(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】流体封入式防振装置
(51)【国際特許分類】
F16F 13/10 20060101AFI20230227BHJP
【FI】
F16F13/10 J
(21)【出願番号】P 2021513048
(86)(22)【出願日】2019-04-08
(86)【国際出願番号】 JP2019015348
(87)【国際公開番号】W WO2020208689
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【氏名又は名称】笠井 美孝
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【氏名又は名称】中根 美枝
(72)【発明者】
【氏名】近藤 弘基
(72)【発明者】
【氏名】大木 健司
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-019955(JP,A)
【文献】特開2013-036540(JP,A)
【文献】特開2005-155807(JP,A)
【文献】特開2009-133455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の流体室と第二の流体室との間に配された仕切部材の収容領域に可動膜が収容された構造を有する流体封入式防振装置において、
前記可動膜には、前記仕切部材によって挟まれて保持される中央保持部が設けられていると共に、該中央保持部から外周へ向けて延びる複数のスポーク状保持部が設けられて、それら中央保持部とスポーク状保持部によって該可動膜の何れか一方の面が該仕切部材における前記収容領域の壁内面に重ね合わされた状態で保持されており、
該可動膜の両面に及ぼされる流体圧差に基づいて該可動膜が重ね合わされた該収容領域の該壁内面から離れる方向の変形が許容される弾性変形領域が、該複数のスポーク状保持部の周方向間に設けられていると共に、
該弾性変形領域には、該中央保持部から外周に向かって延びる緩衝用突条が該可動膜の他方の面に突出して設けられており、該収容領域で対向する壁内面への当接のタイミングが該弾性変形領域の変形量に応じて異なるように該緩衝用突条の突出高さが該緩衝用突条の延びる方向において異ならされている流体封入式防振装置。
【請求項2】
前記可動膜の外周部分には、前記仕切部材によって挟まれて保持される外周保持部が周方向に延びて設けられており、
前記スポーク状保持部が、前記中央保持部と該外周保持部とをつなぐように設けられている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
【請求項3】
前記緩衝用突条の突出高さが、前記可動膜の外周へ向かって段階的に小さくなっている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
【請求項4】
前記可動膜の外周部分には、前記仕切部材によって挟まれて保持される外周保持部が部分的に周方向へ延びて設けられており、
前記緩衝用突条が、前記中央保持部から該外周保持部を周方向で外れた部分に向かって延びている請求項1~3の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
【請求項5】
前記第一の流体室が振動入力時に内圧変動を生じる受圧室とされていると共に、前記第二の流体室が容積変化を許容される平衡室とされており、
前記可動膜が前記収容領域における該平衡室側の壁内面に重ね合わされていると共に、該可動膜の前記弾性変形領域が該収容領域における該受圧室側の壁内面から離隔している請求項1~4の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
【請求項6】
前記可動膜が四角板形状とされている請求項1~5の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
【請求項7】
前記可動膜が円板形状とされている請求項1~5の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
【請求項8】
前記弾性変形領域には、前記中央保持部及び前記緩衝用突条とは独立した緩衝用突起が設けられている請求項1~7の何れか一項に記載の流体封入式防振装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエンジンマウントなどに用いられる流体封入式防振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、振動伝達系の構成部材間に介装されて、それら振動伝達系の構成部材を相互に防振連結する防振装置が知られており、防振装置の一種として流体封入式防振装置も知られている。流体封入式防振装置は、第一の流体室と第二の流体室が仕切部材によって仕切られた状態で設けられており、それら第一の流体室と第二の流体室の間で流体の流動が生じるなどして、優れた防振効果が発揮される。
