IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シュア リアクターズ リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】開創器
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/02 20060101AFI20230228BHJP
【FI】
A61B17/02
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020526262
(86)(22)【出願日】2018-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 GB2018053199
(87)【国際公開番号】W WO2019086901
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-10-11
(31)【優先権主張番号】1718242.9
(32)【優先日】2017-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521087841
【氏名又は名称】シュア リアクターズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】フォーブス バターフィールド
(72)【発明者】
【氏名】コリン クロスランド
(72)【発明者】
【氏名】ケネス マッコーキンデール
(72)【発明者】
【氏名】ルイス キングスリー
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05779629(US,A)
【文献】国際公開第2017/051226(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0049188(US,A1)
【文献】米国特許第09084591(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2014/0024900(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い支持部と、第1アームと、第2アームと、ドライバと、第1ブリッジ部と、第2ブリッジ部と、第1ラチェット機構と、第2ラチェット機構と、を備え、
前記支持部、その長さの少なくとも一部に沿ってねじ山を有
前記第1アーム、そこから垂れ下がる第1解剖学的構造係合部材を有
前記第2アーム、そこから垂れ下がる第2解剖学的構造係合部材と、前記ねじ山と連携して該第2アームを前記支持部に沿って動かすねじ山付き部分と、を有
前記ドライバは、前記ねじ山付き部分と前記ねじ山との連携によって前記第2アームを前記支持部に沿って動かすように操作可能であり、これにより前記第1及び第2アーム間の距離が変わり、
前記第1ブリッジ部、その第1の端部寄りにて前記第1アームに取り付いており且つその反対側の端部寄りにて前記第2アームに取り付いており、そこから垂れ下がる第3解剖学的構造係合部材を有し、
前記第2ブリッジ部は、
そこから垂れ下がる第4解剖学的構造係合部材を有し、
その第1の端部寄りにて前記第1アームに前記第1ブリッジ部から離された位置で取り付いており且つその第2の端部寄りにて前記第2アームに前記第1ブリッジ部から離された位置で取り付いており、
前記第1ブリッジ部と実質的に平行であり、
記第1及び第2アームに付いているままにして前記第1及び第2アーム上で可動とされ、
前記第1ラチェット機構は、前記第1及び第2アームに沿っての前記第1ブリッジ部の動きを律し、
前記第2ラチェット機構は、前記第1及び第2アームに沿っての前記第2ブリッジ部の動きを律し、
前記第1ラチェット機構の歯は前記第2ラチェット機構の歯と逆方向とされており、前記第1及び第2ブリッジ部は共に妨げられる、開創器。
【請求項2】
前記支持部は実質的に円柱状の形状であり、前記ねじ山は前記支持部の表面上に画定されており、前記第1及び第2アームの各々は前記支持部上にマウントされており且つ前記支持部から離れる方向へと延びている、請求項1に記載の開創器。
【請求項3】
前記第1ブリッジ部が前記第1及び第2アームに取り付けられている場合に前記第1ブリッジ部が前記第1及び第2アーム上で動くことができ、前記開創器は前記第1乃至第3解剖学的構造係合部材によって開創作用を2つの異なる方向においてもたらすように構成されている、請求項1又は2に記載の開創器。
【請求項4】
前記第1ブリッジ部の第1及び第2の端部間の距離が可変であり、これにより前記第1ブリッジ部の長さが可変である、請求項3に記載の開創器。
【請求項5】
前記第1ブリッジ部は、その各々の第1及び第2の端部にてそれぞれ前記第1及び第2アームに着脱可能に取り付けられるように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の開創器。
【請求項6】
前記第1ブリッジ部は、前記第1及び第2アームの上面に亘って延在する前記第1ブリッジ部の端部の環状スナップフィットによって着脱可能に前記アームに取り付く、請求項5に記載の開創器。
【請求項7】
前記第1ラチェット機構の歯はアームの少なくとも一部に沿って画定されており、前記第1ラチェット機構の歯止めは前記第1ブリッジ部の端部内において構成されている、請求項1~6の何れか一項に記載の開創器。
