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特許7233665疾患リスク判定システム及び疾患リスク判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】疾患リスク判定システム及び疾患リスク判定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/50 20060101AFI20230228BHJP
【FI】
G01N33/50 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022139602
(22)【出願日】2022-09-02
【審査請求日】2022-09-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516128762
【氏名又は名称】株式会社サリバテック
(74)【代理人】
【識別番号】100155882
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100154678
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 博子
(72)【発明者】
【氏名】杉本 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 佳苗
【審査官】三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-206074(JP,A)
【文献】特開2000-009727(JP,A)
【文献】国際公開第2015/064594(WO,A1)
【文献】特開2010-091359(JP,A)
【文献】特開2017-015570(JP,A)
【文献】国際公開第2016/136991(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第112294258(CN,A)
【文献】米国特許第04066405(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/50
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
唾液を用いて疾患のリスクを判定する疾患リスク判定システムであって、
前記唾液を含む検体容器を撮影し、画像データを取得する撮影装置と、
前記唾液に含まれる各代謝物の濃度を測定し、代謝物濃度データを取得する濃度測定装置と、
前記画像データ及び前記代謝物濃度データの情報処理を行う1又は複数のコンピュータと、
によって構成され、
前記コンピュータは、
前記画像データに基づいて前記唾液が透明なのか、又は白濁なのかという物理的性状を判定する唾液性状判定部と、
前記代謝物ごとに白濁唾液と正常唾液との濃度比を補正係数として予め記憶し、前記物理的性状の判定結果が白濁の場合、前記代謝物濃度データに前記補正係数を乗じることによって補正する濃度補正部と、
補正された疾患判定用の前記代謝物濃度データを、正規化用の複数の前記代謝物濃度データの合計値で割ることによって正規化する濃度正規化部と、
正規化された疾患判定用の前記代謝物濃度データに基づいて疾患のリスクを判定する疾患リスク判定部と、
を備えることを特徴とする疾患リスク判定システム。
【請求項2】
前記濃度正規化部は前記唾液性状判定部による判定結果が白濁の場合、疾患判定用の前記代謝物濃度データ及び正規化用の複数の前記代謝物濃度データのいずれも前記代謝物ごとの前記補正係数を乗じた後の値を用いることを特徴とする請求項に記載の疾患リスク判定システム。
【請求項3】
前記検体容器は、底部と、前記底部から延びる管状部とを有し、
前記画像データは、前記検体容器の前記底部及び前記管状部の一部が含まれ、前記管状部が延びる方向に略一致する縦方向を有し、
前記唾液性状判定部は、前記縦方向に沿って前記検体容器の内部の画素値を抽出し、抽出された画素値を用いて前記物理的性状を判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の疾患リスク判定システム。
【請求項4】
前記画像データは、前記縦方向に直交する横方向を有し、
前記唾液性状判定部は、前記横方向に複数の画素値を抽出して統計値を算出することを前記縦方向に沿って繰り返し、算出された前記統計値を用いて前記物理的性状を判定することを特徴とする請求項に記載の疾患リスク判定システム。
【請求項5】
唾液を用いて疾患のリスクを判定する疾患リスク判定方法であって、
撮影装置が、前記唾液を含む検体容器を撮影し、画像データを取得するステップと、
コンピュータが、前記画像データに基づいて前記唾液が透明なのか、又は白濁なのかという物理的性状を判定するステップと、
濃度測定装置が、前記唾液に含まれる各代謝物の濃度を測定し、代謝物濃度データを取得するステップと、
