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特許7233746殺菌ユニットを用いたマスクの廃棄処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】殺菌ユニットを用いたマスクの廃棄処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/16 20060101AFI20230228BHJP
   A61L 2/20 20060101ALI20230228BHJP
   A61L 2/10 20060101ALI20230228BHJP
   B09B 3/70 20220101ALI20230228BHJP
   A61L 11/00 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
A61L2/16
A61L2/20 100
A61L2/10
B09B3/70
A61L11/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020564677
(86)(22)【出願日】2020-11-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-24
(86)【国際出願番号】 KR2020015321
(87)【国際公開番号】W WO2022014789
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2020-11-13
(31)【優先権主張番号】10-2020-0088057
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520444694
【氏名又は名称】チョン、ジュニョン
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ジュニョン
【審査官】堀 洋樹
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111298148(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111036657(CN,A)
【文献】特表2005-511482(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0085847(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00-12/14
B09B 1/00-5/00
B09C 1/00-1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄用マスクが投入される投入口が設けられる本体と、
本体の内部に前記マスクを粉砕して断片を生成する粉砕部と、
前記断片を殺菌する殺菌性物質が放出される殺菌ユニットと、
前記断片を回収する回収部と、
前記本体の内部において前記殺菌性物質を循環させる循環部と、を備え
前記回収部は、内部床に前記殺菌性物質が流れ込んで前記回収部の内部に放出される投入部を備え、
前記回収部の内部に前記断片がたまると、前記投入部を介して前記各断片同士の間の隙間に前記殺菌性物質が浸透して前記断片を殺菌することを特徴とする、
殺菌ユニットを用いたマスクの廃棄処理装置。
【請求項2】
前記粉砕部から生成される断片が前記殺菌性物質に設定時間の間に晒されるように前記断片を搬送する搬送部をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の殺菌ユニットを用いたマスクの廃棄処理装置。
【請求項3】
前記本体に前記本体の外部に吹き付けられる消毒剤及び消毒タオルの少なくとも一方が供給される消毒部をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の殺菌ユニットを用いたマスクの廃棄処理装置。
【請求項4】
前記回収部にたまる断片を紫外線で殺菌する紫外線殺菌部をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の殺菌ユニットを用いたマスクの廃棄処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌性物質を用いたマスクの廃棄処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、医療廃棄物は、医療機関などから排出される廃棄物であって、人体に感染など危害を与える虞がある廃棄物のことをいう。場合によって、感染性廃棄物と呼ばれることもある。
