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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】カードキーホルダ
(51)【国際特許分類】
   H01H 27/00 20060101AFI20230228BHJP
   H01H 36/00 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
H01H27/00 G
H01H36/00 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021008429
(22)【出願日】2021-01-22
(65)【公開番号】P2021125461
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-04-01
(31)【優先権主張番号】P 2020019281
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001074
【氏名又は名称】クロイ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100145229
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 雅則
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 和徳
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-016773(JP,A)
【文献】特開2018-077746(JP,A)
【文献】実開平03-033928(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 27/00
H01H 36/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋内に設置され、前記部屋の入り口に設置された扉の解錠を行うためのカードキーを保持するカードキーホルダであって、
内側に前記カードキーの少なくとも一部が配置される配置領域を有するホルダ本体と、
少なくとも1つの電極を有し、前記配置領域に配置された対象物と前記少なくとも1つの電極との間の静電容量に基づいて、前記対象物が前記カードキーであるか否かを判別するカードキー検出モジュールと、を備え、
前記カードキーは、導体パターンが埋設されており、
前記カードキー検出モジュールは、
前記対象物を前記ホルダ本体の外側から前記配置領域へ移動させるときにおける、前記対象物と前記少なくとも1つの電極との間の静電容量の時間履歴に基づいて、前記対象物が前記カードキーであるか否かを判別する、
カードキーホルダ。
【請求項2】
記カードキー検出モジュールは、複数の電極を有し、前記対象物の少なくとも一部が前記配置領域に配置された状態における、前記対象物と前記複数の電極それぞれとの間の静電容量に基づいて、前記対象物が前記カードキーであるか否かを判別する、
請求項に記載のカードキーホルダ。
【請求項3】
前記複数の電極は、前記カードキーの少なくとも一部が前記配置領域に配置された状態において、前記カードキーの厚さ方向で前記導体パターンに対向する第1電極と、前記導体パターンに対向しない第2電極と、を含む、
請求項に記載のカードキーホルダ。
【請求項4】
前記ホルダ本体は、箱状であり、周壁の一部に前記カードキーを予め設定された第1方向に沿って前記ホルダ本体の内側へ挿入するための開口部が設けられ、
前記カードキー検出モジュールは、前記少なくとも1つの電極が厚さ方向における一面側に配設された回路基板を有し、
前記回路基板は、前記配置領域に前記第1方向と直交する第2方向において前記少なくとも1つの電極が前記配置領域に対向する姿勢で前記ホルダ本体の内側に配置されている、
請求項1からのいずれか1項に記載のカードキーホルダ。
【請求項5】
前記カードキー検出モジュールは、複数の電極を有し、
前記複数の電極は、前記回路基板の一面側において前記第1方向と前記第2方向とに直交する方向に沿って並列している、
請求項に記載のカードキーホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードキーホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
ケースと、ケースの内側のカード挿入空間を臨むように設けられたスイッチと、カード挿入空間内にカードが挿入されるとカードをスイッチに押し付ける方向へ付勢する弾発部材と、を備え、カード挿入空間へのカードの抜き差しによりスイッチがオンオフするカード用スイッチ装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。このカード用スイッチ装置は、ホテル等の室内の照明器具、空気調和機等をオンオフさせるためのスイッチとして使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平3-33928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたカード用スイッチ装置の場合、ケースの内側のカード挿入空間に挿入できるカードであれば例えばカードキー以外のカードを挿入してもスイッチがオンしてしまう。このため、例えばホテルの宿泊者が、カードキー以外のカード(例えば名刺)をケースの内側のカード挿入空間へ挿入して部屋内の照明器具、空気調和機等をオン状態にしたままカードキーを所持して外出してしまう場合がある。この場合、部屋内に宿泊者が居ないにも関わらず部屋内の照明器具、空気調和機等をオン状態を継続するケースが生じてしまいホテル全体として十分な省エネルギ効果を得られない虞がある。このため、カードホルダに挿入されたカードがカードキーであるか否かを精度良く判別してカードキー以外のカードがカードホルダに挿入された場合には部屋内の照明灯を点灯させないようにする技術が要請されている。
