以下とすることもでき、10質量ppm以下とすることもでき、1質量ppm以下とすることもできる)。
【0232】
本発明においては、金属含有量の少ない溶剤を用いることが好ましく、溶剤の金属含有量は、例えば10質量ppb(parts per billion)以下であることが好ましい。必要に応じて質量ppt(parts per trillion)レベルの溶剤を用いてもよく、そのような高純度溶剤は例えば東洋合成社が提供している(化学工業日報、2015年11月13日)。
【0233】
溶剤から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、蒸留(分子蒸留や薄膜蒸留等)やフィルタを用いたろ過を挙げることができる。ろ過に用いるフィルタのフィルタ孔径としては、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下が更に好ましい。フィルタの材質は、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンまたはナイロンが好ましい。
【0234】
溶剤は、異性体(原子数が同じであるが構造が異なる化合物)が含まれていてもよい。また、異性体は、1種のみが含まれていてもよいし、複数種含まれていてもよい。
【0235】
有機溶剤中の過酸化物の含有率は0.8mmol/L以下であることが好ましく、過酸化物を実質的に含まないことがより好ましい。
【0236】
着色組成物中における溶剤の含有量は、10~95質量%であることが好ましく、20~90質量%であることがより好ましく、30~90質量%であることが更に好ましい。
【0237】
また、本発明の着色組成物は、環境規制の観点から環境規制物質を実質的に含有しないことが好ましい。なお、本発明において、環境規制物質を実質的に含有しないとは、着色組成物中における環境規制物質の含有量が50質量ppm以下であることを意味し、30質量ppm以下であることが好ましく、10質量ppm以下であることが更に好ましく、1質量ppm以下であることが特に好ましい。環境規制物質は、例えばベンゼン;トルエン、キシレン等のアルキルベンゼン類;クロロベンゼン等のハロゲン化ベンゼン類等が挙げられる。これらは、REACH(Registration Evaluation Authorization and Restriction of CHemicals)規則、PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)法、VOC(Volatile Organic Compounds)規制等のもとに環境規制物質として登録されており、使用量や取り扱い方法が厳しく規制されている。これらの化合物は、本発明の着色組成物に用いられる各成分などを製造する際に溶媒として用いられることがあり、残留溶媒として着色組成物中に混入することがある。人への安全性、環境への配慮の観点よりこれらの物質は可能な限り低減することが好ましい。環境規制物質を低減する方法としては、系中を加熱や減圧して環境規制物質の沸点以上にして系中から環境規制物質を留去して低減する方法が挙げられる。また、少量の環境規制物質を留去する場合においては、効率を上げる為に該当溶媒と同等の沸点を有する溶媒と共沸させることも有用である。また、ラジカル重合性を有する化合物を含有する場合、減圧留去中にラジカル重合反応が進行して分子間で架橋してしまうことを抑制するために重合禁止剤等を添加して減圧留去してもよい。これらの留去方法は、原料の段階、原料を反応させた生成物(例えば重合した後の樹脂溶液や多官能モノマー溶液)の段階、またはこれらの化合物を混ぜて作製した着色組成物の段階などのいずれの段階でも可能である。
【0238】
<<重合禁止剤>>
本発明の着色組成物は、重合禁止剤を含有することができる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(アンモニウム塩、第一セリウム塩等)が挙げられる。中でも、p-メトキシフェノールが好ましい。着色組成物の全固形分中における重合禁止剤の含有量は、0.0001~5質量%が好ましい。
【0239】
<<界面活性剤>>
本発明の着色組成物は、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用することができる。界面活性剤については、国際公開第2015/166779号の段落番号0238~0245に記載された界面活性剤が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0240】
本発明において、界面活性剤はフッ素系界面活性剤であることが好ましい。着色組成物にフッ素系界面活性剤を含有させることで液特性(特に、流動性)がより向上し、省液性をより改善することができる。また、厚みムラの小さい膜を形成することもできる。
【0241】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3~40質量%が好適であり、より好ましくは5~30質量%であり、特に好ましくは7~25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、着色組成物中における溶解性も良好である。
【0242】
フッ素系界面活性剤としては、特開2014-041318号公報の段落番号0060~0064(対応する国際公開第2014/017669号の段落番号0060~0064)等に記載の界面活性剤、特開2011-132503号公報の段落番号0117~0132に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファックF171、F172、F173、F176、F177、F141、F142、F143、F144、R30、F437、F475、F479、F482、F554、F780、EXP、MFS-330(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393、KH-40(以上、AGC(株)製)、PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)等が挙げられる。
【0243】
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を含有する官能基を持つ分子構造を有し、熱を加えるとフッ素原子を含有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC(株)製のメガファックDSシリーズ(化学工業日報(2016年2月22日)、日経産業新聞(2016年2月23日))、例えばメガファックDS-21が挙げられる。
【0244】
また、フッ素系界面活性剤は、フッ化アルキル基またはフッ化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体を用いることも好ましい。このようなフッ素系界面活性剤は、特開2016-216602号公報の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0245】
フッ素系界面活性剤は、ブロックポリマーを用いることもできる。例えば特開2011-089090号公報に記載された化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができる。下記化合物も本発明で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。
【化35】
上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3000~50000であり、例えば、14000である。上記の化合物中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
【0246】
また、フッ素系界面活性剤は、エチレン性不飽和基を側鎖に有する含フッ素重合体を用いることもできる。具体例としては、特開2010-164965号公報の段落番号0050~0090および段落番号0289~0295に記載された化合物、例えばDIC(株)製のメガファックRS-101、RS-102、RS-718K、RS-72-K等が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、特開2015-117327号公報の段落番号0015~0158に記載の化合物を用いることもできる。
【0247】