【0003】
かような医療廃棄物としては、脱脂綿、包帯、ガーゼ、使い捨て注射器、輸液セットなどが挙げられ、これらの廃棄物は、血液、体液、糞尿、輸液などにより汚れた状態にあり得る。
【0004】
また、医療廃棄物は、人体に有害な成分を含有していたり、感染などを引き起こしたりする虞があるため、通常、一般的な廃棄物と区別されて厳しい管理下で処理されている。医療廃棄物を処理する最も普遍的な方法は、焼却することである。
【0005】
これはこれまでも最も広く用いられてきている方法であり、韓国の場合、ほとんどの医療廃棄物が焼却により処理されている。一般に、焼却装置は、医療廃棄物を燃焼させる焼却炉、燃焼中に生じる排ガスを浄化させるための集塵器、排ガスを冷却させる熱交換器などから構成されている。
【0006】
このような医療廃棄物の処理装置は、大韓民国登録特許第10-1117069号に開示されており、開示されている連続式医療廃棄物の処理装置は、医療廃棄物を粉砕して排出する粉砕処理部と、粉砕された医療廃棄物を高温の圧力蒸気で滅菌処理する熱処理部と、熱処理部の蒸気圧を保持し、粉砕された医療廃棄物を供給し且つ排出する入出力装置と、入出力装置を介して排出される悪臭を燃やすバーナーと、バーナーに悪臭を流れ込ませるファンから構成されて、熱処理部において生じる悪臭を取り除く悪臭除去装置と、から構成される。
【0007】
しかしながら、上述した如き従来の技術による医療廃棄物の処理装置は、医療廃棄物を破砕する過程において外部に病原菌が拡散する虞があるだけではなく、針やチューブなどの内部は滅菌が完全に行われないという不都合がある。
【0008】
したがって、これを改善することが求められる。一方、大韓民国登録特許第10-1926259号(登録日:2018年11月30日)には、「マイクロ波及び熱風を用いた医療廃棄物の処理方法」が開示されており、大韓民国登録特許第10-1779296号(登録日:2017年9月11日)には、「マイクロ波を用いた搬送スクリュー型医療廃棄物の処理方法」が開示されている。
【0009】
従来の医療廃棄物の処理装置は、その構成が複雑であり、しかも、非常に大型であるため、家庭用に使用するには無理があり、移動にも制限がある。これまで、使い捨てマスクを廃棄する装置はまったくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】大韓民国登録特許第10-1117069号公報
【文献】大韓民国登録特許第10-1926259号公報(登録日:2018年11月30日)
【文献】大韓民国登録特許第10-1779296号公報(登録日:2017年9月11日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前述した従来の技術が抱えている不都合を解決するために案出されたものであり、移動が簡便でありながらも小型化することができ、マスクを手軽に粉砕することができる他、殺菌性物質を循環させながら、紫外線を用いて粉砕済みのマスク断片に生息する有害菌を99.99%以上取り除くことのできる殺菌ユニットを用いたマスクの廃棄処理装置を提供するところにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的を達成するために、本発明は、廃棄用マスクが投入される投入口が設けられる本体と、本体の内部に前記マスクを粉砕して断片を生成する粉砕部と、前記断片を殺菌する殺菌性物質が放出される殺菌ユニットと、前記断片を回収する回収部と、を備える、殺菌ユニットを用いたマスクの廃棄処理装置を提供する。
【0013】
また、前記殺菌ユニットを用いたマスクの廃棄処理装置は、前記粉砕部から生成される断片が前記殺菌性物質に設定時間の間に晒されるように前記断片を搬送する搬送部をさらに備えていてもよい。
【0014】
さらに、前記殺菌ユニットを用いたマスクの廃棄処理装置は、前記本体の内部において前記殺菌性物質を循環させる循環部をさらに備えていてもよい。
【0015】
さらにまた、前記回収部は、内部床に前記殺菌性物質が流れ込んで前記回収部の内部に放出される投入部を備えるが、前記回収部の内部に前記断片がたまると、前記投入部を介して前記各断片同士の間の隙間に前記殺菌性物質が浸透して前記断片を殺菌してもよい。
