(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】笠木エンドキャップ、および笠木構造体
(51)【国際特許分類】
E04F 11/18 20060101AFI20230228BHJP
【FI】
E04F11/18
(21)【出願番号】P 2019138294
(22)【出願日】2019-07-26
【審査請求日】2022-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】592048176
【氏名又は名称】ケージーパルテック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000413
【氏名又は名称】永大産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119389
【氏名又は名称】門脇 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正
(72)【発明者】
【氏名】福島 康史
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-126911(JP,A)
【文献】特開2013-117148(JP,A)
【文献】特開2002-061358(JP,A)
【文献】特開2015-52238(JP,A)
【文献】米国特許第05326187(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/00-11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
笠木の長手方向の端部を覆う笠木エンドキャップであって、
前記端部の端面に固定される台状の基台部と、前記基台部を内包して前記端部の外側周縁までを覆う被覆部と、を備え、
前記基台部は、水平方向に位置する基台上端および基台下端、垂直方向に位置する基台左端および基台右端を備え、前記基台部の中央に位置して前記笠木にネジ込まれる中央ネジを位置決めする中央ネジ用丸穴と、前記中央ネジ用丸穴に対して前記基台左端および前記基台右端のそれぞれの側に位置し、前記笠木にネジ込まれる一対の端側ネジを位置決めする一対の端側ネジ用丸穴と、一対の前記端側ネジ用丸穴の近くで前記基台上端から凹んで位置する一対の上端凹部と、一対の前記端側ネジ用丸穴の近くで前記基台下端から凹んで位置する一対の下端凹部と、を備え、
前記被覆部は、前記基台部の全体を覆う基台被覆部と、前記基台被覆部の外側から前記外側周縁までを覆う周縁被覆部と、を備え、
前記基台被覆部は、一対の前記上端凹部にそれぞれ嵌め込まれる一対の上側突起部と、一対の前記下端凹部にそれぞれ嵌め込まれる一対の下側突起部と、を備える
ことを特徴とする笠木エンドキャップ。
【請求項2】
請求項1に記載の笠木エンドキャップであって、
一対の前記上端凹部は、一対の前記端側ネジ用丸穴に対して前記水平方向で外側に位置し、一対の前記下端凹部は、一対の前記端側ネジ用丸穴に対して前記水平方向で内側に位置する、
ことを特徴とする笠木エンドキャップ。
【請求項3】
請求項2に記載の笠木エンドキャップであって、
一対の前記上端凹部は、それぞれ、開口の外側位置に上外側面取り、開口の内側位置に上内側面取り、を有し、一対の前記下端凹部は、それぞれ、開口に下面取りを有する、
ことを特徴とする笠木エンドキャップ。
【請求項4】
請求項3に記載の笠木エンドキャップであって、
前記上外側面取りは、前記上内側面取りに比べて小さい、
ことを特徴とする笠木エンドキャップ。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載の笠木エンドキャップであって、
一対の前記上端凹部はそれぞれ、前記上側突起部が嵌め込まれる位置に更に凹んだ上側段差部を有し、一対の前記下端凹部はそれぞれ、前記下側突起部が嵌め込まれる位置に更に凹んだ下側段差部を有し、
一対の前記上側突起部はそれぞれ、前記上側段差部と噛み合う位置に突き出て前記上側段差部と噛み合う上側爪部を先端に有し、一対の前記下側突起部はそれぞれ、前記下側段差部と噛み合う位置に突き出て前記下側段差部と噛み合う下側爪部を先端に有する、
ことを特徴とする笠木エンドキャップ。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一つに記載の笠木エンドキャップであって、