【0005】
本発明は上記事由に鑑みてなされたものであり、カードキーとそれ以外のカードとを精度良く判別できるカードキーホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るカードキーホルダは、
部屋内に設置され、前記部屋の入り口に設置された扉の解錠を行うためのカードキーを保持するカードキーホルダであって、
内側に前記カードキーが配置される配置領域を有するホルダ本体と、
少なくとも1つの電極を有し、前記配置領域に配置された対象物と前記少なくとも1つの電極との間の静電容量に基づいて、前記対象物が前記カードキーであるか否かを判別するカードキー検出モジュールと、を備え、
前記カードキーは、導体パターンが埋設されており、
前記カードキー検出モジュールは、
前記対象物を前記ホルダ本体の外側から前記配置領域へ移動させるときにおける、前記対象物と前記少なくとも1つの電極との間の静電容量の時間履歴に基づいて、前記対象物が前記カードキーであるか否かを判別する
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カードキー検出モジュールが、ホルダ本体内の配置領域に配置された対象物と少なくとも1つの電極との間の静電容量に基づいて、対象物がカードキーであるか否かを判別する。これにより、カードキー検出モジュールは、例えばループアンテナが埋め込まれたカードキーとそれ以外のカードとを判別することができるので、対象物がカードキーであるか否かを精度良く判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係るカードホルダを示し、(A)は正面図であり、(B)は(A)のA-A線における断面矢視図である。
図2】実施の形態に係るカードキー検出モジュールのブロック図である。
図3】(A)は実施の形態に係るカードキー検出モジュールの一部を示す回路図であり、(B)は実施の形態に係るカードキー検出モジュールの一状態を示す動作説明図であり、(C)は実施の形態に係るカードキー検出モジュールの他の状態を示す動作説明図である。
図4】(A)は実施の形態に係るカードキー検出モジュールの一部を示すブロック図であり、(B)は実施の形態に係るカレントミラー回路の出力信号の一例を示す図であり、(C)は実施の形態に係る検出信号生成回路の出力信号の一例を示す図であり、(D)は実施の形態に係る検出信号カウンタの出力信号の一例を示す図である。
図5】実施の形態に係る制御部の機能構成を示すブロック図である。
図6】実施の形態に係る制御部が実行するカードキー検出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】実施の形態に係るカードキーホルダへカードキーを挿入する様子を示す模式図であり、(A)はカードキーをホルダ本体の配置領域へ挿入する途中の状態を示し、(B)はカードキーをホルダ本体の更に奥側へ挿入した状態を示し、(C)はカードキーがカードキーホルダに保持された状態を示す。
図8】実施の形態に係る制御部が算出する差分値の時間履歴を示し、(A)はカードキーをホルダ本体の配置領域へ挿入する際の差分値の時間履歴の一例を示す図であり、(B)はカードキーをホルダ本体から抜き取る際の差分値の時間履歴の一例を示す図である。
図9】(A)は変形例に係るカードキー検出モジュールの正面図であり、(B)は他の変形例に係るカードキー検出モジュールの正面図である。
図10】(A)は変形例に係るカードキー検出モジュールの正面図であり、(B)はカードキーが変形例に係るカードキーホルダに保持された状態を示す図である。
図11】(A)は変形例に係るカードキー検出モジュールの正面図であり、(B)はカードキーが変形例に係るカードキーホルダに保持された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係るカードキーホルダについて図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係るカードキーホルダは、部屋内に設置され、部屋の入り口に設置された扉の解錠を行うためのカードキーを保持する。このカードキーホルダは、内側にカードキーの少なくとも一部が配置される配置領域を有するホルダ本体と、少なくとも1つの電極を有し、前述の配置領域に配置された対象物と少なくとも1つの電極との間の静電容量に基づいて、対象物がカードキーであるか否かを判別するカードキー検出モジュールと、を備える。カードキーは、例えばループ状の導体パターンが周部に沿って埋設されたパッシブタグとして機能するものである。ループ状の導体パターンとしては、例えばループアンテナが挙げられる。
【0010】
