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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】自転車のペダル
(51)【国際特許分類】
   B62M 1/36 20130101AFI20230228BHJP
   B62K 3/00 20060101ALI20230228BHJP
   B62M 3/08 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
B62M1/36
B62K3/00
B62M3/08 C
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021109620
(22)【出願日】2021-05-21
(65)【公開番号】P2022016329
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2022-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2020132016
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】516265506
【氏名又は名称】秋元 直人
(72)【発明者】
【氏名】秋元 直人
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0253294(US,A1)
【文献】特開2007-015522(JP,A)
【文献】実開昭53-082054(JP,U)
【文献】登録実用新案第3170287(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第107551461(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0265218(US,A1)
【文献】特開2006-142921(JP,A)
【文献】特開2015-131575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 1/36
B62K 3/00
B62M 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペダルを足で踏み込む力を、チェーン等を介して後輪の駆動軸を回転駆動し前進させる自転車において、車体フレームにはつま先あたりの前方とかかとあたりの後方との二か所にペダル用回転軸を設け、その二か所の回転軸が同じ回転数で回るように後輪の駆動軸を回転させるためのチェーンホイールとは別にそれぞれ同じ歯数のチェーンホイールを設置し、その同じ歯数のチェーンホイール間には前方クランクが後方クランクに対して位相が遅れるようにチェーンを掛け、そして前方クランクの長さを後方クランクより長く設け、この前後クランクの先端に足を乗せるペダル用の板を設置した自転車用のペダル機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自転車のペダルに関する。
【背景技術】
【0002】
現在多用されている自転車のペダルは一つの回転軸で構成されている。
【0003】
特に立ち漕ぎ自転車においてはペダルが二つの回転軸で構成されているものもある(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【0004】
さらに前方クランクの長さが後方のクランクの長さより長い構成も提案されている(例えば特許文献4、特許文献5、特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-142921
【文献】US-A1-2012/0013097
【文献】US-A1-2014/0265218
【文献】実用新案登録第3170287号公報
【文献】特開2015-131575
【文献】CN-A-107551461
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
人が歩いたり走ったりするときには足のかかととつま先は違った用途で使われている。かかとは主に太ももの筋肉を使用した体重移動を支えるのに使われ、つま先は主にふくらはぎの筋肉を使用しつま先を伸ばす動作で地面を蹴ることで体を前に押し出すことに使われる。現在多用されている自転車のペダルは一つの回転軸で構成されており、人が歩いたり走ったりするときのようにかかととつま先の動きを別々に有効活用できていない。
【0007】
特許文献4のようにペダルを二つの回転軸で構成し、さらに前方のクランクの長さを後方のクランクの長さより長くすることでかかとで体重移動する力とつま先で蹴る力を別々に利用できるが、さらに効率的にその力を利用できる構成を提案したい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明品は上記課題を解決するために、ペダルを足で踏み込む力を、チェーン等を介して後輪の駆動軸を回転駆動し前進させる自転車において、車体フレームにはつま先あたりの前方とかかとあたりの後方との二か所にペダル用回転軸を設け、その二か所の回転軸が同じ回転数で回るように後輪の駆動軸を回転させるためのチェーンホイールとは別にそれぞれ同じ歯数のチェーンホイールを設置し、その同じ歯数のチェーンホイール間には前方クランクが後方クランクに対して位相が遅れるようにチェーンを掛け、そして前方クランクの長さを後方クランクより長く設け、この前後クランクの先端に足を乗せるペダル用の板を設置したのである。
【0009】
上記の課題解決手段による作用は次の通りである。まず後方クランクが上端に達した状態においてペダル用の板の後方側をかかとに体重をかけるように踏みこむと回転駆動し始める。
【0010】
次にかかとで後方クランクが下端に達するまでペダル用の板を踏み込んだ時、前方クランクは位相が遅れているため下端に達していないのでペダル板の前方をつま先で蹴り下げる。そしてつま先で前方クランクが下端に達するまで蹴り下げると片方の足の回転駆動は終了する。この状態の時、後方側のペダルの回転軸は位相が進んでいる為、反対側の足にあるペダルの後方クランクの先端はすでに上端からさらに回転した前方の位置にあり、反対側の足はここから漕ぎ始めることになる。
【発明の効果】
【0011】