【0016】
さらにまた、前記殺菌ユニットを用いたマスクの廃棄処理装置は、前記本体に前記本体の外部に吹き付けられる消毒剤及び消毒タオルの少なくとも一方が供給される消毒部をさらに備えていてもよい。
【0017】
これらに加えて、前記殺菌ユニットを用いたマスクの廃棄処理装置は、前記回収部にたまる断片を紫外線で殺菌する紫外線殺菌部をさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、廃棄用マスクを一定の大きさに粉砕して断片を生成し、殺菌性物質に断片を一定の時間の間に晒して断片を満遍なく殺菌することができる。
【0019】
また、回収部にマスク断片がたまっても、たまった断片の内部に殺菌性物質を浸透させて回収部にたまったマスク断片を殺菌し続けることができる。
【0020】
さらにまた、殺菌性物質を循環させてマスク断片及び処理装置の内部もまた殺菌することができる。
【0021】
さらにまた、回収部にマスク断片がたまると、たまった断片の上に紫外線の光を出射してマスク断片を殺菌し続けることができる。
【0022】
さらにまた、マスクの廃棄後に、消毒剤を用いて処理装置の外部または手を消毒することができて、処理装置が汚れたり身体が感染されたりすることを防ぐことができる。
【0023】
さらにまた、断片を一定量だけ移動させることができて、断片を満遍なく殺菌することができる。
【0024】
さらにまた、回収部への断片のたまり具合を検出することにより、回収部から断片があふれることを防ぐことができる。
【0025】
さらにまた、破砕機に衣服もしくは手袋などが巻き込まれる場合、非常ボタンを用いて破砕機の作動を直ちに止めることができる。
【0026】
さらにまた、破砕機に異物が挟まれて作動されなければ、排出ボタンを押して破砕機を逆に作動させることにより、異物を排出することができる。
【0027】
これらに加えて、ディスプレイ部を介して処理装置の現在の状態を把握することができ、殺菌ユニット、搬送部、粉砕部、循環部、紫外線殺菌部及び消毒部を手軽に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態に係る殺菌ユニットを用いたマスクの廃棄処理装置を概略的に示す斜視図。
図2】本発明の実施形態に係る殺菌ユニットを用いたマスクの廃棄処理装置における粉砕部、搬送部及び回収部を概略的に示す斜視図。
図3】本発明の実施形態に係る殺菌ユニットを用いたマスクの廃棄処理装置を概略的に示す側断面図。
図4】本発明の実施形態に係る殺菌ユニットを用いたマスクの廃棄処理装置の作動状態を概略的に示す側断面図。
図5】本発明の実施形態に係る殺菌ユニットを用いたマスクの廃棄処理装置における搬送部の他の例を適用した側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好適な実施形態についてさらに詳しく説明するが、周知の技術的部分については、説明の簡潔さのために省略もしくは簡略化する。
【0030】
図1から図5に示すように、本発明の実施形態に係る殺菌ユニットを用いたマスクの廃棄処理装置は、本体1と、粉砕部2と、搬送部3,3’と、回収部4と、殺菌ユニット5と、循環部6と、消毒部7と、紫外線殺菌部及び制御部8を備える。
【0031】
本体1は、外形をなし、粉砕部2と、搬送部3と、回収部4と、殺菌ユニット5と、循環部6と、消毒部7及び制御部8を収めるものであって、ハウジング11と、側壁12と、仕切り壁14と、内部床15及び扉16を備える。
【0032】
ハウジング11は、外形をなし、上端に廃棄用マスクM(使い捨てマスク)が投入される投入口111が設けられ、粉砕部2と、搬送部3と、回収部4と、殺菌ユニット5と、循環部6と、消毒部7及び制御部8を収める内部空間112が形成される。
【0033】
側壁12は、内部空間112を縦に仕切るパネルであって、ハウジング11の内部に配置されるが、右側に偏って配置される。これにより、側壁12を基準として内部空間112の右側の空間には粉砕モーター21及び搬送モーター35が配置され、残りの構成要素を内部空間112の左側の空間に配置することにより、マスク断片Pが駆動部分に挟まれて誤作動が起こることを防ぐことができる。
【0034】
仕切り壁14は、ハウジング11の内部の後方に通路113を形成するものであって、内部空間112の後方に配置されるが、一方の端はハウジング11の上部の内面に密着され、下端は内部床15と接続される。これについては後述する。
