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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】植物茎誘引用クリップ
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/12 20060101AFI20230228BHJP
【FI】
A01G9/12 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019082162
(22)【出願日】2019-04-23
(65)【公開番号】P2020178571
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】514074762
【氏名又は名称】有限会社シーム
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(72)【発明者】
【氏名】尾上 凉
【審査官】櫻井 健太
(56)【参考文献】
【文献】特許第4251693(JP,B2)
【文献】実開平06-043309(JP,U)
【文献】特開2001-037346(JP,A)
【文献】特開2001-204267(JP,A)
【文献】特開2001-218529(JP,A)
【文献】登録実用新案第3093333(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の茎を支持する円状の茎保持部を形成する第1挟持片および第2挟持片と、
前記第1挟持片および第2挟持片を開閉可能に連結するヒンジ部と、
前記第1挟持片および第2挟持片を閉じた状態で保持するロック部であり、前記第1挟持片および第2挟持片の開閉方向に平行な面に対して直交する第1方向に可撓であり前記第1挟持片の先端部に形成されたロック片と、前記ロック片の前記第1方向の後方側に形成された係合突起と、前記ロック片が貫通する前記第2挟持片の先端部に形成された開口および前記係合突起が係合する係合部とを有するロック部と
前記第1挟持片および第2挟持片を閉じて前記ロック部により保持した状態における前記ロック片の位置の前記第1方向の前方側に向かって前記第2挟持片の先端部から突設された摘み部と
を有する植物茎誘引用クリップ。
【請求項2】
植物の茎を支持する円状の茎保持部を形成する第1挟持片および第2挟持片と、
前記第1挟持片および第2挟持片を開閉可能に連結するヒンジ部と、
前記第1挟持片および第2挟持片を閉じた状態で保持するロック部であり、前記第1挟持片および第2挟持片の開閉方向に平行な面に対して直交する第1方向に可撓であり前記第1挟持片の先端部に形成されたロック片と、前記ロック片の前記第1方向の後方側に形成された係合突起と、前記ロック片が貫通する前記第2挟持片の先端部に形成された開口および前記係合突起が係合する係合部とを有するロック部と
を有し、
前記ヒンジ部は、前記第1挟持片と前記第2挟持片とを連結する帯状部と、前記第1挟持片および第2挟持片を閉じた状態において前記帯状部の内側となる位置に形成された突起部とから構成される植物茎誘引用クリップ。
【請求項3】
植物の茎を支持する円状の茎保持部を形成する第1挟持片および第2挟持片と、
前記第1挟持片および第2挟持片を開閉可能に連結するヒンジ部と、
前記第1挟持片および第2挟持片を閉じた状態で保持するロック部であり、前記第1挟持片および第2挟持片の開閉方向に平行な面に対して直交する第1方向に可撓であり前記第1挟持片の先端部に形成されたロック片と、前記ロック片の前記第1方向の後方側に形成された係合突起と、前記ロック片が貫通する前記第2挟持片の先端部に形成された開口および前記係合突起が係合する係合部とを有するロック部と
を有し、
紐をコ字状に曲げた状態で締め付ける外側紐挟み部および内側紐挟み部のうちの一方を前記第1挟持片の基部に、他方を前記第2挟持片の基部に有し、
前記外側紐挟み部および内側紐挟み部は、それぞれ前記第1方向に並列配置された2枚の板状の構成部で形成され、前記内側紐挟み部の2枚の板状の構成部は前記外側紐挟み部の2枚の板状の構成部の内側に配置されたものであり、
さらに、前記外側紐挟み部の2枚の板状の構成部の内側であって前記茎保持部側の端部に、前記内側紐挟み部の2枚の板状の構成部の間に進入する柱状部を有する植物茎誘引用クリップ。
【請求項4】
前記第1挟持片および第2挟持片を閉じて前記ロック部により保持した状態における前記ロック片の位置の前記第1方向の前方側に向かって前記第2挟持片の外側に突設された摘み部を有する請求項2または3に記載の植物茎誘引用クリップ。
