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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】ストッカー
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/20 20060101AFI20230228BHJP
【FI】
B65D25/20 R
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019015607
(22)【出願日】2019-01-31
(65)【公開番号】P2020121781
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】原田 裕也
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01500608(EP,A1)
【文献】特開2018-201301(JP,A)
【文献】登録実用新案第3023287(JP,U)
【文献】中国実用新案第207842990(CN,U)
【文献】特開2020-029271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/00-1/48
B65D 21/00-25/56
B62B 1/00-5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂で成形されたストッカーであって、
設置面に置かれることが可能な底部と、
段積み可能な容器を保持する保持部と、
前記底部と前記保持部とを連結する連結部とを備え、
前記連結部は、その面が捻られるようにして向きを変えながら前記底部と前記保持部とを連結し、
前記連結部の少なくとも一部は、前記ストッカーの正面視で、前記底部から前記保持部へ向かうに連れて前記ストッカーの中央側へ傾斜するとともに、前記ストッカーの平面視で、前記ストッカーの中心側へ傾斜することを特徴とするストッカー。
【請求項2】
前記底部は、
相対する一対の底側第1側壁部と、
相対すると共に、前記一対の底側第1側壁部と交差する方向へ延びる一対の底側第2側壁部と、
隣り合う前記底側第1側壁部と前記底側第2側壁部との境界が、前記ストッカーの平面視で、前記ストッカーの外方側へ丸みを帯びて張り出した曲面部とを備え、
前記連結部は、
前記曲面部から上方側へ延びる連続曲面部と、
前記底側第1側壁部の一部から上方側へ延び、前記連続曲面部と連なる連続側面部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載のストッカー。
【請求項3】
前記保持部は、
第1保持部と、
前記第1保持部から距離的に離間した第2保持部とを備え、
前記連結部は、
前記第1保持部に連結された第1連結部と、
前記第2保持部に連結された第2連結部とを備え、
前記第1連結部及び前記第2連結部は、前記ストッカーの正面視で、略ハの字形状をなし
前記容器は、上方フランジ部、又は上方フランジ部及びその下面から突出した当接リブを有し、
前記容器は、前記上方フランジ部の下面、又は前記当接リブが前記保持部に載置されることで保持され、
前記容器が保持された状態では、前記ストッカーの正面視において、前記第1保持部と前記第2保持部との間には、前記容器の側面に設けられた情報表示部が位置する
ことを特徴とする請求項1に記載のストッカー。
【請求項4】
前記第1保持部に設けられ、前記ストッカーの平面視で略コの字形状又は略Cの字形状である保持側第1側壁部と、
前記第2保持部に設けられ、前記ストッカーの平面視で略コの字形状又は略Cの字形状である保持側第2側壁部とを備え、
前記保持側第1側壁部の開放側と前記保持側第2側壁部の開放側とが対向していることを特徴とする請求項3に記載のストッカー。
【請求項5】
