(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料並びにその製造方法と利用
(51)【国際特許分類】
C01B 33/113 20060101AFI20230228BHJP
C04B 35/14 20060101ALI20230228BHJP
C04B 35/622 20060101ALI20230228BHJP
A61L 2/08 20060101ALI20230228BHJP
A61L 9/18 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
C01B33/113 A
C04B35/14
C04B35/622
A61L2/08 106
A61L9/18
(21)【出願番号】P 2021575942
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 CN2020096825
(87)【国際公開番号】W WO2020253780
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】201910527213.2
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521552556
【氏名又は名称】河南晶品新材料科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】HENAN JINGPIN NEW MATERIAL TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】ROOM 301, BUILDING C8‐2,ZHENGZHOU HI‐TECH ENTERPRISE ACCELERATOR INDUSTRIAL PARK, CHANGCHUN ROAD, HI‐TECH DISTRICT, ZHENGZHOU, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】▲ニエ▼ 云峰
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 全学
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 恒▲灼▼
(72)【発明者】
【氏名】▲トン▼ 延
(72)【発明者】
【氏名】侯 文豪
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-525508(JP,A)
【文献】特表2005-507009(JP,A)
【文献】特開2005-015334(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108314971(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105098589(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106234419(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23B 7/015
A23L 3/26
A61L 2/00-28、9/00-22
C01B 33/00-46
C04B 35/00-84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料の製造方法であって、
前記抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料は、以下の重量分率の原料、すなわち、SiO
x:40~65、Al
2O
3:1~8、オーカー:5~15、タングステン酸バリウム:1~2、CaCO
3:30~45、TiO
2:15~35、を含み、
粗シリコンSi、SiO
2及び備長炭を1:(3~5):(5~10)の重量比で混合し、無酸素の環境で700~1500℃まで加熱して1~8時間保持し、黒色結晶体SiO
xを生成するステップ(1)と、
SiO
xとその他の各組成原料とを前記
重量分率で混合し、200~500メッシュの細かさとなるように粉砕し、適量の水を加えて撹拌し、円形ターンテーブルによってペレットにし、無酸素環境に移して600~1200℃まで加熱して3~8時間保持し、二次粉砕するステップ(2)と、