前記中央ネジ用丸穴の中心と、前記基台上端とを示す位置決め表示部は、前記基台部の表面で前記基台上端に隣接して位置する、
ことを特徴とする笠木エンドキャップ。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一つに記載の笠木エンドキャップであって、
前記中央ネジ用丸穴および一対の前記端側ネジ用丸穴は、前記水平方向において直線状に位置する、
ことを特徴とする笠木エンドキャップ。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一つに記載の笠木エンドキャップであって、
前記水平方向において、前記上端凹部の水平幅は、前記上側突起部の水平幅より大きく、前記下端凹部の水平幅は、前記下側突起部の水平幅より大きい、
ことを特徴とする笠木エンドキャップ。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか一つに記載の笠木エンドキャップであって、
前記端面は、端面上端と端面下端との間隔で定まる端面高さを有し、端面左端と端面右端との間隔で定まる端面幅を有し、前記基台部は、基台上端と基台下端との間隔で定まる基台高さを有し、基台左端と基台右端との間隔で定まる基台幅を有し、
前記被覆部は、前記笠木および前記基台部と向き合う内側において、被覆内上端と被覆内下端との間隔で定まる被覆内高さを有し、被覆内左端と被覆内右端との間隔で定まる被覆内幅を有してあり、
ぞれぞれの寸法は、基台高さ≦端面高さ<被覆内高さ、基台幅≦端面幅<被覆内幅の関係を有する、
ことを特徴とする笠木エンドキャップ。
【請求項10】
長手方向に端部を有する笠木と、前記端部を覆う笠木エンドキャップと、を備える笠木構造体であって、
前記笠木エンドキャップは、請求項1から請求項9までのいずれか一つに記載の笠木エンドキャップである、
ことを特徴とする笠木構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腰壁等の頂部に取り付けられる笠木の終端を覆う笠木エンドキャップ、および、このような笠木エンドキャップが適用された笠木構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
笠木は、例えば腰壁における安全性、美観などの観点から腰壁の頂部に手摺として利用されている。このため、笠木の端部に対して、同様の観点から端部を覆う笠木エンドキャップが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の従来の笠木エンドキャップは、種々の工夫が施され、ベースプレートは、カバー部材の微調整が可能になるように幅方向に伸びた2つの細長い孔が略全体を占めるなどの構成を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の技術では、固定強度および位置決め精度の更なる向上、カバー部材の汎用性の更なる向上が望ましいという課題があった。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、端面に対する基台部、および、基台部に対する被覆部の位置決め精度と嵌め込み強度をそれぞれ向上し、また、被覆部の汎用性を確保した状態で信頼性を向上しやすい笠木エンドキャップを提供することを目的とする。
また、本発明は、長手方向の端部に本発明に係る笠木エンドキャップを備えるので、位置決め精度と嵌め込み強度を確保した状態で、安全性と信頼性を向上しやすい笠木構造体を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る笠木エンドキャップは、笠木の長手方向の端部を覆う笠木エンドキャップであって、前記端部の端面に固定される台状の基台部と、前記基台部を内包して前記端部の外側周縁までを覆う被覆部と、を備え、前記基台部は、水平方向に位置する基台上端および基台下端、垂直方向に位置する基台左端および基台右端を備え、前記基台部の中央に位置して前記笠木にネジ込まれる中央ネジを位置決めする中央ネジ用丸穴と、前記中央ネジ用丸穴に対して前記基台左端および前記基台右端のそれぞれの側に位置し、前記笠木にネジ込まれる一対の端側ネジを位置決めする一対の端側ネジ用丸穴と、一対の前記端側ネジ用丸穴の近くで前記基台上端から凹んで位置する一対の上端凹部と、一対の前記端側ネジ用丸穴の近くで前記基台下端から凹んで位置する一対の下端凹部と、を備え、前記被覆部は、前記基台部の全体を覆う基台被覆部と、前記基台被覆部の外側から前記外側周縁までを覆う周縁被覆部と、を備え、前記基台被覆部は、一対の前記上端凹部にそれぞれ嵌め込まれる一対の上側突起部と、一対の前記下端凹部にそれぞれ嵌め込まれる一対の下側突起部と、を備えることを特徴とする。
