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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】軌道スラブ
(51)【国際特許分類】
   E01B 37/00 20060101AFI20230228BHJP
【FI】
E01B37/00 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020040467
(22)【出願日】2020-03-10
(65)【公開番号】P2021143457
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】渕上 翔太
(72)【発明者】
【氏名】桃谷 尚嗣
(72)【発明者】
【氏名】高橋 貴蔵
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-127900(JP,A)
【文献】特開2014-015722(JP,A)
【文献】特開2008-303567(JP,A)
【文献】特開平09-100501(JP,A)
【文献】特開2008-240473(JP,A)
【文献】特開2013-019096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の本体部と、
該本体部の幅方向中央に形成された中央凸部と、
前記本体部の幅方向両端に形成された左右一対の側方凸部とを備え、
プレキャスト鉄骨鉄筋コンクリート製であり、
前記中央凸部と左右の側方凸部との間の部分における前記本体部の上面にレールが敷設され
左右の側方凸部の各々が前記中央凸部よりも上方に突出し、該中央凸部の幅方向両端近傍の各々における内部及び各側方凸部の内部には、軌道スラブの長手方向に延在するH型鋼材が配設され、前記側方凸部の内部のH型鋼材は前記中央凸部の内部のH型鋼材よりも高背であることを特徴とする軌道スラブ。
【請求項2】
コンクリート製の路盤の上に、防振材を介して設置される請求項1に記載の軌道スラブ。
【請求項3】
前記中央凸部の幅方向両端の角部、及び、左右の側方凸部の内側の角部は、逸脱防止ガードとして機能し、前記中央凸部の幅方向両端の角部、及び、左右の側方凸部の内側の角部には、それらを保護するとともに重量を付加するための鋼製の逸脱防止ガード部材が取り付けられる請求項1又は2に記載の軌道スラブ。
【請求項4】
互いに隣接する軌道スラブにおける前記中央凸部の幅方向両端の角部に取り付けられる逸脱防止ガード部材同士は、逸脱防止ガード連結部材によって連結される請求項に記載の軌道スラブ。
【請求項5】
前記逸脱防止ガード連結部材は、前記軌道スラブの幅方向に延在する第1鋼管部と、前記軌道スラブの長手方向に延在する第2鋼管部と、該第2鋼管部に取り付けられた連結ガードとを含み、該連結ガードの両端近傍部分が互いに隣接する軌道スラブにおける前記中央凸部の幅方向両端の角部に取り付けられる逸脱防止ガード部材に接続される請求項に記載の軌道スラブ。
【請求項6】
前記逸脱防止ガード連結部材は、中心部分に形成された開放空間を有する請求項に記載の軌道スラブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、軌道スラブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道の線路、すなわち、軌道は、路床の上の路盤上にまくらぎまたは軌道スラブを並べ、該まくらぎまたは軌道スラブの上にレールを敷設する構造を備える。さらに、鉄道車両の車輪がレールから脱線した後、更に逸脱することを防止するために、逸脱防止ガードがレールに沿って設置されている場合もある。なお、従来の逸脱防止ガードは、PCまくらぎ、軌道スラブ等に専用の鋼製部材を取り付けることによって構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところで、高架橋やトンネル内のように振動やそれに伴う騒音が問題となる箇所では、フローティングスラブ軌道が採用されることがある(例えば、非特許文献1参照。)。防振軌道の一種であるフローティングスラブ軌道は、防振性能を高めるために軌道の固有振動数が低く設定されており、軌道スラブを高重量化するとともに、軌道スラブを離散的に支持する防振材が低ばね化されている。なお、一般に、フローティングスラブ軌道の軌道スラブのコンクリートは、現地で打設される場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-19096号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】鈴木ら、「コイルばね防振軌道の振動低減効果に関する検討」、日本機械学会第7回鉄道技術連合シンポジウム、2000.12