赤外線発射率が0.92以上であると測定した後、細かさが10000メッシュ以上となるように粉砕及び粉末加工し、更にテラヘルツ放射線照射ラインによる増強処理を行い、抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料を得るステップ(3)と、を含
み、
前記テラヘルツ放射線照射ラインは、テラヘルツ放射線照射アセンブリ、コンベヤ(011)及びトンネルフレーム(012)を備え、前記コンベヤ(011)は前記トンネルフレーム(012)を通過するように設置され、前記テラヘルツ放射線照射アセンブリは、前記コンベヤ(011)に対応するように前記トンネルフレーム(012)に取り付けられ、前記テラヘルツ放射線照射アセンブリは、テラヘルツ波電子発生器及び電気ケーブルを有し、前記テラヘルツ波電子発生器は、ロジックユニット(01)、基本波ユニット、平衡回路(03)、及び増幅器(04)を有し、前記テラヘルツ波電子発生器は、前記電気ケーブルを介して放射器(05)と接続し、前記放射器(05)は、前記トンネルフレーム(012)の内壁に貼り付けられている、抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料の製造方法。
【請求項2】
前記テラヘルツ放射線照射ラインによる増強処理の周波数は、2.3x10
11、5.5x10
11、1.1x10
12、2.3x10
12、5.5x10
12Hzの五つの異なる周波数帯域を含む、請求項1に記載の抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料の製造方法。
【請求項3】
前記基本波ユニット(02)は、並列に接続された幾つかの基本波モジュールを有し、前記基本波モジュールは、ドライバー(06)、BAWろ波器(07)、チャージポンプ(08)、光電子遷移モジュール(09)及び共振チャンバー(010)を有し、
前記ロジックユニット(01)は、
前記ドライバー(06)を介して
前記チャージポンプ(08)の開閉を制御し、外部電源は、
前記BAWろ波器(07)及び
前記チャージポンプ(08)を介して
前記光電子遷移モジュール(09)に給電し、
前記光電子遷移モジュール(09)内で発生した電子線は、
前記共振チャンバー(010)内に伝送されて安定的なテラヘルツ基本波を形成し、
前記ロジックユニット(01)は、テラヘルツ基本波を放射するように各
前記基本波モジュールを制御し、テラヘルツ基本波は
前記平衡回路(03)に伝送され、
前記平衡回路(03)は、受け取ったテラヘルツ基本波を調節して複合テラヘルツ波を得、複合テラヘルツ波は
前記増幅器(04)に伝送され、
前記増幅器(04)は、受け取った複合テラヘルツ波を増幅して増幅テラヘルツ波を得、増幅テラヘルツ波は
前記放射器(05)に伝送される、請求項
1に記載の抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料の製造方法。
【請求項4】
前記光電子遷移モジュール(09)は、電子銃(035)、パルス偏向コイル(036)、電子線(037)、陽極(038)、遷移チャンバー(039)を有し、
前記遷移チャンバー(039)は
前記共振チャンバー(010)と連通し、
前記電子銃(035)及び
前記パルス偏向コイル(036)は、
前記遷移チャンバー(039)内に取付けられ、
前記パルス偏向コイル(036)は周波数選択性電界を生成し、
前記陽極(038)は、
前記共振チャンバー
(010
)の内壁に取り付けられ、
前記電子銃(035)は、
前記チャージポンプ(08)及び
前記BAWろ波器(07)を介して
前記外部電源と接続し、且つ
前記パルス偏向コイル(036)によって生成された周波数選択性電界内に電子線(037)を放射し、周波数選択された電子線は、
前記共振チャンバー(010)内に入って共振された後に
前記陽極(038)によって受け取られてテラヘルツ基本波に形成される、請求項
3に記載の抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料の製造方法。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料の抗菌、鮮度保持、消臭分野における利用。
【請求項6】
抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料をシリカゲル基材に添加して消臭シートを製造し、冷蔵庫、本棚、エレベーター、小部屋内において利用する、または、該テラヘルツ材料を原材料の一つとして冷蔵庫及び/又は鮮度保持材料を製造する、または、テラヘルツ材料を含む衣料を製造する、請求項