前記底部は、環状に連なる環状連続部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一つに記載のストッカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器が載せられるストッカーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、容器が載せられるストッカーに関し、種々の技術が提案されている。例えば、下記特許文献1には、略矩形形状の外周位置に連接して配置されたパイプ形状の金属製部材と、それぞれの角部に略鉛直方向に設けられた金属製の車輪軸と、を有する台車が記載されている。台車は、この車輪軸の先端には車輪が備えられており、上面には、例えば、買い物カゴ等が積載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-280291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の台車は、金属製であることから、重く、リサイクルし難い。更に、上記特許文献1に記載の台車は、金属製部材等を溶接して組み立てる必要があるため、形状の自由度が低い。
【0005】
そこで、本発明は、上述した点を鑑みてなされたものであり、軽量化され、リサイクルし易く、形状の自由度が向上したストッカーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するためになされた請求項1に係る発明は、樹脂で成形されたストッカーであって、設置面に置かれることが可能な底部と、段積み可能な容器を保持する保持部と、底部と保持部とを連結する連結部とを備え、連結部は、その面が捻られるようにして向きを変えながら底部と保持部とを連結し、連結部の少なくとも一部は、ストッカーの正面視で、底部から保持部へ向かうに連れてストッカーの中央側へ傾斜するとともに、ストッカーの平面視で、ストッカーの中心側へ傾斜することを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載のストッカーであって、保持部は、第1保持部と、第1保持部から距離的に離間した第2保持部とを備え、連結部は、第1保持部に連結された第1連結部と、第2保持部に連結された第2連結部とを備え、第1連結部及び第2連結部は、ストッカーの正面視で、略ハの字形状をなし、容器は、上方フランジ部、又は上方フランジ部及びその下面から突出した当接リブを有し、容器は、上方フランジ部の下面、又は当接リブが保持部に載置されることで保持され、容器が保持された状態では、ストッカーの正面視において、第1保持部と第2保持部との間には、容器の側面に設けられた情報表示部が位置することを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載のストッカーであって、第1保持部に設けられ、ストッカーの平面視で略コの字形状又は略Cの字形状である保持側第1側壁部と、第2保持部に設けられ、ストッカーの平面視で略コの字形状又は略Cの字形状である保持側第2側壁部とを備え、保持側第1側壁部の開放側と保持側第2側壁部の開放側とが対向していることを特徴とする。
【0011】
請求項に係る発明は、請求項1に記載のストッカーであって、底部は、相対する一対の底側第1側壁部と、相対すると共に、一対の底側第1側壁部と交差する方向へ延びる一対の底側第2側壁部と、隣り合う底側第1側壁部と底側第2側壁部との境界が、ストッカーの平面視で、ストッカーの外方側へ丸みを帯びて張り出した曲面部とを備え、連結部は、曲面部から上方側へ延びる連続曲面部と、底側第1側壁部の一部から上方側へ延び、連続曲面部と連なる連続側面部とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項に係る発明は、請求項1乃至請求項のいずれか一つに記載のストッカーであって、底部は、環状に連なる環状連続部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明のストッカーは、樹脂製のため、軽量化され、リサイクルし易く、形状の自由度が向上している。よって、請求項1に係る発明のストッカーは、取り回し易く、機能性だけでなく、デザイン性を重視した設計が可能となり、溶接加工が不要なため、生産性に優れている。
【0014】
更に、請求項1に係る発明のストッカーでは、連結部の少なくとも一部が、ストッカーの正面視で、底部から保持部へ向かうに連れてストッカーの中央側へ傾斜している。そのため、容器の段積み数が増えて保持部に大きな荷重が作用するほど、保持部に連結された連結部が、ストッカーの正面視でストッカーの中央側へ変位するので、保持部に保持されている容器のガタつきが抑制される。よって、請求項1に係る発明のストッカーは、容器保持状態の安定化が図られている。