【0003】
ところで、防振性能の向上やキャビテーション異音の防止などを目的として、仕切部材に設けられた収容領域に可動膜が配設された構造も提案されている。例えば、特開2009-133455号公報(特許文献1)には、キャビテーション異音を低減するための可動ゴム膜を備える構造が開示されている。特許文献1の可動ゴム膜は、一方の面が収容空所の壁内面に重ね合わされて配されており、可動ゴム膜が重ね合わされた収容空所の壁内面から離れる方向の変形を許容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、本発明者が特許文献1を更に検討したところ、可動膜が大きく弾性変形する際に、可動膜の他方の面が収容領域の壁内面に打ち当てられることに起因する打音の発生について、未だ改善の余地を有することがわかった。
【0006】
本発明の解決課題は、振動や衝撃的荷重などの外力の作用時における可動膜の打ち当たりによる打音が更に低減され得る、新規な構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
【0008】
第一の態様は、第一の流体室と第二の流体室との間に配された仕切部材の収容領域に可動膜が収容された構造を有する流体封入式防振装置において、前記可動膜には、前記仕切部材によって挟まれて保持される中央保持部が設けられていると共に、該中央保持部から外周へ向けて延びる複数のスポーク状保持部が設けられて、それら中央保持部とスポーク状保持部によって該可動膜の何れか一方の面が該仕切部材における前記収容領域の壁内面に重ね合わされた状態で保持されており、該可動膜の両面に及ぼされる流体圧差に基づいて該可動膜が重ね合わされた該収容領域の該壁内面から離れる方向の変形が許容される弾性変形領域が、該複数のスポーク状保持部の周方向間に設けられていると共に、該弾性変形領域には、該中央保持部から外周に向かって延びる緩衝用突条が該可動膜の他方の面に突出して設けられており、該収容領域で対向する壁内面へ当接のタイミングが該弾性変形領域の変形量に応じて異なるように該緩衝用突条の突出高さが該緩衝用突条の延びる方向において異ならされているものである。
【0009】
本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置によれば、可動膜の弾性変形領域が変形して、弾性変形領域の他方の面が収容領域の壁内面に打ち当たる際に、弾性変形領域に設けられた緩衝用突条が当接することにより、弾性変形領域が広範囲で面当たりするのを防ぐことができて、打音を低減できる。しかも、緩衝用突条は、全体が同時に収容領域の壁内面に当接することがなく、段階的な当接が実現される。これにより、緩衝用突条の突出先端面が収容領域の壁内面に当接する際に、仕切部材に対して大きな荷重が一度に作用するのも防止されて、緩衝用突条の打ち当たりによる打音も抑えられる。
【0010】
第二の態様は、第一の態様に記載された流体封入式防振装置において、前記可動膜の外周部分には、前記仕切部材によって挟まれて保持される外周保持部が周方向に延びて設けられており、前記スポーク状保持部が、前記中央保持部と該外周保持部とをつなぐように設けられているものである。
【0011】
本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置によれば、可動膜の内周部分が中央保持部において仕切部材に支持されると共に、可動膜の外周部分が外周保持部において仕切部材に支持される。これにより、中央保持部と外周保持部の間に設けられた弾性変形領域の変形量が制限されて、弾性変形領域の打ち当たりによる打音が低減される。
【0012】
中央保持部と外周保持部をつなぐようにスポーク状保持部が設けられていることにより、弾性変形領域を外れた部分における可動膜の変形剛性が確保される。
【0013】
第三の態様は、第一又は第二の態様に記載された流体封入式防振装置において、前記緩衝用突条の突出高さが、前記可動膜の外周へ向かって段階的に小さくなっているものである。
【0014】
本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置によれば、可動膜の弾性変形領域の変形に際して、可動膜の緩衝用突条が、突出高さの大きい内周部分から突出高さの小さい外周部分の順に段階的に当接する。これにより、収容領域の壁内面に対する緩衝用突条の突出先端面の当接面積が徐々に大きくなることから、優れた緩衝作用が発揮されて、可動膜の打ち当たりによる打音が防止される。
【0015】
第四の態様は、第一~第三の何れか1つの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記可動膜の外周部分には、前記仕切部材によって挟まれて保持される外周保持部が部分的に周方向へ延びて設けられており、前記緩衝用突条が、前記中央保持部から該外周保持部を周方向で外れた部分に向かって延びているものである。
【0016】