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の技術では、軌道スラブのコンクリートを現地で打設するので、型枠の配置、鉄筋の配筋、コンクリートの養生等に時間と労力とを要し、プレキャスト製の軌道スラブを施工する場合と比較すると、施工速度が低下してしまう。また、逸脱防止ガードを軌道スラブの施工後に取り付けるため、別途、作業を行う必要がある。
【0007】
ここでは、前記従来の技術の問題点を解決して、現場での施工を短時間で容易に行うことができ、鉄道車両の逸脱防止機能を確実に果たすことができるとともに、高い防振性能を発揮することができる軌道スラブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、軌道スラブにおいては、平板状の本体部と、該本体部の幅方向中央に形成された中央凸部と、前記本体部の幅方向両端に形成された左右一対の側方凸部とを備え、プレキャスト鉄骨鉄筋コンクリート製であり、前記中央凸部と左右の側方凸部との間の部分における前記本体部の上面にレールが敷設され、左右の側方凸部の各々が前記中央凸部よりも上方に突出し、該中央凸部の幅方向両端近傍の各々における内部及び各側方凸部の内部には、軌道スラブの長手方向に延在するH型鋼材が配設され、前記側方凸部の内部のH型鋼材は前記中央凸部の内部のH型鋼材よりも高背である。
【0010】
更に他の軌道スラブにおいては、さらに、コンクリート製の路盤の上に、防振材を介して設置される。
【0011】
更に他の軌道スラブにおいては、さらに、前記中央凸部の幅方向両端の角部、及び、左右の側方凸部の内側の角部は、逸脱防止ガードとして機能し、前記中央凸部の幅方向両端の角部、及び、左右の側方凸部の内側の角部には、それらを保護するとともに重量を付加するための鋼製の逸脱防止ガード部材が取り付けられる。
【0012】
更に他の軌道スラブにおいては、さらに、互いに隣接する軌道スラブにおける前記中央凸部の幅方向両端の角部に取り付けられる逸脱防止ガード部材同士は、逸脱防止ガード連結部材によって連結される。
【0013】
更に他の軌道スラブにおいては、さらに、前記逸脱防止ガード連結部材は、前記軌道スラブの幅方向に延在する第1鋼管部と、前記軌道スラブの長手方向に延在する第2鋼管部と、該第2鋼管部に取り付けられた連結ガードとを含み、該連結ガードの両端近傍部分が互いに隣接する軌道スラブにおける前記中央凸部の幅方向両端の角部に取り付けられる逸脱防止ガード部材に接続される。
【0014】
更に他の軌道スラブにおいては、さらに、前記逸脱防止ガード連結部材は、中心部分に形成された開放空間を有する。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、現場での施工を短時間で容易に行うことができ、鉄道車両の逸脱防止機能を確実に果たすことができるとともに、高い防振性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施の形態におけるスラブ軌道の構成を示す図である。
図2】本実施の形態における軌道スラブの二面図である。
図3】本実施の形態における逸脱防止ガード部材を取り付けた状態の軌道スラブの二面図である。
図4】本実施の形態における逸脱防止ガード連結部材を取り付けた状態の互いに隣接する軌道スラブの二面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は本実施の形態におけるスラブ軌道の構成を示す図である。なお、図において、(a)はスラブ軌道の斜視図であり、(b)はスラブ軌道の要部横断面図である。
【0019】
図において、10は本実施の形態における軌道スラブであり、より詳細には、フローティングスラブ軌道であって、プレキャスト製の軌道スラブである。また、90は従来の軌道スラブであり、より詳細には、フローティングタイプでない普通のスラブ軌道である。
【0020】
