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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】凹凸増幅部材及び凹凸検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 3/14 20060101AFI20230228BHJP
   G01B 5/28 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
G01B3/14
G01B5/28
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019103739
(22)【出願日】2019-06-03
(65)【公開番号】P2020197448
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】504229284
【氏名又は名称】国立大学法人弘前大学
(73)【特許権者】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹囲 年延
(72)【発明者】
【氏名】向明戸 結衣
(72)【発明者】
【氏名】望山 洋
(72)【発明者】
【氏名】藤本 英雄
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-047903(JP,A)
【文献】特開2005-195342(JP,A)
【文献】国際公開第2010/134610(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/00-3/08
3/11-3/56
5/00-5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の表面の凹凸形状に対するユーザの触感を増幅させる凹凸増幅部材であって、
各々が前記表面に対して立ち上がり、一方向に並ぶように配置された複数の起立部と、
隣り合う前記複数の起立部同士を連結する少なくとも一つの連結部と、
を備え、
前記複数の起立部の各々は、
前記凹凸形状に沿って変位可能な第一線状部と、
前記第一線状部に対してつながり、前記第一線状部の位置に応じて変位する第二線状部と、
を有し、
前記連結部は、前記第一線状部同士を非接続とし、かつ前記複数の起立部同士を互いに相対移動可能に連結する、
凹凸増幅部材。
【請求項2】
前記一方向に沿う中心軸の周りに線材が螺旋状に巻かれたコイル部材又は複数のスネークガイド状部材を備え、
前記コイル部材又は前記複数のスネークガイド状部材は、複数の前記連結部及び前記複数の起立部を有する、
請求項1記載の凹凸増幅部材。
【請求項3】
前記コイル部材又は前記複数のスネークガイド状部材は、前記一方向にみて、前記表面に沿う方向の寸法が、前記表面に直交する方向の寸法よりも長い、
請求項2記載の凹凸増幅部材。
【請求項4】
前記コイル部材又は前記複数のスネークガイド状部材が樹脂製である、
請求項2又は請求項3に記載の凹凸増幅部材。
【請求項5】
可とう性を有し、前記第一線状部と前記表面との間に配置された表面保護シートを更に備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載の凹凸増幅部材。
【請求項6】
物体の表面の凹凸形状に対するユーザの触感を増幅させる凹凸増幅部材であって、
各々が前記表面に対して立ち上がり、一方向に並ぶように配置された複数の板体と、
隣り合う前記複数の板体の外周を囲み、前記複数の板体を相対移動可能に保持するシートと、
を備え、
前記複数の板体の各々は、
前記凹凸形状に沿って変位可能な第一線状部と、
前記第一線状部の位置に応じて変位する第二線状部と、
を有する、
凹凸増幅部材。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の凹凸増幅部材を用いて物体の凹凸を検出する凹凸検出方法であって、
前記一方向を前記物体の前記表面に沿わせるように、前記凹凸増幅部材を配置する配置工程と、
前記配置工程の後、前記第二線状部の変位から、前記物体の前記表面の凹凸を検出する凹凸検出工程と、
を備える、
凹凸検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸増幅部材及び凹凸検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の凹凸増幅部材が記載されている。特許文献1に記載の凹凸増幅部材は、物体の表面に沿って変形するシート状検出部と、シート状検出部の物体表面に接する面とは反対側の面から突出する複数の突部と、を備える。
【0003】