【0015】
尚、請求項1に係る発明のストッカーにおいて、底部は、自在キャスターを介して、設置面に置かれてもよい。また、保持部(及び連結部)は、一つであってもよいし、複数であってもよい。但し、保持部(及び連結部)が一つである場合には、保持部は、例えば、保持部(及び連結部)と対向する支持部等と協働することによって、容器を保持する。
【0016】
請求項に係る発明のストッカーにおいて、保持部に連結された連結部は、その面が捻られるようにして向きを変えながら底部と保持部とを連結しているので、ストッカーの正面視でストッカーの中央側へ変位することによって、スプリングのように弾力に富んだ状態になる。そのため、請求項に係る発明のストッカーは、容器保持状態の安定化が高められている。
【0017】
請求項3に係る発明のストッカーでは、保持部に連結された連結部がストッカーの正面視でストッカーの中央側へ変位することによって、保持部を構成する第1保持部と第2保持部とが互いに近づく。そのため、請求項3に係る発明のストッカーは、水平方向における容器保持状態の安定化が高められている。
【0018】
更に、請求項3に係る発明のストッカーでは、連結部を構成する第1連結部と第2連結部とが、距離的に離間している第1保持部と第2保持部とにそれぞれ連結されると共に、ストッカーの正面視で略ハの字形状をなしている。そのため、第1連結部と第2連結部との間では、保持部に保持されている容器が露出する。よって、請求項3に係る発明のストッカーでは、容器に記載された情報を、第1連結部と第2連結部との間から見通すことができる。
【0019】
請求項4に係る発明のストッカーでは、保持部を構成する第1保持部と第2保持部が、ストッカーの平面視で略コの字形状又は略Cの字形状である保持側第1側壁部と保持側第2側壁部とをそれぞれ備え、保持側第1側壁部の開放側と保持側第2側壁部の開放側とが対向している。そのため、容器は、ストッカーの平面視で略コの字形状又は略Cの字形状である保持側第1側壁部と保持側第2側壁部とで挟持された状態で、保持部に保持される。よって、請求項4に係る発明のストッカーは、容器保持状態の安定化が一層に高められている。
【0020】
請求項に係る発明のストッカーにおいて、保持部に連結された連結部は、ストッカーの平面視でストッカーの中心側へ傾斜しているので、ストッカーの正面視でストッカーの中央側へ変位する際は、スプリングのように弾力に富んだ状態で、ストッカーの平面視でストッカーの中心側へも変位する。このようにしても、請求項に係る発明のストッカーは、容器保持状態の安定化が高められている。
【0021】
請求項に係る発明のストッカーは、底部を構成する曲面部と連結部を構成する連続曲面部とによって、曲面形状になっている。そのため、請求項に係る発明のストッカーでは、保持部に作用する容器の荷重によって応力が生じても、その応力が分散されるので、破損が防止される。更に、保持部に連結された連結部が、ストッカーの正面視でストッカーの中央側へ変位する際は、より一層に、スプリングのように弾力に富んだ状態になる。このようにしても、請求項に係る発明のストッカーは、容器保持状態の安定化が高められている。
【0022】
請求項に係る発明のストッカーは、底部に備えられた環状に連なる環状連続部によって、保持部で容器を保持した際における設置状態の安定化が図られている。これにより、請求項に係る発明のストッカーは、設置面に対して安定的に置かれるので、保持部に段積みされた容器の倒壊等を防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態のストッカーが上方から表された斜視図である。
図2】同ストッカーが下方から表された斜視図である。
図3】同ストッカーが表された正面図である。
図4】同ストッカーが表された平面図である。
図5】同ストッカーが表された側面図である。
図6】同ストッカーが多数の買物カゴを保持した状態で上方から表された斜視図である。
図7図6の枠Bが表された拡大図である。
図8】同ストッカーが多数の買物カゴを保持した状態で表された正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るストッカーについて、店舗等の買物カゴを保持するものとして具体化した本実施形態に基づき、図面を参照しつつ説明する。