前記コンピュータが、前記代謝物ごとに白濁唾液と正常唾液との濃度比を補正係数として予め記憶し、前記物理的性状の判定結果が白濁の場合、前記代謝物濃度データに前記補正係数を乗じることによって補正するステップと、
前記コンピュータが、補正された疾患判定用の前記代謝物濃度データを、正規化用の複数の前記代謝物濃度データの合計値で割ることによって正規化するステップと、
前記コンピュータが、正規化された疾患判定用の前記代謝物濃度データに基づいて疾患のリスクを判定するステップと、
を含むことを特徴とする疾患リスク判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、唾液の透明度などの物理的な特性と、代謝物濃度などの化学的な成分の組み合わせを用いて、唾液提供者の疾患に罹患しているリスク等を高精度に予測するものである。
【背景技術】
【0002】
生体内の健康状態や疾患の罹患状態などを推測するために、血液や尿などの体液を用いて検査を行う技術は古くから開発されている。その中でも体液中の細胞や分子情報を取り出し、疾患リスクなどを推測する方法はリキッドバイオプシーと呼ばれ多数開発され、ここで用いられる分子情報は分子マーカーと呼ばれる。肝機能では血中のALTやAST、がんを対象にしたものでは腫瘍マーカーなどいずれもタンパク質を分子マーカーとしたものは既に幅広く利用されている。タンパク質よりも小さな有機分子群の集合体である代謝物も分子マーカーとして利用されており、例えば腎機能の評価に血中クレアチニン値等が利用されている。代謝物の一部である血中アミノ酸の組み合わせでがんの罹患リスクを評価するものなど複数の分子マーカーを組み合わせて精度を向上する技術も開発されている。
体液の一つである唾液に関しても、代謝物の一種であるコルチゾール等がストレスマーカーとして広く使われている。このように唾液中の代謝物が様々な疾患の分子マーカーとなるという報告例は多数あり、歯周病などの口腔内疾患、呼吸器系疾患、全身のがん等がある(非特許文献1乃至3)。
本発明者らは、代謝物の研究の中で、血液、尿、唾液など人体から採取できるものを調査し、特に測定感度が最も良く高濃度で検出が可能であり、データの信頼性が高いものが唾液であることを突き止め、様々な種類のがんに対して、唾液を用いてがん患者と非がん患者とを識別する方法を発明している(特許文献1乃至4)。唾液は血液検査や尿検査とは違って侵襲性が低く、どこでも採取が可能であることから、受診率の向上や、がんの早期発見を目的とした検査に適している。また、がん以外の疾患等でも、疾患群と非疾患群に有意差のある代謝物について研究を進めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6443937号公報
【文献】特許第6659808号公報
【文献】特許第6659809号公報
【文献】特許第6851096号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】Hyvarinen E, Savolainen M, Mikkonen JJW, Kullaa AM. Salivary Metabolomics for Diagnosis and Monitoring Diseases: Challenges and Possibilities. Metabolites. 2021 Aug 31;11(9):587. doi: 10.3390/metabo11090587. PMID: 34564402; PMCID: PMC8469343.
【文献】Li CX, Zhang L, Yan YR, Ding YJ, Lin YN, Zhou JP, Li N, Li HP, Li SQ, Sun XW, Li QY. A narrative review of exploring potential salivary biomarkers in respiratory diseases: still on its way. J Thorac Dis. 2021 Jul;13(7):4541-4553. doi: 10.21037/jtd-21-202. PMID: 34422380; PMCID: PMC8339781.
【文献】Panneerselvam K, Ishikawa S, Krishnan R, Sugimoto M. Salivary Metabolomics for Oral Cancer Detection: A Narrative Review. Metabolites. 2022 May 12;12(5):436. doi: 10.3390/metabo12050436. PMID: 35629940; PMCID: PMC9144467.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