上述したように本発明品は、位相をずらしたクランクの長さの違う二つの回転軸を持つペダルを特徴とし、後方のかかと側で漕ぐ動作と前方つま先側で漕ぐ動作とを別々に利用できるとともに、二つの回転軸の位相をずらすことでこれまでのペダル構造のものより、ペダルを回転駆動する位置をペダルの回転軸の真上よりも力を取り出しやすい前方90度に近い範囲で利用できるため、従来のペダルに比べ効率的に漕げるのである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明品の第1実施の形態の側面図
図2】同説明図
図3】同説明図
図4】同説明図
図5】同説明図
図6】本発明の第2実施の形態の側面図
図7】本発明の第3実施の形態の側面図
図8本発明の第4実施の形態の側面図
図9本発明の第5実施の形態の側面図
図10本発明の第6実施の形態の側面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づき本発明の好適な実施形態を説明する。図1は本発明の第1の実施の形態を示している。
【0014】
車体フレーム19の前端にはヘッドパイプ2が溶接等で取り付けられ、後端には後輪15の駆動軸14がネジ等で取り付けられている。ヘッドパイプ2にはハンドル1が回転自在に装着してある。ハンドル1の下方には二股のフロントフォーク3が取り付けてあり、前輪4の回転軸の両端がこのフロントフォーク3の下端に取り付けられている。ハンドル1にはブレーキレバーが2つあって、それぞれ前輪4と後輪15にワイヤーを介して接続してあり、ブレーキレバーを引くことによってブレーキ装置を作動させて前輪4と後輪15の回転を制動できるようにしてある。
【0015】
車体フレーム19には前方ペダル用回転軸8及び後方ペダル用回転軸13の二つが設置されている。後方ペダル用回転軸13にはチェーンホイール18が設置されており、後輪駆動軸用チェーンホイール16との間にチェーン17が懸架されている。後方ペダル用回転軸13にはチェーンホイール18とは別に前後ペダルの回転数を同じにするために後方チェーンホイール10と、前方ペダル用回転軸8には前方チェーンホイール5とが同じ歯数で設置されており、後方クランク12に対して前方クランク6の位相が45度程度遅れるようにしてチェーン9が懸架されている。
前方ペダル用回転軸8に設置された前方クランク6は後方ペダル用回転軸13に設置された後方クランク12よりも長い。足を置くペダル用の板11の後端は、後方クランク12の先と回転自由に繋いである。ペダル用の板11の前端は両端を回転自由にしたアーム7を介して前方クランク6の先に繋いである
【0016】
上記のようにして本発明の第1の実施の形態の自転車を形成することができるものであり、両手でハンドル1を握り左右のペダル用の板11を両足で漕ぐことによって、後輪15を回転させて自転車を走行させるとともに、ハンドル1を操作して前輪4の向きを操作することによって、進行方向を変更することができるものである。
【0017】
図2図3図4図5では、本発明の第1の実施の形態において左足でペダルを踏み始めてから踏み終わるまでの一連の動作の説明図を示している。図中の黒い矢印は二つの回転軸にかかる力の方向と大きさを表している。
【0018】
まず最初に図2のように後方クランク12が上端に達してから左足のかかとでペダル用の板11を踏み始めると、前述のように後輪15を回転駆動し車体は前進し、図3と変化していく。
【0019】
左足のかかとで踏む回転動作は後方クランク12が下端に達する図4まで続く。
【0020】
この時、前方クランク6は下端まで達していないので、さらにつま先を伸ばしながらペダル用の板11を踏み込み前方クランク6を回転させ下端に達し図5となる。以上が片足側の漕ぐ動作となる。
【0021】
以上のように左足で漕ぎ終わった図5の状態のときに反対側の右足で漕ぎ始めることになるのだが、下端に達した前方クランク6に対して後方クランク12は位相が進んでおり、右足側の後方クランク12は上端から前方に位相が進んだ位置になっているわけである。つまり片方の足で漕ぎ終わるともう片方の足の漕ぎ始めのペダルの位置は常に上端から前方に回転した位置から漕ぎ始めることになるのである。
【0022】
このことは、足で足下に位置するペダルを回転駆動する構造においては回転軸の真上よりも前方90度に近いほど回転力のモーメントは増すので、本発明品においては前述したように、ペダルを踏む位置を回転軸の前方90度に近い範囲で利用できる構造になっているので、従来品よりも効率が高いことを示している。
【0023】
図6は本発明の第2の実施の形態を示している。図1ではアーム7を両端を回転自由にした硬質の支柱を使用していたが、図6のようにワイヤーや紐やチェーン等の柔軟な素材で接続することもできる。
【0024】
図7は本発明の第3の実施の形態を示している。図1では後輪の駆動軸14と前方ペダル用回転軸8と後方ペダル用回転軸13をそれぞれチェーン9とチェーン17の二つで駆動していたが、後方ペダル用回転軸13のチェーンホイール18と同じ歯数で前方チェーンホイール5を設置し、チェーンホイール18にチェーン17が懸架される有効角度を大きくするための補助チェーンホイール21を設置することで、チェーン17一本で構成することができる。
【0025】
図8は本発明の第4の実施の形態を示している。図1ではペダル用の板11の前方にアーム7を設置していたが、図8のようにペダル板11の後方にアーム7を設置して構成することもできる。この場合には合わせてチェーン17を一本で構成することもできる。
【0026】
図9は本発明の第5の実施の形態を示している。図1ではペダル用の板11の前方にアーム7を設置していたが、図9のようにペダル板11の前方にスライド機構を付けて構成することもできる。またこのスライド機構を図9とは逆にペダル板の後方に付けて構成してもよい。
【0027】
図10は本発明の第6の実施の形態を示している。フレーム19にサドル20を追加することで座って漕ぐ自転車に本発明を利用できる。
【符号の説明】
【0026】
1 ハンドル
2 ヘッドパイプ
3 フロントフォーク
4 前輪
5 前方チェーンホイール
6 前方クランク
7 アーム
8 前方ペダル用回転軸
9 チェーン
10 後方チェーンホイール
11 ペダル用の板
12 後方クランク
13 後方ペダル用回転軸
14 後輪の駆動軸
15 後輪
16 後輪駆動軸用チェーンホイール
17 チェーン
18 チェーンホイール
19 フレーム
20 サドル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10