【0025】
図1乃至図5に表されたように、本実施形態のストッカー1は、底部10、保持部30、及び連結部50等を備えている。ストッカー1は、ポリプロピレン等の樹脂を材料として金型成形されたものである。底部10は、ストッカー1の平面視で、略矩形状である(図4参照)。
【0026】
尚、図1乃至図5において、符号D1の方向は、上下方向(つまり、ストッカー1の高さ方向)を示している。符号D2の方向は、底部10の長辺方向を示している。符号D3の方向は、底部10の短辺方向を示している。D1方向、D2方向、及びD3方向は、互いに直交する関係にある。従って、D2方向及びD3方向は、水平方向に相当する。これらの点は、後述する図6乃至図8においても、同様である。
【0027】
底部10は、一対の底側第1側壁部12,12及び一対の底側第2側壁部14,14を有している。一対の底側第1側壁部12,12は、D3方向で互いに向かいあった底部10の長辺を構成し、ストッカー1の外方側へ僅かに張り出した弓状をなしている。一対の底側第2側壁部14,14は、D2方向で互いに向かいあった底部10の短辺を構成し、ストッカー1の外方側へ僅かに張り出した弓状をなしている。
【0028】
一対の底側第2側壁部14,14は、一方の底側第1側壁部12の両端からD3方向へ延びることによって、他方の底側第1側壁部12の両端に連なっている。底側第1側壁部12と底側第2側壁部14とが連なった箇所は、隣り合う底側第1側壁部12と底側第2側壁部14との境界をなし、ストッカー1の平面視で、ストッカー1の外方側へ膨らんだような丸みを帯びることによって、曲面部16を形成している(図4参照)。このようにして、底部10は、ストッカー1の平面視で、略矩形状をなすと共に、環状に連なった環状連続部18をなしている(図4参照)。また、曲面部16は、底部10の四隅における側面を構成している。
【0029】
一対の底側第1側壁部12,12の間では、それらのD2方向における中央において、底部連結部20が渡し設けられている。底部10の四隅には、下方向へ突出した凸状隅部22が設けられている。ストッカー1は、店舗等に備えられる際に、凸状隅部22を介して設置面Aに置かれる。これにより、ストッカー1は、金型成形によって底側第1側壁部12又は底側第2側壁部14がD1方向で弓なりに変形されたとしても、設置状態がぐらつくことはない。
【0030】
尚、ストッカー1は、凸状隅部22に代えて、例えば、底部10に設けられた自在キャスター等を介して設置面Aに置かれてもよい。
【0031】
連結部50は、底部10と、底部10よりも上方側に位置する保持部30とを連結するものである。連結部50は、第1連結部52及び第2連結部54を備えている。第1連結部52及び第2連結部54は、連続曲面部56と連続側面部58で構成されている。
【0032】
連続曲面部56は、底部10の四隅における曲面部16から上方側へ延びることによって、曲面部16と同様にして、ストッカー1の平面視で、ストッカー1の外方側へ膨らんだような丸みを帯びている(図4参照)。連続側面部58は、底側第1側壁部12の両端の一部から上方側へ延びており、連続曲面部56と連なっている(図3参照)。第1連結部52及び第2連結部54の中間位置から上方は、連続側面部58のみで構成されている。また、連続曲面部56及び連続側面部58は、保持部30へ向かうに連れて、ストッカー1をD3方向から視てストッカー1の中央側へ傾斜すると共に(図3参照)、ストッカー1の平面視でストッカー1の中心側へ傾斜している(図4参照)。このようにして、連結部50の第1連結部52及び第2連結部54は、連続曲面部56と連続側面部58とが連なることによって捻られるようにして向きを変えながら(捻転し)、ストッカー1をD3方向から視て(図3参照)、略ハの字形状をなしている。
【0033】
尚、以下の説明では、ストッカー1をD3方向から視ることを、「ストッカー1の正面視」と表記する。但し、本実施形態とは異なり、ストッカー1をD2方向から視ることを、「ストッカー1の正面視」とすることによって、本発明が構成されてもよい。
【0034】