5に記載の利用。
【請求項7】
前記消臭シートにおけるテラヘルツ材料の添加量は10~55wt%で
ある、請求項
6に記載の利用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テラヘルツの技術分野に属し、具体的には、抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料並びにその製造方法と利用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、臭いの除去には活性炭が最も多く使われているが、オゾンを用いた消臭設備、CH-CUTフォルムアルデヒド触媒分解技術を用いた消臭器、冷蔵庫消臭スプレーなども販売されている。これらは、消臭が不完全であったり、操作が面倒でメンテナンスが必要であったり、消耗品が必要であったり、価格が比較的高かったり、触媒部材が水やほこりに弱いデリケートなものであったりなどの問題があり、満足のいくものではなかった。
【0003】
現在の物理的鮮度保持手段としては、乾燥、低温、殺菌後の密封、真空、密封したパッケージ内への不活性ガスの充填などがある。
【0004】
本発明に係る抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料から放出されるテラヘルツ波は細菌を効果的に死滅させることができ、抗菌率は、大腸菌に対して98~99%であり、黄色ブドウ球菌に対して92~94%である。また、テラヘルツは、様々な気体分子に作用して臭い分子の化学的性質を変化させ、容易に感じられなくするので、臭いを軽減させることもできる。したがって、本発明に係る材料は、細菌臭と化学臭のいずれの環境においても消臭効果を発揮することができる。抗菌性により、鮮度保持の効果も得られる。更に、メンテナンスフリーで寿命が長いという特徴を併せ持つ。材料そのものの寿命と抗菌、鮮度保持及び消臭の効果は数十年に及ぶので、製品の寿命は担体の寿命によって決まる。例えば、テラヘルツシリカゲルシートの寿命は20年にも及ぶ。
【0005】
要約すると、本発明は、テラヘルツ波を放射することができる消臭材料を提供する。この材料を消臭シート、消臭パンツや靴敷き、消臭器、抗菌ゲル、抗菌塗料、冷蔵庫、洗濯機の内槽、抗菌且つ果物と野菜の鮮度を長持ちさせる鮮度保持包装材などの製品に製造することができ、得られた製品は、原料の寿命が長く(冷蔵庫の寿命より長く、性能の劣化は無視できる)、いかなるエネルギーをも必要とせず、メンテナンスフリー、安全(無毒、無揮発、無放射)の特性を持つ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術に存在する課題に鑑みてなされた本発明は、抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料並びにその製造方法と利用を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した技術的課題を解決するために、本発明は以下の技術的構想を採用する。
【0008】
抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料であって、以下の重量分率の原料、すなわち、SiOx:40~65、Al2O3:1~8、オーカー:5~15、タングステン酸バリウム:1~2、CaCO3:30~45、TiO2:15~35、を含む。
【0009】
前記抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料の製造方法は、
粗シリコンSi、SiO2及び備長炭を1:(3~5):(5~10)の重量比で混合し、無酸素の環境で700~1500℃まで加熱して1~8時間保持し、黒色結晶体SiOxを生成するステップ(1)と、
SiOxとその他の各組成原料とを前記割合で混合し、200~500メッシュの細かさとなるように粉砕し、適量の水を加えて撹拌し(好ましくは円球にする)、円形ターンテーブルによってペレットにし、無酸素環境に移して600~1200℃まで加熱して3~8時間保持し、二次粉砕するステップ(2)と、
赤外線発射率が0.92以上であると測定した後、細かさが10000メッシュ以上となるように粉砕及び粉末加工し、更にテラヘルツ放射線照射ラインによる増強処理を行い、抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料を得るステップ(3)と、を含む。