【請求項5】
前記第1挟持片および第2挟持片を閉じて前記ロック部により保持した状態において前記茎保持部を形成する前記第2挟持片の半円状部を前記ロック片との間で挟む位置に前記第1挟持片の先端部から突設された舌片を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の植物茎誘引用クリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トマト、ナス、キュウリ、メロンやピーマンなどの植物の茎を上から吊された紐に止めて誘引する植物茎誘引用クリップに関する。
【背景技術】
【0002】
トマト、ナス、キュウリ、メロンやピーマンなどの植物の茎は、成長するにつれて上方に伸びていく。従来、上から吊された紐を株元に結び、その結ばれた紐に植物の茎を巻き付け、誘引を行っていたが、トマトなどの長期栽培を行う場合には、茎の成長に伴い、吊り降ろしや移動などの多くの手間を有するため、近年では留め替えや移動などが楽に行える植物茎誘引用のクリップが普及している。
【0003】
従来の植物茎誘引用クリップとして、例えば特許文献1に記載の植物茎誘引用クリップが知られている。図9(a)に示すように、この植物茎誘引用クリップ100は、茎を支持する半円状の茎保持部101a,102aをそれぞれ有する第1挟持片101と第2挟持片102がヒンジ部103で連結され、第1挟持片101および第2挟持片102の基部に、紐をコ字状に曲げた状態で締め付ける内側紐挟み部101bおよび外側紐挟み部102bがそれぞれ形成されたものである。また、第1挟持片101の先端部には係合突起101dを有する可撓性のロック部101cが形成されており、第2挟持片102の先端部には、ロック部101cが貫通する開口102cと係合突起101dが係合する係合部102dが形成されている。
【0004】
この植物茎誘引用クリップ100では、茎が茎保持部101a,102aの間に位置するように、また紐が内側紐挟み部101bと外側紐挟み部102bの間のどこかに位置するようにして、同図(b)に示すように摘み部101g,102gを挟み込むと、ロック部101cが開口102cの内部に入り込み、同図(c)に示すように、最終的には係合突起101dが係合部102dと係合し、指を離しても係合状態が保持されるようになっている。また、この植物茎誘引用クリップを外すときは、ロック部101cの先端部を押して係合突起101dが係合部102dから離れるようにすれば、ヒンジ部103の復元力で第1挟持片101と第2挟持片102が開き、茎と紐を外すことができるようになっている。
【0005】
また、図10は従来の植物茎誘引用クリップの別の例を示している。図10(a)に示すように、この植物茎誘引用クリップ110も同様に、茎を支持する半円状の茎保持部111a,112aをそれぞれ有する第1挟持片111と第2挟持片112がヒンジ部113で連結されたものである。また、第1挟持片111の先端部には係合突起111dを有する可撓性のロック部111cが形成されており、第2挟持片112の先端部には、ロック部111cが貫通する開口112cと係合突起111dが係合する係合部112dが形成されている。
【0006】
この植物茎誘引用クリップ110では、同図(b)に示すように茎120が茎保持部111a,112aの間に位置するように、また紐121がヒンジ部113の内側に位置するようにして挟み込むと、ロック部111cが開口112cの内部に入り込み、図10(a)に示すように、最終的には係合突起111dが係合部112dと係合し、指を離しても係合状態が保持されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第4251693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来の植物茎誘引用クリップ100,110では、ロックを解除する際に、ロック部101c,111cを本体側、すなわち第1挟持片101,111および第2挟持片102,112側へ向かって押すことになる。しかしながら、このロック部101c,111cを押す方向は、第1挟持片101,111および第2挟持片102,112の開閉方向と同じ面内であるため、ロックを解除したときの第1挟持片101,111および第2挟持片102,112の保持が不安定となりやすい。
【0009】