ノニオン系界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2(BASF社製)、テトロニック304、701、704、901、904、150R1(BASF社製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)、NCW-101、NCW-1001、NCW-1002(富士フイルム和光純薬(株)製)、パイオニンD-6112、D-6112-W、D-6315(竹本油脂(株)製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、440(日信化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0248】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、トーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)、TSF-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、TSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、KP-341、KF-6001、KF-6002(以上、信越シリコーン株式会社製)、BYK307、BYK323、BYK330(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
【0249】
着色組成物の全固形分中における界面活性剤の含有量は、0.001質量%~5.0質量%が好ましく、0.005~3.0質量%がより好ましい。界面活性剤は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。2種以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0250】
<<紫外線吸収剤>>
本発明の着色組成物は、紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤は、共役ジエン化合物、アミノジエン化合物、サリシレート化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アクリロニトリル化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物、インドール化合物、トリアジン化合物などを用いることができる。このような化合物としては、特開2009-217221号公報の段落番号0038~0052、特開2012-208374号公報の段落番号0052~0072、特開2013-068814号公報の段落番号0317~0334、特開2016-162946号公報の段落番号0061~0080に記載された化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、UV-503(大東化学(株)製)などが挙げられる。また、ベンゾトリアゾール化合物としては、ミヨシ油脂製のMYUAシリーズ(化学工業日報、2016年2月1日)が挙げられる。また、紫外線吸収剤として特許第6268967号公報の段落番号0049~0059に記載の化合物も使用できる。
【0251】
着色組成物の全固形分中における紫外線吸収剤の含有量は、0.01~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましい。本発明において、紫外線吸収剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0252】
<<酸化防止剤>>
本発明の着色組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤としては、フェノール化合物、亜リン酸エステル化合物、チオエーテル化合物などが挙げられる。フェノール化合物としては、フェノール系酸化防止剤として知られる任意のフェノール化合物を使用することができる。好ましいフェノール化合物としては、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。フェノール性ヒドロキシ基に隣接する部位(オルト位)に置換基を有する化合物が好ましい。前述の置換基としては炭素数1~22の置換又は無置換のアルキル基が好ましい。また、酸化防止剤は、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する化合物も好ましい。また、酸化防止剤は、リン系酸化防止剤も好適に使用することができる。リン系酸化防止剤としてはトリス[2-[[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2-[(4,6,9,11-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-2-イル)オキシ]エチル]アミン、亜リン酸エチルビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)などが挙げられる。酸化防止剤の市販品としては、例えば、アデカスタブ AO-20、アデカスタブ AO-30、アデカスタブ AO-40、アデカスタブ AO-50、アデカスタブ AO-50F、アデカスタブ AO-60、アデカスタブ AO-60G、アデカスタブ AO-80、アデカスタブ AO-330(以上、(株)ADEKA製)などが挙げられる。また、酸化防止剤は、特許第6268967号公報の段落番号0023~0048に記載された化合物、国際公開第2017/006600号に記載された化合物、国際公開第2017/164024号に記載された化合物を使用することもできる。
【0253】
着色組成物の全固形分中における酸化防止剤の含有量は、0.01~20質量%であることが好ましく、0.3~15質量%であることがより好ましい。酸化防止剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0254】
<<その他成分>>
本発明の着色組成物は、必要に応じて、増感剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、可塑剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を含有してもよい。これらの成分を適宜含有させることにより、膜物性などの性質を調整することができる。これらの成分は、例えば、特開2012-003225号公報の段落番号0183以降(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の段落番号0237)の記載、特開2008-250074号公報の段落番号0101~0104、0107~0109等の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、本発明の着色組成物は、必要に応じて、潜在酸化防止剤を含有してもよい。潜在酸化防止剤としては、酸化防止剤として機能する部位が保護基で保護された化合物であって、100~250℃で加熱するか、又は酸/塩基触媒存在下で80~200℃で加熱することにより保護基が脱離して酸化防止剤として機能する化合物が挙げられる。潜在酸化防止剤としては、国際公開第2014/021023号、国際公開第2017/030005号、特開2017-008219号公報に記載された化合物が挙げられる。潜在酸化防止剤の市販品としては、アデカアークルズGPA-5001((株)ADEKA製)等が挙げられる。また、特開2018-155881号公報に記載されているように、C.I.ピグメントイエロー129を耐候性改良の目的で添加しても良い。
【0255】
本発明の着色組成物は、得られる膜の屈折率を調整するために金属酸化物を含有させてもよい。金属酸化物としては、TiO2、ZrO2、Al2O3、SiO2等が挙げられる。金属酸化物の一次粒子径は1~100nmが好ましく、3~70nmがより好ましく、5~50nmが更に好ましい。金属酸化物はコア-シェル構造を有していてもよい。また、この場合、コア部は中空状であってもよい。
【0256】