【0010】
更に、テラヘルツ放射線照射ラインによる増強処理の周波数は、2.3x1011、5.5x1011、1.1x1012、2.3x1012、5.5x1012Hzの五つの異なる周波数(周波数帯域)を含む。
【0011】
前記テラヘルツ放射線照射ラインは、テラヘルツ放射線照射アセンブリ、コンベヤ及びトンネルフレームを備え、コンベヤはトンネルフレームを通過するように設置され、テラヘルツ放射線照射アセンブリは、コンベヤに対応するようにトンネルフレームに取り付けられ、前記テラヘルツ放射線照射アセンブリは、テラヘルツ波電子発生器及び電気ケーブルを有し、前記テラヘルツ波電子発生器は、ロジックユニット、基本波ユニット、平衡回路、増幅器及び放射器を有し、テラヘルツ波電子発生器は、電気ケーブルを介して放射器と接続し、放射器は、トンネルフレームの内壁に貼り付けられている。
【0012】
前記基本波ユニットは、並列に接続された幾つかの基本波モジュールを有し、前記基本波モジュールは、ドライバー、BAWろ波器、チャージポンプ、光電子遷移モジュール及び共振チャンバーを有し、ロジックユニットは、ドライバーを介してチャージポンプの開閉を制御し、外部電源は、BAWろ波器及びチャージポンプを介して光電子遷移モジュールに給電し、光電子遷移モジュール内で発生した電子線は、共振チャンバー内に伝送されて安定的なテラヘルツ基本波を形成し、ロジックユニットは、テラヘルツ基本波を放射するように各基本波モジュールを制御し、テラヘルツ基本波は平衡回路に伝送され、平衡回路は、受け取ったテラヘルツ基本波を調節して複合テラヘルツ波を得、複合テラヘルツ波は増幅器に伝送され、増幅器は、受け取った複合テラヘルツ波を増幅して増幅テラヘルツ波を得、増幅テラヘルツ波は放射器に伝送される。
【0013】
前記光電子遷移モジュールは、電子銃、パルス偏向コイル、電子線、陽極、遷移チャンバーを有し、遷移チャンバーは共振チャンバーと連通し、電子銃及びパルス偏向コイルは、遷移チャンバー内に取付けられ、パルス偏向コイルは周波数選択性電界を生成し、陽極は、共振チャンバーの内壁に取り付けられ、電子銃は、チャージポンプ及びBAWろ波器を介して外部電源と接続し、且つパルス偏向コイル36によって生成された周波数選択性電界内に電子線を放射し、周波数選択された電子線は、共振チャンバー内に入って共振された後に陽極によって受け取られてテラヘルツ基本波に形成される。
【0014】
前記抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料の利用としては、テラヘルツ材料をシリカゲル基材に添加して抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料を含む消臭シートを製造し、冷蔵庫、本棚、エレベーター、小部屋内において利用すること、または、該抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料を用いて冷蔵庫又は鮮度保持材料を製造すること、または、テラヘルツ材料を含む衣料や服飾を製造すること、が挙げられる。
【0015】
前記消臭シートにおけるテラヘルツ材料の添加量は10~55wt%であり、消臭シートの製造方法は通常のシリカゲルシートと同一である。
【0016】
本発明の目的は、抗菌、消臭(消臭率60%/日)、鮮度保持(葉物野菜において200~300%延長)の効果を有し、抗菌、消臭、鮮度保持の機能を有する各種製品の製造に使用できる粉末状テラヘルツ材料を提供することにある。
【0017】
テラヘルツは、多くの専門家によって遠赤外線の遠端に位置すると定義されている。この周波数はちょうど原子の電子回転の周波数に近いため、原子との共振を発生して分子の活性や透過性を高めることができる。テラヘルツ波は、物質の構造や性質に反応する指紋特性を持ち、且つ光子エネルギーがX線より遥かに小さいため、生体高分子、生体細胞及び組織に有害な電離を生じない(「中国はテラヘルツ技術の生物医学応用の研究を加速すべき」科学技術日報、2014年4月13日)。したがって、使用過程は非常に安全である(
図1)。
【発明の効果】
【0018】
本材料は、抗菌、消臭、鮮度保持効果を有する。
【0019】
