(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-24
(45)【発行日】2023-03-06
(54)【発明の名称】危険な場所のための自己内蔵型センサモジュール
(51)【国際特許分類】
G08B 21/16 20060101AFI20230227BHJP
G01D 11/24 20060101ALI20230227BHJP
H05K 5/06 20060101ALI20230227BHJP
【FI】
G08B21/16
G01D11/24 Z
H05K5/06 B
(21)【出願番号】P 2021517301
(86)(22)【出願日】2019-09-24
(86)【国際出願番号】 US2019052641
(87)【国際公開番号】W WO2020068783
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-05-26
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】リンジー,ライアン・ティー
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ,グレン・アール
(72)【発明者】
【氏名】ビューク,ランドン・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ,マイケル・ジー
【審査官】西巻 正臣
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0102639(US,A1)
【文献】特表2015-530571(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0062223(US,A1)
【文献】国際公開第2018/063806(WO,A1)
【文献】実開昭63-200765(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0285663(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D11/00-13/28
G01N21/00-21/01
21/17-21/61
27/00-27/10
27/14-27/24
33/00-33/46
G08B19/00-21/24
H05K5/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサモジュール
ハウジングと、
環境の特性を感知する、前記センサモジュール
ハウジング内の感知要素と、
前記感知要素が前記環境にアクセスすることを許す、前記センサモジュール
ハウジング内
で前記感知要素から制御された距離に固定的に配置されたガス抜き要素と、
前記感知要素に結合された、前記センサモジュール
ハウジング内の電子部品と、
を含み、前記センサモジュール
ハウジングが火炎経路の壁を形成する、センサモジュール。
【請求項2】
前記火炎経路が多段継手火炎経路を含む、請求項1記載のセンサモジュール。
【請求項3】
前記センサモジュールを正しい設置形態に配置するガイドを含む、請求項1記載のセンサモジュール。
【請求項4】
前記ガイドがキー締め機構を含む、請求項3記載のセンサモジュール。
【請求項5】
前記ガイドが磁石を含む、請求項3記載のセンサモジュール。
【請求項6】
前記感知要素及び前記ガス抜き要素を損傷から保護する
インパクトガードを含む、請求項1記載のセンサモジュール。
【請求項7】
前記壁が前記センサモジュールの外面を含む、請求項1記載のセンサモジュール。
【請求項8】
前記センサモジュールが
前記センサモジュールハウジングとの係合のために適合されており、ハウジング壁が前記火炎経路の壁を形成する、請求項1記載のセンサモジュール。
【請求項9】
センサモジュール
ハウジングと、
環境の特性を感知し、前記特性を示すセンサ信号を生成する、前記センサモジュール
ハウジング内の感知要素と、
前記感知要素が前記環境にアクセスすることを許す、前記センサモジュール
ハウジング内で前記感知要素から制御された距離に固定的に配置されたガス抜き要素と、