例えば図1(A)および(B)に示すように、本実施の形態に係るカードキーホルダ1は、内側にカードキーCAの一部が配置される配置領域A1を有するホルダ本体11と、カードキー検出モジュール100と、を備える。なお、図1(A)および(B)において、鉛直上向きを+Z方向、前方を+Y方向としている。このカードキーホルダ1は、例えば宿泊施設の部屋内に設置されている。ホルダ本体11は、平面視形状が矩形状である扁平な箱状であり厚さ方向における一面側、即ち、-Y方向側が開放されたフロントカバー111と、フロントカバー111の-Y方向側を覆うように配置されたベース部材13と、を有する。フロントカバー111の周壁における+Z方向側の一部には、カードキーCAを予め設定された第1方向、即ち、-Z方向に沿ってホルダ本体11の内側へ挿入するための開口部111aが設けられている。
【0011】
また、ホルダ本体11は、ホルダ本体11の内側の配置領域A1へ挿入されたカードキーCAの下端部を支持する支持片112と、例えばガラスから板状に形成され、ホルダ本体11の内側に配置されたカードキー検出モジュール100と配置領域A1とを隔離する隔壁113と、を有する。支持片112は、Z軸方向に沿って配置された板状の主片112aと、主片の上端部から前面側へ突出した折曲片112bと、を有する。
【0012】
ベース部材13は、矩形板状の主部131と、主部131の下端部、上端部それぞれから+Y方向へ突出したリブ132、133と、主部131の中央部におけるX軸方向の両端部から+Y方向へ突出したリブ134と、を有する。リブ132、133には、それぞれ、螺子孔132a、133aが穿設されており、リブ134にも螺子孔(図示せず)が穿設されている。そして、支持片112は、主片112aの下端部に貫設された貫通孔112cに挿通されリブ132の螺子孔132aに螺着された螺子135によりベース部材13に固定されている。また、隔壁113は、その上端部に貫設された貫通孔113aに挿通されリブ133の螺子孔133aに螺着された螺子136によりベース部材13に固定されている。
【0013】
カードキー検出モジュール100は、カード状の対象物をホルダ本体11の外側からホルダ本体11内の配置領域A1へ移動させるときにおける、対象物と5つの電極152との間の静電容量の時間履歴に基づいて、対象物がカードキーCAであるか否かを判別する。また、カードキー検出モジュール100は、カード状の対象物の一部がホルダ本体11内の配置領域A1に配置された状態における、対象物と5つの電極152それぞれとの間の静電容量に基づいて、対象物がカードキーCAであるか否かを判別する。また、カードキー検出モジュール100は、部屋内に備え付けられた機器9と通信可能となっている。機器9としては、照明器具、冷蔵庫等の各種機器が挙げられる。部屋のユーザがカードキーCAをカードキーホルダ1の開口部111aに挿入すると、カードキー検出モジュール100が、カードキーCAが配置領域A1に挿入されたことを検出し、挿入検出情報を機器9へ送信する。そして、機器9は、カードキー検出モジュール100から挿入検出情報を受信すると、稼働可能な状態となる。一方、ユーザがカードキーCAをカードキーホルダ1の開口部111aから抜き取ると、カードキー検出モジュール100が、カードキーCAが配置領域A1から抜き取られたことを検出し、抜き取り検出情報を機器9へ送信する。そして、機器9は、カードキー検出モジュール100から抜き取り検出情報を受信すると、再び稼働不可能な状態となる。
【0014】
カードキー検出モジュール100は、回路基板151と、回路基板151の厚さ方向における一面側、即ち、+Y方向側に配設された5つの電極152と、制御ユニット16と、を有する。回路基板151は、ホルダ本体11内の配置領域A1にZ軸方向と直交する第2方向、即ち、Y軸方向において5つの電極152が配置領域A1に対向する姿勢でホルダ本体11の内側に配置されている。また、5つの電極152は、X軸方向に沿って並列している。回路基板151は、Z軸方向の中央部におけるX軸方向の両端部に貫設された貫通孔(図示せず)に挿通されベース部材13のリブ134に穿設された螺子孔に螺着した螺子137によりベース部材13に固定されている。
【0015】
制御ユニット16は、例えば1つのICパッケージで構成され、図2に示すように、スイッチドキャパシタフィルタ回路(以下、「SCF回路」と称する。)161と、駆動回路1621と、切換回路1622と、電源回路1631と、カレントミラー回路1632と、コンデンサC1と、検出信号生成回路1633と、検出信号カウンタ1641と、を有する。また、制御ユニット16は、基準電流生成回路1634と、参照信号生成回路1635と、参照信号カウンタ1642と、駆動信号生成回路1643と、制御部165と、を有する。電源回路1631は、直流電源Vccに接続され、定電圧制御を行うことにより一定の電圧で直流を出力するレギュレータ(図示せず)を有する。
【0016】
基準電流生成回路1634は、電源回路1631に接続され、定電流制御を行うことにより一定の基準電流値の直流を出力するDC-DCコンバータ(図示せず)を有する。基準電流生成回路1634は、一定の基準電流値の直流電流を駆動信号生成回路1643および参照信号生成回路1635へ出力する。
【0017】
駆動信号生成回路1643は、入力される直流電流の基準電流値に応じて出力される正弦波信号の周波数が変化する電流制御発振器(図示せず)と、電流制御発振器から入力される正弦波信号と同一周波数のPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成して駆動回路1621へ出力するパルスジェネレータ(図示せず)と、を有する。