したがって、本発明に係る笠木エンドキャップは、端面に対する基台部の位置精度と固定強度を向上しやすいので、基台部に対する被覆部の位置決め精度と嵌め込み強度を向上しやすく、笠木エンドキャップとしての信頼性を向上しやすい。また、基台部と被覆部との関係において、基台被覆部に加えて周縁被覆部を有するので被覆部の汎用性を確保しやすい。
【0007】
また、本発明の一実施の形態に係る笠木エンドキャップでは、一対の前記上端凹部は、一対の前記端側ネジ用丸穴に対して前記水平方向で外側に位置し、一対の前記下端凹部は、一対の前記端側ネジ用丸穴に対して前記水平方向で内側に位置する、ことを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態に係る笠木エンドキャップでは、一対の前記上端凹部は、それぞれ、開口の外側位置に上外側面取り、開口の内側位置に上内側面取り、を有し、一対の前記下端凹部は、それぞれ、開口に下面取りを有する、ことを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態に係る笠木エンドキャップでは、前記上外側面取りは、前記上内側面取りに比べて小さい、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一実施の形態に係る笠木エンドキャップでは、一対の前記上端凹部はそれぞれ、前記上側突起部が嵌め込まれる位置に更に凹んだ上側段差部を有し、一対の前記下端凹部はそれぞれ、前記下側突起部が嵌め込まれる位置に更に凹んだ下側段差部を有し、一対の前記上側突起部はそれぞれ、前記上側段差部と噛み合う位置に突き出て前記上側段差部と噛み合う上側爪部を先端に有し、一対の前記下側突起部はそれぞれ、前記下側段差部と噛み合う位置に突き出て前記下側段差部と噛み合う下側爪部を先端に有する、ことを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態に係る笠木エンドキャップでは、前記中央ネジ用丸穴の中心と、前記基台上端とを示す位置決め表示部は、前記基台部の表面で前記基台上端に隣接して位置する、ことを特徴とする笠木エンドキャップ。
また、本発明の一実施の形態に係る笠木エンドキャップでは、前記中央ネジ用丸穴および一対の前記端側ネジ用丸穴は、前記水平方向において直線状に位置する、ことを特徴とする笠木エンドキャップ。
また、本発明の一実施の形態に係る笠木エンドキャップでは、前記水平方向において、前記上端凹部の水平幅は、前記上側突起部の水平幅より大きく、前記下端凹部の水平幅は、前記下側突起部の水平幅より大きい、ことを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態に係る笠木エンドキャップでは、前記端面は、端面上端と端面下端との間隔で定まる端面高さを有し、端面左端と端面右端との間隔で定まる端面幅を有し、前記基台部は、基台上端と基台下端との間隔で定まる基台高さを有し、基台左端と基台右端との間隔で定まる基台幅を有し、前記被覆部は、前記笠木および前記基台部と向き合う内側において、被覆内上端と被覆内下端との間隔で定まる被覆内高さを有し、被覆内左端と被覆内右端との間隔で定まる被覆内幅を有してあり、ぞれぞれの寸法は、基台高さ≦端面高さ<被覆内高さ、基台幅≦端面幅<被覆内幅の関係を有する、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る笠木構造体は、長手方向に端部を有する笠木と、前記端部を覆う笠木エンドキャップと、を備える笠木構造体であって、前記笠木エンドキャップは、本発明に係る笠木エンドキャップである、ことを特徴とする。
したがって、本発明に係る笠木構造体は、長手方向の端部に本発明に係る笠木エンドキャップを備えるので、位置決め精度と嵌め込み強度を確保した状態で、安全性と信頼性を向上しやすい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る笠木エンドキャップは、位置決め精度と嵌め込み強度を向上し、被覆部の汎用性を確保した状態で信頼性を向上しやすいという効果を奏する。
