(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】流量計センサ
(51)【国際特許分類】
G01F 1/667 20220101AFI20230228BHJP
G01F 1/66 20220101ALI20230228BHJP
【FI】
G01F1/667 Z
G01F1/66 101
(21)【出願番号】P 2022579044
(86)(22)【出願日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 JP2022035770
【審査請求日】2023-01-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000243364
【氏名又は名称】本多電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114605
【氏名又は名称】渥美 久彦
(72)【発明者】
【氏名】流田 賢治
(72)【発明者】
【氏名】石黒 裕也
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 克幸
(72)【発明者】
【氏名】外村 啓真
(72)【発明者】
【氏名】村井 勇気
【審査官】羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-152888(JP,U)
【文献】特許第7074390(JP,B1)
【文献】米国特許第4929368(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/66-1/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を発生する超音波振動子と、
内部に流体が流される配管と、
前記配管の外周面に接触配置される底面と、前記超音波振動子を支持する前側傾斜面とを有し、前記超音波振動子から前記配管内の前記流体に向けて超音波を伝搬させる音響プリズムと
を備え、
前記配管が、90℃~200℃の温度域での耐熱性と、前記温度域での温度上昇に伴って超音波透過率が低くなる負の温度音響特性とを有する第1の耐熱性樹脂からなり、
前記音響プリズムが、90℃~200℃の温度域での耐熱性と、前記温度域での温度上昇に伴って超音波透過率が高くなる正の温度音響特性とを有する第2の耐熱性樹脂からなる
ことを特徴とする流量計センサ。
【請求項2】
前記配管及び前記音響プリズムにより、超音波伝搬経路が形成されるとともに、
前記超音波伝搬経路の全長において前記音響プリズムが占める長さが、前記超音波伝搬経路の全長において前記配管が占める長さよりも大きい
ことを特徴とする請求項1に記載の流量計センサ。
【請求項3】
前記第2の耐熱性樹脂は、ポリエーテルサルフォンであり、
前記第1の耐熱性樹脂は、前記第2の耐熱性樹脂よりも高い耐熱性を有するフッ素樹脂である
ことを特徴とする請求項2に記載の流量計センサ。
【請求項4】
前記配管の外周面と前記音響プリズムの前記底面とに対して接触配置されるカップリング材層をさらに備え、
前記カップリング材層が、90℃~200℃の温度域での耐熱性を有する耐熱性材料からなる
ことを特徴とする請求項1に記載の流量計センサ。
【請求項5】
前記耐熱性材料は、90℃~200℃の温度域での温度上昇に伴って超音波透過率が低くなる負の温度音響特性を有することを特徴とする請求項4に記載の流量計センサ。
【請求項6】
前記配管、前記カップリング材層及び前記音響プリズムにより、超音波伝搬経路が形成されるとともに、
前記超音波伝搬経路の全長において前記音響プリズムが占める長さが、前記超音波伝搬経路の全長において、前記配管が占める長さ及び前記カップリング材層が占める長さの和よりも大きい
ことを特徴とする請求項5に記載の流量計センサ。
【請求項7】
前記第2の耐熱性樹脂は、ポリエーテルサルフォンであり、
前記第1の耐熱性樹脂は、前記第2の耐熱性樹脂よりも高い耐熱性を有するフッ素樹脂であり、
前記耐熱性材料は、前記第2の耐熱性樹脂よりも高い耐熱性を有するフッ素ゴムである
ことを特徴とする請求項6に記載の流量計センサ。
【請求項8】
前記音響プリズムにおいて前記前側傾斜面と前記底面とをつなぐ中間部分は、両側面に肉抜き部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の流量計センサ。
【請求項9】
前記音響プリズムにおいて前記前側傾斜面と前記底面とをつなぐ中間部分は、前記底面側に近づくほど幅が狭くなるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の流量計センサ。
【請求項10】
前記超音波振動子は、ニオブ酸アルカリ系圧電セラミックスの多孔質体からなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の流量計センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流量計センサに関するものである。
【0002】