本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置によれば、弾性変形量が大きくなり易い外周保持部がない部分に向かって、緩衝用突条が延びている。これにより、外周保持部の周方向間において可動膜の打ち当たりによる打音が生じるのを防ぐことができる。
【0017】
第五の態様は、第一~第四の何れか1つの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記第一の流体室が振動入力時に内圧変動を生じる受圧室とされていると共に、前記第二の流体室が容積変化を許容される平衡室とされており、前記可動膜が前記収容領域における該平衡室側の壁内面に重ね合わされていると共に、該可動膜の前記弾性変形領域が該収容領域における該受圧室側の壁内面から離隔しているものである。
【0018】
本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置によれば、受圧室の流体圧が急激に大きく低下する場合に、可動膜の弾性変形領域が受圧室側へ変形することによって、受圧室の流体圧の低下が直ちに緩和される。これにより、受圧室の流体圧の大幅な低下に起因するキャビテーション気泡の発生が回避されて、キャビテーション気泡の消失時に生じる異音が防止される。
【0019】
第六の態様は、第一~第五の何れか1つの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記可動膜が四角板形状とされているものである。
【0020】
本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置によれば、例えば、四角形の外形を有する流体封入式防振装置において、可動膜も四角形の外形を有する四角板形状とされることによって、可動膜に対する流体圧の作用面積を大きく得ることが可能になる。可動膜が長方形の板状である場合には、例えば、変形量が大きくなり易い長軸方向に延びるように緩衝用突条を設けることにより、弾性変形領域の変形を大きく許容して、防振性能の向上やキャビテーション異音の防止を図りつつ、打音の発生を防ぐことができる。
【0021】
第七の態様は、第一~第五の何れか1つの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記可動膜が円板形状とされているものである。
【0022】
本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置によれば、可動膜の厚さ方向の変形剛性の変化が周方向で小さく、可動膜をバランス良く変形させることができる。
【0023】
第八の態様は、第一~第七の何れか1つの態様に記載された流体封入式防振装置において、前記弾性変形領域には、前記中央保持部及び前記緩衝用突条とは独立した緩衝用突起が設けられているものである。
【0024】
本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置によれば、可動膜が収容領域の壁内面に打ち当たることに起因する打音が、緩衝用突起によっても低減される。特に、緩衝用突条の高さの異なる各突出先端面の仕切部材への当接とは異なるタイミングで、緩衝用突起が収容領域の壁内面に打ち当たるようにすれば、より多段階の当接が実現されて、更なる打音の低減が図られる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、可動膜の打ち当たりによる打音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第一の実施形態としてのエンジンマウントを示す斜視図
【
図3】
図2に示すエンジンマウントを構成する仕切部材の底面図
【
図4】
図3に示す仕切部材を構成する可動膜の平面図
【
図7】
図1に示すエンジンマウントにおける可動膜の変形態様を示す要部拡大断面図であって、(a)が静置状態を、(b)が収容領域の上壁内面に対する第一当接部の当接状態を、(c)が収容領域の上壁内面に対する第二当接部の当接状態を、それぞれ示す。
【
図8】本発明の別の一実施形態としてのエンジンマウントを構成する可動膜の平面図
【
図9】本発明のまた別の一実施形態としてのエンジンマウントに採用される可動膜の平面図
【
図12】本発明の更にまた別の一実施形態としてのエンジンマウントに採用される可動膜の平面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0028】
図1,2には、本開示に従う構造とされた流体封入式防振装置の第一の実施形態として、自動車用のエンジンマウント10が示されている。エンジンマウント10は、第一の取付部材12と第二の取付部材14が、本体ゴム弾性体16によって連結された構造を有している。以下の説明において、原則として、上下方向とはエンジンマウント10の中心軸方向である
図2中の上下方向を言う。
【0029】
第一の取付部材12は、角を丸められた略長方形の横断面形状で上下方向に延びる中実ブロック状の部材とされている。第一の取付部材12は、外周面が下方に向けて内周へ傾斜するテーパ形状とされており、下方に向けて断面積が次第に小さくなっている。