唾液を用いた検査の技術的な課題として、唾液検体に含まれる分子濃度は検体全体での濃淡がみられ、この影響を排除した上での成分濃度を測定しなければならない。尿検体では同様の問題をクレアチニンの濃度で他の物質の濃度を割ることで全体的な濃淡の影響を排除するが、唾液検体で同様の方法は確立していない。特許文献1にてアラニンの濃度で他の物質の濃度を割る方法を提唱しているが1物質だけでは十分に濃淡補正ができない。また、実際の唾液では白濁したり、高い粘性度になるなど物理的な特性も変わり、十分に濃淡の影響を排除できない問題がある。
【0006】
そこで本発明は、唾液の物理的性状の変化(=透明度)と複数物質の組み合わせで行う唾液成分の全体的な濃淡の排除(=正規化)で、このように全体的に起こる個々の濃度差をキャンセルし、唾液提供者の疾患リスクを高精度に予測する方法を示す。また、一種類の成分のみを用いて唾液の正規化をおこなう場合、その成分が検出できない際に機能しなくなる等の問題があるが、複数の成分を組み合わせることによって確実に検出が可能となり、より確実に高精度に近づく。なお本手法は、唾液成分の絶対濃度を用いて同様にリスクを予測する方法と比較して、精度を大幅に向上させるものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するための第1の発明は、唾液を用いて疾患のリスクを判定する疾患リスク判定システムであって、前記唾液を含む検体容器を撮影し、画像データを取得する撮影装置と、前記唾液に含まれる各代謝物の濃度を測定し、代謝物濃度データを取得する濃度測定装置と、前記画像データ及び前記代謝物濃度データの情報処理を行う1又は複数のコンピュータと、によって構成され、前記コンピュータは、前記画像データに基づいて前記唾液が透明なのか、又は白濁なのかという物理的性状を判定する唾液性状判定部と、前記代謝物ごとに白濁唾液と正常唾液との濃度比を補正係数として予め記憶し、前記物理的性状の判定結果が白濁の場合、前記代謝物濃度データに前記補正係数を乗じることによって補正する濃度補正部と、補正された疾患判定用の前記代謝物濃度データを、正規化用の複数の前記代謝物濃度データの合計値で割ることによって正規化する濃度正規化部と、正規化された疾患判定用の前記代謝物濃度データに基づいて疾患のリスクを判定する疾患リスク判定部と、を備えることを特徴とする疾患リスク判定システムである。第1の発明によって、従来の検査では間違った判定となる割合が高い特定の物理的性状の唾液であっても、疾患のリスクを精度良く判定することができる。
【0009】
また、第1の発明における前記濃度正規化部は前記唾液性状判定部による判定結果が白濁の場合、疾患判定用の前記代謝物濃度データ及び正規化用の複数の前記代謝物濃度データのいずれも前記代謝物ごとの前記補正係数を乗じた後の値を用いることが望ましい。これによって、濃度補正処理及び濃度正規化処理の両方を正確に実行することができ、ひいては、疾患のリスクを精度良く判定できる。
【0010】
また、第1の発明における前記検体容器は、底部と、前記底部から延びる管状部とを有し、前記画像データは、前記検体容器の前記底部及び前記管状部の一部が含まれ、前記管状部が延びる方向に略一致する縦方向を有し、前記唾液性状判定部は、前記縦方向に沿って前記検体容器の内部の画素値を抽出し、抽出された画素値を用いて前記物理的性状を判定することが望ましい。これによって、唾液の上側の一部が白濁している場合や下側の一部が白濁している場合に対しても精度良く唾液の物理的性状を判定できる。
【0011】
また、第1の発明における前記画像データは、前記縦方向に直交する横方向を有し、前記唾液性状判定部は、前記横方向に複数の画素値を抽出して統計値を算出することを前記縦方向に沿って繰り返し、算出された前記統計値を用いて前記物理的性状を判定することが望ましい。これによって、部分的な異常値の影響を緩和でき、精度良く唾液の物理的性状を判定できる。
【0012】
第2の発明は、唾液を用いて疾患のリスクを判定する疾患リスク判定方法であって、撮影装置が、前記唾液を含む検体容器を撮影し、画像データを取得するステップと、コンピュータが、前記画像データに基づいて前記唾液が透明なのか、又は白濁なのかという物理的性状を判定するステップと、濃度測定装置が、前記唾液に含まれる各代謝物の濃度を測定し、代謝物濃度データを取得するステップと、前記コンピュータが、前記代謝物ごとに白濁唾液と正常唾液との濃度比を補正係数として予め記憶し、前記物理的性状の判定結果が白濁の場合、前記代謝物濃度データに前記補正係数を乗じることによって補正するステップと、前記コンピュータが、補正された疾患判定用の前記代謝物濃度データを、正規化用の複数の前記代謝物濃度データの合計値で割ることによって正規化するステップと、前記コンピュータが、正規化された疾患判定用の前記代謝物濃度データに基づいて疾患のリスクを判定するステップと、を含むことを特徴とする疾患リスク判定方法である。第2の発明によって、従来の検査よりも疾患のリスクを精度良く判定することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、血液や尿よりも幅広く全体の濃淡が変化する唾液検体であっても、その物理的性状と複合的な分子の組み合わせによって、精度の高い濃淡補正を可能とする。これによって、疾患のリスクを精度良く判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】疾患リスク判定システムの概要を示す図
