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  • 特許-電熱式ヘアーアイロン 図1
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  • 特許-電熱式ヘアーアイロン 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】電熱式ヘアーアイロン
(51)【国際特許分類】
   A45D 1/00 20060101AFI20230228BHJP
【FI】
A45D1/00 501Z
A45D1/00 C
A45D1/00 502B
A45D1/00 503A
A45D1/00 507B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018113866
(22)【出願日】2018-06-14
(65)【公開番号】P2019213793
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000214939
【氏名又は名称】直本工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】岸 幸三
【審査官】家辺 信太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-254796(JP,A)
【文献】特開2018-015538(JP,A)
【文献】特開2002-253329(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0454770(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉自在に連結された一対の支持部材と、
一対の前記支持部材に互いに対向するように設けられて毛髪を挟持する一対の挟持部と、
一方または他方の少なくともいずれかの前記挟持部の裏面に設けられて一対の前記挟持部を通電により加熱する加熱部とを備え、
一方の前記挟持部は、他方の前記挟持部と対向する位置に開口する吸引流路が形成されており、前記吸引流路に接続された吸引装置の作動により、一対の前記挟持部間を吸引可能に構成され
一対の前記挟持部は、互いに間隔をあけて配置された第1当接部および第2当接部をそれぞれ備え、前記第1当接部同士および前記第2当接部同士が当接するように構成されており、
前記吸引流路は、前記第1当接部と前記第2当接部との間に開口し、
一対の前記挟持部は、平面視帯状の前記第1当接部および前記第2当接部の両端部同士が連結部により一体的に連結されて、前記第1当接部、前記第2当接部および前記連結部により囲まれた凹部がそれぞれ形成されている電熱式ヘアーアイロン。
【請求項2】
前記第1当接部および前記第2当接部は、それぞれが一定の断面形状で互いに平行に延びるように平面視帯状に形成されており、
前記第1当接部の表面が平面状に形成され、前記第2当接部の表面が曲面状に形成されている請求項1に記載の電熱式ヘアーアイロン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電熱式ヘアーアイロンに関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電熱式ヘアーアイロンとして、特許文献1には、プレート内に電熱体が収容された加熱プレートが、一対の持ち手の裏面における対向位置にそれぞれ設けられた構成が開示されている。一方の持ち手の加熱プレートには、持ち手の表面に連通する蒸気抜き用のスリットが設けられており、濡れた髪の毛を加熱して発生する蒸気が、このスリットから外部に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】登録実用新案第3164998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来のヘアーアイロンは、タオルドライ後等の湿った毛髪から比較的多量の蒸気が発生する場合、蒸気がスリットから十分抜けずに一対の持ち手の間から周辺に噴出するおそれがあった。