従来、超音波を用いた計測装置として、液体の流量計測を行う超音波流量計が種々提案されている。この超音波流量計では、液体が流れる配管の途中に流量計測管が設けられ、その流量計測管の上流側位置及び下流側位置にそれぞれ超音波センサが設置されている。そして、これらの超音波センサを用いて超音波を送受信し、上流側から下流側に伝播する超音波の伝播時間と下流側から上流側に伝播する超音波の伝播時間との時間差に基づいて、液体の流量が算出されるようになっている。
【0003】
この種の超音波流量計としては従来各種のものが提案されているが、例えばストレート形状の配管に対して取り付け可能なクランプオン式の超音波流量計センサが従来存在している(例えば特許文献1を参照)。
【0004】
そして、この種のストレート型流量計センサとしては、超音波振動子を支持する一対の音響プリズムを配管の軸線方向にオフセットして配置したものが従来提案されている(例えば特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5927394号公報
【文献】特許第6789766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来技術では、常温から100℃程度の比較的低温域では安定して計測を行うことができていたが、100℃を超える高温域では感度の低下が顕著になり、安定して計測を行うことができないという問題があった。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、100℃超の高温域を含む広い温度範囲で安定して流速を計測することができる流量計センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、流量計センサにおける100℃超の高温域での感度低下の原因が、センサ構成部材に使用されている材料の特性にあるとの予測のもと、本願発明者らは鋭意研究を行った。その結果、従来の一般的なセンサ構成部材の使用材料には音響特性に関して温度依存性があり、そのような材料の殆どが温度上昇に伴って超音波透過率が低下するという特性(即ち、負の温度音響特性)を有しており、特に100℃超の高温域での超音波透過率の低下が著しくなるということを新たに知見した。また、超音波伝搬経路の全長において個々の構成部材が占める長さの割合にも着目したところ、当該長さ割合が大きい使用材料ほど、その温度音響特性がセンサ全体の特性に与える影響が大きいことも新たに知見した。本願発明者らは、これらの知見に基づいて試行錯誤を行った末、最終的に下記の本願発明を想到するに至ったのである。
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、超音波を発生する超音波振動子と、内部に流体が流される配管と、前記配管の外周面に接触配置される底面と、前記超音波振動子を支持する前側傾斜面とを有し、前記超音波振動子から前記配管内の前記流体に向けて超音波を伝搬させる音響プリズムとを備え、前記配管が、90℃~200℃の温度域での耐熱性と、前記温度域での温度上昇に伴って超音波透過率が低くなる負の温度音響特性とを有する第1の耐熱性樹脂からなり、前記音響プリズムが、90℃~200℃の温度域での耐熱性と、前記温度域での温度上昇に伴って超音波透過率が高くなる正の温度音響特性とを有する第2の耐熱性樹脂からなることを特徴とする流量計センサをその要旨とする。
【0010】
従って、請求項1に記載の発明によれば、超音波伝搬経路の全長において比較的大きな長さ割合を占める音響プリズムについて、正の温度音響特性を有する第2の耐熱性樹脂を使用している。そのため、超音波伝搬経路を構成する他部材の形成材料が負の温度音響特性を有するものであったとしても、その影響が緩和される。よって、100℃超の高温域での超音波透過率の低下を極力抑えることができ、当該高温域でも好適な感度を維持することができる。また、音響プリズム及び配管の両方について、100℃超の高温域で耐熱性を有する樹脂材料を使用しているため、100℃超の高温流体を流したときでも計測を行うことができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記配管及び前記音響プリズムにより、超音波伝搬経路が形成されるとともに、前記超音波伝搬経路の全長において前記音響プリズムが占める長さが、前記超音波伝搬経路の全長において前記配管が占める長さよりも大きいことをその要旨とする。
【0012】
従って、請求項2に記載の発明によると、配管の形成材料が負の温度音響特性を有するものであっても、正の温度音響特性を有する形成材料からなる音響プリズムと組み合わせることにより、負の温度音響特性の影響を効果的に緩和することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記第2の耐熱性樹脂は、ポリエーテルサルフォンであり、前記第1の耐熱性樹脂は、前記第2の耐熱性樹脂よりも高い耐熱性を有するフッ素樹脂であることをその要旨とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1において、前記配管の外周面と前記音響プリズムの前記底面とに対して接触配置されるカップリング材層をさらに備え、前記カップリング材層が、90℃~200℃の温度域での耐熱性を有する耐熱性材料からなることをその要旨とする。
【0015】