【0035】
内部床15は、ハウジング11の内部の下部に通路113を形成するものであって、ハウジング11の床から一定の距離だけ離れて配置され、一方の端はハウジング11の前方の内面に密着され、他方の端は仕切り壁14の下端と接続される。これにより、ハウジング11の後方と床に「L」字状の通路113が形成され、この通路113を介して殺菌性物質が移動することができる。
【0036】
扉16は、ハウジング11の前面のある領域を開閉するものであって、ロック部161を備える。これにより、扉16を用いてハウジング11の前面を開閉することができ、ロック部161を用いて扉16をロックすることにより、回収部4が前方に離脱することを防ぐことができる。
【0037】
粉砕部2は、廃棄用マスクMを一定の大きさの断片に粉砕するものであって、ハウジング11の内部空間112に配設され、制御部8により制御され、粉砕モーター21と、粉砕カッター22及びギア23を備える。
【0038】
粉砕モーター21は、粉砕カッター22を回転させるものであって、ハウジング11の内部空間112における右側に配置され、ギア23と接続され、制御部8により回転方向及び回転速度が制御される。
【0039】
粉砕カッター22は、廃棄用マスクMを一定の大きさの断片に粉砕するものであって、一対が設けられるが、概ねヘリカルギア23状のカッター刃が噛み合って配置され、ハウジング11の内部空間112における左側に配置され、ギア23と接続される。
【0040】
ギア23は、粉砕カッター22を回転させるものであって、ハウジング11の内部空間112における右側に配置されるが、粉砕カッター22の一方の端にそれぞれ配設されて粉砕カッター22と接続され、噛み合っており、これらの一方は粉砕モーター21と接続される。これにより、粉砕モーター21が作動すれば、ギア23が回転し、ギア23が回転すれば、粉砕カッター22が回転する。したがって、粉砕カッター22が正回転すれば、廃棄用マスクMが粉砕カッター22の間に巻き込まれながらマスクMが粉砕され、このとき、粉砕カッター22を逆転させれば、廃棄用マスクMが投入口111から排出される。すなわち、粉砕カッター22にマスクM以外の異物が一緒に巻き込まれると、粉砕カッター22を逆転させて異物を取り除いた後、再びマスクMを粉砕することにより、粉砕カッター22が損傷されることを防ぐことができる。
【0041】
搬送部3は、粉砕済みのマスク断片Pを一定の速度で搬送させるものであって、駆動ローラー31と、搬送ベルト32及び搬送モーター35を備える。
【0042】
駆動ローラー31は、搬送ベルト32を駆動するものであって、一対が設けられ、ハウジング11の内部空間112における左側に配置されるが、前方及び後方にそれぞれ配置され、これらの一方は搬送モーター35と接続される。ここで、前方に配置される駆動ローラー31は、粉砕済みのマスク断片Pが回収部4の中央部分に落ちるように内部空間112の中間部分に配置される。
【0043】
搬送ベルト32は、粉砕カッター22から落ちるマスク断片Pを回収部4に落とすものであって、駆動ローラー31に装着され、外面に断片を搬送しやすいように凹凸が形成されてもよい。これについては後述する。
【0044】
搬送モーター35は、搬送ベルト32を回転させるためのものであって、ハウジング11の内部空間112における右側に配置され、後方に配置された駆動ローラー31と接続され、制御部8により回転速度が制御される。これについては後述する。
【0045】
これにより、搬送モーター35が作動すれば、駆動ローラー31が回転し、駆動ローラー31が回転すれば、搬送ベルト32が作動し、搬送モーターの回転速度に応じて搬送ベルト32の回転速度が変速され、これによって、マスク断片の移動速度が決定される。例えば、廃棄すべきマスクの投入量が少量であれば、搬送モーターの回転速度を遅らせてマスク断片の移動速度を下げ、廃棄すべきマスクの投入量が多量であれば、搬送モーターの回転速度を速めてマスク断片の移動速度を上げる。したがって、搬送ベルト32にマスク断片がたまって粉砕カッターと干渉が生じることを防ぐことができる。
【0046】
一方、搬送部3’は、図6に示すように、複数枚の搬送パネル37のみから構成されてもよい。すなわち、搬送パネル37は、マスク断片Pが回収部4の中央に落ちるように短尺状に、かつ、前端が下向きに傾くように配置される。これにより、粉砕部2からマスク断片Pが落ちると、搬送パネル37に乗って回収部4に自由落下する。ここで、搬送パネル37は、角度に応じて断片の移動速度が決定されるが、断片が最も遅く移動できる範囲の角度に配置される。これは、マスク断片が回収部4にたまらないうちに殺菌性物質に十分に晒されてマスク断片を容易に殺菌するためである。このとき、第1の検出部S1は省略されてもよい。
