(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】荷重計の持ち上がり防止デバイス
(51)【国際特許分類】
G01G 21/23 20060101AFI20230228BHJP
【FI】
G01G21/23
(21)【出願番号】P 2020518687
(86)(22)【出願日】2018-09-07
(86)【国際出願番号】 DK2018000091
(87)【国際公開番号】W WO2019068292
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-07-16
(32)【優先日】2017-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】516109358
【氏名又は名称】アイラーセン,ニルス アーゲ ジュール
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】アイラーセン,ニールス アーゲ ジュール
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-034332(JP,U)
【文献】特表2012-512402(JP,A)
【文献】特公平05-019645(JP,B2)
【文献】特開昭62-222136(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第01271720(GB,A)
【文献】独国実用新案第29718113(DE,U1)
【文献】実開平07-005034(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 21/23,
G01L 1/00-1/26,25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重計の中心軸の方向で軸方向荷重を計測するよう構成された、
持ち上がり防止荷重計アセンブリであって、
-第1の端部及び第2の端部を有する、荷重計本体と、
-荷重を加えられる設備の荷重を、前記荷重計本体に、前記荷重計の前記中心軸と同軸方向に移すよう構成された、荷重伝達部材と、
-前記荷重計本体の前記第1の端部を、ベースに確実に装着するよう構成された、第1の接続装置と、
-前記荷重計の前記第2の端部を、前記荷重伝達部材に
確実に装着
し、前記荷重伝達部材が前記荷重計から離れる方向に引っ張られた場合に前記荷重伝達部材が前記荷重計から離れないよう構成された、第2の接続装置と
を備え、
-前記荷重伝達部材は第1の連結部材を備え、前記荷重計は第2の連結部材を備え、前記第1の連結部材及び前記第2の連結部材は、前記荷重伝達部材を前記荷重計の前記第2の端部にしっかりと固定するよう構成され、
-前記第2の連結部材は、前記荷重計の前記第2の端部の側面に配置され、
-前記伝達部材が前記荷重計に装着された際、前記第1の連結部材は、前記伝達部材の前記荷重計との装着面において前記第2の連結部材と対向する位置に配置され、
-前記第1の連結部材及び前記第2の連結部材は、前記第1の連結部材と前記第2の連結部材との間に
隙間(幅
)を提供
し、かつ、前記荷重伝達部材が、前記荷重計の前記中心軸に対して、ある角度で傾くのを可能にする
よう構成されることを特徴とする、荷重計アセンブリ。
【請求項2】
前記荷重伝達部材と接触し得る前記荷重計の前記第2の端部は、球状である、請求項1に記載の荷重計アセンブリ。
【請求項3】
前記荷重計と接触し得る前記伝達部材の接触面は、球状面を有し得る、請求項1または2に記載の荷重計アセンブリ。
【請求項4】
前記第1の連結部材及び第2の連結部材は、係止部材を介して互いに連結される、対向する溝
を有する、請求項1または2に記載の荷重計アセンブリ。
【請求項5】
前記係止部材は、前記対向する溝と係合する、カム、軸受ボール、球体部材、球体ボール、及びボルトであり得る、請求項4に記載の荷重計アセンブリ。
【請求項6】
前記溝の高さは、前記係止部材の高さよりも大きい、請求項4または5に記載の荷重計アセンブリ。
【請求項7】