保持部30は、第1保持部32及び第2保持部34を備えている。第1保持部32は、保持側第1側壁部32Aで構成されている。保持側第1側壁部32Aは、D2方向における一方側の各曲面部16,16及び各底側第1側壁部12,12の一部から延びた第1連結部52の上端間に渡し設けられている。これにより、第1保持部32は、第1連結部52に連結されている。保持側第1側壁部32Aは、ストッカー1の平面視で、ストッカー1の内方側が開放された略Cの字形状をなしており、開放側32B、長辺側部32C、及び一対の短辺側部32Dを有している(図4参照)。長辺側部32C及び一対の短辺側部32Dは、それらの上面がD2方向及びD3方向と平行(つまり、水平)である。長辺側部32Cは、開放側32Bに対してD2方向で対向すると共に、D3方向に沿って設けられており、開放側32Bとは反対側(つまり、ストッカー1の外方側)へ僅かに張り出した弓状をなしている。一対の短辺側部32Dは、長辺側部32Cの両端から開放側32Bの側(つまり、ストッカー1の内方側)へ向かって延びて、連続側面部58の上端に連なっている。一対の短辺側部32Dの間隔は、開放側32Bに近づくに連れて大きくなる。長辺側部32Cから短辺側部32Dが延びる箇所は、ストッカー1の平面視で、ストッカー1の外方側へ膨らんだような丸みを帯びて形成されている(図4参照)。
【0035】
第2保持部34についても、第1保持部32と同様である。つまり、第2保持部34は、保持側第2側壁部34Aで構成されている。保持側第2側壁部34Aは、D2方向における他方側の各曲面部16,16及び各底側第1側壁部12,12の一部から延びた第2連結部54の上端間に渡し設けられている。これにより、第2保持部34は、第2連結部54に連結されている。保持側第2側壁部34Aは、ストッカー1の平面視で、ストッカー1の内方側が開放された略Cの字形状をなしており、開放側34B、長辺側部34C、及び一対の短辺側部34Dを有している(図4参照)。長辺側部34C及び一対の短辺側部34Dは、それらの上面がD2方向及びD3方向と平行(つまり、水平)である。長辺側部34Cは、開放側34Bに対してD2方向で対向すると共に、D3方向に沿って設けられており、開放側34Bとは反対側(つまり、ストッカー1の外方側)へ僅かに張り出した弓状をなしている。一対の短辺側部34Dは、長辺側部34Cの両端から開放側34Bの側(つまり、ストッカー1の内方側)へ向かって延びて、連続側面部58の上端に連なっている。一対の短辺側部34Dの間隔は、開放側34Bに近づくに連れて大きくなる。長辺側部34Cから短辺側部34Dが延びる箇所は、ストッカー1の平面視で、ストッカー1の外方側へ膨らんだような丸みを帯びて形成されている(図4参照)。
【0036】
このようにして、第1保持部32及び第2保持部34は、D2方向において、保持側第1側壁部32Aの開放側32Bと保持側第2側壁部34Aの開放側34Bとが対向した状態で、距離的に離間して設けられている。
【0037】
尚、第1保持部32と第2保持部34において、保持側第1側壁部32Aと保持側第2側壁部34Aは、ストッカー1の平面視で、ストッカー1の内方側が開放された略コの字形状をなしてもよい。
【0038】
また、底側第1側壁部12と連結部50との境界、底側第2側壁部14と連結部50との境界、及び連結部50と保持部30との境界においては、それらの厚み側の面がR面取りされている。
【0039】
図6乃至図8に表されたように、本実施形態のストッカー1は、段積みされた複数の買物カゴ100を保持部30で保持することが可能である。その際、ストッカー1に保持された買物カゴ100内に他の買物カゴ100が入り込む状態で、複数の買物カゴ100が段積みされる。また、段積みされた複数の買物カゴ100のうち、最下段の買物カゴ100は、D2方向において距離的に離間している第1保持部32と第2保持部34との間に収められる。更に、最下段の買物カゴ100では、上方フランジ部102の下面から下方へ突出した当接リブ104が、第2保持部34の保持側第2側壁部34Aにおいて、長辺側部34Cに載置される(図7参照)。この点は、第1保持部32の保持側第1側壁部32Aが有する長辺側部32Cにおいても、同様である。
【0040】
尚、最下段の買物カゴ100の当接リブ104は、上方フランジ部102の下面に設けられた数又は位置に応じ、第2保持部34の保持側第2側壁部34Aにおいて、短辺側部34Dに載置されてもよいし、長辺側部34Cと短辺側部34Dの双方に載置されてもよい。同様にして、最下段の買物カゴ100の当接リブ104は、上方フランジ部102の下面に設けられた数又は位置に応じ、第1保持部32の保持側第1側壁部32Aにおいて、短辺側部32Dに載置されてもよいし、長辺側部32Cと短辺側部32Dの双方に載置されてもよい。また、買物カゴ100において、当接リブ104を省略し、上方フランジ部102の下面が、長辺側部34C,32C又は短辺側部34D,32Dに載置されてもよい。