【0047】
回収部4は、粉砕済みのマスク断片Pを回収する桶であって、上部が開口された略直方体の形状に形成されるが、前面のある領域は、後述する取っ手(図示せず)が突出しないように後方に凹み、回収部4の床に投入部42及び第1の貫通孔151と接続される複数の第2の貫通孔41が形成され、本体1の内部床に載せられる。これにより、搬送部3から落ちるマスク断片Pは回収部4に回収され、殺菌性物質は、第1の貫通孔151及び第2の貫通孔41を介して回収部4の内部に流れ込む。この詳細については後述する。
【0048】
また、回収部4は、投入部42及び取っ手(図示せず)を備える。
【0049】
投入部42は、回収部4の内部に殺菌性物質を供給しながら拡散させるものであって、多数が設けられる。
【0050】
さらに、投入部42は、概ねコーン状に形成されるが、外面にマスク断片Pは通過できず、殺菌性物質のみが通過できる微細な孔が形成されるか、あるいは、網目状に形成され、回収部4の内部に一定の間隔を隔てて配置されるが、下端が第2の貫通孔41と接続される。これにより、第1の貫通孔151及び第2の貫通孔41を介して入ってくる殺菌性物質は、投入部42の内部に流れ込み、投入部42の外部に排出されることにより、回収部4にたまったマスク断片Pを殺菌し続けることができる。
【0051】
取っ手は、ハウジング11から回収部4を容易に取り出したり挿入したりするためのものであって、回収部4の前面に配設される。これにより、扉16を開き、取っ手を用いて回収部4を手軽に取り出したり挿入したりすることができる。
【0052】
殺菌ユニット5は、殺菌性物質を放出するものであって、ハウジング11の内部に配置されるが、搬送部3,3’の上部に配置され、制御部8により制御される。これにより、殺菌ユニット5が作動すれば、殺菌性物質が本体1の内部に放出される。
【0053】
ここで、殺菌ユニット5は、オゾン、プラズマイオン、高電圧により放出されるイオンクラスターを用いても良い。すなわち、オゾンを用いる場合には、無声放電法、電解法、光化学法、高周波電界法及び放射線照射法などがあるが、エネルギー効率面と性能の安定性、操作及び制御のしやすさを考慮して、無声放電方式を用いることが好ましい。また、イオンクラスターは、空気中の酸素分子のイオンの集合体で、生じたイオンが空気中の水分と結合した後、酸素イオンとラジカルが一塊になってイオンクラスターが生成される。すなわち、酸素の陰イオン/陽イオン、水酸化基、過酸化基は強力な馴染み性を有するため、集団の形状に固まってイオンクラスターとして形成された後、約120秒の間に活動する。このとき、120秒の間に活動しながら悪臭の成分、細菌及び真菌類などを分解し且つ窒息させた後、酸素や水分子に再び還元される。
【0054】
したがって、オゾン、プラズマイオン及びイオンクラスターの少なくともいずれか一つを本体の内部において循環させてマスク断片を満遍なく殺菌することができる。
【0055】
循環部6は、本体1の内部において殺菌性物質を循環させるものであって、制御部8により制御され、第1の送風ファン61及び第2の送風ファン62を備える。
【0056】
第1の送風ファン61は、殺菌性物質を本体1の内部において循環させるものであって、複数が設けられるが、仕切り壁14の上部と殺菌ユニット5の下部にそれぞれ配設され、制御部8により回転速度が制御される。これについては後述する。
【0057】
第2の送風ファン62は、殺菌性物質を回収部4の内部に供給するためのものであって、複数が設けられ、内部床15の底面に配設されるが、第1の貫通孔151にそれぞれ配設され、制御部8により回転速度が制御される。これにより、第1の送風ファン61が作動すれば、殺菌性物質が通路113を介して下部に移動し、第2の送風ファン62を介して殺菌性物質が投入部42に注入され、投入部42に注入された殺菌性物質が外部に放出される。このように、投入部42の外部に放出された殺菌性物質は、上部に配置された第1の送風ファン61により内部空間112の上部に移動し、通路113に再び注入される。このとき、殺菌性物質が上部に移動すれば、搬送中のマスク断片Pを殺菌することができる。なお、粉砕カッター22が循環する殺菌性物質に晒されているため、粉砕カッター22も一緒に殺菌される。