【0030】
第二の取付部材14は、角を丸められた略長方形の横断面形状で上下方向に延びる筒状の部材とされている。第二の取付部材14は、下端部が全周に亘って内周へ突出する挟持部18とされている。
【0031】
略同一中心軸上において上下方向で相互に離れて配置された第一の取付部材12と第二の取付部材14は、本体ゴム弾性体16によって相互に弾性連結されている。本体ゴム弾性体16は、下方に向けて大径となる錐台形状とされており、小径側の端部である上端部に第一の取付部材12が加硫接着されていると共に、大径側の端部である下端部に第二の取付部材14が加硫接着されている。本体ゴム弾性体16は、下面に開口する凹所20を備えている。凹所20は、周壁内面が下方に向けて大径となるテーパ形状とされている。本体ゴム弾性体16は、凹所20の形成によって、下方に向かって外周へ傾斜するテーパ状の断面形状とされている。
【0032】
第二の取付部材14は、可撓性膜22を支持している。可撓性膜22は、容易に撓み変形可能な薄肉のゴム膜であって、中央部分がドーム形状とされている。可撓性膜22の外周端部は、内周へ向けて突出する第二の取付部材14の挟持部18によって、全周に亘って連続的に支持されている。
【0033】
本体ゴム弾性体16と可撓性膜22の上下方向間には、非圧縮性流体が封入された流体封入領域24が形成されている。流体封入領域24に封入される非圧縮性流体は、特に限定されるものではないが、例えば水やエチレングリコールなどとされて、好適には0.1Pa・s以下の低粘性流体が採用される。非圧縮性流体は、単一の液体であっても良いし、混合液であっても良い。
【0034】
流体封入領域24には、仕切部材26が収容されている。仕切部材26は、第一仕切板28と第二仕切板30を備えている。
【0035】
第一仕切板28は、金属や合成樹脂などで形成された硬質の部材であって、角を丸められた略長方形の板状とされている。第一仕切板28は、外周部分の上下厚さ寸法が、内周部分の上下厚さ寸法よりも大きくされている。第一仕切板28の薄肉とされた内周部分は、厚肉とされた外周部分の上下方向の中間につながっている。第一仕切板28は、厚肉とされた外周部分に第一周溝32が形成されている。第一周溝32は、第一仕切板28の外周面に開口して、第一仕切板28の外周端部を一周よりも短い長さで周方向に延びている。第一仕切板28において薄肉とされた内周部分には、上下方向に貫通する複数の上透孔34が形成されている。なお、上透孔34は、例えば、後述する下透孔38と略同じ大きさと形状、形成数で設けられる。
【0036】
第二仕切板30は、金属や合成樹脂などで形成された硬質の部材であって、角を丸められた略長方形の板状とされている。第二仕切板30は、外周部分の上下厚さ寸法が、内周部分の上下厚さ寸法よりも大きくされている。第二仕切板30の薄肉とされた内周部分は、厚肉とされた外周部分の上端につながっている。第二仕切板30は、厚肉とされた外周部分に第二周溝36が形成されている。第二周溝36は、第二仕切板30の上面に開口して、第二仕切板30の外周部分を一周よりも短い長さで周方向に延びている。
【0037】
第二仕切板30において薄肉とされた内周部分には、上下方向に貫通する複数の第一の下透孔38aが形成されている。第一の下透孔38aは、
図3に示すように、第二仕切板30の長辺方向(
図3中の左右方向)に4つ並んで設けられていると共に、第二仕切板30の短辺方向(
図3中の上下方向)で2列に並んでおり、全部で8つの第一の下透孔38aが形成されている。更に、第二仕切板30の短辺方向の中央には、長辺方向で相互に離れた2箇所にそれぞれ第二の下透孔38bが設けられている。
【0038】
第一仕切板28と第二仕切板30は、上下方向で相互に重ね合わされている。上下方向に重ね合わされた第一仕切板28の内周部分と第二仕切板30の内周部分との対向面間には、収容領域40が形成されている。
【0039】
仕切部材26の収容領域40には、可動膜42が配設されている。可動膜42は、ゴム弾性体によって形成されて、厚さ方向で弾性的な曲げ変形を生じ得る。可動膜42は、
図4~6に示すように、角が丸められた全体として略四角形(長方形)の板状とされている。
【0040】
可動膜42の内周部分には、上方へ向けて突出する円筒状の中央保持部44が一体形成されている。また、可動膜42の外周端部には、上方へ向けて突出する一対の外周保持部46,46が一体形成されている。一対の外周保持部46,46は、それぞれ半周に満たない長さで周方向に延びて設けられて、可動膜42の短辺方向(
図4中の上下方向)の両側に設けられている。一対の外周保持部46,46は、周方向の両端部が相互に離れており、可動膜42の外周端部において周方向で部分的に設けられている。
【0041】