従って、請求項4に記載の発明によると、カップリング材層を介して配管と音響プリズムとを配置することにより、配管と音響プリズムとの密着性が向上し、超音波を効率よく伝搬することができる。それゆえ、流速を精度よく計測することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4において、前記耐熱性材料は、前記温度域での温度上昇に伴って超音波透過率が低くなる負の温度音響特性を有することをその要旨とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5において、前記配管、前記カップリング材層及び前記音響プリズムにより、超音波伝搬経路が形成されるとともに、 前記超音波伝搬経路の全長において前記音響プリズムが占める長さが、前記超音波伝搬経路の全長において、前記配管が占める長さ及び前記カップリング材層が占める長さの和よりも大きいことをその要旨とする。
【0018】
従って、請求項6に記載の発明によると、配管及びカップリング材層の形成材料が負の温度音響特性を有するものであっても、正の温度音響特性を有する形成材料からなる音響プリズムと組み合わせることにより、負の温度音響特性の影響を効果的に緩和することができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項6において、前記第2の耐熱性樹脂は、ポリエーテルサルフォンであり、前記第1の耐熱性樹脂は、前記第2の耐熱性樹脂よりも高い耐熱性を有するフッ素樹脂であり、前記耐熱性材料は、前記第2の耐熱性樹脂よりも高い耐熱性を有するフッ素ゴムであることをその要旨とする。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項において、前記音響プリズムにおいて前記前側傾斜面と前記底面とをつなぐ中間部分は、両側面に肉抜き部が形成されていることをその要旨とする。
【0021】
従って、請求項8に記載の発明によると、中間部分が幅狭になることから、配管と接触する中間部分下端の面積が小さくなる。その結果、音響プリズムの下面が高い接触圧をもって配管に接触するようになり、超音波振動子が発した超音波を配管側に効率よく確実に入射させることができる。また、超音波振動子が発した超音波のうち、配管側に入射しなかった超音波は、音響プリズムの下面により反射されて残響となり、ノイズを発生させる原因となる。その点この構成であると、音響プリズムの下面が反射面となりにくいため、下面反射により生じる残響を低減することができる。また、音響プリズムを形成する樹脂材料の使用量を減らすことができるため、製造コストの低減を達成しやすくなる。
【0022】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項において、前記音響プリズムにおいて前記前側傾斜面と前記底面とをつなぐ中間部分は、前記底面側に近づくほど幅が狭くなるように形成されていることをその要旨とする。
【0023】
従って、請求項9に記載の発明によると、中間部分が幅狭になることから、配管と接触する中間部分下端の面積が小さくなる。その結果、音響プリズムの下面が高い接触圧をもって配管に接触するようになり、超音波振動子が発した超音波を配管側に効率よく確実に入射させることができる。また、超音波振動子が発した超音波のうち、配管側に入射しなかった超音波は、音響プリズムの下面により反射されて残響となり、ノイズを発生させる原因となる。その点この構成であると、音響プリズムの下面が反射面となりにくいため、下面反射により生じる残響を低減することができる。また、音響プリズムを形成する樹脂材料の使用量を減らすことができるため、製造コストの低減を達成しやすくなる。
【0024】
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項において、前記超音波振動子は、ニオブ酸アルカリ系圧電セラミックスの多孔質体からなることをその要旨とする。
【0025】
従って、請求項10に記載の発明によると、上記多孔質体はキュリー温度が300℃以上のセラミックスであることから、200℃でも特性が低下しない。よって、この材料からなる超音波振動子を用いることで、100℃超の高温流体の測定が可能であって、かつその場合でも精度のよい計測が可能な流量計センサとすることができる。
【発明の効果】
【0026】
以上詳述したように、請求項1~10に記載の発明によると、100℃超の高温域を含む広い温度範囲で安定して流速を計測することができる流量計センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明を具体化した実施形態のストレート型流量計センサを示す斜視図。
【
図2】第1実施形態のストレート型流量計センサを別の角度から見た斜視図。
【
図3】第1実施形態のストレート型流量計センサを示す分解斜視図。
【
図4】第1実施形態のストレート型流量計センサを示す分解側面図。
【
図5】
図4において一対の音響プリズムよりも下側の部材を示す平面図。
【
図6】一対の音響プリズムの配置状態を説明するための斜視図。
【
図7】(a)、(b)は一対の音響プリズムの配置状態を説明するための側面図。
【
図8】樹脂材料ごとの温度と送受利得との関係を比較したグラフ。
【
図9】(a)は別の実施形態のストレート型流量計センサにおける音響プリズムの側面図、(b)はその正面図、(c)は(a)のA-A線における断面図。