本発明に係る笠木構造体は、笠木エンドキャップの位置決め精度と嵌め込み強度を確保した状態で、安全性と信頼性を向上しやすいという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】本発明の実施の形態1に係る笠木エンドキャップにおける基台部を笠木に装着する前の分離した状態で斜め上方から見て示す分解斜視図である。
【
図1B】本発明の実施の形態1に係る笠木エンドキャップにおける基台部が笠木に装着された後、基台部に被覆部を嵌め込む前の分離した状態で斜め上方から見て示す分解斜視図である。
【
図1C】本発明の実施の形態1に係る笠木エンドキャップにおける基台部に嵌め込まれる被覆部の基台部と対向する内側の状態を斜め上方から見て示す斜視図である。
【
図1D】本発明の実施の形態1に係る笠木エンドキャップにおける基台部および被覆部が笠木に装着された状態を斜め上方から見て示す全体斜視図である。
【
図2A】本発明の実施の形態1に係る笠木エンドキャップにおける基台部を平置きした状態で拡大して示す拡大平面図である。
【
図2B】
図2Aに示した基台部の裏側(底面)を示す拡大底面図である。
【
図2C】本発明の実施の形態1に係る笠木エンドキャップにおける被覆部を平置きした状態で拡大して示す拡大平面図である。
【
図2D】
図2Cに示した被覆部の正面を示す拡大正面図である。
【
図2E】
図2Aにおける矢符号S2E、
図2Cにおける矢符号S2Eにおける上端凹部と上側突起部との嵌め込み前の分離した状態を笠木と対比して示す分解断面図である。
【
図2F】
図2Aにおける矢符号S2F、
図2Cにおける矢符号S2Fにおける下端凹部と下側突起部との嵌め込み前の分離した状態を笠木と対比して示す分解断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態2に係る笠木構造体の外観を本発明の実施の形態1に係る笠木エンドキャップを適用した状態で斜め上方から見て示す全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態1(
図1Aないし
図2F)、および実施の形態2(
図3)について説明する。
[実施の形態1]
図1Aは、本発明の実施の形態1に係る笠木エンドキャップ1における基台部20を笠木10に装着する前の分離した状態で斜め上方から見て示す分解斜視図である。
図1Bは、本発明の実施の形態1に係る笠木エンドキャップ1における基台部20が笠木10に装着された後、基台部20に被覆部50を嵌め込む前の分離した状態で斜め上方から見て示す分解斜視図である。
図1Cは、本発明の実施の形態1に係る笠木エンドキャップ1における基台部20に嵌め込まれる被覆部50の基台部20と対向する内側の状態を斜め上方から見て示す斜視図である。
図1Dは、本発明の実施の形態1に係る笠木エンドキャップ1における基台部20および被覆部50が笠木10に装着された状態を斜め上方から見て示す全体斜視図である。
【0013】
笠木エンドキャップ1は、笠木10の長手方向DLの端部11を覆う。笠木エンドキャップ1は、端部11の端面13に固定される台状の基台部20と、基台部20を内包して端部11の外側周縁12までを覆う被覆部50と、を備える。
基台部20は、水平方向DHに位置する基台上端22および基台下端24、垂直方向DVに位置する基台左端26および基台右端28を備え、基台部20の中央に位置して笠木10にネジ込まれる中央ネジ30を位置決めする中央ネジ用丸穴34と、中央ネジ用丸穴34に対して基台左端26および基台右端28のそれぞれの側に位置し、笠木10にネジ込まれる一対の端側ネジ32を位置決めする一対の端側ネジ用丸穴36と、一対の端側ネジ用丸穴36の近くで基台上端22から凹んで位置する一対の上端凹部40と、一対の端側ネジ用丸穴36の近くで基台下端24から凹んで位置する一対の下端凹部42と、を備える。
被覆部50は、基台部20の全体を覆う基台被覆部52と、基台被覆部52の外側から外側周縁12までを覆う周縁被覆部54と、を備え、基台被覆部52は、一対の上端凹部40にそれぞれ嵌め込まれる一対の上側突起部56と、一対の下端凹部42にそれぞれ嵌め込まれる一対の下側突起部58と、を備える。
【0014】