図に示されるスラブ軌道は、高架橋の路盤やトンネル内の路盤のようなコンクリート製の路盤31の上に既に敷設されていた従来の軌道スラブ90のいくつかが、本実施の形態における軌道スラブ10に置き換えられたものである、として説明する。
【0021】
また、本実施の形態において、軌道スラブ10の各部及びその他の部材の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、軌道スラブ10の各部及びその他の部材が図に示される姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0022】
そして、従来の軌道スラブ90は、各々が、例えば、長さ5〔m〕及び幅2〔m〕の大きさの、鉄筋コンクリート(RC)製の厚板(スラブ)であり、前記路盤31の上に、例えば、調整用のセメントとアスファルトとの混合モルタル層を介して設置され、前記路盤31の上に設置された円柱状の突起コンクリート33によって、水平方向に移動不能となるように固定されている。
【0023】
これに対して、本実施の形態における軌道スラブ10は、各々の長さ及び幅の寸法は従来の軌道スラブ90と同様であるが、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)構造物であり、図1(b)に示されるように、ウレタンゴム、コイルばね等を含む防振材32を介して、前記路盤31の上に設置されている。なお、各軌道スラブ10は、従来の軌道スラブ90と同様に、円柱状の突起コンクリート33によって、水平方向に移動不能となるように固定されている。
【0024】
より詳細に説明すると、前記軌道スラブ10は、平板状の本体部12と、該本体部12の幅方向中央に形成された中央凸部13と、前記本体部12の幅方向両端に形成された左右一対の側方凸部14とを有する。前記中央凸部13及び側方凸部14は、本体部12と一体的に形成された部分であり、本体部12の上面よりも上方に突出し、かつ、本体部12の長手方向(軌道の長手方向)に延在する。なお、各側方凸部14の方が中央凸部13よりも上方に突出するように形成され、中央凸部13の方が各側方凸部14よりも幅広となるように形成されている。
【0025】
そして、前記中央凸部13と左右の側方凸部14との間の部分における本体部12の上面には、レール41が、複数のレール締結装置42を介して固定されている。複数のレール締結装置42は、軌道の長手方向に離散的に配設され、各々が固定ボルト43によって、本体部12に固定されている。各レール41の左右両側に存在する中央凸部13及び側方凸部14は、本体部12の上面よりも上方に突出しているので、レール41から脱線した鉄道車両の車輪が更に逸脱することを防止することができ、鉄道車両の逸脱防止機能を発揮する。
【0026】
前記軌道スラブ10は、前述のように鉄骨鉄筋コンクリート構造物であるから、内部に鉄骨21A及び21B、並びに、鉄筋22を含んでいる。図1(b)に示されるように、前記鉄骨21Aは、軌道の長手方向に延在するH型鋼材であり、中央凸部13の幅方向両端近傍にそれぞれ位置するように、前記中央凸部13の内部に2本配設されている。また、前記鉄骨21Bは、前記鉄骨21Aよりもやや幅狭で高背であって、軌道の長手方向に延在するH型鋼材であり、左右の側方凸部14内に1本ずつ配設されている。なお、鉄骨21A及び21Bを統合的に説明する場合には、鉄骨21として説明する。
【0027】
このように、本実施の形態における軌道スラブ10は、鉄骨鉄筋コンクリート構造物であって、鉄骨21を含んでいるので、鉄骨21を含まないプレキャスト製の軌道スラブよりも鋼材比が高く、質量も大きくなっている。例えば、鉄骨21を含まないプレキャスト製の軌道スラブにおいては、鋼材比が約1.0〔%〕、質量が約5〔t〕であるのに対して、本実施の形態における軌道スラブ10においては、鋼材比が約4.0〔%〕、質量が約10〔t〕となっている。したがって、本実施の形態における軌道スラブ10は、フローティングスラブ軌道として使用されると、質量が大きく、かつ、軌道スラブ10は低ばね化された防振材により離散的に支持されるため軌道の固有振動数が低くなり、高い防振性能を発揮することができる。
【0028】
また、本実施の形態における軌道スラブ10は、鉄骨21を含んでいるので、剛性が高くなっている。したがって、本実施の形態における軌道スラブ10は、厚さを薄くしても十分な剛性を有するので、従来の軌道スラブ90と置き換え可能な程度にレール41が設置されている本体部12の厚さ方向の寸法を抑制することができる。