また、図11(a)に示すように、上から吊された紐121(図10(b)参照。)に植物茎誘引用クリップ110を挟み、植物の茎120を吊したとき、通常であればロック部111cの倒し代があるが、同図(b)に示すように、植物茎誘引用クリップ110にかかる植物の荷重や植物の茎120等の肥大化によって、茎保持部111a,112a内側より外側へ力が働いた場合、第1挟持片111および第2挟持片112の形状が膨らみ、ロック部111cの倒し代が狭くなり、係合突起111dの解除がしにくくなったり、外れなかったりする場合がある。
【0010】
そこで、本発明においては、植物の茎等の荷重や茎の肥大等による茎保持部内側から外側への膨らみに対してもロック解除が影響を受けず行え、また、ロック解除の際もクリップの保持が容易な植物茎誘引用クリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の植物茎誘引用クリップは、植物の茎を支持する円状の茎保持部を形成する第1挟持片および第2挟持片と、第1挟持片および第2挟持片を開閉可能に連結するヒンジ部と、第1挟持片および第2挟持片を閉じた状態で保持するロック部であり、第1挟持片および第2挟持片の開閉方向に対して直交する第1方向に可撓であり第1挟持片の先端部に形成されたロック片と、ロック片の第1方向の後方側に形成された係合突起と、ロック片が貫通する第2挟持片の先端部に形成された開口および係合突起が係合する係合部とを有するロック部を有するものである。
【0012】
本発明の植物茎誘引用クリップでは、茎が茎保持部内に位置するようにして第1挟持片および第2挟持片を閉じると、ロック部のロック片が、第1挟持片および第2挟持片の開閉方向に対して直交する第1方向に撓みながら開口の内部に入り込み、最終的にはロック片の第1方向の後方側に形成された係合突起が係合部と係合し、指を離しても係合状態が保持される。そして、この植物茎誘引用クリップを外すときは、ロック片と第2挟持片とを指で挟み、ロック片を第1方向に押すことになるため、ロックを解除したときに第2挟持片を保持しやすい。また、この植物茎誘引用クリップでは、植物の茎等の荷重や茎の肥大等により茎保持部内側から外側への第1挟持片および第2挟持片の膨らみに対して、ロックを解除する際のロック片を押す方向が、第1挟持片および第2挟持片の開閉方向に対して直交する第1方向であるため、ロック片の倒し代が変化することがなく、ロック解除が影響を受けず行える。
【0013】
ここで、第1挟持片および第2挟持片を閉じてロック部により保持した状態におけるロック片の位置の第1方向の前方側に向かって第2挟持片の先端部から突設された摘み部を有するものであることが望ましい。これにより、植物茎誘引用クリップを外すときにロック片と第2挟持片とを指で挟む際、第2挟持片側はその先端部から突設された摘み部を挟むことができるため挟みやすく、また、ロックを解除したときに、この第2挟持片から突設されている摘み部によってさらに第2挟持片を保持しやすい。
【0014】
また、本発明の植物茎誘引用クリップは、第1挟持片および第2挟持片を閉じてロック部により保持した状態において第2挟持片をロック片との間で挟む位置に第1挟持片の先端部から突設された舌片を有することが望ましい。これにより、植物の茎等の荷重や茎の肥大等により茎保持部内側から外側へ力が働いた場合に、この第1挟持片の先端部から突設された舌片で受けるようになり、第2挟持片が膨らむのを防止することができる。
【0015】
ところで、植物の成長に伴う留め替えの際、図9および図10で示されるように、第1挟持片および第2挟持片を折り曲げる際に支点となるヒンジ部(折り曲げ部)を繰り返し180度近く折り曲げたり、図10に示されるように、ヒンジ部で紐を挟んだりする場合、植物の荷重や植物の茎の肥大等による負荷等により耐久性が低下し、劣化が進み、ヒンジ部の破損等で使用不能となる場合が多い。
【0016】
そこで、ヒンジ部は、第1挟持片と第2挟持片とを連結する帯状部と、第1挟持片および第2挟持片を閉じた状態において帯状部の内側となる位置に形成された突起部とから構成されるものであることが望ましい。これにより、第1挟持片および第2挟持片をヒンジ部で折り曲げる際に、折り曲げ角度が突起部の両側に分散され、従来の180度近くから半分の90度程度の折り曲げ角となり、ヒンジ部への負荷を減らすことが可能となる。
【0017】
また、本発明の植物茎誘引用クリップは、第1挟持片および第2挟持片の基部に、紐をコ字状に曲げた状態で締め付ける外側紐挟み部および内側紐挟み部を有し、外側紐挟み部および内側紐挟み部は、それぞれ第1方向に並列配置された2枚の板状の構成部で形成され、内側紐挟み部の2枚の板状の構成部は外側紐挟み部の2枚の板状の構成部の内側に配置されたものであり、さらに、外側紐挟み部の2枚の板状の構成部の内側であって茎保持部側の端部に、内側紐挟み部の2枚の板状の構成部の間に進入する柱状部を有することが望ましい。