基台部20は、中央で中央ネジ30を中央ネジ用丸穴34に挿入され、さらに一対の端側ネジ32を左右の端側ネジ用丸穴36に挿入される。また、中央ネジ30および端側ネジ32は、それぞれ笠木10にネジ込まれる。つまり、基台部20は、笠木10の端面13に対して3か所での位置決めおよび固定がされるので、端部11に対する基台部20の位置精度と固定強度とを向上しやすい。
上端凹部40および下端凹部42は、基台部20に対する被覆部50を位置決めする手段および嵌め込みする手段となる。つまり、基台被覆部52は、基台部20に向かう側に位置して、上端凹部40に嵌め込まれる上側突起部56と、下端凹部42に嵌め込まれる下側突起部58とを備える。
基台上端22および基台下端24は基台部20の外周に位置するので、基台部20の外周を利用した被覆部50の位置決め(位置合わせと嵌め込み固定)がなされる。このため、基台部20に対する被覆部50の位置決め精度と嵌め込み強度は、向上しやすい。
本実施の形態に係る笠木エンドキャップ1は、端面13に対する基台部20の位置精度と固定強度を向上しやすいので、基台部20に対する被覆部50の位置決め精度と嵌め込み強度を向上しやすく、笠木エンドキャップ1としての信頼性を向上しやすい。また、基台部20と被覆部50との関係において、基台被覆部52に加えて周縁被覆部54を有するので被覆部50の汎用性を確保しやすい。
【0015】
中央ネジ30が差し込まれる中央ネジ用丸穴34、および端側ネジ32が差し込まれる一対の端側ネジ用丸穴36は、中央ネジ30および端側ネジ32の外径に沿う内径を有する円形穴であり、端部11(端面13)に対する中央ネジ30および端側ネジ32の位置決め精度と締結強度を向上しやすい。また、一対の端側ネジ用丸穴36は、中央ネジ用丸穴34を中心として、左右対称に位置することが好ましい。
上端凹部40は、基台上端22から矩形の溝状に凹んでいる。下端凹部42は、基台下端24から矩形の溝状に凹んでいる。したがって、高い精度で形成されやすい。
本実施の形態において、笠木10は、板状であり、長手方向DLに延長し、端部11(端面13)を有する。なお、端面13は、笠木10の長手方向DLの端部11における切断面であり、端部11は、端面13に隣接する笠木10の外周である外側周縁12を含む。
基台部20および被覆部50は、例えば、ABS樹脂などを適用して樹脂成形で形成されることが好ましい。なお、被覆部50が含む基台被覆部52および周縁被覆部54は、図示したとおり、一体に形成される。また、ネジ(中央ネジ30、端側ネジ32)は、先端がとがった例えばタッピングネジが好ましい。先端がとがっているので、笠木10(端面13)に高精度にねじ込まれる。
なお、水平方向DH、長手方向DL、垂直方向DVは、以下の図においては図示を省略する。
【0016】
図2Aは、本発明の実施の形態1に係る笠木エンドキャップ1における基台部20を平置きした状態で拡大して示す拡大平面図である。
図2Bは、
図2Aに示した基台部20の裏側(底面)を示す拡大底面図である。
図2Cは、本発明の実施の形態1に係る笠木エンドキャップ1における被覆部50を平置きした状態で拡大して示す拡大平面図である。
図2Dは、
図2Cに示した被覆部50の正面を示す拡大正面図である。なお、装着対象である笠木10、端面13(端面左端17、端面右端18)を参照的に併記する。
図2Eは、
図2Aにおける矢符号S2E、
図2Cにおける矢符号S2Eにおける上端凹部40と上側突起部56との嵌め込み前の分離した状態を笠木10と対比して示す分解断面図である。
図2Fは、
図2Aにおける矢符号S2F、
図2Cにおける矢符号S2Fにおける下端凹部42と下側突起部58との嵌め込み前の分離した状態を笠木10と対比して示す分解断面図である。
【0017】
基台部20において、一対の上端凹部40は、一対の端側ネジ用丸穴36に対して水平方向DHで外側に位置し、一対の下端凹部42は、一対の端側ネジ用丸穴36に対して水平方向DHで内側に位置する。このため、基台部20に対して被覆部50を位置決めするとき、基台下端24の側での位置決め精度に対して基台上端22の側での位置決め精度を高くしやすい。
したがって、基台部20に対して被覆部50を位置決めして嵌め込むとき、上端凹部40で先行して位置合わせしやすいので、下端凹部42での位置合わせは、自己整合的に容易になりやすく、基台部20に対する被覆部50の位置決めを安定して施しやすい。これにより、笠木エンドキャップ1は、笠木10の端部11へ装着されるときの位置決め精度および作業性を向上しやすい。なお、上端凹部40および下端凹部42は、それぞれ、基台部20において左右対称に位置することが好ましい。