【0041】
更に、ストッカー1の正面視において、第1連結部52と第2連結部54との間(又は、第1保持部32と第2保持部34との間)には、最下段の買物カゴ100の側面に設けられた情報表示部106が位置する(図8参照)。情報表示部106には、宣伝効果が大きい店舗名等が示される。
【0042】
尚、上述した点は、1つの買物カゴ100がストッカー1の保持部30に保持されている場合でも、同様である。
【0043】
このようにして、本実施形態のストッカー1は、買物カゴ100(又は運搬用容器等)を保持するが、そのような状態にある買物カゴ100(又は運搬用容器等)に商品を収容させれば、商品陳列台や商品ストック台として使用されることも可能である。
【0044】
以上詳細に説明した通り、本実施形態のストッカー1は、樹脂製のため、軽量化され、リサイクルし易く、形状の自由度が向上している。よって、本実施形態のストッカー1は、取り回し易く、機能性だけでなく、デザイン性を重視した設計が可能となり、溶接加工が不要なため、生産性に優れている。
【0045】
更に、本実施形態のストッカー1では、連結部50が、ストッカー1の正面視で、底部10から保持部30へ向かうに連れてストッカー1の中央側へ傾斜している。そのため、買物カゴ100の段積み数が増えて保持部30に大きな荷重が作用するほど、保持部30に連結された連結部50が、ストッカー1の正面視でストッカー1の中央側へ変位するので、保持部30に保持されている買物カゴ100のガタつきが抑制される。よって、本実施形態のストッカー1は、買物カゴ100を保持する状態の安定化が図られている。
【0046】
本実施形態のストッカー1において、保持部30に連結された連結部50は、捻られるようにして向きを変えているので、ストッカー1の正面視でストッカー1の中央側へ変位することによって、スプリングのように弾力に富んだ状態になる。そのため、本実施形態のストッカー1は、買物カゴ100を保持する状態の安定化が高められている。
【0047】
本実施形態のストッカー1では、保持部30に連結された連結部50がストッカー1の正面視でストッカー1の中央側へ変位することによって、保持部30を構成する第1保持部32と第2保持部34とがD2方向で互いに近づく。そのため、本実施形態のストッカー1は、D2方向において、買物カゴ100を保持する状態の安定化が高められている。
【0048】
更に、本実施形態のストッカー1では、連結部50を構成する第1連結部52と第2連結部54とが、D2方向で距離的に離間している第1保持部32と第2保持部34とにそれぞれ連結されると共に、ストッカー1の正面視で略ハの字形状をなしている。そのため、第1連結部52と第2連結部54との間(又は、第1保持部32と第2保持部34との間)では、保持部30に保持されている買物カゴ100の情報表示部106が露出する。よって、本実施形態のストッカー1では、買物カゴ100の情報表示部106に記載された情報を、第1連結部52と第2連結部54との間(又は、第1保持部32と第2保持部34との間)から見通すことができる。
【0049】
本実施形態のストッカー1では、保持部30を構成する第1保持部32と第2保持部34が、ストッカー1の平面視で略Cの字形状である保持側第1側壁部32Aと保持側第2側壁部34Aとをそれぞれ備え、保持側第1側壁部32Aの開放側32Bと保持側第2側壁部34Aの開放側34BとがD2方向で対向している。そのため、買物カゴ100は、ストッカー1の平面視で略Cの字形状である保持側第1側壁部32Aと保持側第2側壁部34Aとで挟持された状態で、保持部30に保持される。よって、本実施形態のストッカー1は、買物カゴ100を保持する状態の安定化が一層に高められている。
【0050】
本実施形態のストッカー1において、保持部30に連結された連結部50は、ストッカー1の平面視でストッカー1の中心側へ傾斜しているので、ストッカー1の正面視でストッカー1の中央側へ変位する際は、スプリングのように弾力に富んだ状態で、ストッカー1の平面視でストッカー1の中心側へも変位する。このようしても、本実施形態のストッカー1は、買物カゴ100を保持する状態の安定化が高められている。