【0018】
カレントミラー回路1632は、2つのスイッチング素子を有し、電源回路1631と切換回路1622との間に接続されたスイッチング素子に流れる電流の電流値に比例する電流値の電流を検出信号生成回路1633へ出力する。切換回路1622は、5つのSCF回路161の中から、カレントミラー回路1632の接続先となるSCF回路161を予め設定された検出時間間隔で切り替える。これにより、5つの電極152それぞれの寄生容量成分Cvの静電容量を前述の検出時間間隔で検出する。
【0019】
SCF回路161は、5つ存在し、5つの電極152それぞれに抵抗R1を介して接続されている。SCF回路161は、例えば図3(A)に示すように、ベースが駆動回路1621に接続されたスイッチング素子Q1と、ベースが駆動回路1621に接続されエミッタがスイッチング素子Q1のコレクタに接続されたスイッチング素子Q2と、を有する。なお、図3(A)では、スイッチング素子Q1、Q2がNPN型バイポーラトランジスタである例を示しているが、少なくとも一方がPNP型バイポーラトランジスタであってもよい。
【0020】
駆動回路1621は、インバータINV1を有し、駆動信号生成回路1643から入力されるPWM信号をそのままスイッチング素子Q1のベースへ出力する。また、駆動回路1621は、駆動信号生成回路1643から入力されるPWM信号を、インバータINV1を介してスイッチング素子Q2のベースへ出力する。これにより、SCF回路161のスイッチング素子Q1、Q2は、PWM信号の周期で交互にオンオフ動作を繰り返す。
【0021】
SCF回路161において、スイッチング素子Q1がオンしスイッチング素子Q2がオフしている期間では、図3(B)の破線矢印I1に示すように、電源回路1631からカレントミラー回路1632および抵抗R1を通じて電極152へ電流が流れる。これにより、電極152の寄生容量成分Cvが充電される。ここで、電極152の寄生容量成分Cvは、ホルダ本体11の配置領域A1にカードキーCAまたはカード状の対象物が挿入されている場合、電極152とカードキーCAまたは対象物との間での容量成分に相当する。このとき、図3(B)の破線矢印Id11、Id12に示すように、カレントミラー回路1632から検出信号生成回路1633へ電流が流れるとともに、カレントミラー回路1632からコンデンサC1へも電流が流れる。ここで、コンデンサC1が充電されるに伴いコンデンサC1へ流れる電流が減少するにつれて検出信号生成回路1633へ流れる電流が増大していく。一方、スイッチング素子Q1がオフしスイッチング素子Q2がオンしている期間では、図3(C)の破線矢印I2に示すように、電極152の寄生容量成分Cvに充電された電気が、抵抗R1を通じて放電される。このとき、図3(C)の破線矢印Id2に示すように、コンデンサC1が放電し、コンデンサC1から検出信号生成回路1633へ電流が流れる。ここで、コンデンサC1に充電された電気の減少に伴い、コンデンサC1から検出信号生成回路1633へ流れる電流が減少していく。そして、図4(A)に示すカレントミラー回路1632から検出信号生成回路1633へ出力される電流信号Sig1は、図4(B)に示すように、最大振幅i1でPWM信号の周期dt1で変動する三角波状の電流信号となる。この最大振幅i1は、電極152の寄生容量成分Cvの静電容量が大きいほど大きくなる。
【0022】
検出信号生成回路1633は、カレントミラー回路1632から入力される電流信号Sig1の最大振幅i1の大きさに応じて出力される正弦波信号Sig2(図4(A)参照)の周波数が変化する電流制御発振器(図示せず)を有する。検出信号生成回路1633から検出信号カウンタ1641へ出力される電圧信号Sig2は、図4(C)に示すように、検出信号生成回路1633に入力される電流信号Sig1の最大振幅i1に応じた周期dt2で変動する正弦波信号となる。ここで、周期dt2は、最大振幅i1が大きくなるほど短くなる。従って、電極152の寄生容量成分Cvの静電容量が大きくなるほど、最大振幅i1が大きくなり、周期dt2が短くなる。
【0023】
検出信号カウンタ1641は、前述の検出時間内において、検出信号生成回路1633から入力される電圧信号Sig2に含まれるパルス数を計数する。検出信号カウンタ1641は、例えば図4(D)に示すように、電圧信号Sig3が最大振幅値に到達する毎に出力電圧を予め設定された単位電圧ずつインクリメントしていく。なお、検出信号カウンタ1641は、電圧信号Sig2の1周期における最大振幅値に相当する電圧よりも低い予め設定された電圧に到達する毎に出力電圧を単位電圧ずつインクリメントしていくものであってもよい。検出信号カウンタ1641は、検出時間dtcが終了すると、カウント終了信号を制御部165へ出力するとともに、出力電圧V[11]を0Vに初期化する。ここで、電圧信号Sig2の最大振幅値への到達回数は、電圧信号Sig2の周期dt2が短くなるほど一定の検出時間dtcの間に検出される到達回数が大きくなる。従って、電極152の寄生容量成分Cvの静電容量が大きくなるほど、最大振幅値への到達回数が大きくなり、出力電圧が高くなる。
【0024】
図2に戻って、参照信号生成回路1635は、基準電流生成回路1634から入力される直流電流の基準電流値の大きさに応じて出力される正弦波信号の周波数が変化する電流制御発振器(図示せず)を有する。参照信号カウンタ1642は、前述の検出時間内において、参照信号生成回路1635から入力される電圧信号に含まれるパルス数を計数する。参照信号カウンタ1642は、参照信号生成回路1635から入力される電圧信号が最大振幅値に到達する毎に出力電圧を予め設定された単位電圧ずつインクリメントしていく。参照信号カウンタ1642は、検出時間が終了すると、カウント終了信号を制御部165へ出力するとともに、出力電圧を0Vに初期化する。