【0018】
一対の上端凹部40は、それぞれ、開口の外側位置に上外側面取り41f、開口の内側位置に上内側面取り41s、を有し、一対の下端凹部42は、それぞれ、開口に下面取り43を有する、ことが好ましい。
上端凹部40は、開口の外側位置に上外側面取り41f、開口の内側位置に上内側面取り41sを有するので、被覆部50が有する上側突起部56は、上端凹部40に容易に嵌め込みされやすい。また、下端凹部42は、開口に下面取り43を有するので、被覆部50が有する下側突起部58は、下端凹部42に容易に嵌め込みされやすい。
なお、上外側面取り41f、上内側面取り41s、および下面取り43は、それぞれ、基台部20において左右対称に位置することが好ましい。
上外側面取り41fは、上内側面取り41sに比べて小さい、ことが好ましい。
本実施例では、基台部20の水平方向DHにおいて外側に位置する上端凹部40の上外側面取り41fは、内側に位置する上内側面取り41sに比べて小さい。このため、基台部20の上端凹部40の外側にある基台左端26および基台右端28は、必要な面積(大きさ)を確保しやすくなるので、基台部20の左右両端の強度を確保しやすくなる。
なお、上端凹部40、下端凹部42において、面取りを無視したときの形状は、略正方形であり、位置決め精度を向上させやすく、また、製造の容易性を向上させやすい。
【0019】
中央ネジ用丸穴34の中心と、基台上端22とを示す位置決め表示部35は、基台部20の表面で基台上端22に隣接して位置する、ことが好ましい。
水平方向DHにおいて、基台部20の表面で基台上端22に隣接する位置決め表示部35は、笠木10の端面13の中心に位置決めしやすくなる。つまり、中央ネジ用丸穴34(基台部20の中心)は、装着対象である笠木10の端面13の中心に対する位置決め精度が基台上端22を基準に向上しやすくなるので、笠木10に対する基台部20(ひいては、被覆部50および笠木エンドキャップ1)の位置決め精度は、向上しやすい。
位置決め表示部35は、基台上端22に交差する位置決め線
図37で中央ネジ用丸穴34の中心を表示し、位置決め文字「U」「P」で基台上端22であることを表示することが好ましい。
位置決め表示部35は、基台部20の表面に対して例えばエンボス状態として得られるので、視認性が良く認識しやすくなる。また、笠木エンドキャップ1の樹脂成形時にそのまま同時に成形しやすい。
中央ネジ用丸穴34および一対の端側ネジ用丸穴36は、水平方向DHにおいて直線状に位置する、ことが好ましい。
基台部20の水平方向DHに間隔を置いて並んだ3つの丸穴は、直線状(仮想直線LL上)に位置するので、基台上端22との対比がしやすく、笠木10の端面13に対する基台部20の位置決め状態を目視で容易に認識しやすくなる。
【0020】
水平方向DHにおいて、上端凹部40の水平幅W40は、上側突起部56の水平幅W56より大きく、下端凹部42の水平幅W42は、下側突起部58の水平幅W58より大きい、ことが好ましい。
上端凹部40の水平幅W40および下端凹部42の水平幅W42は、それぞれ、上側突起部56の水平幅W56および下側突起部58の水平幅W58より大きいので、嵌めこみが容易になる。また、嵌め込んだ後の被覆部50の位置は、水平方向DHにおいて幅寸法の差の範囲内で調整されやすくなる。
【0021】
基台部20は、裏面に裏面樹脂リブ21を有する。裏面樹脂リブ21は、外形に沿う位置、主要部の縁取り位置などに適宜配置され、骨組みが形成されている。このため、基台部20の強度の確保を図り、変形性を抑制しやすくする。具体的には、外周、丸穴、基台中央等を通るパターンとして表れる。
【0022】
次に、基台部20に対する被覆部50の嵌め込み構成の細部について更に説明する。
一対の上端凹部40はそれぞれ、上側突起部56が嵌め込まれる位置に更に凹んだ上側段差部44を有し(
図2E)、一対の下端凹部42はそれぞれ、下側突起部58が嵌め込まれる位置に更に凹んだ下側段差部46を有する(
図2F)。
また、一対の上側突起部56はそれぞれ、上側段差部44と噛み合う位置に突き出て上側段差部44と噛み合う上側爪部57を先端に有し(
図2E)、一対の下側突起部58はそれぞれ、下側段差部46と噛み合う位置に突き出て下側段差部46と噛み合う下側爪部59を先端に有する(
図2F)。