【0029】
さらに、本実施の形態における軌道スラブ10においては、中央凸部13の幅方向両端の角部に、断面形状がヘ字状の山形鋼材から成る内側逸脱防止ガード部材51Aが、それぞれ、取り付けられ、左右の側方凸部14における中央凸部13に面した側(内側)の角部に、断面形状がヘ字状の山形鋼材から成る外側逸脱防止ガード部材51Bが取り付けられている。これにより、中央凸部13及び側方凸部14の強度が補強されるので、鉄道車両の逸脱防止機能が向上する。前記内側逸脱防止ガード部材51A及び外側逸脱防止ガード部材51Bは、両者とも、軌道の長手方向に延在する山形鋼材であるが、内側逸脱防止ガード部材51Aは、外側逸脱防止ガード部材51Bよりも薄肉で断面寸法が小さくなっている。なお、内側逸脱防止ガード部材51A及び外側逸脱防止ガード部材51Bを統合的に説明する場合には、逸脱防止ガード部材51として説明する。
【0030】
図1(a)に示されるように、軌道スラブ10の長手方向両端には、路盤31の上に設置された円柱状の突起コンクリート33と係合するための係合凹部12bが形成されているので、中央凸部13の長さは軌道スラブ10の長さよりも短くなっており、そのため、内側逸脱防止ガード部材51Aの長さは、外側逸脱防止ガード部材51Bの長さよりも短くなっている。その結果、互いに隣接する軌道スラブ10において、内側逸脱防止ガード部材51A同士間の間隔は、外側逸脱防止ガード部材51B同士間の間隔よりも、かなり大きくなってしまう。そこで、本実施の形態においては、互いに隣接する軌道スラブ10の内側逸脱防止ガード部材51A同士を連結する逸脱防止ガード連結部材61が取り付けられている。
【0031】
次に、前記軌道スラブ10の構造についてより詳細に説明する。
【0032】
図2は本実施の形態における軌道スラブの二面図、図3は本実施の形態における逸脱防止ガード部材を取り付けた状態の軌道スラブの二面図である。なお、図2において、(a)は上面図、(b)は側面図であり、図3において、(a)は上面図、(b)はA-A矢視断面図である。
【0033】
図2(a)及び3(a)に示されるように、軌道スラブ10の本体部12の長手方向両端には、平面視において半円形状の係合凹部12bが形成されている。したがって、中央凸部13は、前記係合凹部12bと干渉しないように、その長さが軌道スラブ10の長さよりも短くなるように形成されている。
【0034】
そして、図2(a)に示されるように、前記中央凸部13の上面には、内側逸脱防止ガード部材51Aを固定する固定ボルト52aを螺入するための逸脱防止ガード部材固定用穴13aが複数開口している。また、前記側方凸部14の上面には、外側逸脱防止ガード部材51Bを固定する固定ボルト52bを螺入するための逸脱防止ガード部材固定用穴14aが複数開口している。図3(b)に示されるように、内側逸脱防止ガード部材51A及び外側逸脱防止ガード部材51Bは、それぞれ、固定ボルト52a及び52bの先端から所定の範囲が逸脱防止ガード部材固定用穴13a及び14aに螺入されることによって、中央凸部13及び側方凸部14に取り付けられて固定される。
【0035】
また、前記本体部12の上面には、レール締結装置42を固定する固定ボルト43を螺入するためのレール締結装置固定用穴12aが複数開口している。なお、該レール締結装置固定用穴12a内には、図3(b)に示されるように、前記固定ボルト43と螺合する埋込栓44があらかじめ埋め込まれていることが望ましい。また、前記逸脱防止ガード部材固定用穴13a及び14a内にも、必要に応じて、固定ボルト52a及び52bと螺合する埋込栓があらかじめ埋め込まれていてもよい。
【0036】
次に、前記逸脱防止ガード連結部材61の構造についてより詳細に説明する。
【0037】
図4は本実施の形態における逸脱防止ガード連結部材を取り付けた状態の互いに隣接する軌道スラブの二面図である。なお、図において、(a)は上面図、(b)はB-B矢視断面図である。
【0038】