【請求項8】
前記歯止めは、ユーザによって握られまた動かされるように構成された突出を備えるのであり、前記歯止めは前記歯からばねバイアスに対して釈放される、請求項に記載の開創器。
【請求項9】
前記支持部は前記第2アームとの関係で回るのであり、それによって前記第2アームを前記支持部に沿って動かすのであり、支持部の回転は前記ドライバによって駆動される、請求項1~のいずれか一項に記載の開創器。
【請求項10】
前記ドライバは前記支持部とは別のコンポーネントであり、前記ドライバは第1作用部を備えており、前記支持部は第2作用部を備えており、前記ドライバは前記第1及び第2作用部が互いに着脱可能な相互かみ合いによって用いられることになり、前記ドライバの回転は前記支持部へと伝達される、請求項に記載の開創器。
【請求項11】
前記第2アームは第2アーム近位部と前記第2アーム近位部から延びる細長い第2アーム部材とを備えており、前記第2アーム近位部の内表面は前記支持部を取り巻いており、前記ねじ山付き部分は前記第2アーム近位部の前記内表面上に画定されている、請求項1~1のいずれか1つに記載の開創器。
【請求項12】
前記第1アームは第1アーム近位部と前記第1アーム近位部から延びる細長い第1アーム部材とを備えており、前記第1アーム近位部の内表面は前記支持部を取り巻いており、第2ねじ山付き部分は前記第1アーム近位部の前記内表面上に画定されており、前記支持部はその長さの一部に沿って第1ねじ山と第2ねじ山を画定しており、前記第1ねじ山及び前記第2ねじ山は前記支持部の隣り合う長手方向の部分に沿って画定されており、前記第2ねじ山付き部分は前記第2ねじ山と連携して前記第1アームを前記支持部に沿って動かす、請求項1に記載の開創器。
【請求項13】
前記支持部は前記第1及び第2アームとの関係で回転し、前記第1及び第2ねじ山は反対方向に向かっており、前記支持部のある方向における回転は前記第1及び第2アームを前記支持部に沿って同時に且つ反対方向へと動かす、請求項1に記載の開創器。
【請求項14】
前記第1アームは第1アーム近位部と前記第1アーム近位部から延びる細長い第1アーム部材とを備えており、
前記第2アームは第2アーム近位部と前記第2アーム近位部から延びる細長い第2アーム部材とを備えており、
前記第1及び第2アーム部の各々の断面は実質的に楕円状である、請求項1~1のいずれか一項に記載の開創器。
【請求項15】
前記支持部上の前記ねじ山は2つの開始点を持つ、請求項1~1のいずれか一項に記載の開創器。
【請求項16】
前記第1乃至第4解剖学的構造係合部材の各々は、この順に、前記第1アーム、前記第2アーム、前第1ブリッジ部及び前記第2ブリッジ部の上面に亘って延在する前記第1乃至第4解剖学的構造係合部材の端部の環状スナップフィットによって着脱可能に前記第1アーム、前記第2アーム、前記第1ブリッジ部及び前記第2ブリッジ部に取り付く、請求項1~1のいずれか一項に記載の開創器。
【請求項17】
前記第1乃至第4解剖学的構造係合部材の各々は本体を備えるのであり、前記本体の少なくとも1つの遠位エッジは非線形輪郭を画定するのであり、前記第1乃至第4解剖学的構造係合部材は骨のような部位によって画定された非線形輪郭を取り巻く、請求項1~16のいずれか一項に記載の開創器。
【請求項18】
実質的に完全にプラスチック材料によって形成されている、請求項1~17のいずれか一項に記載の開創器。
【請求項19】
脊椎開創器として構成されている、請求項1~18のいずれか一項に記載の開創器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持部と2つのアームとを備える開創器(リトラクタ)であって、2つのアームの少なくとも一方の支持部に沿って他方のアームとの関係で動くように構成されている開創器に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の開創器は、多くの場合2つのアームを備えており、これらは鋏状機構によって互いに可動とされている。特許文献1は開創器についての代替形式について説明しており、支持部上に2つのアームがマウントされており、アーム及び支持部上のねじ状の輪郭の連携によって2つのアームの少なくとも一方が支持部に沿って可動とされており、これにより2つのアーム間の距離が変わることになる。
【0003】
本発明の発明者は特許文献1に示されている形式の開創器に対しての改良をもたらしたのであり、機能性が増大することになる。したがって、本発明の目的は、2つのアームが支持部上にマウントされており、2つのアームの少なくとも1つは支持部に沿って可動とされており、これにより2つのアーム間の隔たりは可変とされている、改良された開創器を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】英国特許出願公開第2,547,792号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の観点によれば、次の要素を備える開創器を提供する:
細長い支持部であって、その長さの少なくとも一部に沿ってねじ山を有する、細長い支持部と、
第1アームであって、そこから垂れ下がる第1解剖学的構造係合部材(anatomy engaging member)を有する、第1アームと、
第2アームであって、そこから垂れ下がる第2解剖学的構造係合部材と、ねじ山と連携して該第2アームを支持部に沿って動かすねじ山付き部分と、を有する、第2アームと、