上端凹部40の上側段差部44は、上側突起部56の先端に位置する上側爪部57と噛み合わされ、下端凹部42の下側段差部46は、下側突起部58の先端に位置する下側爪部59と噛み合わされる。このため、被覆部50は、上側突起部56および上側爪部57を介して上側段差部44すなわち上端凹部40に連結され、下側突起部58および下側爪部59を介して下側段差部46すなわち下端凹部42に連結される。
つまり、被覆部50は、矢符号CAP(
図2E、
図2F)の方向で基台部20に差し込まれる。これにより、上側段差部44および上側爪部57、下側段差部46および下側爪部59は、互いに噛み合って、基台部20に対する基台被覆部52の位置決め精度および連結強度を向上しやすい。
基台部20に対する基台被覆部52(更には周縁被覆部54)は、基台部20における左右上下の4か所の凹部で機械的に噛み合い、連結されるので、被覆部50は、基台部20から抜けにくくなり、笠木エンドキャップ1は、高い信頼性を実現しやすい。
上側爪部57は上側突起部56の樹脂弾性を利用して上側段差部44に嵌め込まれ、下側爪部59は下側突起部58の樹脂弾性を利用して下側段差部46に嵌め込まれる。
【0023】
次に、各部における寸法関係について説明する。
端面13は、端面上端15と端面下端16との間隔で定まる端面高さH13を有し、端面左端17と端面右端18との間隔で定まる端面幅W13を有する。基台部20は、基台上端22と基台下端24との間隔で定まる基台高さH20を有し、基台左端26と基台右端28との間隔で定まる基台幅W20を有する。
被覆部50は、笠木10および基台部20と向き合う内側において、被覆内上端61と被覆内下端63との間隔で定まる被覆内高さH50を有し、被覆内左端65と被覆内右端67との間隔で定まる被覆内幅W50を有する。
規定したぞれぞれの寸法相互の間には、基台高さH20≦端面高さH13<被覆内高さH50、基台幅W20≦端面幅W13<被覆内幅W50の関係があることが好ましい。
なお、各部の寸法の規定内容の理解の容易性を考慮して、図面と併せて以下に各部の寸法について補充する。
端面13が有する端面高さH13は、
図2Eにおける笠木10の端面上端15と端面下端16との間隔で示される。端面13が有する端面幅W13は、
図2Dにおける被覆部50の被覆内左端65と被覆内右端67との間に位置する端面左端17と端面右端18との間隔で示される。
基台部20が有する基台高さH20は、
図2Bにおける基台部20の基台上端22と基台下端24との間隔で示される。基台部20が有する基台幅W20は、
図2Bにおける基台部20の基台左端26と基台右端28との間隔で示される。
被覆部50が有する被覆内高さH50は、
図2E、
図2Fにおける被覆部50が有する被覆内上端61と被覆内下端63との間隔で示される。被覆部50が有する被覆内幅W50は、
図2Dにおける被覆部50が有する被覆内左端65と被覆内右端67との間隔で示される。
【0024】
次に、各部寸法の相互関係(大小、あるいは等号の場合)について更に説明する。
基台部20と端面13とは、基台高さH20≦端面高さH13および基台幅W20≦端面幅W13の関係があるので、基台部20の基台上端22と端面13の端面上端15とを一致させて、基台部20を端面13に固定したとき、基台部20の基台下端24は端面13の領域内に収容される。また、基台部20の左右両側に端面13が露出した端面露出領域14を高い精度で確保しやすい。つまり、基台部20は確実に端面13の範囲内に収容される。また、単一の基台部20は、寸法がさらに大きく、異なる複数の寸法を有する笠木10に適用される。
また、端面13と被覆部50は、端面高さH13<被覆内高さH50、端面幅W13<被覆内幅W50の関係があるので、被覆部50が基台部20に嵌め込まれて装着されたとき、基台部20と端面13は、端面露出領域14を含めて確実に被覆部50の被覆範囲内に収容され、外部から物理的に遮蔽される。つまり、笠木エンドキャップ1は、カバーとしての機能を確実に発揮する。
なお、端面露出領域14は、基台高さH20と端面高さH13との寸法差、基台幅W20と端面幅W13との寸法差に応じた大きさを生じる。この場合、端面幅W13に応じた寸法の被覆部50を適用できる。つまり、異なる端面幅W13の笠木10に対して同一の基台幅W20の基台部20(単一の基台部20)を適用したとき、端面幅W13に応じた異なる被覆内幅W50を有する被覆部50が適用される。
【0025】