例えば、家庭用冷蔵庫の冷凍室の温度は0~7℃である。この温度はほとんどの細菌の繁殖を大きく抑制する効果があり、食品の腐敗を遅らせることができるが、細菌を殺滅することができない。大腸菌や黄色ブドウ球菌などの一部の好冷細菌は、冷蔵庫の中でも活発に活動する。これらの菌は不快な臭いを放ちながら増殖し続け、食品の腐敗を引き起こす。抗菌、鮮度保持、消臭機能を有する本発明のテラヘルツ材料は、使用中の冷蔵庫内を数日でほぼ無臭にすることができる。
【0020】
以下、本発明の有益な効果について説明する。本発明に係る冷蔵庫の冷蔵室用の長期持続型脱臭材料は、従来技術に比べ、以下のような有益な効果を有する。(1)本発明のコストが低く、冷蔵庫1台あたりのコストは10元以下であり、小売用消臭用品又は設備においても50元以下に抑えることができる。(2)本発明は、無毒、無揮発且つ無放射であり、完全に安全である。また、生産過程で何らコンタミネーションも発生していない、食品グレードの認証を受けた原材料の供給も可能である。(3)本発明は、使用時にエネルギーやメンテナンスを必要としない。(4)本発明は冷蔵庫よりも長持ちし、単体の消臭製品であれば冷蔵庫の廃棄後に取り出してキャビネットやリビングの消臭に使用することも可能である。(5)本発明は、古い冷蔵庫の臭いを解決するためにも、冷蔵庫工場で無臭の冷蔵庫を製造するためにも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る抗菌、鮮度保持及び消臭機能を有する材料による消臭原理を示す図である。
【
図2】本発明に係る抗菌、鮮度保持及び消臭機能を有する材料から製造された消臭シートや消臭器の冷蔵庫内での利用を示す図である。
【
図3】本発明に係る抗菌、鮮度保持及び消臭機能を有する材料から製造された、鮮度保持及び無臭効果を強化した冷蔵庫としての利用を示す図である。
【
図4】本発明に係る抗菌、鮮度保持及び消臭機能を有する材料から製造された消臭シートや消臭器の本棚内での利用を示す図である。
【
図5】本発明に係る抗菌、鮮度保持及び消臭機能を有する材料から製造された消臭シートや消臭器のエレベーター又は小部屋内での利用を示す図である。
【
図6】本発明に係る抗菌、鮮度保持及び消臭機能を有する材料から製造された鮮度保持材料を示す図である。
【
図7】テラヘルツ放射線照射ラインの構造を示す模式図である。
【
図8】
図7におけるテラヘルツ波電子発生器の原理を示す図である。
【
図9】
図8における基本波モジュールの原理を示す図である。
【
図10】
図9における光電子遷移モジュールの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、具体的な実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。なお、以下の実施例は、本発明を説明することのみを目的としており、本発明の範囲を限定するものではなく、当業者は、上述した発明の内容に基づいて、いくつかの本質的でない改良および調整を行うことができることを理解されたい。
【0023】
実施例1
抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料であって、以下の重量分率の原料、すなわち、SiOx:50、Al2O3:4、オーカー(ochre):8、タングステン酸バリウム:2、CaCO3:40、TiO2:20、を含む。
【0024】
前述した抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料の製造方法は、
粗シリコンSi、SiO2及び備長炭を1:4:8の重量比で混合し、無酸素の環境で1200℃まで加熱して4時間保持し、黒色結晶体SiOxを生成するステップ(1)と、
SiOxとその他の各組成原料とを前記割合で混合し、200~500メッシュの細かさとなるように粉砕し、適量の水を加えて撹拌し(好ましくは円球にする)、円形ターンテーブルによってペレットにし、無酸素環境に移して800℃まで加熱して5時間保持し、二次粉砕するステップ(2)と、
赤外線発射率が0.92以上であると測定した後、細かさが10000メッシュ以上となるように粉砕及び粉末加工し、更にテラヘルツ放射線照射ラインによる増強処理を行い、抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料を得、テラヘルツ放射線照射ラインによる増強処理の周波数は、2.3x1011、5.5x1011、1.1x1012、2.3x1012、5.5x1012Hzの五つの異なる周波数(周波数帯域)を含むステップ(3)と、を含む。
【0025】