ねじ山付き部分とねじ山との連携によって第2アームを支持部に沿って動かすように操作可能なドライバであって、これにより第1及び第2アーム間の距離が変わる、ドライバと、
ブリッジ部であって、その第1の端部寄りにて第1アームに取り付いており且つその反対側の端部寄りにて第2アームに取り付いており、そこから垂れ下がる第3解剖学的構造係合部材を有している、ブリッジ部とを備える。
【0006】
開創器は、細長い支持部であってその長さの少なくとも一部に沿ってねじ山を画定する細長い支持部を、備える。支持部はまっすぐたり得る。また、支持部は、一般的に円柱状の形状とされ得るのであり、ねじ山は支持部の表面上にて画定され得る。開創器は次の要素をさらに備える:第1及び第2アームであって、第1アームに付いている第1解剖学的構造係合部材と第2アームに付いている第2解剖学的構造係合部材とを伴う、第1及び第2アーム。第1及び第2アーム部の各々は、支持部から離れる方向に延び得る。第1及び第2アームの少なくとも1つは、まっすぐたり得る。第2アームはねじ山とかみ合うねじ山付き部分を画定するのであって支持部に沿って第2アームが動かされるためのものである。開創器はまた、第2アームを支持部に沿って(例えば外科医等が)動かすように操作可能なドライバであって該ドライバはねじ山付き部分とねじ山との連携によってこれをなし第1及び第2アーム間の距離が変わる、ドライバを備える。開創器は第1及び第2アームが互いに平行であるように構成されていることができ、より具体的には、互いにアラインメントを得た状態とされ得る。
【0007】
開創器は、ブリッジ部であって、その第1の端部にて第1アームに取り付いており且つその反対側の端部にて第2アームに取り付いており、ブリッジ部はそこから垂れ下がる第3解剖学的構造係合部材を有している、ブリッジ部をさらに備える。ブリッジ部はまっすぐたり得る。開創器は第1及び第2アーム並びにブリッジ部が実質的に同じ平面に存するように構成され得る。
【0008】
ブリッジ部が第1及び第2アームに取り付けられたままにして、ブリッジ部は第1及び第2アーム上で可動とされ得る。このように、開創器は、第1乃至第3解剖学的構造係合部材によって開創作用を2つの異なる方向においてもたらすように構成されている。例えば、開創作用は次の方向に関してもたらされ得る:第1及び第2解剖学的構造係合部材との間に延びる第1の方向、及び、第3解剖学的構造係合部材から離れる方向に延びる第2の方向。支持部と第1及び第2アームとブリッジ部とは、第1乃至第3解剖学的構造係合部材に対して安定した支持をもたらす。さらに、開創器の設定故に、第1乃至第3解剖学的構造係合部材の分離距離を容易に変化させることができ、より具体的には第1乃至第3解剖学的構造係合部材の分離距離を次第に変化させることができる。
【0009】
ブリッジ部に関しては、その長さ(即ち、第1及び第2の端部の間の分離距離)を可変とすることができる。したがって、ブリッジ部の長さを、第1及び第2アームの間の分離距離が変化するに応じて、変えることができる。ブリッジ部は伸縮式とすることができる。ブリッジ部は、第1の端部を備える第1ブリッジ部コンポーネントと、第2の端部を備える第2ブリッジ部コンポーネントとを備え得るのであり、第2ブリッジ部コンポーネントの近位端は、第1ブリッジ部コンポーネントの近位端内にて伸縮的に受け入れられることができる。
【0010】
ブリッジ部は、その各々の第1及び第2の端部にてそれぞれ第1及び第2アームに着脱可能に取り付けられるように構成され得る。ブリッジ部の第1及び第2端部の各々はブリッジ部外形を画定し得るのであり、これはアームの輪郭と連携して、ブリッジ部がアームから離脱することに抗うのであり、その一方でブリッジ部がアームに沿って動くことを許容する。ブリッジ部輪郭は、主輪郭部を有することができ、これはアームの第1の表面上、即ち開創器使用時におけるアームの上表面、に亘って延びることができる。主輪郭部及び第1のアーム表面は対応する形状を有することができ、主輪郭部及び第1表面は隣り合いより具体的には実質的に隣接している。ブリッジ部輪郭は主輪郭部の各端部にて第1及び第2外側部を有することができ、これらは各々アームの第2表面の一部に亘って延びるように成形されておりそれは第1表面との関係で逆方向に向けられている。第1及び第2外側部の遠位端は互いに離されていることができブリッジ部輪郭はそれらを取り巻いておらず第1外側部の遠位端が第2外側部の遠位端に対向している。したがってブリッジ部輪郭はアームを取り巻くことなくアームの周りに巻き付くことができる。ブリッジ部は、ブリッジ部輪郭をアームの遠位端上で滑らせることによって、アームに取り付けることができる。ブリッジ部輪郭が弾力的な材質で画定されている場合、ブリッジ部はアーム上で所定位置にクリップされ得る。
【0011】