【0025】
制御部165は、データ変換制御部(以下、「DTC」と称する。)1654と、CPU(Central Processing Unit)1651と、主記憶部1652と、補助記憶部1653と、インタフェース1655と、を有する。DTC1654は、アナログ-ディジタル変換器(図示せず)を有し、検出信号カウンタ1641および参照信号カウンタ1642の出力電圧を、カウント値を示すカウント値情報に変換する。ここで、電極152の寄生容量成分Cvの静電容量が大きくなるほど、検出信号カウンタ1641の出力電圧が高くなる。従って、電極152の寄生容量成分Cvの静電容量が大きくなるほど、検出信号カウンタ1641の出力電圧に対応するカウント値が大きくなる。DTC1654は、変換して得られたカウント値情報を主記憶部1652に記憶させる。主記憶部1652は、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリであり、CPU1651の作業領域として使用される。また、主記憶部1652は、DTC1654から入力されるカウント値情報も記憶する。補助記憶部1653は、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリであり、制御部165の各種機能を実現するためのプログラムを記憶する。インタフェース1655は、機器9に接続されている。
【0026】
CPU1651は、補助記憶部1653が記憶するプログラムを主記憶部1652に読み込んで実行することにより、図5に示すように、カウント値取得部16511、差分算出部16512、判定部16513、検出情報生成部16514および検出情報送信部16515として機能する。また、図2に示す主記憶部1652は、図5に示すように、DTC1654から出力されるカウント値情報を記憶するカウント値記憶部16521と、差分履歴記憶部16522と、を有する。差分履歴記憶部16522は、検出信号カウンタ1641に対応するカウント値と参照信号カウンタ1642に対応するカウント値との差分値を示す差分値情報を時系列で記憶する。ここで、電極152の寄生容量成分Cvの静電容量の大きさが大きくなるほど検出信号カウンタ1641に対応するカウント値が大きくなり、それに伴い、カウント値の差分値も大きくなる。つまり、カウント値の差分値は、電極152の寄生容量成分Cv、即ち、電極152とホルダ本体11の配置領域A1に挿入された対象物との間の静電容量を反映した値となる。
【0027】
また、図2に示す補助記憶部1653は、図5に示すように、予め設定されたカウント値情報を取得する時期である検出時期を示す検出時期情報と、後述する差分値に対して予め設定された差分閾値を示す閾値情報と、を記憶する基準記憶部16531を有する。
【0028】
カウント値取得部16511は、基準記憶部16531が記憶する検出時期情報を参照して、検出時期が到来すると、カウント値記憶部16521から検出信号カウンタ1641に対応するカウント値情報と参照信号カウンタ1642に対応するカウント値情報とを取得する。差分算出部16512は、カウント値取得部16511が取得した2種類のカウント値情報それぞれが示すカウント値の差分値を算出する。差分算出部16512は、算出した差分値を示す差分値情報を差分履歴記憶部16522に時系列で記憶させる。
【0029】
判定部16513は、5つの電極152A、152B、152C、152D、152Eそれぞれに対応する差分値の履歴がカードキーCAに埋設された導体パターンに応じた履歴であるか否かに基づいて、カードキーCAのホルダ本体11に対する挿入・離脱の有無を判定する。具体的には、判定部16513は、基準記憶部16531が記憶する前述の差分値に対する差分閾値を示す閾値情報を取得し、差分履歴記憶部16522が記憶する差分値の履歴を参照して、5つの電極152A、152B、152C、152D、152Eに対応する差分値が全て差分閾値を超えた状態になった後、2つの電極152A、152Eに対応する差分値のみが差分閾値を超え3つの電極152B、152C、152Dに対応する差分値が差分閾値を下回った状態となっている期間が存在するか否かを判定する。そして、判定部16513は、電極152A、152B、152C、152D、152Eに対応する差分値が前述の履歴を示す期間が存在すると判定すると、カードキーCAがホルダ本体11内の配置領域A1へ挿入されたことを通知するカード挿入検出通知を検出情報生成部16514へ通知する。
【0030】
一方、判定部16513は、差分履歴記憶部16522が記憶する差分値の履歴を参照して、2つの電極152A、152Eに対応する差分値DA1のみが差分閾値を超え3つの電極152B、152C、152Dに対応する差分値が差分閾値を下回っている状態から、5つの電極152A、152B、152C、152D、152Eに対応する差分値が全て差分閾値を超えた状態になった後、5つの電極152A、152B、152C、152D、152Eに対応する差分値が全て差分閾値を下回った状態になった期間が存在したか否かを判定する。そして、判定部16513は、電極152A、152B、152C、152D、152Eに対応する差分値が前述の履歴を示す期間が存在すると判定すると、カードキーCAがホルダ本体11から抜き取られたことを通知するカード抜き取り通知を検出情報生成部16514へ通知する。