前記感知要素に結合され、前記センサ信号を受け、前記センサ信号に基づいて出力を生成するように構成された、前記センサモジュール
ハウジング内の電子部品と、
を含むセンサモジュール。
【請求項10】
火炎経路の半分を含む、請求項9記載のセンサモジュール。
【請求項11】
前記火炎経路が多段継手火炎経路である、請求項10記載のセンサモジュール。
【請求項12】
前記センサモジュールが
前記センサモジュールハウジングとの係合のために適合されており、前記
センサモジュールハウジングが前記火炎経路の一部分を含む、請求項10記載のセンサモジュール。
【請求項13】
前記感知要素及び前記ガス抜き要素を損傷から保護する
インパクトガードを含む、請求項9記載のセンサモジュール。
【請求項14】
前記センサモジュールを正しい設置形態に配置するガイドを含む、請求項9記載のセンサモジュール。
【請求項15】
前記ガイドがキー締め機構を含む、請求項14記載のセンサモジュール。
【請求項16】
前記ガイドが磁石を含む、請求項14記載のセンサモジュール。
【請求項17】
環境の特性を感知し、前記環境の前記特性を示す信号を生成する感知要素、
前記感知要素が前記環境にアクセスすることを許す
、前記感知要素から制御された距離に配置されたガス抜き要素、
火炎経路の第一の壁、及び
前記環境の前記特性を示す前記信号を受け、前記環境の前記特性を示す前記信号に基づいてセンサ関連の出力を生成する、前記感知要素に結合された電子部品、
を含むセンサモジュールと、
前記センサモジュールを収容するように構成された、前記火炎経路の第二の壁及び多条ねじを含むセンサモジュールハウジングと、
前記センサモジュールハウジングに結合するように構成された、多条ねじを含むセンサモジュールカバーと、
を含む、防爆分析センサシステム。
【請求項18】
前記センサモジュールが、前記センサモジュールを前記センサモジュールハウジングの中へ案内するように構成された案内機構を含む、請求項17記載の防爆分析センサシステム。
【請求項19】
前記センサ関連の出力を受け、制御信号を生成するように構成された制御装置をさらに含む、請求項17記載の防爆分析センサシステム。
【請求項20】
前記制御装置がさらに、警報信号を生成するように構成されている、請求項19記載の防爆分析センサシステム。
【請求項21】
前記センサモジュールがさらに、前記感知要素及び前記ガス抜き要素を保護するように構成されたインパクトガードを含む、請求項17記載の防爆分析センサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
プロセス工業は、特定のガスの存在を検出するために、しばしば安全システムの一部としてガスセンサを用いることが多い。多くのガスが人の健康及び/又は環境にとって有害であり得るため、これは重要である。工業ガスセンサは通常、プラントのプロセス区域又は制御室、すなわち保護されるべき区域の近くに取り付けられる。一般に、工業ガスセンサは、モニタリングシステムと通信するために固定場所に設置される。
【発明の概要】
【0002】
センサモジュールは、センサモジュール本体と、環境の特性を感知する、センサモジュール本体内の感知要素と、感知要素が環境にアクセスすることを許す、センサモジュール本体内のガス抜き要素と、感知要素に結合された、センサモジュール本体内の電子部品とを含み、センサモジュール本体が火炎経路の壁を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】センサモジュールの一例を示す部分切欠き図である。
【
図2】センサモジュール設備の一例を示す部分切欠き図である。
【
図3】火炎経路を含むセンサモジュール設備の一例を示すセンサモジュール設備の一部分の詳細図である。
【
図4】キー締め機構を含むセンサモジュールの一例を示す斜視図である。
【
図5】インパクトガード機構を含むセンサモジュールの一例を示すセンサモジュールの下部の斜視図である。
【
図6A】センサモジュールハウジングの一部分及びセンサモジュールカバーの一例を示す部分切欠き図である。
【
図6B】センサモジュールハウジングの一部分及びセンサモジュールカバーの一例を示す部分切欠き図である。