図2】疾患リスク判定システムの処理の流れを示すフローチャート
図3】検体容器の撮影状態を示す模式図
図4】物理的性状判定処理の流れを示すフローチャート
図5】代謝物濃度データ及び補正係数データの例
図6】画像データ及び画素値データの例
図7】比較例及び実施例のROC曲線とAUC
図8】予測モデルにおける比較例及び実施例の箱ひげ図
図9】テストデータにおける比較例及び実施例の箱ひげ図と精度比較の棒グラフ
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、疾患リスク判定システムの概要を示す図である。疾患リスク判定システム1は、唾液を用いて疾患のリスクを判定するシステムであって、唾液を含む検体容器を撮影し、画像データを取得する撮影装置2と、唾液に含まれる各代謝物の濃度を測定し、代謝物濃度データを取得する濃度測定装置3と、画像データ及び代謝物濃度データの情報処理を行う1又は複数のコンピュータ(=第1端末4、第2端末5及びサーバ6)と、によって構成される。
【0016】
コンピュータは、制御部としてのCPU(「Central Processing Unit」の略)、主記憶部としてのメモリ、補助記憶部としてのHDD(「Hard Disk Drive」の略)やフラッシュメモリ、表示部としての液晶ディスプレイ、入力部としてのキーボードやマウス、タッチパネルディスプレイ、有線通信部としてのLAN(Local Area Network)ケーブル又は無線通信部としての無線モジュール等を備える。補助記憶部としてのHDDやフラッシュメモリには、OS(「Operating System」の略)、アプリケーションプログラム、処理に必要なデータ等が記憶されている。CPUは、補助記憶部からOSやアプリケーションプログラムを読み出して主記憶部に格納し、主記憶部にアクセスしながら、その他の機器を制御し、後述する処理を実行する。コンピュータ同士は、ネットワーク9を介して互いにデータの送受信を行う。
【0017】
撮影装置2は、第1端末4とUSB(Universal Serial Bus)やネットワーク9等によってデータの送受信が可能に接続され、取得した画像データを第1端末4に送信する。
【0018】
濃度測定装置3は、例えば、質量分析装置及びコンピュータから構成される。質量分析装置は、所定の前処理を行った唾液の検体を測定する。質量分析装置の測定結果は、ネットワーク9等を介してコンピュータに送信される。濃度測定装置3を構成するコンピュータは、専用の解析ソフトがインストールされており、質量分析装置から受信した測定結果から唾液中の各代謝物の濃度を算出する。唾液の検体の前処理の方法や各代謝物の濃度の算出方法は、例えば、特許文献1乃至4に記載されている公知の方法を用いることができるが、これらの方法によって唾液を処理する前に本発明による物理的特性の測定と評価は行わなければならない。濃度測定装置3は、取得した代謝物濃度データをサーバ6に送信する。
【0019】
第1端末4は、専用のアプリケーションプログラムがインストールされ、撮影装置2から受信した画像データに基づいて唾液の物理的性状を判定する唾液性状判定部を備える。第1端末4は、画像データや唾液性状判定部による判定結果をサーバ6に送信する。
【0020】
第2端末5は、専用のアプリケーションプログラムがインストールされ、唾液の物理的性状の判定結果に基づいて代謝物濃度データを補正する濃度補正部と、補正された疾患判定用の代謝物濃度データを正規化する濃度正規化部と、正規化された疾患判定用の代謝物濃度データに基づいて疾患のリスクを判定する疾患リスク判定部と、を備える。第2端末5は、疾患リスク判定部による判定結果をサーバ6に送信する。
【0021】
サーバ6は、他のコンピュータから受信した代謝物濃度データ、画像データ、唾液性状判定部による判定結果、疾患リスク判定部による判定結果等を記憶するとともに、他のコンピュータからの要求に応じて、各データを他のコンピュータに送信する。疾患リスク判定部による判定結果は、例えば紙媒体に印刷され、郵送等の手段で受検者に送付される。
【0022】
コンピュータの台数は前述の説明に限定されるものではなく、1台でも良いし、前述の説明よりも多くの台数を用いても良い。また、専用の解析ソフトやアプリケーションプログラムは、同じものが複数のコンピュータにインストールされても良いし、異なるものが1台にまとめてインストールされても良い。また、第1端末4及び第2端末5にアプリケーションプログラムをインストールする代わりに、サーバ6やクラウドサーバ(不図示)にアプリケーションプログラムをインストールし、第1端末4及び第2端末5がウェブブラウザを介してアプリケーションプログラムの機能を利用するようにしても良い。