【0031】
検出情報生成部16514は、カード挿入検出通知が通知された場合、挿入検出情報を生成する。一方、検出情報生成部16514は、カード抜き取り通知が通知された場合、抜き取り検出情報を生成する。検出情報送信部16515は、検出情報生成部16514により生成された挿入検出情報または抜き取り検出情報を機器9へ送信する。
【0032】
次に、本実施の形態に係るカードキーホルダ1の制御部165が実行するカードキー検出処理について図6から図8を参照しながら説明する。このカードキー検出処理は、カードキーホルダ1へ電源が投入されたことを契機として開始される。まず、カウント値取得部16511は、前述の検出時期が到来したか否かを判定する(ステップS1)。カウント値取得部16511は、検出時期が到来していないと判定する限り(ステップS1:No)、ステップS1の処理を繰り返し実行する。一方、カウント値取得部16511は、検出時期が到来したと判定すると(ステップS1:Yes)、カウント値記憶部16521から検出信号カウンタ1641に対応するカウント値情報と参照信号カウンタ1642に対応するカウント値情報とを取得する(ステップS2)。次に、差分算出部16512は、カウント値取得部16511が取得した2種類のカウント値情報それぞれが示すカウント値の差分値を算出し、算出した差分値を示す差分値情報を差分履歴記憶部16522に記憶させる(ステップS3)。続いて、判定部16513は、差分履歴記憶部16522が記憶する差分値履歴情報を取得し(ステップS4)、取得した差分値履歴情報に基づいて、カードキーが挿入されたか否かを判定する(ステップS5)。
【0033】
ここで、カードキーCAをカードキーホルダ1へ挿入する際の差分値の変動履歴について説明する。例えば図7(A)に示すように、カードキーCAの一部がカードキーホルダ1内に挿入され、カードキーCAがカードキー検出モジュール100の5つの電極152A、152B、152C、152D、152Eと重なっていないとする。この場合、図8(A)の時刻T11に示すように、5つの電極152A、152B、152C、152D、152Eに対応する差分値DA0は、それぞれ、差分閾値DAthよりも低い値で維持されている。なお、図8(A)において、L1、L2、L3、L4、L5は、それぞれ、電極152A、152B、152C、152D、152Eに対応する差分値の時間プロファイルを示す。
【0034】
次に、図7(B)に示すように、カードキーCAがカードキーホルダ1の奥側へ挿入され、カードキーCAの下端部が5つの電極152A、152B、152C、152D、152Eと重なったとする。このとき、カードキーCAに埋設されたループアンテナAN1が、5つの電極152A、152B、152C、152D、152E全てと重なった状態となる。この場合、図8(A)の時刻T12に示すように、5つの電極152A、152B、152C、152D、152Eに対応する差分値DA1が、全て差分閾値DAthを超えた状態となる。その後、図7(C)に示すように、カードキーCAの一部が配置領域A1に配置されカードキーCAがカードキーホルダ1に保持された状態になったとする。このとき、カードキーCAに埋設されたループアンテナAN1が、2つの電極152A、152Eのみと重なった状態となる。この場合、図8(A)の時刻T13に示すように、2つの電極152A、152Eに対応する差分値DA1のみが、差分閾値DAthを超え、3つの電極152B、152C、152Dに対応する差分値DA2が、差分閾値DAthを下回った状態となる。そして、判定部16513は、例えば図8(A)に示すように、差分値の履歴を参照して、5つの電極152A、152B、152C、152D、152Eに対応する差分値DA1が全て差分閾値DAthを超えた状態になった後、2つの電極152A、152Eに対応する差分値DA1のみが差分閾値DAthを超え3つの電極152B、152C、152Dに対応する差分値DA2が差分閾値DAthを下回った状態となっている期間が存在すると判定すると、カードキーCAが挿入されたと判定する。
【0035】
図6に戻って、判定部16513は、カードキーCAが挿入されたと判定すると(ステップS5:Yes)、前述のカード挿入検出通知を検出情報生成部16514へ通知する。そして、検出情報生成部16514は、カード挿入検出通知が通知されると、挿入検出情報を生成する。そして、検出情報送信部16515が、生成された挿入検出情報を機器9へ送信する(ステップS6)。その後、再びステップS1の処理が実行される。
【0036】
また、判定部16513は、カードキーCAが挿入されていないと判定すると(ステップS5:No)、取得した差分値履歴情報に基づいて、カードキーが抜き取りされたか否かを判定する(ステップS7)。
【0037】