中央保持部44と外周保持部46の間には、中央保持部44から外周へ向けて延びる複数のスポーク状保持部48が設けられている。スポーク状保持部48は、可動膜42において上方へ向けて突出している。スポーク状保持部48は、中央保持部44から外周保持部に向けて短辺方向の両側に向かって延びる一対が設けられている。スポーク状保持部48は、短辺方向の一端が中央保持部44につながっていると共に、他端が外周保持部46につながっており、中央保持部44と外周保持部46がスポーク状保持部48によってつながっている。スポーク状保持部48の突出高さ寸法は、中央保持部44の突出高さ寸法及び外周保持部46の突出高さ寸法よりも小さくされている。
【0042】
可動膜42の平面視において、中央保持部44と外周保持部46,46とスポーク状保持部48,48とを外れた部分が、弾性変形領域50とされている。弾性変形領域50は、外周保持部46,46の周方向間及びスポーク状保持部48,48の周方向間に設けられている。本実施形態の弾性変形領域50は、中央保持部44及びスポーク状保持部48,48に対して長辺方向の両側にそれぞれ設けられている。弾性変形領域50において、一対の外周保持部46,46の周方向間に位置する外周端部が、リリーフ部52,52とされている。
【0043】
弾性変形領域50には、緩衝用突条54が設けられている。緩衝用突条54は、弾性変形領域50において上方へ突出しており、中央保持部44から外周側へ向かって延びている。本実施形態の緩衝用突条54は、中央保持部44から可動膜42の長辺方向の両側に向かって延び出す一対が設けられている。一対の緩衝用突条54,54は、一対の外周保持部46,46を周方向に外れた部分であるリリーフ部52,52に向かって延びている。緩衝用突条54は、弾性変形領域50の外周端部に設けられたリリーフ部52までは至っておらず、弾性変形領域50の内周端部から長辺方向の中間部分まで設けられている。緩衝用突条54は、リリーフ部52を含む弾性変形領域50の長辺方向の長さに対して、半分以上の長さで延びて設けられることが望ましい。緩衝用突条54は、突出高さ寸法が、中央保持部44と外周保持部46の突出高さ寸法よりも小さくされている。
【0044】
緩衝用突条54は、
図6に示すように、突出高さ寸法が2段階で段状に異なっており、突出高さ寸法が相互に異なる第一当接部56と第二当接部58を備えている。第一当接部56は、弾性変形領域50の内周部分に設けられて、内周側の端部が中央保持部44につながっている。第二当接部58は、弾性変形領域50の外周部分に設けられており、第一当接部56よりも突出高さ寸法が小さくされている。これにより、緩衝用突条54の突出高さ寸法は、中央保持部44から外周側へ向かって段階的に小さくなっている。第一当接部56と第二当接部58は、それぞれ略一定の突出高さ寸法で設けられており、突出先端面が中央保持部44の中心軸に対して略直交して広がる略平面とされている。
【0045】
可動膜42は、下方へ突出するシールリップ59を備えている。シールリップ59は、
図5に示すように、可動膜42の外周部分を全周に亘って連続して環状に延びていると共に、可動膜42の内周端から短辺方向及び長辺方向に延びている。
【0046】
このような構造とされた可動膜42は、
図2に示すように、第一仕切板28と第二仕切板30の間の収容領域40に収容されている。可動膜42は、中央保持部44と外周保持部46が第一仕切板28と第二仕切板30の間で上下方向に挟まれて保持されている。可動膜42における弾性変形領域50の上面は、
図2に示すように、収容領域40の上壁内面62に対して、所定の距離だけ離れて配置されている。
【0047】
可動膜42は、中央保持部44と外周保持部46が挟持されていると共に、スポーク状保持部48によって補強されていることにより、下面が少なくともシールリップ59において収容領域40の下壁内面60に当接状態で重ね合わされている。シールリップ59は、可動膜42の外周部分を周方向に延びる環状の部分が、10個の下透孔38よりも可動膜42の外周側を囲んで設けられている。これにより、シールリップ59が下壁内面60に押し当てられることにより、流体密に封止されている。尤も、可動膜42の下面の全体が下壁内面60に対して離隔して重ね合わされていても良いし、シールリップ59が省略されて、可動膜42の下面の略全体が下壁内面60に当接状態で重ね合わされていても良い。
【0048】
可動膜42を備えた仕切部材26は、外周端部が本体ゴム弾性体16の下面と第二の取付部材14の挟持部18との上下方向の対向面間に挟み込まれて支持されている。これにより、仕切部材26は、流体封入領域24において軸直角方向に広がるように配されている。仕切部材26の下面と第二の取付部材14の挟持部18は、外周部分において相互に当接していると共に、内周部分において可撓性膜22の外周端部を挟んで支持している。
【0049】
流体封入領域24は、仕切部材26の上下両側に二分されている。流体封入領域24における仕切部材26よりも上側は、壁部の一部が本体ゴム弾性体16によって構成された第一の流体室としての受圧室64とされている。受圧室64は、上下方向の振動入力時に、本体ゴム弾性体16の弾性変形によって内圧変動が生じるようになっている。流体封入領域24における仕切部材26よりも下側は、壁部の一部が可撓性膜22によって構成された第二の流体室としての平衡室66とされている。平衡室66は、可撓性膜22の変形による容積変化が許容されており、内圧が略一定に保たれるようになっている。換言すれば、受圧室64と平衡室66の間に仕切部材26が配設されている。なお、受圧室64と平衡室66には、非圧縮性流体が封入されている。