【0023】
図2は、疾患リスク判定システムの処理の流れを示すフローチャートである。ステップS1では、撮影装置2が、唾液を含む検体容器を撮影し、画像データを取得する撮影処理を行う。
【0024】
図3は、検体容器の撮影状態を示す模式図である。検体容器10は、底部11と、底部11から延びる管状部12と、管状部12の頂部の開口を密閉する蓋部13と、を有する容器である。検体容器10は、周囲の光の影響を極力回避するため、正面以外が遮光されている撮影ボックス30の内部に戴置された状態で撮影される。撮影ボックス30は、背面、上面、下面、左側面及び右側面が遮光板によって覆われている箱部31と、箱部31の内部に連結され、検体容器10を支持する支持部32と、を有する。検体容器10は、支持部32によって特定の位置に固定される。支持部32は、検体容器10の管状部12の延びる方向が略鉛直方向になるように検体容器10を支持する。
【0025】
撮影装置2(図3では不図示)は、所定の撮影範囲Rで検体容器10を撮影できるように、設置位置、撮影方向、焦点等が調整される。本発明の実施の形態では、撮影範囲Rには、検体容器10の底部11及び管状部12の一部が含まれ、望ましくは唾液20の液面21が含まれる。
【0026】
図2の説明に戻る。ステップS2では、第1端末4が、ステップS1によって取得される画像データに基づいて唾液の物理的性状を判定する物理的性状判定処理を行う。本発明の実施の形態では、第1端末4は、画素値を有する画像データを用いて、検体容器10に含まれる唾液の検体が透明なのか、又は白濁なのかを判定する。
【0027】
図4は、物理的性状判定処理の流れを示すフローチャートである。第1端末4は、画像データに含まれる検体容器10の内部の画素値を抽出し、抽出された画素値を用いて唾液20の物理的性状を判定する。図4に示すように、撮影装置2から画像データを受信すると、第1端末4は、画素値を有する画像データを読み込む(ステップS11)。
【0028】
第1端末4は、算出基準位置の初期値を設定し(ステップS12)、算出基準位置周辺の画素値の統計値を算出する(ステップS13)。画素値を抽出する算出基準位置周辺の範囲は、例えば、算出基準位置を中心として横方向が8ピクセル、縦方向が8ピクセルの正方形の範囲である。また、画素値の統計値は、例えば、8×8ピクセルの正方形の範囲に含まれる画素値の平均値であるが、これらに限定されるものではない。例えば、統計値は中央値などでも良い。
【0029】
次に、第1端末4は、算出基準位置が終了位置に到達したかどうか確認する(ステップS14)。算出基準位置が終了位置に到達していない場合(ステップS14のNo)、第1端末4は、次の算出基準位置を縦方向に沿ってずらして設定し(ステップS15)、ステップS13から繰り返す。一方、算出基準位置が終了位置に到達している場合(ステップS14のYes)、第1端末4は、全ての統計値の合計を算出する(ステップS16)。
【0030】
次に、第1端末4は、画素値の統計値の合計が閾値以上かどうか確認する(ステップS17)。ここで、ステップS17の処理の意義について説明する。画素値の合計は、白濁の検体である方が、透明の検体であるよりも明らかに大きく、両者を区別する判定指標になり得ると考えられる。そこで、本発明の実施の形態では、画素値の統計値の合計によって、唾液20の検体が透明なのか、又は白濁なのかを判定する。
【0031】
統計値の合計が閾値以上の場合(ステップS17のYes)、第1端末4は、唾液20の物理的性状が白濁、すなわち代謝物濃度データの補正要と判定し、判定結果をサーバ6に送信する(ステップS18)。一方、統計値の合計が閾値未満の場合(ステップS17のNo)、第1端末4は、唾液20の物理的性状が透明、すなわち代謝物濃度データの補正不要と判定し、判定結果をサーバ6に送信する(ステップS19)。
【0032】
図4を参照して前述した通り、第1端末4は、画像データの縦方向に沿って検体容器10の内部の画素値を抽出し、抽出された画素値を用いて唾液20の物理的性状を判定する。縦方向に沿った画素値を利用することによって、唾液20の上側の一部が白濁している場合や下側の一部が白濁している場合に対しても精度良く唾液20の物理的性状を判定することができる。
【0033】
また、第1端末4は、横方向に複数の画素値を抽出して統計値を算出することを縦方向に沿って繰り返し、算出された統計値を用いて唾液20の物理的性状を判定する。縦方向だけでなく、横方向にも沿った画素値を利用することによって、部分的な異常値の影響を緩和でき、精度良く唾液20の物理的性状を判定することができる。例えば、撮影用ライトの光が検体容器10に反射することによって部分的に白くなる場合等の影響を緩和できる。
【0034】
図2の説明に戻る。ステップS3では、濃度測定装置3が、唾液20に含まれる各代謝物の濃度を測定し、代謝物濃度データを取得する濃度測定処理を行う。前述の通り、濃度測定装置3は、質量分析装置及びコンピュータから構成される。質量分析装置は、所定の前処理を行った唾液の検体を測定し、コンピュータは、質量分析装置の測定結果から唾液中の各代謝物の濃度を算出し、代謝物濃度データをサーバ6に送信する。