ユーザは、指先を複数の突部に押し付けた状態で、物体の表面上をなぞる。物体の表面に凹凸形状があると、シート状検出部が凹凸形状に沿って変形し、複数の突部が指先に対して触感を及ぼす。このときの凹凸形状の触感は、直接的に凹凸形状をなぞった場合に比べて、触感を増幅させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-195342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の凹凸増幅部材では、シート状検出部に対して、複数の突部を直角に突出させる必要があるため、シート状検出部を一定以上の固さにする必要がある。このため、特に凹形状を検出する際、シート状検出部が凹形状に沿って変形することができないことがあり、適切に凹凸形状に対する触感を増幅させることができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、物体の凹凸形状に対する触感をより適切に増幅させることが可能な凹凸増幅部材及び凹凸検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一態様の凹凸増幅部材は、物体の表面の凹凸形状に対するユーザの触感を増幅させる凹凸増幅部材である。前記凹凸増幅部材は、各々が前記表面に対して立ち上がり、一方向に並ぶように配置された複数の起立部と、隣り合う前記複数の起立部同士を連結する少なくとも一つの連結部と、を備える。前記複数の起立部の各々は、前記凹凸形状に沿って変位可能な第一線状部と、前記第一線状部に対してつながり、前記第一線状部の位置に応じて変位する第二線状部と、を有する。前記連結部は、前記第一線状部同士を非接続とし、かつ前記複数の起立部同士を互いに相対移動可能に連結する。
【0008】
本発明に係る一態様の凹凸増幅部材は、物体の表面の凹凸形状に対するユーザの触感を増幅させる凹凸増幅部材である。前記凹凸増幅部材は、各々が前記表面に対して立ち上がり、一方向に並ぶように配置された複数の板体と、隣り合う前記複数の板体の外周を囲み、前記複数の板体を相対移動可能に保持するシートと、を備える。前記複数の板体の各々は、前記凹凸形状に沿って変位可能な第一線状部と、前記第一線状部の位置に応じて変位する第二線状部と、を有する。
【0009】
本発明に係る一態様の凹凸検出方法は、前記凹凸増幅部材を用いて物体の凹凸を検出する凹凸検出方法である。凹凸検出方法は、前記一方向を前記物体の前記表面に沿わせるように、前記凹凸増幅部材を配置する配置工程と、前記配置工程の後、前記第二線状部の変位から、前記物体の前記表面の凹凸を検出する凹凸検出工程と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る上記態様の凹凸増幅部材及び凹凸検出方法は、物体の凹凸形状に対する触感をより適切に増幅させることができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1(A)は、本発明の一実施形態に係る凹凸増幅部材を物体の表面に載せた状態の側面図である。図1(B)は、図1(A)の状態から凹凸増幅部材を物体の表面に沿って移動させた状態の側面図である。
図2図2(A)は、コイル部材の斜視図である。図2(B)は、コイル部材の側面図である。図2(C)は、コイル部材の正面図である。
図3図3は、図1(B)のA部分拡大図である。
図4図4(A)(B)は、実施例における試験片の斜視図である。
図5図5は、試験に用いたシステムのブロック図である。
図6図6(A)は、凸形状を有する試験片を用いた試験結果のグラフである。図6(B)は、凸形状を有する試験片を用いた試験結果のグラフである。
図7図7は、変形例1に係る凹凸増幅部材の側面図である。
図8図8(A)は、変形例3に係る凹凸増幅部材の斜視図である。図8(B)は、変形例3に係る凹凸増幅部材の側面図である。
図9図9は、その他の変形例に係る凹凸増幅部材を物体の表面に載せた状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)実施形態
以下、本発明の一実施形態に係る凹凸増幅部材1及び凹凸検出方法について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
(1.1)凹凸増幅部材
本実施形態に係る凹凸増幅部材1は、物体6の表面61の凹凸形状62に対するユーザの触感を増幅させる部材である。図1に示すように、身体の一部(ここでは、手の人差し指の腹)と物体6の表面61との間に凹凸増幅部材1を配置した状態で、物体6の表面61に沿って、手の人差し指と凹凸増幅部材1とを移動させる。凹凸増幅部材1が物体6の表面61の凹凸形状62(ここでは凹形状)に差し掛かると、凹凸増幅部材1が変形する。このとき、凹凸増幅部材1に触れているユーザは、直接的に物体6の表面61をなぞったときに得る凹凸形状62の触感に比べて、増幅した触感を得ることができる。
【0014】
本開示でいう「物体6の表面61」とは、例えば、金属、合成樹脂、ゴム、塗装面等の表面61のことである。本開示でいう「凹凸形状62」は、物体6の表面61の基準面に対する凹又は凸を意味する。本実施形態に係る凹凸増幅部材1では、基準面に対する凸の先端又は凹の底端の高さ寸法が、ミクロンオーダーである微細な凹凸形状62の検出に用いられることが好ましい。ここでいう「ミクロンオーダー」とは、一例として、5μm以上1000μm未満である。ただし、本開示でいう凹凸増幅部材1は、1mm以上の高さの凹凸形状62の検出に用いられてもよい。本実施形態に係る凹凸増幅部材1は、例えば、鋼板の面ひずみの検出、金属の表面処理の際の面検査等に用いられる。
【0015】