【
図10】(a)~(c)は別の実施形態の音響プリズムの断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した一実施形態のストレート型流量計センサ11を
図1~
図8に基づき詳細に説明する。
【0029】
図1~
図7等に示されるように、本実施形態のストレート型流量計センサ11は、配管1、内側ケース22、外側ケース21、超音波振動子64、音響プリズム61、カップリング材層81等を備えている。
【0030】
配管1は断面円形状の樹脂製チューブ部材であって、少なくともその一部にストレート状の部分を有している。配管1の内部には、流量を測定する対象となる流体が流され、本実施形態では特に100℃以上の高温液体が流される。配管1におけるプリズム設置箇所の外周面には、シート状のカップリング材層81が配置されている。
【0031】
一対の音響プリズム61は、超音波の送受信が可能な超音波振動子64を支持する部材であって、その超音波振動子64から配管1内の流体に向けて超音波を伝搬させる部材でもある(
図5~
図7等を参照)。一対の音響プリズム61は、透過型のストレート型流量計センサ11を構成するために、配管1の外周面においてほぼ対向する位置関係で配置されている。また、一対の音響プリズム61は、流体が流れるストレートの配管1に対して、超音波を斜めに入射させうる状態で超音波振動子64を支持しているとともに、配管1の軸線方向d1にオフセットして配置されている。
【0032】
図5~
図7等に示されるように、本実施形態における一対の音響プリズム61は、互いに同じ大きさであって、互いに同形状をなしている。より具体的にいうと、これらの音響プリズム61は、前後方向(
図5では左右方向)に長いブロック形状を呈しており、例えば超音波を効率よく伝達しうる樹脂材料を用いて形成されている。音響プリズム61の前面側には、底面65に対して所定角度(本実施形態では約60°)をなす前側傾斜面63が形成されている。その前側傾斜面63上には、セラミックス焼結体からなる円板状の超音波振動子64が接着支持されている。本実施形態では例えば2MHzの超音波を発生する超音波振動子64を用いているが、これ以外の周波数を発生するものであっても勿論よい。また、圧電素子である超音波振動子64を構成するセラミックス焼結体としては、例えばニオブ酸カリウムナトリウム系に代表されるニオブ酸アルカリ系圧電セラミックスの多孔質焼結体が選択されるが、これ以外のセラミックス焼結体であっても勿論よい。これらの超音波振動子64の超音波放射面は、ストレートの配管1の方向に傾いた状態で配置されている。
【0033】
これらの音響プリズム61を構成するプリズム本体62の底面65(即ち配管1の側を向いている面)には、複数本の脚部66が一体的に突設されている。本実施形態における底面65は平坦であるが、配管1の外周面の形状に沿うように凹状に湾曲していてもよい。これらの脚部66は、同一方向に延びるとともに、配管1を両側から挟んで保持固定している。本実施形態における脚部66は、左右2対の合計4本であって、各々等しい形状及び大きさを有したものとなっている。なお、脚部66の本数は4本に限定されず、3本以下あるいは5本以上であっても勿論よい。各々の脚部66は、配管1の直径よりも若干短い寸法となるように形成されている。前面側における1対の脚部66と、後面側における1対の脚部66とは、脚部66の幅よりも大きい間隔を隔てて配置されている。その理由は、一方の音響プリズム61に属する脚部66の間の領域に、他方の音響プリズム61に属する脚部66を、余裕のある寸法をもって配置するためである。
【0034】
そして一対の音響プリズム61は、脚部66同士を配管1の軸線方向d1に互い違いにずらした状態で配置されるとともに、異なる音響プリズム61(即ち相手側の音響プリズム61)の脚部66に接触しないように配置されている。このように脚部66同士の接触を避けたのは、一方の音響プリズム61に属する超音波振動子64の発した超音波の振動を直接他方に伝達させないためである。また、複数の脚部66は、超音波振動子64から照射された超音波ビームB1の中心を避けるようにして配置されている。その理由は、脚部66に超音波ビームB1が伝達されることによる超音波振動のロスを低減し、測定精度や感度の低下を回避するためである。
【0035】
図3~
図5に示されるように、内側ケース22は、矩形箱状の容器であって、一対の音響プリズム61を自身の内部に収容してそれらを配管1に対する正しい位置に保持固定するための役割を果たしている。なお、内側ケース22は、内部に収容した超音波振動子64を磁気の影響から守る電磁シールドとしての役割を担っていてもよい。内側ケース22の形成材料は特に限定されず、例えばPPSやフッ素樹脂等が使用可能であるが、電磁シールドとしての機能を付与する場合には磁気遮蔽性を有する金属材料を使用することが好ましい。この内側ケース22は、上蓋部材51と下蓋部材52とによって構成されている。上蓋部材51の両端面における中央部、下蓋部材52の両端面における中央部には、それぞれ略U字状の切欠部54が形成されている。上蓋部材51に下蓋部材52を被せたときには、これら切欠部54によって円形状の配管挿通孔が形成されるようになっている。
【0036】