開創器は、ブリッジ部を第1及び第2アームの各々に沿って動かせるように構成され得る。ブリッジ部の第1及び第2端部の各々にてブリッジ部輪郭は成形されていることができ、また、アームは上述のように成形されていることができ、それによってブリッジ部輪郭が各々のアーム上で動くことを許容でき、その一方でブリッジ部は前記第1及び第2アームに付いたままである。開創器は、ブリッジ部がアームに沿って動いていく態様を律する為のラチェット機構を備え得る。ラチェット機構の歯は、アームの少なくとも一部に沿って画定され得る。ラチェット機構の歯止めはブリッジ部の端部内にて備えられていることができる。ラチェット機構の歯は、第1の方向のみへ歯止めが歯の上を動いていくことを許容するものとして構成されることができる。歯は、歯止めが各歯の面に対して接するように構成されていることができこれは第1の方向の逆の第2の方向に向かってであり、第2の方向への動きが妨げられる。ブリッジ部は、歯から手動で歯止めを離すように動かすように構成されていることができ、歯に向かってのばねバイアスに逆らっているものとすることができる。歯止めが歯から離されるように動かされると、ブリッジ部は第2の方向に動かされることができる。歯止めは突出を備え得るのであり、これはユーザによって例えば指と親指で握られるように構成されており、歯止めが歯から外されて第2の方向にブリッジ部が動くことが許され得る。突出はブリッジ部から延び得るのであり、より具体的にはアームから離れる方向へと延び得る。歯止めはブリッジ部と一体的に形成されていることができ、歯止めは一体丁番によってアームの歯との関係で動く。
【0012】
開創器は第2ブリッジ部をさらに備え得る。第2ブリッジ部はその第1の端部寄りにて第1アームに第1ブリッジ部から離された位置で取り付いていることができる。また、第2ブリッジ部はその第2の端部寄りにて第2アームに第1ブリッジ部から離された位置で取り付いていることができる。第2ブリッジ部が第1及び第2アームに取り付けられたままにして、第2ブリッジ部は第1及び第2アーム上で可動とされ得る。第2ブリッジ部はそこから垂れ下がる第4解剖学的構造係合部材を有することができる。開創器は、第1及び第2解剖学的構造係合部材が互いに対向しており、第3及び第4解剖学的構造係合部材が互いに対向しているように構成され得る。したがって、開創作用は、第1及び第2解剖学的構造係合部材の間の第1の方向並びに第3及び第4解剖学的構造係合部材の間の第2の方向にもたらされることができる。
【0013】
開創器は、第1及び第2の方向が実質的に直交しているものとなるように構成され得る。開創器は、第1及び第2アーム並びに第1及び第2ブリッジ部が実質的に同じ平面に存するように構成され得る。第1及び第2アーム並びに第1及び第2ブリッジ部は、四角形の空間をそれらの間に画定することができる。
【0014】
第2ブリッジ部及びアームは、第1ブリッジ部のラチェット機構とは別のラチェット機構を備え得る。ラチェット機構は、第1ブリッジ部のラチェット機構と同じ形態及び機能を有することができる。例外としては、第1ブリッジ部のラチェット機構用の歯の第1セット及び第2ブリッジ部のラチェット機構用の歯の第2セットは、逆方向に向いていることができる。
【0015】
歯についての第1及び第2セットは、歯止めが各々の歯のセットの上を反対方向へと動くことを許容するように構成され得る。例えば、第1ブリッジ部が第1及び第2アームの近位端により近い場合(即ち、第2ブリッジ部より支持部に近い場合)、歯止めが噛んでいる時に第1ブリッジ部が支持部寄りへと動くことを許容するように歯の第1セットを構成することができ、また、歯止めが噛んでいる時に第2ブリッジが支持部から離れるように動くことを許容するように歯の第2セットを構成することができる。このように、第1及び第2ブリッジ部を離すように容易に動かして開創作用の度合いを増大させることができる。開創作用の度合いを減少させることを望む場合、上述のように、第1及び第2ブリッジ部の少なくとも1つの歯止めが、その連携している歯のセットから開放されて、第1及び第2ブリッジ部の間の分離距離の減少を可能とする。
【0016】
別の実施形態では、開創器は1つのブリッジ部のみを備える。第1乃至第3解剖学的構造係合部材は、部位と作用する様に構成された本体を備え得る。第1乃至第3解剖学的構造係合部材は、隣り合う本体が互いに約120度程度離されているように構成され得る。
【0017】
支持部と第2アームについて述べるに、支持部は第2アームとの関係で回るのであり、それによって第2アームを支持部に沿って動かすことができる。
【0018】
ドライバは第1作用部を備え得るのであり、支持部は第2作用部を備え得るのであり、第1及び第2作用部は着脱可能に互いとかみ合うように構成されておりドライバの動きを支持部に伝達する。第1及び第2アーム間の分離距離を変更することが望まれる場合、ドライバを支持部とかみ合わせることができる。ドライバを作動させた後、ドライバを支持部から外すことできる。
【0019】
第2アームが支持部の回転によって支持部に沿って動かされると、第1及び第2作用部は着脱可能に互いとかみ合うように構成されていることができ、ドライバの回転を支持部に付与し得る。第1作用部はドライバの端部内にて構成され得る。第2作用部は支持部の端部内にて構成され得る。第1及び第2作用部は互いに締結する輪郭を画定し得る。
【0020】
ドライバは例えばT字型ハンドル等の手で握ることのできる部分を備えることができ、ドライバはユーザによって回されることがでできる。開創器は、手で握ることのできる部分及び支持部が同じ軸の周りで回されるものとして構成され得る。
【0021】
第2アームはねじ山付き部分を備える近位部を備え得る。近位部は、支持部を取り巻くように構成することができる。第2アームは、近位部から延びる細長い第2アーム部をさらに備え得る。第2アーム部は、近位部に固定的に取り付けられていることができる。近位部及び第2アーム部は、単一的なものたり得る。近位部及び第2アーム部は、一体的に形成され得る。
【0022】