図7に示すように、前記テラヘルツ放射線照射ラインは、テラヘルツ放射線照射アセンブリ、コンベヤ011及びトンネルフレーム012を備える。コンベヤ011はトンネルフレーム012を通過するように設置され、テラヘルツ放射線照射アセンブリは、コンベヤ011に対応するようにトンネルフレーム012に取り付けられている。前記テラヘルツ放射線照射アセンブリは、テラヘルツ波電子発生器及び電気ケーブルを有し、前記テラヘルツ波電子発生器は、ロジックユニット01、基本波ユニット02、平衡回路03、増幅器04及び放射器05を有する。テラヘルツ波電子発生器は、電気ケーブルを介して放射器05と接続し、放射器05は、トンネルフレーム012の内壁に貼り付けられている。
【0026】
図8、9に示すように、前記基本波ユニット02は、並列に接続された幾つかの基本波モジュールを有し、前記基本波モジュールは、ドライバー06、BAWろ波器07、チャージポンプ08、光電子遷移モジュール09及び共振チャンバー010を有する。ロジックユニット01は、ドライバー06を介してチャージポンプ08の開閉を制御し、外部電源は、BAWろ波器07及びチャージポンプ08を介して光電子遷移モジュール09に給電し、光電子遷移モジュール09内で発生した電子線は、共振チャンバー010内に伝送されて安定的なテラヘルツ基本波を形成する。ロジックユニット01は、テラヘルツ基本波を放射するように各基本波モジュールを制御し、テラヘルツ基本波は平衡回路03に伝送され、平衡回路03は、受け取ったテラヘルツ基本波を調節して複合テラヘルツ波を得、複合テラヘルツ波は増幅器04に伝送され、増幅器04は、受け取った複合テラヘルツ波を増幅して増幅テラヘルツ波を得、増幅テラヘルツ波は放射器05に伝送される。
【0027】
図10に示すように、前記光電子遷移モジュール09は、電子銃035、パルス偏向コイル036、電子線037、陽極038、遷移チャンバー039を有する。遷移チャンバー039は共振チャンバー010と連通し、電子銃035及びパルス偏向コイル036は、遷移チャンバー039内に取付けられ、パルス偏向コイル036は周波数選択性電界を生成する。陽極038は、共振チャンバー010の内壁に取り付けられている。電子銃035は、チャージポンプ08及びBAWろ波器07を介して外部電源と接続し、且つパルス偏向コイル036によって生成された周波数選択性電界内に電子線037を放射する。周波数選択された電子線は、共振チャンバー010内に入って共振された後に陽極038によって受け取られてテラヘルツ基本波に形成される。
【0028】
実施例2
抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料であって、以下の重量分率の原料、すなわち、SiOx:40、Al2O3:8、オーカー(ochre):5、タングステン酸バリウム:2、CaCO3:30、TiO2:35、を含む。
【0029】
前述した抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料の製造方法は、
粗シリコンSi、SiO2及び備長炭を1:3:5の重量比で混合し、無酸素の環境で700℃まで加熱して8時間保持し、黒色結晶体SiOxを生成するステップ(1)と、
SiOxとその他の各組成原料とを前記割合で混合し、200~500メッシュの細かさとなるように粉砕し、適量の水を加えて撹拌し(好ましくは円球にする)、円形ターンテーブルによってペレットにし、無酸素環境に移して1200℃まで加熱して3時間保持し、二次粉砕するステップ(2)と、
赤外線発射率が0.92以上であると測定した後、細かさが10000メッシュ以上となるように粉砕及び粉末加工し、更にテラヘルツ放射線照射ラインによる増強処理を行い、抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料を得、テラヘルツ放射線照射ラインによる増強処理の周波数は、2.3x1011、5.5x1011、1.1x1012、2.3x1012、5.5x1012Hzの五つの異なる周波数(周波数帯域)を含むステップ(3)と、を含む。
【0030】
本実施例のテラヘルツ放射線照射ラインの構成は実施例1と同一である。
【0031】
実施例3
抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料であって、以下の重量分率の原料、すなわち、SiOx:65、Al2O3:1、オーカー(ochre):15、タングステン酸バリウム:1、CaCO3:45、TiO2:15、を含む。
【0032】