【0035】
ステップS4では、第2端末5が、唾液20の物理的性状の判定結果に基づいて代謝物濃度データを補正する濃度補正処理を行う。ステップS2による唾液20の物理的性状判定の結果が補正要の場合、第2端末5は、サーバ6又は第2端末5に予め記憶されている代謝物ごとの補正係数を取得し、ステップS3において取得される代謝物濃度データに補正係数を乗じる。第2端末5は、後述の処理では、補正係数を乗じた後の代謝物濃度データを利用する。一方、ステップS2による唾液20の物理的性状判定の結果が補正不要の場合、第2端末5は、ステップS3において取得される代謝物濃度データをそのまま後述の処理に利用する。
【0036】
ここで、ステップS4の処理の意義について説明する。本発明者らは、同時期に同一人物から採取した唾液20であっても、透明の唾液20と比較して、白濁の唾液20に含まれる各代謝物の濃度が高いことを発見した。後述のステップS6における疾患リスク判定処理では、白濁の状態によって、疾患判定用の代謝物の濃度に異常が生じるため、白濁の唾液20の場合、間違った判定になる可能性が高まることになる。そこで、本発明の実施の形態では、白濁の唾液20の場合、濃度測定装置3によって取得された代謝物濃度データに0から1の値の補正係数を乗じ、代謝物濃度データを正常値とすることで、判定の精度を向上させる。
【0037】
ステップS5では、第2端末5が、必要に応じて補正された疾患判定用の代謝物濃度データを正規化する濃度正規化処理を行う。唾液20の代謝物濃度データは濃淡に個人差があることから、濃度正規化処理では、唾液20全体の濃度を正規化し、疾患と非疾患の濃度差をより大きくする。具体的には、第2端末5は、疾患判定用の代謝物濃度データを、正規化用の複数の代謝物濃度データを用いて正規化する。本発明の実施の形態では、第2端末5は、疾患判定用の代謝物濃度データを、正規化用の複数の代謝物濃度データの合計値で割ることによって正規化する。
【0038】
ここで、第2端末5は、ステップS2による唾液20の物理的性状判定の結果が補正要の場合、疾患判定用の代謝物濃度データ及び正規化用の複数の代謝物濃度データのいずれも、ステップS4において算出された代謝物ごとの補正係数を乗じた後の値を用いる。これによって、濃度補正処理及び濃度正規化処理の両方を正確に実行することができ、ひいては、疾患のリスクを精度良く判定できる。
【0039】
図5は、代謝物濃度データ及び補正係数の例である。図5(a)が代謝物濃度データ、図5(b)が補正係数である。補正係数は0から1の値である。ステップS2による唾液20の物理的性状判定の結果が補正要の場合、第2端末5は、正規化用代謝物合計、疾患判定用代謝物a、b、c、・・・の代謝物濃度データに対して補正係数を乗じ、それぞれ、X1×C1、X2×C2、X3×C3、X4×C4、・・・とする。そして、第2端末5は、濃度正規化処理として、がん判定用代謝物a、b、c、・・・の補正後の代謝物濃度データを、正規化用代謝物合計で割り、それぞれ、(X2×C2)÷(X1×C1)、(X3×C3)÷(X1×C1)、(X4×C4)÷(X1×C1)、・・・とする。一方、ステップS2による唾液20の物理的性状判定の結果が補正不要の場合、第2端末5は、正規化用代謝物合計、疾患判定用代謝物a、b、c、・・・の代謝物濃度データを補正せず、正規化用代謝物合計で割り、それぞれ、X2÷X1、X3÷X1、X4÷X1、・・・とする。
【0040】
図2の説明に戻る。ステップS6では、第2端末5が、多変量解析や機械学習の予測モデルを用いて、正規化された疾患判定用の代謝物濃度データに基づいて疾患のリスクを判定する疾患リスク判定処理を行う。例えば、第2端末5は、機械学習を用いた予測モデルにてリスク値を算出し、リスク値が閾値を超える場合、陽性と判定する。
【0041】
以上の通り、本発明の実施の形態における疾患リスク判定システム1は、唾液20を含む検体容器10を撮影し、画像データを取得する撮影装置2と、唾液20に含まれる各代謝物の濃度を測定し、代謝物濃度データを取得する濃度測定装置3と、画像データ及び代謝物濃度データの情報処理を行う1又は複数のコンピュータ(=第1端末4、第2端末5及びサーバ6)と、によって構成され、コンピュータは、画像データに基づいて唾液20の物理的性状を判定する唾液性状判定部と、唾液20の物理的性状の判定結果に基づいて代謝物濃度データを補正する濃度補正部と、補正された疾患判定用の代謝物濃度データを正規化する濃度正規化部と、正規化された疾患判定用の代謝物濃度データに基づいて疾患のリスクを判定する疾患リスク判定部と、を備える。これによって、従来の検査では間違った判定となる割合が高い特定の性状の唾液であっても、疾患のリスクを精度良く判定することが可能となる。
【実施例
【0042】