【
図7】センサモジュールの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
詳細な説明
工業的環境においては、ガス検出器が配備されることが多い。そのようなガス検出器は、環境中の可燃性、有毒、可燃性ガスの存在及び/又は酸素欠乏を検出するように構成されることができる。ときには、そのような環境が危険であることもある。例えば、環境は可燃性のガス及び液体を含むことがある。これは、ガス検出器が一定の安全性及び準拠規格を満たすことを求める。例えば、そのような検出器は、火炎経路を含むことが多い防爆ハウジング中に収容されることを求められることがある。この方法は、特に可燃性流体のために爆発性環境が存在する可能性があるシステムのために設計され、防爆ハウジングのようなエンクロージャに流体が浸透するのを防ぐことはほぼ不可能であるという原則に基づく。したがって、可燃性流体がエンクロージャに浸透し、誘因、例えば、電気部品間の火花が生じるならば爆発が起こるが、その爆発は、エンクロージャに閉じ込められたままであり、周辺環境への延焼は許されない。
【0005】
エンクロージャは、爆発からの圧力を閉じ込め、周辺環境を発火させることなく爆発性ガスの制御された逃散を許すための機械的強度をもって構築されなければならない。これは、エンクロージャの二つの部品、例えば、センサモジュール壁とセンサハウジング壁との間の界面である火炎経路の機能である。火炎経路は、ガスがエンクロージャから出て、通過中に冷めることを許して、ガスが周辺環境中でもはや爆発を誘発し得ないようにする。この理由のため、火炎経路は、ガスを冷ますのに十分な長さ及び十分な狭さの隙間を有しなければならない。
【0006】
ガス検出器内で一般的に用いられるセンサは時間とともに劣化するため、保守又は交換される必要がある。センサは、現場交換可能であるべきであり、危険環境の保全を維持するべきである。危険環境のための厳しい規格が、規格を満たすことができる機器、例えば、センサ及びセンサを取り囲むエンクロージャの製造をより高額かつ困難にするだけでなく、センサを修理・保守することを困難にする。
【0007】
現在のガスセンサシステム及び設計は、修理・交換を顧客にとって高額かつ困難にする。多くの場合、修理・交換作業そのものが、これらが設計されているやり方のせいで、システムの構成要素を損傷しやすくすることがある。例えば、ねじ込み式の火炎経路の継手は、センサにアクセスする際に危険にさらされることがあり、危険環境の安全性を危うくする。求められる厳密な公差のせいで、機器の取り外しは難易度が高くなり得る。機器を取り外そうとするとき、火炎経路は、例えば、掻き傷を受け、又は他のやり方で損傷して、これにより、危険にさらされるおそれがある。
【0008】
加えて、現在のシステム及び設計は、ガス抜き要素を別個のアセンブリとして有することが多い。これは、センサの性能に影響を与えるだけなく、修理又は交換をより時間と費用とがかかるものにする。ガス抜き要素と感知要素との間の距離は性能に直接影響する。真の濃度を反映しないことにより、読みの精度に影響するおそれがある。加えて、ガス抜き要素と感知要素との間の距離もまた、ガス検出器の応答時間に影響を与える。例えば、有毒煙霧の場合は、プロセスフロー中で発生したならば、直ちにこれを感知することが望ましい。ガス抜き要素と感知要素との間に非理想的な距離を有すると、有毒煙霧の感知の遅れを生じさせ、これにより、環境の安全性を危うくするおそれがある。また、ガス抜き要素を別個のアセンブリとして有することは、修繕のために取り外すためにさらなる時間及び費用を要し、火炎経路を、例えば、修理中により損傷しやすくする。さらに、ガス抜き要素は別個のアセンブリの一部であるため、修理時、感知要素が取り外されるときでも、これが一新されることはない。ガス抜き要素は、例えば、目詰まり又は摩耗を起こすことがあり、したがって、感知要素の交換とともに取り外されないならば、不完全な状態のまま残るおそれがある。
【0009】