本実施形態に係る凹凸増幅部材1は、図1に示すように、コイル部材2と、表面保護シート5と、を備える。
【0016】
(1.1.1)コイル部材
コイル部材2は、図2(C)に示すように、中心軸20の周りに線材が螺旋状に巻き回された部材である。本開示でいう「螺旋状」は、中心軸20を中心として周方向に進むに従って、中心軸20に沿う方向に進むような形状だけでなく、本実施形態に係るコイル部材2のように、中心軸20を中心とした周方向に1回転未満進んだのちに、中心軸20に沿う方向に進むことを繰り返すような形状も含まれる。また、「中心軸20を中心として周方向に進む」とは、中心軸20に沿って見て、中心軸20を囲む形状であればよく、円形のほか、三角形状、四角形状、五角形状等の多角形状であってもよい。したがって、本開示で言う「螺旋状のコイル部材2」には、中心軸20の周りに線材が全長にわたって一定の曲率で巻かれたコイル部材2のほか、図2(A)~(C)に示すように、直線部分と曲線部分との組み合わせによって、中心軸20の周りに線材が巻かれたコイル部材2も含まれる。
【0017】
以下では、中心軸20に平行な方向を「前後方向」とし、物体6の表面61に沿いかつ前後方向に直交する方向を「左右方向」とし、物体6の表面61に直交する方向(つまり、前後方向及び左右方向に直交する方向)を「上下方向」として定義する。なお、これらの方向の定義は、凹凸増幅部材1の使用態様を限定する趣旨ではない。図面中の各方向を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0018】
本実施形態に係るコイル部材2は、樹脂製である。樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアセタール、ポリカーボネート、ABS(acrylonitrile-butadiene-styrene plastic)樹脂、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル等が挙げられるが、特に制限はない。
【0019】
ただし、本開示に係るコイル部材2は、金属製のコイルばねであってもよい。コイルばねに用いられる金属としては、硬鋼線、ピアノ線、ステンレス鋼線、シリコンクロム鋼オイルテンパー線、Mn-Cr鋼熱間成形ばね材等が挙げられるが、特に制限はない。
【0020】
本実施形態に係るコイル部材2は、中心軸20が物体6の表面61に沿うようにして配置される。本実施形態に係るコイル部材2は、図2(A)に示すように、複数の起立部3と、複数の起立部3同士をつなぐ複数の連結部4と、を備える。複数の起立部3と複数の連結部4とは、前後方向に交互に配置され、各々が一体に形成されている。
【0021】
起立部3は、部材の表面61に対して立ち上がる部分である。複数の起立部3は、本実施形態では、前後方向に一定の間隔をおいて並んでいる。各起立部3は、図2(C)に示すように、第一線状部31と、接続部32と、第二線状部33と、を備える。本実施形態に係る起立部3では、第一線状部31、接続部32及び第二線状部33は、この順で一体に形成されている。第一線状部31、接続部32及び第二線状部33は、いずれも、たわみやすく、可とう性を有している。
【0022】
第一線状部31は、コイル部材2において、物体6の表面61の凹凸形状62に従って変位する部分である。第一線状部31は、コイル部材2において、物体6の表面61に対向する。各第一線状部31は、図2(C)に示すように、左右方向に延びており、すなわち、中心軸20に対して交差する方向に延びている。本実施形態に係る第一線状部31は、略直線状に形成されているが、本開示に係る第一線状部31では、下方に凸となるような曲線状に形成されてもよい。
【0023】
複数の起立部3は、図2(B)に示すように、前後方向に一定の間隔で並んでいることで、複数の第一線状部31は、前後方向に一定の間隔をおいて並んでいる。本実施形態に係る複数の第一線状部31は、互いに略平行である。
【0024】
複数の第一線状部31は、図3に示すように、物体6の凹凸形状62(ここでは凹面)に載ると、凹凸形状62の表面に従って変位する。本実施形態に係る各第一線状部31は、左右方向の両端において、接続部32又は連結部4とつながっているが、接続部32又は連結部4は可とう性を有しているため、上下方向又は/及び前後方向において変位しやすい。
【0025】
ここで、本開示で言う「上下方向又は/及び前後方向」とは、「上下方向」と「前後方向」とのうちの両方又は一方を意味する。また、上下方向及び前後方向の両方とは、上下方向と前後方向との両方の方向成分を有することを意味する。
【0026】
接続部32は、図2(C)に示すように、第一線状部31の一端部(ここでは右側の端)と、第二線状部33の一端部(ここでは右側の端)とをつなぐ。本実施形態に係る接続部32は、第一線状部31の一端部から上方向に突出している。接続部32の上下方向の長さは、第一線状部31よりも短い。接続部32と第一線状部31とは、本実施形態では略直交している。ただし、本開示に係る接続部32は、第一線状部31に対して、前後方向に見て傾斜していてもよいし、左右方向に見て鉛直面に対して傾斜していてもよい。接続部32と第一線状部31との出隅部34は、図2(C)に示すように、隅丸状に形成されている。