【0051】
本実施形態のストッカー1は、少なくとも、底部10を構成する曲面部16と連結部50を構成する連続曲面部56とによって、曲面形状になっている。そのため、本実施形態のストッカー1では、保持部30に作用する買物カゴ100の荷重によって応力が生じても、その応力が分散されるので、破損が防止される。更に、保持部30に連結された連結部50が、ストッカー1の正面視でストッカー1の中央側へ変位する際は、より一層に、スプリングのように弾力に富んだ状態になる。このようしても、本実施形態のストッカー1は、買物カゴ100を保持する状態の安定化が高められている。
【0052】
本実施形態のストッカー1は、底部10に備えられた環状に連なる環状連続部18によって、保持部30で買物カゴ100を保持した際における設置状態の安定化が図られている。これにより、本実施形態のストッカー1は、設置面Aに対して安定的に置かれるので、保持部30に段積みされた複数の買物カゴ100の倒壊等を防止し得る。
【0053】
更に、その倒壊等を防止し得る点は、底部10において、一対の底側第1側壁部12,12の間に渡し設けられた底部連結部20によって、高められている。
【0054】
ちなみに、本実施形態において、買物カゴ100は、「容器」の一例である。
【0055】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、本実施形態のストッカー1において、保持部30(及び連結部50)は、一つであってもよいし、複数であってもよい。但し、保持部30(及び連結部50)が一つである場合には、保持部30は、例えば、D2方向において保持部30(及び連結部50)と対向する支持部等と協働することによって、買物カゴ100を保持する。
【0056】
また、連結部50は、底部10の四隅における曲面部16以外から上方側へ延びることによって保持部30と連結する部材を有してもよい。例えば、その部材は、一対の底側第2側壁部14,14の略中央部から上方に延び、ストッカー1をD3方向から視てストッカー1の中央側へ傾斜すると共に、ストッカー1の平面視でストッカー1の中心側へ傾斜する。尚、その部材上端には、ストッカー1の平面視でストッカー1の内方側が開放された略コの字形状又は略Cの字形状をなした保持側側壁部を備えていてもよい。そのような部材は、ストッカー1の外方へ張り出した曲面を有しなくてもよい。
【0057】
また、連結部50を構成する連続曲面部56は、底部10の四隅における曲面部16から上方向へまっすぐ延び、その途中において、ストッカー1をD3方向から視てストッカー1の中央側へ傾斜してもよいし(図3参照)、ストッカー1の平面視でストッカー1の中心側へ傾斜してもよい(図4参照)。また、連結部50を構成する連続側面部58は、底側第1側壁部12の両端の一部から上方向へまっすぐ延び、その途中において、ストッカー1をD3方向から視てストッカー1の中央側へ傾斜してもよいし(図3参照)、ストッカー1の平面視でストッカー1の中心側へ傾斜してもよい(図4参照)。
【0058】
また、連結部50を構成する連続曲面部56は、第1連結部52及び第2連結部54の上端まで延びていてもよい。
【0059】
また、連結部50(第1連結部52及び第2連結部54)は、連続曲面部56のみで構成されていてもよい。
【0060】
また、連続曲面部56が第1連結部52及び第2連結部54の上端まで延びている場合、又は連結部50(第1連結部52及び第2連結部54)が連続曲面部56のみで構成されている場合には、連続曲面部56が捻られるようにして向きを変えてもよい。
【0061】
また、連結部50(第1連結部52及び第2連結部54)は、連続側面部58のみで構成されていてもよい。この場合、連続側面部58が捻られるようにして向きを変えてもよい。
【0062】
また、連続側面部58(又は連続側面部58の一部)は、例えば、底側第1側壁部12のように、ストッカー1の外方側へ僅かに張り出した弓状ではなく、D2方向に平行な平面であってもよい。
【0063】
また、保持部30を構成する第1保持部32において、保持側第1側壁部32Aは、長辺側部32Cと、長辺側部32Cの両端からD2方向へ延びる一対の短辺側部32Dとを有しているが、その一対の短辺側部32Dは、長辺側部32Cに対して、その両端寄り位置からD2方向で交差するようにして延びてもよい。この点は、保持部30を構成する第2保持部34における保持側第2側壁部34Aでも、同様である。