さらには、危険な場所のための火炎経路規格を達成するための従来の方法は、ねじ込み継手又は滑り継手を使用する方法である。両方法とも欠点がある。ねじ込み継手は、危険環境規格との準拠のために、数多くの全ねじ部を必要とし、これは、顧客がセンサを修理又は交換することを厄介にする。また、摩耗及び損傷を受けやすいより多くの機構を設計に加えることになる。滑り継手は、調整を維持するために嵌合される部品間の締り嵌めを必要とし、これは、部品の製造がより費用を要することを意味する。加えて、締り嵌めのせいで、製造及び顧客が火炎経路を損傷させることもある。そのような損傷は、部品が危険環境のための厳しい規格にもはや準拠しなくなるため、部品を使用不可能にする。
【0010】
センサ保守に伴う負担及び費用を減らしながらも危険環境のための厳しい規格に準拠するガス検出器が必要とされている。本明細書に提供される一つのそのようなシステムは自己内蔵型センサモジュールを含む。センサモジュールは、感知要素、ガス抜き要素、回路板及び他の電気部品を単一部品として含む。これにより、感知要素及びガス抜き要素が一緒になって特徴化され、より正確な測定結果を出すことが可能となる。現在の設計においては、ガス抜き要素は再使用され、感知要素に固有ではない。時間の経過とともにガス抜き要素が汚損され、製品の性能が低下するおそれがある。本明細書に提供される自己内蔵型モジュールは、感知要素が交換されるたびにガス抜き要素が交換されることを保証するだけでなく、性能に直接影響する、感知要素とガス抜き要素との間の距離を制御することにより、製品が仕様どおりの性能を示すことを保証する。この設計は、汚損の危険を減らし、各ガス抜き要素が各感知要素に固有であることを保証する。
【0011】
さらには、自己内蔵型モジュールは、より大きな公差を許しながらも危険環境規格を満たす。これは、多段継手を強化するように火炎経路を設計することによって達成される。自己内蔵型モジュールの構成要素間のより緩い嵌合は、製造又は設置若しくは修理中の顧客によってモジュールが損傷する可能性を減らしながらも、危険環境における使用のための規格に準拠する。従来の火炎経路継手とは異なり、モジュールが火炎経路の一部である。これは、モジュールが交換されるたびに火炎経路が一新されることを保証し、モジュールカバー設計がより少ないねじ噛み合いしか必要としない(エンクロージャを開放するための回転の量を減らす)ことを許し、ひいては、ハウジングからカバーを取り外すために必要な時間を減らす。
【0012】
これらの設計特徴のすべてが、顧客に対する負担の軽減だけでなく、より低廉な製造及びより低廉な修理・交換、すなわち、センサ及びセンサモジュールのすべての要素を一つのユニットとして収容し、単一部品として取り外し可能かつ設置可能な、火炎経路の一部を含む自己内蔵型センサモジュールを可能にする。加えて、センサモジュールは、付加製造によって製造することができる。センサモジュールは、含まれるガス抜き要素とともに3Dプリントすることができ、これが、アセンブリ中の構成要素の数を減らすことに加え、技術者が感知要素への工業環境流体の流れを制御することを許す。この設計は、センサモジュールごとの感知要素を有するガス抜き要素を特徴とすることによって性能を改善し、ひいては、センサモジュール間のガス抜き要素の差異を減らす。
【0013】
図1は、センサモジュールの一例を示す部分切欠き図である。センサモジュール100は、感知要素101、ガス抜き要素102及び電子部品103を含む。センサモジュール100はさらに、Oリング104、ガスケット105及びファスナ106を含む。感知要素101は、プロセス環境において使用される任意の数のプロセス分析センサであることができる。センサモジュール100は、複数の感知技術とで使用することができるように拡大縮小可能である。単一の自己内蔵型ユニットとして、センサモジュール100は、感知要素101とガス抜き要素102との間の距離の一貫した制御を可能にする。距離はモジュール100の性能に直接影響する。ガス抜き要素102は、感知要素101が、周囲環境中のガスを感知することができるよう、周囲環境に接触する、又は他のやり方で曝露されることを可能にする。感知要素101及びガス抜き要素102は、好ましくは、ガスケット105によって分離されている。感知要素101は、電子部品103に電子的に結合されている。電子部品103は、ここではねじとして示されるファスナ106によってモジュール100に結合されている。ファスナ106は、電子部品103をセンサモジュール100に結合することができる任意の数の様々なファスナであってもよいことが考えられる。