【0050】
第一仕切板28の第一周溝32と第二仕切板30の第二周溝36は、相互に直列的に接続されており、仕切部材26が流体封入領域24に配されることによって、第一周溝32の外周側の開口部が第二の取付部材14によって塞がれている。これにより、受圧室64と平衡室66を相互に連通するオリフィス通路68が、第一周溝32と第二周溝36を含んで構成されている。オリフィス通路68は、仕切部材26の外周部分を周方向に2周よりも短い長さで延びている。オリフィス通路68は、流動流体の共振周波数が、例えば通路断面積と通路長の比を調節することによって、防振対象振動の周波数に合わせてチューニングされている。オリフィス通路68のチューニング周波数は、例えば、エンジンシェイクなどに相当する低周波に設定される。
【0051】
仕切部材26の収容領域40に収容された可動膜42は、上面に上透孔34を通じて受圧室64の液圧が及ぼされていると共に、下面に下透孔38を通じて平衡室66の液圧が及ぼされている。収容領域40に収容された可動膜42の弾性変形領域50は、受圧室64側の壁内面である上壁内面62に対して下方に離れて配置されていると共に、平衡室66側の壁内面である下壁内面60に対して当接状態或いは隙間を持った状態で重ね合わされている。
【0052】
このような構造とされたエンジンマウント10は、例えば、第一の取付部材12が図示しないパワーユニットに取り付けられると共に、第二の取付部材14が図示しない車両ボデーに取り付けられる。そして、上下方向の振動入力に対して、受圧室64と平衡室66の間に相対的な液圧差が生じる。入力振動が低周波の場合には、オリフィス通路68を通じて流動する流体の共振作用などに基づいた防振効果(高減衰効果)が発揮される。
【0053】
可動膜42は、中央保持部44と外周保持部46において挟持されていると共に、スポーク状保持部48によって弾性変形領域50の自由長が調節されている。それ故、受圧室64の内圧変動が、弾性変形領域50の変形によって大きく軽減されることなく生じて、オリフィス通路68を通じた流体流動が効率的に惹起される。特に、スポーク状保持部48が中央保持部44と外周保持部46とをつないで設けられることにより、スポーク状保持部48の変形剛性が高められて、可動膜42による過度の液圧吸収作用が防止される。なお、入力振動が高周波小振幅振動の場合に、可動膜42の弾性変形領域50が変形することによる液圧吸収作用などに基づいた防振効果(振動絶縁効果)が発揮されるようにしても良い。
【0054】
受圧室64内の液圧が平衡室66内の液圧に対して大幅に低下すると、可動膜42の弾性変形領域50が収容領域40の下壁内面60から離れる方向へ大きく変形して、特にリリーフ部52が下壁内面60から離隔する。これにより、受圧室64と平衡室66が上下の透孔34,38と収容領域40とを通じて相互に連通されて、平衡室66から受圧室64へ流体が流動することにより、受圧室64の平衡室66に対する圧力低下が速やかに解消される。その結果、受圧室64の大幅な圧力低下に起因するキャビテーション気泡の発生が回避されて、キャビテーションによる異音の発生が防止される。
【0055】
受圧室64内の液圧が平衡室66内の液圧に対して大幅に低下して、可動膜42の弾性変形領域50が大きく変形すると、変形した弾性変形領域50が収容領域40の上壁内面62に当接する。この場合に、緩衝用突条54による打音の低減効果が発揮される。
【0056】
すなわち、受圧室64の液圧が大幅に低下して、可動膜42の弾性変形領域50が
図7(a)に示す初期状態から大きく弾性変形すると、弾性変形領域50は、収容領域40の上壁内面62に接近して当接する。この際に、弾性変形領域50の弾性変形量が次第に大きくなるのに伴って、
図7(b)に示すように、先ず、緩衝用突条54の第一当接部56が収容領域40の上壁内面62に当接する。これにより、可動膜42が第一当接部56において部分的に上壁内面62に当接することから、当接時の衝撃が低減されて、打音の発生が防止される。しかも、第一当接部56は、弾性変形領域50の内周部分に設けられており、弾性変形領域50の外周部分よりも変位速度が遅いことから、当接時の打音が問題になり難い。また、第一当接部56は、第二当接部58と略同じ幅寸法でありながら突出高さが大きいことから変形ばね特性も柔らかく設定され得る。
【0057】
次に、弾性変形領域50が更に大きく弾性変形すると、弾性変形領域50は、
図7(c)に示すように、第一当接部56だけでなく、第二当接部58においても収容領域40の上壁内面62に当接する。このように、第一当接部56と第二当接部58は、突出高さが相互に異なっていることにより、収容領域40の上壁内面62への当接のタイミングが、弾性変形領域50の変形量に応じて異なっている。そして、第二当接部58は、弾性変形領域50の変形による変位速度が、第一当接部56の上壁内面62への当接によって予め低減されていることにより、上壁内面62への当接による衝撃が低減されている。