本発明の着色組成物は、耐光性改良剤を含んでもよい。耐光性改良剤としては、特開2017-198787号公報の段落番号0036~0037に記載の化合物、特開2017-146350号公報の段落番号0029~0034に記載の化合物、特開2017-129774号公報の段落番号0036~0037、0049~0052に記載の化合物、特開2017-129674号公報の段落番号0031~0034、0058~0059に記載の化合物、特開2017-122803号公報の段落番号0036~0037、0051~0054に記載の化合物、国際公開第2017/164127号の段落番号0025~0039に記載の化合物、特開2017-186546号公報の段落番号0034~0047に記載の化合物、特開2015-025116号公報の段落番号0019~0041に記載の化合物、特開2012-145604号公報の段落番号0101~0125に記載の化合物、特開2012-103475号公報の段落番号0018~0021に記載の化合物、特開2011-257591号公報の段落番号0015~0018に記載の化合物、特開2011-191483号公報の段落番号0017~0021に記載の化合物、特開2011-145668号公報の段落番号0108~0116に記載の化合物、特開2011-253174号公報の段落番号0103~0153に記載の化合物などが挙げられる。
【0257】
本発明の着色組成物は、顔料などと結合または配位していない遊離の金属の含有量が100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることが更に好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。この態様によれば、顔料分散性の安定化(凝集抑止)、分散性向上に伴う分光特性の向上、硬化性成分の安定化、金属原子・金属イオンの溶出に伴う導電性変動の抑止、表示特性の向上などの効果が期待できる。また、特開2012-153796号公報、特開2000-345085号公報、特開2005-200560号公報、特開平08-043620号公報、特開2004-145078号公報、特開2014-119487号公報、特開2010-083997号公報、特開2017-090930号公報、特開2018-025612号公報、特開2018-025797号公報、特開2017-155228号公報、特開2018-036521号公報などに記載された効果も得られる。上記の遊離の金属の種類としては、Na、K、Ca、Sc、Ti、Mn、Cu、Zn、Fe、Cr、Co、Mg、Al、Sn、Zr、Ga、Ge、Ag、Au、Pt、Cs、Ni、Cd、Pb、Bi等が挙げられる。また、本発明の着色組成物は、顔料などと結合または配位していない遊離のハロゲンの含有量が100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることが更に好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。ハロゲンとしては、F、Cl、Br、I及びそれらの陰イオンが挙げられる。着色組成物中の遊離の金属やハロゲンの低減方法としては、イオン交換水による洗浄、ろ過、限外ろ過、イオン交換樹脂による精製等の方法が挙げられる。
【0258】
本発明の着色組成物は、テレフタル酸エステルを実質的に含まないことも好ましい。
【0259】
<収容容器>
本発明の着色組成物の収容容器としては、特に限定はなく、公知の収容容器を用いることができる。また、収容容器として、原材料や着色組成物中への不純物混入を抑制することを目的に、容器内壁を6種6層の樹脂で構成する多層ボトルや6種の樹脂を7層構造にしたボトルを使用することも好ましい。このような容器としては例えば特開2015-123351号公報に記載の容器が挙げられる。また、着色組成物の内壁は、容器内壁からの金属溶出を防ぎ、組成物の保存安定性を高めたり、成分変質を抑制するなど目的で、ガラス製やステンレス製などにすることも好ましい。本発明の着色組成物の保存条件としては特に限定はなく、従来公知の方法を用いることができる。また、特開2016-180058号公報に記載された方法を用いることもできる。
【0260】
<着色組成物の製造方法>
本発明の着色組成物は、前述の成分を混合して製造できる。着色組成物の製造に際しては、全成分を同時に溶剤に溶解および/または分散して着色組成物を製造してもよいし、必要に応じて、各成分を適宜2つ以上の溶液または分散液としておいて、使用時(塗布時)にこれらを混合して着色組成物を製造してもよい。
【0261】
また、着色組成物の製造に際して、顔料を分散させるプロセスを含むことが好ましい。顔料を分散させるプロセスにおいて、顔料の分散に用いる機械力としては、圧縮、圧搾、衝撃、剪断、キャビテーションなどが挙げられる。これらプロセスの具体例としては、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、マイクロフルイダイザー、高速インペラー、サンドグラインダー、フロージェットミキサー、高圧湿式微粒化、超音波分散などが挙げられる。またサンドミル(ビーズミル)における顔料の粉砕においては、径の小さいビーズを使用する、ビーズの充填率を大きくする事等により粉砕効率を高めた条件で処理することが好ましい。また、粉砕処理後にろ過、遠心分離などで粗粒子を除去することが好ましい。また、顔料を分散させるプロセスおよび分散機は、「分散技術大全、株式会社情報機構発行、2005年7月15日」や「サスペンション(固/液分散系)を中心とした分散技術と工業的応用の実際 総合資料集、経営開発センター出版部発行、1978年10月10日」、特開2015-157893号公報の段落番号0022に記載のプロセス及び分散機を好適に使用出来る。また、顔料を分散させるプロセスにおいては、ソルトミリング工程にて粒子の微細化処理を行ってもよい。ソルトミリング工程に用いられる素材、機器、処理条件等は、例えば特開2015-194521号公報、特開2012-046629号公報の記載を参酌できる。
【0262】
着色組成物の製造にあたり、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、着色組成物をフィルタでろ過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているフィルタであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ナイロン(例えばナイロン-6、ナイロン-6,6)等のポリアミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量のポリオレフィン樹脂を含む)等の素材を用いたフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)およびナイロンが好ましい。
【0263】
フィルタの孔径は、0.01~7.0μmが好ましく、0.01~3.0μmがより好ましく、0.05~0.5μmが更に好ましい。フィルタの孔径が上記範囲であれば、微細な異物をより確実に除去できる。フィルタの孔径値については、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。フィルタは、日本ポール株式会社(DFA4201NIEYなど)、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)および株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタを用いることができる。
【0264】
また、フィルタとしてファイバ状のろ材を用いることも好ましい。ファイバ状のろ材としては、例えばポリプロピレンファイバ、ナイロンファイバ、グラスファイバ等が挙げられる。市販品としては、ロキテクノ社製のSBPタイプシリーズ(SBP008など)、TPRタイプシリーズ(TPR002、TPR005など)、SHPXタイプシリーズ(SHPX003など)が挙げられる。
【0265】
フィルタを使用する際、異なるフィルタ(例えば、第1のフィルタと第2のフィルタなど)を組み合わせてもよい。その際、各フィルタでのろ過は、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。また、上述した範囲内で異なる孔径のフィルタを組み合わせてもよい。また、第1のフィルタでのろ過は、分散液のみに対して行い、他の成分を混合した後で、第2のフィルタでろ過を行ってもよい。
【0266】
<硬化膜>