ここで、カードキーCAをカードキーホルダ1から抜き取る際の差分値の変動履歴について説明する。例えば図7(C)に示すように、カードキーCAの一部が配置領域A1に配置されカードキーCAがカードキーホルダ1に保持された状態では、図8(B)の時刻T21に示すように、2つの電極152A、152Eに対応する差分値のみが、差分閾値DAthを超え、3つの電極152B、152C、152Dに対応する差分値が、差分閾値DAthを下回った状態で維持されている。なお、図8(B)において、L1、L2、L3、L4、L5は、それぞれ、電極152A、152B、152C、152D、152Eに対応する差分値の時間プロファイルを示す。次に、カードキーCAを上方へ移動させると、カードキーCAに埋設されたループアンテナAN1が、5つの電極152A、152B、152C、152D、152E全てと重なった状態となる。この場合、図8(B)の時刻T22に示すように、5つの電極152A、152B、152C、152D、152Eに対応する差分値が、全て差分閾値DAthを超えた状態となる。その後、カードキーCAがカードキーホルダ1から抜き取られると、図8(B)の時刻T23に示すように、5つの電極152A、152B、152C、152D、152Eに対応する差分値は、再びDA0で維持された状態となる。そして、判定部16513は、例えば図8(B)に示すように、差分値の履歴を参照して、2つの電極152A、152Eに対応する差分値DA1のみが差分閾値DAthを超え3つの電極152B、152C、152Dに対応する差分値DA2が差分閾値DAthを下回っている状態から、5つの電極152A、152B、152C、152D、152Eに対応する差分値DA1が全て差分閾値DAthを超えた状態になった後、5つの電極152A、152B、152C、152D、152Eに対応する差分値DA1が全て差分閾値DAthを下回った状態になった期間が存在すると判定すると、カードキーCAが抜き取られたと判定する。
【0038】
図6に戻って、判定部16513が、カードキーCAが抜き取られていないと判定すると(ステップS7:No)、再びステップS1の処理が実行される。一方、判定部16513は、カードキーCAが抜き取られたと判定すると(ステップS7:Yes)、前述のカード抜き取り通知を検出情報生成部16514へ通知する。そして、検出情報生成部16514は、カード抜き取り通知が通知されると、抜き取り検出情報を生成する。そして、検出情報送信部16515が、生成された抜き取り検出情報を機器9へ送信する(ステップS8)。続いて、再びステップS1の処理が実行される。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態に係るカードキーホルダ1では、カードキー検出モジュール100が、ホルダ本体11内の配置領域A1に配置された対象物と5つの電極152との間の静電容量に基づいて、対象物がカードキーCAであるか否かを判別する。これにより、カードキー検出モジュール100は、例えばループアンテナAN1が埋め込まれたカードキーCAとそれ以外のカードとを判別することができるので、対象物がカードキーCAであるか否かを精度良く判別することができる。
【0040】
また、本実施の形態に係るカードキーCAは、導体パターンからなるループアンテナAN1がカードキーCAの周部に埋設されている。そして、カードキー検出モジュール100は、カード状の対象物をホルダ本体11の外側からホルダ本体11内の配置領域A1へ移動させるときにおける、対象物と電極152との間の静電容量の時間履歴に基づいて、対象物がカードキーCAであるか否かを判別する。これにより、対象物に埋設された導体パターンの形状に基づいて、対象物がカードキーCAであるか否かを判別することができるので、対象物の判別精度を高めることができる。
【0041】
更に、本実施の形態に係る回路基板151は、ホルダ本体11内の配置領域A1にY軸方向において5つの電極152が配置領域A1に対向する姿勢でホルダ本体11の内側に配置されている。そして、5つの電極152が、回路基板151の前面側においてX軸方向に沿って並列している。これにより、カード状の対象物に埋設された導体パターンの対象物のX軸方向における形状に基づいて、対象物がカードキーCAであるか否かを判別することができるので、対象物の判別精度を高めることができる。
【0042】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、図9(A)に示すカードキーホルダ2のように、カードキー検出モジュール2100が、回路基板151の+Y方向側に、X軸方向に沿って並列した3つの電極2152A、2152C、2152Eと、電極2152CのZ軸方向における両側それぞれに配設された2つの電極2152B、2152Dと、を有するものであってもよい。或いは、図9(B)に示すカードキーホルダ3のように、カードキー検出モジュール3100が、回路基板151の+Y方向側に、X軸方向に沿って並列した3つの電極3152A、3152C、3152Eと、電極3152A、3152Cの間における-Z方向側に配設された電極3152Bと、電極3152C、3152Eの間における+Z方向側に配設された電極3152Dと、を有するものであってもよい。
【0043】
また、図10(A)に示すカードキーホルダ4のように、カードキー検出モジュール4100が、回路基板151の+Y方向側に、そのX軸方向における両端部それぞれにおいてZ軸方向に延在する2つの細長の電極4152A、4152Dと、X軸方向における2つの電極4152A、4152Dの間に並列する2つの平面視矩形状の電極4152B、4152Cと、を有するものであってもよい。ここで、図10(B)に示すように、電極4152B、4152Cは、カードキーCAの一部がホルダ本体11内の配置領域A1に配置された状態において、カードキーCAの厚さ方向、即ち、Y軸方向で導体パターンからなるループアンテナAN1に対向する第1電極である。一方、電極4152A、4152Dは、カードキーCAの一部がホルダ本体11内の配置領域A1に配置された状態において、Y軸方向でカードキーCAにおけるループアンテナAN1の外側部分に対向しており、ループアンテナAN1に対向していない第2電極である。