【0014】
電子部品103は、プロセッサ、測定回路、通信回路及び/又は制御装置をはじめとする任意の数の構成要素を含むことができる。例えば、一つの実施形態において、センサモジュール100は、感知要素101から信号を受けるように構成された測定回路と、センサ関連の出力を計算するように構成されたプロセッサと、センサ関連の出力を示す信号を生成し、送信機を介してワイヤレスに、又は有線ループを通してディスプレイパネル又はユーザインターフェース(例えば、制御室内のコンピュータ)に送るように構成された通信論理とを含む電子部品103を含むことができる。電子部品103は、センサモジュール100をして、センサ関連の出力に基づく機能を実行させる、又はプロセス制御システムの他の局面をして、センサ関連の出力に基づく機能、例えば、警報若しくは通知の出力又は弁の調節を実行させるための制御信号を生成するように構成された制御装置を含むこともできる。
【0015】
センサモジュール100はまた、Oリング104を含む。Oリング104は、センサモジュール100とセンサモジュールハウジング(以下に詳述)との間にシールを形成して、流体、粉塵、水分及び他の望ましくない物質がセンサモジュール100とセンサモジュールハウジングとの間に流れ込むのを防ぐように構成されている。センサモジュール100は、任意の数の適当な材料、特に、危険場所規格との準拠に適した材料から作られることができる。特に、非限定的に、高い熱伝導率を有する非鉄金属、例えば、銅-アルミニウム合金、ステンレス鋼、銀、アルミニウム及び亜鉛めっき鋼又は非金属無火花材料、例えば、プラスチック、木及び熱可塑性ポリマー。そのような材料は公知であり、無火花防爆機器の製造において一般に使用されている。
【0016】
図2は、センサモジュール設備の一例を示す部分切欠き図である。センサモジュール設備200は、センサモジュールハウジング201、センサモジュールカバー202、IP(ingress protection)フィルタ203及びセンサモジュール100を含む。センサモジュールカバー202及びセンサモジュールハウジング201は、センサモジュール100の上及び周囲に一緒に嵌まり、これにより、センサモジュール100を、危険環境における使用に適した防爆ハウジングアセンブリ中に収容する。防爆ハウジングは
図2に例示的に示されているが、任意のタイプのハウジングを使用してもよいことが考えられる。IPフィルタ203は通常、飛び散り、しぶきになる液体、並びにセンサの性能を抑えるおそれのある粉塵及び他のデブリからセンサを保護するように設計された疎水性フィルタである。
【0017】
センサモジュールハウジング201、センサモジュールカバー202及びIPフィルタ203は、任意の数の適当な材料、特に危険場所規格との準拠に適した材料から作られることができる。そのような材料としては、高い熱伝導率を有する非鉄金属、例えば、銅-アルミニウム合金、ステンレス鋼、銀、アルミニウム及び亜鉛めっき鋼又は非金属無火花材料、例えば、プラスチック、熱可塑性ポリマー、ゴム又は他の適当な材料があるが、これらに限定されない。
【0018】
図3は、火炎経路を含むセンサモジュール設備の一例を示すセンサモジュール設備の一部分の詳細図である。センサモジュール設備200は、センサモジュールハウジング201、センサモジュールカバー202、センサモジュール100及び三つの矢印によって表される火炎経路301を含む。従来の火炎経路継手とは異なり、火炎経路301は、少なくとも一部分がセンサモジュール100によって形成されている。これは、センサモジュール100が交換されるたびに火炎経路が一新されることを保証し、これが、火炎経路が有効かつ危険環境規格と準拠するままであることを保証するのに役立つ。
【0019】