本発明の硬化膜は、上述した本発明の着色組成物から得られる硬化膜である。本発明の硬化膜は、カラーフィルタなどに用いることができる。具体的には、カラーフィルタの着色層(画素)として好ましく用いることができ、より具体的には、カラーフィルタの赤色着色層(赤色画素)として好ましく用いることができる。本発明の硬化膜の膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。例えば、膜厚は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上がさらに好ましい。
【0267】
<カラーフィルタ>
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、上述した本発明の硬化膜を有する。より好ましくは、カラーフィルタの画素として、本発明の硬化膜を有する。本発明のカラーフィルタは、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)などの固体撮像素子や画像表示装置などに用いることができる。
【0268】
本発明のカラーフィルタにおいて本発明の硬化膜の膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。膜厚は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上が更に好ましい。
【0269】
本発明のカラーフィルタは、画素の幅が0.5~20.0μmであることが好ましい。下限は、1.0μm以上であることが好ましく、2.0μm以上であることがより好ましい。上限は、15.0μm以下であることが好ましく、10.0μm以下であることがより好ましい。また、画素のヤング率が0.5~20GPaであることが好ましく、2.5~15GPaがより好ましい。
【0270】
本発明のカラーフィルタに含まれる各画素は高い平坦性を有することが好ましい。具体的には、画素の表面粗さRaは、100nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることが更に好ましい。下限は規定されないが、例えば0.1nm以上であることが好ましい。画素の表面粗さは、例えばVeeco社製のAFM(原子間力顕微鏡) Dimension3100を用いて測定することができる。また、画素上の水の接触角は適宜好ましい値に設定することができるが、典型的には、50~110°の範囲である。接触角は、例えば接触角計CV-DT・A型(協和界面科学(株)製)を用いて測定できる。また、画素の体積抵抗値は高いことが好ましい。具体的には、画素の体積抵抗値は109Ω・cm以上であることが好ましく、1011Ω・cm以上であることがより好ましい。上限は規定されないが、例えば1014Ω・cm以下であることが好ましい。画素の体積抵抗値は、例えば超高抵抗計5410(アドバンテスト社製)を用いて測定することができる。
【0271】
また、本発明のカラーフィルタは、本発明の硬化膜の表面に保護層を設けてもよい。保護層を設けることで、酸素遮断化、低反射化、親疎水化、特定波長の光(紫外線、近赤外線等)の遮蔽等の種々の機能を付与することができる。保護層の厚さとしては、0.01~10μmが好ましく、0.1~5μmがより好ましい。保護層の形成方法としては、有機溶剤に溶解した樹脂組成物を塗布して形成する方法、化学気相蒸着法、成型した樹脂を接着材で貼りつける方法等が挙げられる。保護層を構成する成分としては、(メタ)アクリル樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アラミド樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、セルロース樹脂、Si、C、W、Al2O3、Mo、SiO2、Si2N4などが挙げられ、これらの成分を二種以上含有しても良い。例えば、酸素遮断化を目的とした保護層の場合、保護層はポリオール樹脂と、SiO2と、Si2N4を含むことが好ましい。また、低反射化を目的とした保護層の場合、保護層は(メタ)アクリル樹脂とフッ素樹脂を含むことが好ましい。
【0272】
樹脂組成物を塗布して保護層を形成する場合、樹脂組成物の塗布方法としては、スピンコート法、キャスト法、スクリーン印刷法、インクジェット法等の公知の方法を用いることができる。樹脂組成物に含まれる有機溶剤は、公知の有機溶剤(例えば、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセテート、シクロペンタノン、乳酸エチル等)を用いることが出来る。保護層を化学気相蒸着法にて形成する場合、化学気相蒸着法としては、公知の化学気相蒸着法(熱化学気相蒸着法、プラズマ化学気相蒸着法、光化学気相蒸着法)を用いることができる。
【0273】
保護層は、必要に応じて、有機・無機微粒子、特定波長の光(例えば、紫外線、近赤外線等)の吸収剤、屈折率調整剤、酸化防止剤、密着剤、界面活性剤等の添加剤を含有しても良い。有機・無機微粒子の例としては、例えば、高分子微粒子(例えば、シリコーン樹脂微粒子、ポリスチレン微粒子、メラミン樹脂微粒子)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アルミニウム、窒化チタン、酸窒化チタン、フッ化マグネシウム、中空シリカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。特定波長の光の吸収剤は公知の吸収剤を用いることができる。これらの添加剤の含有量は適宜調整できるが、保護層の全質量に対して0.1~70質量%が好ましく、1~60質量%がさらに好ましい。
【0274】
また、保護層としては、特開2017-151176号公報の段落番号0073~0092に記載の保護層を用いることもできる。
【0275】
カラーフィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各着色画素が埋め込まれた構造を有していてもよい。
【0276】
<カラーフィルタの製造方法>
次に、本発明のカラーフィルタの製造方法について説明する。本発明のカラーフィルタは、上述した本発明の着色組成物を用いて支持体上に着色組成物層を形成する工程と、フォトリソグラフィ法またはドライエッチング法により着色組成物層に対してパターンを形成する工程と、を経て製造できる。
【0277】
(フォトリソグラフィ法)
まず、フォトリソグラフィ法によりパターンを形成してカラーフィルタを製造する場合について説明する。フォトリソグラフィ法によるパターン形成は、本発明の着色組成物を用いて支持体上に着色組成物層を形成する工程と、着色組成物層をパターン状に露光する工程と、着色組成物層の未露光部を現像除去してパターン(画素)を形成する工程と、を含むことが好ましい。必要に応じて、着色組成物層をベークする工程(プリベーク工程)、および、現像されたパターン(画素)をベークする工程(ポストベーク工程)を設けてもよい。
【0278】
着色組成物層を形成する工程では、本発明の着色組成物を用いて、支持体上に着色組成物層を形成する。支持体としては、特に限定は無く、用途に応じて適宜選択できる。例えば、ガラス基板、シリコン基板などが挙げられ、シリコン基板であることが好ましい。また、シリコン基板には、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、透明導電膜などが形成されていてもよい。また、シリコン基板には、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されている場合もある。また、シリコン基板には、上部の層との密着性改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層が設けられていてもよい。
【0279】
着色組成物の塗布方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、滴下法(ドロップキャスト);スリットコート法;スプレー法;ロールコート法;回転塗布法(スピンコーティング);流延塗布法;スリットアンドスピン法;プリウェット法(たとえば、特開2009-145395号公報に記載されている方法);インクジェット(例えばオンデマンド方式、ピエゾ方式、サーマル方式)、ノズルジェット等の吐出系印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、反転オフセット印刷、メタルマスク印刷法などの各種印刷法;金型等を用いた転写法;ナノインプリント法などが挙げられる。インクジェットでの適用方法としては、特に限定されず、例えば「広がる・使えるインクジェット-特許に見る無限の可能性-、2005年2月発行、住ベテクノリサーチ」に示された方法(特に115ページ~133ページ)や、特開2003-262716号公報、特開2003-185831号公報、特開2003-261827号公報、特開2012-126830号公報、特開2006-169325号公報などに記載の方法が挙げられる。また、着色組成物の塗布方法については、国際公開第2017/030174号、国際公開第2017/018419号の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0280】