本実施例は、前述の疾患リスク判定システム1によるがんのリスク判定結果である。比較例は、唾液性状判定や、唾液が白濁の場合の濃度補正を行わない従来方法によるがんリスク判定結果である。
【0043】
図6は、画像データ及び画素値データである。図6(a)及び図6(c)に示すように、画像データ41及び42は、管状部12が延びる方向に略一致する縦方向と、縦方向に直交する横方向とを有する。画像データ41及び42では、いずれも、横方向が400ピクセル、縦方向が300ピクセルであり、検体容器10の底部11と、底部11から唾液20の液面21よりも上部の位置までの管状部12の一部が含まれている。図6(a)の画像データ41は、透明の唾液20であり、図6(c)の画像データ42は、白濁の唾液20である。図6(b)の画素値データ51及び図6(d)の画素値データ52は、横軸が縦方向の画素位置、縦軸がグレースケールの画素値のグラフである。画素値データ51が画像データ41、画素値データ52が画像データ42に対応している。
【0044】
算出基準位置の初期値は、図6(a)及び図6(c)に示す画像データ41及び42で示すように、横方向が200ピクセルの位置(=横方向の中心位置)、縦方向が150ピクセルの位置(=縦方向の中心位置)とした。また、画素値を抽出する算出基準位置周辺の範囲は、算出基準位置を中心として横方向が8ピクセル、縦方向が8ピクセルの正方形の範囲とした。また、画素値の統計値は、8×8ピクセルの正方形の範囲に含まれる画素値の平均値を用いた。算出基準位置の終了位置は、横方向が200ピクセルの位置、縦方向が250ピクセルの位置とし、150ピクセルから250ピクセルまでの画素値の合計は、図6(b)や図6(d)に示すグラフの150ピクセルから250ピクセルまでの波形面積に等しい。この波形面積は、白濁の検体である図6(d)の方が、透明の検体である図6(b)よりも明らかに大きいため、両者を区別する判定指標とした。これらの画素値の統計値の合計によって、透明なのか、又は白濁なのかを判定した。
【0045】
唾液の代謝物質測定のための前処理方法として、唾液サンプルを20μLとり、水酸化アンモニウムが1%、各安定同位体物質が2.5μMとなるメタノール溶液と混合し、4℃,12,000rpmで10分間遠心を行う。上清を40μLとり、60μLの超純水と混合したものをサンプルとした。
【0046】
サンプルは、液体クロマトグラフィー質量分析装置(Triple Quad LC/MS)を用いて代謝物の濃度測定を行い、白濁唾液と正常唾液の濃度比を補正係数として設定した。測定方法を以下に記載する。
1)陽イオン性代謝物測定モード
<LC>
システム:Agilent Technologies 1290 Infinity
カラム:ACQUITY BEH C18 (内径: 2.1mm×50mm, 1.7mm)
溶媒:
ポンプ A; Water containing 0.1% Formic acid and 1.5 mM HFBA
ポンプ B; MeOH containing 1.5 mM HFBA
グラジエント:
時間 ポンプ A
1.00 min 99.00 %
2.00 min 90.00 %
3.50 min 60.00 %
4.00 min 5.00 %
5.00 min 5.00 %
測定時間:5分
流速:0.4 ml/min
カラム温度:40℃
<MS>
システム:Agilent Technologies 6460(QQQ)
窒素ガス温度:350 ℃
窒素ガス流速:13 L/min
ネブライザー: 55 psig
VCap:3500
測定モード:Positive
【0047】
初回採取時に唾液が強い白濁であった12名の受検者を対象に、軽く口をゆすぎ5分以上経過してから、非刺激性唾液の採取を行った。表1は、胃がんリスク判定のための正規化用代謝物合計の補正係数と、予測モデルに使用する変数である胃がんマーカーの補正係数を示している。正規化用代謝物は、クレアチニンとリジンを組み合わせた合計値とした。胃がんマーカーは、N1,N8-ジアセチルスペルミジン、N1-アセチルスペルミジン、N8-アセチルスペルミジン、スペルミジン、スペルミンの5物質とした。
【0048】
【表1】
【0049】
がんリスク判定処理では、胃がんと診断された41名と非胃がんと診断された73名の臨床データを用いた。機械学習の手法であるBagging-ADTreeからなる予測モデルを用いて、判定を行うための閾値は感度80%に設定し、その閾値以上の検体に関しては陽性判定とした。予測モデルを評価するにあたっては、AUC(Area Under the Curve)を用いた。AUCとは、ROC曲線を作成した際にグラフの曲線より下の部分の面積の事を表す。AUCは0から1までの値をとり、値が1に近いほど精度が高いことを示す。
【0050】
比較例のAUCは、図7(a)に示されるように、0.975であり、実施例のAUCは、図7(b)で示されるように、0.996となった。同データセットを使用した10分割クロスバリデーションのAUCにおいては、図7(c)で示されるように、比較例が0.894であり、実施例は0.898と、いずれも比較例よりも実施例で高い値を算出した。