内側ケース22の内部空間には、配管1を両側から挟み込んで固定した状態の一対の音響プリズム61が収容されている。この状態において、カップリング材層81は、配管1の外周面と音響プリズム61の底面65との間に介在され、それらに対して接触配置されている。音響プリズム61において底面65を除く各面は、いずれも内側ケース22の内壁面にほぼ接した状態となっている。また、内側ケース22は図示しない止めねじ等の締結部材を有している。そして、この止めねじを締め付けることによって、一対の音響プリズム61が内側ケース22及び配管1に対して位置ずれ不能に保持固定されている。つまり本実施形態では、超音波振動子64を有する一対の音響プリズム61と、カップリング材層81と、内側ケース22とによって、配管1の途中に1つのセンサモジュールが構成されている。なお、上記止めねじの締め付けによって音響プリズム61の上面が押圧されることにより、配管1に対する音響プリズム61の接触圧を増加させることができる。
【0037】
図1~
図5に示されるように、外側ケース21は内側ケース22よりもやや大きい矩形箱状の容器であって、センサモジュールである内側ケース22等を収容して保護する役割を果たしている。外側ケース21の形成材料は特に限定されないが、例えばPPSやフッ素樹脂等が使用される。この外側ケース21は、下側ケース分割片31(第1のケース分割片)と、上側ケース分割片41(第2のケース分割片)とによって構成されている。
【0038】
下側ケース分割片31は、全体的に上面側に開口を有しており、その開口縁が外側ケース21の分割面P1を構成している。下側ケース分割片31は片側のみに第1の側壁部31aを備えている。第1の側壁部31aの外面の中央部には、第1の挿通孔32を有する配管挿通部33が突設されており、その第1の挿通孔32には配管1の第1端側部位T1が挿通されている。また、第1の側壁部31aの外面において配管挿通部33の脇には、ケーブル接続のためのコネクタ部34が突設されている。
図3等に示されるように、下側ケース分割片31の内底面の中央部には、矩形枠状の壁部36が設けられている。この壁部36がなす凹部に内側ケース22が嵌合されることで、内側ケース22が下側ケース分割片31に位置決め固定されるようになっている。下側ケース分割片31の内底面における四隅には、上側ケース分割片41をねじ止め固定するときに用いる円柱状のボス部35が突設されている。各々のボス部35には雌ねじが形成されている。
【0039】
一方、上側ケース分割片41は、全体的に下面側に開口を有しており、その開口縁が外側ケース21の分割面P1を構成している。上側ケース分割片41は片側のみに第2の側壁部41aを備えている。第2の側壁部41aは、外側ケース21において第1の側壁部31aと対向する位置関係にある。第2の側壁部41aの外面の中央部には、第2の挿通孔42を有する配管挿通部43が突設されており、その第2の挿通孔42には配管1の第2端側部位T2が挿通されている。この上側ケース分割片41は、コネクタ部34、ボス部35及び壁部36を備えていない点で、下側ケース分割片31とは異なっている。また、この上側ケース分割片41の底面における四隅には、下側ケース分割片31のボス部35に対向して、それぞれねじ挿通部45が形成されている。各々のねじ挿通部45にはねじ71が挿通されるとともに、そのねじ71を隠すねじ蓋72が設けられる。
【0040】
下側ケース分割片31と上側ケース分割片41とを分割面P1同士で接合したときの界面には、防水用のパッキン23が取り付けられている。本実施形態のパッキン23は開口縁の形状と同じ矩形状であって、例えばFPM等のフッ素樹脂を用いて形成されている。この防水用のパッキン23は、下側ケース分割片31と上側ケース分割片41との間に配置された状態で、上下方向からねじ71を締め付けることにより圧縮される。その結果、下側ケース分割片31と上側ケース分割片41との界面に隙間ができず、シール性が良くなる結果、外側ケース21の防水が図られる。
【0041】
次に、本実施形態のストレート型流量計センサ11を構成する配管1、音響プリズム61、及びカップリング材層81の形成材料について説明する。
【0042】
本実施形態の配管1は、外径が数mmかつ管厚みが約1mmのチューブ状部材であって、第1の耐熱性樹脂からなる。第1の耐熱性樹脂は、90℃~200℃の温度域での耐熱性を有している。「当該温度域での耐熱性を有する」とは、例えば、第1の耐熱性樹脂が非晶性樹脂である場合には、200℃以上のガラス転移点Tgを有することと定義する。第1の耐熱性樹脂が結晶性樹脂である場合には、ともに200℃以上のガラス転移点Tg及び融点Tmを有することと定義する。つまり、第1の耐熱性樹脂は当該温度域にて軟化せず、安定した物性を維持する。これとは別に、「当該温度域での耐熱性を有する」ことについて、無負荷状態での連続使用温度が200℃以上であること、を定義としてもよい。また、第1の耐熱性樹脂は、当該温度域での温度上昇に伴って超音波透過率が低くなる(即ち伝搬減衰が大きくなる)負の温度音響特性を有している。なお、第1の耐熱性樹脂は、流量測定対象となる流体に直接触れる部分に使用されることから、高温、強酸、強アルカリの液体に晒されても劣化や腐食等しない耐薬品性を有していることがよい。
【0043】