支持体上に形成した着色組成物層は、乾燥(プリベーク)してもよい。低温プロセスにより膜を製造する場合は、プリベークを行わなくてもよい。プリベークを行う場合、プリベーク温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。下限は、例えば、50℃以上とすることができ、80℃以上とすることもできる。プリベーク時間は、10~300秒が好ましく、40~250秒がより好ましく、80~220秒がさらに好ましい。プリベークは、ホットプレート、オーブン等で行うことができる。
【0281】
<<露光工程>>
次に、着色組成物層をパターン状に露光する(露光工程)。例えば、着色組成物層に対し、ステッパー露光機やスキャナ露光機などを用いて、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光することで、パターン状に露光することができる。これにより、露光部分を硬化することができる。
【0282】
露光に際して用いることができる放射線(光)としては、g線、i線等が挙げられる。また、波長300nm以下の光(好ましくは波長180~300nmの光)を用いることもできる。波長300nm以下の光としては、KrF線(波長248nm)、ArF線(波長193nm)などが挙げられ、KrF線(波長248nm)が好ましい。また、300nm以上の長波な光源も利用できる。
【0283】
また、露光に際して、光を連続的に照射して露光してもよく、パルス的に照射して露光(パルス露光)してもよい。なお、パルス露光とは、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止を繰り返して露光する方式の露光方法のことである。パルス露光の場合、パルス幅は、100ナノ秒(ns)以下であることが好ましく、50ナノ秒以下であることがより好ましく、30ナノ秒以下であることが更に好ましい。パルス幅の下限は、特に限定はないが、1フェムト秒(fs)以上とすることができ、10フェムト秒以上とすることもできる。周波数は、1kHz以上であることが好ましく、2kHz以上であることがより好ましく、4kHz以上であることが更に好ましい。周波数の上限は50kHz以下であることが好ましく、20kHz以下であることがより好ましく、10kHz以下であることが更に好ましい。最大瞬間照度は、50000000W/m2以上であることが好ましく、100000000W/m2以上であることがより好ましく、200000000W/m2以上であることが更に好ましい。また、最大瞬間照度の上限は、1000000000W/m2以下であることが好ましく、800000000W/m2以下であることがより好ましく、500000000W/m2以下であることが更に好ましい。なお、パルス幅とは、パルス周期における光が照射されている時間のことである。また、周波数とは、1秒あたりのパルス周期の回数のことである。また、最大瞬間照度とは、パルス周期における光が照射されている時間内での平均照度のことである。また、パルス周期とは、パルス露光における光の照射と休止を1サイクルとする周期のことである。
【0284】
照射量(露光量)は、例えば、0.03~2.5J/cm2が好ましく、0.05~1.0J/cm2がより好ましい。露光時における酸素濃度については適宜選択することができ、大気下で行う他に、例えば酸素濃度が19体積%以下の低酸素雰囲気下(例えば、15体積%、5体積%、または、実質的に無酸素)で露光してもよく、酸素濃度が21体積%を超える高酸素雰囲気下(例えば、22体積%、30体積%、または、50体積%)で露光してもよい。また、露光照度は適宜設定することが可能であり、通常1000W/m2~100000W/m2(例えば、5000W/m2、15000W/m2、または、35000W/m2)の範囲から選択することができる。酸素濃度と露光照度は適宜条件を組み合わせてよく、例えば、酸素濃度10体積%で照度10000W/m2、酸素濃度35体積%で照度20000W/m2などとすることができる。
【0285】
次に、着色組成物層の未露光部を現像除去してパターン(画素)を形成する。着色組成物層の未露光部の現像除去は、現像液を用いて行うことができる。これにより、露光工程における未露光部の着色組成物層が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが残る。現像液の温度は、例えば、20~30℃が好ましい。現像時間は、20~180秒が好ましい。また、残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、さらに新たに現像液を供給する工程を数回繰り返してもよい。
【0286】
現像液は、有機溶剤、アルカリ現像液などが挙げられ、アルカリ現像液が好ましく用いられる。アルカリ現像液としては、アルカリ剤を純水で希釈したアルカリ性水溶液(アルカリ現像液)が好ましい。アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジグリコールアミン、ジエタノールアミン、ヒドロキシアミン、エチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの無機アルカリ性化合物が挙げられる。アルカリ剤は、分子量が大きい化合物の方が環境面および安全面で好ましい。アルカリ性水溶液のアルカリ剤の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。また、現像液は、さらに界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、上述した界面活性剤が挙げられ、ノニオン系界面活性剤が好ましい。現像液は、移送や保管の便宜などの観点より、一旦濃縮液として製造し、使用時に必要な濃度に希釈してもよい。希釈倍率は特に限定されないが、例えば1.5~100倍の範囲に設定することができる。また、現像後純水で洗浄(リンス)することも好ましい。また、リンスは、現像後の着色組成物層が形成された支持体を回転させつつ、現像後の着色組成物層へリンス液を供給して行うことが好ましい。また、リンス液を吐出させるノズルを支持体の中心部から支持体の周縁部に移動させて行うことも好ましい。この際、ノズルの支持体中心部から周縁部へ移動させるにあたり、ノズルの移動速度を徐々に低下させながら移動させてもよい。このようにしてリンスを行うことで、リンスの面内ばらつきを抑制できる。また、ノズルを支持体中心部から周縁部へ移動させつつ、支持体の回転速度を徐々に低下させても同様の効果が得られる。
【0287】
現像後、乾燥を施した後に追加露光処理や加熱処理(ポストベーク)を行うことが好ましい。追加露光処理やポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の硬化処理である。ポストベークにおける加熱温度は、例えば100~240℃が好ましく、200~240℃がより好ましい。ポストベークは、現像後の膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。追加露光処理を行う場合、露光に用いられる光は、波長400nm以下の光であることが好ましい。また、追加露光処理は、韓国公開特許第10-2017-0122130号公報に記載された方法で行ってもよい。
【0288】
(ドライエッチング法)