【0027】
仮に、第一線状部31が下方向に凸となる円弧である場合であっても、第一線状部31の曲率は、出隅部34の曲率よりも小さいことが好ましい(本実施形態では第一線状部31の曲率は、略ゼロである)。これによって、物体6の表面61に対する接触圧を低減させることができる。ただし、本開示では、出隅部34と第一線状部31とが同じ曲率であってもよい。
【0028】
第二線状部33は、コイル部材2において、第一線状部31の変位に伴って、変位する部分である。第二線状部33は、起立部3において、部材の表面61に平行な仮想面のうち中心軸20を含む仮想面に対し、第一線状部31とは反対側に位置する。要するに、本実施形態に係る複数の第二線状部33は、コイル部材2の上端部を構成する。
【0029】
第二線状部33は接続部32に接続されており、すなわち、第二線状部33は第一線状部31につながっている。要するに、複数の第二線状部33は、複数の第一線状部31に対して一対一でつながっている。第二線状部33は、接続部32の上端部(ここでは上端)から左右方向のうちの一方向(ここでは左方向)に沿って突出している。第二線状部33は、上から見て(以下、平面視)、第一線状部31に対して少なくとも一部が重なっている。本実施形態に係る第二線状部33は、第一線状部31に略平行である。本実施形態に係る第二線状部33は、略直線状に形成されているが、本開示に係る第二線状部33では、上方向に凸となるような曲線状に形成されてもよい。
【0030】
連結部4は、図2(A)に示すように、前後方向に並ぶ二つの起立部3を連結する。より詳細には、連結部4、第一線状部31同士を非接続とし、かつ複数の起立部3同士を互いに相対移動可能に連結する。本実施形態に係る連結部4は、前後方向に並ぶ二つの起立部3のうち、前側の起立部3の第二線状部33と、後側の起立部3の第一線状部31とを連結することで、第一線状部31同士を非接続とすることを実現する。連結部4は、前側の起立部3の第二線状部33の一端部(ここでは左側の端)から、後側の起立部3の第一線状部31の一端部(ここでは左側の端)まで延びている。連結部4は、後方にいくに従って下方向にいくように、水平面に対して傾斜している。本実施形態に係る連結部4は、可とう性を有する材料で構成されているため、隣り合う起立部3同士を互いに相対移動可能に連結する。
【0031】
ここで、本開示で言う「相対移動可能に連結する」とは、隣り合う起立部3同士が、相対的に移動し得る状態で連結されていることを意味する。本実施形態に係るコイル部材2では、前後方向に隣り合う一対の起立部3のうち、例えば、前側の起立部3に対し、後側の起立部3は、上下方向又は/及び前後方向に沿って移動し得る。
【0032】
本実施形態に係るコイル部材2は、図2(C)に示すように、扁平な形状に形成されている。すなわち、本実施形態に係るコイル部材2では、前後方向にみて、左右方向(物体6の表面61に沿う方向)の寸法L1が、上下方向(表面61に直交する方向)の寸法L2よりも長い。
【0033】
具体的には、コイル部材2の上下方向の寸法L2は、3mm以下であることが好ましく、より好ましくは、2mm以下であり、更に好ましくは、0mmより大きく1.2mm以下である。コイル部材2の左右方向の寸法L1は、4mm以下であることが好ましく、より好ましくは、3mm以下であり、更に好ましくは、0mmより大きく2.6mm以下である。また、線材の直径は、1mm以下であることが好ましく、より好ましくは、0mmより大きく0.5mm以下である。ただし、コイル部材2の上下方向の寸法L2、左右方向の寸法L1、前後方向の長さ及び線材の直径は特に制限はない。
【0034】
(1.1.2)表面保護シート
表面保護シート5は、図1に示すように、コイル部材2と表面61との間に配置されて部材の表面61を保護する。本実施形態に係る表面保護シート5は、物体6の表面61の凹凸形状62に沿って変形できる程度の柔軟性を有しており、可とう性を有する。本実施形態に係る表面保護シート5の厚さ寸法は、例えば、700μm以下であることが好ましく、より好ましくは、600μm以下であり、更に好ましくは、0μmより大きく500μm以下である。
【0035】
本実施形態に係る表面保護シート5は、例えば、樹脂、不織布、織布、ゴム、紙等で構成される。ただし、物体6の表面61に対する摩擦を抑える観点から、表面保護シート5は、例えば、樹脂、不織布、織布、紙が好ましい。本開示で言う「シート」は、フィルム、膜及び箔を含む。
【0036】
また、表面保護シート5としては、弾性変形可能な薄く固いシートであってもよい。弾性変形可能なシートとしては、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)、PET、PET-G等が挙げられる。ここでは、一例として、テレホンカードのようなPETカードが例示できる。
【0037】
(1.2)動作
図1(A)に示すように、第一線状部31が物体6の表面61に対向するように、コイル部材2が配置され、また、コイル部材2と物体6の表面61との間に表面保護シート5が配置される。ユーザは、指(例えば人差し指)を第二線状部33に載せ、コイル部材2及び保護シート5(つまり、凹凸増幅部材1)と共に前方向に移動させ、物体6の表面61をなぞる。