支持部はその長さの少なくとも一部に沿って第2ねじ山を画定でき、支持部の異なる部分に沿って第1ねじ山が画定され得る。第1ねじ山及び第2ねじ山は、支持部の隣り合う部分に沿って画定され得る。支持部は第1及び第2の半分部分をその長さに沿って有していることができ、第1の半分部分は第1ねじ山を画定し、第2の半分部分は第2ねじ山を画定する。第1アームは第2ねじ山と協働する第2ねじ山付き部分を画定し得るのであり、支持部に沿って第2アームが動かされ得る。ドライバは、第1及び第2アームの各々を支持部に沿って同時に動かせるものとして動作させることができ、第1及び第2アーム両方の動きによって第1及び第2アーム間の分離距離が変化する。第1及び第2ねじ山は逆向きに延びることができ、第1及び第2ねじ山付き部分との関係での支持部の動き(より具体的には回転)が、第1及び第2アームを反対方向へと動かす。
【0023】
第1アームは第2ねじ山付き部分を備える近位部を備え得る。近位部は、支持部を取り巻くように構成することができる。第1アームは、近位部から延びる細長い第1アーム部をさらに備え得る。第1アーム部は、近位部に固定的に取り付けられていることができる。第1アームの近位部及び第1アーム部は、単一的なものたり得る。第1アームの近位部及び第1アーム部は、一体的に形成されたものたり得る。
【0024】
支持部と第1及び第2アームについて述べるに、支持部は第1及び第2アームとの関係で回るのであり、それによって第1及び第2アームの両方を支持部に沿って動かすことができる。上述のように、ドライバは支持部とかみ合って支持部を回転させることができる。第1及び第2アームの分離距離はこのようにして変えることができる。
【0025】
第1及び第2アーム部の少なくとも一方の断面は、実質的に楕円状とされ得る。実質的に楕円状の断面を用いるとねじれ抵抗及び曲げ応力に関して適切なバランスをもたらすということが見出されている。細長い第1アーム部についての断面幅と断面高さの比については、1.5と2.5との間とし得る。より具体的には、細長い第1アーム部についての断面幅と断面高さの比については、2とすることができる。例えば、断面幅は20mmとし、断面高さは10mmとすることができる。
【0026】
支持部は、その長さの同じ部分に沿っての複数のねじ山を備え得る。ねじ山付き部分は、それに応じて適宜構成し得る。一方では、ねじ山の個数を増やすとそれに応じてリード角が増え、それによって第2アームが支持部に沿って移動する量が増える。他方で、ねじ山の個数を増やすと自己締結の蓋然性を減らすことになる。自己締結は、第2アームが支持部に沿って押されて行ってしまったり引っ張られて行ってしまう蓋然性を減らすという限りでは望ましいこととなり得る。したがって、自己締結をもたらす度合い及び第2アームについての回転に対して移動量の度合いについて妥協を見出すことになろう。本発明の1つの態様によれば、支持部上のねじ山は2つの開始点を有することができる。
【0027】
解剖学的構造係合部材について述べるに、これはアーム又はブリッジ部に対して実質的直交方向に延びるものとして構成され得る。解剖学的構造係合部材は、アーム又はブリッジ部に着脱可能に取り付くように構成され得る。解剖学的構造係合部材は、環状スナップフィットによってアーム又はブリッジ部に着脱可能に取り付くことができる。スナップフィット取り付けは、アーム又はブリッジ部に被さる解剖学的構造係合部材の部分の弾性によってもたらされ得る。より具体的には、解剖学的構造係合部材は作用部材輪郭を画定でき、これはアーム又はブリッジ部との機械的作用をもたらすものとなる。係合部材輪郭(engaging member profile)並びにアーム若しくはブリッジ部について述べるに、解剖学的構造係合部材(anatomy engaging member)はアーム又はブリッジ部にクリップオンされる。係合部材輪郭は、上述のブリッジ部輪郭と実質的に同様にして構成され得る。
【0028】
解剖学的構造係合部材は本体を備え得る。本体は細長いプレートとしての形状を有し得る。細長いプレートは実質的には長方形たり得る。さらに、本体は開創作用の方向においては凹形となり得るも、両凹的とはならない。開創器が4つの解剖学的構造係合部材を備える場合、解剖学的構造係合部材の曲面は丸みのある断面空間を集合的に画定できるも、隣り合う解剖学的構造係合部材のペアの各々の間にギャップを伴う空間を伴う。本体の遠位エッジは例えば凹形の輪郭や波状の輪郭等の非線形輪郭を画定し得る。非線形輪郭によって、解剖学的構造係合部材が、骨のような部位によって画定された非線形輪郭を取り巻くことが可能となり得る。
【0029】
開創器は2つの解剖学的部位(例えば脊椎骨や筋肉及び組織)を離れて保持するように構成され得る。開創器は外科手術用開創器具たり得る。より具体的には、開創器は脊椎開創器たり得る。代替的に又は追加的には、開創器は腰椎、頸椎、若しくは胸椎についての椎間板切除術、脊髄除圧術、椎弓切除術、又は椎間孔拡大術用に構成され得る。
【0030】
例えば支持部や第2アームなどの開創器の少なくとも一部は、プラスチック材料で形成され得る。より具体的には、開創器は実質的には全部プラスチック材料で形成され得る。x線がプラスチック材料を透過し得る。開創器はしたがって手術野を妨げないことになり得る。プラスチック材料はポリアミドとすることができ、より具体的には例えばポリアリールアミド等の部分的芳香族ポリアミドとすることができる。ねじ山付き部分は、少なくとも部分的には、開創器の他の部分とは異なるプラスチック材料で形成され得る。より具体的には、第2部分は、少なくとも部分的には、熱可塑性ポリマーで形成され得るのであり、より具体的には、例えばナイロン等のポリアミドで形成され得る。ねじ山付き部分をナイロン等で形成する場合、第2アームが支持部に沿って動く際に低摩擦をもたらし得る。開創器の幾つかの部分は例えば射出成形等によって一体的に形成され得る。例えば、第1及び第2アームは各々一体的に形成され得る。さらなる例を挙げるに、解剖学的構造係合部材又は支持部は一体的に形成できる。