次に、ドライエッチング法によりパターンを形成してカラーフィルタを製造する場合について説明する。ドライエッチング法でのパターン形成は、本発明の着色組成物を用いて支持体上に着色組成物層を形成し、この着色組成物層の全体を硬化させて硬化物層を形成する工程と、この硬化物層上にフォトレジスト層を形成する工程と、フォトレジスト層をパターン状に露光したのち、現像してレジストパターンを形成する工程と、このレジストパターンをマスクとして硬化物層に対してエッチングガスを用いてドライエッチングする工程と、を含むことが好ましい。フォトレジスト層の形成においては、更にプリベーク処理を施すことが好ましい。特に、フォトレジスト層の形成プロセスとしては、露光後の加熱処理、現像後の加熱処理(ポストベーク処理)を実施する形態が望ましい。ドライエッチング法でのパターン形成については、特開2013-064993号公報の段落番号0010~0067の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0289】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、上述した本発明の硬化膜を有する。本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明の硬化膜を備え、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
【0290】
基板上に、固体撮像素子(CCD(電荷結合素子)イメージセンサ、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、カラーフィルタを有する構成である。更に、デバイス保護膜上であってカラーフィルタの下(基板に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、カラーフィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各着色画素が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は各着色画素よりも低屈折率であることが好ましい。このような構造を有する撮像装置の例としては、特開2012-227478号公報、特開2014-179577号公報、国際公開第2018/043654号、米国特許出願公開第2018/0040656号明細書に記載の装置が挙げられる。本発明の固体撮像素子を備えた撮像装置は、デジタルカメラや、撮像機能を有する電子機器(携帯電話等)の他、車載カメラや監視カメラ用としても用いることができる。
【0291】
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、上述した本発明の硬化膜を有する。画像表示装置としては、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置などが挙げられる。画像表示装置の定義や各画像表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木昭夫著、(株)工業調査会、1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男編集、(株)工業調査会、1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
【実施例】
【0292】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0293】
<重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)の測定方法>
樹脂およびマクロモノマーの重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、下記測定条件の下、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)測定により算出した。
装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
検出器:示差屈折計(RI検出器)
プレカラム TSKGUARDCOLUMN MP(XL)6mm×40mm(東ソー(株)製)
サンプル側カラム:以下4本を直結〔全て東ソー(株)製〕
TSK-GEL Multipore-HXL-M 7.8mm×300mm
リファレンス側カラム:サンプル側カラムに同じ
恒温槽温度:40℃
移動相:テトラヒドロフラン
サンプル側移動相流量:1.0mL/分
リファレンス側移動相流量:0.3mL/分
試料濃度:0.1質量%
試料注入量:100μL
データ採取時間:試料注入後16分~46分
サンプリングピッチ:300ms(ミリ秒)
【0294】
<酸価の測定方法>
樹脂の酸価は水酸化ナトリウム水溶液を用いた中和滴定により求めた。具体的には、樹脂を溶媒に溶解させた溶液に、電位差測定法を用いて水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、樹脂の固形分1gに含まれる酸のミリモル数を算出し、次に、その値を水酸化カリウム(KOH)の分子量56.1をかけることにより求めた。
【0295】
<C=C価(エチレン性不飽和基価)の測定方法>
下記方法により、樹脂のC=C価を測定した。
アルカリ処理によって樹脂からエチレン性不飽和基部位の低分子成分(a)を取り出し、その含有量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定し、その測定値に基づいて下記式からC=C価を算出した。
具体的には、樹脂0.1gをテトラヒドロフラン/メタノール混合液(50mL/15mL)に溶解させ、4mol/L水酸化ナトリウム水溶液10mLを加え、40℃で2時間反応させた。反応液を4mol/Lメタンスルホン酸水溶液10.2mLで中和し、その後、イオン交換水5mLとメタノール2mLを加えた混合液を100mLメスフラスコに移液し、メタノールでメスアップすることでHPLC測定サンプルを調製し、以下の条件で測定する。なお、低分子成分(a)の含有量は別途作成した低分子成分(a)の検量線から算出し、C=C価は下記式より算出した。
【0296】
樹脂のC=C価[mmol/g]=(低分子成分(a)の含有量[ppm]/低分子成分(a)の分子量[g/mol])/(樹脂の秤量値[g]×(樹脂液の固形分濃度[質量%]/100)×10)
【0297】
-HPLC測定条件-
測定機器: Agilent-1200(アジレント・テクノロジー(株)製)
カラム: Phenomenex社製 Synergi 4u Polar-RP 80A,250mm×4.60mm(内径)+ガードカラム
カラム温度:40℃
分析時間:15分
流速:1.0mL/min(最大送液圧力:182bar(18.2MPa))
注入量:5μl
検出波長:210nm
溶離液:テトラヒドロフラン(安定剤不含HPLC用)/バッファー溶液(リン酸0.2体積%及びトリエチルアミン0.2体積%を含有するイオン交換水溶液)=55/45(体積%)
なお、本明細書において、体積%は25℃における値である。
【0298】
<アミン価の測定方法>
樹脂約0.5gを精密に量り、酢酸(100質量%)50mLを加えて溶かし、0.1 mol/L 過塩素酸で電気滴定法(電位差滴定)電位差自動滴定装置(AT-710M;京都電子工業(株)製)を用いて滴定した。また、同様の方法で空試験を行って補正した。
アミン価=a×5.611/c
a:0.1mol/L 過塩素酸の消費量(mL)
c:樹脂の量(g)
【0299】
<顔料分散液RD1~RD7、CRD1~CRD4、YD1~YD4の調製>
下記の表に記載の原料を混合して混合液を得た。得られた混合液を、循環型分散装置(ビーズミル)として寿工業株式会社製のウルトラアペックスミル(商品名)を用いて分散処理を行い、各顔料分散液を調製した。下記表に記載の成分のうち、分散剤1および分散剤2の質量部の欄に記載の数値は、固形分の値である。
【表1】
【表2】
【表3】
【0300】
<マゼンタ色着色剤溶液MD1~MD33の調製>
下記の表に記載の原料を混合してマゼンタ色着色剤溶液MD1~MD33を得た。
【表4】
【0301】
<マゼンタ色着色剤溶液CMD1~CMD2の調製>
下記の表に記載の原料を混合して混合液を得た。得られた混合液を、循環型分散装置(ビーズミル)として寿工業株式会社製のウルトラアペックスミル(商品名)を用いて分散処理を行い、マゼンタ色着色剤溶液CMD1~CMD2を調製した。下記表に記載の成分のうち、分散剤の質量部の欄に記載の数値は、固形分の値である。
【表5】
【0302】
上記表に記載の素材は、以下の通りである。
(顔料)
顔料R1~R5:下記構造の化合物。顔料R1はC.I.ピグメントレッド272である。
【化36】
顔料CR1~CR4:下記構造の化合物。
【化37】
顔料Y1:C.I.ピグメントイエロー138
顔料Y2:C.I.ピグメントイエロー139
顔料Y3:C.I.ピグメントイエロー150
顔料Y4:C.I.ピグメントイエロー185
【0303】
(マゼンタ色染料)