このため、毛髪の付け根部分に使用すると、噴出した高温の蒸気が頭皮に直接接触して、被施術者に不快感を与えるおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、湿った毛髪のセットを迅速且つ快適に行うことができる電熱式ヘアーアイロンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、開閉自在に連結された一対の支持部材と、一対の前記支持部材に互いに対向するように設けられて毛髪を挟持する一対の挟持部と、一方または他方の少なくともいずれかの前記挟持部の裏面に設けられて一対の前記挟持部を通電により加熱する加熱部とを備え、一方の前記挟持部は、他方の前記挟持部と対向する位置に開口する吸引流路が形成されており、前記吸引流路に接続された吸引装置の作動により、一対の前記挟持部間を吸引可能に構成され、一対の前記挟持部は、互いに間隔をあけて配置された第1当接部および第2当接部をそれぞれ備え、前記第1当接部同士および前記第2当接部同士が当接するように構成されており、前記吸引流路は、前記第1当接部と前記第2当接部との間に開口し、一対の前記挟持部は、平面視帯状の前記第1当接部および前記第2当接部の両端部同士が連結部により一体的に連結されて、前記第1当接部、前記第2当接部および前記連結部により囲まれた凹部がそれぞれ形成されている電熱式ヘアーアイロンにより達成される。
【0008】
前記第1当接部および前記第2当接部は、それぞれが一定の断面形状で互いに平行に延びるように平面視帯状に形成されていることが好ましく、前記第1当接部の表面が平面状に形成され、前記第2当接部の表面が曲面状に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、湿った毛髪のセットを迅速且つ快適に行うことができる電熱式ヘアーアイロンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る電熱式ヘアーアイロンの正面図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3図2に示す挟持部を矢示B方向に見た図である。
図4図1のC-C断面図である。
図5図4に示す挟持部を矢示D方向に見た図である。
図6】本発明の一実施形態に係る電熱式ヘアーアイロンの使用状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電熱式ヘアーアイロンの正面図である。図1に示すように、電熱式ヘアーアイロン1は、一対の支持部材10,20の基端側が回動軸2により回動可能に連結されて構成されている。一対の支持部材10,20は、回動軸2に装着されたねじりばね(図示せず)によって、先端側が図1に示す開いた状態になるように付勢されている。
【0012】
一対の支持部材10,20は、ねじりばねの付勢力に抗して矢示方向に回動させることにより先端側を閉じることができ、この先端側には、一対の挟持部30,40が互いに対向するようにそれぞれ設けられている。一方の挟持部30の内部には、吸引流路31が形成されている。吸引流路31の先端側は、複数の開口部32により他方の挟持部40と対向する位置に開口する一方、吸引流路31の基端側は、一方の支持部材10に形成された中継流路11の先端に接続されている。中継流路11の基端には接続ポート12が設けられており、吸引装置50の配管51が接続ポート12に接続される。吸引装置50は、ファン52の作動により吸引流路31の開口部32から蒸気等を吸引して、排出口53から外部に排出することができる。
【0013】
図2は、図1のA-A断面図であり、図3は、図2に示す一方の挟持部30を矢示B方向に見た図である。図2および図3に示すように、一方の挟持部30は、平面視矩形状に形成されたブロック状の部材であり、裏面側が支持部材10に嵌合して支持されている。一方の挟持部30の裏面には、板状のセラミックヒータからなる加熱部60が密着固定されている。加熱部60は、通電による発熱可能なものであればよく、他の電熱ヒータを使用してもよい。挟持部30は、アルミニウム合金等の熱伝導性や耐食性に優れる金属材料により形成することが好ましい。
【0014】
一方の挟持部30の表面側には、第1当接部35および第2当接部36が互いに間隔をあけて設けられている。第1当接部35および第2当接部36は、図2に示す一定の断面形状で、互いに平行に延びるように平面視帯状に形成されている。第1当接部35は、表面が平面状に形成されている一方、第2当接部36は、表面が断面円弧状に膨出する曲面状に形成されている。第1当接部35および第2当接部36の長手方向両端部は、それぞれ連結部38,39によって連結されており、第1当接部35、第2当接部36および連結部38,39により囲まれて、挟持部30の長手方向に延びる凹部37が形成されている。第1当接部35、第2当接部36および連結部38,39は、例えば切削加工により一体的に成形することができる。
【0015】
吸引流路31は、一方の挟持部30の内部を凹部37の長手方向に延びるように形成されており、凹部37の底面に等間隔に形成された複数の開口部32に連通している。吸引流路31の両側には挿通路33,34が形成されている。挿通路33,34には、加熱部60に通電するための電線(図示せず)が挿通され、外部の電源(図示せず)から加熱部60に電力を供給することができる。