【0038】
このとき、凹凸増幅部材1が物体6の表面61にある凹凸形状62(ここでは凹面)に差し掛かると、図1(B)に示すように、凹面に沿って複数の第一線状部31が上下方向又は/及び前後方向において変位し、これに応じて複数の第二線状部33が、上下方向又は/及び前後方向に変位する。
【0039】
第一線状部31は、シート状ではなく、線材で構成されているため、シート状のものに比べて、凹凸形状62の表面61に沿って変位しやすい。したがって、本実施形態に係る凹凸増幅部材1によれば、微細な凹凸形状62に応じて、第一線状部31及び第二線状部33が変位しやすく、物体6の表面61の凹凸形状62に対するユーザの触感を増幅させやすい。
しかも、本実施形態に係る凹凸増幅部材1では、前後方向にみて、左右方向(物体6の表面61に沿う方向)の寸法L1が、上下方向(表面61に直交する方向)の寸法L2よりも長く、要するに、扁平な形状に形成されている。本実施形態に係る凹凸増幅部材1では、例えば、上下方向の寸法L2は、1mm以下とすることもできる。一方、一般的な、いわゆる触覚コンタクトレンズ(例えば、特開2005-195342号公報参照)では、上下方向の寸法は、およそ5mmである。要するに、本実施形態に係る凹凸増幅部材1では、一般的な接触コンタクトレンズに対して、ピンの単位長さ当たりの触感の増幅率が、およそ2~3倍以上である。
【0040】
(1.3)凹凸検出方法
以上のような構成の凹凸増幅部材1を用いて、例えば、次のようにして凹凸の検出が行われる。本実施形態に係る凹凸検出方法は、配置工程と、凹凸検出工程と、を備える。
【0041】
(1.3.1)配置工程
配置工程は、図1(A)に示すように、第一線状部を物体6の表面61に沿わせるように、凹凸増幅部材1を配置する工程である。配置工程では、表面保護シート5を用いてもよいし、用いなくてもよい。配置工程では、凹凸増幅部材1として、上記実施形態のコイル部材2を用いてもよいし、中心軸20に沿う方向にみて、円形状又は楕円形状のコイルばねを用いてもよい。
【0042】
(1.3.2)凹凸検出工程
凹凸検出工程は、図1(B)に示すように、配置工程の後、第二線状部33の変位から、物体6の表面61の凹凸を検出する工程である。配置工程の後、ユーザは、例えば指の腹を第二線状部33に当てた状態で、凹凸増幅部材1を移動させることで、凹凸増幅部材1によって物体6の表面61をなぞる。
【0043】
凹凸増幅部材1が凹凸形状62に差し掛かると、凹凸増幅部材1によって、凹凸形状62に対する触感が増幅される。このため、ユーザは、凹凸形状62の存在を検出することができる。本実施形態に係る凹凸検出方法によれば、例えば、鋼板の面ひずみの検出、金属の表面処理の際の面検査等を行うことができる。
【0044】
(2)実施例
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。ただし、本開示に係る凹凸増幅部材1は、以下の実施例に限定されない。
【0045】
実施例では、物体6として、幅100mm、高さ30mm、奥行き30mmのアルミニウムプレートからなる試験片を用いた。試験片の表面には、以下の式1に示す形状の凸(試験片81)又は凹(試験片82)を形成するようにフライス盤で加工した。なお、極値部分の高さ寸法は、約5μmであった。
【数1】
【0046】
指先にひずみゲージ(KFG-5-120-C1-23L1M2R;株式会社共和電業製)を沿わせた状態で、ひずみゲージと指先とをセロハンテープで巻き、指先にひずみゲージを固定した。これによって、指先の皮膚の形状の変化に合わせてひずみゲージも変化するため、指先の触感の増幅の程度を定量化することができる。
【0047】
図5に示すように、凹凸形状62に対する指先の位置を計測するべく、手の位置に連動して移動するスライダ71を設けた。スライダ71による移動は、エンコーダ72によって電気信号に変換され、コンピュータ73に出力した。これによって、凹凸形状62に対する指先の位置が計測できる。また、ひずみゲージで得た信号を増幅器74によって増幅した上で、コンピュータ73に出力した。
【0048】
実施例1の凹凸増幅部材1として、次のコイル部材2と、表面保護シート5とを用いた。コイル部材2として、幅が2.6mm、高さが1.25mm、前後方向の長さが35.25mmの樹脂ファスナの片側の部材を用いた。表面保護シート5として、織布からなる500μmの厚さのシート材を用いた。
【0049】
実施例2の凹凸増幅部材1として、次のコイル部材2と、表面保護シート5とを用いた。コイル部材2として、直径が3.5mm、線径が100μm、前後方向の長さが30mmの金属製のねじりばねを用いた。表面保護シート5として、織布からなる500μmの厚さのシート材を用いた。
【0050】
試験片1,2の表面61について、実施例1に係る凹凸増幅部材1を用いてなぞった場合と、実施例2に係る凹凸増幅部材1を用いてなぞった場合と、参考例1として、凹凸増幅部材1を用いないでなぞった場合とで、計測結果をグラフに表した。
【0051】
結果を図6に示す。縦軸がひずみ量、横軸が距離を示している。
【0052】