【0018】
本発明の植物茎誘引用クリップでは、茎が茎保持部内に位置するようにするとともに紐を内側紐挟み部と外側紐挟み部との間に位置するようにして第1挟持片および第2挟持片を閉じると、茎は茎保持部に挟まれ、紐は外側紐挟み部および内側紐挟み部の間に挟み込まれるとともに、茎保持部側の端部において柱状部が内側紐挟み部の2枚の板状の構成部の間に進入して閉じるため、紐は茎保持部側の端部から茎保持部側へ抜け落ちることが防止される。
【発明の効果】
【0019】
(1)第1挟持片および第2挟持片の開閉方向に対して直交する第1方向に可撓であり第1挟持片の先端部に形成されたロック片と、ロック片の第1方向の後方側に形成された係合突起と、ロック片が貫通する第2挟持片の先端部に形成された開口および係合突起が係合する係合部とを有するロック部により、植物の茎等の荷重や茎の肥大等により茎保持部内側から外側への膨らみに対してもロック解除が影響を受けずスムーズに行え、また、ロック解除の際もクリップの保持が容易な植物茎誘引用クリップが得られる。
【0020】
(2)第1挟持片および第2挟持片を閉じてロック部により保持した状態におけるロック片の位置の第1方向の前方側に向かって第2挟持片の先端部から突設された摘み部を有するものであることにより、植物茎誘引用クリップを外すときに指で挟みやすくなり、また、ロックを解除したときにさらに第2挟持片を保持しやすくなるため、誘引作業の効率化を図ることができる。
【0021】
(3)第1挟持片および第2挟持片を閉じてロック部により保持した状態において第2挟持片をロック片との間で挟む位置に第1挟持片の先端部から突設された舌片を有することにより、植物の茎等の荷重や茎の肥大等により茎保持部内側から外側へ力が働いた場合に、第2挟持片が膨らむのを防止することが可能となる。
【0022】
(4)ヒンジ部が、第1挟持片と第2挟持片とを連結する帯状部と、第1挟持片および第2挟持片を閉じた状態において帯状部の内側となる位置に形成された突起部とから構成されるものであることにより、ヒンジ部への負荷を減らしてヒンジ部の破損を防止することが可能となり、耐久性が向上する。
【0023】
(5)第1挟持片および第2挟持片の基部に、紐をコ字状に曲げた状態で締め付ける外側紐挟み部および内側紐挟み部を有し、外側紐挟み部および内側紐挟み部は、それぞれ第1方向に並列配置された2枚の板状の構成部で形成され、内側紐挟み部の2枚の板状の構成部は外側紐挟み部の2枚の板状の構成部の内側に配置されたものであり、さらに、外側紐挟み部の2枚の板状の構成部の内側であって茎保持部側の端部に、内側紐挟み部の2枚の板状の構成部の間に進入する柱状部を有することにより、紐が茎保持部側の端部から茎保持部側へ抜け落ちることが防止され、安定した植物の誘引を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の形態における植物茎誘引用クリップを示す斜視図である。
図2図1の植物茎誘引用クリップを開いた状態を示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は背面図、(e)は左側面図、(f)は右側面図である。
図3図2の植物茎誘引用クリップの斜視図であって、(a)は正面・平面・左側面側斜視図、(b)は背面・底面・右側面側斜視図、(c)は正面・底面・右側面側斜視図、(d)は背面・平面・右側面側斜視図である。
図4】本発明の実施の形態における植物茎誘引用クリップの使用状態を示す説明図である。
図5】本発明の実施の形態における植物茎誘引用クリップを閉じる様子を示す説明図である。
図6】本発明の実施の形態における植物茎誘引用クリップを指で挟んで開く様子を示す説明図である。
図7】本発明の実施の形態における植物茎誘引用クリップが開く様子を示す説明図である。
図8】ヒンジ部の折り曲げ角度についての説明図である。
図9】従来の植物茎誘引用クリップの例を示す図である。
図10】従来の植物茎誘引用クリップの別の例を示す図である。
図11】従来の植物茎誘引用クリップのロック部の倒し代を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は本発明の実施の形態における植物茎誘引用クリップを示す斜視図、図2図1の植物茎誘引用クリップを開いた状態を示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は背面図、(e)は左側面図、(f)は右側面図、図3図2の植物茎誘引用クリップの斜視図であって、(a)は正面・平面・左側面側斜視図、(b)は背面・底面・右側面側斜視図、(c)は正面・底面・右側面側斜視図、(d)は背面・平面・右側面側斜視図である。