本実施形態のカップリング材層81は、厚さ0.5mm~1mm程度かつ矩形状のシート材であって、90℃~200℃の温度域での耐熱性を有する耐熱性材料からなる。「当該温度域での耐熱性を有する」とは、例えば当該耐熱性材料がゴムである場合、24時間老化後に引っ張り強さを測定したときに、測定値に低下が見られる温度が200℃超であることと定義する。この耐熱性材料は、第1の耐熱性樹脂と同じく、当該温度域での温度上昇に伴って超音波透過率が低くなる負の温度音響特性を有している。なお、カップリング材層81は、配管1の外周面と音響プリズム61の底面65とに対して密着するために好適な弾性を有していることが好ましい。
【0044】
本実施形態の音響プリズム61は、上記の第1の耐熱性樹脂や耐熱性材料とは異なる第2の耐熱性樹脂からなる。第2の耐熱性樹脂は、90℃~200℃の温度域での耐熱性を有する。「当該温度域での耐熱性を有する」とは、例えば、第2の耐熱性樹脂が非晶性樹脂である場合には、200℃以上のガラス転移点Tgを有することと定義する。第2の耐熱性樹脂が結晶性樹脂である場合には、ともに200℃以上のガラス転移点Tg及び融点Tmを有することと定義する。ただし、第2の耐熱性樹脂に要求される耐熱性は、第1の耐熱性樹脂に要求される耐熱性ほど高くなくてもよい。第2の耐熱性樹脂は、上記の第1の耐熱性樹脂や耐熱性材料とは異なり、当該温度域での温度上昇に伴って超音波透過率が高くなる(即ち伝搬減衰が小さくなる)正の温度音響特性を有している。つまり、第2の耐熱性樹脂と、第1の耐熱性樹脂や耐熱性材料とでは、互いに逆の温度音響特性を有したものとなっている。
【0045】
なお、本実施形態では、配管1の形成材料である第1の耐熱性樹脂として、第2の耐熱性樹脂よりも高い耐熱性を有するフッ素樹脂を選択し、具体的にはPFA(パーフルオロアルコキシアルカン)を選択している。カップリング材層81の形成材料である耐熱性材料としては、第2の耐熱性樹脂よりも高い耐熱性を有するフッ素ゴムを選択し、具体的にはFKM(6フッ化プロピレン-フッ化ビニリデン共重合体)を選択している。音響プリズム61の形成材料である第2の耐熱性樹脂としては、PES(ポリエーテルサルフォン)を選択している。
【0046】
そして、
図5に示されるように、このストレート型流量計センサ11では、配管1、音響プリズム61及びカップリング材層81により、超音波伝搬経路が形成されている。音響プリズム61は、配管1内の流体に超音波を斜め入射させるために、前側傾斜面63を有している。音響プリズム61の前側傾斜面63の傾斜角度が大きいほど、入射角が大きくなる。この場合、流速及び流量の演算に用いる伝搬時間差が大きくなり、計測精度を向上するうえで有利となる。その反面、傾斜角度が大きいほど音響プリズム61内での伝搬距離が長くなるため、減衰特性の影響を受けやすくなる。このような事情に鑑みると、音響プリズム61の前側傾斜面63の傾斜角度は30°~70°が好ましく、45°~60°がより好ましい。そのような傾斜角度とした場合、超音波伝搬経路の全長において音響プリズム61が占める長さの割合が70%~99%と長くなる。
【0047】
図8は、複数種類の樹脂材料について温度音響特性を比較する試験の結果を示すグラフである。ここでは、複数種類の樹脂材料ごとに試験片を作製し、その両端面に共振周波数が2MHzの超音波振動子を貼り付けて、インパルス駆動で超音波の送受信を行った。そして、試験片に対して超音波を透過させたときの送受利得(dB re 1V/V)を所定温度範囲(20℃~200℃)において調査した。なお、樹脂材料としては、PPS、PI、PEEK、PES、PFA、FKMを選択した。
【0048】
図8のグラフに示されるように、PPSについては、20℃~100℃の温度域で送受利得がほぼ一定の最高値を示したが、100℃を超えると急激に送受利得が低下することがわかった。PIについては、20℃で送受利得が最高値を示したが、温度が上昇するにつれて徐々に低下することがわかった。PEEKについては、20℃で送受利得が最高値を示したが、温度が上昇するにつれて徐々に低下し、約150℃を超えると急激に送受利得が低下することがわかった。FKMについては、20℃で送受利得が最高値を示したが、温度が上昇するにつれて徐々に低下することがわかった。即ち、
図8のグラフ中において、PPS、PI、PEEK、FKMを示す曲線は、常温である20~200℃の温度域において、いずれも「全体的に右下がりの曲線」と言い得るものであった。なお、PFAについては、60℃で送受利得が最高値を示したが、温度が上昇するにつれて徐々に低下することがわかった。即ち、
図8のグラフ中において、PFAを示す曲線は、比較的低い温度域にて若干右上がりの部分があるものの、常温である20~200℃の温度域において、「全体的に右下がりの曲線」と言い得るものであった。つまり、PPS、PI、PEEK、PFA、FKMは、少なくとも90℃~200℃の温度域で、温度上昇に伴って超音波透過率が低くなる「負の温度音響特性」を有しているとの結論に至った。
【0049】
これに対し、PESについては、20℃では送受利得が低く、PPS、PI、PEEKよりもかなり下回った。しかし、温度の上昇に伴って送受利得が徐々に高くなるとともに、約120℃に至るとPPS、PI、PEEK、PFA、FKMを上回るようになって、150℃~200℃で最高値を示すことがわかった。即ち、