マゼンタ色染料M1~M32:下記表に記載のカチオン性シアニン発色団とアニオンとの塩。マゼンタ色染料M1~M32は、いずれも23℃の水100gに対する溶解度、または、23℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gに対する溶解度が、1g以上である。
【表6】
【0304】
[カチオン性シアニン発色団]
以下の構造式中、Etはエチル基を表し、Prはプロピル基を表し、Buはブチル基を表し、Hexはヘキシル基を表す。
【化38】
【化39】
【0305】
【0306】
対アニオンAJ-1~AJ-4:以下の方法で製造したアニオン性基を有する樹脂(AJ-1)~(AJ-4)
【0307】
AJ-1:温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、メチルエチルケトン67.3質量部を仕込み窒素気流下で75℃に昇温した。別途、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸20.0質量部、メチルメタクリレート12.5質量部、n-ブチルメタクリレート20.0質量部、2-エチルヘキシルメタクリレート20.0質量部、メタクリル酸3.0質量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート16.5質量部、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)6.5質量部、およびメチルエチルケトン25.1質量部を均一にした後、滴下ロートに仕込み、4つ口セパラブルフラスコに取り付け、2時間かけて滴下した。滴下終了2時間後、固形分から重合収率が98%以上であり、重量平均分子量(Mw)が、3390である事を確認し、50℃へ冷却した。ここへ、塩化メチル3.2質量部、エタノール22.0質量部を追加し、50℃で2時間反応させた後、1時間かけて80℃まで加温し、更に、2時間反応させた。このようにして樹脂成分が47質量%のアニオン性基を有する樹脂(AJ-1)を得た。
【0308】
AJ-2~AJ-4:下記表に示した材料組成に変更した以外は樹脂(AJ-1)と同様にして樹脂(AJ-2)~(AJ-4)を得た。
【表7】
【0309】
マゼンタ色染料M33:下記構造の化合物(キサンテン化合物)。マゼンタ色染料M33は、23℃の水100gに対する溶解度、または、23℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gに対する溶解度が、1g以上である。
【化41】
【0310】
(マゼンタ色顔料)
マゼンタ色顔料CM1:C.I.ピグメントレッド122
マゼンタ色顔料CM2:C.I.ピグメントレッド177
マゼンタ色顔料CM1およびマゼンタ色顔料CM2は、いずれも23℃の水100gに対する溶解度および23℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gに対する溶解度がいずれも0.1g未満である。
【0311】
(顔料誘導体)
顔料誘導体Sy1:下記構造の化合物
【化42】
【0312】
(分散剤)
分散剤D1:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw:20000、C=C価:0.0mmol/g、酸価:75mgKOH/g、アミン価:0.0mmol/g)
【化43】
【0313】
分散剤D2:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。Mw:20000、C=C価:0.0mol/g、酸価:50mgKOH/g、アミン価:0.0mmol/g)
【化44】
【0314】
分散剤D3:以下の方法で製造した樹脂PA-1
三口フラスコに、濃度(固形分含有量)が50質量%のマクロモノマーB-1溶液の60.78g(PGMEA:30.39g、マクロモノマーB-1(30.39g))、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート(アロニックスM-5300、東亞合成(株)製)の50.99g、PGMEA(プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタートの159.5gを導入し、混合物を得た。
窒素を吹き込みながら、上記混合物を撹拌した。次に、窒素をフラスコ内に流しながら、混合物を75℃まで昇温した。次に、混合物に、ドデシルメルカプタンの0.82g、次いで、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸メチル)(以下「V-601」ともいう。)の0.43g、を添加し、重合反応を開始した。
混合物を75℃で2時間加熱した後、更にV-601の0.43gを混合物に追加した。2時間後、更にV-601の0.43gを混合物に追加した。
更に2時間反応後、混合物を90℃に昇温し、3時間撹拌した。上記操作により、重合反応は終了した。
反応終了後、空気下でアミン化合物としてジメチルドデシルアミンの9.6gと重合禁止剤として2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン1-オキシルの0.3gを加えた後、反応性化合物として4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルの9.01gを滴下した。
滴下終了後、空気下、90℃、24時間反応を続けた後、酸価測定により反応終了を確認した。得られた混合物に30質量%溶液になるようPGMEAを追加することで樹脂PA-1を得た。
得られた樹脂PA-1の重量平均分子量(Mw)は17200、酸価は70mgKOH/mg、C=C価は0.45mmol/g、アミン価は0.45mmol/gであった。
マクロモノマーB-1:下記構造の化合物(Mw:3000)
【化45】
【0315】
分散剤D4:以下の方法で製造した樹脂PA-2
三口フラスコに、濃度(固形分含有量)が50質量%のマクロモノマーB-1溶液の82.76g(PGMEA:41.38g、マクロモノマーB-1(41.38g))、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート(アロニックスM-5300、東亞合成(株)製)の44.14g、PGMEAの159.5gを導入し、混合物を得た。
窒素を吹き込みながら、上記混合物を撹拌した。次に、窒素をフラスコ内に流しながら、混合物を75℃まで昇温した。次に、混合物に、ドデシルメルカプタンの0.82g、次いで、V-601の0.43gを添加し、重合反応を開始した。
混合物を75℃で2時間加熱した後、更にV-601の0.43gを混合物に追加した。2時間後、更にV-601の0.43gを混合物に追加した。
更に2時間反応後、混合物を90℃に昇温し、3時間撹拌した。上記操作により、重合反応は終了した。
反応終了後、空気下でアミン化合物としてジメチルドデシルアミンの6.43gと重合禁止剤として4-ヒドロキシ-2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン2-オキシルの0.3gを加えた後、反応性化合物として4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルの8.05g)を滴下した。
滴下終了後、空気下、90℃、24時間反応を続けた後、酸価測定により反応終了を確認した。得られた混合物に30質量%溶液になるようPGMEAを追加することで樹脂PA-2を得た。
得られた樹脂PA-2の重量平均分子量(Mw)は23300、酸価は60mgKOH/mg、
C=C価は0.4mmol/g、アミン価は0.3mmol/gであった。
であった。
【0316】
(溶剤)
溶剤S1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
【0317】
<着色組成物の調製>
下記の表に記載の原料を混合して、実施例および比較例の着色組成物を調製した。
【表8】
【表9】
【表10】
【0318】
上記表に記載の原料は以下の通りである。
(樹脂)
樹脂B1:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値はモル比である。Mw:30000)
【化46】
樹脂B2:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値はモル比である。Mw:11000)
【化47】
樹脂B3:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値はモル比である。Mw:10000)