本実施の形態における逸脱防止ガード連結部材61は、平面視において、概略井桁状の形状を有する。そして、前記逸脱防止ガード連結部材61は、軌道スラブ10の幅方向に延在する角鋼管から成る第1鋼管部62aと、軌道スラブ10の長手方向に延在する角鋼管から成る第2鋼管部62bと、軌道スラブ10の長手方向に延在する連結ガードとしての山形鋼材部63とを含んでいる。一対の第1鋼管部62aは、図4(a)に示されるように、中央凸部13と係合凹部12bとの間の本体部12上に配置される部材であって、それぞれの両端に、一対の第2鋼管部62bの各々が、溶接等の手段によって、接続されている。前記逸脱防止ガード連結部材61の中心部分には、周囲を第1鋼管部62a及び第2鋼管部62bによって画定された空間であって、平面視における形状が矩形の空間である開放空間61aが形成されている。該開放空間61a内には、地上子を設置することができる。
【0039】
そして、各第2鋼管部62bの上面及び外側面を覆うように、一対の山形鋼材部63の各々が各第2鋼管部62bに、溶接、ボルト止め等の手段によって、取り付けられている。さらに、各山形鋼材部63の両端近傍部分は、互いに隣接する軌道スラブ10の各々に取り付けられている内側逸脱防止ガード部材51Aに、溶接、ボルト止め等の手段によって、接続される。これにより、互いに隣接する軌道スラブ10の内側逸脱防止ガード部材51A同士が逸脱防止ガード連結部材61によって連結される。このように、互いに隣接する軌道スラブ10の内側逸脱防止ガード部材51A同士の間隔が、逸脱防止ガード連結部材61によって塞がれるので、鉄道車両の逸脱防止機能がより確実なものとなる。
【0040】
このように、本実施の形態において、軌道スラブ10は、平板状の本体部12と、本体部12の幅方向中央に形成された中央凸部13と、本体部12の幅方向両端に形成された左右一対の側方凸部14とを備え、プレキャスト鉄骨鉄筋コンクリート製であり、中央凸部13と左右の側方凸部14との間の部分における本体部12の上面にレール41が敷設される。
【0041】
これにより、現場での施工を短時間で容易に行うことができ、鉄道車両の逸脱防止機能を確実に果たすことができる。
【0042】
また、中央凸部13の内部及び各側方凸部14の内部には、軌道スラブ10の長手方向に延在するH型鋼材が鉄骨21として配設されている。したがって、中央凸部13及び側方凸部14の強度が向上するとともに、軌道スラブ10の鋼材比が増加し、質量が増加する。
【0043】
さらに、コンクリート製の路盤31の上に、防振材32を介して設置される。したがって、高い防振性能を発揮することができる。
【0044】
さらに、中央凸部13の幅方向両端の角部、及び、左右の側方凸部14の内側の角部に、鋼製の逸脱防止ガード部材51が取り付けられる。これにより、中央凸部13及び側方凸部14の強度が補強されるので、鉄道車両の逸脱防止機能が向上する。
【0045】
さらに、互いに隣接する軌道スラブ10における中央凸部13の幅方向両端の角部に取り付けられる逸脱防止ガード部材51同士は、逸脱防止ガード連結部材61によって連結される。したがって、逸脱防止ガード部材51同士の間隔が逸脱防止ガード連結部材61によって塞がれるので、鉄道車両の逸脱防止機能がより確実になる。
【0046】
さらに、逸脱防止ガード連結部材61は、軌道スラブ10の幅方向に延在する第1鋼管部62aと、軌道スラブ10の長手方向に延在する第2鋼管部62bと、第2鋼管部62bに取り付けられた山形鋼材部63とを含み、山形鋼材部63の両端近傍部分が互いに隣接する軌道スラブ10における中央凸部13の幅方向両端の角部に取り付けられる逸脱防止ガード部材51に接続される。したがって、簡単な構成でありながら、逸脱防止ガード部材51同士の間隔を強固に塞ぐことができる。
【0047】
さらに、逸脱防止ガード連結部材61は、中心部分に形成された開放空間61aを有する。したがって、開放空間61a内には、地上子を設置することができる。
【0048】
なお、本明細書の開示は、好適で例示的な実施の形態に関する特徴を述べたものである。ここに添付された特許請求の範囲内及びその趣旨内における種々の他の実施の形態、修正及び変形は、当業者であれば、本明細書の開示を総覧することにより、当然に考え付くことである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本開示は、軌道スラブに適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
10 軌道スラブ
12 本体部
13 中央凸部
14 側方凸部
21A、21B 鉄骨
31 路盤
32 防振材
41 レール
51A 内側逸脱防止ガード部材
51B 外側逸脱防止ガード部材
61 逸脱防止ガード連結部材
61a 開放空間
62a 第1鋼管部
62b 第2鋼管部
63 山形鋼材部
図1
図2
図3
図4