【0064】
また、保持部30を構成する第1保持部32は、一方の底側第2側壁部14の両端又は両端寄りの位置から延びた第1連結部52の連続曲面部56及び/又は連続側面部58の上端間において分離する、2部材で構成されてもよい。同様にして、保持部30を構成する第2保持部34は、他方の底側第2側壁部14の両端又は両端寄りの位置から延びた第2連結部54の連続曲面部56及び/又は連続側面部58の上端間において分離する、2部材で構成されてもよい。
【0065】
さらに、保持部30を構成する第1保持部32は、一方の底側第1側壁部12の両端又は両端寄りの位置から延びた第1連結部52の連続曲面部56及び/又は連続側面部58の上端間において分離する、2部材で構成されてもよい。同様にして、保持部30を構成する第2保持部34は、他方の底側第1側壁部12の両端又は両端寄りの位置から延びた第2連結部54の連続曲面部56及び/又は連続側面部58の上端間において分離する、2部材で構成されてもよい。
【0066】
また、さらに、保持部30を構成する第1保持部32は、底部10の四隅におけるD2方向の一方側の各曲面部16,16又はD3方向の一方側の各曲面部16,16から延びた第1連結部52の連続曲面部56及び/又は連続側面部58の上端間において分離する、2部材で構成されてもよい。同様にして、保持部30を構成する第2保持部34は、底部10の四隅におけるD2方向の他方側の各曲面部16,16又はD3方向の他方側の各曲面部16,16から延びた第2連結部54の連続曲面部56及び/又は連続側面部58の上端間において分離する、2部材で構成されてもよい。
【0067】
また、保持側第1側壁部32Aは、一方の底側第2側壁部14の両端又は両端寄りの位置から延びた第1連結部52における連続曲面部56及び/又は連続側面部58の上端間に渡し設けられていてもよい。同様にして、保持側第2側壁部34Aは、他方の底側第2側壁部14の両端又は両端寄りの位置から延びた第2連結部54における連続曲面部56及び/又は連続側面部58の上端間に渡し設けられていてもよい。
【0068】
さらに、保持側第1側壁部32Aは、一方の底側第1側壁部12の両端又は両端寄りの位置から延びた第1連結部52における連続曲面部56及び/又は連続側面部58の上端間に渡し設けられていてもよい。同様にして、保持側第2側壁部34Aは、他方の底側第1側壁部12の両端又は両端寄りの位置から延びた第2連結部54における連続曲面部56及び/又は連続側面部58の上端間に渡し設けられていてもよい。
【0069】
また、さらに、保持側第1側壁部32Aは、底部10の四隅におけるD3方向の一方側の各曲面部16,16から延びた第1連結部52における連続曲面部56及び/又は連続側面部58の上端間に渡し設けられていてもよい。同様にして、保持側第2側壁部34Aは、底部10の四隅におけるD3方向の他方側の各曲面部16,16から延びた第2連結部54における連続曲面部56及び/又は連続側面部58の上端間に渡し設けられていてもよい。
【0070】
また、保持部30において、短辺側部32D又は短辺側部34Dは、連続側面部58の一部であってもよい。
【0071】
また、保持部30において、第1保持部32の長辺側部32Cと短辺側部32Dの上面の高さが異なっていてもよい。同様にして、第2保持部34の長辺側部34Cと短辺側部34Dの上面の高さが異なっていてもよい。
【0072】
また、買物カゴ100(又は運搬用容器等)の形状やストッカー1の使用用途に応じて、保持側第1側壁部32Aと保持側第2側壁部34Aの上面の高さが異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 ストッカー
10 底部
12 一対の底側第1側壁部
14 一対の底側第2側壁部
16 曲面部
18 環状連続部
30 保持部
32 第1保持部
32A 保持側第1側壁部
32B 開放側
34 第2保持部
34A 保持側第2側壁部
34B 開放側
50 連結部
52 第1連結部
54 第2連結部
56 連続曲面部
100 買物カゴ
A 設置面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8