図3に示すように、火炎経路301は、センサモジュール100の外壁及びセンサモジュールハウジング201の内壁によって形成される強化型多段継手火炎経路設計である。多段継手火炎経路は、三つ以上の隣接するセグメントを含み、これらの中で二回以上90°方向を変える。火炎経路301の設計されたセグメント長、方向変更及び強化が、軽減した公差を可能にし、センサモジュール100が危険環境規格との準拠のためにねじを有することを要求しない。理由は、この設計は、爆発の圧力を閉じ込め、ねじなしでガスを冷ますことができるからである。センサモジュール100上でねじ込みを要しないため、顧客は、一方向に引くだけで、センサモジュール100を取り外すことができる。顧客は、新たなセンサモジュールを用意し、これをセンサモジュール設備の中に戻すことができる。修理及び取り出しの容易さは、顧客にとっての費用を減らし、修理又は交換作業中に顧客が危険環境に曝露されなければならない時間を減らす。加えて、この設計は、センサモジュール設備200内の構成要素間の公差の軽減を可能にするため、修理又は交換作業中に設備200を損傷する危険が減る。公差の軽減は、設計の性質のおかげで、製造中に、より低廉な材料、特にハウジング及びカバーの使用を可能にする。
【0020】
図4は、キー締め機構を含むセンサモジュールの一例を示す斜視図である。センサモジュール100は電子部品103及びキー締め機構400を含む。センサモジュール100がハウジング201中に正しく設置されることを保証するために、センサモジュール100を設置する一つの方向のみを許すためのキー締め機構400が設計に加えられている。キー締め機構400の使用は、顧客が、センサモジュール100を設置するとき、設置が正しく実施されたという確認を得ることを保証する。同様に、センサモジュール100の製造もまた、電気部品を一つの方向で設置するための同様なキー締め機構を使用することにより、好都合になる。センサモジュール100及びセンサモジュール設備200の設計は、はんだ付け又はポッティングの必要性を除き、これにより、費用を減らし、設置、修理及び取り外し中の効率を高める。
【0021】
また、キー締め機構の代わりに、顧客がセンサモジュール100を案内し、その配置を確認することを支援するための他の適当な技術を使用してもよいことが考えられる。例えば、磁石を使用してセンサモジュールを案内し、整合させ、固定することを支援する設計を利用することもできる。磁石の使用は、キー締め機構をモジュール上に有する必要性を除き、これは、製造における制御がさほど重要でなく、認証機関によって認証されているであろう。他のそのような機構は、テンションピン、クリップ、ラッチングタブ、プラグイン機構又は設置中の案内及び固定のための他の適当な技術であることができる。
【0022】
図5は、インパクトガード機構を含むセンサモジュールの一例を示すセンサモジュールの下部の斜視図である。センサモジュール100はインパクトガード機構500を含む。インパクトガード機構500は、センサモジュール10中に全体の一部として設計されている。インパクトガード機構500は、ガス抜き要素102及び感知要素101が損傷を受けるのを防ぐのに役立つ。これにもかかわらず、インパクトガード機構500は孔を有し、これにより、感知要素101が、これが曝露されるプロセスフローにアクセスし、これの特性を感知することを許す。インパクトガード機構500はセンサモジュール100の一部であり、これにより、製造費を減らし、修理及び取り外し時、新たなセンサモジュールが設置されるたびにインパクトガード機構500が一新されることを保証する。この設計はさらに、インパクトガード機構500上の付着物及びインパクトガード機構500の閉塞のこうむりやすさを減らす。
【0023】
図6Aは、センサモジュールハウジングの一部分及びセンサモジュールカバーの一例を示す部分切欠き図である。センサモジュールハウジング及びセンサモジュールカバー600は、カバー601、ハウジング602及び矢印によって表される火炎経路603を含む。顧客が装置、例えば、センサモジュール100を設置するために取り外す必要があるカバー601の上に多段継手火炎経路設計を使用することができる。多段継手火炎経路の設計セグメント長及び方向変更が、危険場所規格を満たすねじの量の減少を可能にする。理由は、この設計は、爆発の圧力を閉じ込め、減少したねじでガスを冷ますことができるからである。加えて、多段継手火炎経路設計は、ハウジング602及びカバー601上での多条ねじの使用を可能にする。