【0058】
第一当接部56が上壁内面62に当接した後、第二当接部58が上壁内面62に当接することによって、可動膜42の上壁内面62に対する当接面積が段階的に増して、当接時の衝撃を緩和しながら、弾性変形領域50の変形速度を効率的に低下させることができる。これにより、弾性変形領域50における第一当接部56及び第二当接部58を外れた部分が上壁内面62に打ち当たる場合にも、当接時の衝撃が十分に緩和されて打音が低減される。
【0059】
緩衝用突条54において、突出高さの小さい第二当接部58が、突出高さの大きい第一当接部56よりも弾性変形領域50の外周側に設けられている。それ故、弾性変形による変位速度が小さい弾性変形領域50の内周部分において第一当接部56が上壁内面62に当接した後で、弾性変形領域50の外周部分において第二当接部58が上壁内面62に当接する。これにより、弾性変形による変位速度が大きくなり易い弾性変形領域50の外周部分において、弾性変形による変位速度が低減されて、打音の発生が防止される。
【0060】
また、緩衝用突条54が高さの異なる第一当接部56と第二当接部58を備えていることにより、可動膜42の動ばね特性を入力振動の振幅の違いに応じて段階的に変化させることもできる。即ち、第一当接部56と第二当接部58が何れも収容領域40の上壁内面62に当接しない振幅の振動入力時には、弾性変形領域50の全体が変形することによって、より柔らかい動ばね特性が発揮される。第一当接部56が上壁内面62に当接し、且つ第二当接部58が上壁内面62に当接しない振幅の振動入力時には、弾性変形領域50の変形が内周部分において拘束されて、第一当接部56が上壁内面62から離れた状態よりも硬い動ばね特性が発揮される。第一当接部56と第二当接部58が何れも上壁内面62に当接する振幅の振動入力時には、弾性変形領域50の変形が長辺方向のより広い範囲に亘って拘束されることから、第二当接部58が上壁内面62から離れた状態よりも硬い動ばね特性が発揮される。
【0061】
緩衝用突条54は、一対の外周保持部46,46の周方向間に設けられたリリーフ部52に向けて延びている。これにより、一対の外周保持部46,46による変形拘束が及び難い部分において、当接時の打音が緩衝用突条54の段階的な当接などによって防止される。
【0062】
可動膜42は、長辺方向と短辺方向を有する角丸長方形の板状とされている。そして、緩衝用突条54は、可動膜42の長辺方向に延びて設けられている。これにより、短辺方向よりも自由長が長いことで変形量が大きくなり易い長辺方向において、緩衝用突条54による緩衝作用が発揮されて、可動膜42の上壁内面62への打ち当たりによる打音が低減される。
【0063】
また、
図8に示す可動膜70の如き構造を採用することもできる。以下の説明において、第一の実施形態と実質的に同一の部材及び部位については、図中に同一の符号を付すことにより、説明を省略する。
【0064】
可動膜70は、スポーク状保持部48と緩衝用突条54の周方向間に緩衝用突起72が設けられている。緩衝用突起72は、柱状とされており、弾性変形領域50において上方へ向けて突出している。緩衝用突起72は、
図8に示す平面視において、中央保持部44と外周保持部46,46とスポーク状保持部48,48と緩衝用突条54,54との何れからも外れた位置に独立して設けられている。
【0065】
可動膜70は、図示しない仕切部材の収容領域に収容される。そして、可動膜70が上側への大きな弾性変形を生じると、緩衝用突条54の第一当接部56と第二当接部58が図示しない収容領域の上壁内面に段階的に当接するだけでなく、緩衝用突起72が収容領域の上壁内面に対して緩衝用突条54とは別に当接する。要するに、第一当接部56と第二当接部58と緩衝用突起72が段階的に当接することによって、3段階で当接するようになっている。このように、段階的に当接する第一当接部56と第二当接部58を備えた緩衝用突起72に加えて緩衝用突起72が設けられることにより、当接時の衝撃をより一層緩和して、打音を効果的に低減することができる。
【0066】
なお、例えば突出高さの異なる複数種類の緩衝用突起を設けることによって、より優れた緩衝作用などを実現することもできる。緩衝用突起の形状は、柱状に限定されるものではなく、例えば筒状やある程度の長さで延びる突条であっても良い。
【0067】
図9~11には、本開示の別の一実施形態としてのエンジンマウントに用いられる可動膜80が示されている。可動膜80は、全体として円板形状とされている。可動膜80は、外周部分に3つの外周保持部82,82,82を備えている。外周保持部82は、上方へ向けて突出して周方向に延びる突条であって、周方向で均等に配置されている。可動膜80は、中央保持部44から外周へ向けて延び出すスポーク状保持部84を備えている。スポーク状保持部84は、上方へ向けて突出して、径方向に延びている。スポーク状保持部84は、径方向の両端部が中央保持部44と外周保持部82とにつながっており、中央保持部44と外周保持部82の周方向の中央部分とがスポーク状保持部84によって径方向に連結されている。