前述した抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料の製造方法は、
粗シリコンSi、SiO2及び備長炭を1:5:10の重量比で混合し、無酸素の環境で1500℃まで加熱して1時間保持し、黒色結晶体SiOxを生成するステップ(1)と、
SiOxとその他の各組成原料とを前記割合で混合し、200~500メッシュの細かさとなるように粉砕し、適量の水を加えて撹拌し(好ましくは円球にする)、円形ターンテーブルによってペレットにし、無酸素環境に移して600℃まで加熱して8時間保持し、二次粉砕するステップ(2)と、
赤外線発射率が0.92以上であると測定した後、細かさが10000メッシュ以上となるように粉砕及び粉末加工し、更にテラヘルツ放射線照射ラインによる増強処理を行い、抗菌、鮮度保持及び消臭効果を有するテラヘルツ材料を得、テラヘルツ放射線照射ラインによる増強処理の周波数は、2.3x1011、5.5x1011、1.1x1012、2.3x1012、5.5x1012Hzの五つの異なる周波数(周波数帯域)を含むステップ(3)と、を含む。
【0033】
本実施例のテラヘルツ放射線照射ラインの構成は実施例1と同一である。
【0034】
利用例1
図2に、本発明に係る抗菌、鮮度保持及び消臭機能を有する材料の、冷蔵庫の冷蔵室内での消臭における利用例として、構造が最も簡単な消臭ゲルシートと消臭器が示されている。これらは、メンテナンスフリーで寿命が長く、エネルギーを必要としないメリットがある。
【0035】
本発明に係るテラヘルツ材料の消臭ゲルシート及び消臭器での利用には下記の特徴がある。
(1)毎日60%の臭いを除去し、1週間以内に冷蔵庫内の残留臭がほぼなくなる。
(2)冷蔵庫内に臭いの出る腐った食材がなく、ドリアン、臭豆腐などが密封袋に入れられていることを前提とする。本製品は強力な異臭源に対処することができない。
(3)冷蔵庫内で臭いが再び発生した場合は、間違いなく何かが腐敗しているので、見つけ出して処分する必要がある。
(4)大型の冷蔵庫では、複数の消臭ゲルシートや消臭器が必要になる場合がある。
(5)一部の冷蔵庫は冷凍室に臭いが発生する場合がある。消臭ゲルシートと消臭器はこのような場合においても有効である。
(6)消臭ゲルシートと消臭器は冷蔵庫よりも寿命が長い。
【0036】
更に、本発明は、臭いの分子の内部エネルギーを変化させることで冷蔵庫の冷蔵室内の臭いを徹底的に除去するので、従来の手段と比べて大きなメリットがあり、各項目においては10点満点とする。
【0037】
【0038】
本手段は、ほぼすべての冷蔵庫の冷蔵室に使用可能である。
【0039】
利用例2
図3に、本発明に係る抗菌、鮮度保持及び消臭機能を有する材料で製造された部品を備えた強力鮮度保持無味冷蔵庫が示されている。当該冷蔵庫は、鮮度保持無臭内層7、鮮度保持野菜箱8、鮮度保持棚板9、鮮度保持敷きシート10(出荷までに冷蔵庫のガラス製横棚板に貼り付けられる)を有し得る。このような冷蔵庫は、寿命にわたって無臭であり、食材の鮮度保持期間を少なくとも1倍以上に延ばすことができる。
【0040】
本発明に係るテラヘルツ材料の消臭ゲルシート及び消臭器での利用には下記の特徴がある。
(1)冷凍室内の臭いという冷蔵庫業界の世界的な問題を解決する。
(2)冷蔵庫を、食材の鮮度保持期間を適切に延ばせるものにする。
【0041】
この手段は、各冷蔵庫生産業者に適用できる。
【0042】
利用例3
図4に、本発明に係る抗菌、鮮度保持及び消臭機能を有する材料の、本棚内での消臭における利用例として、構造が最も簡単な消臭ゲルシート4及び消臭器13、並びに消臭フォトフレームと置物14が示されている。これらのいずれも、メンテナンスフリーで寿命が長く、エネルギーを必要としないメリットがある。
【0043】
本棚内の臭いは、主に木材(無垢材又は中、高密度繊維板)から発生するものである。無垢材の臭いは無害であるが、中、高密度繊維板に使われている化学接着剤やペイントは、有害な物質を放出することがある。また、現在、書籍に使用されるインクは全て、有機揮発物質や重金属を含む化学合成のものである。したがって、本棚は、実は家庭内の一つの大きな汚染源である。また、ドア付き本棚の場合、基本的に密封されているため、内部の臭いが逃げにくく、開けるたびに非常に強い混合臭に直面することになる。
【0044】
目下、本棚の臭いを専門的に解決する方法はない。もちろん活性炭によってこの問題を解決することもできるが、活性炭は定期的なメンテナンスが必要であり、効果の減衰も早い。