多条ねじは、一条ねじよりも大きなリード及び浅い半径方向深さ要件を有し、したがって、より速やかにねじ込まれ、ねじ戻される。多条ねじはまた、ねじ込み、ねじ戻すのに要する力がより少ない。しかし、より大きなリードは、個々のねじ形状それぞれによる負担の不均等な分担及び締め付け時の摩擦損失のせいで、保持力を減らすことがある。しかし、多段継手火炎経路と組み合わせて使用されると、保持力の潜在的減少はさほど問題にならない。理由は、多段継手火炎経路は、爆発圧に耐え、ガスを冷ましながらも、危険環境規格に準拠するために必要なねじを減らすことができるからである。この設計は、顧客にとって、費用及び効率などの多くの利点を有するであろう。特に、この設計は、他の火炎経路設計の場合に求められる、カバー601及びハウジング602上に数多くの全ねじ部(ときには八つ以上)を有する必要がなく、製造費を減らし、より速いねじ込み及びねじ戻しは、センサモジュールを修理又は交換するとき危険な場所で費やされる時間を減らす。
【0024】
図6Bは、センサモジュールハウジングの一部分及びセンサモジュールカバーの一例を示す部分切欠き図である。センサモジュールハウジング及びセンサモジュールカバー650は、カバー601、ハウジング602及びねじ651を含む。この多段継手火炎経路設計を用いると、危険場所規格を満たすために必要なねじの量を減らし、ひいては製造費を節約し、設置及び修理効率を高め、ひいては顧客にとっての費用を減らすことができる。
【0025】
図7は、センサモジュールの一例を示すブロック図である。センサモジュール700は、電子部品702、感知要素704、アナログ・デジタル変換器706、測定回路708、プロセッサ710、制御装置712、ディスプレイ714、通信回路716、電源・通信ケーブル718、電源720、ガス抜き要素722、案内機構724、火炎経路726、インパクトガード728及びその他730を含む。
【0026】
感知要素704は、プロセスフロー又は環境の特性を感知し、プロセスフロー又は環境の特性を示すセンサ信号を生成する。電子部品702が感知要素704に結合されている。電子機器704は感知要素704からセンサ信号を受ける。アナログ・デジタル変換器706はセンサ信号をアナログからデジタルへと変換する。測定回路708は、変換器706からの変換された信号を受け、センサ信号に基づいて、プロセスフローの特性を示す測定信号を生成する。例示的な例として、感知要素704からのセンサ信号は生のミリボルト信号であってもよく、これが、変換器706によって変換されたのち、測定回路708によるガスの濃度を示す信号に変換される。プロセッサ710は、測定信号を受け、測定信号に基づいて、センサ関連の出力を生成する。プロセッサ710は、センサ関連の出力を生成する際にいくつかの診断/分析を実行することもできる。例えば、プロセッサ710は、ガス測定の濃度を受け、検出されたガス濃度の導関数などのセンサ関連の出力を生成することができる。プロセッサ710はさらに、較正、精度の決定、プロセスフローの投入量又は産出量への調節が必要であるかどうかの決定などの目的で、センサ関連の出力を事前設定閾値に比較することもできる。
【0027】
制御装置712は、プロセッサ710からセンサ関連の出力を受信し、センサ関連の出力に基づいて制御信号を発する。制御信号は、感知され、測定され、決定されたデータをディスプレイ714又は他のユーザインターフェース、例えば、制御室内のコンピュータに表示するための信号であることができる。制御信号はまた、警報を発する、又は通信回路716を通してプロセス制御システムの別の要素を調節するための信号であることもできる。例えば、ガス濃度測定値が所望の閾値に基づいて高又は低になった場合、制御装置は、例えば、弁を開閉することによってプロセスの成分の投入量を増減して、プロセス環境中で検出されるガスの濃度を調節することもできる。同様に、導関数の決定及び閾値との比較により、較正が必要であることが示唆された場合、警報が制御装置712によって生成され、これが、通信回路716を介して、ユーザインターフェース又は音響若しくは可視警報機構に送信されることもできる。
【0028】