【0026】
図1図3に示すように、本発明の実施形態における植物茎誘引用クリップ1は、植物の茎を支持する円状の茎保持部2を形成する第1挟持片3および第2挟持片4と、第1挟持片3および第2挟持片4を開閉可能に連結するヒンジ部5と、第1挟持片3および第2挟持片4を閉じた状態で保持するロック部6とを有する一体型クリップである。茎保持部2は、図2に示すように、第1挟持片3の半円状部2aと第2挟持片4の半円状部2bとから形成される。
【0027】
ロック部6は、第1挟持片3および第2挟持片4の開閉方向Rに対して直交(図2(a)に現れる面に対して直交)する第1方向X(図2(b)の下方向)に可撓であり、第1挟持片3の先端部に形成されたロック片6aと、ロック片6aの第1方向Xの後方側(図2(b)の上側)に形成された係合突起6bと、ロック片6aが貫通する第2挟持片4の先端部に形成された開口4aおよび係合突起6bが係合する係合部4bとを有する。
【0028】
また、ロック部6には、ロック片6aと平行に延びる第2舌片6cを有する。第2舌片6cは、第1挟持片3および第2挟持片4を閉じる際に、ロック片6aとともに第2挟持片4の開口4a内に進入する。このとき、第2舌片6cは開口4aの下面(第1方向X側の面)4a1に沿う位置に配置され、ロック片6aを押してロックを解除する際に開口4aの下面4a1に当接することにより第1挟持片3が第1方向X側にずれたり、作業中等に簡単に外れたりしないようにするものである。
【0029】
第1挟持片3の先端部には第1舌片3aを有する。第1舌片3aは、第1挟持片3および第2挟持片4を閉じてロック部6により保持した状態において第2挟持片4をロック片6aとの間で挟む位置に突設されている。
【0030】
第2挟持片4の先端部には摘み部4cを有する。摘み部4cは、第1挟持片3および第2挟持片4を閉じてロック部6により保持した状態におけるロック片6aの位置の第1方向Xの前方側に向かって突設されている。
【0031】
第1挟持片3および第2挟持片4の基部には、紐をコ字状に曲げた状態で締め付ける外側紐挟み部7および内側紐挟み部8を有する。外側紐挟み部7および内側紐挟み部8は、それぞれ第1方向に並列配置された2枚の板状の構成部7a,8aで形成されており、それぞれ空隙部7b,8bを有している。また、空隙部8bの中央部には2枚の板状の構成部8aを連結する柱状の連結部8cを有している。第1挟持片3および第2挟持片4を閉じたとき、内側紐挟み部8の2枚の板状の構成部8aは、外側紐挟み部7の2枚の板状の構成部7aの内側に配置される。
【0032】
また、外側紐挟み部7の2枚の板状の構成部7aの内側であって茎保持部2側の端部には、第1挟持片3および第2挟持片4を閉じたときに、内側紐挟み部8の2枚の板状の構成部8aの間に進入する柱状部7cを有する。第1挟持片3および第2挟持片4を閉じたとき、柱状部7cは連結部8cの茎保持部2側に配置される。
【0033】
ヒンジ部5は、第1挟持片3と第2挟持片4とを屈曲自在に連結する薄肉の帯状部5aと、第1挟持片3および第2挟持片4を閉じた状態において帯状部5aの内側となる位置に形成された突起部5bとから構成される。突起部5bは、第1方向Xに延びるU字状断面を有する。また、突起部5bの中央部には、第1挟持片3および第2挟持片4を閉じたときに、内側紐挟み部8の2枚の板状の構成部8aの間に進入する柱状部5cを有する。第1挟持片3および第2挟持片4を閉じたとき、柱状部5cは連結部8cを挟んで柱状部7cの反対側(帯状部5a側)に配置される。
【0034】
図4は本発明の実施の形態における植物茎誘引用クリップの使用状態を示す説明図、図5は本発明の実施の形態における植物茎誘引用クリップを閉じる様子を示す説明図、図6は本発明の実施の形態における植物茎誘引用クリップを指で挟んで開く様子を示す説明図、図7は本発明の実施の形態における植物茎誘引用クリップが開く様子を示す説明図である。
【0035】
図4に示すように、上記本発明の実施の形態における植物茎誘引用クリップ1は、植物の茎120を茎保持部2内に支持して植物の上から吊された紐121に保持するようにして使用する。植物茎誘引用クリップ1は、図5(a)に示す状態から同図(b)に示すように、ヒンジ部5を中心として第1挟持片3および第2挟持片4を折り曲げる。
【0036】