図8のグラフ中において、PESを示す曲線は、常温である20~200℃の温度域において、「全体的に右上がりの曲線」と言い得るものであった。つまり、PESは、PPS、PI、PEEK、PFA、FKMとは異なり、少なくとも90℃~200℃の温度域で、温度上昇に伴って超音波透過率が高くなる「正の温度音響特性」を有しているとの結論に至った。
【0050】
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0051】
(1)本実施形態のストレート型流量計センサ11における配管1、音響プリズム61、及びカップリング材層81は、一方の超音波振動子64から他方の超音波振動子64に至るまでの超音波伝搬経路を構成している。そして、配管1は、90℃~200℃の温度域での耐熱性と、当該温度域での温度上昇に伴って超音波透過率が低くなる負の温度音響特性とを有する第1の耐熱性樹脂(PFA)からなる。音響プリズム61は、当該温度域での耐熱性と、当該温度域での温度上昇に伴って超音波透過率が高くなる正の温度音響特性とを有する第2の耐熱性樹脂(PES)からなる。カップリング材層81は、当該温度域での耐熱性と、当該温度域での温度上昇に伴って超音波透過率が低くなる負の温度音響特性とを有する耐熱性材料(FKM)からなる。
【0052】
このような本実施形態では、超音波伝搬経路の全長において比較的大きな長さ割合を占める音響プリズム61について、正の温度音響特性を有する第2の耐熱性樹脂を使用している。そのため、超音波伝搬経路を構成する他部材(即ち、配管1及びカップリング材層81)の形成材料が負の温度音響特性を有するものであったとしても、その影響が緩和される。よって、100℃超の高温域での超音波透過率の低下を極力抑えることができ当該高温域でも好適な感度を維持することができる。また、音響プリズム61、配管1及びカップリング材層81の全てについて、100℃超の高温域で耐熱性を有する材料を使用しているため、100℃超の高温流体を流したときでも計測を行うことができる。以上のように、本実施形態によれば、100℃超の高温域を含む広い温度範囲で安定して流速を計測することができるストレート型流量計センサ11を提供することができる。
【0053】
(2)本実施形態では、弾性を有するカップリング材層81を介して、配管1と音響プリズム61とが配置されている。このため、配管1と音響プリズム61との密着性が向上し、超音波を効率よく伝搬することができる。それゆえ、流速を精度よく計測することができる。
【0054】
(3)本実施形態では、ニオブ酸アルカリ系圧電セラミックスの多孔質体からなる超音波振動子64を用いてストレート型流量計センサ11を構成している。上記多孔質体はキュリー温度が300℃以上のセラミックスであることから、200℃でも特性が低下しない。よって、この材料からなる超音波振動子64を用いることで、100℃超の高温流体の測定が可能であって、かつその場合でも精度のよい計測が可能な流量計センサ11とすることができる。
【0055】
なお、上記実施形態を以下のように変更してもよい。
【0056】
・上記各実施形態では、配管1の形成材料である第1の耐熱性樹脂としてPTFEを選択したが、これに限定されることはない。例えば、第2の耐熱性樹脂よりも高い耐熱性を有する別のフッ素樹脂として、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(パーフルオロエチレンプロペンコポリマー)等を選択してもよい。
【0057】
・上記各実施形態では、カップリング材層81の形成材料である耐熱性材料としてフッ化ビニリデン系のフッ素ゴムであるFKMを選択したが、これに限定されることはない。例えば、テトラフルオロエチレン-プロピレン系(FEPM)、テトラフルオロエチレン-パープルオロビニルエーテル系(FFKM)等のフッ素ゴムを選択してもよい。また、カップリング材層81の形成材料として、フッ素ゴム以外のゴム材を使用してもよく、あるいはゴム材以外の材料(オイルなどの液体、グリス、接着剤)を使用してもよい。
【0058】
・上記各実施形態では、音響プリズム61の形成材料である第2の耐熱性樹脂としてPESを選択したが、これに限定されることはない。例えば、PESにガラス繊維を添加したPEF-GF30などを選択してもよい。
【0059】
・上記各実施形態では、音響プリズム61において前側傾斜面63と底面65とをつなぐ中間部分69を、左右方向に等しい幅となるように形成したが、これに限定されない。例えば、
図9に示す別の実施形態のストレート型流量計センサ11の音響プリズム61Aのように、前側傾斜面63と底面65とをつなぐ中間部分69の両側面に肉抜き部62aを形成してもよい。この場合、肉抜きにより残った部分の幅W1は、超音波振動子64の直径D1よりも小さく、かつ配管1の直径D2よりも小さくなるように(好ましくはD2の約20%~50%に)設定されることがよい。この構成によると、配管1と接触する中間部分69の下端の面積が小さくなる結果、音響プリズム61Aの下面が高い接触圧をもって配管1に接触するようになる。このため、超音波振動子64が発した超音波を配管1側に効率よく確実に入射させることができる。
【0060】
・例えば、