【0051】
図8(a)は予測モデルにおける箱ひげ図であり、図8(b)は予測モデルにおける実施例の箱ひげ図である。図8(a)及び図8(b)を比較すれば、実施例では、非がんで白濁の検体(n=46)のリスク値が比較例よりも低下し、偽陽性が低減していることが分かる。
【0052】
そして、胃がんと診断された6名とがん以外の疾患があると診断された非胃がんの33名の臨床データをテストデータとし、図7(a)及び図7(b)で示すBagging-ADTreeからなる予測モデルを用いて、実施例と比較例の判定結果の比較を行った。
【0053】
図9(a)はテストデータにおける比較例の箱ひげ図であり、図9(b)はテストデータにおける実施例の箱ひげ図である。図9(a)及び図9(b)を比較すれば、実施例では、非がんで白濁の検体(n=25)のリスク値が比較例よりも低下し、偽陽性が大幅に低減していることが分かる。また、ノンパラメトリックの多重検定であるKruskal-Wallis検定を行ったところ、比較例では非がんで白濁の検体のがんリスクが、非がんで正常の検体のがんリスクより有意に高かったが、実施例では有意でなくなった。
【0054】
表2は、胃がんリスク判定に関する実施例と比較例の判定結果の比較を示している。また、図9(c)は、実施例と比較例の精度比較の棒グラフである。表2及び図9(c)に示すように、比較例よりも実施例での正解率(感度、特異度)が大幅に向上した。すなわち、感度が50%から67%に向上し、特異度が61%から97%に向上した。
【0055】
【表2】
【0056】
また、大腸がんリスク判定及び肺がんリスク判定についても、胃がんリスク判定と同様、比較例と実施例との比較を行った。但し、正規化用代謝物の組み合わせやマーカーとなる代謝物の組み合わせは、判定するがんの種類によって異なる。
【0057】
表3は、大腸がんリスク判定のための正規化用代謝物合計の補正係数と、予測モデルに使用する変数である大腸がんマーカーの補正係数を示している。正規化用代謝物は、クレアチニンとアルギニンの合計値とした。表4は、大腸がんリスク判定に関する実施例と比較例の判定結果の比較を示している。表5は、肺がんリスク判定のための正規化用代謝物合計の補正係数と、予測モデルに使用する変数である肺がんマーカーの補正係数を示している。正規化用代謝物は、クレアチニンとアデノシンの合計値とした。表4は、肺がんリスク判定に関する実施例と比較例の判定結果の比較を示している。
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】
【表6】
【0062】
表4及び表6を参照すれば、大腸がん判定及び肺がん判定についても、比較例よりも実施例での正解率(感度、特異度)が向上した。すなわち、大腸がん判定については、感度が76%から82%に向上し、特異度が69%から72%に向上した。肺がん判定については、感度が80%から87%に向上し、特異度が47%から56%に向上した。
【0063】
以上から、本発明の実施の形態における疾患リスク判定システム1によれば、白濁の唾液であっても、再び唾液を採取することなく、偽陽性や偽陰性を低減することができ、様々な種類のがんのリスクを精度良く判定できることが分かる。
【0064】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係るがんリスク判定システム等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0065】
1………がんリスク判定システム
2………撮影装置
3………濃度測定装置
4………第1端末
5………第2端末
6………サーバ
9………ネットワーク
10………検体容器
11………底部
12………管状部
20………唾液
21………液面
30………撮影ボックス
31………箱部
32………支持部
41、42、43………画像データ
51、52………画素値データ
【要約】
【課題】従来の検査では間違った判定になる割合が高い特定の物理的性状の唾液であっても、疾患のリスクを精度良く判定する。
【解決手段】疾患リスク判定システム1は、唾液を用いて疾患のリスクを判定するシステムであって、唾液を含む検体容器を撮影し、画像データを取得する撮影装置2と、唾液に含まれる各代謝物の濃度を測定し、代謝物濃度データを取得する濃度測定装置3と、画像データ及び代謝物濃度データの情報処理を行う1又は複数のコンピュータと、によって構成される。コンピュータは、撮影装置2から受信した画像データに基づいて唾液の物理的性状を判定する唾液性状判定部と、唾液の物理的性状の判定結果に基づいて代謝物濃度データを補正する濃度補正部と、補正された疾患判定用の代謝物濃度データを正規化する濃度正規化部と、正規化された疾患判定用の代謝物濃度データに基づいて疾患のリスクを判定する疾患リスク判定部と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9