このとき、第1挟持片3および第2挟持片4は自然状態では開こうとする復元力が働くので、片方の手で第1挟持片3および第2挟持片4を適当な角度で挟むことにより、片手で操作することができる。そして、もう一方の手で、茎120と紐121を支持して、茎120が茎保持部2内に位置するように、また紐121が外側紐挟み部7および内側紐挟み部8の間の間に位置するようにして、第1挟持片3および第2挟持片4を閉じていく。
【0037】
そうすると、ロック部6のロック片6aが、第1方向Xに撓みながら開口4aの内部に入り込み、最終的にはロック片6aの第1方向Xの後方側に形成された係合突起6bが係合部4bと係合し、指を離しても係合状態が保持される。これにより、植物の茎120は茎保持部2内に支持され、紐121は外側紐挟み部7と内側紐挟み部8との間に挟み込まれる。なお、紐121は外側紐挟み部7と内側紐挟み部8との間で茎保持部2側またはヒンジ部5側へずれたとしても、第1挟持片3および第2挟持片4を閉じた状態において内側紐挟み部8の空隙部8b内に配置されている柱状部5c,7cにより進路を阻まれ、外側紐挟み部7と内側紐挟み部8との間から抜け落ちることが防止されており、安定した植物の誘引を行うことが可能となっている。
【0038】
そして、この植物茎誘引用クリップ1を外すときは、図6(a)に示すようにロック片6aと第2挟持片4とを指で挟み、図7(a)に示すようにロック片6aを第1方向Xに押して係合突起6bが係合部4bから離れるようにすれば、図7(b)に示すようにヒンジ部5の復元力で第1挟持片3と第2挟持片4とが開く。このとき、ロック片6aの下方(第1方向X)には第2挟持片4の先端部から突設された摘み部4cが存在するため、図6(b)に示すようにロック片6aが指から離脱したときにロック片6aに代えて摘み部4cを指で挟むことができる。そのため、この植物茎誘引用クリップ1では、ロック解除したときに第2挟持片4を保持しやすく、誘引作業の効率化を図ることができる。
【0039】
また、この植物茎誘引用クリップ1では、図5(c),(d)に示すように植物の茎120等の荷重や茎120の肥大等により茎保持部2内側から外側への第1挟持片3および第2挟持片4の膨らみに対して、ロックを解除する際のロック片6aを押す方向が、第1挟持片3および第2挟持片4の開閉方向Rに対して直交する第1方向Xであるため、ロック片6aの倒し代Dが変化することがなく、ロック解除が影響を受けずスムーズに行える。
【0040】
また、この植物茎誘引用クリップ1では、第1挟持片3および第2挟持片4を閉じてロック部6により保持した状態において第2挟持片4をロック片6aとの間で挟む位置に第1挟持片3の先端部から突設された第1舌片3aを有することにより、植物の茎120等の荷重や茎120の肥大等により茎保持部2内側から外側へ力が働いた場合に、この第1舌片3aで受けるようになり、第2挟持片4が膨らむのを防止することができる。
【0041】
また、この植物茎誘引用クリップ1では、図8(a)に示すようにヒンジ部5が、第1挟持片3と第2挟持片4とを連結する帯状部5aと、この帯状部5aの内側となる位置に形成された突起部5bとから構成されているため、同図(b)に示すように第1挟持片3および第2挟持片4をヒンジ部5で折り曲げる際に、帯状部5aの折り曲げ角度が突起部5bの両側に分散され、従来の180度近くから半分の90度程度の折り曲げ角となる。そのため、帯状部5aへの負荷を減らしてヒンジ部5の破損を防止することが可能となっており、耐久性が向上している。
【0042】
なお、上記実施形態においては、外側紐挟み部7を第1挟持片3に、内側紐挟み部8を第2挟持片4に有する構成について説明したが、これらは逆に配置した構成とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の植物茎誘引用クリップは、トマト、ナス、キュウリ、メロンやピーマンなどの植物の茎を上から吊された紐に止めて誘引する植物茎誘引具として有用である。
【符号の説明】
【0044】
1 植物茎誘引用クリップ
2 茎保持部
2a,2b 半円状部
3 第1挟持片
3a 第1舌片
4 第2挟持片
4a 開口
4b 係合部
4c 摘み部
5 ヒンジ部
5a 帯状部
5b 突起部
5c 柱状部
6 ロック部
6a ロック片
6b 係合突起
6c 第2舌片
7 外側紐挟み部
7a 構成部
7b 空隙部
7c 柱状部
8 内側紐挟み部
8a 構成部
8b 空隙部
8c 連結部
図1
図2
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