また、基台高さH20=端面高さH13および基台幅W20=端面幅W13の関係があるときは、端面露出領域14は存在しない形状となる。
なお、端面幅W13<被覆内幅W50、端面高さH13<被覆内高さH50の寸法関係において、外側に位置する寸法と内側に位置する寸法との間には、相互の部材が摺動して嵌め込まれる程度の寸法差であることが好ましい。
例えば、笠木10の外周(端面幅W13、端面高さH13)と、被覆部50の内側(被覆内幅W50、被覆内高さH50)は、相互に摺動し合う程度の寸法差であることが好ましい。
本発明に係る笠木エンドキャップ1は、複数種類の端面幅W13(複数種類の笠木10)に対して単一の基台幅W20の基台部20を適用し、被覆部50は、複数種類から端面幅W13に合致した被覆内幅W50を有する被覆部50を選択して適用できる。このため、要素部材の種類を抑制する笠木エンドキャップ1を構成しやすい。つまり、被覆部50の汎用性を確保しやすい。
被覆部50の外形寸法は、内側の被覆内高さH50、被覆内幅W50に対して、被覆部50の厚さT50(成形樹脂部の厚さ。
図2E、
図2F)を加えた数値となる。被覆部50の厚さT50は、強度、美観等を考慮して例えば、1mm~2mm程度に設定される。また、基台部20の厚さT20(成形樹脂部の厚さ。
図2E、
図2F)は、例えば5mmから15mm程度であり、好ましくは、約10mmである。
また、周縁被覆部54は、基台部20の周囲に位置する端面露出領域14と、端面露出領域14の外側に位置する笠木10の外側周縁12とを覆う寸法形状を有する。
なお、被覆部50が有する周縁被覆部54の内、被覆内下端63は、端面13(笠木10)の端面下端16の側で開口されて被覆開口部54wを有しても良い(
図2C、
図2D、
図2E、
図2F)。
【0026】
[実施の形態2]
図3は、本発明の実施の形態2に係る笠木構造体5の外観を、本発明の実施の形態1に係る笠木エンドキャップ1を適用した状態で斜め上方から見て示す全体斜視図である。
例えば階段100の横には側壁101が位置し、側壁101の頂部に手摺として作用する笠木10が位置する。笠木10の端部11は、実施の形態1に係る笠木エンドキャップ1でカバーされる。このため、笠木構造体5は、笠木エンドキャップ1の作用がそのまま、笠木構造体5の機能として表れるので、信頼性および美観を確保しやすい。
本実施の形態において、笠木構造体5は、長手方向DLに端部11(
図3では図示省略)を有する笠木10と、端部11を覆う笠木エンドキャップ1と、を備える。
本実施の形態における笠木エンドキャップ1は、実施の形態1に記載の笠木エンドキャップ1である。
本発明に係る笠木構造体5は、長手方向DLの端部11に本発明に係る笠木エンドキャップ1を備えるので、笠木エンドキャップ1は、笠木10の端部11に対する位置決め精度と嵌め込み強度を確保しやすくなり、安全性と信頼性を向上しやすい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、位置決め精度と嵌め込み強度を確保しやすく、信頼性の高い笠木エンドキャップを提供しやすい。また、本発明は、信頼性の高い笠木構造体を提供しやすい。
【符号の説明】
【0028】
1 笠木エンドキャップ
5 笠木構造体
10 笠木
11 端部
12 外側周縁
13 端面
14 端面露出領域
15 端面上端
16 端面下端
17 端面左端
18 端面右端
20 基台部
21 裏面樹脂リブ
22 基台上端
24 基台下端
26 基台左端
28 基台右端
30 中央ネジ
32 端側ネジ
34 中央ネジ用丸穴
35 位置決め表示部
36 端側ネジ用丸穴
37 位置決め線図
40 上端凹部
41f 上外側面取り
41s 上内側面取り
42 下端凹部
43 下面取り
44 上側段差部
46 下側段差部
50 被覆部
52 基台被覆部
54 周縁被覆部
54w 被覆開口部
56 上側突起部
57 上側爪部
58 下側突起部
59 下側爪部
61 被覆内上端
63 被覆内下端
65 被覆内左端
67 被覆内右端
CAP 矢符号
DH 水平方向
DL 長手方向
DV 垂直方向
H13 端面高さ
H20 基台高さ
H50 被覆内高さ
LL 仮想直線
T20 厚さ(基台部)
T50 厚さ(被覆部)
W13 端面幅
W20 基台幅
W40 水平幅(上端凹部)
W42 水平幅(下端凹部)
W50 被覆内幅
W56 水平幅(上側突起部)
W58 水平幅(下側突起部)