通信回路716は、制御装置716から制御信号を受け、これを、ユーザインターフェース、例えば、制御室内のコンピュータ、リモートデバイス、ハンドヘルド型デバイス又はディスプレイに送る。通信回路は、電源・通信ケーブル718を介して信号を送ることもできるし、送信機を介してワイヤレスで通信することもできる。電源720は電子部品702の構成要素に電力を提供する。電源720は、図示するように、電源・通信ケーブル718に結合され、そこから電力を引き出すこともできるし、例えば、バッテリなどの自給電源であることもできる。
【0029】
ガス抜き要素722は、感知要素704がプロセスフロー又は試料溶液に接触することを許すように構成されている。ガス抜き要素722は、感知要素704がプロセスフロー若しくは試料溶液又は環境の特性を感知することができるよう、プロセスフロー又は試料溶液からの流体の通過を許す。案内機構724は、センサモジュール700がセンサモジュールハウジング中に正しく設置されていることをユーザが知るよう、センサモジュール700をセンサモジュールハウジング中に案内するように構成されている。案内機構724は、上記のようなキー締め機構又は磁石であることもできるし、センサモジュール700をセンサモジュールハウジング中に案内して、これが正しく設置されていることをユーザが知るようにするための他の十分な形態の案内機構であることもできる。
【0030】
火炎経路726は、爆発の場合に火炎及び流体が移動するための経路を形成するように構成され、その経路は、火炎及び流体を冷まして、爆発の場合に外部環境に点火するリスクが軽減されるように構成される。経路は、火炎又は流体が経路の側面に接触したときに、これらを効果的に冷ますのに十分なほどに長く、及び/又は方向を変えなければならない。適切な火炎経路は、流体を入らせ、通過させ、エンクロージャから抜け出る前に冷まさなければならないため、通常、長くて狭く、流体の逃散を長くする。一つの実施形態において、火炎経路726は、上述したように、数多くの利点を有する多段継手火炎経路である。火炎経路726はまた、ねじ込み継手、例えば、円筒継手若しくはテーパ継手;非ねじ込み継手、例えば、印籠継手、円錐継手、部分的な円柱面を有する継手、フランジ継手又は鋸歯状の継手をはじめとする、危険環境の規格を満たすのに十分な任意の数の火炎経路であることもできる。一つの実施形態において、センサモジュールは火炎経路の一部を含み、センサモジュールハウジングは火炎経路の別の一部を含む。これは、自己内蔵型センサモジュールにおいては、上記のように、センサモジュールが交換されるたびに火炎経路が一新されることを保証する。
【0031】
インパクトガード728は、センサモジュール700の構成要素を損傷から保護するように構成されている。インパクトガード728はセンサモジュール700の本体の一部である。インパクトガードは、例えば、センサモジュールの落下又は過圧から生じ得る衝撃損傷からセンサモジュール700の構成要素を保護する。インパクトガード728は、感知要素704がプロセスフロー又は試料溶液にアクセスすることを許しながらも十分な保護を提供するように構成されている。インパクトガード728は、上記のような孔あき設計であることもできるし、感知要素704がプロセスフロー又は試料溶液の特性を感知することができるよう感知要素704がプロセスフロー又は試料溶液にアクセスすることを許しながらもインパクトガードがセンサモジュール700の構成要素を保護することを許すのに十分な他の設計であることもできる。
【0032】
その他730は、必要又は好都合であり得るセンサモジュール700の他の機構である。例えば、その他730は、ファスナ、例えば、ファスナ106、Oリング、例えば、Oリング104又はガスケット、例えば、ガスケット105であることもできる。その他730は、送信機、ディスプレイ、例えば、非限定的にLCD及び他の様々な電子部品であることもできる。
【0033】
好ましい実施形態を参照しながら本発明を説明したが、当業者は、発明の精神及び範囲を逸することなく、形態及び詳細における変更を加えることができることを理解するであろう。そのうえ、本発明の実施形態は一般にガス検出器に関して説明されているが、実施形態は、いかなるプロセス分析センサとでも実施可能である。