図6(A)に示すように、試験片81の凸形状に対応する部分において、凹凸増幅部材1(実施例1,2)で得た測定結果のひずみ量の最大値は、凹凸増幅部材1を用いないでなぞった場合(参考例1)に比べて、顕著な増幅効果が確認された。
【0053】
図6(B)に示すように、試験片82の凹形状に対応する部分において、凹凸増幅部材1(実施例1,2)で得た測定結果のひずみ量の最大値は、凹凸増幅部材1を用いないでなぞった場合(参考例1)に比べて、約6.3倍の触感の増幅効果が確認された。
【0054】
また、図6(A)及び図6(B)に示すように、実施例1,2において、ひずみが、凹凸形状62の中心から、およそ±7mmの範囲で生じた。これに対し、参考例においては、ひずみが、凹凸形状62の中心から、およそ±2mmの範囲で生じた。実施例1,2において、ユーザに対して、触感の増幅効果を及ぼした理由の一つとして、ひずみの生じ得る範囲が広くなったことも影響していると考えられる。
【0055】
したがって、実施例1,2に係る凹凸増幅部材1では、凹凸形状62として、凹又は凸のいずれの形状であっても、触感の増幅効果が得られることが確認された。
【0056】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を説明する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0057】
(3.1)変形例1
上記実施形態に係る凹凸増幅部材1では、線材で構成されたコイル部材2を備えたが、例えば、図7に示すように、板状の部材を用いた構造であってもよい。変形例1に係る凹凸増幅部材1は、複数の起立部3と、隣り合う複数の起立部3同士を連結する複数の連結部4と、を備える。本変形例に係る複数の連結部4は、一のボルト41によって実現されている。
【0058】
本変形例に係る起立部3は、中心にボルト41を通すための貫通孔が形成された板状部材35で構成されている。本変形例に係る板状部材35は、正面視円形状の金属板で構成されており、例えば、ワッシャである。板状部材35の下端部には、下端面を含む部分に第一線状部31が形成されている。また、板状部材35の上端部には、上端面を含む部分に第二線状部33が形成されている。貫通孔は、上下方向において、第一線状部31と第二線状部33との間に形成されている。本変形例に係る貫通孔は、板状部材35の中央に形成されているが、板状部材35において中央から上下方向又は左右方向にずれた位置に形成されてもよい。貫通孔の内径は、複数の連結部を構成するボルト41よりもわずかに大きく形成されており、貫通孔はボルト41に対して一定のアソビを有する。
【0059】
ボルト41は、複数の板状部材35の貫通孔に通される。本変形例に係る連結部4は、ボルト41のうち、隣り合う板状部材35をつなぐ部分のことである。要するにボルト41は、複数の連結部4が軸方向に連なって構成されている。本変形例に係る凹凸増幅部1は、ボルト41の先端からねじ込まれたナット42を有する。ナット42によって、複数の板状部材35は、一定のアソビを有する状態で位置決めされており、これによって、複数の板状部材35は、互いに相対移動可能に連結されている。
【0060】
複数の第一線状部31は、物体6の凹凸形状62(図1(A)参照)に載ると、一定のアソビの範囲内において、凹凸形状62の表面に従って変位する。本変形例に係る各第一線状部31同士は、連結部によって非接続であるため、上下方向又は/及び前後方向において変位しやすい。
【0061】
なお、本変形例に係る凹凸増幅部材1では、起立部3としてワッシャが用いられたが、本開示では、起立部3として、スプリングワッシャが用いられてもよい。また、起立部3は、正面視円形状でなくてもよく、例えば、正面視略楕円形状、正面視略矩形状、正面視略三角形状、正面視略五角形状等であってもよい。また、板状部材35は金属製に限らず、合成樹脂製、繊維強化プラスチック製、ゴム製、紙製等であってもよい。また、複数の連結部4として、ボルト41のほか、例えば、ピン、リベット、シャフト等の軸状の部材で構成されてもよい。
【0062】
(3.2)変形例2
上記実施形態に係る凹凸増幅部材1では、一方向(ここでは前後方向)に沿った軸方向を中心として複数回巻かれるコイル部材2を備えたが、軸方向を中心として一回転未満の部材(いわゆる、スネークガイド状部材)を複数用意し、複数のスネークガイド状部材を一方向に沿って連結してもよい。本開示で言う「スネークガイド状部材」とは、スネークガイドの様な形状をなしていることを意味し、例えば線材を中心軸周りに270°程度、螺旋状に回転させた形状を含む。
【0063】
本変形例に係る凹凸増幅部材では、複数のスネークガイド状部材が、連結部によって、相対移動可能に連結される。連結部としては、変形例1のような軸状の部材であってもよいし、スネークガイド状部材の端部同士を接合するゴム等であってもよい。また、複数のスネークガイド状部材は、コイル部材2と同様、扁平な形状に形成されてもよい。
【0064】
(3.3)変形例3
上記実施形態に係る凹凸増幅部材1では、連結部4と、起立部3とが一体成形されていたが、本開示では、図8(A)及び図8(B)に示すように、連結部4に代えて、複数の起立部3を保持するシート43を備えてもよい。本変形例に係る凹凸増幅部材1は、起立部3としての板体36と、シート43と、を備える。
【0065】