【0058】
消毒部7は、マスクMの殺菌処理後に、装置を消毒したり作業者の手を消毒したりするためのものであって、消毒剤吹付け部71及び消毒タオル部72を備える。
【0059】
消毒剤吹付け部71は、消毒液(図示せず)が本体1の内部に配置され、入り口は前面に形成されるが、扉16の上部に配置され、制御部8により吹き付け量が制御される。これにより、消毒剤吹付け部71の入り口に手またはタオルを入れ、タッチスクリーン81を介して消毒剤吹付け部71を作動させると、消毒剤吹付け部71から消毒液が吹き付けられることにより、マスクMを投入した手を消毒することができる。
【0060】
消毒タオル部72は、消毒液のついたタオルが排出されるものであって、入り口は消毒剤吹付け部71の隣に設けられ、制御部8により排出量が制御される。これにより、消毒タオル部72を介して消毒液のついたタオルが排出されれば、本体1の外面を拭き取って消毒することができ、消毒液が足りない場合には、消毒剤吹付け部71の入り口にタオルを入れ、消毒液を吹き付けてタオルに消毒液を濡らして用いてもよい。
【0061】
紫外線殺菌部9は、回収部4にたまったマスク断片Pを紫外線の光で殺菌するものであって、ハウジング11の内部の両側の内面に配設されるが、搬送ベルト32と回収部4との間に配置され、回収部4に向かって下向きに傾くように配設される。これにより、回収部4にたまったマスク断片Pを2次的に殺菌することができて、マスク断片Pに生息する有害菌を99.99%以上取り除くことができる。
【0062】
制御部8は、粉砕部2と、搬送部3と、殺菌ユニット5と、循環部6と、紫外線殺菌部及び消毒部7の少なくとも一つを制御するものであって、本体1の内部に配置され、タッチスクリーン81と、非常停止ボタン82と、正回転ボタン83と、逆転ボタン84と、第1の検出部S1及び第2の検出部S2を備える。
【0063】
タッチスクリーン81は、本体1の上部に配設されるが、投入口111の後方に配置され、所定量傾くように配置される。また、タッチスクリーン81は、粉砕部2と、搬送部3と、殺菌ユニット5と、循環部6及び消毒部7の少なくとも一つを制御するためのコマンドを入力してもよく、制御部8により制御される。これにより、タッチスクリーン81を介して粉砕カッター22の回転方向、粉砕速度、搬送速度、殺菌性物質の放出量、殺菌性物質の循環速度、紫外線の放出時間及び消毒部7の作動を制御することができる。
【0064】
非常停止ボタン82は、粉砕部2の作動を停止させるものであって、本体1の上部に配置されるが、タッチスクリーン81の隣に配置される。これにより、粉砕カッター22に衣服または手袋などの異物がマスクMとともに巻き込まれると、非常停止ボタン82を押して粉砕部2の作動を停止させることができる。
【0065】
逆転ボタン84は、粉砕カッター22の回転方向を逆転させるものであって、本体1の上部に配置されるが、タッチスクリーン81の隣に配置される。これにより、非常停止ボタン82を押して粉砕部2の作動が止まった状態で逆転ボタン84を押すと、粉砕カッター22が逆転しながら巻き込まれた異物及びマスクMが投入口111から排出される。
【0066】
正回転ボタン83は、粉砕カッター22の回転方向を正回転させるものであって、本体1の上部に配置されるが、タッチスクリーン81の隣に配置される。これにより、粉砕カッター22に異物が挟まれた状態で逆転ボタン84を押しても異物が排出されなければ、正回転ボタン83と逆転ボタン84をこの順に押して粉砕カッター22に挟まれた異物を少しずつ取り除くことができる。したがって、粉砕カッター22が損傷されることを防ぐことができる。
【0067】
第1の検出部S1は、搬送ベルト32にたまったマスク断片Pの高さを検出して情報を生成するものであって、仕切り壁14に配設されるが、上部に配置された第1の送風ファン61の下に配置され、制御部8と接続される。これにより、制御部8は、第1の検出部S1から生成された情報を受信し、マスク断片Pのたまり具合をタッチスクリーン81を用いて報知し、これに基づいて、搬送部3の作動及び搬送速度を制御することにより、搬送ベルト32にマスク断片Pがたまり過ぎることを防ぐことができる。
【0068】
第2の検出部S2は、回収部4にたまったマスク断片Pの高さを検出して情報を生成するものであって、消毒部7の背面に配設され、制御部8と接続される。これにより、制御部8は、第2の検出部S2から生成された情報を受信し、これに基づいて、回収部4にたまったマスク断片Pの回収時期をタッチスクリーン81を介して出力することにより、回収部4からマスク断片Pがあふれることを防ぐことができる。