【0016】
図4は、図1のC-C断面図であり、図5は、図4に示す他方の挟持部40を矢示D方向に見た図である。図4および図5に示すように、他方の挟持部40は、一方の挟持部30に形成された吸引路31および開口部32を備えていない他は、一方の挟持部30と同様の構成を備えるものであり、内部に挿通路43,44が形成されている。他方の挟持部40の表面側には、互いに間隔をあけて第1当接部45および第2当接部46が設けられている。第1当接部45および第2当接部46の長手方向両端部は、それぞれ連結部48,49によって連結されており、第1当接部45、第2当接部46および連結部48,49により囲まれて、他方の挟持部40の長手方向に延びる凹部47が形成されている。一対の挟持部30,40の連結部38,39,48,49の高さは、第1当接部35,45同士、および、第2当接部36,46同士が確実に当接するように、これらの高さと同程度か若干低いことが好ましい。
【0017】
他方の挟持部40の裏面には、加熱部70が密着固定されている。本実施形態の電熱式ヘアーアイロン1は、一対の挟持部30,40の双方に対応させて加熱部60,70を設けているが、加熱部は単一であってもよく、挟持部30,40の一方を介して他方に伝熱されるように、加熱部を配置してもよい。
【0018】
上記の構成を備える電熱式ヘアーアイロン1は、図6に示すように、開閉自在に連結された一対の支持部材10,20を閉じることにより、タオルドライ後等の湿った毛髪Hを一対の挟持部30,40の間に挟持した後、一方の支持部材10に設けられたスイッチ13を操作して、加熱部60,70への通電により一対の挟持部30,40を加熱すると共に、吸引装置50を作動させる。
【0019】
一対の支持部材10,20を閉じると、第1当接部35,45同士、および、第2当接部36,37同士が互いに当接し、これらの間に凹部37,47の空間が形成される。毛髪Hを加熱して発生する蒸気は、吸引装置50の作動により凹部37,47を介して吸引流路31に引き込まれる。
【0020】
本実施形態の電熱式ヘアーアイロン1は、毛髪Hに蒸気を供給する機構を備えない構成において、吸引流路31を介して接続された吸引装置50の作動により一対の挟持部30,40間を吸引可能に構成したものであり、外部から供給される蒸気ではなく、毛髪Hから発生する蒸気を吸引するという新規な発想に基づいて開発されたものである。この電熱式ヘアーアイロン1によれば、毛髪Hから発生する蒸気が一対の挟持部30,40の周囲に噴出するのを確実に防止することができるので、毛髪の付け根など頭皮に近いところで使用する場合でも、高温の蒸気が頭皮に噴出するおそれがなく、施術を快適に行うことができる。
【0021】
また、電熱式ヘアーアイロン1は、第1当接部35,45の表面が平面状である一方、第2当接部36,46の表面が曲面状であることにより、第1当接部35,45同士の当接部の面積よりも狭い面積で第2当接部36,46同士が当接するため、毛髪Hは、第2当接部36,46において、第1当接部35,45よりも高い圧力で押圧される。したがって、毛髪Hを挟持した一対の挟持部30,40を、図6の矢示E方向にスライドさせることにより、毛髪Hの毛根側を第1当接部35,45に保持しながら、先端側を第2当接部36,46で強くしごくことができるので、毛髪Hの捻転を除去することができる。第1当接部35,45の表面が平面状に形成された部分の幅W1に対して、第2当接部36,46の表面が曲面状に形成された部分の幅W2を小さくすることが好ましく、これによって上記の効果をより確実に奏することができる。本実施形態の第2当接部36,46は、表面が断面円弧状の曲面状としているが、楕円弧状や波状などの断面形状を有する他の曲面状であってもよい。
【0022】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、本実施形態においては、一対の挟持部30,40間を吸引する吸引流路31を、一方の挟持部30のみに設けているが、一対の挟持部30,40の双方に吸引流路を設けて、分岐させた配管51にそれぞれ接続することにより、一対の挟持部30,40の双方で蒸気を吸引できるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0023】
1 電熱式ヘアーアイロン
10,20 支持部材
30,40 挟持部
35,45 第1当接部
36,46 第2当接部
31,41 吸引流路
50 吸引装置
60,70 加熱部
図1
図2
図3
図4
図5
図6