板体36は、物体6の表面61(図1等参照)に対して立ち上がる部分である。複数の板体36は、本変形例では、前後方向に一定の間隔をおいて並んでいる。本実施形態に係る板体36は、正面視円形状の金属板でなくてもよく、例えば、正面視略楕円形状、正面視略矩形状、正面視略三角形状、正面視略五角形状等であってもよい。また、板体36は、例えば、金属製、合成樹脂製、繊維強化プラスチック製、ゴム製、紙製等であってもよい。
【0066】
各板体36は、図8に示すように、第一線状部31と、第二線状部33と、を備える。本変形例に係る板体36は、法線が下方向の成分を有する面のうちの最下端を含む一範囲が第一線状部31であり、法線が上方向の成分を有する面のうちの最上端を含む一範囲が第二線状部33である。
【0067】
第一線状部31は、実施形態と同様、物体6の表面61の凹凸形状62に沿って変位し得る。第二線状部33は、第一線状部31の位置に応じて変位する。
【0068】
シート43は、隣り合う複数の板体36の外周を囲み、複数の板体3を相対移動可能に保持する。本変形例に係るシート43は、可とう性を有している。本変形例に係るシート43は、例えば、樹脂製フィルム、ゴムシート、紙等により構成される。したがって、シート43によって外周が囲まれた板体36は、本変形例では、シート43によって、上下方向又は/及び前後方向に沿うように、互いに相対移動可能に保持される。
【0069】
凹凸増幅部材1を物体6の表面61に沿って移動させる。凹凸増幅部材1が物体6の凹凸形状62(図1(A)参照)に載ると、シート43が変形するのと一緒に、複数の第一線状部31が、凹凸形状62の表面に従って変位する。本変形例に係る第一線状部31は、シート43とは別体であり、シート43による拘束力が比較的弱いため、凹凸形状62に沿って、上下方向又は/及び前後方向に変位しやすい。したがって、シート43における第二線状部33に対応する位置に指を載せたユーザは、第二線状部33の変位によって、凹凸形状62の触感を得ることができる。
【0070】
本開示で言う「板体36の外周を囲む」とは、板体36の外周の全長にわたって閉じている態様だけでなく、板体36の外周のうち一部が開いた態様も含む。つまり、板体36の外周の大部分にシート43が被さることで、シート43が複数の板体36を相対移動可能に保持できれば、「板体36の外周を囲む」ことに含まれる。
【0071】
本変形例に係る凹凸増幅部材1では、板体36同士は互いに接触しているか、又は細隙を介して離れていたが、板体36同士の間には、一定の粘性を有する液体が介在してもよい。一定の粘性を有する液体としては、例えば、グリース、オイル、ゲル等が挙げられる。
【0072】
(3.4)その他の変形例
以下、その他の変形例を列挙する。
【0073】
上記実施形態に係る連結部は、第一線状部31と第二線状部32とを接続し、上記変形例に係る連結部4は、起立部3(板状部材35)の中央部同士を接続したが、本開示に係る連結部4は、隣り合う起立部3の上端部同士を接続してもよいし、左側端部同士を接続してもよいし、右側端部同士を接続してもよい。
【0074】
上記実施形態に係る凹凸増幅部材1では、凹凸形状62に対する触感として、指先による触感を増幅させたが、本開示では、例えば、複数の指、手のひら、手の甲、腕、肘、膝、足裏、頭部、肩等による触感を増幅させてもよい。
【0075】
本実施形態に係る凹凸増幅部材1は、前後方向に細長い形状に形成されたが、本開示に係る凹凸増幅部材1では、シート状に形成されてもよい。
【0076】
上記実施形態に係る凹凸増幅部材1では、前後方向に沿って移動させることで、物体6の表面61の凹凸形状62を検出したが、本開示では、物体6の表面61に凹凸増幅部材1を置いた状態で、物体6の表面61に直交する方向に沿って、複数の第二線状部33を押すことでも凹凸形状62を検出することができる。
【0077】
上記実施形態に係る凹凸増幅部材1では、表面保護シート5を備えたが、本開示に係る凹凸増幅部材1では、図9に示すように、表面保護シート5を備えなくてもよい。例えば、コイル部材2の材料に比べて、物体6の表面61が十分に固い場合には、凹凸増幅部材1として表面保護シート5を備えなくてもよい。
【0078】
上記実施形態では、第一線状部31、接続部32及び第二線状部33で略U字状に形成されており、各部分の境界が把握できたが、本開示では、第一線状部31、接続部32及び第二線状部33の各部分の境界は現れなくてもよい。例えば、第一線状部31、接続部32及び第二線状部33がC字状をなすように、同じ曲率で連続してもよい。
【0079】
本開示にて、「略平行」、又は「略直交」のように「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、「略平行」とは、実質的に「平行」であることを意味し、厳密に「平行」な状態だけでなく、数%程度の誤差を含む意味である。他の「略」を伴った表現についても同様である。
【0080】
また、本開示において「前端部」及び「前端」などのように、「…端部」と「…端」とで区別した表現が用いられている。例えば、「前端部」とは、「前端」を含む一定の範囲を持つ部分を意味する。他の「…端部」を伴った表現についても同様である。
【0081】
(4)態様