図10(a)~(c)に示す別の実施形態の音響プリズム61B、61C、61Dのように、前側傾斜面63と底面65とをつなぐ中間部分69を、底面65側に近づくほど幅が狭くなるように形成してもよい。この場合、中間部分69の最小幅W2は、超音波振動子64の直径D1よりも小さく、かつ配管1の直径D2よりも小さくなるように(好ましくはD2の約20%~50%に)設定されることがよい。これらの構成によると、配管1と接触する中間部分69の下端の面積が小さくなる結果、音響プリズム61B~61Dの下面が高い接触圧をもって配管1に接触するようになる。このため、
図9のものと同様に、超音波振動子64が発した超音波を配管1側に効率よく確実に入射させることができる。
【0061】
・上記各実施形態では、音響プリズム61を構成するプリズム本体62の底面65に、配管1を両側から挟んで保持固定するための複数本の脚部66を突設したが、これらは省略されてもよい。ただし、
図9(a)~(c)や
図10(a)~(c)のような構造を採る場合には、小面積である中間部分69の下端を確実に配管1側に接触させて保持固定するために、複数本の脚部66を突設しておくことが好ましい。
【0062】
・上記各実施形態では、側面視で略台形状の音響プリズム61を用いたが、これに限定されない。例えば、側面視で略三角形状の音響プリズムを用いてもよい。
【0063】
・上記各実施形態では、本発明をストレート型流量計センサ11に具体化したが、ストレート型ではない流量計センサに具体化しても勿論よい。
【0064】
・上記各実施形態の超音波振動子64では、ニオブ酸カリウムナトリウム系(ニオブ酸アルカリ系)の多孔質焼結体からなる超音波振動子64を用いたが、超音波振動子64の形成材料は特に限定されるものではない。例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム系、PMN-PT(Pb(Mg1/3Nb2/3)O3-PbTiO3)単結晶、PZNT(Pb(Zn1/3Nb2/3)O3-PbTiO3)単結晶、LiNbO3単結晶のセラミックス焼結体からなる超音波振動子64を用いてもよい。
【0065】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0066】
(1)超音波を発生する超音波振動子と、内部に流体が流される配管と、前記配管の外周面に接触配置される底面と、前記超音波振動子を支持する前側傾斜面とを有し、前記超音波振動子から前記配管内の前記流体に向けて超音波を伝搬させる音響プリズムとを備え、前記音響プリズムにおいて前記前側傾斜面と前記底面とをつなぐ部分は、両側面に肉抜き部が形成されていることを特徴とする流量計センサ。
【0067】
(2)超音波を発生する超音波振動子と、内部に流体が流される配管と、前記配管の外周面に接触配置される底面と、前記超音波振動子を支持する前側傾斜面とを有し、前記超音波振動子から前記配管内の前記流体に向けて超音波を伝搬させる音響プリズムとを備え、前記音響プリズムにおいて前記前側傾斜面と前記底面とをつなぐ部分は、前記底面側に近づくほど幅が狭くなるように形成されていることを特徴とする流量計センサ。
【0068】
(3)上記思想1または2において、前記音響プリズムを構成するプリズム本体の底面には、前記配管を両側から挟んで保持固定するための複数本の脚部が一体的に突設されていることを特徴とする流量計センサ。
【0069】
(4)超音波を発生する超音波振動子と、内部に流体が流される配管と、前記配管の外周面に接触配置される底面と、前記超音波振動子を支持する前側傾斜面とを有し、前記超音波振動子から前記配管内の前記流体に向けて超音波を伝搬させる音響プリズムとを備え、前記音響プリズムが、90℃~200℃の温度域での耐熱性と、前記温度域での温度上昇に伴って超音波透過率が高くなる正の温度音響特性とを有する耐熱性樹脂からなることを特徴とする流量計センサ。
【0070】
(5)超音波を発生する超音波振動子と、内部に流体が流される配管と、前記配管の外周面に接触配置される底面と、前記超音波振動子を支持する前側傾斜面とを有し、前記超音波振動子から前記配管内の前記流体に向けて超音波を伝搬させる音響プリズムとを備え、前記音響プリズムが、60℃~200℃の温度域での耐熱性と、前記温度域での温度上昇に伴って超音波透過率が高くなる正の温度音響特性とを有する耐熱性樹脂からなることを特徴とする流量計センサ。
【符号の説明】
【0071】
1…配管
11…流量計センサ
61、61A、61B、61C、61D…音響プリズム
63…前側傾斜面
64…超音波振動子
65…底面
81…カップリング材層
B1…超音波伝搬経路
62a…肉抜き部
【要約】
100℃超の高音域を含む広い温度範囲にて安定して計測できる流量計センサを提供する。本発明の流量計センサ11は、超音波振動子64と配管1と音響プリズム61とを備える。音響プリズム61は、配管1の外周面に接触配置される底面65と、超音波振動子64を支持する前側傾斜面63とを有する。音響プリズム61は、超音波振動子64から配管1内の流体に向けて超音波を伝搬させる。配管1は、90℃~200℃の温度域での耐熱性と、前記温度域での温度上昇に伴って超音波透過率が低くなる負の温度音響特性とを有する第1の耐熱性樹脂からなる。音響プリズム61は、前記温度域での耐熱性と、前記温度域での温度上昇に伴って超音波透過率が高くなる正の温度音響特性とを有する第2の耐熱性樹脂からなる。選択図:
図5