【0031】
本発明のさらなる観点によれば、次の要素を備える開創器を提供する:細長い支持部であってその長さの少なくとも一部に沿ってねじ山を有する、細長い支持部と、第1アームであってそこから垂れ下がる第1解剖学的構造係合部材(anatomy engaging member)を有する第1アームと、第2アームであって、該第2アームはそこから垂れ下がる第2解剖学的構造係合部材とねじ山付き部分とを有しており、該ねじ山付き部分はねじ山と協働して第2アームを支持部に沿って動かす、第2アームと、第2アームを支持部に沿って動かすように操作可能なドライバであって、該ドライバはねじ山付き部分とねじ山との連携によってこれをなし第1及び第2アーム間の距離が変わる、ドライバとを備える。
【0032】
本発明のさらなる実施形態は、本発明の第1の態様の特徴を1つ以上備え得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
後述の詳細な説明にあたれば本発明のさらなる特徴及び利点について悟ることができるのであり、これは添付の図面を参照して例示的に示されているに過ぎない。
【0034】
図1】本発明の実施形態による開創器についての上面図である。
図2A】支持部を伴わない状態での開創器についての斜視図である。
図2B】ブレードに取り付けられたロッドについての斜視図である。
図3A】ブレードを伴わない状態での開創器についての斜視図である。
図3B】ブリッジ部についての斜視図である。
図4】ブレードを伴わない本発明の別の実施形態による開創器についての斜視図である。
図5A】アーム及び2つのブリッジ部の各々の部分についての斜視図である。
図5B図5Aのアームについての斜視図である。
図5C】別の実施形態によるブリッジ部の部分についての斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の実施形態による開創器10について図1に示されており、また、図2Aに斜視図が示されている。開創器10は、細長い支持部14を備える。開創器10は、第1アーム16及び第2アーム18をも含み、各々は支持部14に沿っての動きのためにマウントされている。開創器10は、第1ブリッジ部20及び第2ブリッジ部22をさらに備える。開創器10は、ドライバ24をさらに備える。
【0036】
第1アーム16は、支持部14を包囲する近位部分26と、近位部分26から延びる細長い第1アーム部28とを備える。第1アーム部28は、近位部分26と一体的に形成されている。第2アーム18は、支持部14を包囲する近位部分30と、近位部分30から延びる細長い第2アーム部30とを備える。第2アーム部32は、近位部分30と一体的に形成されている。図2Aから分かるように、第1及び第2アーム部28,32は実質的に平行である。第1及び第2アーム部の各々の断面は、実質的に楕円状である。各アーム部の断面幅は20mmであり、断面高さは10mmである。
【0037】
支持部14の外部の半分は第1ねじ山34を画定し、支持部14の外部の他方の半分は第2ねじ山36を画定する。第1及び第2ねじ山34,36は反対方向に向かっており、各ねじ山は支持部14の各々の端部へと向かって延びる。第1及び第2ねじ山34,36の各々は2つのスタート部を有する。2つの近位部分16,30の各々の内部はねじ山を付された部分を画定しており、それらは第1及び第2ねじ山34,36の各1つと機械的にかみ合わさる。後述の説明からより明らかになるが、支持部14がその縦軸周りで回転すると、第1及び第2アーム16,18の各々が支持部14に沿って反対方向(即ち、接近するか離反するように)動くのであり、これは各近位部分26,30上のねじ山付き部分が第1及び第2ねじ山34,36の各1つと協調することによって果たされる。
【0038】
ドライバ24は、ハンドルシャフト40の第1端部上にマウントされたT字型ハンドル38を備える。ハンドルシャフト40の反対側の第2端部は、支持部14の端部に着脱可能に取り付けられており、該取り付けは、ハンドルシャフト40の第2端部内のシェーピングされた窪みとして設けられている第1着脱可能カプリング部と、支持部14の両端の各々上に対応するようにシェーピングされた突起として設けられている第2着脱可能カプリング部とを介してなされる。支持部14の端部にドライバ24が装着されると、第1及び第2の着脱可能カプリング部は連結してドライバの回転を支持部へと伝達する。T字型ハンドル38の回転は、支持部14に回転を与えるのであり、これによって第1及び第2アーム間の距離が変化する。第1及び第2アーム16,18で駆動するのが軽負荷の場合、ドライバ24は不要であり、支持部14は手で回転される。別の不図示の実施形態では、ハンドルシャフト40は自在継手を備えており、ハンドル38は、支持部14の回転軸に対して角度付けされた軸の周りを回転する。
【0039】
第1及び第2ブリッジ部20,22の各々は第1及び第2アーム16,18に着脱可能に取り付けられており、第1及び第2アームに沿って離された位置において取り付けがなされている。さらに、第1及び第2ブリッジ部20,22は、第1及び第2アーム16,18に沿って動かすことができる。第1及び第2ブリッジ部20,22については以下に詳述する。