前記溝は、実質的に矩形の断面であり、円筒形断面を有する前記係止部材に適合される、請求項4~6のうちいずれか一項に記載の荷重計アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重計に負の荷重が作用する逆動作条件下でも、荷重と荷重計との間の接続を確実に保証するためのデバイスに関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、荷重計がサイロ、混合機械などにおいて計量のために使用される設備、及び、荷重を加えられる設備が偶発的に傾くか、または転倒する危険がある設備に関する。
【0003】
これらの状況は、荷重を加えられる設備が、車両によって衝突されるか、または強風もしくは地震の場合に確認される。
【0004】
人に対する明確な危険以外に、荷重を加えられる設備が傾くか、または地面に倒れた場合に、高い費用がかかる恐れも存在する。
【背景技術】
【0005】
図1は、傾きに対して計量設備をしっかりと固定するために一般的に使用される方法であり、ここで、1は荷重計、2はコンクリート面、3は荷重導入部、及び4は荷重を加えられる設備の構造部分である。コンクリート面2に固定された2本のボルトは、梁7の2つの穴6を貫通し、この梁は構造部材4に溶接される。ナット8は、荷重を加えられる設備が荷重計1から持ち上がらないよう、しっかりと固定する。この一般的に使用される計量ソリューションの精度は、梁7がボルト5にもナット8にも接触しないということに、全面的に依拠する。これらの条件は、計量システムの設置によって、及びその後の使用において、実際には破られることが多い。この明確な課題の他にも、長いボルトを伴うこのソリューションは、例えば地震時に確認される強い水平力に対して安定しない。
【0006】
別の一般的なソリューションは、荷重を加えられる設備を、荷重計の上面に取り付けられた1つまたは複数のボルトによってしっかりと固定することであるが、このソリューションは、一定の寄生力を荷重計に導入し、精度を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、荷重計と共に動作可能で、負の力を荷重計に移すことができ、かつ同時に計量の高い精度を伴う簡易な設備を保証する、荷重を加えられる設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、この目的は、荷重を加えられる設備を、係止部材を用いて荷重計に係止することによって実現される。これらの係止部材は、確実な機能を確保し、かつ寄生力を荷重計に導入しない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】傾きに対して計量設備をしっかりと固定するために一般的に使用される方法を示す図である。
【
図2】本発明の荷重計の持ち上がり防止デバイスの第一実施形態の図である。
【
図3】本発明の荷重計の持ち上がり防止デバイスの第二実施形態の図である。
【
図4】本発明の荷重計の持ち上がり防止デバイスの第三実施形態の図である。
【
図5】溝14及び15の中に嵌合する高さの円筒形ローラの形状の係止部材を示す図である。
【
図6】溝14及び15の中に嵌合する高さを有し、かつそれぞれ溝15及び14に嵌合する内径及び外径を有する係止部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図2に示される本発明の実施形態において、荷重計1は、リングまたはプレート10をしっかりと固定するボルト9によって、表面2に締付けられる。荷重を加えられる設備の構造部分4は、荷重計1の力導入部12の球状の上面11に載る。係止部材13は、部分4の溝14及び力導入部12の溝15に位置付けられる。
【0011】
可能であれば球状ボールとして示される係止部材13は、部分4における開口部16を介して溝14及び15の中に導入される。これらの溝は、好ましくは完全に係止部材に満たされ、考えられる最も大きい荷重は、重要な状況において荷重計の持ち上がり防止デバイスによって、確実に吸収され得る。開口部16は、好ましくはネジによって閉じられ、別の開口部16は、好ましくは、荷重計設備の整備を実行するときに、係止部材13を後で容易に取り外せるよう設けられる。係止部材13は、好ましくは、より容易な取り外しのために磁気を帯びる。
【0012】