【0068】
可動膜80における中央保持部44と3つの外周保持部82,82,82と3つのスポーク状保持部84,84,84とを外れた領域が、弾性変形領域50とされている。3つの外周保持部82,82,82の周方向間には、弾性変形領域50を構成するリリーフ部52が設けられている。
【0069】
弾性変形領域50には、緩衝用突条54が設けられている。緩衝用突条54は、上方へ突出しており、2つのスポーク状保持部84,84の周方向間に設けられて、中央保持部44から径方向の外方へ延び出している。緩衝用突条54は、外周保持部82を周方向に外れたリリーフ部52に向かって中央保持部44から延び出している。緩衝用突条54は、3つが放射状に設けられている。
【0070】
このような円板形状の可動膜80であっても、緩衝用突条54の第一当接部56と第二当接部58が、図示しない収容領域を構成する仕切部材に対して順に当接することにより、当接する際の打音が低減される。
【0071】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、緩衝用突条の数や配置は、特に限定されない。また、緩衝用突条は、必ずしも直線的に延びる形状に限定されず、湾曲や屈折して延びていても良い。また、緩衝用突条は、幅寸法が変化していても良く、例えば、幅寸法が外周へ向かって段階的に或いは次第に小さくなる構造も採用され得る。
【0072】
長辺方向と短辺方向がある角丸長方形の板状や、長軸方向と短軸方向がある長円形の板状とされている場合に、緩衝用突条54が延びる方向は、必ずしも長辺方向(長軸方向)に限定されない。例えば、緩衝用突条54は、長辺方向に対する傾斜方向に延びていても良いし、短辺方向に延びていても良い。
【0073】
前記実施形態では、緩衝用突条54の突出高さが中央保持部44から外周に向けて段階的に小さくなっていたが、緩衝用突条54は突出高さが互いに異なる複数の部分を備えていれば良く、例えば、外周側に向かって突出高さが段階的に大きくなっていても良い。また、緩衝用突条は、複数の部分の突出高さ寸法が相互に同じとされていても良い。
【0074】
前記実施形態では、突出高さの異なる第一当接部56と第二当接部58を有する2段構造の緩衝用突条54を例示したが、緩衝用突条は突出高さが相互に異なる3つ以上の部分を有していても良い。突出高さが相互に異なる3つ以上の部分を有する緩衝用突条では、突出高さは必ずしも内周側から外周側へ向けて高く或いは低くなる必要はない。具体的には、例えば、突出高さが相互に異なる3つの部分を有する緩衝用突条では、中間部分が突出高さの最も高い部分或いは低い部分とされ得る。
【0075】
緩衝用突条54において突出高さが最大とされた部分は、突出高さが中央保持部44や外周保持部46と略同じであっても良い。
【0076】
前記実施形態では、周方向に離れて配置された2つの外周保持部46,46が設けられていたが、例えば、
図12に示す可動膜90のように、全周に亘って連続する環状の外周保持部92を採用することもできる。外周保持部46は、4つ以上が設けられていても良い。また、外周保持部46は、必須ではなく、省略され得る。因みに、
図12に示すように全周に亘って連続する環状の外周保持部92を採用した態様では、可動膜90の一方の面の外周部分が収容領域40の下壁内面60へ常時当接状態に維持されることで、受圧室64と平衡室66が物理的に可動膜90で仕切られるが、径方向中間部分に位置する弾性変形領域50の弾性変形に基づいて上下の透孔34,38を通じての流体流動が許容されて受圧室64と平衡室66の間での相対的な容積変化は許容されて、流体流動に基づく防振効果が発揮され得る。
【0077】
可動膜は、仕切部材の収容領域に配された状態において、例えば中央保持部を除く全体が上下両面において収容領域の上下両側の壁内面から離れて配置されていても良い。これによれば、上下方向の振動入力に対して、可動膜の弾性変形領域が上下両側への変形を許容されることから、液圧吸収作用による振動絶縁効果などをより効率的に得るチューニングなども可能になる。
【符号の説明】
【0078】
10 エンジンマウント(流体封入式防振装置)
12 第一の取付部材
14 第二の取付部材
16 本体ゴム弾性体
18 挟持部
20 凹所
22 可撓性膜
24 流体封入領域
26 仕切部材
28 第一仕切板
30 第二仕切板
32 第一周溝
34 上透孔
36 第二周溝
38 下透孔
38a 第一の下透孔
38b 第二の下透孔
40 収容領域
42,70,80,90 可動膜
44 中央保持部
46,82,92 外周保持部
48,84 スポーク状保持部
50 弾性変形領域
52 リリーフ部
54 緩衝用突条
56 第一当接部
58 第二当接部
59 シールリップ
60 下壁内面
62 上壁内面
64 受圧室(第一の流体室)
66 平衡室(第二の流体室)
68 オリフィス通路
72 緩衝用突起