【0040】
開創器10は、4つのブレード42をさらに備える(これらは解剖学的構造係合部材(anatomy engaging member)を構成する)。図1及び図2から分かるように、第1のブレード42が第1アーム16に取り付けられており、第2のブレード42が第2アーム18に取り付けられており、各ブレードはそれぞれのアームに実質的に直交方向に付いている。第3のブレード42は第1ブリッジ部20に取り付けられており、第4のブレード42は第2ブリッジ部22に取り付けられており、各ブレードはそれぞれのアームに実質的に直交方向に付いている。4つのブレード42は、支持部の回転によって支持部14の縦軸に平行な第1方向における開創作用(retraction)と、第1及び第2ブリッジ部20,22の離反動作によって第1方向に対して実質的に直交方向の第2方向における開創作用とをもたらす。
【0041】
ブレード42のそれぞれは近位端にて係合部材輪郭を画定するのであり、ブレードはアームにクリップオンされて着脱可能にかみ合わせてありつつ、アームに取り付けられている間はブレードがアームに沿って動くことが可能とされている。係合部材輪郭の形状は、後述のブリッジ部輪郭と同じである。各ブレード42は、ブレードの本体の遠位端内に2つの窪み44を画定しており、2つの窪みは本体の幅に亘って離されている。ブレードの本体の形状は実質的に四角形のプレート状であり、その幅方向に関してカーブが画定されている。図1から分かるように、4つのブレード42の曲面は、総合的に円形断面の空間を画定するのであるも、隣接するブレードの各ペア間にギャップを伴う空間が伴う。
【0042】
図2Aを参照するに、各ブレード42は円柱状ロッキング部材46を備えており、これはブレードの近位端の上面から延びている。円柱状ロッキング部材46がブレードの残部との関係で相対的に回転することによって、伸縮可能な第1及び第2ブリッジ部コンポーネントの伸縮動作に関して、伸縮可能な第1及び第2ブリッジ部コンポーネントがロック及びロック解除される。第1及び第2ブリッジ部コンポーネントについては以下詳述する。円柱状ロッキング部材46はロッドによって回転されるのであり、該ロッドの端部は、円柱状ロッキング部材に被さりはまるように成形され、且つ、円柱状ロッキング部材の側面内に画定されている輪郭とかみ合うように形成されている。図2Bにおいて、ロッド50は円柱状ロッキング部材46を介してブレード42に取り付けられている態様で示されている。ロッド50の端部が、円柱状ロッキング部材の側面内にて画定された輪郭とかみ合うことによって、トルクが、ロッドから、円柱状ロッキング部材46へと伝達されることが可能となる。円柱状ロッキング部材46に取り付けられている場合、ロッド50は、ブレード42を、アーム又はブリッジ部にクリップオンしたり外したりするためにも用いられるのであり、これはアーム又はブリッジ部周りにトルクを掛けることによってなされる。図2Bから分かるように、円柱状ロッキング部材46に被さりはまる端部の反対側の、ロッド50の端部51は、星形の穴を有し、該穴は支持部14の端部に被さりはまり且つそれとかみ合うように形成されている。ハンドル24の代わりにロッド50を用いて支持部14を回して、それによって第1及び第2アームの距離を変えることができる。親指サイズのタブ48が、各ブレード42の近位端の脇から延びる。ロッドを用いる代わりに、親指サイズのタブ48を一方又は他方の方向へと手動で押して、ブレード42を、アーム又はブリッジ部にクリップオンしたり外したりできる。
【0043】
開創器10は、実質的に全部プラスチック材料で形成されている。開創器100の大部分は、ポリアリールアミド(polyarylamide)で形成されている。例外について述べるに、各近位部分26,30のねじ山輪郭はナイロンで形成されている。より具体的には、内部面にてねじ山輪郭を画定するナイロン製カラー(collar)が、近位部分26,30によって画定されている穴内にて受け入れられ且つ然るべき所にクリップインされる。別の形態によれば、各近位部分26,30のねじ山輪郭は、ポリアリールアミドで形成されており、カラーは不要となる。開創器の幾つかの部分は射出成形によってittaikeiseされる。例えば、第1及び第2アーム16,18はそれぞれ一体的に形成される。さらなる例を挙げるに、ハンドル38及びハンドルシャフト40は一緒に一体的に形成される。
【0044】
図3Aにおいてブレードを伴わない開創器10についての斜視図が示されており、図3Bにおいては第1及び第2ブリッジ部だけが示されている。図1及び図2に示されている開創器と共通するコンポーネントは、同様の参照符合を伴って図3A及び図3Bにて付番されている。そのような共通のコンポーネントについての説明に関しては、図1及び2との関連で上述された説明を参照されたい。図3Bから分かるように、第1及び第2ブリッジ部20,22は同様である。第1及び第2ブリッジ部20,22の各々は、第1ブリッジ部コンポーネント52と、第2ブリッジ部コンポーネント54とを備える。第1ブリッジ部コンポーネント52の近位端は、第2ブリッジ部コンポーネント54の近位端を受け入れるように成形された穴を、画定しており、それにより伸縮調整によってブリッジ部20,22を可変長のものとする。支持部14の回転によって第1及び第2アーム16,18の距離を増大させると、第2ブリッジ部コンポーネント54の近位端が、第1ブリッジ部コンポーネント52の端部内にて画定された穴から引き抜かれていく。支持部14の逆方向への回転によって第1及び第2アーム16,18の距離を減少させると、第2ブリッジ部コンポーネント54の近位端が、第1ブリッジ部コンポーネント52の端部内にて画定された穴により深く受け入れられていく。