【0044】
或いは、図11(A)に示すカードキーホルダ5のように、カードキー検出モジュール5100が、回路基板151の+Y方向側に、そのX軸方向における両端部それぞれにおいてZ軸方向に延在する2つの細長の電極5152B、5152Dと、-Z軸方向における端部においてX軸方向に延在する細長の電極5152Cと、電極5152B、5152C、5152Dで囲繞された領域に配置された平面視矩形状の電極5152Aと、を有するものであってもよい。ここで、図11(B)に示すように、電極5152Aは、カードキーCAの一部がホルダ本体11内の配置領域A1に配置された状態において、カードキーCAの厚さ方向、即ち、Y軸方向で導体パターンからなるループアンテナAN1に対向する第1電極である。一方、電極5152B、5152C、5152Dは、カードキーCAの一部がホルダ本体11内の配置領域A1に配置された状態において、Y軸方向でカードキーCAにおけるループアンテナAN1の外側部分に対向しており、ループアンテナAN1に対向していない第2電極である。なお、電極5152Aの一部に、例えば赤外線センサにより赤外線を受光するための孔(図示せず)が貫設されていてもよい。
【0045】
本構成によれば、カードキーCAに埋設された導体パターンの形状に応じて差分値の履歴を示す差分履歴情報を記憶しておく必要が無いので、その分、主記憶部1652に要求される記憶容量を低減することができる。特に、図10(A)および図11(A)に示すようなカードキー検出モジュール4100、5100の場合、カードキーCAの一部がホルダ本体11内の配置領域A1に配置された状態において、ループアンテナAN1に対向する電極4152B、4152C、5152Aにより検出される静電容量と、ループアンテナAN1に対向しない電極4152A、4152D、5152B、5152C、5152Dにより検出される静電容量と、の差が大きくなる。従って、カードキーCAの検出精度を高めることができる。
【0046】
実施の形態では、カードキー検出モジュール100は、カード状の対象物をホルダ本体11の外側からホルダ本体11内の配置領域A1へ移動させるときにおける、対象物と電極152との間の静電容量の時間履歴に基づいて、対象物がカードキーCAであるか否かを判別する例について説明した。但し、これに限らず、カードキー検出モジュール100が、カード状の対象物がホルダ本体11内の配置領域A1に配置された状態における、対象物と5つの電極152それぞれとの間の静電容量に基づいて、対象物がカードキーCAであるか否かを判別するものであってもよい。例えばカードキー検出モジュール100が、実施の形態で説明したようなX軸方向に沿って並列した5つの電極152A、152B、152C、152D、152Eを有するとする。この場合、カードキー検出モジュール100は、対象物がホルダ本体11内の配置領域A1に配置された状態で、電極152A、152Eに対応する差分値が電極152B、152C、152Dに対応する差分値に比べて大きい場合、対象物がカードキーCAであると判別するようにしてもよい。
【0047】
本構成によれば、差分値の履歴を示す差分履歴情報を記憶しておく必要が無いので、その分、主記憶部1652に要求される記憶容量を低減することができる。
【0048】
以上、本発明の各実施の形態および変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、実施の形態及び変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、宿泊施設の部屋に設置されるカードキーホルダとして好適である。
【符号の説明】
【0050】
1,2,3,4,5:カードキーホルダ、9:機器、11:ホルダ本体、13:ベース部材、16:制御ユニット、100,2100,3100,4100,5100:カードキー検出モジュール、111:フロントカバー、111a:開口部、112:支持片、112a:主片、112b:折曲片、112c,113a:貫通孔、113:隔壁、135,136,137:螺子、131:主部、132,133,134:リブ、132a,133a:螺子孔、151:回路基板、152,152A,152B,152C,152D,152E,2152A,2152B,2152C,2152D,2152E,3152A,3152B,3152C,3152D,3152E,4152A,4152B,4152C,4152D,5152A,5152B,5152C,5152D:電極、161:SCF回路、165:制御部、1621:駆動回路、1622:切換回路、1631:電源回路、1632:カレントミラー回路、1633:検出信号生成回路、1634:基準電流生成回路、1635:参照信号生成回路、1641:検出信号カウンタ、1642:参照信号カウンタ、1643:駆動信号生成回路、1651:CPU、1652:主記憶部、1653:補助記憶部、1654:DTC、1655:インタフェース、16511:カウント値取得部、16512:差分算出部、16513:判定部、16514:検出情報生成部、16515:検出情報送信部、16521:カウント値記憶部、16522:差分履歴記憶部、16531:基準記憶部、A1:配置領域、AN1:ループアンテナ、C1:コンデンサ、CA:カードキー、R1:抵抗、W:壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11