【0069】
ここで、制御部8は、投入口111に投入されるマスクMを検出する第3の検出部S3をさらに備えていてもよい。これにより、投入口111にマスクMを投入すれば、第3の検出部S3がこれを検出し、マスクMが検出されれば、粉砕部2を自動的に作動させることができる。すなわち、投入口111にマスクMが投入されなければ、粉砕部2は停止し、投入口111にマスクMが投入される度にのみ粉砕部2を作動させてもよい。これにより、粉砕部2の寿命を延ばすことができ、さらに、省エネルギーを図ることができる。
【0070】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態に係る殺菌ユニットを用いたマスクの廃棄処理装置の作動状態について説明する。
【0071】
回収部4が本体1の内部に挿入された状態で、タッチスクリーン81を用いて殺菌ユニット5及び循環部6を作動させる。
【0072】
殺菌ユニット5が作動して本体1の内部に殺菌性物質が一定量満たされれば、投入口111に廃棄用マスクMを投入する。
【0073】
マスクMが投入口111に投入されれば、第3の検出部S3がこれを検出し、制御部8が粉砕部2を作動させる。
【0074】
粉砕部2が作動すれば、マスクMが粉砕カッター22に巻き込まれ、粉砕カッター22により一定の大きさの断片に粉砕される。
【0075】
粉砕済みのマスク断片Pは、搬送ベルト32の上にたまり、たまり具合に応じて、制御部8が搬送部3を作動させる。
【0076】
搬送部3が作動すれば、マスク断片Pが一定の速度で前方に移動し、移動し続ければ、回収部4に落ちる。
【0077】
このとき、殺菌性物質は、搬送する最中にマスク断片Pを殺菌する。すなわち、マスク断片Pの搬送速度を最小化させることにより、マスク断片Pを殺菌性物質に最大限に晒して殺菌することができて、マスクMに残っている有害菌を最大限に殺菌することができる。
【0078】
また、回収部4にマスク断片Pがたまっても、投入部42を介して殺菌性物質が各マスク断片P同士の間の隙間に浸透することにより、マスク断片Pを殺菌し続けることができ、紫外線殺菌部9から出射する紫外線の光でもう一回殺菌することにより、有害菌を99.99%以上取り除くことができる。
【0079】
さらに、殺菌性物質が本体1の内部において循環し続けることにより、本体1の内部が汚れることを防ぐことができ、回収部4及び粉砕カッター22を別途に殺菌しなくても、循環する殺菌性物質により消毒されることにより、粉砕カッター22及び回収部4が汚れることを防ぐことができる。
【0080】
上述した本発明について説明するに当たって、たとえその実施形態が異なっているとしても、同じ構成要素に対しては同じ参照番号を付し、必要に応じてその説明を省略することがある。
【0081】
以上述べたように、本発明についての具体的な説明は、添付図面に基づく実施形態により行われたが、上述した実施形態は本発明の好適な例を挙げて説明したものにすぎないため、本発明が上記の実施形態にのみ限定されるものと理解されてはならない。よって、以上において説明したものの他にも、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の実施形態についての説明だけでも容易に前記実施形態と同じ範囲内の他の形態の本発明を実施することができるか、あるいは、本発明と均等な領域の発明を実施することができる筈である。
【符号の説明】
【0082】
1 本体
11 ハウジング
111 投入口
112 内部空間
113 通路
12 側壁
14 仕切り壁
15 内部床
151 第1の貫通孔
16 扉
161 ロック部
2 粉砕部
21 粉砕モーター
22 粉砕カッター
23 ギア
3,3’ 搬送部
31 駆動ローラー
32 搬送ベルト
35 搬送モーター
37 搬送パネル
4 回収部
41 第2の貫通孔
42 投入部
5 殺菌ユニット
6 循環部
61 第1の送風ファン
62 第2の送風ファン
7 消毒部
71 消毒剤吹付け部
72 消毒タオル部
8 制御部
81 タッチスクリーン
82 非常停止ボタン
83 正回転ボタン
84 逆転ボタン
S1 第1の検出部
S2 第2の検出部
S3 第3の検出部
9 紫外線殺菌部
M マスク
P マスク断片
図1
図2
図3
図4
図5