図3に示される本発明の実施形態において、溝14及び/または可能であれば溝15の高さは、係止部材13の高さもしくは径よりも高い。これによって、荷重計に加えられた荷重が力導入部12の球面11の上にシフトされる際に、寄生的な曲げモーメントを荷重計に導入することなく、部分4が、ある角度に傾くのを可能にする。
【0013】
持ち上がり防止部からの任意の干渉を受けることなく、荷重が球面11に加えられることは、高い精度の計量のための必要条件である。
【0014】
図4に示した本発明の実施形態において、係止部材13は、実質的に矩形の溝14及び15の中に嵌合する係止部材として示され、これらの溝は、係止部材13と同じか、好ましくはより大きい高さを有し得る。
【0015】
図5は、溝14及び15の中に嵌合する高さの円筒形ローラの形状の係止部材を示し、
図6は、溝14及び15の中に嵌合する高さを有し、かつそれぞれ溝15及び14に嵌合する内径及び外径を有する係止部材を示す。
【0016】
本発明のこれらの実施形態は、球状ボールよりも大きい荷重を吸収することができる。
【0017】
図7は、荷重計アセンブリの断面を示し、荷重計1の第1の端部はベース2に装着されてよく(図示せず)、荷重計には、第2の端部である力導入部12が設けられ、荷重伝達部材4から荷重を受け取るよう構成される。荷重伝達部材には、荷重の第2の端部の外径よりも大きいサイズを有する凹部17が設けられ、それによって第2の端部12は、荷重伝達部材の凹部の中に導入され得る。
【0018】
第2の端部12の周縁部には、1つまたは複数の溝が設けられてよく、それらの溝は、中間連結要素13を受け入れるよう適合されてよく、この中間連結要素は、凹部17の側壁に係止される。連結要素13は、径方向に動くよう適合されてよく、それによって、荷重伝達部材を荷重計に設置する前に、連結要素は引っ込んで凹部の側壁が荷重計の第2の端部を覆って滑るのを可能にする。凹部が第2の端部を覆って位置付けられたとき、係止スリーブ18を利用して連結部材13を径方向内側に押圧し、荷重伝達部材が荷重計から外れるのを防止するために、連結部材が溝に係合するのを可能にする。すなわち、連結部材の内径は、係合したときに溝の外径よりも小さく、それによって、荷重伝達部材が荷重計1から離れる方向に引っ張られた場合に、溝の上縁部は連結要素13と係合する。
【0019】
これらの溝は、連結要素の垂直方向寸法よりも大きい垂直方向寸法を有するよう構成され、連結要素が、溝の下縁部と溝の上縁部との間の動きの隙間(幅)を有するのを可能にする。
【0020】
動きの余裕をもたらすことによって、荷重伝達部材4は、連結部材が溝の上縁部と係合することなく、垂直軸(荷重計の中心軸)から離れるように傾くのを可能にする。すなわち、連結要素は、溝に係合することなく溝内で垂直方向に動き得る。これは、荷重伝達部材の角度が付いた動きが、垂直方向以外の方向の力など、いかなる干渉する力も荷重計の中に移さないことを保証する。したがって、荷重伝達部材が傾く動きをもたらす力は、荷重計の第2の端部に影響を与えず、荷重伝達部材に加えられた寄生力は、確実に荷重計から分離される。
【0021】
荷重伝達部材と荷重計の第2の端部との間における、荷重計に向かう方向の装着は、荷重計の接触面と荷重伝達部材の接触面との間で保証され、そのため、荷重計で計測されることになる、荷重伝達部材に加えられた荷重は、荷重計に直接伝達される。しかし、反対方向の装着は、連結要素によってしっかりと固定され、荷重計と荷重伝達部材との間における上向きの方向(荷重計から離れる垂直方向)の動きのいくらかの余地、ならびに荷重計に対する荷重伝達部材の傾く動き、を可能にする。
【0022】
アイテム
1.計測されることになる荷重が、荷重計の球状の上面に直接加えられる、荷重計持ち上がり防止デバイスであって、係止部材が、荷重計の力導入部の溝を、荷重を加えられる設備の構造における溝に係止することを特徴とする、荷重計持ち上がり防止デバイス。
2.溝は、係止部材としての球状ボールに適合される、アイテム1に記載の荷重計持ち上がり防止デバイス。
3.溝は、傾きを許容する高さである、アイテム2に記載の荷重計持ち上がり防止デバイス。
4.溝は、実質的に矩形で、円筒形断面を有する係止部材に適合する、アイテム1に記載の荷重計持ち上がり防止デバイス。