【化48】
【0319】
(重合性モノマー)
重合性モノマーE1:KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製)
重合性モノマーE2:NKエステル A-DPH-12E(新中村化学工業(株)製)
重合性モノマーE3:NKエステル A-TMMT(新中村化学工業(株)製)
重合性モノマーE4:コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
重合性モノマーE5:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
重合性モノマーE6:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
(光重合開始剤)
光重合開始剤I1:IRGACURE 369 (BASF製)
光重合開始剤I2:IRGACURE OXE01 (BASF製)
光重合開始剤I3:IRGACURE OXE02 (BASF製)
光重合開始剤I4:下記構造の化合物
【化49】
光重合開始剤I5:下記構造の化合物
【化50】
【0320】
(界面活性剤)
界面活性剤F1:下記構造の化合物(下記の式中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。Mw:14000)。
【化51】
【0321】
(重合禁止剤)
重合禁止剤H1:p-メトキシフェノール
【0322】
(溶剤)
溶剤S1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
【0323】
<耐熱性評価>
ガラス基板上にCT-4000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を膜厚が0.1μmとなるようにスピンコート法で塗布し、ホットプレートを用いて220℃で1時間加熱して下地層を形成した。この下地層付きのガラス基板上に各着色組成物をスピンコート法で塗布し、その後、ホットプレートを用いて100℃で2分間加熱して塗布膜を得た。得られた塗布膜について、365nmの波長の光を照射し、露光量500mJ/cm2にて露光を行った。次いで、ホットプレートを用いて220℃で5分間加熱して、膜厚0.5μmの硬化膜を得た。得られた硬化膜について、大塚電子(株)製のMCPD-3000を用い、400~700nmの範囲の光透過率(透過率)を測定した。
次に、上記で作製した硬化膜を265℃で5分間加熱した。加熱後の硬化膜の透過率を測定し、透過率の変化量の最大値を求め、以下の基準にて耐熱性を評価した。
透過率の測定は各試料につき5回行い、最大値と最小値を除いた3回の結果の平均値を採用した。また、透過率の変化量の最大値とは、加熱前後の硬化膜の、波長400~700nmの範囲における透過率の変化量が最も大きい波長における変化量を意味する。
(評価基準)
5:透過率の変化量の最大値が1%以下である。
4:透過率の変化量の最大値が1%を超えて、1.5%以下である。
3:透過率の変化量の最大値が1.5%を超えて、2.0%以下である。
2:透過率の変化量の最大値が2.0%を超えて、2.5%以下である。
1:透過率の変化量の最大値が2.5%を超えている。
【0324】
【0325】
上記表に示すように、実施例の着色組成物を用いることによって耐熱性に優れた硬化膜を製造することができた。また、実施例の着色組成物から得られた硬化膜は、赤色着色層として好ましい分光特性を有していた。
【0326】
各実施例において、請求項1で規定する顔料Aを2種併用しても各実施例と同様の効果が得られる。
【0327】
(実施例63)
顔料R1を10.64質量部と、顔料誘導体Sy1を1.33質量部と、分散剤D1を1.99質量部と、分散剤D2を1.99質量部と、マゼンタ色染料M1を2.02質量部と、溶剤S1を82.03質量部と、混合して混合液を得た。得られた混合液を、循環型分散装置(ビーズミル)として寿工業株式会社製のウルトラアペックスミル(商品名)を用いて分散処理を行い、分散液MRD1を調製した。実施例1の着色組成物において、顔料分散液1とマゼンタ色着色剤溶液のかわりに、分散液MRD1の60.91質量部を添加した以外は、実施例1の着色組成物と同様にして実施例63の着色組成物を調製した。この着色組成物を用いて、上記と同様の方法で耐熱性を評価したところ、「2」の評価であった。
【0328】
(実施例1001)
シリコンウエハ上に、Green組成物をポストベーク後の膜厚が1.0μmになるようにスピンコート法で塗布した。次いで、ホットプレートを用いて、100℃で2分間加熱した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(キヤノン(株)製)を用い、365nmの波長光を1000mJ/cm2の露光量で2μm四方のドットパターンのマスクを介して照射(露光)した。次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、更に純水にて水洗した。次いで、ホットプレートを用いて、200℃で5分間加熱(ポストベーク)することで、Green組成物をパターニングした。同様にRed組成物、Blue組成物を順次パターニングし、緑、赤及び青の着色パターン(ベイヤーパターン)を形成した。
Red組成物としては、実施例3の着色組成物を使用した。Green組成物及びBlue組成物については後述する。なお、ベイヤーパターンとは、米国特許第3971065号明細書に開示されているような、一個の赤色(Red)素子と、二個の緑色(Green)素子と、一個の青色(Blue)素子とを有する色フィルタ素子の2×2アレイを繰り返したパターンである。得られたカラーフィルタを公知の方法に従い固体撮像素子に組み込んだ。この固体撮像素子は好適な画像認識能を有していた。
【0329】
-Green組成物-
[Green顔料分散液の調製]
C.I.ピグメントグリーン36を6.4質量部、C.I.ピグメントイエロー150を5.3質量部、分散剤(Disperbyk-161、BYKChemie社製)を5.2質量部、PGMEAを83.1質量部からなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合及び分散して、顔料分散液を調製した。その後更に、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2,000kg/cm3の圧力下で流量500g/minとして分散処理を行った。この分散処理を10回繰り返し、Green顔料分散液を調製した。
【0330】
[Green組成物の調製]
下記成分を混合し、撹拌した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)製)でろ過して、Green組成物を調製した。
Green顔料分散液:73.7質量部
樹脂B2の40質量%PGMEA溶液:0.3質量部
重合性モノマーE1:1.2質量部
光重合開始剤I2:0.6質量部
界面活性剤F1の1質量%PGMEA溶液:4.2質量部
紫外線吸収剤(UV-503、大東化学(株)製):0.5質量部
PGMEA:19.5質量部
【0331】
-Blue組成物-
[Blue顔料分散液の調製]
C.I.ピグメントブルー15:6を9.7質量部、C.I.ピグメントバイオレット23を2.4質量部、分散剤(Disperbyk-161、BYKChemie社製)を5.5質量部、PGMEAを82.4質量部からなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合及び分散して、顔料分散液を調製した。その後更に、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2,000kg/cm3の圧力下で流量500g/minとして分散処理を行った。この分散処理を10回繰り返し、Blue顔料分散液を調製した。
【0332】
[Blue組成物の調製]
下記成分を混合し、撹拌した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)製)でろ過して、Blue組成物を調製した。
Blue顔料分散液:44.9質量部
樹脂B2の40質量%PGMEA溶液:2.1質量部
重合性モノマーE1:1.5質量部
下記の構造の重合性モノマー:0.7質量部
【化52】
光重合開始剤I2:0.8質量部
界面活性剤F1の1質量%PGMEA溶液:4.2質量部
PGMEA:45.8質量部