以上説明したように、第1の態様に係る凹凸増幅部材1は、物体6の表面61の凹凸形状62に対するユーザの触感を増幅させる凹凸増幅部材1である。凹凸増幅部材1は、各々が表面61に対して立ち上がり、一方向に並ぶように配置された複数の起立部3と、隣り合う複数の起立部3同士を連結する少なくとも一つの連結部4と、を備える。複数の起立部3の各々は、凹凸形状62に沿って変位可能な第一線状部31と、第一線状部31に対してつながり、第一線状部31の位置に応じて変位する第二線状部33と、を有する。連結部4は、第一線状部31同士を非接続とし、かつ複数の起立部3同士を互いに相対移動可能に連結する。
【0082】
ここでいう「第一線状部31に対してつながり」とは、第二線状部33が、第一線状部31に対して、直接的に又は間接的につながっていることを意味する。
【0083】
この態様によれば、第一線状部31が線状に構成されている上に、第一線状部31同士が非接続であるため、物体6の表面61の凹凸形状62に沿って第一線状部31が変位しやすい。このため、複数の第二線状部33によって物体6の表面61の凹凸形状62に対するユーザの触感を増幅させる効果を得やすい。したがって、この態様によれば、物体6の凹凸形状62に対する触感をより適切に増幅させることができる。
【0084】
第2の態様に係る凹凸増幅部材1では、第1の態様において、一方向に沿う中心軸20の周りに線材が螺旋状に巻かれたコイル部材2又は複数のスネークガイド状部材を備える。コイル部材2又は複数のスネークガイド状部材は、複数の連結部4及び複数の起立部3を有する。
【0085】
この態様によれば、コイル部材2又は複数のスネークガイド状部材を用いて、凹凸増幅部材1を容易に実現することができる。
【0086】
第3の態様に係る凹凸増幅部材1では、第2の態様において、コイル部材2又は複数のスネークガイド状部材は、中心軸20に沿う方向にみて、表面61に沿う方向の寸法が、表面61に直交する方向の寸法よりも長い。
【0087】
この態様によれば、物体6の表面61に対する接触圧を低減することができるため、物体6の表面61に対して傷をつけにくくできる。また、扁平なコイル部材2又は複数のスネークガイド状部材とすることができるため、凹凸増幅部材1の小型化を図ることができる。
【0088】
第4の態様に係る凹凸増幅部材1では、第2又は第3の態様において、コイル部材2又は複数のスネークガイド状部材が樹脂製である。
【0089】
この態様によれば、コイル部材2又は複数のスネークガイド状部材が変形しやすく、物体6の表面61の凹凸形状62に対するユーザの触感を増幅させる効果を得やすい。また、コイル部材2又は複数のスネークガイド状部材が樹脂製であることで、例えば、金属製の物体6に対して用いる場合、物体6の表面61に対して傷をつけにくくできる。
【0090】
第5の態様に係る凹凸増幅部材1では、第1~4のいずれか1つの態様において、第一線状部31と表面61との間に配置された表面保護シート5を更に備える。表面保護シート5は、可とう性を有する。
【0091】
この態様によれば、物体6の表面61に対して、より一層、傷をつけにくくすることができる。
【0092】
第6の態様に係る凹凸増幅部材1は、物体6の表面61の凹凸形状62に対するユーザの触感を増幅させる凹凸増幅部材1である。凹凸増幅部材1は、各々が表面61に対して立ち上がり、一方向に並ぶように配置された複数の板体36と、隣り合う複数の板体36の外周を囲み、複数の板体36を相対移動可能に保持するシート43と、を備える。複数の板体36の各々は、凹凸形状62に沿って変位可能な第一線状部31と、第一線状部31の位置に応じて変位する第二線状部33と、を有する。
【0093】
この態様によれば、第一線状部31とシート43とは別体であり、第一線状部31同士は拘束されにくいため、物体6の表面61の凹凸形状62に沿って第一線状部31が変位しやすい。このため、複数の第二線状部33の変位によって、物体6の表面61の凹凸形状62に対するユーザの触感を増幅させる効果を得やすい。したがって、この態様によれば、物体6の凹凸形状62に対する触感をより適切に増幅させることができる。
【0094】
第7の態様に係る凹凸検出方法は、第1~6のいずれか1つの態様に係る凹凸増幅部材1を用いて物体6の凹凸を検出する凹凸検出方法である。凹凸検出方法は、配置工程と、凹凸検出工程と、を備える。配置工程は、一方向を物体6の表面61に沿わせるように、凹凸増幅部材1を配置する。凹凸検出工程は、配置工程の後、第二線状部33の変位から、物体6の表面61の凹凸を検出する。
【0095】
この態様によれば、物体6の表面61にある凹凸形状62が、凹及び凸のいずれであっても、適切に凹凸形状62の存在を検出することができる。
【0096】
第2~第5の態様に係る構成については、凹凸増幅部材1に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0097】
1 凹凸増幅部材
2 コイル部材
20 中心軸
3 起立部
31 第一線状部
33 第二線状部
36 板体
4 連結部
43 シート
5 表面保護シート
6 物体
61 表面
62 凹凸形状
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9