【0045】
上述のように、各ブリッジ部20,22は、各々の第1及び第2の端部をそれぞれアーム16,18に着脱可能に取り付けられるように構成されている。ブリッジ部の第1及び第2端部56,58の各々はブリッジ部輪郭60を画定し得るのであり、これはアームの輪郭と連携して、ブリッジ部がアームから離脱することに抗う。ブリッジ部輪郭は主輪郭部62を有するのであり、これはアームの上面に亘って延びる。ブリッジ部輪郭60は、主輪郭部62の各端部にて第1及び第2外側部64,66をも有しており、各々は、アームの側面の上に延びてそしてアームの下面に少しの距離延びるように成形されている。したがって、第1外側部64の遠位端は、第2外側部66の遠位端と対向しているのであり、第1及び第2外側部の遠位端同士はアームの下面において互いに離されている。ブリッジ部20,22は、ブリッジ部輪郭60をアームの遠位端上に滑らせることによって、アーム16,18に取り付けられる。代替的に、そしてブリッジ部20,22が弾力的な材質で作られていることに鑑みれば、ブリッジ部の端部56,58がアームの上面に押し付けられて、第1及び第2外側部64,66の遠位端の遠位端が押し広げられるのであってブリッジ部輪郭60によって画定された空間内にアームが受け入れ可能となる程に押し広げがなされる。ブリッジ部輪郭60によって画定された空間内にアームが正常に受け入れられたらば、弾性材料によって掛けられた歪みによって第1及び第2外側部64,66の遠位端が再接近するのであり、ブリッジ部20,22はアーム16,18に確実に取り付けられたことになり、その一方でブリッジ部はアームに沿って動くことが可能とされる。
【0046】
図4には、本発明の別の実施形態による開創器70を、ブレードを伴わずに示す。図1、2、3A、3Bに示されている開創器と共通するコンポーネントは、同様の参照符合を伴って図4にて付番されている。そのような共通のコンポーネントについての説明に関しては、図1、2、3A、3Bとの関連で上述された説明を参照されたい。図4の実施形態との関係での相違点について以下説明する。
【0047】
図4の開創器70は、上述した第1及び第2ブリッジ部20,22とは異なる形態の第1及び第2ブリッジ部72,74を備える。図4の第1及び第2ブリッジ部72,74は、それぞれのアームに着脱可能に取り付くのでありまた上述のブレードを支持する。図5において、アーム及び図4の開創器の2つのブリッジ部の各々の部分についてのさらに詳しい斜視図が示されている。図4に示されているアーム及びブリッジ部と共通する部分は、同様の参照符合を伴って図5Aにて付番されている。第1及び第2ブリッジ部72,74の各々は、その上面から延びるタブ76を備える。タブ76は例えば指と親指とを用いてユーザが握れる大きさとされ得るのであり、それによってブリッジ部72をアームに沿って容易く動かすことを可能にできる。
【0048】
図5Aから分かるように、そして(図5Aのアーム単体についての斜視図たる)図5Bからより明らかに分かるように、第1の歯のセット78及び第2の歯のセット80がアームの側面において画定されている。第1の歯のセット78は、第1ブリッジ部72が所在するアーム28の近位部に沿って並んでおり、第2の歯のセット80は、第2ブリッジ部74が所在するアーム28の遠位部に沿って並んでいる。図5Aから分かるように、そして(第2ブリッジ部74についての詳細な斜視図たる)図5Cからより明らかに分かるように、第2ブリッジ部は、ブリッジ部本体から切り出されたフィンガー82を備えるのであって、これは一方の端においてブリッジ部本体にのみ付いたままとなっており一体丁番を画定する。図5A及び図5Cにて不図示であるも、フィンガー82の遠位端は、ブリッジ部輪郭60によって画定された空間内へと延びる突出を画定する。フィンガー82は歯止めを構成する。突出は、フィンガー82が掛けたばねバイアスによって、アームに沿って並んでいる第2の歯のセット80に向かって寄せられるような所に配置されている。
【0049】
第2の歯のセット80内の歯は、フィンガー82によって構成された歯止めが歯の上で動くことを可能とするように、成形されており、即ちブリッジ部について支持部から離れる第1の方向へとなされる。第2の歯のセット80内の歯は次のことを可能とするようにさらに成形されている:フィンガー82によって構成された歯止めが歯の表面に接してそれによってブリッジ部が支持部へと向かう第2の方向へと動くことに関して妨げること。ユーザがブリッジ部74を支持部へと動かすことを望む場合、ユーザはフィンガー82の外表面から延びるタブ84を握って、フィンガーを引いて即ちばねバイアスに抗って突出を第2の歯のセット80から離すのであって、ブリッジ部を支持部へ向かっての動きに関して釈放する。第1の歯のセット78は第2の歯のセット80と類似した形状を有しているが、第1のセットの歯は第2のセットの歯と逆方向とされており、歯止めが噛んでいる場合には第1ブリッジ部72は支持部へ向かって動くことができ、第1ブリッジ部の歯止めがユーザによって外されている場合に限って支持部から離れるように動かし得る。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C