【0045】
本発明に係るテラヘルツ材料の消臭ゲルシート及び消臭器での利用には下記の特徴がある。
(1)毎日40%の臭いを除去し、五日後に臭いが基本的になくなる。
(2)本棚からの臭いの発散は非常に長期的なものであり、止める手段はない。消臭装置の消臭力が本棚から発散される臭いを上回ることができるか否かは、実際に試してみる必要がある。脱臭開始後1週間経過してもなお臭いがはっきりする場合は、脱臭装置の追加を検討する。
(3)臭いが比較的強い展示棚にも使用可能である。
【0046】
この手段は、家庭、オフィス、図書館、展覧ホールなどに適している。
【0047】
利用例4
図5に、本発明に係る抗菌、鮮度保持及び消臭機能を有する材料の、エレベーター内での消臭における利用例として、構造が最も簡単な消臭ゲルシート4及び消臭器13、並びに特製の消臭機能付き換気口16が示されている。これらのいずれも、メンテナンスフリーで寿命が長く、エネルギーを必要としないメリットがある。
【0048】
エレベーターは、運搬されるゴミ、乗客が所持した臭いのする果物、犬によるマーキング、喫煙行為などにより臭いがすることがある。本手段の消臭装置はこの問題を静かに解消できる。
【0049】
利用例5
図6に、本発明に係る抗菌、鮮度保持及び消臭機能を有する材料の、鮮度保持業界における利用例として、強化鮮度保持ラップフイルム及び鮮度保持シール、鮮度保持パッド17、強化鮮度保持袋18、強化鮮度保持箱19を含む製品が示されている。
【0050】
本発明に係るテラヘルツ材料の消臭ゲルシート及び消臭器での利用には下記の特徴がある。
【0051】
(1)使い捨て及び再利用可能なものを含む、輸送、保存、物流のためのパッケージ材料に使用することができ、コールドチェーン輸送を代替または部分的に代替可能である。
(2)販売用鮮度保持パッド17、物流箱19等に使用することができ、この場合では使い捨てが多く、商品の陳列期間を倍に延ばすことができる。
(3)保存料、防腐剤の代わりとして、食品の出荷用包装袋に使用することができる。
(4)医薬品の冷蔵の代わりに使用することができる。
【0052】
本手段は非常に広い分野に利用可能である。
【0053】
利用例6
図7に、本発明に係る抗菌、鮮度保持及び消臭機能を有する材料から製造された消臭パンツ及び靴下が示されている。これら衣料は、一部特殊業種の従事者(例えば刑事警察、科学調査隊員)にとって非常に有用である。
【0054】
抗菌無臭衣料(消臭パンツ、消臭靴敷き等)は、人の体臭を抑えることができるだけでなく、例えば陰嚢の湿疹や脚気のような病気の予防及び治療にも効果がある。これら機能性衣料の将来は明るい。
【0055】
以上、本発明の基本原理と主な特徴、およびその利点を示し、説明した。本発明は、上記実施例によって限定されるものではなく、上記実施例及び明細書における記載は、単に本発明の原理を説明するものであり、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変形及び改善がなされること、並びにこれらの変形及び改善が本発明の範囲に属することは、当業者に理解されるべきことである。本発明が保護を求める範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義されます。
【符号の説明】
【0056】
鮮度保持消臭材料 1
テラヘルツ波 2
臭気、細菌 3
消臭シート(滅菌鮮度保持消臭材料を含み、冷蔵庫の内壁に貼り付けられている) 4
消臭器(滅菌鮮度保持消臭材料を含み、吹出口に配置されている) 5
冷蔵庫の冷蔵室 6
鮮度保持無臭内層 7
鮮度保持野菜箱(冷蔵庫の付属品) 8
鮮度保持棚板(冷蔵庫の付属品) 9
鮮度保持敷きシート 10
ドア付き本棚 11
本 12
消臭器(電池給電、ソーラーセル給電又はアダプター給電のファン付き) 13
消臭置物/フォトフレーム 14
エレベーター 15
消臭機能付き換気口 16
強化鮮度保持ラップフイルム 17
強化鮮度保持袋 18
強化鮮度保持箱 19
テラヘルツ波電子発生器 017
焙焼後のテラヘルツ材料半製品 018
電気ケーブル 015
トンネルフレーム 012
コンベヤ 011
ロジックユニット 01
基本波ユニット 02
平衡回路 03
増幅器 04
放射器 05
ドライバー 06
BAWろ波器 07
チャージポンプ 08
光電子遷移モジュール 09
共振チャンバーへの電子線の伝送 010
電子銃 035
パルス偏向コイル 036
電子線 037
陽極 038
遷移チャンバー 039